説明

充電装置

【課題】簡単かつ小型で低コストな充電装置を提供することを課題とする。
【解決手段】スイッチング素子12のオンに同期してシャント抵抗13の両端の電圧を入力し、入力したシャント抵抗13の両端の電圧に基づいて、スイッチング素子12がオンしているオン時間を設定し、二次電池11の充電電流を制御する充電コントローラ14を備え、シャント抵抗13の抵抗値は、充電コントローラ14が入力したアナログ電圧をデジタル電圧に変換する際のA/D変換電圧の最少分解能を二次電池11の充電電流の検出可能な最小値で除した値以上となるように設定されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池に入出力する電流を検出し、検出した電流に基づいて二次電池の充電を制御する充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術としては、例えば以下に示す文献に記載されたものが知られている(特許文献1参照)。この文献1に記載された技術では、二次電池の負極とグランド(接地電位)との間に挿入されたシャント抵抗の両端に発生する電圧をオペアンプで増幅した後マイコンに入力し、二次電池に入出力される電流を検出している。
【0003】
シャント抵抗を二次電池の負極側に接続した場合には、シャント抵抗と二次電池との接続点の電位は、二次電池に流れる電流の方向に応じて正電位もしくは負電位となる。すなわち、二次電池が充電される際には正電位となる一方、二次電池が放電する際には負電位となる。
【0004】
このように、シャント抵抗と二次電池との接続点の電位、すなわちオペアンプに入力される電位は、二次電池に流れる電流方向に応じて正負逆電位となるので、この電位を正確に読み取るためには、電位の正負を反転したりオフセットしたりするオペアンプが必要になっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−285826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、二次電池の負極側に接続されたシャント抵抗の両端の電圧に基づいて二次電池を流れる電流を検出する従来の技術においては、オペアンプが必要になっていた。このため、回路の構成が大型化する上に、コストの上昇を招いていた。
【0007】
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単かつ小型で低コストな充電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、充電装置に着脱自在に接続される充電アダプターを介して外部からの給電により二次電池を充電する充電装置において、充電アダプターを介した外部からの給電を受けて、スイッチング信号に基づいてオン/オフされて、二次電池に充電電流を供給するスイッチング素子と、スイッチング素子と二次電池の正極との間に接続され、二次電池に流れる電流を検出するシャント抵抗と、スイッチング素子のオンに同期してシャント抵抗の両端の電圧を入力し、入力したシャント抵抗の両端の電圧に基づいて、スイッチング素子がオンしているオン時間を設定し、二次電池の充電電流を制御する充電コントローラとを備え、シャント抵抗の抵抗値は、充電コントローラが入力したアナログ電圧をデジタル電圧に変換する際のA/D変換電圧の最少分解能を二次電池の充電電流の検出可能な最小値で除した値以上となるように設定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、二次電池の正極側にシャント抵抗が接続され、シャント抵抗の抵抗値は充電コントローラのA/D変換電圧の最少分解能を二次電池の充電電流の検出可能な最小値で除した値以上に設定されている。これにより、シャント抵抗で得られた電圧を増幅などの処理を施すことなく充電電流を検出することが可能となり、充電動作を的確に制御することが可能となす。この結果、簡単かつ小型で低コストな充電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態1に係る充電装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る、シャント抵抗の両端の電圧とスイッチング信号の変化を示すタイミングチャートである。
【図3】本発明の実施形態2に係る、シャント抵抗の両端の電圧とスイッチング信号の変化を示すタイミングチャートである。
【図4】本発明の実施形態3に係る、シャント抵抗の両端の電圧とスイッチング信号の変化を示すタイミングチャートである。
【図5】本発明の実施形態4に係る、シャント抵抗の両端の電圧とスイッチング信号の変化を示すタイミングチャートである。
【図6】本発明の実施形態5に係る、シャント抵抗の両端の電圧とスイッチング信号の変化を示すタイミングチャートである。
