説明

光アドレスRFID素子

光アドレスRFID機能が組み込まれた、コネクタ、ケーブル、ケーブルアセンブリ、ネットワークコンポーネント及びシステムが提供される。総体的に光アドレスRFID素子も提供される。RFID素子は光ファイバを通って進行している光信号の一部を変換器に導くために光タップを利用する。変換器は、RFID素子の集積回路に情報を書き込むため、RFID素子にRF信号を送るため及び/またはRFID素子に電力を供給するために用いることができる、電気信号をつくる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全般的には無線個体識別(RFID)素子に関する。さらに詳しくは、本発明は光アドレスRFID素子及び、そのようなRFID素子を用いる、光ファイバコネクタ、ケーブル、ケーブルアセンブリ、ネットワークコンポーネント及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバケーブルは光デバイス及び光システムの接続に周知である。複数本のファイバを備え、1つないしさらに多くのコネクタを有するケーブルがある。「コネクタ付」ケーブルでは製作中にコネクタが取り付けられているが、他のケーブルでは成端処理がなされ、コネクタは敷設時に取り付けられる。パッチケーブル、ジャンパーケーブル及びファンアウトケーブルアセンブリとして知られるケーブルは、比較的短いことが多く、それぞれの末端に1つないしさらに多くのコネクタを有する。使用において、それぞれのコネクタは、装置、パッチパネル、別のコネクタ、アダプタ等の一部に配置されたポートまたはソケット内に配されるであろう。
【0003】
光ファイバ装置及びネットワークはますます普及し、ますます複雑になるから、それに応じて、システムの施設及び維持のための適切なケーブル、ポート及びコネクタの識別がますます複雑になる。したがって、特定のファイバ、ケーブル及び/またはコネクタの識別に役立てるため、ラベル、吊下げタグ、マーキング、彩色及び識別線のような標識が用いられている。そのような標識はシステムの施設または修理を行う技工への情報の提供に役立っているが、さらなる改善が達成され得るであろう。
【0004】
したがって、ファイバ、コネクタ、コンポーネント及びポートに関する情報を提供するため、RFIDシステムを光ファイバシステムに適用することができる。例えば、識別に用いるため、(トランスポンダーとして機能する、アンテナ及びRFID集積回路チップを有する)RFID素子をコネクタ及びポートに取り付けることができるであろう。RFIDチップはRF送信のための情報を格納する。一般に、そのようなRFID素子は、能動ではなく、受動であるように提案され、したがって、RFID素子アンテナで受信されたRF信号による呼掛けに応答して格納情報を送る。次いで、RFID素子にRF信号を送り、RFID素子によって送られた応答RF信号を読み取る、トランシーバを備えるRF読取器が、ケーブル、コネクタ、コンポーネント及び/またはポートに関する格納情報を決定するために、RFID素子に呼び掛けることができる。
【0005】
半受動または能動RFID素子には、電気接続、電池、等によって電力を供給することができる。複雑な電気−光システムにおけるそのようなRFID素子の使用は、そのような電源内蔵システムの組込のコスト及び複雑さのため、困難である。基本的に、様々なRFID素子に独立電源及び接続を設けなければならず、電池は時々交換しなければならない。個別の、モジュラーコンポーネント及び/または部品変更可能コンポーネントを用いてシステムが構築されている場合、一般的な電源内蔵RFIDシステムの使用は不利になる。したがって、受動RFID素子をそのような用途に有利に用いるための手段を見いだすことが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、個別の、モジュラーコンポーネント及び/または部品変更可能コンポーネントを用いて構築された複雑な電気−光システムシステムに、受動RFID素子を有利に用いるための手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のいくつかの態様にしたがえば、光信号を伝送できる光ファイバとともに用いるためのコンポーネントが開示され、コンポーネントは、筐体、筐体に取り付けられた光タップ、筐体に取り付けられた、光タップと通じる変換器、及び筐体に取り付けられたRFID素子を有し、筐体は光ファイバに接続可能であり、光タップは光ファイバから光信号の一部を導き、変換器は光信号の一部に応答して電気信号を発生し、RFID素子は変換器と電気的に通じる集積回路を有する。光ファイバが光信号を伝送するときに、光タップが光ファイバから光信号の一部を導き、変換器が電気信号を発生してRFID素子の集積回路に送る。あるいは、RFID素子を光ファイバコンポーネントから分離し、それでも光ファイバまたはその他の手段によって光タップに接続しておくことができるであろう。様々な任意要素選択及び改変が可能である。
