光アシスト式磁気記録ヘッド、情報記録再生装置
【課題】情報記録再生装置の高さを抑えながら組み立て作業性が良く、信頼性の高い情報記録再生装置、情報記録再生装置を提供する。
【解決手段】光を照射するヘッドを先端に備えたサスペンションと、サスペンションを支持するアームと、ヘッドが光を照射する側のアームの面上に配置された光を発光する光源と、光源からヘッドに前記光を導く導光部材と、を備えた光アシスト式磁気記録ヘッドにおいて、サスペンションは、アームとヘッドの間に開口部を有し、導光部材は、光源から開口部を通ってヘッドに光を入射するように配置されていることを特徴とする光アシスト式磁気記録ヘッド。
【解決手段】光を照射するヘッドを先端に備えたサスペンションと、サスペンションを支持するアームと、ヘッドが光を照射する側のアームの面上に配置された光を発光する光源と、光源からヘッドに前記光を導く導光部材と、を備えた光アシスト式磁気記録ヘッドにおいて、サスペンションは、アームとヘッドの間に開口部を有し、導光部材は、光源から開口部を通ってヘッドに光を入射するように配置されていることを特徴とする光アシスト式磁気記録ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、光アシスト式磁気記録ヘッド、および情報記録再生装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
磁気記録方式では、記録密度が高くなると磁気ビットが外部温度等の影響を顕著に受けるようになる。このため高い保磁力を有する記録媒体が必要になるが、そのような記録媒体を使用すると記録時に必要な磁界も大きくなる。記録ヘッドによって発生する磁界は飽和磁束密度によって上限が決まるが、その値は材料限界に近づいており飛躍的な増大は望めない。そこで、記録時に局所的に加熱して磁気軟化を生じさせ、保磁力が小さくなった状態で記録し、その後に加熱を止めて自然冷却することにより、記録した磁気ビットの安定性を保証する方式が提案されている。この方式は熱アシスト磁気記録方式と呼ばれている。
【０００３】
熱アシスト磁気記録方式では、記録媒体の加熱を瞬間的に行うことが望ましい。また、加熱する機構と記録媒体とが接触することは許されない。このため、加熱は光の吸収を利用して行われるのが一般的であり、加熱に光を用いる方式は光アシスト磁気記録方式と呼ばれている。
【０００４】
光アシスト磁気記録方式に用いられるヘッドは、レーザ光源からのレーザ光を、ヘッド本体部に形成された開口に導いて、開口から記録媒体にレーザ光を射出している。レーザ光源は、例えばヘッドを支持するアーム上に設けられ、レーザ光源から射出した光は光ファイバで開口に導かれる。あるいは、レーザ光源から射出した光は、光ファイバでプリズム等の光学素子に導かれ、光学素子で光路を変更されて開口に導かれる。
【０００５】
このような光アシスト式磁気記録ヘッドを用いて、両面に記録再生可能な複数枚の磁気記録ディスクに同時に記録再生する情報記録再生装置が利用されている（例えば、特許文献１参照）。
【０００６】
図７に、従来の情報記録再生装置の構成の概略を示す。図７は複数枚の記録媒体５１の両面に記録再生する従来の情報記録再生装置１００の断面図である。記録媒体５１はそれぞれスピンドル５２に取り付けられ、スピンドル５２はモータ８１により駆動されている。また、各記録媒体５１の両面に記録再生を行う各ヘッド５３のアーム１９は駆動軸５４に取り付けられ、駆動軸５４はモータ８０により駆動されている。アーム１９には光源５５が配置され、アーム１９の先端にはヘッド５３が取り付けられている。光源５５とヘッド５３は図７には図示せぬ導光部材５６により接続され、光源から射出した光はヘッド５３に入射し、開口から記録媒体５１にレーザ光を射出する。
【０００７】
次に、従来の情報記録再生装置１００の詳細について拡大図を用いて説明する。図８は図７で説明した情報記録再生装置１００の一部を拡大した断面図である。図８には情報記録再生装置１００の記録媒体５１ａ、５１ｂの両面に記録再生する４つのヘッド５３ａ、５３ｂ、５３ｃ、５３ｄと、アーム１９ａ、１９ｂ、１９ｃ、１９ｄを駆動軸５４に取り付けた部分までを図示している。
【０００８】