【図7】本発明の実施形態6に係る、シャント抵抗の両端の電圧とスイッチング信号の変化を示すタイミングチャートである。
【図8】本発明の実施形態7に係る、ACアダプターの種類による出力電圧波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明を実施するための実施形態を説明する。
【0012】
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1に係る充電装置の構成を示す図である。図1に示す実施形態1の充電装置は、二次電池11、スイッチング素子12、シャント抵抗13ならびに充電コントローラ14を備えて構成されている。この充電装置は、例えば電気かみそり、電動バリカン、脱毛器、電動歯ブラシなど充電式電気機器に組み込まれて機能することができる。
【0013】
二次電池11は、例えばニッケル水素電池やニカド電池(ニッケル・カドミウム電池)などの電池で構成される。二次電池11は、アダプター接続端子15に着脱自在に接続可能なACアダプター16を介して100V〜240V程度の交流の商用電源から供給される交流電力を直流に変換して得られた直流電力によって充電される。
【0014】
スイッチング素子12は、アダプター接続端子15の一方とシャント抵抗13との間に接続され、例えばトランジスタなどで構成される。スイッチング素子12は、ACアダプター16を介して与えられる直流電力を受けて、スイッチング信号に基づいてオン/オフ制御されることで二次電池11に供給される充電電流を制御調整する。
【0015】
シャント抵抗13は、スイッチング素子12と二次電池11の正極(+極)側との間に接続されている、シャント抵抗13は、両端の電圧V0,V1に基づいて二次電池11に流れる電流、すなわち二次電池11に供給される充電電流、もしくは二次電池11から放電される放電電流を検出する。シャント抵抗13は、例えば数m〜数百mΩ程度の低抵抗で構成されるが、後述するA/D変換の分解能との関係でその抵抗値が設定される。
【0016】
充電コントローラ14は、本充電装置の動作を制御する制御中枢として機能し、プログラムに基づいて各種動作処理を制御するコンピュータに必要な、CPUや記憶装置等のハードウェア資源を備えた例えばマイクロコンピュータ等により実現される。したがって、充電コントローラ14を構成するマイクロコンピュータのCPUで処理プログラムが実行されることによって、二次電池11の充電動作が制御される。充電コントローラ14は、二次電池11の負極(−極)が接続された共通のグランド(接地電位)に接続されている。
【0017】
充電コントローラ14は、スイッチング素子12にスイッチング信号を与え、このスイッチング信号に基づいてスイッチング素子12をオン/オフ制御する。このオン/オフ制御において、スイッチング信号のデューティ比、すなわちスイッチング信号の1周期あたりのオン時間を可変制御することで充電電流が増減制御される。これにより、充電コントローラ14は、例えば二次電池11の電池電圧に応じた所望の充電電流を二次電池11に供給して、二次電池11を充電制御する。
【0018】
充電コントローラ14は、シャント抵抗13の両端に発生した電圧V0,V1を入力し、スイッチング信号のデューティ比、すなわちスイッチング素子12がオンしているオン時間を決定する。なお、充電コントローラ14に入力される電圧V0,V1が充電コントローラ14の電源電圧を超えるような場合には、例えば抵抗により分圧することで降圧した後充電コントローラ14入力するものとする。充電コントローラ14は、このようなスイッチング信号によりスイッチング素子12をオン/オフ制御しながら二次電池11に充電電流を供給制御して二次電池11が満充電に至るまで充電する。
【0019】
二次電池11が満充電されたことを判定する方法としては、従来から様々な手法が知られている。例えばスイッチング素子12のオン/オフ制御におけるスイッチング信号の1周期分の電流を算出してそれを積算することで現在の電池容量を算出する手法や、二次電池11の電池電圧の絶対値に基づいて判定する方法、充電時の電池電圧が−△V降下したことを検出して判定する方法、あるいはこれらの組み合わせによる方法などが挙げられる。
【0020】
シャント抵抗13の抵抗値は、以下のようにして決定される。
【0021】
充電コントローラ14の電源電圧をVDD(V)として、充電コントローラ14が備えている、入力したアナログ信号を内部処理する際のデジタル信号に変換するA/D変換機能の分解能を例えばNビットする。このような場合に、A/D変換で検出できる最小の電圧値、すなわちA/D変換電圧の最少分解能(LSB)は、次式(1)で表される。
【0022】
(数1)
最少分解能(LSB)=VDD/2(V) …(1)
したがって、1LSBはVDD/2(V)となる。
【0023】
次に、検出しようとする充電電流の最小値(充電電流の最少分解能)をImin(A)に設定すると、シャント抵抗13の抵抗値Rとの関係は次式(2)で表される。