【0008】
例えば、変換器は光検出器及び/または変換器回路を有することができる。光検出器にはフォトダイオードデバイスまたは光起電力デバイスを含めることができる。
【0009】
望ましければ、光信号の光タップで分離された部分は、RFID素子に対する弁別信号を発生するに十分な、約100nWないしさらに大きな光パワーを有し、必要であればコンデンサまたはエネルギー貯蔵デバイスによってこのパワーを強めることができる。
【0010】
変換器は、変換器で発生される電気信号がRF信号をRFID読取器に送信するためにRFID素子に電力を少なくともある程度供給するように、構成することができる。また、変換器は、変換器で発生される電気信号が集積回路にデータを書き込むための電力をRFID素子に少なくともある程度供給するように、構成することもできる。望ましければ、書き込まれるデータは、光ファイバの接続路の識別、光ファイバの伝送状態、日付及び時刻の内の少なくとも1つに関する情報を含むことができる。あるいは、変換器は、変換器で発生されるRF信号がRFID素子との交信のためにRFID素子に送られるように、構成することができる。
【0011】
本発明の別の態様にしたがえば、検出能力を備える光ファイバケーブルが開示され、ケーブルは光信号を伝送するための光ファイバ及び検出構造を有する。検出構造は、光ファイバから光信号の一部を導き、光信号の大部分を通過させるための、光ファイバに沿って配された光タップ、光タップと通じる変換器、及び変換器と電気的に通じる集積回路を有するRFID素子を有し、変換器は光タップによって光ファイバから導かれる光信号の一部に応答して電気信号を発生する。光ファイバが光信号を伝送しているときに、光タップが光ファイバから光信号の一部を導き、変換器が電気信号を発生してRFID素子の集積回路に送る。上述と同様に、様々な任意要素選択及び改変が可能である。
【0012】
また、ケーブルはさらに、光ファイバに沿い、間隔をおいて配された複数の検出構造を有することもできる。検出構造はそれぞれの集積回路に、前記間隔において、光ファイバの伝送状態を示す電気信号を発生することができる。
【0013】
本発明のいくつかの別の態様にしたがえば、光信号を伝送できる光ファイバとともに使用するための光アドレスRFID素子が開示される。RFID素子は、光ファイバから光信号の一部を導き、光信号の大部分を通過させるための、光ファイバに沿って配された光タップを有する。RFID素子は、光タップと通じ、光タップによって光ファイバから導かれる光信号の一部に応答して電気信号を発生する、変換器も有する。RFID素子はさらに、RFID機能のために構成され、変換器と電気的に通じる、集積回路を有する。RFID素子は、集積回路と電気的に通じるアンテナも有する。光ファイバが光信号を伝送しているときに、光タップが光ファイバから光信号の一部を導き、変換器が電気信号を発生してRFID素子の集積回路に送る。上述と同様に、様々な任意要素選択及び改変が可能である。
【0014】
本発明のまた別の態様にしたがえば、複数の相互接続された通信コンポーネント及び複数本の光ファイバ、及び複数のRFID素子を備える通信システムが開示され、RFID素子は複数の相互接続された通信コンポーネントの1つないしさらに多くに、光ファイバに近接して、取り付けられ、RFID素子は光アドレスRFID素子である。RFID素子は、光ファイバから光信号の一部を導き、光信号の大部分を通過させるための、光ファイバの内の1本に沿って配することができる光タップ、光タップと通じる変換器、RFID機能のために構成され、変換器と電気的に通じる、集積回路、及び集積回路と電気的に通じるアンテナを有し、変換器は光タップによって光ファイバから導かれる光信号の一部に応答して電気信号を発生し、光ファイバが光信号を伝送しているときに、光タップが光ファイバから光信号の一部を導き、変換器が電気信号を発生して集積回路に送り、集積回路はアンテナからRF信号を受け取るためにRF受信器と交信する。上述と同様に、様々な任意要素選択及び改変が可能である。
