説明

充電式膝当てカイロ及び膝用サポーター

【課題】 膝にフィットしやすい充電式膝当てカイロなどを提供する
【解決手段】 充電式膝当てカイロ1は、人間の膝に当てられるケース10と、ケース10に配設された伝熱板14と、伝熱板14の裏面に設けられた発熱部材15と、発熱部材15に給電する、ケース10内に収納された繰り返し充電可能な電池16と、発熱部材15の温度を制御する温度調整手段と、を備える。ケース10の上縁10aは、膝蓋骨の周囲に当てられるのに適する下方に湾曲した形状を有する。また、ケース10の裏面に、脛骨の突起を収容する凹部11が形成されていて、伝熱板14が凹部11以外の面12に配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膝を温めるのに用いられる携帯式の充電式カイロなどに関する。特には、快適な温度を維持することができ、違和感を与えることなく膝にフィットしやすい充電式膝当てカイロに関する。
【背景技術】
【0002】
膝の関節痛は、特に中高年の人にとっては発症しやすい病気であり、多くの人が症状を訴えている。その治療法としては、薬物療法や、温める・冷やすなどの物理療法、運動療法、装具療養などがある。日常生活で手軽にできる予防・改善方法としては、血液循環を良くする温熱療法が挙げられる。なお、関節軟骨には神経が通っていないので関節自体は痛まないが、その周囲には多くの神経が通っているので、膝頭の周囲を暖めることが良いとされている。このため、膝頭の周囲を温めるカイロやサポーターの要求がある。
【0003】
膝は膝蓋骨が前へ突き出た特殊な形状であるとともに関節運動するため、温熱療法においては、温熱源を膝にフィットさせて、膝が動く際にもできるだけ違和感を与えないように装着することが求められている。
【0004】
一方、従来、携帯用のカイロとして、電熱線からのジュール熱を熱源に利用するものが知られている。特許文献1には、ジュール熱を発生する電熱シートと、電池と、電熱シートの温度を調整する手段とを備えた電熱式カイロが開示されている。
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3122911号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであって、膝にフィットしやすい充電式膝当てカイロなどを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の充電式膝当てカイロは、 人間の膝に当てられるケースと、 該ケースに配設された発熱体と、 該発熱体に給電する、前記ケース内に収納された繰り返し充電可能な電池と、 前記発熱体の温度を制御する温度調整手段と、を備える充電式膝当てカイロであって、 前記ケースの上縁が、膝蓋骨の周囲に当てられるのに適する下方に湾曲した形状を有し、 前記ケースの裏面に、脛骨の突起を収容する凹部が形成されていて、前記発熱体が該凹部以外の面に配設されていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、ケースの湾曲した上縁を膝蓋骨部の下部に沿わせてカイロを膝に装着するので、カイロを膝にフィットさせることができ、膝が関節運動する際にも着用者に違和感をあまり与えない。そして、脛骨の当る部分に凹部が形成されているとともに発熱体が配設されておらず、その周囲にのみ発熱体が配設されているので、骨の存在する皮膚の薄い部分を温めず、膝頭の周囲(特に下方)のみを暖めることができる。
【0009】
また、発熱体は充電可能な電池で給電されるので、繰り返し使うことができるとともに、電源コード等が不要であり、場所を選ばず使用することができる。
また、発熱体としてペルチェ素子を使用すれば、同発熱体を必要に応じて加温と冷却の両方に使用することができる。
【0010】
本発明においては、 前記ケースが、縦方向に延びる一つ以上の連結部で折り曲げ可能なこととすれば、ケースを着用者の脚の太さに合わせて装着できる。
【0011】
本発明においては、 前記ケースを膝に固定するための固定手段が設けられていることとすれば、カイロを膝に当てたまま動くことができる。
【0012】
本発明においては、 前記温度調整手段は、 前記発熱体の温度を比較的高い第1の温度にある時間維持し、その後、前記第1の温度よりもやや低い第2の温度に維持する温度制御を行うこととできる。
または、 前記発熱体の温度を、前記第2の温度をある時間維持した後、前記第1の温度か、又は、前記第2の温度よりやや高い第3の温度とすることとできる。