【0024】
(数2)
Imin×R≧VDD/2 …(2)
したがって、シャント抵抗13の抵抗値Rは、次式(3)で表される。
【0025】
(数3)
R≧(VDD/2)/Imin …(3)
このように、シャント抵抗13の抵抗値は、(A/D変換電圧の最少分解能)/(充電電流の検出可能な最小値)以上となるように設定される。
【0026】
例えば、充電コントローラ14の電源電圧VDDが3V程度で、A/D変換の分解能が10ビットとすると、A/D変換電圧の最少分解能(LSB)は、2.9mV程度となる。そして、充電電流の検出可能な最小電流値を10mA程度とすると、シャント抵抗13の抵抗値Rは290mΩ程度に設定される。
【0027】
このように、充電電流の検出可能な最小電流値を一定とした場合に、充電コントローラ14のA/D変換の分解能が高くなる程、シャント抵抗13の抵抗値Rを小さくすることが可能となる。
【0028】
図2はスイッチング素子12がオンした後のシャント抵抗13の両端の電圧V0,V1とスイッチング信号のオン時間との関係を示すタイミングチャートである。
【0029】
シャント抵抗13の両端の電圧V0,V1は、図2に示すように、スイッチング素子12がオンすると、ACアダプター16の容量成分とシャント抵抗13とによる過渡現象により突出電圧が発生し、その後徐々に一定の電圧に遷移する。このような電圧変化に対して、スイッチング素子12がオンした直後のシャント抵抗13の両端の電圧V0(t),V1(t)を充電コントローラ14に入力する。充電コントローラ14は、入力した電圧とシャント抵抗13の抵抗値Rとにより二次電池11の充電電流を算出することができる。充電コントローラ14は、このようにして検出された充電電流に基づいて、図2に示すようにスイッチング信号の1周期におけるオン時間(ton)を設定し、二次電池11に供給される充電電流を調整制御して二次電池11の充電を制御する。シャント抵抗13の両端の電圧V0(t),V1(t)とスイッチング信号のオン時間との関係は、例えば実機による実験により取得して定めることができる。このようにして定められた両者の関係は、例えばテーブルデータとして充電コントローラ14の記憶装置に記憶されて予め用意され、このテーブルデータを参照することでスイッチング信号のオン時間が逐次設定される。あるいは、上記両者の関係を演算式として表し、この演算式に基づいてスイッチング信号のオン時間を算出して設定することも可能である。
【0030】
このように、上記実施形態1においては、二次電池11の充電電流もしくは放電電流を検出するシャント抵抗13を二次電池11の正極側に接続してシャント抵抗13の両端の電圧V0,V1を検出する構成を採用している。このような構成を採用することで、シャント抵抗13の両端の電圧V0,V1は、電流の向きにかかわらず正電位となる。このため、シャント抵抗13で発生する電位の正負を反転したりオフセットを施すためのオペアンプなどの構成が不要となる。
【0031】
また、シャント抵抗13の両端の電圧V0,V1を検出することで、周囲温度の変化による二次電池11の内部抵抗や電池電圧などの変動の影響を排除することが可能となる。このため、二次電池11を流れる電流を精度よく検出することができる。
【0032】
さらに、二次電池11の充電電流を検出する際に、A/D変換時の最少分解能以上の電圧が充電コントローラ14に入力されるようにシャント抵抗13の抵抗値を設定している。このような構成を採用することで、シャント抵抗13で発生する電圧を増幅することなく充電コントローラ14に入力することが可能となる。これにより、電圧を増幅するオペアンプなどの構成が不要となる。
【0033】
したがって、従来に比べて、構成が簡略化されるとともに小型化することができ、コストの低減を図ることができる。また、オペアンプなどの増幅回路は、個々のばらつきが大きいため、個々の機器毎にばらつきを補正するのが一般的であり、検出精度の低下を招くおそれがあった。しかし、この実施形態1では、オペアンプなどの増幅回路が不要となるため、二次電池11に流れる電流を精度よく検出することが可能となる。このため、二次電池11の種類やACアダプター16の種類によって充電電流がそれぞれ異なった場合であって、充電電流を精度よく検出することができる。したがって、様々な種類の二次電池11やACアダプター16であっても、二次電池11の充電動作を的確に制御することが可能となる。
【0034】
(実施形態2)
図3は本発明の実施形態2に係る、スイッチング素子12がオンした後のシャント抵抗13の両端の電圧V0,V1とスイッチング信号のオン時間との関係を示すタイミングチャートである。なお、実施形態2の構成は、先の実施形態1と同様である。
【0035】
