説明

光ケーブル接続用クロージャー

【課題】熟練と特殊な装置・工具を必要とせずに、極めて少ない工事工数であって、熟練作業者に限定しない作業の平準化、工事スピードのアップ、安全性の向上を実現する。さらに、加入者の偏在に対応でき、尚かつドロップケーブルを差し込みアダプタとは反対側から引き出す場合にもクロージャーの内部で完了できるようにする。
【解決手段】分岐ケーブルとドロップケーブルとの接続部を保持するトレイを、スプリッタとスプリッタ・モジュール4と、左右両端のケーブル引き込み用ケーブル口22とスプリッタ・モジュール4との間にそれぞれ配置される余長収納部6とを同じ平面上に搭載し、分岐ケーブル7とドロップケーブル5の先端に取り付けられた現場型コネクタ8をアダプタ9に差し込むだけでケーブルの接続を完了するようにしている。ここで、アダプタは段違いに配列された多連アダプタであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバケーブルの分岐接続に用いられるクロージャーに関する。さらに詳述すると、本発明は、光ファイバーケーブル・架空線あるいは一部地中線の途中に分岐ケーブル・ドロップケーブルを分岐接続特に後分岐接続するために設けられる光ケーブル用クロージャーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、通信ケーブルとして使用される光ケーブルの接続箇所では、接続クロージャーと呼ばれる筐体によって、露出した単心線接続部を収容して保護することが行われている。そして、このクロージャー内では、幹線用光ケーブル(主ケーブル)から引き出された光ファイバ(分岐ケーブル)の心線同士あるいは分岐ケーブルと加入者宅に引き込まれるケーブル(ドロップケーブル)などの心線同士を融着接続あるいはメカニカルスプライスなどによって接続した接続部がトレイを使って収納され、さらに、心線の余長部分が余長収納部に収納されて保護されている(特許文献1)。
【0003】
また、現在の通信系統は、局内と局外とにそれぞれ光スプリッタを配置することにより所望の分岐形態を採ることが主流となっている。例えば、局内に4分岐の光スプリッタを設置する一方、局外に8分岐の光スプリッタを設置し、これらを直列接続することにより全体として32分岐にしている。そこで、接続クロージャーには融着接続あるいはメカニカルスプライスの接続部を収納するトレイの他に光スプリッタを搭載したスプリッタトレイ並びに心線の余長部分を収納するトレイなどを多数を内蔵したり(特許文献2)、あるいはスプリッタを内蔵するスプリッタ専用クロージャーを隣接させることが一般的である。
【0004】
【特許文献1】特開平8−227018号
【特許文献2】特開2002−221623
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、スプライス方式のクロージャーでは現場作業に手間がかかる問題がある。スプライス式光ファイバの接続工事の場合には、熟練と特殊な装置・工具を必要とし、簡易な工事とはいえない上に工事工数が多くなる。このため、特定作業者に限定されてしまい作業の平準化が困難であったり、工事の進捗が遅く、さらには安全性に劣るという改良すべき点が多くある。
【0006】
また、クロージャーの両側に加入者が分散されドロップケーブルがそれぞれ均等に引き出されることばかりでなく、場合によっては片側に加入者が集中することがある。そこで、クロージャーには加入者の集中や分散に適宜対応できる構造が望まれる。しかしながら、従来のクロージャーによると、一方の側への加入者の集中に対しては、クロージャーの外に引き出したドロップケーブルをクロージャーの外で反転させて反対側のドロップケーブル把持金具に固定させることで対応させるようにしている。これによっても加入者の偏在に対応できるのであるが、クロージャーの外でドロップケーブルのループが形成されるために、カラスなどがドロップケーブルに止まってドロップケーブルをつついたり、着雪等による障害発生が起こりやすい。
【0007】
