光アシスト型磁気ヘッド装置、光アシスト型磁気記録装置及び光アシスト磁気記録方法
【課題】光スポットの微小化と、記録磁界を発生する磁極と光スポットとの10nmオーダー程度の近接配置を実現する。
【解決手段】集光光学系4と、薄膜磁気ヘッド5とを有し、集光光学系4はSIL2を備える。薄膜磁気ヘッド5の主磁極21は、磁気記録媒体との相対的走行(矢印M)における流入端側の側面21Sが集光光学系4の光軸Cに沿い、且つ、側面21Sの中央部に光軸Cが配置される構成とする。集光光学系4により主磁極21の側面21Sの中央部に集光される光を直線偏光とし、その電場振動方向(矢印P)を磁気記録媒体との相対的走行方向に沿う配置とする。
【解決手段】集光光学系4と、薄膜磁気ヘッド5とを有し、集光光学系4はSIL2を備える。薄膜磁気ヘッド5の主磁極21は、磁気記録媒体との相対的走行(矢印M)における流入端側の側面21Sが集光光学系4の光軸Cに沿い、且つ、側面21Sの中央部に光軸Cが配置される構成とする。集光光学系4により主磁極21の側面21Sの中央部に集光される光を直線偏光とし、その電場振動方向(矢印P)を磁気記録媒体との相対的走行方向に沿う配置とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録領域に局部的な光照射を行って磁気記録を行う光アシスト型磁気ヘッド装置、光アシスト型磁気記録装置及び光アシスト磁気記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報記録媒体に対する高密度記録化の要求が高まっている。磁気記録媒体、例えば磁気テープ、磁気ディスク等に対する情報記録においても、超高密度記録化が要求されている。この場合、記録ピットの微小化のために垂直記録が採られ、また高い解像度を実現することや、磁性層の保磁力を高める開発が進められている。
現在、高い保持力を有する磁性体は開発されつつあるが、このように高い保磁力を有する材料より成る磁気記録媒体に対して記録を行うにあたり、十分に信号記録磁界を高めることは難しい。この問題を解決するため、光アシスト型磁気ヘッド装置が提案されている。この光アシスト型磁気ヘッド装置は、磁気記録媒体の記録部位を局部的に光照射によって昇温させ、記録領域の保磁力を一時的に低下させて磁気記録を行うものである。これにより、高保磁力の磁性層を有する磁気記録媒体に対して微小磁界スポットによって情報記録を行うことが可能となる。
【0003】
このような光アシスト型の磁気記録においては、高記録密度化、すなわち微小記録ビットを形成する上で、その光スポットの微小化が必要となる。通常の集光レンズにおいては、そのスポット径は使用光の波長とレンズの開口数(NA)によって決まるが、開口数に制約があり、スポット径の微細化に限界を来している。
これに対して、半球型もしくは超半球型のソリッドイマージョンレンズ(Solid Immersion Lens、固浸レンズ。以下SILと記す。)を対物レンズと記録媒体との間に介在させ、これにより対物レンズの開口数を高める手法が開発されている。半球型もしくは超半球型のSILを用いて近接場光によるスポットを形成する場合、スポット径の微細化が図られる。使用する光の波長に対するSILの屈折率をnとすると、半球型SILの場合はn倍、超半球型SIL(超SILとも呼ばれる)の場合でn2倍に有効開口数を高めることができ、すなわちスポットサイズはそれぞれ1/n、1/n2に微小化される。
【0004】
このようなスポットの微小化に着目し、半球型又は超半球型のSILを用いた光アシスト型磁気ヘッドも提案されている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に記載の光アシスト型磁気ヘッドは、対物レンズと半球型又は超半球型のSILとからなる2群集光レンズ系を有するもので、特にSILを球状のレンズ本体と光透過性基板とを接合一体化して形成される構成とする。そしてこの光透過性基板に薄膜磁気ヘッドが形成されて光アシスト型磁気ヘッドが構成される。
【特許文献1】特開2006−286119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した光アシスト型磁気ヘッド装置においては、光スポットの微小化と同時に、記録磁界を発生する磁極と、磁気記録媒体の表面を加熱する光スポットを10nmオーダー程度、すなわち100nm未満に近接させる必要がある。
従来の光アシスト型の磁気ヘッドとしては、光導波路を用いて光スポットを形成する方式が主に検討されてきたが、導波路において十分な光伝達効率を得るには、クラッド層の厚みを波長の数分の一程度、すなわち100nm程度以上確保する必要があり、磁極に対して光スポットをこれ以上近接して配置することは容易ではない。
【0006】
一方、上述の特許文献1に開示の発明などの半球型又は超半球型のSILを用いた光アシスト型磁気ヘッドにおいては、磁極と光スポットを近接配置することが可能である。また、レンズを用いる場合は3次元的に光を照射するので、光利用効率が高いという利点を有する。
しかしながらこのように光スポットを磁極に近接した場合、磁極による光の遮蔽が生じるという問題が生じる。このため、磁気記録媒体の表面において十分な記録磁界を発生し、且つ、十分な強度の光照射を実現する方法が求められている。
【0007】
以上の問題に鑑みて、本発明は、光スポットの微小化を図ると共に、記録磁界を発生する磁極と光スポットとを100nm未満に近接して配置することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明による光アシスト型磁気ヘッド装置は、集光光学系と、薄膜磁気ヘッドとを有し、集光光学系は、半球レンズ又は超半球レンズを備える構成とする。薄膜磁気ヘッドの主磁極を、磁気記録媒体との相対的走行における流入端側の側面が集光光学系の光軸に沿い、且つ、この側面の中央部に光軸が配置される構成とする。そして更に、集光光学系により主磁極の側面の中央部に集光される光を直線偏光とし、且つその電場振動方向を、磁気記録媒体との相対的走行方向に沿う配置として構成する。
【0009】
また、本発明による光アシスト型磁気記録装置は、上述の本発明による光アシスト型磁気記録装置を備える構成とする。すなわち、光源部と、磁気記録媒体配置部と、薄膜磁気ヘッドと、記録信号制御部と、光源部からの光を薄膜磁気ヘッドに導く集光光学系と、を具備する。集光光学系は、半球レンズ又は超半球レンズを備える構成とする。そして薄膜磁気ヘッドの主磁極は、磁気記録媒体との相対的走行における流入端側の側面が集光光学系の光軸に沿い、且つ、その側面の中央部に光軸が配置される。更に、集光光学系により主磁極の側面の中央部に集光される光を直線偏光とし、且つその電場振動方向が、磁気記録媒体との相対的走行方向に沿う配置とされる構成とする。
【0010】
また、本発明による光アシスト型磁気記録方法は、集光光学系の集光スポット位置に単磁極型の薄膜磁気ヘッドを配置し、この薄膜磁気ヘッドの主磁極が、磁気記録媒体との相対的走行における流入端側の側面を集光光学系の光軸に沿い、且つ、光軸を側面の中央部に配置する。集光光学系により、電場振動方向が前記磁場との相対的走行方向に沿う直線偏光の光を主磁極に入射して、この主磁極の光軸に沿う先端位置から近接場光を発生して、磁気記録媒体に記録を行う。
【0011】
上述したように、本発明の光アシスト型磁気ヘッド装置、光アシスト型磁気記録装置及び光アシスト磁気記録方法においては、薄膜磁気ヘッドの主磁極を、磁気記録媒体との相対的走行方向における流入端側の側面が集光光学系の光軸に沿い、且つ、側面の中央部に光軸が配置される構成とする。そして集光光学系により主磁極の側面の中央部に集光される光を直線偏光とし、且つその電場振動方向を、磁気記録媒体との相対的走行方向に沿う配置として磁気記録を行う構成とする。
このような構成とする場合、後述するように、薄膜磁気ヘッドの主磁極の流入端において、近接場光が発生し、十分高い光電場エネルギーが得られることが明らかになった。
したがって、この主磁極の流入端で発生する近接場光を用いて光アシスト磁気記録を行うことにより、光スポットの微小化と、磁極と光スポットとの10nmオーダーの近接配置とを実現できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光スポットの微小化を図り、且つ、記録磁界を発生する磁極と光スポットとを100nm未満に近接配置することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下本発明を実施するための最良の形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施の形態による光アシスト型磁気ヘッド装置の概略断面構成図である。本実施の形態における光アシスト型磁気ヘッド装置は、図1に示すように、集光光学系4と、薄膜磁気ヘッド5から構成される。集光光学系4は、対物レンズ3と、半球型又は超半球型のSIL2より構成される。薄膜磁気ヘッド5の主磁極21は、磁気記録媒体(図示せず)との相対的走行における流入端側の側面21Sが集光光学系4の光軸Cに沿うように配置される。図1においては、磁気記録媒体の走行方向を矢印Mとして示す。すなわち、主磁極21の流入端側の側面21Sは、図1において矢印Mの後端側(図1の紙面において左側)の側面となる。そして、図2に主磁極2の概略斜視構成図を示すように、この主磁極21の側面21Sの中央部に光軸Cが配置される構成とする。図2において、図1と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0014】
図1及び図2において、磁気記録媒体11の走行方向と平行な方向をX軸、光軸に沿う方向をZ軸、これらと直交する方向をY軸として示す。すなわちX方向が磁気記録媒体との相対的走行方向、つまり記録トラック長さ方向であり、Y方向は磁気記録媒体の記録トラック幅方向、Z方向はSILにおけるギャップ方向となる。本発明においては、光軸Cは、主磁極21の流入端側の側面21SのY方向の幅の中央に配置される。
【0015】
そして本実施の形態の光アシスト型磁気ヘッドにおいては、図1及び図2に示すように、集光光学系4により主磁極21の側面21Sの中央部に集光される光Liを直線偏光とする。更にその電場振動方向を、矢印Pで示すように、磁気記録媒体との相対的走行方向(矢印M)に沿う配置とする。すなわちこの場合、入射光Liの電場振動方向は、磁気記録媒体の記録トラック長さ方向と平行となるように集光光学系4及び薄膜磁気ヘッド5を配置構成する。