この実施形態2では、図3のタイミングチャートに示すように、スイッチング素子12がオンした後のシャント抵抗13の両端の電圧V0,V1におけるピーク電圧V0peak,V1peakを充電コントローラ14に入力する。充電コントローラ14は、入力したピーク電圧V0peak,V1peakとシャント抵抗13の抵抗値Rとにより二次電池11の充電電流を算出することができる。充電コントローラ14は、このようにして検出された充電電流に基づいて、図3に示すようにスイッチング信号の1周期におけるオン時間(ton)を逐次設定し、二次電池11に供給される充電電流を調整制御して二次電池11の充電を制御する。
【0036】
シャント抵抗13の両端のピーク電圧V0peak,V1peakとスイッチング信号のオン時間との関係は、例えば実機による実験により取得して定めることができる。このようにして定められた両者の関係は、例えばテーブルデータとして充電コントローラ14の記憶装置に記憶されて予め用意され、このテーブルデータを参照することでスイッチング信号のオン時間が逐次設定される。あるいは、上記両者の関係を演算式として表し、この演算式に基づいてスイッチング信号のオン時間を算出して設定することも可能である。
【0037】
このように、上記実施形態2においては、先の実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0038】
(実施形態3)
図3は本発明の実施形態3に係る、スイッチング素子12がオンした後のシャント抵抗13の両端の電圧V0,V1とスイッチング信号のオン時間との関係を示すタイミングチャートである。なお、実施形態3の構成は、先の実施形態1と同様である。
【0039】
この実施形態3では、図4のタイミングチャートに示すように、充電コントローラ14は、スイッチング素子12がオンした後のシャント抵抗13の両端の電圧V0,V1におけるピーク電圧V0peak,V1peak、を入力する。充電コントローラ14は、さらにピーク電圧発生以後の予め設定された所定時間(t1)後の電圧V0(t1),V1(t1)を入力する。充電コントローラ14は、入力したピーク電圧V0peak,V1peakならびに電圧V0(t1),V1(t1)とシャント抵抗13の抵抗値Rとにより二次電池11の充電電流を算出することができる。充電コントローラ14は、このようにして検出された充電電流に基づいて、図3に示すようにスイッチング信号の1周期におけるオン時間(ton)を1周期毎に設定し、二次電池11に供給される充電電流を調整制御して二次電池11の充電を制御する。
【0040】
シャント抵抗13の両端のピーク電圧V0peak,V1peakならびに電圧V0(t1),V1(t1)とスイッチング信号のオン時間との関係は、例えば実機による実験により取得して定めることができる。このようにして定められた両者の関係は、例えばテーブルデータとして充電コントローラ14の記憶装置に記憶されて予め用意され、このテーブルデータを参照することでスイッチング信号のオン時間が設定される。あるいは、上記両者の関係を演算式として表し、この演算式に基づいてスイッチング信号のオン時間を算出して設定することも可能である。
【0041】
このように、上記実施形態3においては、先の実施形態1,2と同様の効果を得ることができる。さらに加えて、スイッチング素子12がオンした後所定の時間(t1)後のシャント抵抗13の両端の電圧V0(t1),V1(t1)を考慮して充電電流を検出しているので、ACアダプター16が同種であってもそのばらつきを吸収して、充電電流の検出精度を高めることができる。これにより、二次電池11の充電動作を精度よく制御することができる。
【0042】
(実施形態4)
図5は本発明の実施形態4に係る、スイッチング素子12がオンした後のシャント抵抗13の両端の電圧V0,V1とスイッチング信号のオン時間との関係を示すタイミングチャートである。なお、実施形態4の構成は、先の実施形態1と同様である。
【0043】
この実施形態4では、図5のタイミングチャートに示すように、スイッチング素子12がオンした後のシャント抵抗13の両端の電圧V0,V1を連続して監視して充電コントローラ14に入力する。充電コントローラ14は、入力した電圧V0,V1の電圧差(V1(t)−V0(t))が予め設定された第1の閾値以下に達したときにスイッチング信号がオフされるように、スイッチング信号の1周期におけるオン時間(ton)を設定する。このように、充電コントローラ14は、スイッチング信号のオン時間を1周期毎に設定することで、二次電池11に供給される充電電流を調整制御して二次電池11の充電を制御する。なお、第1の閾値は、実機による実験により定めることができる。
【0044】
このように、上記実施形態4においては、先の実施形態1と同様の効果を得ることができる。さらに加えて、シャント抵抗13の両端の電圧が第1の閾値以下になることでスイッチング信号の1周期におけるオン時間を設定することで、充電電流の検出精度を高めることができる。これにより、二次電池11の充電動作を精度よく制御することができる。
【0045】
(実施形態5)