各ヘッド５３の記録媒体５１と対向する面と反対側の面には導光部材５６が挿入されている。光源５５はアーム１９上に配置されているが、光源５５の取り付け面はヘッド５３毎に異なっている。例えばヘッド５３ａの場合、図８のようにヘッド５３ａに導光部材５６ａを挿入する面と同じアーム１９ａの面側に光源５５ａを配置している。一方、ヘッド５３ｂの場合、図８のようにヘッド５３ｂに導光部材５６ｂを挿入する面と反対側のアーム１９ｂの面側に光源５５ｂを配置している。そのため、アーム１９ｂに穴２０ｂを設け、光源５５ｂに接続した導光部材５６ｂを穴２０ｂを通してヘッド５３ｂまで配線していた。また、光源５５ｃ、５５ｄも同様にヘッド５３ｃ、５３ｄに導光部材５６ｃ、５６ｄを挿入する面と反対側のアーム１９ｃ、１９ｄの面側にそれぞれ配置していた。
【特許文献１】特開２００２−１１７５０２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
このように、特許文献１に開示されている方法では、ヘッドに光を入射する側と反対側のアームの面に光源を設け、光ファイバをアームの穴に通して配線していたので光ファイバの折り曲げ角度が急であった。そのため、光ファイバが外れないように、例えば、光ファイバの複数ヵ所をアームに接着するなどの作業が必要であり、組み立て作業性と信頼性の点で問題があった。
【００１０】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、組み立て作業性が良く、信頼性の高い光アシスト式磁気記録ヘッド、情報記録再生装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
１．
光を照射するヘッドを先端に備えたサスペンションと、
前記サスペンションを支持するアームと、
前記ヘッドが光を照射する側の前記アームの面上に配置された前記光を発光する光源と、
前記光源から前記ヘッドに前記光を導く導光部材と、
を備えた光アシスト式磁気記録ヘッドにおいて、
前記サスペンションは、前記アームと前記ヘッドの間に開口部を有し、
前記導光部材は、前記光源から前記開口部を通って前記ヘッドに前記光を入射するように配置されていることを特徴とする光アシスト式磁気記録ヘッド。
【００１２】
２．
前記導光部材は、樹脂を材料とする導波路であることを特徴とする１に記載の光アシスト式磁気記録ヘッド。
【００１３】
３．
前記導光部材は、光ファイバであることを特徴とする１に記載の光アシスト式磁気記録ヘッド。
【００１４】
４．
記録媒体と、
前記記録媒体を回転させる駆動手段と、
前記記録媒体に光を照射する１乃至３の何れか１項に記載の光アシスト式磁気記録ヘッドと、
前記光アシスト式磁気記録ヘッドを前記記録媒体に対して相対的に移動させるヘッド移動手段と、
を有することを特徴とする情報記録再生装置。
【発明の効果】
【００１５】
本発明によれば、導光部材は光源からサスペンションの開口部を通ってヘッドに光を照射するように配置されているので、組み立て作業性が良く、信頼性の高い光アシスト式磁気記録ヘッド、情報記録再生装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１６】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を説明する。
【００１７】
〔情報記録再生装置の概略構成〕
図１及び図２に、本発明に係わる情報記録再生装置１００の構成の概略を示す。図１は情報記録再生装置１００の上面の図であり、図２は、情報記録再生装置１００の図１におけるＡ−Ａ’方向の断面図である。
【００１８】
情報記録再生装置１００は、光アシスト式磁気記録ヘッド１、記録媒体５１、駆動軸５４を主に備える。また、光アシスト式磁気記録ヘッド１は、ヘッド５３、サスペンション１８、アーム１９、光源５５、導光部材５６から構成される。
【００１９】
図１に示すように、光アシスト式磁気記録ヘッド１のヘッド５３は、アーム１９に支持されたサスペンション１８の先端に取り付けられている。アーム１９は駆動軸５４に取り付けられ、アーム１９のヘッド５３が光を照射する記録媒体５１に対向する側の面上に図１に点線で示すように光源５５が配置されている。
【００２０】
光源５５は例えば半導体レーザ素子などのレーザ光源である。光源５５から出射したレーザ光は、光源５５の発光部に接着された導光部材５６によりヘッド５３に導かれる。導光部材５６は、サスペンション１８に設けられた開口部２０を通って、ヘッド５３に光を入射するように配置されている。詳細な構成については後に説明する。
【００２１】