また、光スプリッタを搭載したトレイを別個に設けて接続部を収納する複数のトレイなどとの間に分岐ケーブルやドロップケーブルを引き回すことは、ケーブルの輻輳を招いて心線同士の絡み合いを引き起こしたり心線の特定を難しくする問題がある。加えて、心線が収容トレイの外部に露出し他の作業時に心線を引っかける虞があるため、光損失の発生する可能性が極めて高くなり作業性が悪くなる。さらに、心線余長部同士の輻輳を避けるため、例えば、それぞれの心線余長処理部を独立させて収納した場合、多数のトレイが必要になり、収納効率が極めて悪く、クロージャの内寸法が大きくなり接続部全体が大きくなる。しかも、依然として心線の特定を容易にすることはできない。このため、切替作業時などに間違って他の加入者のドロップケーブルを遮断する事故を招く虞がある。また、スプリッタクロージャーを隣接させることは場所をとると共に作業性が著しく悪化する問題がある。
【0008】
さらに、加入者の契約解除などでドロップケーブルを取り外す場合にも、1つ1つドロップケーブルと分岐ケーブルとの切り離しと反射を防ぐ端末処理を必要とする工事を行わなくてはならないため、工事に手間取る問題がある。
【0009】
そこで本発明は、熟練と特殊な装置・工具を必要としない、簡易に後分岐接続工事が可能な光接続クロージャーを提供することを目的とする。また、本発明は、現場型コネクタの取り付けとアダプタへの差し込みだけという極めて少ない工事工数であって、熟練作業者に限定しない作業の平準化、工事スピードのアップ、安全性の向上を実現できる光接続クロージャーを提供することを目的とする。さらに、本発明は、加入者の偏在に対応でき、尚かつドロップケーブルを差し込みアダプタとは反対側から引き出す場合にもクロージャーの内部で完了でき、クロージャー外部にドロップケーブルのループを形成することがない光接続クロージャーを提供することを目的とする。さらに、本発明は、既設のクロージャを利用して改善でき尚かつ既設のクロージャーに対する共通トレイとして実装できる光接続クロージャーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の発明は、主ケーブルから引き出された分岐ケーブルとドロップケーブルとの接続部を保持するトレイをクロージャースリーブ内に備える光ケーブル接続用クロージャーにおいて、トレイはスプリッタと該スプリッタの入力側ファイバ並びに出力側ファイバに接続された複数のポートを有するアダプタとで構成されるスプリッタ・モジュールと、左右両端のケーブル引き込み用ケーブル口とスプリッタ・モジュールとの間にそれぞれ配置される余長収納部とを同じ平面上に搭載し、分岐ケーブルとドロップケーブルの先端に取り付けられた現場型コネクタをアダプタのポートに差し込むだけでケーブルの接続を完了するようにしている。
【0011】
ここで、本発明の光ケーブル接続用クロージャにおいて、アダプタは左右に分配されて配置されていることが好ましく、より好ましくはポートを区画する部分が1つ置にコネクタの抜き差し方向に突出しており、凹凸を形成する段違いに配列されていることであり、さらに好ましくは一体成形の多連アダプタに形成されていることである。
【0012】
また、本発明の光ケーブル接続用クロージャにおいて、トレイはドロップケーブルを当該トレイの外に引き出した状態で当該トレイの縁に固定するバイパスケーブルガイド部を有し、ドロップケーブルを当該トレイの縁から外に一旦引き出してバイパスケーブルガイド部を利用して固定し、スプリッタ・モジュールを迂回してトレイの縁に沿って反対側の余長収納部へ引き回し、反対側のケーブル引き込み用ケーブル口から引き出すものであることが好ましい。
【0013】
さらには、本発明の光ケーブル接続用クロージャにおいて、トレイの余長収納部にはドロップケーブルの浮き上がりを抑えるケーブル係止用爪部が備えられていることが好ましい。そして、より好ましくは、ケーブル係止用爪部の内側には、ドロップケーブルの巻き中心側への移動を抑制する内側係止部を有し、該内側係止部は全体として環状を成すと共にドロップケーブルをショートカットさせて巻回可能とする断続部を備えることが好ましい。
【0014】
さらには、本発明の光ケーブル接続用クロージャーにおいて、断続部はショートカットさせるドロップケーブルの巻きの内側と接触するショートカットガイド部を備え、かつ該ショートカットガイド部がドロップケーブルに許容される最小曲げ半径よりも大きな曲率半径の曲面を成すものであることが好ましい。
【0015】