図6は本発明の実施形態5に係る、スイッチング素子12がオンした後のシャント抵抗13の両端の電圧V0,V1とスイッチング信号のオン時間との関係を示すタイミングチャートである。なお、実施形態5の構成は、先の実施形態1と同様である。
【0046】
この実施形態5では、図6のタイミングチャートに示すように、スイッチング素子12がオンした後のシャント抵抗13の両端の電圧V0,V1を連続して監視して充電コントローラ14に入力する。充電コントローラ14は、入力した電圧V0,V1の電圧差(V1−V0)の積算値とシャント抵抗13の抵抗値Rとによりスイッチング素子12がオンした後に二次電池11に供給された総充電電流量を算出することが可能となる。したがって、電圧差(V1−V0)の積算値が予め設定された第2の閾値を超えたときにスイッチング信号がオフされるように、スイッチング信号の1周期におけるオン時間(ton)を逐次設定する。このように、充電コントローラ14は、スイッチング信号のオン時間を逐次設定することで、二次電池11に供給される充電電流を調整制御して二次電池11の充電を制御する。なお、第2の閾値は、実機による実験により定めることができる。
【0047】
このように、上記実施形態5においては、先の実施形態1と同様の効果を得ることができる。さらに加えて、シャント抵抗13の両端の電圧差の積算値が予め設定された第2の閾値を超えたことに基づいてスイッチング信号の1周期におけるオン時間を設定することで、充電電流の検出精度を高めることができる。これにより、二次電池11の充電動作を精度よく制御することができる。
【0048】
(実施形態6)
図7は本発明の実施形態6に係る、スイッチング素子12がオンした後のシャント抵抗13の一方端の電圧V1とスイッチング信号を示すタイミングチャートである。なお、実施形態6の構成は、先の実施形態1と同様である。
【0049】
この実施形態6では、図7のタイミングチャートに示すように、スイッチング素子12がオンした後のシャント抵抗13の一方端のピーク電圧V1peakをスイッチング素子12充電コントローラ14に入力する。充電コントローラ14は、入力したピーク電圧
V1peakと予め設定された上限電圧ならびに下限電圧とを比較する。充電コントローラ14は、比較の結果、ピーク電圧V1peakが上記上限電圧を上回った場合、あるいは上記下限電圧を下回った場合には、本充電装置に対応した正規なACアダプター16ではなく、不適当なACアダプター16がアダプター接続端子15に接続されたものと推定する。このような場合には、安全上の観点から、スイッチング素子12をオフして充電動作を停止する。なお、上記上限電圧ならびに下限電圧は、実機による実験により取得して定めることができる。
【0050】
このように、この実施形態6は、不適当なACアダプター16が本充電装置に接続されたことを検出ことが可能となる。これにより、充電装置の異常発熱などによる発火や発煙を防止して、安全性を確保し、損傷などを回避することができる。なお、この実施形態6は、上記実施形態1〜5と組み合わせて実施することができる。
【0051】
(実施形態7)
図8は本発明の実施形態7に係る、ACアダプターの種類による出力電圧波形を示す図であり、同図(a)は電源トランス式のACアダプターの出力電圧波形であり、同図(b)はスイッチング式のACアダプターの出力電圧波形である。なお、実施形態7の構成は、先の実施形態1と同様である。
【0052】
この実施形態7では、スイッチング素子12がオンした直後のシャント抵抗13の両端の電圧V0,V1をスイッチング信号の数周期分充電コントローラ14で観測する。充電コントローラ14は、観測の結果に基づいて、ACアダプター16の種類、すなわち電源トランス式かもしくはスイッチング式かを判定する。
【0053】
ACアダプター16が電源トランス式(全波整流)の場合には、商用交流電源の電源周波数の60Hzもしくは50Hzの周期で図8(a)に示すように電圧が大きく変動する。このため、シャント抵抗13の両端の電位差(V1−V0)は、スイッチング素子12がオンするタイミングによってばらつきが大きくなる。これに対して、ACアダプター16がスイッチング式(スイッチング整流)の場合には、図8(b)に示すように出力電圧は電源トランス式に比べて安定している。このため、シャント抵抗13の両端の電位差(V1−V0)は、スイッチング素子12がオンするタイミングによるばらつきが電源トランス式に比べて小さくなる。
【0054】
このような特性を利用して、充電コントローラ14は、ACアダプター16の種類を判定している。例えば電源トランス式とスイッチング式との電位差(V1−V0)のばらつきを実機により予め取得し、その取得したばらつきに基づいてばらつきの大小を判定する判定値を設ける。この判定値とシャント抵抗13の両端の電位差(V1−V0)とを比較することで、シャント抵抗13の両端の電位差(V1−V0)のばらつきを判断することができる。
【0055】