導光部材５６は例えば光ファイバや導波路である。光ファイバは安価であり、折り曲げることができるので光源５５からヘッド５３への配線が容易である。また、例えばフッ素化ポリイミドなどの樹脂を材料として形成した導波路は、石英を材料とする光ファイバより柔らかくさらに配線が容易であり、信頼性も高い。特に、断面が矩形形状の導波路を用いると、接着部分の面積を大きくすることができるので信頼性の高い接着を行うことができる。
【００２２】
記録媒体５１が停止しているとき、ヘッド５３はサスペンション１８によって下方に付勢されているので、ヘッド５３の底面は記録媒体５１に接している。記録媒体５１が矢印Ｃ方向に回転を開始すると、ヘッド５３は底面に発生する空気流により例えば１０〜３０ｎｍ程度の微小間隔で浮上し、記録媒体５１の磁性膜との距離を一定に保つ。
【００２３】
図２は複数枚の記録媒体５１の両面に記録再生する情報記録再生装置１００の断面図である。図２は概略の構成を説明する断面図であり、光アシスト式磁気記録ヘッド１の導光部材５６などは図示を省略している。
【００２４】
記録媒体５１はそれぞれスピンドル５２に取り付けられ、スピンドル５２はモータ８１により駆動されている。また、各記録媒体５１の両面に記録再生を行う各光アシスト式磁気記録ヘッド１のアーム１９は駆動軸５４に取り付けられ、駆動軸５４はモータ８０により駆動されている。図示せぬ制御装置は、記録媒体５１に記録されているサーボパターンをヘッド５３に搭載された再生素子で読み出し、読み出されたサーボ信号に基づいてヘッド５３の記録媒体５１上の位置検出を行う。制御装置は位置検出の結果に基づいて、モータ８０を駆動して駆動軸５４を回転させ、所定の位置まで各ヘッド５３を図１の矢印Ｂ方向に移動させる。モータ８１は本発明の駆動手段、モータ８０は本発明のヘッド移動手段である。
【００２５】
〔ヘッドの概略〕
ヘッド５３の概略構成の一例を図３に示す。
【００２６】
ヘッド５３は、サスペンション１８の先端に支持されている。ヘッド５３には、記録素子１０３、再生素子１０４が設けられている。また、ヘッド５３には、上下面を貫通する穴１０６が形成されており、穴１０６は、大径部１０６ａと小径部１０６ｂとに分けられ、大径部１０６ａの底面にはプリズム１０５が収容されている。小径部１０６ｂは、約２００ｎｍの口径で形成されており、ヘッド５３の底面において開口１０２を区画する。更に、ヘッド５３には、導光部材５６が埋設されており、導光部材５６から射出されたレーザ光がプリズムに入射されるように、導光部材５６の射出端がヘッド５３内に配置されている。導光部材５６は直径６０〜３００μｍ程度のものが用いられる。
【００２７】
情報記録時には、導光部材５６を介してプリズム１０５にレーザ光が照射される。プリズム内で屈折及び反射したレーザ光は、穴１０６の小径部１０６ｂによりガイドされるとともに、レーザビーム径が制限される。それゆえ、記録媒体５１上で所定のスポットサイズの光スポットを形成することができる。
【００２８】
このように、開口１０２を通じてレーザ光を媒体上に照射し、記録媒体５１の微小領域を加熱するとともに、当該加熱された微小領域に記録素子１０３で磁界を印加する。
【００２９】
図３ではプリズム１０５を用いた例について説明したが、光学素子はプリズム１０５に限定されるものではなくミラーやレンズなどを用いても良い。また、図４に示すように光学素子を用いないヘッド５３を用いても良い。
【００３０】
図４に示すヘッド５３は、ヘッド５３の上方から下方に向かって貫通した貫通穴１１１を形成し、貫通穴１１１に導光部材５６を、その先端部５６ａが開口１０２に達するまで挿入している。
【００３１】
次に、本発明に係る光アシスト式磁気記録ヘッド１の詳細について拡大図を用いて説明する。図５は図２で説明した情報記録再生装置１００の一部を拡大した断面図である。図５は情報記録再生装置１００の任意の２枚の記録媒体５１ａ、５１ｂの両面に記録再生する４つの光アシスト式磁気記録ヘッド１ａ、１ｂ、１ｃ、１ｄを示している。図５には光アシスト式磁気記録ヘッド１ａ、１ｂ、１ｃ、１ｄのアーム１９ａ、１９ｂ、１９ｃ、１９ｄを駆動軸５４に取り付けた部分までを図示している。
【００３２】
光アシスト式磁気記録ヘッド１ａの断面構造について図５を用いて説明する。
【００３３】