また、本発明の光ケーブル接続用クロージャーにおいて、トレイは既設のクロージャーのトレイに対してその上から積み重ねるように既設トレイの縁に装着可能な爪部と、既設のクロージャーのトレイの蓋と置換可能な互換性のあるヒンジ構造を有するものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の光ケーブル接続用クロージャーによれば、トレイに備えられたアダプタ付きスプリッタ・モジュールに現場取り付けコネクタを利用してドロップケーブルを接続するようにしているので、簡単な治具と標準化された作業で現場型コネクタをドロップケーブルに取り付け、さらにこのドロップケーブルのコネクタを差し込むだけで光ケーブルの後分岐接続が完了できる。これによって、工事工数の減少と作業の簡易化が実現され、安全性の向上と工事スピードのアップ並びに特定作業者に限定しない作業の平準化が可能となる。
【0017】
また、本発明の光ケーブル接続用クロージャーによれば、1つのトレイにアダプタ付きスプリッタ・モジュール4とその左右に余長収納部を設けて、接続されるドロップケーブルが整然と収納されるので、錯綜した状態でのケーブルの輻輳や心線同士の絡み合いを招かずに済む。しかも、契約解除などでドロップケーブルを取り外す際にも、アダプタのポート位置・番号から対象となるドロップケーブルの特定が容易であることから、作業も迅速かつ確実にできると共にケーブルの心線同士の絡み合いも招かない。さらに、1つのトレイに接続されている全ての加入者が契約解除する場合などには、入力用コネクタをアダプタから取り外すだけで、接続されている全てのドロップケーブルを一度に切り離すことができる。しかも、現場型コネクタで接続するため、切り離し時に一々端末処理を行う必要がない。
【0018】
さらに、アダプタが左右に2列に分配された請求項2記載の光ケーブル接続用クロージャーによれば、トレイ自体がコンパクトにできるため、クロージャー全体をコンパクトにできる。しかも、左右に分配されているため、クロージャーの左右から難なく等しくドロップケーブルを引き出すことができる。
【0019】
さらに、アダプタが1個置きにコネクタの差し込み方向に突出したりあるいは凹んだりして凹凸を成す段違い構造の請求項3記載の光ケーブル接続用クロージャーによれば、指でアダプタの凹凸をなぞるだけの触覚によるポートの位置の確認並びに判別ができるため、暗がりや視認し難い環境下での作業においても、ドロップケーブルの誤認などを起こしにくくなる。
【0020】
さらに、一体成形した多連のアダプタを用いる請求項4記載の光ケーブル接続用クロージャーによれば、トレイ上へのアダプタの組み付け作業が容易にできるとともに、寸法誤差や凹凸の組み合わせに間違いが起こらない。このため、トレイの組み立て作業が容易で安価に製造できる。
【0021】
さらに、ドロップケーブルをトレイの外に引き出した状態で当該トレイの縁に固定するバイパスケーブルガイド部を有する請求項5記載の光ケーブル接続用クロージャーによれば、加入者が片側に集中して偏在しても、クロージャー内でドロップケーブルを反対側に引き回してから引き出すことができるので、ドロップケーブルのループがクロージャーの外で形成されることがなく、カラスが止まったり、つつかれる虞が減少する。しかも、反対側に引き出そうとするドロップケーブルがトレイに対して爪部で固定され、トレイと一体となっているため、作業のためにトレイを開閉させる時にドロップケーブルの損傷を引き起こすことが少ない。
【0022】
さらに、ドロップケーブルの浮き上がりを抑えるケーブル係止用爪部が備えられている余長収納部を有する請求項6記載の光ケーブル接続用クロージャーによれば、余長収納部において巻回されるドロップケーブルがトレイ内に収容された状態を保持できるので、作業時に心線を引っかける虞が少ない。
【0023】
さらに、ドロップケーブルの巻き中心側への移動を抑制する内側係止部をケーブル係止用爪部の内側に有する請求項7記載の光ケーブル接続用クロージャーによれば、ドロップケーブルに対してクロージャーの外に引っ張られる力が働いて余長収納部に収容された余剰のドロップケーブルの巻き径が縮まる場合にも、ドロップケーブルに許容される最小曲げ半径よりも小さな巻きとなることはない。しかも、内側係止部は分断された環状を成すため、現場型コネクタの取り付け作業のやり直しなどで余長が短くなった場合や当初から余長が短か過ぎた場合などに、内側係止部に巻回されるドロップケーブルを断続部を利用してショートパスさせることにより、あるいは全く内側係止部に巻き掛けずに直接クロージャの外に引き出させることを可能として、余長の調整を何段階にも図ることができる。特に、請求項8記載の光ケーブル接続用クロージャーによれば、ドロップケーブルと接触する部位がドロップケーブルに許容される最小曲げ半径よりも大きな曲率半径の曲面を成すものであるので、ドロップケーブルをショートパスさせてもドロップケーブルに折損が生じる虞が少ない。