【0013】
このように、ある一定の時間連続してカイロを使用する際に、そのうちのある時間帯における温度がやや低くなるように制御することで、電池の消費量が抑えられるので、カイロの使用時間を長くすることができる。
【0014】
本発明においては、 充電式カイロのON/OFFを切り替えるスイッチを更に備え、 該スイッチがONとされた時点を基準として、前記温度制御が行われることとできる。
または、 前記温度調整手段が時計機能を有しており、 該時計機能の時刻を基準として、前記温度制御が行われることとできる。
【0015】
温度調整手段を設けることにより、使用者の症例に合わせて温度を調整できる。また、温度調整のタイミングを、スイッチがONされた時点や時計機能の時刻を基準とすることにより、自動的に温度調整できる。
【0016】
または、前記温度調整手段が、人の体温を検出する検温手段を有しており、該検温手段により検出された前記体温の変化を基準として、前記温度制御が行われるようになっていてもよい。
【0017】
本発明においては、 前記発熱体の表面に、柔軟性を有する高比熱材のシートが設けられていることとしてもよい。
または、 前記発熱体の表面に、柔軟性を有する高熱伝導材のシートが設けられていることとしてもよい。
【0018】
このような弾性シートが設けられている場合、身体へのフィット性が向上するため、熱をより効率的に伝えることが可能となる。シートに、導電性カーボン・黒鉛・金属粉末(例えば銅やアルミ)等の導電性材料を添加することで、材料の熱伝導性を高めることができ、発熱体からの熱をスムーズに身体の一部に伝熱させることができるものとなる。
シートの素材が、比熱の高いものである場合、蓄熱性を向上させることができる。一方、弾性シートの素材が、熱伝導性の高いものである場合、発熱体からの熱を、スムーズに身体の一部に伝えることができるという利点がある。
高比熱材としては、例えば、比熱が2J/(kg・K)以上の材料が挙げられる。また、高熱伝導材としては、例えば、熱伝導率が1W/m・K以上の材料が挙げられる。
【0019】
さらに、本発明においては、 前記発熱体の裏面側に断熱材が設けられていることとすれば、発熱体からの熱を有効に利用できる。
なお、「発熱体の裏面側に設けられている」とは、断熱材が、ケースの内部において発熱体の裏面側に配置されている形態に限らず、ケースの外側に(ケース裏面側を覆うようにして)断熱材が配置されている形態も含む。
【0020】
本発明の膝用サポーターは、 人間の膝に当てられる当て布と、 該当て布に設けられた、発熱体を収納するポケットと、 前記当て布を膝に固定するための固定手段と、を備える膝用サポーターであって、 前記ポケットが、膝蓋骨の凸部が当る部分以外の部分に設けられていることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、膝蓋骨部の周囲を良好に暖めることができる。また、布やゴムベルトで作製すれば、関節の動きに合わせて変形するので、動きにあまり支障を与えない。
【発明の効果】
【0022】
上述したように、本発明によれば、快適な温度を維持することができ、身体にフィットしやすい充電式の膝当てカイロなどを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る充電式膝当てカイロを示す図であり、図1(A)は裏面図、図1(B)は図1のB−B切断面における横断面図、図1(C)は図1のC−C切断面における横断面図、図1(D)は図1のD−D切断面における縦断面図である。
図2は、図1の膝当てカイロを膝に当てた状態を示す正面図である。
充電式膝当てカイロ1は、人間の膝に当てられるケース10と、同ケース10に配設された板状の伝熱板14と、その裏面に配置された発熱部材15と、同発熱部材15に給電する、繰り返し充電可能な電池16などを備える。
【0024】
ケース10は、図1(B)、図1(C)に示すように、裏側(内側)の面が縦方向に凹んだ、鞍状の中空のものであり、この裏側の面が膝に当てられる。また、図1(A)に示すように正面形状は略長方形で、上縁10aは下方に円弧状に湾曲している。ケース10は、例えば、樹脂又はエラストマーで作製される。
【0025】
ケース10の裏側の面には、図1(A)に示すように、同面から凹んだ、略十字型の凹部11が形成されている。詳しくは、凹部11は、上下方向に延びる縦凹部11Lと、左右方向に延びる横凹部11Tとを有する。縦凹部11Lは、ケース10の裏面の、上下方向の端から端まで延びている。一方、横凹部11Tは、左右方向の両端からやや内側の部分の間を延びている。