光源５５ａは、アーム１９ａのヘッド５３ａが記録媒体５１ａに光を照射する側の面に配置されている。光源５５ａには、導光部材５６ａに光源５５ａの発光する光が入射するように取り付けられている。導光部材５６ａは、サスペンション１８の開口部２０ａを通ってヘッド５３ａに光源５５ａの光を入射するよう挿入されている。図５に示すように、導光部材５６ａは、光源５５ａとサスペンション１８の開口部２０ａの間はアーム１９ａの面と略平行に配置され、開口部２０ａからは、緩やかな角度で曲げられてヘッド５３ａに挿入されている。
【００３４】
このように導光部材５６ａの曲げ角度が緩やかなので、導光部材５６ａの光源５５ａとヘッド５３ａの間の接着個所は１個所で十分であり組み立て作業性が良く、信頼性が高い。
【００３５】
図５に示すように、情報記録再生装置１００に用いられている光アシスト式磁気記録ヘッド１ａ、１ｂ、１ｃ、１ｄは全て同じ構造であり、部品管理、組み立て作業などが容易である。光アシスト式磁気記録ヘッド１ａ、１ｂは記録媒体５１ａの両面に、光アシスト式磁気記録ヘッド１ｃ、１ｄは記録媒体５１ｂの両面にそれぞれ光を照射するように配置されている。光源５５ｂ、５５ｃは、それぞれアーム１９ｂ、１９ｃのヘッド５３ｂ、５３ｃが記録媒体５１ａ、５１ｂに光を照射する側の面に配置されているので、光源５５ｂと光源５５ｃが干渉することはなくアーム１９ｂとアーム１９ｃの間の距離Ｈを短縮できる。
【００３６】
次に、図６を用いてアーム１９上に配置された光源５５の位置関係を説明する。図６は、本発明に係る光アシスト式磁気記録ヘッド１の平面図である。図６では、図５の断面図で説明した情報記録再生装置１００のヘッド５３の開口１０２の側から見た光源５５の位置関係を図示している。
【００３７】
図６は本発明の実施形態の平面図である。図６に示すように光源５５はアーム１９上に配置されている。光源５５はアーム１９上のどの位置でも良いが、サスペンション１８に近い位置であれば導光部材５６の長さを短くすることができる。一方、光源５５を駆動軸５４の回転中心Ｘに近い位置に配置すると、駆動軸５４の回転による光源５５の回転モーメントが少なくなりモータ８０によるヘッド５３の位置制御が容易になる。これらの点を考慮して最適な位置に光源５５を配置することが好ましい。
【００３８】
以上このように、本発明によれば、組み立て作業性が良く、信頼性の高い光アシスト式磁気記録ヘッド、情報記録再生装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【００３９】
【図１】本発明に係る情報記録再生装置の構成例を示す説明図である。
【図２】本発明に係る情報記録再生装置の断面図である。
【図３】本発明に係る光学素子を用いるヘッドの一例の概略構成である。
【図４】本発明に係る光学素子を用いないヘッドの一例の概略構成である。
【図５】本発明に係る情報記録再生装置の一部を拡大した断面図である。
【図６】本発明に係る光アシスト式磁気記録ヘッド１の平面図である。
【図７】従来の情報記録再生装置の断面図である。
【図８】従来の情報記録再生装置の一部を拡大した断面図である。
【符号の説明】
【００４０】
１ 光アシスト式磁気記録ヘッド
１８ サスペンション部
１９ アーム
２０ 開口部
５１ 記録媒体
５２ スピンドル
５３ ヘッド
５４ 駆動軸
５５ 光源
５６ 光ファイバ
８０ モータ
１００ 情報記録再生装置
１０２ 開口
【技術分野】
【０００１】
本発明は、光アシスト式磁気記録ヘッド、および情報記録再生装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
磁気記録方式では、記録密度が高くなると磁気ビットが外部温度等の影響を顕著に受けるようになる。このため高い保磁力を有する記録媒体が必要になるが、そのような記録媒体を使用すると記録時に必要な磁界も大きくなる。記録ヘッドによって発生する磁界は飽和磁束密度によって上限が決まるが、その値は材料限界に近づいており飛躍的な増大は望めない。そこで、記録時に局所的に加熱して磁気軟化を生じさせ、保磁力が小さくなった状態で記録し、その後に加熱を止めて自然冷却することにより、記録した磁気ビットの安定性を保証する方式が提案されている。この方式は熱アシスト磁気記録方式と呼ばれている。
【０００３】
熱アシスト磁気記録方式では、記録媒体の加熱を瞬間的に行うことが望ましい。また、加熱する機構と記録媒体とが接触することは許されない。このため、加熱は光の吸収を利用して行われるのが一般的であり、加熱に光を用いる方式は光アシスト磁気記録方式と呼ばれている。