【0016】
図2において、二点鎖線で示す面Hは主磁極21の流入端側の側面21Sと同一の平面を仮想的に示すもので、矢印Fiで示す領域(面Hから主磁極21とは反対側)が流入端側、矢印Foで示す領域(面Hから主磁極21側)が流出端側となる。また、図2においては集光光学系4により集光される光LiによるスポットSを模式的に示す。
【0017】
図1及び図2に示す光アシスト型磁気ヘッドにおける集光光学系4のより具体的な構成例を図3の概略斜視構成図に示す。図3において、図1と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。上述したようにこの例においては、集光光学系4を、対物レンズ3と、近接場光記録で用いられる半球型又は超半球型のSIL2とより構成する。対物レンズ3とSIL2とによって、実効的な開口率が1.0を超える開口数を実現し、近接場光を発生させる光学系を構成することができる。
【0018】
単体の対物レンズでは、光の回折限界により集光スポット径はλ/NAobj程度にしか絞ることができない。ここでλは使用光の波長、NAobjは対物レンズの開口数である。これに対し、上述したように、半球型又は超半球型のSIL2を用いる集光光学系4においては、SIL2の底面(焦点面)において、スポット径を半球型のSILで1/n、超半球型のSILで1/n2に微小化することができる。ここでnは使用光の波長λにおけるSIL2の屈折率である。一般的に、SIL2の底面と磁気記録媒体との隙間(ギャップ)をλ/10以下に狭めることで、近接場光の結像作用により磁気記録媒体面上に、λ/NAobjのスポット径を更に、半球型SILで1/n、超半球型SILで1/n2に微小化することが可能になる。
【0019】
図3に示すように、この例においては、第1及び第2の光学ブロック6a及び6bと、球状部2Sとが接合されてSIL2が構成される。これら第1及び第2の光学ブロック6a及び6bと球状部2Sは共に、使用光の波長に対し光透過性を有し、且つ高屈折率を有する光学部材より構成し、望ましくは同一材料より構成する。
【0020】
このSIL2の製造方法の一例を説明する。例えば第1の光学ブロック6aの一端面をヘッド形成面6ahとし、このヘッド形成面6ah上に薄膜磁気ヘッド5を形成した後、第2の光学ブロック6bを光学接着剤による粘着、又は溶着により接合する。この光学接着剤としては、屈折率が例えば1.5以上の高屈折率材料であることが望ましく、第1及び第2の光学ブロック6a及び6bと同程度の屈折率であることがより望ましい。
【0021】
接合された第1及び第2の光学ブロック6a及び6bに対し、薄膜磁気ヘッド5の主磁極形成側の表面を平面研磨していわゆる主磁極21のデプス長を調整するデプス研磨を行い、更に、裏面も平面研磨して、所定の板厚に形成する。一方、別体のボールレンズを用意して、その一部を平面研磨して、光軸と略直交する平面を有する球状部2Sを形成する。この球状部2Sは上述したように、第1及び第2の光学ブロック6a及び6bと同一の材料より成ることが望ましい。そしてこの球状部2Sの平面を、第1及び第2の光学ブロック6a及び6bの接合面上に上述の光学接着剤により接着、溶着等により接合する。このとき第1の光学ブロック6aに形成した薄膜磁気ヘッド5の主磁極と、球状部2Sの光軸とが上述の図2において説明した配置となるように位置決めを行って接合する。
【0022】
以上説明した製造方法により図3に示すSIL2を得ることができる。このような構成とする場合、球状部2Sと、図3において破線で示すように、第1及び第2の光学ブロック6a及び6b内にその一部として含まれる球状部2Pとによって、半球状又は超半球状のSIL2が構成される。全体として半球状又は超半球状となるように、第1及び第2の光学ブロック6a及び6bの板厚と、球状部2Sの厚さとを選定する。球状部2Sの半径をrとすると、半球状のSILとする場合は全体の厚さをr、超半球状のSILとする場合は全体の厚さをr×(1+1/n)となるように構成する。すなわち、第1及び第2の光学ブロック6a及び6bの平面研磨後の板厚をTとすると、球状部2Sの厚さは最終的な厚さから厚さTだけ差し引いた厚さに形成する。
【0023】
このような構成によるSIL2の全体の厚さは、半球型SILの場合はr、超半球型SILの場合はr×(1+1/n)となり、光学的には、従来の半球型SIL又は超半球型SILと全く等価である。したがって、上部の対物レンズ3で集光された光は、合成されたSIL2の底面、すなわち第1及び第2のブロック6a及び6bの記録媒体側の面で焦点を結び、通常のSILとしての機能を有する。組立時に光学的調整を行うことにより、集光光学系4の光軸中心を主磁極が形成されている光学ブロック6aのヘッド形成面6ah上に位置決めすることが可能であり、この結果光スポットの中心は、主磁極端面に配置される。
【0024】
図4は、対物レンズ2と図3において説明したSIL2とをスペーサ9を介して組み合わせた集光光学系4の一例の、一部を切り欠いた概略斜視構成図である。図4において、図1〜3と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。図4に示すように、第1の光学ブロック6aのヘッド形成面6ah上に、薄膜磁気ヘッド5の端子導出部12及び電極13を形成してもよい。なお、第1及び第2の光学ブロック6a及び6bの大きさや形状は図3及び図4に示す例に限定されるものではなく、その他種々の形状とすることができる。
【0025】
図5は、薄膜磁気ヘッド5の一例の拡大断面構成図である。図5に示すように、この場合、垂直記録用単磁極ヘッド構造とする例を示し、薄膜磁気ヘッド5は磁界を発生するコイル導体23と、発生した磁界を記録部へ導出、印加するための主磁極21から構成される。図5には示していないが、副磁極が主磁極に接続され、磁気回路を構成している構造でもよい。なお、実際の記録に際しては、記録層、軟磁性層を有する磁気記録媒体と対向させ、軟磁性層は主磁極21、コイル導体23とともに、薄膜磁気ヘッド5における磁気回路を構成する。
【0026】
本例では、図5に示すように、第1の光学ブロック6aのヘッド形成面6ah上に、主磁極21が所定の長さをもって形成され、絶縁層22を介して下部コイル層23A、絶縁層24、主磁極21と接続されるヨーク25、絶縁層26、上部コイル層23Bが形成されて、光学接着剤27を介して第2の光学ブロック6bが接合された構成としている。
【0027】
薄膜磁気ヘッド5の一例の概略断面構成図及び平面構成図を図6A及びBに示す。図6A及びBにおいて、図5と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。図6Bに示すように、薄膜磁気ヘッド5のコイル導体23は、互いに逆向きの斜め方向に配列される下部コイル層23Aと上部コイル層23B及びこれらを接続する接続部23Cとより構成することができる。図6Bにおいては両端の下部コイル層23Aから端子導出部12が延在されるが、コイルの巻回数や各部の構成、また、各コイル層の形状等はこの限りではなく、種々の変形が可能であることはいうまでもない。図6Bにおいては、主磁極21のデプス長をld、磁気記録媒体との相対的走行方向と直交する方向の主磁極21及びヨーク25の幅をそれぞれwm、wyとして示す。
【0028】
図7は、本発明の実施の形態に係る光アシスト型磁気記録装置の概略構成図である。
本実施の形態の磁気記録装置100は、光源部、例えば波長400nmの半導体レーザ素子を有する光源部62と、本発明に係る光アシスト型磁気ヘッド装置10と、磁気記録媒体11、例えば磁気ディスクが配置されて回転駆動される磁気記録媒体11の配置部64と、光アシスト型磁気ヘッド装置10の薄膜磁気ヘッド素子5の磁気ヘッドコイルに記録信号を供給する記録信号電源部、すなわち記録信号回路65と、光源部62からのレーザ光を光アシスト型磁気ヘッド装置10に導入すると共に、磁気記録媒体11からの戻り光を検出する例えばフォトダイオードを有する光検出部66へと導入する光学系67とを有する。磁気記録媒体11は、例えばガラス等の基板15上に軟磁性層16、記録層17が順次積層されて構成される。
【0029】
光学系67は、後述する図9において詳細に説明するように、例えばコリメータレンズ(図示せず)とビームスプリッタ68等を有して成る。また、光検出部66によって検出された検出出力を演算し、光アシスト型磁気ヘッド装置10に対する所望のサーボ信号、例えばフォーカシング、トラッキング等の各サーボ信号を得て、これら制御を行う位置決め用の制御装置69を有する。また、光アシスト型磁気ヘッド装置10が、薄膜磁気記録ヘッド以外に、再生用薄膜磁気ヘッドを搭載する場合は、図示しないがヘッド素子は再生信号回路に接続され、磁気信号再生動作を行う。
【0030】
磁気記録媒体配置部64では、例えば磁気ディスクである磁気記録媒体11が載置された状態で、スピンドルモータ等の駆動部80によって矢印rで示すように回転駆動され、磁気記録媒体11が矢印Mで示すように回転される。制御装置69によって駆動される制御機構70は、例えば後述の図8において説明する浮上スライダや、2軸アクチュエータによって構成することができる。制御機構70には集光光学系4を有する本発明に係る光アシスト型磁気ヘッド装置10が搭載され、トラッキングサーボ信号及びギャップサーボ信号に基づき駆動して、集光光学系4をトラッキング方向に移動調整し、また光軸方向すなわちギャップ方向に移動調整する。
【0031】
本実施の形態の磁気記録装置100では、磁気記録媒体11が回転され、光源部62から所要の波長、例えば400nmのレーザ光が光学系67によって光アシスト型磁気ヘッド装置10の光軸に沿って導入され、この光アシスト型磁気ヘッド装置10による近接場光が、磁気記録媒体11上に照射される。光アシスト型磁気ヘッド装置10は、対物レンズ3と半球型又は超半球型のSIL2による2群レンズ構成の集光光学系4により、後述するように、特に主磁極と光軸との配置構成、また集光光学系4により入射させる光の電場振動方向を適切に選定することによって、スポット径を微小化し、且つスポット中心と主磁極とを100nm未満に近接配置できる。
【0032】