【0015】
望ましければ、変換器は、変換器で発生される電気信号がRF信号をRF受信器に送信するためにそれぞれの集積回路及びアンテナに電力を少なくともある程度供給するように、構成することができる。変換器は、変換器で発生された電気信号がそれぞれの集積回路へのデータ書込のための電力をRFID素子に少なくともある程度供給するように、構成することができる。書き込まれるデータは、光ファイバの接続路の識別、光ファイバの伝送状態、日付及び時刻の内の少なくとも1つに関する情報を含むことができる。変換器は、既知のRFIDコマンドによるRFID素子との交信のためにRF信号がRFID素子に与えられるように、構成することもできる。RF受信器には、データを含む応答RF信号をRF受信器に送るために、それぞれの集積回路及びアンテナに電力を供給する、トランシーバを含めることができる。
【0016】
上述の全般的説明及び以下の詳細な説明がいずれも本発明の様々な態様の例を提示し、特許請求されるような本発明の態様の性質及び特徴の理解のための概要または枠組みの提供が目的とされていることは当然である。添付図面は本発明の様々な態様のさらに深い理解を提供するために含められ、本明細書に組み入れられて、本明細書の一部をなす。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態にしたがう、ネットワークコンポーネントとともに用いられる光アドレスRFID素子を、外部RF信号源とともに、表す略図
【図2】本発明のいくつかの態様にしたがう、図1におけるような光アドレスRFID素子を有する、光ファイバコンポーネントを、外部RF信号源とともに、表す略図
【図3】本発明のいくつかの態様にしたがう、図1におけるような光アドレスRFID素子を有する、光ファイバケーブルを、外部RF信号源とともに、表す略図
【図4】本発明のいくつかの態様にしたがう、複数の光アドレスRFID素子を備えるシステムを、複数の外部RF信号源とともに、表す略図
【発明を実施するための形態】
【0018】
例が添付図面に示される、本発明の現在好ましい実施形態をここで詳細に参照する。可能であれば必ず、図面を通して同じかまたは同様の参照数字が同じかまたは同様の要素を指して用いられる。図1〜4は光アドレスRFID素子の例、並びにそのようなRFID素子が用いられる、コネクタ、ケーブル、ケーブルアセンブリ、通信コンポーネント及びシステムの例を示す。例示実施形態は、RFID素子の、単純で、信頼でき、及び/または目立たない電力供給及び/またはRFID素子へのRF信号送信及び/またはRFID素子集積回路へのデータ書込を可能にするために光アドレスRFID技術を用いる。本明細書に開示される実施形態が例に過ぎず、それぞれに本発明のいくつかの態様及び恩恵が組み入れられていることは当然である。以下の例には本発明の範囲内で様々な改変及び変更がなされ得る。また、様々な例の態様は、様々に組み合わせてまた別の例を達成することができる。したがって、本発明の真の範囲は、以下の例の観点において、ただしこれらには限定されずに、本発明の全体から理解されるべきである。
【0019】
図1は本発明のいくつかの態様にしたがう光アドレスRFID素子10の第1の例を示す。本明細書に用いられるように、術語「光アドレス」は、光信号を用いるRFID素子へのデータ書込、光信号を用いるRFID素子へのRF信号送信及び/または光信号を用いるRFID素子への少なくともある程度の電力供給を可能にする、RFID素子10の能力を含むとされるが、これらには限定されない。図示されるように、RFID素子10は、アンテナ12,集積回路14,簡略に表された光タップ16及び変換器18を有する。要素12〜18を支持するために基板20を設けることができる。RFID素子10とともに用いるための、読取器、トランシーバ等のような、外部RF信号24の信号源22も図示される。RFID素子10はネットワークコンポーネントNに、光ファイバ26に隣接して、配置され取り付けられて示される。ネットワークコンポーネントNは光信号を伝送する通信装置のいずれか、及び/または光ファイバを含む。
【0020】