【０００４】
光アシスト磁気記録方式に用いられるヘッドは、レーザ光源からのレーザ光を、ヘッド本体部に形成された開口に導いて、開口から記録媒体にレーザ光を射出している。レーザ光源は、例えばヘッドを支持するアーム上に設けられ、レーザ光源から射出した光は光ファイバで開口に導かれる。あるいは、レーザ光源から射出した光は、光ファイバでプリズム等の光学素子に導かれ、光学素子で光路を変更されて開口に導かれる。
【０００５】
このような光アシスト式磁気記録ヘッドを用いて、両面に記録再生可能な複数枚の磁気記録ディスクに同時に記録再生する情報記録再生装置が利用されている（例えば、特許文献１参照）。
【０００６】
図７に、従来の情報記録再生装置の構成の概略を示す。図７は複数枚の記録媒体５１の両面に記録再生する従来の情報記録再生装置１００の断面図である。記録媒体５１はそれぞれスピンドル５２に取り付けられ、スピンドル５２はモータ８１により駆動されている。また、各記録媒体５１の両面に記録再生を行う各ヘッド５３のアーム１９は駆動軸５４に取り付けられ、駆動軸５４はモータ８０により駆動されている。アーム１９には光源５５が配置され、アーム１９の先端にはヘッド５３が取り付けられている。光源５５とヘッド５３は図７には図示せぬ導光部材５６により接続され、光源から射出した光はヘッド５３に入射し、開口から記録媒体５１にレーザ光を射出する。
【０００７】
次に、従来の情報記録再生装置１００の詳細について拡大図を用いて説明する。図８は図７で説明した情報記録再生装置１００の一部を拡大した断面図である。図８には情報記録再生装置１００の記録媒体５１ａ、５１ｂの両面に記録再生する４つのヘッド５３ａ、５３ｂ、５３ｃ、５３ｄと、アーム１９ａ、１９ｂ、１９ｃ、１９ｄを駆動軸５４に取り付けた部分までを図示している。
【０００８】
各ヘッド５３の記録媒体５１と対向する面と反対側の面には導光部材５６が挿入されている。光源５５はアーム１９上に配置されているが、光源５５の取り付け面はヘッド５３毎に異なっている。例えばヘッド５３ａの場合、図８のようにヘッド５３ａに導光部材５６ａを挿入する面と同じアーム１９ａの面側に光源５５ａを配置している。一方、ヘッド５３ｂの場合、図８のようにヘッド５３ｂに導光部材５６ｂを挿入する面と反対側のアーム１９ｂの面側に光源５５ｂを配置している。そのため、アーム１９ｂに穴２０ｂを設け、光源５５ｂに接続した導光部材５６ｂを穴２０ｂを通してヘッド５３ｂまで配線していた。また、光源５５ｃ、５５ｄも同様にヘッド５３ｃ、５３ｄに導光部材５６ｃ、５６ｄを挿入する面と反対側のアーム１９ｃ、１９ｄの面側にそれぞれ配置していた。
【特許文献１】特開２００２−１１７５０２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
このように、特許文献１に開示されている方法では、ヘッドに光を入射する側と反対側のアームの面に光源を設け、光ファイバをアームの穴に通して配線していたので光ファイバの折り曲げ角度が急であった。そのため、光ファイバが外れないように、例えば、光ファイバの複数ヵ所をアームに接着するなどの作業が必要であり、組み立て作業性と信頼性の点で問題があった。
【００１０】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、組み立て作業性が良く、信頼性の高い光アシスト式磁気記録ヘッド、情報記録再生装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
１．
光を照射するヘッドを先端に備えたサスペンションと、
前記サスペンションを支持するアームと、
前記ヘッドが光を照射する側の前記アームの面上に配置された前記光を発光する光源と、
前記光源から前記ヘッドに前記光を導く導光部材と、
を備えた光アシスト式磁気記録ヘッドにおいて、
前記サスペンションは、前記アームと前記ヘッドの間に開口部を有し、
前記導光部材は、前記光源から前記開口部を通って前記ヘッドに前記光を入射するように配置されていることを特徴とする光アシスト式磁気記録ヘッド。
【００１２】
２．
前記導光部材は、樹脂を材料とする導波路であることを特徴とする１に記載の光アシスト式磁気記録ヘッド。
【００１３】
３．
前記導光部材は、光ファイバであることを特徴とする１に記載の光アシスト式磁気記録ヘッド。
【００１４】
４．