なお、ケース10の裏面の、凹部11以外の部分を左右の周辺部12という。
【0026】
図2を参照して、ケース10を膝に当てた状態を説明する。
ケース10は、裏面を膝に向けて、湾曲した上縁10aを膝蓋骨Pの下部に沿わせて装着される。すると、脛骨Tの出っ張った上端が裏面の横凹部11Tに収容され、脛骨Tが縦凹部11Lに収容される。そして、脛骨Tの周囲に、周辺部12が当る。
【0027】
再び図1を参照して説明する。
左右の周辺部12の表面には、伝熱板14が配設されている。各伝熱板14の裏面(ケース内側の面)の上部と下部には、薄板状の発熱部材15が貼り付けられている。発熱部材15は、一例として、電圧の印加により発熱するPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータであり、このヒータからの熱が、伝熱板14に伝わり、伝熱板14全体が加熱されるようになっている。
【0028】
したがって、図2に示すように、カイロ1が、湾曲した上縁10aを膝蓋骨Pの下部に沿わせ、凹部11に脛骨Tを収容するように装着されると、膝蓋骨Pの下部の周囲と、脛骨Tの周囲に伝熱板14が当り、これらの部分が温められる。そして、皮膚の薄い膝蓋骨Pや脛骨Tの部分には伝熱板14が存在しないので、これらの部分は温められない。
なお、カイロ1を縦方向に延びる一つ以上の連結点(例えば、図1(A)のD−D線)で折り畳み可能な構成とすれば、着用者の脚の太さに合わせてケース10を装着できる。
【0029】
伝熱板14としては、金属、導電性プラスチック、導電性ゴム、導電性エラストマー等の熱伝導性に優れた材料を使用することができる。発熱部材15は、PTCヒータのほかにも面状ヒータなど種々利用可能である。また、発熱部材15としてペルチェ素子を使用することもできる。この場合、必要に応じて加温と冷却の両方の用途に使用できる。
【0030】
各発熱部材15に電圧を付与する(給電する)電池16は、ケース10内にそれぞれ配置されている。この電池16は、例えば、充電可能なリチウムイオン電池・ニッケル水素電池・ニッケル・カドミウム電池・リチウム電池・リチウムポリマー電池、燃料電池、カルシウムイオン電池等を利用することができる。なお、電池16はケース10に外付けされるものであってもよい。
【0031】
ケース10の下面には、電池16を充電するための外部電力供給用ソケットが設けられている(図示されず)。この場合、充電用の電源コードをこのソケットに接続することにより、電池16が充電される。
【0032】
ケース10の内部には、発熱部材15に電圧を付与するかどうかの制御(すなわち、カイロのON/OFFの制御)や、発熱部材15の温度制御を行う回路基板17が配置されている。回路基板17は、一例として、電池16からの電圧値又は電流値を調整することで発熱部材15の温度を調整する(なお、以下では、電圧値が調整される例について説明する)。
【0033】
回路基板17が発熱部材15の温度を調整できるように、発熱部材15の裏面と伝熱板14の裏面との2箇所には、それぞれ温度センサ(サーミスタ)19a、19bが設けられている。回路基板17は、この2つのセンサ19a、19bによる検出結果に基づいて、電池16からの電圧値を適宜調整し、発熱部材15ひいては伝熱板14の温度を調整する。発熱部材15及び伝熱板14の2箇所に、センサ19a、19bが設けられているので、より正確な温度調整が可能となっている。
【0034】
回路基板17は、一例として、低温火傷の防止の観点から、伝熱板14の温度を、体表面の温度が38℃〜42℃の範囲内になるように、所定の設定温度(40℃〜50℃)に制御する。すなわち、温度センサ19a、19bの検出結果に基づいて、伝熱板14の温度が設定温度未満では電池の電圧を上昇するように制御し、一方、伝熱板14の温度が設定温度を超えた場合には、電源の出力を段階的に又は連続的に下げるように制御する。
【0035】
また、ケース10の正面には操作スイッチ(図示されず)が設けられており、ユーザーがこのスイッチを操作することにより、カイロ1のON/OFFが切り替えられるようになっている。
【0036】
本実施形態の充電式カイロ1は、幾つかの動作パターンを設定できる。例えば、スイッチ(不図示)をONにしている間中動作して、適温を維持する「連続動作モード」や、スイッチをONにした後、所定時間経過したら自動的にOFFとなる「自動停止モード」等である。各モードにおいては、更に、「高温」・「低温」等の温度調整が可能となっている。