【0024】
さらに、請求項9記載の光ケーブル接続用クロージャーによれば、共通トレイとしてメカニカルスプライス等を利用した既設のクロージャーに実装できるので、既設のクロージャーを利用して本発明のクロージャーを実現できる。したがって、加入者の切替や新規加入などに応じてドロップケーブルの接続あるいは接続変更などの光ファイバー接続作業が煩わしい既設のクロージャーをより使い勝手の良いものへと簡単に改善できる。例えば、爪部を利用して既存のトレイの上に新規のトレイを搭載することによって、あるいは既設のトレイの蓋をヒンジを分解して取り外し本発明のトレイのヒンジ構造を利用して既設のトレイの蓋の代わりに取り付けることによって、既設のクロージャーを利用して本発明のクロージャーを構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。尚、図示した実施形態は、既設の光ケーブル接続用クロージャーのトレイに対してその上から積み重ねることより、あるいはトレイを支持する内装金具に対して取り付けることにより構成する場合について説明する。
【0026】
本発明の光ケーブル接続用クロージャーは、図5に示すように、図示していない吊り線または支持線に吊架されるクロジャー固定吊金具と、該金具に固定支持されるスプリッタ・モジュール4を搭載する少なくとも1つのトレイ(以下、スプリッタトレイと呼ぶ)1並びにこれらを包囲して保護するクロージャースリーブ40とから主に構成され、吊線又は支持線にクロジャー固定吊金具を介して吊架された状態のスプリッタトレイ1に主ケーブル41から引き出された分岐ケーブル7と各家庭等に光ファイバーを配線するドロップケーブル5との接続部を保持させてクロージャースリーブ40内に備えるものである。尚、クロジャー固定吊金具は、図示していないが、両端に吊り金具を備える連結棒に内装金具が固定され、その内装金具の上に直接にトレイがあるいは既存のトレイの基板が取り付けられている。この内装金具の上に直接本発明のスプリッタトレイ1を載せることも可能であるが、本実施形態ではメカニカルスプライス対応の既設トレイの蓋と本発明のトレイとを交換して搭載し、既設のトレイ基板部分を残すことで分岐ケーブル7とドロップケーブル5とを接続するメカニカルスプライス対応も可能となるようにしている。また、クロージャースリーブ40は、図示していないが、例えば両端部に主ケーブルが引き込まれる主ケーブル引き込み口及び分岐用光ケーブルが引き込まれる分岐用光ケーブル引き込み口が縦並びに形成された側面形状がほぼ長方形の軽量な箱体で構成されており、内装金具の上部と嵌合するリブ(図示省略)を内面に備え、このリブと内装金具の上部とをかみ合わせて当該スリーブを内装金具に取り付けるように設けられている。また、クロージャースリーブ40にはドロップケーブル口に対向したケーブル把持部42が備えられている。
【0027】
スプリッタトレイ1は、左右両端にケーブル引き込み口を有するトレイ基板2の中央のスプリッタ・モジュール収納スペース3にアダプタ付きスプリッタ・モジュール4を搭載すると共に、該アダプタ付きスプリッタ・モジュール4と左右両端のケーブル引き込み口との間にドロップケーブル5を配線しかつその余長部5’を収納する余長収納部6をそれぞれ配置し、左右両端のケーブル引き込み口から導入された分岐ケーブル7とドロップケーブル5の先端に取り付けられた現場型コネクタ8をアダプタ9のポートに差し込むだけでケーブルの接続を完了するものである。
【0028】
アダプタ付きスプリッタ・モジュール4は、スプリッタ10と該スプリッタ10の入力側ファイバ11並びに出力側ファイバ12に接続されたポートを有する複数のアダプタ9とで構成される。本実施形態の場合、スプリッタ10として8分岐スプリッタを用いており、スプリッタ10の入力側ファイバ11並びに出力側ファイバ12に接続された少なくとも9個のアダプタ9を備えると共にそれを左右に分配して左右のケーブル引き込み口からそれぞれドロップケーブル5を引き込めるように配置されている。本実施形態においては、5つのアダプタを一体成形した5連一体構造とし、コネクタ用アダプタ収納部の左右に1ブロックずつ2列に配置されて全部で10個のアダプタ9が配置され、左右のブロックのうちの4個ずつがドロップケーブル5のコネクタ8を差し込むアダプタとして用いられると共に、いずれか一方のブロックの残る1つのアダプタが入力用として用いられるように設けられている。残る1つのアダプタはダミーとして塞がれる。