記録媒体と、
前記記録媒体を回転させる駆動手段と、
前記記録媒体に光を照射する１乃至３の何れか１項に記載の光アシスト式磁気記録ヘッドと、
前記光アシスト式磁気記録ヘッドを前記記録媒体に対して相対的に移動させるヘッド移動手段と、
を有することを特徴とする情報記録再生装置。
【発明の効果】
【００１５】
本発明によれば、導光部材は光源からサスペンションの開口部を通ってヘッドに光を照射するように配置されているので、組み立て作業性が良く、信頼性の高い光アシスト式磁気記録ヘッド、情報記録再生装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１６】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を説明する。
【００１７】
〔情報記録再生装置の概略構成〕
図１及び図２に、本発明に係わる情報記録再生装置１００の構成の概略を示す。図１は情報記録再生装置１００の上面の図であり、図２は、情報記録再生装置１００の図１におけるＡ−Ａ’方向の断面図である。
【００１８】
情報記録再生装置１００は、光アシスト式磁気記録ヘッド１、記録媒体５１、駆動軸５４を主に備える。また、光アシスト式磁気記録ヘッド１は、ヘッド５３、サスペンション１８、アーム１９、光源５５、導光部材５６から構成される。
【００１９】
図１に示すように、光アシスト式磁気記録ヘッド１のヘッド５３は、アーム１９に支持されたサスペンション１８の先端に取り付けられている。アーム１９は駆動軸５４に取り付けられ、アーム１９のヘッド５３が光を照射する記録媒体５１に対向する側の面上に図１に点線で示すように光源５５が配置されている。
【００２０】
光源５５は例えば半導体レーザ素子などのレーザ光源である。光源５５から出射したレーザ光は、光源５５の発光部に接着された導光部材５６によりヘッド５３に導かれる。導光部材５６は、サスペンション１８に設けられた開口部２０を通って、ヘッド５３に光を入射するように配置されている。詳細な構成については後に説明する。
【００２１】
導光部材５６は例えば光ファイバや導波路である。光ファイバは安価であり、折り曲げることができるので光源５５からヘッド５３への配線が容易である。また、例えばフッ素化ポリイミドなどの樹脂を材料として形成した導波路は、石英を材料とする光ファイバより柔らかくさらに配線が容易であり、信頼性も高い。特に、断面が矩形形状の導波路を用いると、接着部分の面積を大きくすることができるので信頼性の高い接着を行うことができる。
【００２２】
記録媒体５１が停止しているとき、ヘッド５３はサスペンション１８によって下方に付勢されているので、ヘッド５３の底面は記録媒体５１に接している。記録媒体５１が矢印Ｃ方向に回転を開始すると、ヘッド５３は底面に発生する空気流により例えば１０〜３０ｎｍ程度の微小間隔で浮上し、記録媒体５１の磁性膜との距離を一定に保つ。
【００２３】
図２は複数枚の記録媒体５１の両面に記録再生する情報記録再生装置１００の断面図である。図２は概略の構成を説明する断面図であり、光アシスト式磁気記録ヘッド１の導光部材５６などは図示を省略している。
【００２４】
記録媒体５１はそれぞれスピンドル５２に取り付けられ、スピンドル５２はモータ８１により駆動されている。また、各記録媒体５１の両面に記録再生を行う各光アシスト式磁気記録ヘッド１のアーム１９は駆動軸５４に取り付けられ、駆動軸５４はモータ８０により駆動されている。図示せぬ制御装置は、記録媒体５１に記録されているサーボパターンをヘッド５３に搭載された再生素子で読み出し、読み出されたサーボ信号に基づいてヘッド５３の記録媒体５１上の位置検出を行う。制御装置は位置検出の結果に基づいて、モータ８０を駆動して駆動軸５４を回転させ、所定の位置まで各ヘッド５３を図１の矢印Ｂ方向に移動させる。モータ８１は本発明の駆動手段、モータ８０は本発明のヘッド移動手段である。
【００２５】
〔ヘッドの概略〕
ヘッド５３の概略構成の一例を図３に示す。
【００２６】
ヘッド５３は、サスペンション１８の先端に支持されている。ヘッド５３には、記録素子１０３、再生素子１０４が設けられている。また、ヘッド５３には、上下面を貫通する穴１０６が形成されており、穴１０６は、大径部１０６ａと小径部１０６ｂとに分けられ、大径部１０６ａの底面にはプリズム１０５が収容されている。小径部１０６ｂは、約２００ｎｍの口径で形成されており、ヘッド５３の底面において開口１０２を区画する。更に、ヘッド５３には、導光部材５６が埋設されており、導光部材５６から射出されたレーザ光がプリズムに入射されるように、導光部材５６の射出端がヘッド５３内に配置されている。導光部材５６は直径６０〜３００μｍ程度のものが用いられる。