そして、このスポットが回転する磁気記録媒体11上に照射されると同時に、薄膜磁気ヘッド5の磁気ヘッドコイルに情報記録信号を供給することによって、薄膜磁気ヘッド5の主磁極の先端から記録信号磁界が磁気記録媒体11に印加されて信号の記録がなされる。
【0033】
図8は、本発明による光アシスト型磁気ヘッド装置10の、トラッキング及びギャップを調整する制御機構70を浮上スライダ構成とした場合の一部を断面とする側面図である。図8において、図1と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。この浮上型構成においては、サスペンション18の遊端に支持されたスライダ19に、光アシスト型磁気ヘッド装置10が搭載され、薄膜磁気ヘッド5と対向する磁気記録媒体11の移動もしくは回転によって浮上するスライダ19の浮上量によって光アシスト型磁気ヘッド装置10と磁気記録媒体11とのギャップが調整される。
【0034】
本発明による磁気記録装置100においては、このような磁気記録媒体11の移動もしくは回転によって浮上させる受動制御型の構成とする他、図7に示す制御装置69により2軸アクチュエータ等を制御して光アシスト型磁気ヘッド装置10のギャップ制御及びトラッキングを行ういわゆる能動制御型の構成とすることももちろん可能である。
【0035】
図9に、この場合の磁気記録装置100の一例の概略構成図を示す。この例においては、記録時の光アシスト用の光とギャップ検出用の光として、異なる波長の光を用いる場合の一例を示す。図9に示す用にこの場合、光源30と、その出射光路上にコリメートレンズ31、偏光ビームスプリッタ33、ビームエキスパンダー35及びダイクロイックプリズム45が配置される。ダイクロイックプリズム45は光源30からの光を反射するように構成されて、その反射光路上に集光光学系4が配置される。偏光ビームスプリッタ33の戻り光の反射光路上にレンズ38を介してフォトダイオード等の光検出部39が配置される。他方の光源40の出射光路上にはコリメートレンズ41、ビームスプリッタ42、偏光ビームスプリッタ43、1/4波長板44、ダイクロイックプリズム45が配置され、ダイクロイックプリズム45の透過光路上に集光光学系4が配置される。ビームスプリッタ42の戻り光の反射光路上にはレンズ50を介してフォトダイオード等の光検出部51が配置される。
【0036】
このような構成において、光源30から出射されるアシスト用の光は、コリメートレンズ31により平行光とされて偏光ビームスプリッタ33を通過してビームエキスパンダー35によってビーム幅を調整される。そして更にダイクロイックプリズム45により反射されて2軸アクチュエータ等の制御機構70に搭載された集光光学系4、すなわち対物レンズ3及びSIL2に入射される。
【0037】
磁気記録媒体11は、スピンドルモータ等の駆動部80により矢印rで示すように回転される。集光光学系4のSIL2との相対的走行方向を矢印Mで示す。本発明の磁気ヘッド装置10においては、磁気記録媒体11に照射される光アシスト用の光が直線偏光とされ、その電場振動方向が矢印Pで示すように、磁気記録媒体11の走行方向Mと平行となるように配置される。
【0038】
この光アシスト用の光の戻り光を利用してトラッキングを行うこともできる。この場合、磁気記録媒体11の記録面から反射された戻り光は、SIL2、光学レンズ3を介してダイクロイックプリズム45により反射され、ビームエキスパンダー35を介して偏光ビームスプリッタ33により反射されてレンズ38により光検出部39に集光される。光検出部39によりトラッキング信号等が得られる。この信号に基づいて、制御装置69によりトラッキング制御信号が生成され、集光光学系4が保持される2軸アクチュエータ等の制御機構70を駆動する。
【0039】
一方、光源40からの光をコリメートレンズ41、ビームスプリッタ42、偏光ビームスプリッタ43、1/4波長板44を介してダイクロイックプリズム45に照射し、ダイクロイックプリズム45において光源30からの光と合波して、対物レンズ3、SIL2を介して磁気記録媒体11にギャップ検出用ビームスポットとして照射する。磁気記録媒体11からのギャップ検出用ビームスポットの戻り光は、ダイクロイックプリズム45、1/4波長板44を通過して、偏光ビームスプリッタ43から漏れた光をビームスプリッタ42で反射してレンズ50を介して光検出部51で検出する。
【0040】
磁気記録媒体11とSIL2とのギャップが広く、SIL端面で光が略全反射する場合には、SIL表面で偏光が変化するので、戻り光路で偏光ビームスプリッタ43から一部の光が漏れてくる。一方、磁気記録媒体11とSIL2とが近く、近接場光が漏れて通常の反射に近い場合には偏光の変化は小さいので、偏光ビームスプリッタ43を漏れてくる光量は小さくなる。この差すなわち、全反射戻り光量の変化を利用してギャップ検出を行うことができる。
なお、SIl2と磁気記録媒体11との間のギャップを検出する方法としては、その他例えば静電容量の変化を検出する方法など、種々の方法を採ることができる。
【0041】
次に、上述した磁気記録装置を用いてアシスト用の光を磁気記録媒体に照射した場合の磁気記録媒体の表面における光照射態様をより詳細に説明する。
この場合、図10に示すように、主磁極21の磁気記録媒体の相対的走行方向Mの流入端側の側面21Sを、光軸Cに沿う配置とする。図10において、図2及び図5と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。入射光Liの進行方向をZ方向としたとき、電場振動方向Pは一定である。本発明ではこの電場振動方向PをX方向、すなわち磁気記録媒体11の走行方向Mである、磁気記録媒体11の記録トラック長さ方向に選定する。これにより、主磁極21の磁気記録媒体と対向する端面21Tでのスポット形成、及びスポット径低減を実現するものである。
【0042】
前述の図5及び図6において説明したように、図10における主磁極21を含む薄膜磁気ヘッドは図10において左側のガラス等の光学ブロック6aのヘッド形成面に直接形成される。そして記録磁界印加部である主磁極21の先端21Tは、その表面に配置される。図10においてX方向は薄膜磁気ヘッドの積層方向であり、薄膜磁気ヘッド形成上、記録ヘッド、再生ヘッドはこの方向にシリーズに配置される。従って、アジマスロスを最小化するためには、磁気記録媒体をX方向に移動しながら記録再生することが望ましく、通常X方向を記録トラック長さ方向にとる。
【0043】
入射光Liの光軸Cが主磁極21の側面21Sに沿うように光学調整を行うと、スポット中心は、主磁極21の側面21Sに沿う端面21Tに配置される。入射光Liによる光電場強度はSIL2の底面にある焦点で著しく増加し、近接する主磁極21に誘電分極を引き起こす。主磁極21はCo、Ni合金等の磁性金属より成るが、その自由電子の入射光電場Pによる励起振動が生じるためである。
金属と誘電体との界面では、入射光電場により自由電子振動が励起される。金属、誘電体の誘電率をε(ω)、εmとしたとき、
ε(ω)<0
|ε(ω)|>εm
を満たすときには、表面プラズモン共鳴が生じ、自由電子振動は界面に沿って平面波として伝播、表面から遠ざかるにつれ指数関数的に減衰するエバネッセント波として振舞う。Co、Ni合金等の磁性金属では、誘電率が虚数となり、共鳴状態には至らないが、入射電場が印加されている近傍では、表面を伝播し、表面を離れるとエバネッセント波として振舞う誘電分極振動が生じる。すなわち金属表面に局在する表面プラズマ波が発生し、この表面プラズマ波により、主磁極21内に誘電分極が引き起こされることとなる。特に焦点面では入射光電場強度が大きいため誘電分極効果も大きく、また主磁極21の端面21Tの光軸C側の角部では電界集中が生じるため、著しい誘電分極が生じる。
【0044】
入射光の偏光面、すなわち入射光の電場振動方向PをX方向にとると、主磁極21の端部のうち入射光Liの光軸C側の端部でのみ、上記の誘電分極効果が生じ、入射光Liの光軸C側の端部において光電場強度の増幅が生じる。この結果、主磁極21の入射光Liの光軸C側の端部の近傍に光スポットを形成することができ、かつ主磁極21の光軸C側端部での局所的な電界集中により、主磁極21の端部に局在した光スポットの形成、すなわちスポット径の著しい低減化、スポットサイズの微小化を実現することができる。
【0045】
図11A及びBに、入射光Liの電場振動方向Pを磁気記録媒体の走行方向M(すなわち記録トラック長方向)と平行とした場合と、直交する場合とによるスポットプロファイル(光電場エネルギー分布)を解析した結果をそれぞれ示す。この例においては、光学系の諸条件は以下の通りである。すなわち、対物レンズの開口数は0.75、SILの屈折率は入射光波長に対して1.92、SIL2の材料は光学ガラスS−LAH58((株)オハラ社製、商品名)、入射光波長は400nmである。なお、対物レンズ3とSIL2とより成る集光光学系4の有効開口数は、1.44である。
また、この例においては、上述の図5において説明した構造において、主磁極21のデプス長ld、磁気記録媒体との相対的走行方向と直交する方向の主磁極21及びヨーク25の幅wm、wyは、それぞれld=3μm、wm=0.15μm、wy=4μmとした場合を示す。また、主磁極21の材料はCoとした。
解析はFDTD法(Finite Difference Time Domain、有限差分時間領域法)により行った。図11A及びBは磁気記録媒体の表面でのエネルギー分布を示し、光強度の大小を白色から黒色にグラデーションにより示す。SILの端面と磁気記録媒体の表面との距離は20nmとした。
【0046】
図11Aに示すように、X方向すなわち磁気記録媒体との相対的走行方向Mに電場振動方向Pをとった場合、上述したように、主磁極21の入射端側に光電場エネルギーの強い単一のピーク(白い部分)が生じていることが分かる。磁気記録媒体上での光スポット位置は、主磁極21の流入端とほぼ一致しており、主磁極21の直下の部分も照射していることがわかる。
一方、図11Bに示すように、Y方向すなわち磁気記録媒体との相対的走行方向Mと直交する方向に電場振動方向Pをとった場合には、Y方向、すなわちこの場合、磁気記録媒体の記録トラックにおけるトラック幅方向に光電場エネルギーのピークが2つ生じてしまう。すなわち光スポットが分離してしまうのでエネルギーが分散され、記録磁界が印加される主磁極21の流入端で大きな光電場エネルギーが得られないこととなる。