【0037】
さらに、比較的高い第1の温度(例えば46〜48℃)にある時間維持し、その後、第1の温度よりもやや低い第2の温度(例えば40〜42℃)に維持するように温度制御を行うこともできる。この場合、第2の温度をある時間維持した後、第1の温度か、又は、第2の温度よりやや高い第3の温度(例えば44〜46℃)とすることもできる。
【0038】
このように、ある一定の時間連続してカイロを使用する際に、そのうちのある時間帯における温度がやや低くなるように制御することで、電池の消費量が抑えられるので、カイロの使用時間を長くすることができる。
【0039】
なお、上記温度制御を開始するタイミングは、ケース10に設けたスイッチ(不図示)をONとした時点であってもよい。すなわち、スイッチをONとした時点から、上記温度制御が行われるようになっていてもよい。
【0040】
あるいは、回路基板17が時計機能を内蔵しており、この時計機能の時刻を基準として、上記温度制御が行われる構成とすることもできる。
また、充電式カイロ1が、更に、人の体温を検出する検温機能を備えており、それにより検出された体温の高低により(体温が低くなった時点で)、カイロ1の温度が低温(上記例で言えば38℃)となる構成とすることもできる。
【0041】
このカイロ1においては、伝熱板14の表面に柔軟性のある弾性シート21が設けられていてもよい。なお、この例では、各伝熱板14のそれぞれを覆うようにシート21が設けられているが、これに限らず、カイロ1の裏面の周辺凹部12の全体を1枚のシート21で覆うようにしてもよい。
【0042】
このシートの材質としては、熱伝導率が高いもの、あるいは、比熱が高いもの(比熱の高いものの例として、ゲル材、エラストマー材、ゴム材等)のいずれであってもよい。また、シート表面が粘着性を有し、衣服等に貼り付くシートであってもよい。
【0043】
ゲル材としては、グリセリン・水などを使用し、ポリアクリル酸・ポリアクリル酸ナトリウム・ポリイコタン酸ナトリウム・架橋型ポリアクリル酸ナトリウム・架橋型アクリル系ポリマー・架橋型ポリアクリル酸・CMC・HPC・ポリビニルアルコール・ゼラチン・アラビアゴムにゲル硬化剤(水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウム・水酸化カルシウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カリミョウバン、酸化亜鉛、合成ケイ酸アルミニウム等)でゲル化させたものを利用可能である。
【0044】
ゴム材は、スチレン・ブタジエン系ゴム・天然ゴム系・ニトリル系ゴム・クロロプレン系ゴム・ブチル系ゴム・シリコン系ゴム・クロロスルフォン化ポリエチレンゴム・フッ素系ゴム・エチレン・プロピレン系ゴム・ウレタン系ゴム等が使用できる。
【0045】
エラストマー材は、ポリウレタン系・オレフィン系・スチレン系・ポリエステル系・ポリアミド系・フッ素系・シンジオタクチック1・2PB系エラストマー・塩素系エチレンコポリマー架橋ポリマーアロイ・塩素化ポリエチレン・エステル・ハロゲン系ポリマーアロイ型エラストマー等が使用できる。
【0046】
このような柔軟性のあるシート21が設けられていることにより、身体へのフィット性が向上するため、熱をより効率的に伝えることが可能となる。シートの比熱の高いものである場合、蓄熱性を向上させることができる。一方、シートの熱伝導性の高いものである場合、発熱体からの熱を、スムーズに身体の一部に伝えることができるという利点がある
【0047】
または、カイロ1の正面及び側面全体を覆うように、断熱材23(発泡ポリエチレン等のポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系等の発泡材であって、空気綱を内包した材料)が設けられていることが好ましい。これにより、カイロ1からの熱がシート23を伝って外部に逃げにくくなるため、熱のロスを抑え、発熱体からの熱を有効に利用することが可能となる。
【0048】
次に、膝に装着する固定部材を備えた充電式膝当てカイロの例を説明する。
図3は、膝に装着する固定部材を備えた図1の充電式膝当てカイロの一例を示す正面図である。