【0029】
ここで、アダプタ9は、ポートを区画する部分14が1つ置きにコネクタ8の抜き差し方向に突出しており、凹凸を形成するように配列されて段違い構造とされている。これにより、暗がり等においても、触覚により各ポートが判別しやすくなる。つまり、アダプタ9を段違いにすることにより、ポートの確認が指先だけでできる。
【0030】
また、この1つのブロックとして一体化された5つのアダプタ9の連接方向の両端には、固定用突起15が連接方向に突出するようにそれぞれ設けられている。他方、トレイ基板2の上部並びに下部の縁部には、アダプタ9の固定用突起15と嵌合される凹部25が形成されている。これにより、アダプタ9の固定用突起15をトレイ基板2の凹部25に嵌合させるようにして実装することで、一体となったアダプタブロックが簡単にトレイ基板2に対して位置決めされた状態で所定位置・所定向きに固定される。また、スプリッタ10は左右に配置されたアダプタ9の間のスペースのスプリッタ保持部17に収容されてから、入力側ファイバ11並びに出力側ファイバ12の先端に組み付けられているコネクタ13を対応するアダプタ9に挿入することによりコネクタ8と接続させる。そして、左右のアダプタ9に跨るように、その上にカバーを載せてトレイ基板2にねじ止めすることで、アダプタ9をトレイ基板2に固定すると共にスプリッタ10の配線を覆うようにしてスプリッタ・モジュール4が完成する。カバー16はトレイ基板2の縁部に設けられたビス穴にビスをネジ込むことで固定される。尚、図中の符号39で示されるものは円筒形のセンターケーブル係止部であり、入力側ファイバ11並びに出力側ファイバ12が誤って最小曲げ半径以下に曲げられないように、ファイバの移動を規制するものである。
【0031】
スプリッタ保持部17は、図11及び図12に示すように、トレイ基板2の縁部との間でスプリッタ10の両端部を挟持する壁部18と、スプリッタ10の両端の位置決めを行う左右のストッパ突条20と、スプリッタ10の中央部の段部(図示省略)と係合してスプリッタ10をトレイ基板2に対して押しつけるようにして固定する弾性フック19とを備え、該トレイ基板2の縁部と壁部18、左右のストッパ突条20並びに弾性フック19で囲われた空間にスプリッタ10を装入することによって当該スプリッタ10を保持するように設けられている。弾性フック19はスプリッタ10の挿入により押し広げられるように弾性変形してスプリッタ10の図示しない段部の通過を許容し、通過後に元の位置に復帰してスプリッタ10の段部と係合するように設けられている。さらに、スプリッタ・モジュール収納スペース3には入力側ファイバ11並びに出力側ファイバ12の浮き上がりを抑えるための3本の押さえ爪26が三角形の頂点となる位置関係で対向配置されている。これにより、余長を取って巻回される入力側ファイバ11並びに出力側ファイバ12が広がった状態でトレイ基板2の縁から飛び出ないようにしている。
【0032】
ここで、本実施形態のクロージャーにおいて用いられるコネクタ8としては、作業現場において簡単な工具を用いてあるいは全く工具を用いずに簡単に光ファイバの心線にコネクタ8を取り付けることができる単心の現場取付光コネクタあるいは現場型コネクタと呼ばれるものの使用が好ましい。そして、現場においてドロップケーブル5に取り付けられた現場型コネクタ8が複数のポートが設けられたアダプタ9に差し込まれて接続されるように設けられている。尚、現場型コネクタ8は、一般的に用いられているものであり、その詳細な構造の説明は省略する。
【0033】