RFID素子10は、望ましければ、従来のRFID素子とある程度同様の態様で、すなわちアンテナ12を介して、読取器、トランシーバ等からの外部RF信号24を受信することによって、動作することができる。電気接続27を介してアンテナ12に電気的と通じる集積回路14が、様々な態様のいずれかで受信信号を処理し、応答することができる。例えば、集積回路14はアンテナ12に電気信号を送り、RFID読取器への応答RF信号を送信させることができる。応答RF信号の範囲内にある信号源22及び/または他のいずれかのRF読取デバイスは応答RF信号を受信し、処理することができる。そのような機能は様々な用途で望まれるように、例えばRFID素子10または複数のそのような素子の存在、場所またはステータスを識別するために用いることができる。外部信号24によって送信される情報は、望ましければ、例えばRFID素子に識別番号を割り振るため、または集積回路14のメモリにデータを書き込むために、RFID素子10上の集積回路またはその他の構造に格納することができる。
【0021】
RFID素子10は、光ファイバ26のような、光入力を供給するいかなる種類のデバイスにも、あるいはいずれかのデバイス部品または場所にも取り付けることができ、RFID素子の大きさ及び形状並びに用途によってのみ制限される。一般に、RFID素子によって受け取られる信号電力は、RF信号源22とRFID素子10の間の距離の二乗に反比例して変わるであろう。利用できる信号強度、RF信号フェージング、干渉、及び信号源22とRFID素子10の雑音、並びに使用周囲環境等もRFID素子10の利用に強い影響を与え、その性能及び読取範囲に影響することができる。
【0022】
RFID素子10の変換器18は電気接続28を介して集積回路14に電気的に接続される。変換器18によって発生される電気信号を処理するため、変換器18と集積回路14の間に変換器回路30を備えることができる。
【0023】
光ファイバ26を通って進行している光信号の一部を方向転換させるため、光タップ16が光ファイバ26に隣接して配される。変換器18は、光タップ16によって光ファイバ26から導かれる光の一部の少なくともいくらかを受け取ることができるように、光タップ16の十分近くに配される。変換器18は変換器18が受け取る光に基づいて応答して電気信号を発生する。電気信号は、存在すれば、変換器回路30に送られ、さらに電気接続28を介して集積回路14に送られる。変換器18は、図示されるような、フォトダイオード、または光起電力デバイスを含むことができるが、いかなる光電変換器及び必要な処理構造及び/または回路も用いることができるであろう。
【0024】
図において、光タップ16は明解さのため簡略に示される。光タップは、光ファイバ26に沿って進行している光の一部を、ファイバの伝送任務を実行する能力を妨げずに、分離して取り出すために機能する。様々な構造及び形状で、本明細書に用いられるような、光タップ16を構成できることは当然である。例えば、光タップ16は光ファイバ26に微少曲げを施すことで構成できるであろう。あるいは、ファイバ導波路をタップ導波路に、光パワーがファイバ導波路からタップ導波路に結合されるように、近接させて配置することができるであろう。また、光ファイバ26のコアを熱膨張させることもでき、及び/または光回折格子をコアに書き込むこともできるであろう。そうすれば、光タップ16は光をファイバコアから取り出してクラッドに入れ、次いで光検出器等に向けて外に出す。クラッドからの光抜取りを向上させるため、屈折率整合液を用いることができるであろう。また、ファイバからの光抜取りを強化するため、クラッドへのある程度の表面粗さの付与、あるいはノッチの設置または研磨による薄化も、採用できるであろう。したがって、望ましければ、光ファイバからの光抜取りを補助するために様々な手法を用いることができる。そのような構造は全て、本明細書に用いられるような、光タップの一部と見なすことができる。
【0025】