この例の充電式膝当てカイロ1には、ケース10の左右各々の縁の上下2ヶ所に、ベルト(固定部材)31が固定されている。ベルト31としては、伸縮性のあるゴムバンドなどを使用できる。一方の縁のベルト31の端部の裏面には、面ファスナー32の凸片32aが固定されている。もう一方の縁のベルト31の端部の正面には、面ファスナー32の凹片32bが固定されている。
【0049】
なお、面ファスナー32の他にも、粘着材、粘着テープ、ファスナー、ホック等を利用することもできる。粘着材としては、アクリル系やSEBS系・SBS系・SIS系等と石油系樹脂を含むもの等を利用することができる。面ファスナーは、ナイロン樹脂系・ポリエステル樹脂系・PP樹脂系等のポリオレフィン系樹脂等を利用することができる。
【0050】
この膝当てカイロ1を装着する際は、ケース10の裏面を膝側として、前述のように、ケース10の上縁10aを膝蓋骨部の下部に沿わせて当てる。そして、各ベルト31を膝の周囲に巻いて、ベルト端部同士を面ファスナー32で固定する。
【0051】
図4は、本発明の他の実施の形態に係る充電式膝当てカイロを示す図であり、図4(A)は裏面図、図1(B)は横断面図である。
図5は、図4の膝当てカイロを膝に当てた状態を示す正面図である。
この膝当てカイロ1´は、図1の膝当てカイロ1と異なり、膝の上側に当てられるものである。このため、ケース10は、図1の膝当てカイロ1のケースと同様に、裏側(内側)の面が縦方向に凹んだ、鞍状の中空のものであるが、下縁10aが下方に円弧状に湾曲している。なお、図1の膝当てカイロ1と同じ部材には図1と同じ符号を付し、説明を省略する。
【0052】
このカイロ1´を膝に当てる際は、図5に示すように、ケース10の裏面を膝に向けて、湾曲した下縁10aを膝蓋骨Pの上部に沿わせて当てる。すると、膝蓋骨Pの上側の部分に伝熱板14が当り、同部分を暖める。なお、膝の上側の部分は皮膚が厚いので、大腿骨の部分に伝熱板14が設けられていても問題はない。図5は、図1の膝当てカイロ1を膝の下方に、図4の膝当てカイロ1´を膝の上方に当てた状態を示している。このように、2個のカイロを使用することにより、膝の、膝蓋骨Pや脛骨T以外の部分を良好に暖めることができ、膝痛の緩和を期待できる。
【0053】
図6は、本発明の実施の形態に係る膝用サポーターを説明する図であり、図6(A)は正面図、図6(B)は裏面図である。
膝用サポーター40は、膝に当てられる当て布41と、同当て布41に設けられた、発熱体を収納するポケット43と、当て布41を膝に固定するためのベルト(固定手段)45と、備える。
【0054】
当て布41は、図に示すように縦長の長方形で、中心に楕円形状の穴41aが開けられている。図6(B)に示すように、当て布41の裏面(内側の面)の穴41aの上部と下部には、発熱体収容ポケット43が形成されている。上発熱体ポケット43の下縁は、穴41aを囲むように円弧状に切り欠かれており、下発熱体ポケット43の上縁も、穴41aを囲むように円弧状に切りかかれている。当て布41が膝に当てられると、穴41a及びその周辺の、発熱体ポケット43が形成されていない部分には、膝蓋骨部の凸が当たる。
【0055】
発熱体ポケット43には、例えば、使い捨てカイロなどの発熱体が収容される。使い捨てカイロの他に、冷却材を使用することもできる。
【0056】
当て布41の左右の各々の縁からは、上下のベルト45が横方向に延び出ている。ベルト45は、伸縮性のあるゴムバンドなどである。この例では、図に示すように、各ベルト45は、縦方向において段違いに位置している。各ベルト45の先端の裏側の面には、面ファスナー46の凸片(又は凹片)46aが取付けられている。一方、当て布41の表側の面には、面ファスナー46の凹片(又は凸片)46bが取付けられている。
【0057】
この膝用サポーター40を使用する際は、発熱体を各ポケット43に収容し、当て布41の裏面を膝に当てる。そして、ベルト45で膝を巻き、面ファスナー46でベルト端部を固定する。
【0058】
図7は、図6の膝用サポーターの変形例であり、図7(A)は正面図、図7(B)は裏面図である。
この例の膝用サポーター40´は、図6の膝用サポーター40とほぼ同様の構造を有するが、上下のベルト45の幅が広く、当て布45の左右の縁の同じ高さの位置から横方向に延び出ている。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る充電式膝当てカイロを示す図であり、図1(A)は裏面図、図1(B)は図1のB−B切断面における横断面図、図1(C)は図1のC−C切断面における横断面図、図1(D)は図1のD−D切断面における縦断面図である。