アダプタ9は左右に分配され尚かつその両側部には光ファイバの心線の余長部5’を収納する余長収納部6が設けられている。これにより、高密度での収納が可能となり、収納心線数や分岐接続数の増加にも拘らずクロージャー自体がコンパクトになり、従来どおりの設置スペースでドロップケーブル5の接続が可能となる。ここで、スプリッタトレイ1の左右に配置される余長収納部6には、ドロップケーブル5の浮き上がりを抑えるケーブル係止用爪部27が備えられている。このケーブル係止用爪部27は、ドロップケーブル5に捩りが生じたりケーブルが巻かれたときに発生し易い箇所に設置されることが一般的である。ドロップケーブル5はその剛性のために一般に外側に広がる。そこで、本実施形態の場合には、トレイ基板2の左右両端の縁部2cは緩やかな円弧状を成し、ドロップケーブル5の巻回される余長部5’が両端の縁部2cにより広い面積で接触するように配慮されている。さらに、ドロップケーブル引き込み口22の近傍、トレイの端縁部2c並びにトレイ上縁部2bの3箇所にそれぞれドロップケーブル5の巻きの径方向となる方向に向けてケーブル係止用爪部27が配置されている。本実施形態では、ドロップケーブル5の巻き方向に対してほぼ均等な間隔で3箇所においてケーブル係止用爪部27を設けているが、これに特に限られるものではなく、最もドロップケーブル5の浮上が起きやすいドロップケーブル引き込み口22の近傍とドロップケーブル引き込み口22とは反対側のトレイ上縁部2bとの少なくとも2箇所あれば十分な抑制効果が期待できる。
【0034】
また、ケーブル係止用爪部27の内側には、ドロップケーブル5の巻き中心側への移動を抑制する内側係止部28が設けられている。この内側係止部28は、ドロップケーブル5に張力が作用したときに余長を与えるために巻回された部分の巻き径が小さくなり過ぎないようにするためのものであり、ドロップケーブル5に許容される最小曲げ半径よりも大きな曲率半径の曲面を成すことが好ましい。ドロップケーブル5の曲げが許容される最小曲げ半径よりも小さくならないように規制し得るものであれば必ずしもドロップケーブル5に許容される最小曲げ半径よりも大きな曲率半径の曲面でなくとも良く、ドロップケーブル5に許容される最小曲げ半径よりも大きな曲率半径の曲線に沿って配置される小径のピンの集合などであっても全体としてドロップケーブル5の曲げが最小曲げ半径以下とならなければ十分である。
【0035】
本実施形態において、内側係止部28は、全体として環状を成すと共にドロップケーブル5をショートカットさせて巻回可能とする断続部29を備える。例えば、本実施形態の場合には、第1の円弧状の内側係止部28aと、第2の円弧状の内側係止部28bとの少なくとも2つの円弧状の突起から構成され、それらの間にドロップケーブル5が通過するに十分な隙間・空間即ち断続部29が形成されると共にショートカットさせるドロップケーブル5の巻きの内側と接触するショートカットガイド部30が備えられている。ショートカットガイド部30は、ドロップケーブル5に許容される最小曲げ半径よりも大きな曲率半径の曲面を成す円弧状の突起である。勿論、内側係止部28は複数の円弧部材に分断されずに単一の環状突起で形成されることもある。
【0036】
また、トレイ基板2の両端に設けられているケーブル引き込み口は、主ケーブルから分岐された分岐用光ケーブルが引き込まれる分岐用光ケーブル引き込み口21と、各引き込み先からドロップケーブル5を引き込むためのドロップケーブル引き込み口22とがあり、トレイ基板2の上縁部2bの両端に分岐用光ケーブル引き込み口21が、下縁部2aの両端にドロップケーブル引き込み口22がそれぞれ設けられている(説明の便宜上、図1においてヒンジが設けられている側がトレイの下縁部2a、その反対側がトレイの上縁部2bとする)。ドロップケーブル引き込み口22には、トレイ基板2に向かって手前側に通過するドロップケーブル5に対して斜めのスリット24を構成するように一定間隔を空けて対向配置された2枚のストッパ片23が備えられている。このストッパ片23は、弾性変形によってドロップケーブル5の上からの押し込みによる挿入を可能とすると共に簡単にはドロップケーブル5が離脱するのを防ぐものである。このストッパ片23は、ドロップケーブル5を斜めのスリット24に沿って押し込むことで、ストッパ片23の変形を容易にしてドロップケーブル5のストッパ片23間の通過を容易にし、ドロップケーブル5が浮き上がって離脱しようとするときには2枚のストッパ片23に引っかかって引き込み口22から飛びださせないように働く。
【0037】
また、本実施形態のスプリッタトレイ1は既設のクロージャーのトレイに対してその上から積み重ね可能とするための係止爪部31と、既設のクロージャーのトレイの蓋と置換可能あるいは他のトレイと二段重ねとするための互換性のある構造のヒンジ部32との双方を有する。この場合には、既設のクロージャーに対して共通トレイとして機能するため、大量生産してコストダウンを図ることができると共に、既存のクロージャーを利用することで新設するよりも設備コストを下げることができる。