変換器18で発生される電気信号は、1つないしさらに多くの目的のために集積回路14に送ることができる。例えば、電気信号は、光ファイバ26がそれを伝搬している光パワーを有しているか(すなわち活性であるか)否か、作動時刻または光信号に関係付けられるその他のパラメータに関するデータを含む、データを集積回路14に書き込むために用いることができる。したがって、RFID素子10が外部RF信号24を受信すると、RFID素子は、応答して、既に書き込まれているデータをRF信号によって送信することができる。そのようなデータ書込はRF信号24の受信時にも行うことができるであろう。あるいは、外部RF信号24ではなく、変換器18によって発生された電気信号自体を、RFID素子10によって送信されるRF信号に電力を供給するために用いることができる。そのような場合、RFID素子が信号を送信するために、外部RF信号または外部電源は必要ではない。望ましければ、変換器18からの電気信号及び外部RF信号24のいずれもがRFID素子10に電力を供給して、RFID読取器との交信を可能にすることができるであろう。
【0026】
光タップ16は、前もって定められた、RFID素子10に望ましいレベルのパワーを供給するように設計することができる。例えば、光ファイバ26で伝送されている光信号が約1mW(0dB)の公称強度を有していれば、信号の1%タップで約10μWの範囲のパワーをもつ電気信号が得られるであろう。そのようなパワーレベルはRFID素子の集積回路に電力を供給して動作させるに必要なオーダーである。しかし、本発明の別の実施形態はいかなる大きさの(または率の)信号/パワーのタップも有することができる。本発明のいくつかの実施形態において、集積回路の動作は、集積回路へのデータ書込、RF信号送信、複数のRFID素子間の交信、センサ、アクチュエータ等のモニタ及び/または制御、などを含むが、これらには限定されない。光信号レベルが高くなるほど、タップ率を小さくすることが可能になるであろう。望ましいかまたは必要であれば、光タップ及び/または光信号強度がRFID集積回路を動作させるに十分に強くはない場合にエネルギーを一度にまたはデューティサイクルにかけて貯蔵及び放電するために、コンデンサまたは細流充電蓄電池のような受動貯蔵デバイスを用いることができるであろう。多くの光ファイバケーブル用途に対し、RFID素子10がファイバ内を伝搬している光パワーを検出するために用いられるか、または変換器がRFID素子10にデータを書き込む場合、約100nWないしさらに大きい光パワーを変換器に供給するタップが、光信号損失を望ましくないレベルにすることなく、RFID素子に関係付けられる機能を実施するに適する電力を供給するであろう。しかし、上記素子の様々な特性を選択して様々な異なる動作パラメータを満たすことができる。
【0027】
さらに、本発明の別の実施形態は、外部RF信号または外部電源ではRFID素子に電力が供給されないときに光ファイバ内を伝搬している光パワーの変換器による検出を可能にするため、エネルギー貯蔵デバイスを備え、エネルギー貯蔵デバイスの2つの非限定的例を挙げると、コンデンサまたは電池がある。変換器による検出は、常時、定期的、要求時、あるいは光信号の存在、パワーレベルまたはその他のパラメータに関するいくつかの所望の情報を提供するための任意の時間間隔または選択命令時とすることができる。本発明のいくつかの実施形態において、変換器は、約100ミリ秒から約500ミリ秒の時間内にファイバ内の光信号を測定するために、約−40dBmの感度を有する1つないしさらに多くのフォトダイオードを有し、そのような測定は、非限定的例を挙げると1分間に一度のような、前もって定められているかまたは選ばれた間隔でなされる。本発明のまた別の実施形態は、外部RF信号または外部電源ではRFID素子に電力が供給されないときに光ファイバ内を伝搬している光パワーの変換器による検出を可能にするための、別の変換器及び/または別のエネルギー貯蔵デバイスを有する。
【0028】
さらに、本発明のいくつの実施形態は通信システムの1つないしさらに多くのRFID素子にRF信号データを送るために光信号を利用する。そのような実施形態において、光信号は、RFID素子の集積回路に書き込むことができ、及び/またはRFID素子のアンテナによって直接送信することができる、コード化RF変調データを含む。本発明のまた別の実施形態は光信号によりRFID素子にデータを供給する別の方法を含む。
【0029】