【図2】図1の膝当てカイロを膝に当てた状態を示す正面図である。
【図3】膝に装着する固定部材を備えた図1の充電式膝当てカイロの一例を示す正面図である。
【図4】本発明の他の実施の形態に係る充電式膝当てカイロを示す図であり、図4(A)は裏面図、図4(B)は横断面図である。
【図5】図4の膝当てカイロを膝に当てた状態を示す正面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る膝用サポーターを説明する図であり、図6(A)は正面図、図6(B)は裏面図である。
【図7】図6の膝用サポーターの変形例であり、図7(A)は正面図、図7(B)は裏面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 充電式膝当てカイロ 10 ケース
11 凹部 12 周辺部
14 伝熱板 15 発熱部材
16 電池 17 回路基板
19 温度センサ 21 弾性シート
23 断熱材 31 伸縮ベルト
32 面ファスナー
40 膝用サポーター 41 当て布
43 ポケット 45 伸縮ベルト
46 面ファスナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間の膝に当てられるケースと、
該ケースに配設された発熱体と、
該発熱体に給電する、前記ケース内に収納された繰り返し充電可能な電池と、
前記発熱体の温度を制御する温度調整手段と、
を備える充電式膝当てカイロであって、
前記ケースの上縁が、膝蓋骨の周囲に当てられるのに適する下方に湾曲した形状を有し、
前記ケースの裏面に、脛骨の突起を収容する凹部が形成されていて、前記発熱体が該凹部以外の面に配設されていることを特徴とする充電式膝当てカイロ。
【請求項2】
前記ケースが、縦方向に延びる一つ以上の連結部で折り曲げ可能なことを特徴とする請求項1記載の充電式膝当てカイロ。
【請求項3】
前記ケースを膝に固定するための固定手段が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の充電式膝当てカイロ。
【請求項4】
前記温度調整手段は、
前記発熱体の温度を比較的高い第1の温度にある時間維持し、その後、前記第1の温度よりもやや低い第2の温度に維持する温度制御を行うことを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の充電式膝当てカイロ。
【請求項5】
前記発熱体の温度を、前記第2の温度をある時間維持した後、前記第1の温度か、又は、前記第2の温度よりやや高い第3の温度とすることを特徴とする、請求項4に記載の充電式膝当てカイロ。
【請求項6】
充電式カイロのON/OFFを切り替えるスイッチを更に備え、
該スイッチがONとされた時点を基準として、前記温度制御が行われることを特徴とする、請求項4又は5に記載の充電式膝当てカイロ。
【請求項7】
前記温度調整手段が時計機能を有しており、
該時計機能の時刻を基準として、前記温度制御が行われることを特徴とする、請求項4又は5に記載の充電式膝当てカイロ。
【請求項8】
前記発熱体の表面に、柔軟性を有する高比熱材のシートが設けられていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の充電式膝当てカイロ。
【請求項9】
前記発熱体の表面に、柔軟性を有する高熱伝導材のシートが設けられていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の充電式膝当てカイロ。
【請求項10】
前記発熱体の裏面側に断熱材が設けられていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の充電式膝当てカイロ。
【請求項11】
前記発熱体としてペルチェ素子を使用することを特徴とする請求項1〜10いずれか1項に記載の充電式膝当てカイロ。
【請求項12】
人間の膝に当てられる当て布と、
該当て布に設けられた、発熱体を収納するポケットと、
前記当て布を膝に固定するための固定手段と、
を備える膝用サポーターであって、
前記ポケットが、膝蓋骨の凸部が当る部分以外の部分に設けられていることを特徴とする膝用サポーター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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