【0038】
ヒンジ部32は、トレイ基板2のドロップケーブル引き込み口22と同じ側の縁部、即ち本実施形態の場合には下縁部2aに設けられている。このヒンジ部32は、図13から図15に示すように、連結ピン(図示省略)を貫通させる一対の筒部32a,32bからなり、一方の筒部32aを縁部2aの下端に、他方の筒部32bを縁部2aの上端にそれぞれ配置することで、他のトレイのヒンジと組み合わせることが可能となり、トレイの多段組み合わせあるいは既設のトレイの蓋などとの置換を可能とする。
【0039】
また、係止爪部31は、他のトレイの縁部を挟持してトレイの多段組み合わせを可能とするように、トレイ基板2の上縁部2bと下縁部2aにそれぞれトレイ基板2の底面2dよりも下に向けて突出するように設けられている。この係止爪部31は、本実施形態では、トレイ基板2の上縁部2bの両端と、下縁部2aの中程、具体的にはヒンジ32の僅かに外側にそれぞれ設けられている。係止爪部31は、例えば図16及び図17に示すように、トレイ基板2の縁部2aa,2bに一体に形成され、先端側が楔状を成し、他のトレイの上に載せられたときに、楔状の爪部先端が押し広げられることによって他のトレイに縁を乗り越えてから挟持するように設けられている。この爪部31は、トレイ基板2の底面2dより下に突出しているため、ヒンジ32を利用して他のトレイと積み重ねたり、あるいは既設のトレイの蓋と置換して収納する場合には妨げとなることがある、このとき、根本の欠損部33を利用して容易に折り取ることができる。
【0040】
また、スプリッタトレイ1には、トレイ基板2の外に引き出されたドロップケーブル5をトレイ基板2に固定するためのバイパスケーブルガイド部34が設けられている。バイパスケーブルガイド部34は、図11及び図12に示すように、引き込み先用のドロップケーブル引き込み口22並びにヒンジ部32が設けられるトレイ基板2の縁部とは反対側の縁部、即ち本実施形態では上縁部2bに設けられ、ヒンジ部32を利用してトレイ基板2を開閉動作可能とする場合に、トレイ基板2の外に引き回したドロップケーブル5が周囲のトレイ等に引っかかることがないように設けられている。そして、このバイパスケーブルガイド部34は、スプリッタ・モジュール収納スペース3が位置する部分のトレイ上縁部2bの一部をスプリッタ・モジュール収納スペース3側へ凹ませたケーブル収納スペース35に設けられ、ドロップケーブル5を保持するようにしている。バイパスケーブルガイド部34は、トレイ基板2の上縁部2bと対向配置されてドロップケーブル5の側方を規制する壁部36と、上縁部2bから壁部36に向けて突出しドロップケーブル5の上方を抑えるガイド片37とで構成され、ドロップケーブル5を拘束してトレイ基板2に固定するようにしている。したがって、片方のドロップケーブル引き込み口22からアダプタ数を超えるドロップケーブル5が引き込まれる場合には、トレイ基板2の上縁部2bの迂回用引き出し口38から一旦トレイ基板2の外に引き出されて、バイパスケーブルガイド部34を利用してトレイ基板2の上縁部2bに固定しながらスプリッタ・モジュール4を迂回して反対側のアダプタ9側へ引き回し、反対側の迂回用引き出し口38から再びトレイ基板2内に引き込んで反対側の空きアダプタ9に接続することを可能とする。このとき、ドロップケーブルは必要な余長をとり、余長収納部6へ引き回すことが好ましいが、場合によってはそのまま現場型コネクタ8を取り付けてアダプタ9に差し込むようにしても良い。尚、バイパスケーブルガイド部34の間のケーブル収納スペース35の上方は全面的に開放されているが、上縁部2bから部分的に迫り出すカバー16の縁で部分的に覆われることによってケーブル収納スペース35を通過するドロップケーブル5のトレイ基板2からの離脱を防ぐようにしている。
【0041】
以上のように構成されたクロージャーによれば、ドロップケーブル5あるいは分岐ケーブル7に現場コネクタ8を取り付けてからアダプタ9へ挿入するだけで、分岐ケーブル7とドロップケーブル5との接続作業即ちドロップケーブル5の後分岐接続作業が完了する。
【0042】