【0047】
なお、図11には示していないが、入射光が円偏光の場合には、図11A及びBに示す直線偏光の両方の配置の間の平均的な特性となり、図11Aに示す電場振動方向をX方向とする場合と比べると、上記のスポットサイズの微小化の効果は小さい。
また、光軸Cが主磁極21の流入端側の側面の中央部ではなく、Y方向の端部に近い配置となる場合でも、光電場エネルギー分布は図11Aとは異なり、良好な単一のピークは得られなくなってしまう。また記録磁界分布も主磁極の中心付近で最大をとり、Y方向の端部では低減してしまうため、記録磁界との位置決めの点でも主磁極中心付近に光軸があることが望ましい。したがって、光軸Cはなるべく主磁極21の側面21SのY方向の略中央に配置されることが望ましい。
【0048】
図12に、X方向を電場振動方向Pとしたときの光電場エネルギー分布及び磁界分布を示す。図12において実線a及びbはそれぞれ、磁気記録媒体の表面と、SILの底面における光電場エネルギーを示す。また、破線cは主磁極による記録磁界を示す。X軸は光軸すなわち主磁極の流入端を原点とし、主磁極の存在する領域をX21として斜線を付して示す。
図12から明らかなように、SILの底面では、主磁極自身の遮蔽効果もあり、光エネルギーは小さいが、磁気記録媒体の表面においては、主磁極の誘電分極により光電場エネルギーが増大していることがわかる。さらに主磁極の流入端において鋭いピークが生じ、その半値幅は凡そ50nmである。主磁極がない同様の形状のSILを用いた集光光学径によるスポット半値幅は140nmであるから、スポット径の低減、微小化が実現されていることがわかる。
同時に、記録磁界がこの流入端で5000[Oe]程度と十分高いことが分かる。光アシスト効果によって、磁気記録媒体の磁性層をそのキュリー温度近くまで昇温するので、この記録磁界で十分磁気記録が行えると見込まれる。したがって、確実に光アシスト磁気記録が行われることが確認できる。
【0049】
参考として、SILの底面、すなわち主磁極の先端面における光電場エネルギー分布と、磁気記録媒体表面における光電場エネルギー分布とを図13A及びBに示す。図13Aにおいては、Z=0nmすなわち主磁極の先端面であり、図13BにおいてはZ=−20nmすなわち磁気記録媒体の表面である。両例共に、入射光の電場振動方向Pを磁気記録媒体の走行方向Mと平行とした場合を示す。
図13Aから明らかなように、主磁極21の先端面では、光電場エネルギーは殆どゼロであり、図13Bに示すように、磁気記録媒体の表面にのみ、エバネッセント光が発生していることが分かる。
【0050】
以上述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
1.本発明により、光スポットと薄膜磁気ヘッドの主磁極を100nm未満、10nmオーダーの間隔をもって近接配置することができ、すなわち光スポットのピーク位置を主磁極の流入側の端部に近接して配置することができる。
2.光スポット径の微小化、特に50nm以下の直径のスポットを薄膜磁気ヘッドの主磁極の端部に形成することができる。
3.上記1及び2の効果により、光アシスト効果による高い記録磁界勾配を発生することができる。この結果、記録ビット長を低減することができ、記録密度の向上を図ることができる。
4.より高い磁気異方性エネルギー(Ku)を持つ磁気記録媒体に記録することが可能となる。この結果記録密度を上げると同時に、熱磁気緩和を抑制し、記録データ寿命を延ばすことができる。
【0051】
以上により、本発明によれば、従来の磁気記録再生装置では実現困難であった、1Tbit/inch2、もしくはそれ以上の高記録密度を実現する光アシスト型磁気ヘッド装置、光アシスト型磁気記録装置を提供することができる。すなわち、10nmオーダーのスポット径を持つ光スポットを記録ヘッド磁極の端部に対し10nmオーダーに近接配置することにより、十分な記録磁界と光スポット強度を同時に達成し、従来記録できなかった高保磁力媒体を用いることにより、記録ドメインの大きさを10nm以下に低減することができ、記録密度向上を実現する。
【0052】
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。例えば、本発明の光アシスト型磁気ヘッド装置、光アシスト型磁気記録装置において、光学的調整により生じるばらつきの範囲内で、光軸と、薄膜磁気ヘッドの主磁極との配置にマージンをもたせることが可能である。例えば光軸が主磁極の流入端側の側面の中央から光学調整のマージンの範囲内でずれていても、中央に配置する場合と同様に光スポットのピーク位置を主磁極の端部に10nmオーダーで近接させることができる。
【0053】
これに対し、主磁極の流入側側面のY方向端部に光軸を配置する場合は、良好な光電場エネルギー分布が得られず、本発明と同様の効果を得ることができない。入射光電場分布は焦点面付近においてガウシアン分布をとるとみなせるが、主磁極端部で単峰性のピークを生じさせるためには、入射光電場がほぼ一定とみなせる、ガウシアン分布の頂上付近を主磁極端に一致させる必要がある。これはSILによるスポット径の1/3〜1/4程度の範囲と考えられる。
すなわち、本発明において、主磁極と光軸との配置のずれとしては、光電場エネルギー分布においてピークが単一となる範囲であればよいといえる。
【0054】
また、その他本発明の光アシスト磁気記録方法において、集光光学系にSILを用いることなく、その他SIM(Solid Immersion Mirror)等の近接場光照射手段を用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施形態に係る光アシスト型磁気ヘッド装置の断面構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る光アシスト型磁気ヘッド装置の要部の斜視構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る光アシスト型磁気ヘッド装置の斜視構成図である。
【図4】本発明の実施形態に係る光アシスト型磁気ヘッド装置の一部を切り欠いた斜視構成図である。
【図5】本発明の実施形態に係る光アシスト型磁気ヘッド装置の要部の断面構成図である。
【図6】A及びBは本発明の実施形態に係る光アシスト型磁気ヘッド装置の要部の断面構成図及び平面構成図である。
【図7】本発明の実施形態に係る光アシスト型磁気記録装置の概略構成図である。
【図8】本発明の実施形態に係る光アシスト型磁気記録装置の概略構成図である。
【図9】本発明の実施形態に係る光アシスト型磁気記録装置の概略構成図である。
【図10】本発明の実施形態に係る光アシスト型磁気ヘッド装置の主磁極と入射光電場との関係を示す説明図である。
【図11】A及びBはそれぞれ、本発明の実施形態及び比較例による光電場エネルギー分布を示す図である。
【図12】本発明の実施形態における磁記記録媒体表面での記録トラック方向の位置に対する光電場強度分布及び磁界強度分布を示す図である。
【図13】A及びBはそれぞれ、本発明の実施形態に係る光アシスト型磁気ヘッド装置におけるSILの端面及び磁気記録媒体の表面での光電場エネルギー分布を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1.磁気記録媒体、2.SIL、2S.球状部、2P.光学材料部、3.対物レンズ、4.集光光学系、5.薄膜磁気ヘッド、6a.第1の光学ブロック、6b.第2の光学ブロック、9.スペーサ、10.光アシスト型磁気ヘッド装置、12.端子導出部、13.電極、18.サスペンション、19.スライダ、21.主磁極、23.コイル、25.ヨーク、30.光源部、100.光アシスト型磁気記録装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録領域に局部的な光照射を行って磁気記録を行う光アシスト型磁気ヘッド装置、光アシスト型磁気記録装置及び光アシスト磁気記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報記録媒体に対する高密度記録化の要求が高まっている。磁気記録媒体、例えば磁気テープ、磁気ディスク等に対する情報記録においても、超高密度記録化が要求されている。この場合、記録ピットの微小化のために垂直記録が採られ、また高い解像度を実現することや、磁性層の保磁力を高める開発が進められている。
現在、高い保持力を有する磁性体は開発されつつあるが、このように高い保磁力を有する材料より成る磁気記録媒体に対して記録を行うにあたり、十分に信号記録磁界を高めることは難しい。この問題を解決するため、光アシスト型磁気ヘッド装置が提案されている。この光アシスト型磁気ヘッド装置は、磁気記録媒体の記録部位を局部的に光照射によって昇温させ、記録領域の保磁力を一時的に低下させて磁気記録を行うものである。これにより、高保磁力の磁性層を有する磁気記録媒体に対して微小磁界スポットによって情報記録を行うことが可能となる。
【0003】
このような光アシスト型の磁気記録においては、高記録密度化、すなわち微小記録ビットを形成する上で、その光スポットの微小化が必要となる。通常の集光レンズにおいては、そのスポット径は使用光の波長とレンズの開口数(NA)によって決まるが、開口数に制約があり、スポット径の微細化に限界を来している。
これに対して、半球型もしくは超半球型のソリッドイマージョンレンズ(Solid Immersion Lens、固浸レンズ。以下SILと記す。)を対物レンズと記録媒体との間に介在させ、これにより対物レンズの開口数を高める手法が開発されている。半球型もしくは超半球型のSILを用いて近接場光によるスポットを形成する場合、スポット径の微細化が図られる。使用する光の波長に対するSILの屈折率をnとすると、半球型SILの場合はn倍、超半球型SIL(超SILとも呼ばれる)の場合でn2倍に有効開口数を高めることができ、すなわちスポットサイズはそれぞれ1/n、1/n2に微小化される。
【0004】
このようなスポットの微小化に着目し、半球型又は超半球型のSILを用いた光アシスト型磁気ヘッドも提案されている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に記載の光アシスト型磁気ヘッドは、対物レンズと半球型又は超半球型のSILとからなる2群集光レンズ系を有するもので、特にSILを球状のレンズ本体と光透過性基板とを接合一体化して形成される構成とする。そしてこの光透過性基板に薄膜磁気ヘッドが形成されて光アシスト型磁気ヘッドが構成される。