ACアダプター16の種類が判別されると、判別されたACアダプターの種類に応じて、スイッチング信号のオン時間を変えるようにしている。すなわち、先の実施形態1〜3で使用するテーブルデータを電源トランス式のものとスイッチング式のものとの2種類用意し、ACアダプターの種類に応じて使い分ける。一方、先の実施形態4〜6では、それぞれの閾値を電源トランス式のものとスイッチング式のものとの2種類用意し、ACアダプターの種類に応じて使い分ける。
【0056】
このように、この実施形態7では、ACアダプター16の種類に応じてスイッチング信号のオン時間を変えることで、ACアダプター16の特性に応じて二次電池11の充電電流を最適に制御することが可能となる。これにより、二次電池11の充電動作を精度よく制御することができる。なお、この実施形態7は、上記実施形態1〜6と組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0057】
11…二次電池
12…スイッチング素子
13…シャント抵抗
14…充電コントローラ
15…アダプター接続端子
16…ACアダプター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電装置に着脱自在に接続される充電アダプターを介した外部からの給電により二次電池を充電する充電装置において、
前記充電アダプターを介した外部からの給電を受けて、スイッチング信号に基づいてオン/オフされて、前記二次電池に充電電流を供給するスイッチング素子と、
前記スイッチング素子と前記二次電池の正極との間に接続され、前記二次電池に流れる電流を検出するシャント抵抗と、
前記スイッチング素子のオンに同期して前記シャント抵抗の両端の電圧を入力し、入力した前記シャント抵抗の両端の電圧に基づいて、前記スイッチング素子がオンしているオン時間を設定し、前記二次電池の充電電流を制御する充電コントローラとを備え、
前記シャント抵抗の抵抗値は、前記充電コントローラが入力したアナログ電圧をデジタル電圧に変換する際のA/D変換電圧の最少分解能を前記二次電池の充電電流の検出可能な最小値で除した値以上となるように設定される
ことを特徴とする充電装置。
【請求項2】
前記充電コントローラは、前記スイッチング素子がオンした後の前記シャント抵抗の両端のピーク電圧に基づいて、前記スイッチング素子がオンしているオン時間を設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の充電装置。
【請求項3】
前記充電コントローラは、前記スイッチング素子がオンした後の前記シャント抵抗の両端のピーク電圧、ならびにピーク電圧発生以後であって前記スイッチング素子がオンした後の所定時間後の前記シャント抵抗の両端の電圧に基づいて、前記スイッチング素子がオンしているオン時間を設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の充電装置。
【請求項4】
前記充電コントローラは、前記スイッチング素子がオンした後の前記シャント抵抗の両端の電圧差が予め設定された一定値以下になったときに前記スイッチング素子をオフし、前記スイッチング素子がオンしているオン時間を設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の充電装置。
【請求項5】
前記充電コントローラは、前記スイッチング素子がオンした後の前記シャント抵抗の両端の電圧の積算値を算出し、算出した積算値に基づいて前記スイッチング素子がオンしているオン時間を設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の充電装置。
【請求項6】
前記充電コントローラは、前記スイッチング素子がオンした後の前記シャント抵抗の一方端の電圧と、予め設定された上限値ならびに下限値とを比較し、前記シャント抵抗の一方端の電圧が前記上限値以上もしくは前記下限値以下の場合には、前記スイッチング素子をオフして充電動作を停止する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の充電装置。
【請求項7】
前記充電コントローラは、前記スイッチング素子がオンした後の前記シャント抵抗の両端の電圧差をスイッチング信号の数周期分取得し、取得した前記シャント抵抗の両端の電圧差と予め設定された判定値との比較結果に基づいて前記シャント抵抗の両端の電圧差のばらつきの大小を判定し、前記シャント抵抗の両端の電圧差のばらつきの大小に基づいて前記充電アダプターの種類を判定する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−70476(P2012−70476A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210884(P2010−210884)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】