【００２７】
情報記録時には、導光部材５６を介してプリズム１０５にレーザ光が照射される。プリズム内で屈折及び反射したレーザ光は、穴１０６の小径部１０６ｂによりガイドされるとともに、レーザビーム径が制限される。それゆえ、記録媒体５１上で所定のスポットサイズの光スポットを形成することができる。
【００２８】
このように、開口１０２を通じてレーザ光を媒体上に照射し、記録媒体５１の微小領域を加熱するとともに、当該加熱された微小領域に記録素子１０３で磁界を印加する。
【００２９】
図３ではプリズム１０５を用いた例について説明したが、光学素子はプリズム１０５に限定されるものではなくミラーやレンズなどを用いても良い。また、図４に示すように光学素子を用いないヘッド５３を用いても良い。
【００３０】
図４に示すヘッド５３は、ヘッド５３の上方から下方に向かって貫通した貫通穴１１１を形成し、貫通穴１１１に導光部材５６を、その先端部５６ａが開口１０２に達するまで挿入している。
【００３１】
次に、本発明に係る光アシスト式磁気記録ヘッド１の詳細について拡大図を用いて説明する。図５は図２で説明した情報記録再生装置１００の一部を拡大した断面図である。図５は情報記録再生装置１００の任意の２枚の記録媒体５１ａ、５１ｂの両面に記録再生する４つの光アシスト式磁気記録ヘッド１ａ、１ｂ、１ｃ、１ｄを示している。図５には光アシスト式磁気記録ヘッド１ａ、１ｂ、１ｃ、１ｄのアーム１９ａ、１９ｂ、１９ｃ、１９ｄを駆動軸５４に取り付けた部分までを図示している。
【００３２】
光アシスト式磁気記録ヘッド１ａの断面構造について図５を用いて説明する。
【００３３】
光源５５ａは、アーム１９ａのヘッド５３ａが記録媒体５１ａに光を照射する側の面に配置されている。光源５５ａには、導光部材５６ａに光源５５ａの発光する光が入射するように取り付けられている。導光部材５６ａは、サスペンション１８の開口部２０ａを通ってヘッド５３ａに光源５５ａの光を入射するよう挿入されている。図５に示すように、導光部材５６ａは、光源５５ａとサスペンション１８の開口部２０ａの間はアーム１９ａの面と略平行に配置され、開口部２０ａからは、緩やかな角度で曲げられてヘッド５３ａに挿入されている。
【００３４】
このように導光部材５６ａの曲げ角度が緩やかなので、導光部材５６ａの光源５５ａとヘッド５３ａの間の接着個所は１個所で十分であり組み立て作業性が良く、信頼性が高い。
【００３５】
図５に示すように、情報記録再生装置１００に用いられている光アシスト式磁気記録ヘッド１ａ、１ｂ、１ｃ、１ｄは全て同じ構造であり、部品管理、組み立て作業などが容易である。光アシスト式磁気記録ヘッド１ａ、１ｂは記録媒体５１ａの両面に、光アシスト式磁気記録ヘッド１ｃ、１ｄは記録媒体５１ｂの両面にそれぞれ光を照射するように配置されている。光源５５ｂ、５５ｃは、それぞれアーム１９ｂ、１９ｃのヘッド５３ｂ、５３ｃが記録媒体５１ａ、５１ｂに光を照射する側の面に配置されているので、光源５５ｂと光源５５ｃが干渉することはなくアーム１９ｂとアーム１９ｃの間の距離Ｈを短縮できる。
【００３６】
次に、図６を用いてアーム１９上に配置された光源５５の位置関係を説明する。図６は、本発明に係る光アシスト式磁気記録ヘッド１の平面図である。図６では、図５の断面図で説明した情報記録再生装置１００のヘッド５３の開口１０２の側から見た光源５５の位置関係を図示している。
【００３７】
図６は本発明の実施形態の平面図である。図６に示すように光源５５はアーム１９上に配置されている。光源５５はアーム１９上のどの位置でも良いが、サスペンション１８に近い位置であれば導光部材５６の長さを短くすることができる。一方、光源５５を駆動軸５４の回転中心Ｘに近い位置に配置すると、駆動軸５４の回転による光源５５の回転モーメントが少なくなりモータ８０によるヘッド５３の位置制御が容易になる。これらの点を考慮して最適な位置に光源５５を配置することが好ましい。
【００３８】
以上このように、本発明によれば、組み立て作業性が良く、信頼性の高い光アシスト式磁気記録ヘッド、情報記録再生装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【００３９】