【特許文献1】特開2006−286119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した光アシスト型磁気ヘッド装置においては、光スポットの微小化と同時に、記録磁界を発生する磁極と、磁気記録媒体の表面を加熱する光スポットを10nmオーダー程度、すなわち100nm未満に近接させる必要がある。
従来の光アシスト型の磁気ヘッドとしては、光導波路を用いて光スポットを形成する方式が主に検討されてきたが、導波路において十分な光伝達効率を得るには、クラッド層の厚みを波長の数分の一程度、すなわち100nm程度以上確保する必要があり、磁極に対して光スポットをこれ以上近接して配置することは容易ではない。
【0006】
一方、上述の特許文献1に開示の発明などの半球型又は超半球型のSILを用いた光アシスト型磁気ヘッドにおいては、磁極と光スポットを近接配置することが可能である。また、レンズを用いる場合は3次元的に光を照射するので、光利用効率が高いという利点を有する。
しかしながらこのように光スポットを磁極に近接した場合、磁極による光の遮蔽が生じるという問題が生じる。このため、磁気記録媒体の表面において十分な記録磁界を発生し、且つ、十分な強度の光照射を実現する方法が求められている。
【0007】
以上の問題に鑑みて、本発明は、光スポットの微小化を図ると共に、記録磁界を発生する磁極と光スポットとを100nm未満に近接して配置することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明による光アシスト型磁気ヘッド装置は、集光光学系と、薄膜磁気ヘッドとを有し、集光光学系は、半球レンズ又は超半球レンズを備える構成とする。薄膜磁気ヘッドの主磁極を、磁気記録媒体との相対的走行における流入端側の側面が集光光学系の光軸に沿い、且つ、この側面の中央部に光軸が配置される構成とする。そして更に、集光光学系により主磁極の側面の中央部に集光される光を直線偏光とし、且つその電場振動方向を、磁気記録媒体との相対的走行方向に沿う配置として構成する。
【0009】
また、本発明による光アシスト型磁気記録装置は、上述の本発明による光アシスト型磁気記録装置を備える構成とする。すなわち、光源部と、磁気記録媒体配置部と、薄膜磁気ヘッドと、記録信号制御部と、光源部からの光を薄膜磁気ヘッドに導く集光光学系と、を具備する。集光光学系は、半球レンズ又は超半球レンズを備える構成とする。そして薄膜磁気ヘッドの主磁極は、磁気記録媒体との相対的走行における流入端側の側面が集光光学系の光軸に沿い、且つ、その側面の中央部に光軸が配置される。更に、集光光学系により主磁極の側面の中央部に集光される光を直線偏光とし、且つその電場振動方向が、磁気記録媒体との相対的走行方向に沿う配置とされる構成とする。
【0010】
また、本発明による光アシスト型磁気記録方法は、集光光学系の集光スポット位置に単磁極型の薄膜磁気ヘッドを配置し、この薄膜磁気ヘッドの主磁極が、磁気記録媒体との相対的走行における流入端側の側面を集光光学系の光軸に沿い、且つ、光軸を側面の中央部に配置する。集光光学系により、電場振動方向が前記磁場との相対的走行方向に沿う直線偏光の光を主磁極に入射して、この主磁極の光軸に沿う先端位置から近接場光を発生して、磁気記録媒体に記録を行う。
【0011】
上述したように、本発明の光アシスト型磁気ヘッド装置、光アシスト型磁気記録装置及び光アシスト磁気記録方法においては、薄膜磁気ヘッドの主磁極を、磁気記録媒体との相対的走行方向における流入端側の側面が集光光学系の光軸に沿い、且つ、側面の中央部に光軸が配置される構成とする。そして集光光学系により主磁極の側面の中央部に集光される光を直線偏光とし、且つその電場振動方向を、磁気記録媒体との相対的走行方向に沿う配置として磁気記録を行う構成とする。
このような構成とする場合、後述するように、薄膜磁気ヘッドの主磁極の流入端において、近接場光が発生し、十分高い光電場エネルギーが得られることが明らかになった。
したがって、この主磁極の流入端で発生する近接場光を用いて光アシスト磁気記録を行うことにより、光スポットの微小化と、磁極と光スポットとの10nmオーダーの近接配置とを実現できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光スポットの微小化を図り、且つ、記録磁界を発生する磁極と光スポットとを100nm未満に近接配置することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下本発明を実施するための最良の形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施の形態による光アシスト型磁気ヘッド装置の概略断面構成図である。本実施の形態における光アシスト型磁気ヘッド装置は、図1に示すように、集光光学系4と、薄膜磁気ヘッド5から構成される。集光光学系4は、対物レンズ3と、半球型又は超半球型のSIL2より構成される。薄膜磁気ヘッド5の主磁極21は、磁気記録媒体(図示せず)との相対的走行における流入端側の側面21Sが集光光学系4の光軸Cに沿うように配置される。図1においては、磁気記録媒体の走行方向を矢印Mとして示す。すなわち、主磁極21の流入端側の側面21Sは、図1において矢印Mの後端側(図1の紙面において左側)の側面となる。そして、図2に主磁極2の概略斜視構成図を示すように、この主磁極21の側面21Sの中央部に光軸Cが配置される構成とする。図2において、図1と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0014】
図1及び図2において、磁気記録媒体11の走行方向と平行な方向をX軸、光軸に沿う方向をZ軸、これらと直交する方向をY軸として示す。すなわちX方向が磁気記録媒体との相対的走行方向、つまり記録トラック長さ方向であり、Y方向は磁気記録媒体の記録トラック幅方向、Z方向はSILにおけるギャップ方向となる。本発明においては、光軸Cは、主磁極21の流入端側の側面21SのY方向の幅の中央に配置される。
【0015】
そして本実施の形態の光アシスト型磁気ヘッドにおいては、図1及び図2に示すように、集光光学系4により主磁極21の側面21Sの中央部に集光される光Liを直線偏光とする。更にその電場振動方向を、矢印Pで示すように、磁気記録媒体との相対的走行方向(矢印M)に沿う配置とする。すなわちこの場合、入射光Liの電場振動方向は、磁気記録媒体の記録トラック長さ方向と平行となるように集光光学系4及び薄膜磁気ヘッド5を配置構成する。
【0016】
図2において、二点鎖線で示す面Hは主磁極21の流入端側の側面21Sと同一の平面を仮想的に示すもので、矢印Fiで示す領域(面Hから主磁極21とは反対側)が流入端側、矢印Foで示す領域(面Hから主磁極21側)が流出端側となる。また、図2においては集光光学系4により集光される光LiによるスポットSを模式的に示す。
【0017】
図1及び図2に示す光アシスト型磁気ヘッドにおける集光光学系4のより具体的な構成例を図3の概略斜視構成図に示す。図3において、図1と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。上述したようにこの例においては、集光光学系4を、対物レンズ3と、近接場光記録で用いられる半球型又は超半球型のSIL2とより構成する。対物レンズ3とSIL2とによって、実効的な開口率が1.0を超える開口数を実現し、近接場光を発生させる光学系を構成することができる。
【0018】
単体の対物レンズでは、光の回折限界により集光スポット径はλ/NAobj程度にしか絞ることができない。ここでλは使用光の波長、NAobjは対物レンズの開口数である。これに対し、上述したように、半球型又は超半球型のSIL2を用いる集光光学系4においては、SIL2の底面(焦点面)において、スポット径を半球型のSILで1/n、超半球型のSILで1/n2に微小化することができる。ここでnは使用光の波長λにおけるSIL2の屈折率である。一般的に、SIL2の底面と磁気記録媒体との隙間(ギャップ)をλ/10以下に狭めることで、近接場光の結像作用により磁気記録媒体面上に、λ/NAobjのスポット径を更に、半球型SILで1/n、超半球型SILで1/n2に微小化することが可能になる。
【0019】
図3に示すように、この例においては、第1及び第2の光学ブロック6a及び6bと、球状部2Sとが接合されてSIL2が構成される。これら第1及び第2の光学ブロック6a及び6bと球状部2Sは共に、使用光の波長に対し光透過性を有し、且つ高屈折率を有する光学部材より構成し、望ましくは同一材料より構成する。
【0020】
このSIL2の製造方法の一例を説明する。例えば第1の光学ブロック6aの一端面をヘッド形成面6ahとし、このヘッド形成面6ah上に薄膜磁気ヘッド5を形成した後、第2の光学ブロック6bを光学接着剤による粘着、又は溶着により接合する。この光学接着剤としては、屈折率が例えば1.5以上の高屈折率材料であることが望ましく、第1及び第2の光学ブロック6a及び6bと同程度の屈折率であることがより望ましい。
【0021】
接合された第1及び第2の光学ブロック6a及び6bに対し、薄膜磁気ヘッド5の主磁極形成側の表面を平面研磨していわゆる主磁極21のデプス長を調整するデプス研磨を行い、更に、裏面も平面研磨して、所定の板厚に形成する。一方、別体のボールレンズを用意して、その一部を平面研磨して、光軸と略直交する平面を有する球状部2Sを形成する。この球状部2Sは上述したように、第1及び第2の光学ブロック6a及び6bと同一の材料より成ることが望ましい。そしてこの球状部2Sの平面を、第1及び第2の光学ブロック6a及び6bの接合面上に上述の光学接着剤により接着、溶着等により接合する。このとき第1の光学ブロック6aに形成した薄膜磁気ヘッド5の主磁極と、球状部2Sの光軸とが上述の図2において説明した配置となるように位置決めを行って接合する。
【0022】