光ファイバを通して伝送される光信号の(光ファイバに沿う第1の方向及び/または第1の方向とは一般に逆の第2の方向のような)方向は通信システムの組み上げ時にわかっているとは限らないから、本発明のいくつかの実施形態は、第1の方向及び第2の方向のいずれにおいても伝送される光信号の一部を導くように適合された光タップ構成を含む。さらに詳しくは、そのような実施形態のいくつかは、第1の方向に伝送される光信号の一部を導くように適合された第1の光タップ及び第2の方向に伝送される光信号の一部を導くように適合された第2の光タップからなる光タップを有する。さらに、そのような実施形態の別のいくつかは、第1の方向及び第2の方向のいずれにおいても伝送される光信号の一部を、RFID集積回路14と電気的に通じる単一の変換器18に、導くように適合された光方向性結合器を有する。本発明のまた別の実施形態は、光ファイバに沿う2つの方向に伝送される光信号と変換器が光で通じることを可能にするための別の光タップを有する。
【0030】
図2は、上記の光アドレスRFID素子10と同様の光アドレスRFID素子110を組み込んでいる、光ファイバコンポーネント140を示す。RFID素子110の動作は上述した動作と同様である。光タップ116が光ファイバ126を通過している光信号の一部を、電気接続128を介して集積回路114に送られる電気信号を発生する、変換器118に導く。電気信号は、アンテナ112にRF信号を送信させることができ、または集積回路114に情報を書き込むことだけができ、あるいはRFID素子110とRF読取器の間の交信距離をさらに長くできるように集積回路114を動作させるに十分な電力を供給することができる。コネクタに該当するような、上で論じた全ての任意要素選択及び改変を用いることができる。
【0031】
コンポーネント140は、光ファイバのコネクタ、または送信器、または受信器、またはWDMマルチプレクサ、またはケーブルアセンブリ、あるいは光ファイバシステムの要素として用いられるいずれか他のデバイスのような、いずれかのタイプの光ファイバデバイスとすることができる。説明の目的だけのために図示されるように、コンポーネント140は光ファイバ126の末端144に結合された筐体142を有する。コンポーネント140は終端フェルール148も有することができる。コンポーネント140は、単ファイバケーブルであるかまたは複ファイバケーブルであるかにかかわらず、いずれか適するタイプのコンポーネント構造を有することができ、コンポーネントに課せられるべきタイプまたは構成の制限はない。
【0032】
集積回路114は、シリアル番号、コンポーネントのタイプ、ケーブルタイプ、製造業者、製造日、装着日、場所、ロット番号、(装着中に測定された減衰のような)性能パラメータ、ケーブルの他端に何があるかの識別、等のような、格納情報を有することができる。そのような情報は、製造業者においてまたは信号源122を介して装着時に、集積回路214に前もってロードすることができるであろう。この情報または他の情報のいずれも、RF信号源及び/または読取器によって割り振るかまたはポーリングすることができる、コンポーネント140についての識別標識としてはたらくことができる。さらに、回線ステータス、送信時刻または送信停止時刻、あるいは光信号から認識できるいずれかのパラメータのような、様々なタイプの情報を、集積回路114及び/または変換器回路130の使用によって、決定し、集積回路114に書き込むことができる。したがって、本明細書に開示される構造を用いて決定、書込、格納及び/または送信を行うことができる情報のタイプは、その構造が用いられる用途でしか制限されない。
【0033】
図3は、光アドレスRFID素子210が光ファイバケーブル250にケーブルの両端から間隔をおいた位置で取り付けられている実施形態を示す。図示されるように、複数の(上の光アドレスRFID素子10と同様であり、同様の参照数字が付された)光アドレスRFID素子210が間隔をおいて用いられる。光アドレスRFID素子210は上述したように動作することができる。また、与えられた光ファイバケーブル250に沿って間隔をおいて配置された複数のそのようなRFID素子210の使用により、長距離にわたって張られたケーブルに沿う光信号のトレースの、あるいはケーブルの破断252の検出における、恩恵をさらに得ることもできる。同様に、パワーが伝搬していることをどのRFID素子が示し、パワーが伝搬していないことをどのRFID素子が示しているかを識別することにより、ケーブル間またはネットワークコンポーネント間の断絶を検出し、その場所を突き止めることができる。この情報は、複数のRFID素子により信号経路に沿ってどれだけ遠くまで光信号を検出できるかを決定する。
【0034】