【図１】本発明に係る情報記録再生装置の構成例を示す説明図である。
【図２】本発明に係る情報記録再生装置の断面図である。
【図３】本発明に係る光学素子を用いるヘッドの一例の概略構成である。
【図４】本発明に係る光学素子を用いないヘッドの一例の概略構成である。
【図５】本発明に係る情報記録再生装置の一部を拡大した断面図である。
【図６】本発明に係る光アシスト式磁気記録ヘッド１の平面図である。
【図７】従来の情報記録再生装置の断面図である。
【図８】従来の情報記録再生装置の一部を拡大した断面図である。
【符号の説明】
【００４０】
１ 光アシスト式磁気記録ヘッド
１８ サスペンション部
１９ アーム
２０ 開口部
５１ 記録媒体
５２ スピンドル
５３ ヘッド
５４ 駆動軸
５５ 光源
５６ 光ファイバ
８０ モータ
１００ 情報記録再生装置
１０２ 開口
【特許請求の範囲】
【請求項１】
光を照射するヘッドを先端に備えたサスペンションと、
前記サスペンションを支持するアームと、
前記ヘッドが光を照射する側の前記アームの面上に配置された前記光を発光する光源と、
前記光源から前記ヘッドに前記光を導く導光部材と、
を備えた光アシスト式磁気記録ヘッドにおいて、
前記サスペンションは、前記アームと前記ヘッドの間に開口部を有し、
前記導光部材は、前記光源から前記開口部を通って前記ヘッドに前記光を入射するように配置されていることを特徴とする光アシスト式磁気記録ヘッド。
【請求項２】
前記導光部材は、樹脂を材料とする導波路であることを特徴とする請求項１に記載の光アシスト式磁気記録ヘッド。
【請求項３】
前記導光部材は、光ファイバであることを特徴とする請求項１に記載の光アシスト式磁気記録ヘッド。
【請求項４】
記録媒体と、
前記記録媒体を回転させる駆動手段と、
前記記録媒体に光を照射する請求項１乃至３の何れか１項に記載の光アシスト式磁気記録ヘッドと、
前記光アシスト式磁気記録ヘッドを前記記録媒体に対して相対的に移動させるヘッド移動手段と、
を有することを特徴とする情報記録再生装置。
【請求項１】
光を照射するヘッドを先端に備えたサスペンションと、
前記サスペンションを支持するアームと、
前記ヘッドが光を照射する側の前記アームの面上に配置された前記光を発光する光源と、
前記光源から前記ヘッドに前記光を導く導光部材と、
を備えた光アシスト式磁気記録ヘッドにおいて、
前記サスペンションは、前記アームと前記ヘッドの間に開口部を有し、
前記導光部材は、前記光源から前記開口部を通って前記ヘッドに前記光を入射するように配置されていることを特徴とする光アシスト式磁気記録ヘッド。
【請求項２】
前記導光部材は、樹脂を材料とする導波路であることを特徴とする請求項１に記載の光アシスト式磁気記録ヘッド。
【請求項３】
前記導光部材は、光ファイバであることを特徴とする請求項１に記載の光アシスト式磁気記録ヘッド。
【請求項４】
記録媒体と、
前記記録媒体を回転させる駆動手段と、
前記記録媒体に光を照射する請求項１乃至３の何れか１項に記載の光アシスト式磁気記録ヘッドと、
前記光アシスト式磁気記録ヘッドを前記記録媒体に対して相対的に移動させるヘッド移動手段と、
を有することを特徴とする情報記録再生装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【公開番号】特開２００８−２１０４６５（Ｐ２００８−２１０４６５Ａ）
【公開日】平成２０年９月１１日（２００８．９．１１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−４６９１４（Ｐ２００７−４６９１４）
【出願日】平成１９年２月２７日（２００７．２．２７）
【出願人】（３０３０００４０８）コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年９月１１日（２００８．９．１１）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年２月２７日（２００７．２．２７）
【出願人】（３０３０００４０８）コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Ｆターム（参考）】
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