以上説明した製造方法により図3に示すSIL2を得ることができる。このような構成とする場合、球状部2Sと、図3において破線で示すように、第1及び第2の光学ブロック6a及び6b内にその一部として含まれる球状部2Pとによって、半球状又は超半球状のSIL2が構成される。全体として半球状又は超半球状となるように、第1及び第2の光学ブロック6a及び6bの板厚と、球状部2Sの厚さとを選定する。球状部2Sの半径をrとすると、半球状のSILとする場合は全体の厚さをr、超半球状のSILとする場合は全体の厚さをr×(1+1/n)となるように構成する。すなわち、第1及び第2の光学ブロック6a及び6bの平面研磨後の板厚をTとすると、球状部2Sの厚さは最終的な厚さから厚さTだけ差し引いた厚さに形成する。
【0023】
このような構成によるSIL2の全体の厚さは、半球型SILの場合はr、超半球型SILの場合はr×(1+1/n)となり、光学的には、従来の半球型SIL又は超半球型SILと全く等価である。したがって、上部の対物レンズ3で集光された光は、合成されたSIL2の底面、すなわち第1及び第2のブロック6a及び6bの記録媒体側の面で焦点を結び、通常のSILとしての機能を有する。組立時に光学的調整を行うことにより、集光光学系4の光軸中心を主磁極が形成されている光学ブロック6aのヘッド形成面6ah上に位置決めすることが可能であり、この結果光スポットの中心は、主磁極端面に配置される。
【0024】
図4は、対物レンズ2と図3において説明したSIL2とをスペーサ9を介して組み合わせた集光光学系4の一例の、一部を切り欠いた概略斜視構成図である。図4において、図1〜3と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。図4に示すように、第1の光学ブロック6aのヘッド形成面6ah上に、薄膜磁気ヘッド5の端子導出部12及び電極13を形成してもよい。なお、第1及び第2の光学ブロック6a及び6bの大きさや形状は図3及び図4に示す例に限定されるものではなく、その他種々の形状とすることができる。
【0025】
図5は、薄膜磁気ヘッド5の一例の拡大断面構成図である。図5に示すように、この場合、垂直記録用単磁極ヘッド構造とする例を示し、薄膜磁気ヘッド5は磁界を発生するコイル導体23と、発生した磁界を記録部へ導出、印加するための主磁極21から構成される。図5には示していないが、副磁極が主磁極に接続され、磁気回路を構成している構造でもよい。なお、実際の記録に際しては、記録層、軟磁性層を有する磁気記録媒体と対向させ、軟磁性層は主磁極21、コイル導体23とともに、薄膜磁気ヘッド5における磁気回路を構成する。
【0026】
本例では、図5に示すように、第1の光学ブロック6aのヘッド形成面6ah上に、主磁極21が所定の長さをもって形成され、絶縁層22を介して下部コイル層23A、絶縁層24、主磁極21と接続されるヨーク25、絶縁層26、上部コイル層23Bが形成されて、光学接着剤27を介して第2の光学ブロック6bが接合された構成としている。
【0027】
薄膜磁気ヘッド5の一例の概略断面構成図及び平面構成図を図6A及びBに示す。図6A及びBにおいて、図5と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。図6Bに示すように、薄膜磁気ヘッド5のコイル導体23は、互いに逆向きの斜め方向に配列される下部コイル層23Aと上部コイル層23B及びこれらを接続する接続部23Cとより構成することができる。図6Bにおいては両端の下部コイル層23Aから端子導出部12が延在されるが、コイルの巻回数や各部の構成、また、各コイル層の形状等はこの限りではなく、種々の変形が可能であることはいうまでもない。図6Bにおいては、主磁極21のデプス長をld、磁気記録媒体との相対的走行方向と直交する方向の主磁極21及びヨーク25の幅をそれぞれwm、wyとして示す。
【0028】
図7は、本発明の実施の形態に係る光アシスト型磁気記録装置の概略構成図である。
本実施の形態の磁気記録装置100は、光源部、例えば波長400nmの半導体レーザ素子を有する光源部62と、本発明に係る光アシスト型磁気ヘッド装置10と、磁気記録媒体11、例えば磁気ディスクが配置されて回転駆動される磁気記録媒体11の配置部64と、光アシスト型磁気ヘッド装置10の薄膜磁気ヘッド素子5の磁気ヘッドコイルに記録信号を供給する記録信号電源部、すなわち記録信号回路65と、光源部62からのレーザ光を光アシスト型磁気ヘッド装置10に導入すると共に、磁気記録媒体11からの戻り光を検出する例えばフォトダイオードを有する光検出部66へと導入する光学系67とを有する。磁気記録媒体11は、例えばガラス等の基板15上に軟磁性層16、記録層17が順次積層されて構成される。
【0029】
光学系67は、後述する図9において詳細に説明するように、例えばコリメータレンズ(図示せず)とビームスプリッタ68等を有して成る。また、光検出部66によって検出された検出出力を演算し、光アシスト型磁気ヘッド装置10に対する所望のサーボ信号、例えばフォーカシング、トラッキング等の各サーボ信号を得て、これら制御を行う位置決め用の制御装置69を有する。また、光アシスト型磁気ヘッド装置10が、薄膜磁気記録ヘッド以外に、再生用薄膜磁気ヘッドを搭載する場合は、図示しないがヘッド素子は再生信号回路に接続され、磁気信号再生動作を行う。
【0030】
磁気記録媒体配置部64では、例えば磁気ディスクである磁気記録媒体11が載置された状態で、スピンドルモータ等の駆動部80によって矢印rで示すように回転駆動され、磁気記録媒体11が矢印Mで示すように回転される。制御装置69によって駆動される制御機構70は、例えば後述の図8において説明する浮上スライダや、2軸アクチュエータによって構成することができる。制御機構70には集光光学系4を有する本発明に係る光アシスト型磁気ヘッド装置10が搭載され、トラッキングサーボ信号及びギャップサーボ信号に基づき駆動して、集光光学系4をトラッキング方向に移動調整し、また光軸方向すなわちギャップ方向に移動調整する。
【0031】
本実施の形態の磁気記録装置100では、磁気記録媒体11が回転され、光源部62から所要の波長、例えば400nmのレーザ光が光学系67によって光アシスト型磁気ヘッド装置10の光軸に沿って導入され、この光アシスト型磁気ヘッド装置10による近接場光が、磁気記録媒体11上に照射される。光アシスト型磁気ヘッド装置10は、対物レンズ3と半球型又は超半球型のSIL2による2群レンズ構成の集光光学系4により、後述するように、特に主磁極と光軸との配置構成、また集光光学系4により入射させる光の電場振動方向を適切に選定することによって、スポット径を微小化し、且つスポット中心と主磁極とを100nm未満に近接配置できる。
【0032】
そして、このスポットが回転する磁気記録媒体11上に照射されると同時に、薄膜磁気ヘッド5の磁気ヘッドコイルに情報記録信号を供給することによって、薄膜磁気ヘッド5の主磁極の先端から記録信号磁界が磁気記録媒体11に印加されて信号の記録がなされる。
【0033】
図8は、本発明による光アシスト型磁気ヘッド装置10の、トラッキング及びギャップを調整する制御機構70を浮上スライダ構成とした場合の一部を断面とする側面図である。図8において、図1と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。この浮上型構成においては、サスペンション18の遊端に支持されたスライダ19に、光アシスト型磁気ヘッド装置10が搭載され、薄膜磁気ヘッド5と対向する磁気記録媒体11の移動もしくは回転によって浮上するスライダ19の浮上量によって光アシスト型磁気ヘッド装置10と磁気記録媒体11とのギャップが調整される。
【0034】
本発明による磁気記録装置100においては、このような磁気記録媒体11の移動もしくは回転によって浮上させる受動制御型の構成とする他、図7に示す制御装置69により2軸アクチュエータ等を制御して光アシスト型磁気ヘッド装置10のギャップ制御及びトラッキングを行ういわゆる能動制御型の構成とすることももちろん可能である。
【0035】
図9に、この場合の磁気記録装置100の一例の概略構成図を示す。この例においては、記録時の光アシスト用の光とギャップ検出用の光として、異なる波長の光を用いる場合の一例を示す。図9に示す用にこの場合、光源30と、その出射光路上にコリメートレンズ31、偏光ビームスプリッタ33、ビームエキスパンダー35及びダイクロイックプリズム45が配置される。ダイクロイックプリズム45は光源30からの光を反射するように構成されて、その反射光路上に集光光学系4が配置される。偏光ビームスプリッタ33の戻り光の反射光路上にレンズ38を介してフォトダイオード等の光検出部39が配置される。他方の光源40の出射光路上にはコリメートレンズ41、ビームスプリッタ42、偏光ビームスプリッタ43、1/4波長板44、ダイクロイックプリズム45が配置され、ダイクロイックプリズム45の透過光路上に集光光学系4が配置される。ビームスプリッタ42の戻り光の反射光路上にはレンズ50を介してフォトダイオード等の光検出部51が配置される。
【0036】
このような構成において、光源30から出射されるアシスト用の光は、コリメートレンズ31により平行光とされて偏光ビームスプリッタ33を通過してビームエキスパンダー35によってビーム幅を調整される。そして更にダイクロイックプリズム45により反射されて2軸アクチュエータ等の制御機構70に搭載された集光光学系4、すなわち対物レンズ3及びSIL2に入射される。
【0037】
磁気記録媒体11は、スピンドルモータ等の駆動部80により矢印rで示すように回転される。集光光学系4のSIL2との相対的走行方向を矢印Mで示す。本発明の磁気ヘッド装置10においては、磁気記録媒体11に照射される光アシスト用の光が直線偏光とされ、その電場振動方向が矢印Pで示すように、磁気記録媒体11の走行方向Mと平行となるように配置される。
【0038】
この光アシスト用の光の戻り光を利用してトラッキングを行うこともできる。この場合、磁気記録媒体11の記録面から反射された戻り光は、SIL2、光学レンズ3を介してダイクロイックプリズム45により反射され、ビームエキスパンダー35を介して偏光ビームスプリッタ33により反射されてレンズ38により光検出部39に集光される。光検出部39によりトラッキング信号等が得られる。この信号に基づいて、制御装置69によりトラッキング制御信号が生成され、集光光学系4が保持される2軸アクチュエータ等の制御機構70を駆動する。
【0039】