簡略に示されるように、総括して素子254で表される、ケーブル250の区画を光アドレスRFID素子210で置き換えることが必要になるであろう。ケーブル250は、単光ファイバ226が光タップ210に隣接して露出されているように示される。望ましければ、ケーブル内の1本より多くの光ファイバから光信号を導くように単光タップ構造を構成することができる。また、複ファイバケーブルに沿う与えられた位置において複数の光アドレスRFID素子210を、ファイバ当たりに1つ、用いることもできる。望ましければ、ケーブル250の一端または両端に図2に示されるようなコネクタを取り付けることもできる。したがって、図3の構造は単なる説明と見なされるべきである。
【0035】
図4は、通信デバイスとして機能している複数の光アドレスRFID素子410を有する代表的システム300を示す。システム300は、顧客構内302,LEC中央オフィス304,リモート中央オフィス306及び、信号324を送信及び受信するための読取器を含めることができる、複数の外部信号源322,322b,322cを含む。信号源322及び322cは所定の場所に固定され、信号源322bは可搬であり、例えば携帯型である。
【0036】
それぞれの光アドレスRFID素子310は、光信号を、望ましければ、それぞれのRFID素子に供給するために付帯する光ファイバの信号をタップすることができる。例えば、それぞれのRFID素子310は、付帯する光ファイバが活性であるか否かの確認及び/または光信号に関するかまたは光信号で伝送されている情報の提供のため、近くのRFID読取器によって連続的または定期的に読むことができる。それぞれの集積回路及びアンテナには光タップによって電力を供給できるであろう。あるいは、単に、外部RF信号324の受信及び応答送信を介する読出しのために集積回路にデータを書き込むため、光タップを用いることができるであろう。そのようなシステムに、光アドレスRFID素子と非光アドレスRFID素子の、あるいはシステム内のまたは上述したデバイスのいずれかとの、組合せが用いられ得ることは当然である。
【0037】
すなわち、RFシステムで用いるために様々なネットワークコンポーネントに様々な識別標識を割り当てることができる。識別標識は、RFID素子内の集積回路チップに前もってプログラムしておくことができ、及び/または装着時に割当てまたは修正を行って集積回路チップに格納することができる。これにより、技工は全てのコネクタについて、ある日付で製作された、あるタイプ、ある日付で装着された、完全に接続されている、信号を伝送している、等を識別することができる。同じく識別標識としてもはたらくことができる、温度センサ、湿度センサ等のような、集積回路への他の入力も可能である。光ネットワーク内の光アドレスRFID素子の使用に対する別途の目的及び応用も得られる。
【0038】
以上、当業者には、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく本発明に様々な改変及び変形がなされ得ることが明らかであろう。したがって、本発明の改変及び変形が添付される特許請求項及びそれらの等価物の範囲内に入れば、本発明はそのような改変及び変形を包含するとされる。
【符号の説明】
【0039】
10 光アドレスRFID素子
12 アンテナ
14 集積回路
16 光タップ
18 変換器
20 基板
22 外部RF信号源
24 外部RF信号
26 光ファイバ
27,28 電気接続
30 変換器回路
N ネットワークコンポーネント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号を伝送できる光ファイバとともに用いるためのコンポーネントにおいて、前記コンポーネントが、
光タップ、
前記光タップと通じる変換器、及び
筐体に取り付けられたRFID素子、
を有し、
前記光タップが前記光ファイバから前記光信号の一部を導き、
前記変換器が前記光信号の前記一部に応答して電気信号を発生し、
前記RFID素子が前記変換器と電気的に通じる集積回路を有し、
前記光ファイバが前記光信号を伝送するときに、前記光タップが前記光ファイバから前記光信号の前記一部を導き、前記変換器が前記電気信号を発生して、前記前記RFID素子の前記集積回路に送る、
ことを特徴とするコンポーネント。
【請求項2】
通信システムの一部である請求項1に記載のコンポーネントであって、前記通信システムが、