一方、光源40からの光をコリメートレンズ41、ビームスプリッタ42、偏光ビームスプリッタ43、1/4波長板44を介してダイクロイックプリズム45に照射し、ダイクロイックプリズム45において光源30からの光と合波して、対物レンズ3、SIL2を介して磁気記録媒体11にギャップ検出用ビームスポットとして照射する。磁気記録媒体11からのギャップ検出用ビームスポットの戻り光は、ダイクロイックプリズム45、1/4波長板44を通過して、偏光ビームスプリッタ43から漏れた光をビームスプリッタ42で反射してレンズ50を介して光検出部51で検出する。
【0040】
磁気記録媒体11とSIL2とのギャップが広く、SIL端面で光が略全反射する場合には、SIL表面で偏光が変化するので、戻り光路で偏光ビームスプリッタ43から一部の光が漏れてくる。一方、磁気記録媒体11とSIL2とが近く、近接場光が漏れて通常の反射に近い場合には偏光の変化は小さいので、偏光ビームスプリッタ43を漏れてくる光量は小さくなる。この差すなわち、全反射戻り光量の変化を利用してギャップ検出を行うことができる。
なお、SIl2と磁気記録媒体11との間のギャップを検出する方法としては、その他例えば静電容量の変化を検出する方法など、種々の方法を採ることができる。
【0041】
次に、上述した磁気記録装置を用いてアシスト用の光を磁気記録媒体に照射した場合の磁気記録媒体の表面における光照射態様をより詳細に説明する。
この場合、図10に示すように、主磁極21の磁気記録媒体の相対的走行方向Mの流入端側の側面21Sを、光軸Cに沿う配置とする。図10において、図2及び図5と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。入射光Liの進行方向をZ方向としたとき、電場振動方向Pは一定である。本発明ではこの電場振動方向PをX方向、すなわち磁気記録媒体11の走行方向Mである、磁気記録媒体11の記録トラック長さ方向に選定する。これにより、主磁極21の磁気記録媒体と対向する端面21Tでのスポット形成、及びスポット径低減を実現するものである。
【0042】
前述の図5及び図6において説明したように、図10における主磁極21を含む薄膜磁気ヘッドは図10において左側のガラス等の光学ブロック6aのヘッド形成面に直接形成される。そして記録磁界印加部である主磁極21の先端21Tは、その表面に配置される。図10においてX方向は薄膜磁気ヘッドの積層方向であり、薄膜磁気ヘッド形成上、記録ヘッド、再生ヘッドはこの方向にシリーズに配置される。従って、アジマスロスを最小化するためには、磁気記録媒体をX方向に移動しながら記録再生することが望ましく、通常X方向を記録トラック長さ方向にとる。
【0043】
入射光Liの光軸Cが主磁極21の側面21Sに沿うように光学調整を行うと、スポット中心は、主磁極21の側面21Sに沿う端面21Tに配置される。入射光Liによる光電場強度はSIL2の底面にある焦点で著しく増加し、近接する主磁極21に誘電分極を引き起こす。主磁極21はCo、Ni合金等の磁性金属より成るが、その自由電子の入射光電場Pによる励起振動が生じるためである。
金属と誘電体との界面では、入射光電場により自由電子振動が励起される。金属、誘電体の誘電率をε(ω)、εmとしたとき、
ε(ω)<0
|ε(ω)|>εm
を満たすときには、表面プラズモン共鳴が生じ、自由電子振動は界面に沿って平面波として伝播、表面から遠ざかるにつれ指数関数的に減衰するエバネッセント波として振舞う。Co、Ni合金等の磁性金属では、誘電率が虚数となり、共鳴状態には至らないが、入射電場が印加されている近傍では、表面を伝播し、表面を離れるとエバネッセント波として振舞う誘電分極振動が生じる。すなわち金属表面に局在する表面プラズマ波が発生し、この表面プラズマ波により、主磁極21内に誘電分極が引き起こされることとなる。特に焦点面では入射光電場強度が大きいため誘電分極効果も大きく、また主磁極21の端面21Tの光軸C側の角部では電界集中が生じるため、著しい誘電分極が生じる。
【0044】
入射光の偏光面、すなわち入射光の電場振動方向PをX方向にとると、主磁極21の端部のうち入射光Liの光軸C側の端部でのみ、上記の誘電分極効果が生じ、入射光Liの光軸C側の端部において光電場強度の増幅が生じる。この結果、主磁極21の入射光Liの光軸C側の端部の近傍に光スポットを形成することができ、かつ主磁極21の光軸C側端部での局所的な電界集中により、主磁極21の端部に局在した光スポットの形成、すなわちスポット径の著しい低減化、スポットサイズの微小化を実現することができる。
【0045】
図11A及びBに、入射光Liの電場振動方向Pを磁気記録媒体の走行方向M(すなわち記録トラック長方向)と平行とした場合と、直交する場合とによるスポットプロファイル(光電場エネルギー分布)を解析した結果をそれぞれ示す。この例においては、光学系の諸条件は以下の通りである。すなわち、対物レンズの開口数は0.75、SILの屈折率は入射光波長に対して1.92、SIL2の材料は光学ガラスS−LAH58((株)オハラ社製、商品名)、入射光波長は400nmである。なお、対物レンズ3とSIL2とより成る集光光学系4の有効開口数は、1.44である。
また、この例においては、上述の図5において説明した構造において、主磁極21のデプス長ld、磁気記録媒体との相対的走行方向と直交する方向の主磁極21及びヨーク25の幅wm、wyは、それぞれld=3μm、wm=0.15μm、wy=4μmとした場合を示す。また、主磁極21の材料はCoとした。
解析はFDTD法(Finite Difference Time Domain、有限差分時間領域法)により行った。図11A及びBは磁気記録媒体の表面でのエネルギー分布を示し、光強度の大小を白色から黒色にグラデーションにより示す。SILの端面と磁気記録媒体の表面との距離は20nmとした。
【0046】
図11Aに示すように、X方向すなわち磁気記録媒体との相対的走行方向Mに電場振動方向Pをとった場合、上述したように、主磁極21の入射端側に光電場エネルギーの強い単一のピーク(白い部分)が生じていることが分かる。磁気記録媒体上での光スポット位置は、主磁極21の流入端とほぼ一致しており、主磁極21の直下の部分も照射していることがわかる。
一方、図11Bに示すように、Y方向すなわち磁気記録媒体との相対的走行方向Mと直交する方向に電場振動方向Pをとった場合には、Y方向、すなわちこの場合、磁気記録媒体の記録トラックにおけるトラック幅方向に光電場エネルギーのピークが2つ生じてしまう。すなわち光スポットが分離してしまうのでエネルギーが分散され、記録磁界が印加される主磁極21の流入端で大きな光電場エネルギーが得られないこととなる。
【0047】
なお、図11には示していないが、入射光が円偏光の場合には、図11A及びBに示す直線偏光の両方の配置の間の平均的な特性となり、図11Aに示す電場振動方向をX方向とする場合と比べると、上記のスポットサイズの微小化の効果は小さい。
また、光軸Cが主磁極21の流入端側の側面の中央部ではなく、Y方向の端部に近い配置となる場合でも、光電場エネルギー分布は図11Aとは異なり、良好な単一のピークは得られなくなってしまう。また記録磁界分布も主磁極の中心付近で最大をとり、Y方向の端部では低減してしまうため、記録磁界との位置決めの点でも主磁極中心付近に光軸があることが望ましい。したがって、光軸Cはなるべく主磁極21の側面21SのY方向の略中央に配置されることが望ましい。
【0048】
図12に、X方向を電場振動方向Pとしたときの光電場エネルギー分布及び磁界分布を示す。図12において実線a及びbはそれぞれ、磁気記録媒体の表面と、SILの底面における光電場エネルギーを示す。また、破線cは主磁極による記録磁界を示す。X軸は光軸すなわち主磁極の流入端を原点とし、主磁極の存在する領域をX21として斜線を付して示す。
図12から明らかなように、SILの底面では、主磁極自身の遮蔽効果もあり、光エネルギーは小さいが、磁気記録媒体の表面においては、主磁極の誘電分極により光電場エネルギーが増大していることがわかる。さらに主磁極の流入端において鋭いピークが生じ、その半値幅は凡そ50nmである。主磁極がない同様の形状のSILを用いた集光光学径によるスポット半値幅は140nmであるから、スポット径の低減、微小化が実現されていることがわかる。
同時に、記録磁界がこの流入端で5000[Oe]程度と十分高いことが分かる。光アシスト効果によって、磁気記録媒体の磁性層をそのキュリー温度近くまで昇温するので、この記録磁界で十分磁気記録が行えると見込まれる。したがって、確実に光アシスト磁気記録が行われることが確認できる。
【0049】
参考として、SILの底面、すなわち主磁極の先端面における光電場エネルギー分布と、磁気記録媒体表面における光電場エネルギー分布とを図13A及びBに示す。図13Aにおいては、Z=0nmすなわち主磁極の先端面であり、図13BにおいてはZ=−20nmすなわち磁気記録媒体の表面である。両例共に、入射光の電場振動方向Pを磁気記録媒体の走行方向Mと平行とした場合を示す。
図13Aから明らかなように、主磁極21の先端面では、光電場エネルギーは殆どゼロであり、図13Bに示すように、磁気記録媒体の表面にのみ、エバネッセント光が発生していることが分かる。
【0050】
以上述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
1.本発明により、光スポットと薄膜磁気ヘッドの主磁極を100nm未満、10nmオーダーの間隔をもって近接配置することができ、すなわち光スポットのピーク位置を主磁極の流入側の端部に近接して配置することができる。
2.光スポット径の微小化、特に50nm以下の直径のスポットを薄膜磁気ヘッドの主磁極の端部に形成することができる。
3.上記1及び2の効果により、光アシスト効果による高い記録磁界勾配を発生することができる。この結果、記録ビット長を低減することができ、記録密度の向上を図ることができる。
4.より高い磁気異方性エネルギー(Ku)を持つ磁気記録媒体に記録することが可能となる。この結果記録密度を上げると同時に、熱磁気緩和を抑制し、記録データ寿命を延ばすことができる。
【0051】
以上により、本発明によれば、従来の磁気記録再生装置では実現困難であった、1Tbit/inch2、もしくはそれ以上の高記録密度を実現する光アシスト型磁気ヘッド装置、光アシスト型磁気記録装置を提供することができる。すなわち、10nmオーダーのスポット径を持つ光スポットを記録ヘッド磁極の端部に対し10nmオーダーに近接配置することにより、十分な記録磁界と光スポット強度を同時に達成し、従来記録できなかった高保磁力媒体を用いることにより、記録ドメインの大きさを10nm以下に低減することができ、記録密度向上を実現する。