複数の相互接続された通信コンポーネント及び複数本の光ファイバ、及び、
複数のRFID素子、
を備え、
前記RFID素子が、前記複数の相互接続されたコンポーネントの1つないしさらに多くに、前記光ファイバに近接して、取り付けられ、
前記RFID素子が光アドレスRFID素子であり、
前記光ファイバから前記光信号の一部を導き、前記光信号の大部分を通過させるための、前記光ファイバの内の1本に沿って配することができる光タップ、
前記光タップと通じ、前記光タップにより前記光ファイバから導かれた前記光信号の前記一部に応答して電気信号を発生する、変換器、
RFID機能のために構成され、前記変換器と電気的に通じる、集積回路、及び
前記集積回路と電気的に通じるアンテナ、
を有し、
前記光ファイバが前記光信号を伝送するときに、前記光タップが前記光ファイバから前記光信号の前記一部を導き、前記変換器が前記電気信号を発生して前記集積回路に送り、
前記通信システムがさらに、
前記アンテナからのRF信号を受信するためのRF受信器、
を備える、
ことを特徴とするコンポーネント。
【請求項3】
前記変換器が、前記変換器によって発生される前記電気信号が前記RF受信器へのRF信号の送信のために前記集積回路のそれぞれに電力を少なくともある程度は供給するように、構成されることを特徴とする請求項2に記載のコンポーネント。
【請求項4】
前記変換器が、前記変換器によって発生される前記電気信号が前記集積回路のそれぞれへのデータ書込のための電力を前記RFID素子に少なくともある程度供給するように、構成されることを特徴とする請求項2に記載のコンポーネント。
【請求項5】
前記変換器が、フォトダイオードデバイス、変換器回路及び光起電力デバイスからなる群から選ばれる1つないしさらに多くの素子を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のコンポーネント。
【請求項6】
前記変換器と電気的に通じるエネルギー貯蔵デバイスをさらに有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のコンポーネント。
【請求項7】
前記変換器が、前記変換器によって発生される前記電気信号が前記RFID素子に少なくともある程度は電力を供給するように、構成されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のコンポーネント。
【請求項8】
前記変換器が、前記変換器によって発生される前記電気信号が前記集積回路にデータを書き込むように、構成されることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のコンポーネント。
【請求項9】
光信号を伝送できる光ファイバとともに用いるための光アドレスRFID素子において、前記RFID素子が、
前記光ファイバから前記光信号の一部を導き、前記光信号の大部分を通過させるための、前記光ファイバの内の1本に沿って配することができる光タップ、
前記光タップと通じ、前記光タップにより前記光ファイバから導かれる前記光信号の前記一部に応答して電気信号を発生する、変換器、
RFID機能のために構成され、前記変換器と電気的に通じる、集積回路、及び
RF読取器と通信するための、前記集積回路と電気的に通じるアンテナ、
を有し、
前記光ファイバが前記光信号を伝送するときに、前記光タップが前記光ファイバから前記光信号の前記一部を導き、前記変換器が前記電気信号を発生して前記集積回路に送る、
ことを特徴とする光アドレスRFID素子。
【請求項10】
前記変換器が、前記変換器によって発生される前記電気信号が前記集積回路にデータを書き込むように、構成されることを特徴とする請求項9に記載の光アドレスRFID素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−521032(P2010−521032A)
【公表日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553593(P2009−553593)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/003100
【国際公開番号】WO2008/112171
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】