【0052】
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。例えば、本発明の光アシスト型磁気ヘッド装置、光アシスト型磁気記録装置において、光学的調整により生じるばらつきの範囲内で、光軸と、薄膜磁気ヘッドの主磁極との配置にマージンをもたせることが可能である。例えば光軸が主磁極の流入端側の側面の中央から光学調整のマージンの範囲内でずれていても、中央に配置する場合と同様に光スポットのピーク位置を主磁極の端部に10nmオーダーで近接させることができる。
【0053】
これに対し、主磁極の流入側側面のY方向端部に光軸を配置する場合は、良好な光電場エネルギー分布が得られず、本発明と同様の効果を得ることができない。入射光電場分布は焦点面付近においてガウシアン分布をとるとみなせるが、主磁極端部で単峰性のピークを生じさせるためには、入射光電場がほぼ一定とみなせる、ガウシアン分布の頂上付近を主磁極端に一致させる必要がある。これはSILによるスポット径の1/3〜1/4程度の範囲と考えられる。
すなわち、本発明において、主磁極と光軸との配置のずれとしては、光電場エネルギー分布においてピークが単一となる範囲であればよいといえる。
【0054】
また、その他本発明の光アシスト磁気記録方法において、集光光学系にSILを用いることなく、その他SIM(Solid Immersion Mirror)等の近接場光照射手段を用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施形態に係る光アシスト型磁気ヘッド装置の断面構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る光アシスト型磁気ヘッド装置の要部の斜視構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る光アシスト型磁気ヘッド装置の斜視構成図である。
【図4】本発明の実施形態に係る光アシスト型磁気ヘッド装置の一部を切り欠いた斜視構成図である。
【図5】本発明の実施形態に係る光アシスト型磁気ヘッド装置の要部の断面構成図である。
【図6】A及びBは本発明の実施形態に係る光アシスト型磁気ヘッド装置の要部の断面構成図及び平面構成図である。
【図7】本発明の実施形態に係る光アシスト型磁気記録装置の概略構成図である。
【図8】本発明の実施形態に係る光アシスト型磁気記録装置の概略構成図である。
【図9】本発明の実施形態に係る光アシスト型磁気記録装置の概略構成図である。
【図10】本発明の実施形態に係る光アシスト型磁気ヘッド装置の主磁極と入射光電場との関係を示す説明図である。
【図11】A及びBはそれぞれ、本発明の実施形態及び比較例による光電場エネルギー分布を示す図である。
【図12】本発明の実施形態における磁記記録媒体表面での記録トラック方向の位置に対する光電場強度分布及び磁界強度分布を示す図である。
【図13】A及びBはそれぞれ、本発明の実施形態に係る光アシスト型磁気ヘッド装置におけるSILの端面及び磁気記録媒体の表面での光電場エネルギー分布を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1.磁気記録媒体、2.SIL、2S.球状部、2P.光学材料部、3.対物レンズ、4.集光光学系、5.薄膜磁気ヘッド、6a.第1の光学ブロック、6b.第2の光学ブロック、9.スペーサ、10.光アシスト型磁気ヘッド装置、12.端子導出部、13.電極、18.サスペンション、19.スライダ、21.主磁極、23.コイル、25.ヨーク、30.光源部、100.光アシスト型磁気記録装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集光光学系と、薄膜磁気ヘッドとを有し、
前記集光光学系は、半球型又は超半球型のソリッドイマージョンレンズを備え、
前記薄膜磁気ヘッドの主磁極は、磁気記録媒体との相対的走行における流入端側の側面が前記集光光学系の光軸に沿い、且つ、前記側面の中央部に前記光軸が配置され、
前記集光光学系により前記主磁極の前記側面の中央部に集光される光が直線偏光であり、且つその電場振動方向が、前記磁気記録媒体との相対的走行方向に沿う配置とされた
ことを特徴とする光アシスト型磁気ヘッド装置。
【請求項2】
前記ソリッドイマージョンレンズは、球面側レンズを構成する球状部と、前記磁気記録媒体との対向面側に配置される光学材料部とより構成され、
前記薄膜磁気ヘッドが前記光学材料部に形成されることを特徴とする請求項1記載の光アシスト型磁気ヘッド装置。
【請求項3】
前記光学材料部は、前記薄膜磁気ヘッドが形成される第1の光学ブロックと、第2の光学ブロックとより構成され、
前記薄膜磁気ヘッドが形成される面を内側にして前記第1及び第2の光学ブロックが接合されて成ることを特徴とする請求項2記載の光アシスト型磁気ヘッド装置。
【請求項4】
光源部と、
磁気記録媒体配置部と、
薄膜磁気ヘッドと、
記録信号制御部と、
前記光源部からの光を前記薄膜磁気ヘッドに導く集光光学系と、を具備し、
前記集光光学系は、半球型又は超半球型のソリッドイマージョンレンズを備え、
前記薄膜磁気ヘッドの主磁極は、磁気記録媒体との相対的走行における流入端側の側面が前記集光光学系の光軸に沿い、且つ、前記側面の中央部に前記光軸が配置され、
前記集光光学系により前記主磁極の前記側面の中央部に集光される光が直線偏光であり、且つその電場振動方向が、前記磁気記録媒体との相対的走行方向に沿う配置とされた
ことを特徴とする光アシスト型磁気記録装置。
【請求項5】
前記薄膜磁気ヘッドが、浮上スライダに搭載されたことを特徴とする請求項4記載の光アシスト型磁気記録装置。
【請求項6】
前記薄膜磁気記録ヘッドが、前記磁気記録媒体の表面に対し法線方向の位置決めを行うアクチュエータに搭載され、
前記磁気記録媒体からの近接場による戻り光を用いて、前記薄膜磁気ヘッドと前記磁気記録媒体との間の距離が制御されることを特徴とする請求項4記載の光アシスト型磁気記録装置。
【請求項7】
集光光学系の集光スポット位置に薄膜磁気ヘッドを配置し、
前記薄膜磁気ヘッドの主磁極は、磁気記録媒体との相対的走行における流入端側の側面が前記集光光学系の光軸に沿い、且つ、前記側面の中央部に前記光軸を配置して、
前記集光光学系により、電場振動方向が前記磁場との相対的走行方向に沿う直線偏光の光を前記主磁極に入射して、前記主磁極の前記光軸に沿う先端位置から近接場光を発生して、前記磁気記録媒体に記録を行う
ことを特徴とする光アシスト磁気記録方法。
【請求項8】
前記集光光学系に、半球型又は超半球型のソリッドイマージョンレンズを用いることを特徴とする請求項7記載の光アシスト磁気記録方法。
【請求項1】
集光光学系と、薄膜磁気ヘッドとを有し、
前記集光光学系は、半球型又は超半球型のソリッドイマージョンレンズを備え、
前記薄膜磁気ヘッドの主磁極は、磁気記録媒体との相対的走行における流入端側の側面が前記集光光学系の光軸に沿い、且つ、前記側面の中央部に前記光軸が配置され、
前記集光光学系により前記主磁極の前記側面の中央部に集光される光が直線偏光であり、且つその電場振動方向が、前記磁気記録媒体との相対的走行方向に沿う配置とされた
ことを特徴とする光アシスト型磁気ヘッド装置。
【請求項2】
前記ソリッドイマージョンレンズは、球面側レンズを構成する球状部と、前記磁気記録媒体との対向面側に配置される光学材料部とより構成され、
前記薄膜磁気ヘッドが前記光学材料部に形成されることを特徴とする請求項1記載の光アシスト型磁気ヘッド装置。
【請求項3】
前記光学材料部は、前記薄膜磁気ヘッドが形成される第1の光学ブロックと、第2の光学ブロックとより構成され、
前記薄膜磁気ヘッドが形成される面を内側にして前記第1及び第2の光学ブロックが接合されて成ることを特徴とする請求項2記載の光アシスト型磁気ヘッド装置。
【請求項4】
光源部と、
磁気記録媒体配置部と、
薄膜磁気ヘッドと、
記録信号制御部と、
前記光源部からの光を前記薄膜磁気ヘッドに導く集光光学系と、を具備し、
前記集光光学系は、半球型又は超半球型のソリッドイマージョンレンズを備え、
前記薄膜磁気ヘッドの主磁極は、磁気記録媒体との相対的走行における流入端側の側面が前記集光光学系の光軸に沿い、且つ、前記側面の中央部に前記光軸が配置され、
前記集光光学系により前記主磁極の前記側面の中央部に集光される光が直線偏光であり、且つその電場振動方向が、前記磁気記録媒体との相対的走行方向に沿う配置とされた
ことを特徴とする光アシスト型磁気記録装置。
【請求項5】
前記薄膜磁気ヘッドが、浮上スライダに搭載されたことを特徴とする請求項4記載の光アシスト型磁気記録装置。
【請求項6】
前記薄膜磁気記録ヘッドが、前記磁気記録媒体の表面に対し法線方向の位置決めを行うアクチュエータに搭載され、
前記磁気記録媒体からの近接場による戻り光を用いて、前記薄膜磁気ヘッドと前記磁気記録媒体との間の距離が制御されることを特徴とする請求項4記載の光アシスト型磁気記録装置。
【請求項7】
集光光学系の集光スポット位置に薄膜磁気ヘッドを配置し、
前記薄膜磁気ヘッドの主磁極は、磁気記録媒体との相対的走行における流入端側の側面が前記集光光学系の光軸に沿い、且つ、前記側面の中央部に前記光軸を配置して、
前記集光光学系により、電場振動方向が前記磁場との相対的走行方向に沿う直線偏光の光を前記主磁極に入射して、前記主磁極の前記光軸に沿う先端位置から近接場光を発生して、前記磁気記録媒体に記録を行う
ことを特徴とする光アシスト磁気記録方法。
【請求項8】
前記集光光学系に、半球型又は超半球型のソリッドイマージョンレンズを用いることを特徴とする請求項7記載の光アシスト磁気記録方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−59441(P2009−59441A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−227170(P2007−227170)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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