まず、本発明の光ケーブル接続用クロージャーの設置に関しては、例えば、クロージャー内を貫通する主ケーブルの被覆の一部を剥ぎ取って引き出した単心線を必要な補強などを施してから、内装金具の固定金具によって固定する。そして、この単心に分岐された光ファイバ心線即ち分岐ケーブル7は、現場型コネクタ8を備える入力用ケーブルアッセンブリに融着接続あるいはメカニカルスプライスによって接続する。そして、入力用ケーブルの現場型コネクタ8をアダプタ9の入力用ポートに差し込む。
【0043】
次いで、クロージャーから加入者宅へ光ケーブルを引き落とす場合には、各引き込み先用ドロップケーブル5をクロージャースリーブ40のドロップケーブル引き込み口より引き込み、まずケーブル把持部42に固定する。さらに、スプリッタトレイ1の中にドロップケーブル引き込み口22から引き込み必要と思われる余長を取って先端側の不要部分を切り落とし、その先端に現場型コネクタ8を取付ける(図1及び図2参照)。
【0044】
作業時に於ては、クロージャースリーブ40のいずれか一方の側壁は開放されており、スプリッタ・モジュール4ならびに余長収納部6は、作業者側へ露出している状態とされている。そこで、左側からのテープ心線を、卷回して余長をとった後に現場型コネクタ8に接続(成端)し、さらにアダプタ9の任意の空きポートに差し込み接続する。アダプタ9の選択は、例えば順番に空いているものを使っても良いし、全く任意に選択するようにしても良い。
【0045】
ここで、例えば加入者の所在が偏っている場合などの理由で、クロージャー設置点より引き込み先用のドロップケーブル5が左右不均等に出る場合、引き込み先が多い側のドロップケーブル引き込み口22に対応したアダプタ9のポート数が足りなくなることがある。この場合には、ドロップケーブル引き込み口22から引き込まれたドロップケーブル5をトレイ基板2のヒンジの反対側の上縁部2bの迂回用引き出し口38から一旦トレイ基板2の外に引き出し、スプリッタ・モジュール4を迂回して反対側のアダプタ9の近傍の迂回用引き出し口38からトレイ基板2の内側へ再び引き回し、必要に応じて反対側の余長収納部6へ巻き掛けあるいは巻き掛けずに引き回してから余長をとって切断する。このとき、トレイ基板2の外に引き出されたドロップケーブル5はヒンジ32の反対側のバイパスケーブルガイド部34を利用してトレイ基板2の上縁部2bの外側に固定され、トレイ基板2の縁部2bに沿って配置される。そして、ドロップケーブル5の先端に現場型コネクタ8が取り付けられてアダプタ9の空きのポートに差し込まれる(図3及び図4参照)。
【0046】
次に、現場型コネクタ8の取り付けと空きアダプタ9への挿入によってドロップケーブル接続が完了すると、クロージャースリーブ40を被せて覆い後分岐接続作業を完了する。
【0047】
以上の後分岐接続作業によると、スプリッタトレイ1へのドロップケーブル5の引き込みと余長部5’の収納、現場型コネクタ8の取り付け、アダプタ9への差し込みの全ての作業が1つのトレイ基板2上で行われかつ完了するため(分岐ケーブル7についても同様)、作業時に心線を傷つける虞が少ない。しかも、ドロップケーブル5の余長収納と配線とが整然として秩序だっており、これらの取り出しや再収納が容易であると共に、心線接続や切替作業の作業性を向上させることができる。加えて、余長部5’を出し入れする際に、他の余長部5’に伝送損失等の障害を与えることなく、必要な部分の心線を取り出して作業することができる。加えて、接続・分岐箇所の輻輳を回避しながら整理された状態での接続を可能とし、尚かつ現場型コネクタ8の採用により、作業性が極めて高く尚かつ無駄なく高密度化を図ることができることから、ケーブル接続作業の飛躍的な省力化が実現でき、配線工事の容易化を図ると共に設備費の低減ができる。
【0048】
尚、図1並びに図3に示すクロージャー内での心線の引き回し方はあくまでも一例であり、その他様々な引き回しが可能である。例えば、余長部5’を長目に取り過ぎたときには余長収納部6の内側係止部28の全体を使ってドロップケーブル5の余長部5’を巻き、余長部5’が短過ぎたときには余長収納部6の内側係止部28の断続部29を利用してドロップケーブル5の余長部5’を内側係止部28の断続部29から中を通過するようにショートパスさせてドロップケーブル5の余長部5’を巻くようにして余長の調整を可能としている。また、スプリッタトレイ1は、ヒンジ32により複数層の重合状態として開閉自在に連結して積み重ねてクロージャースリーブ40内に収容することも可能である。この場合には、主ケーブル41から複数の分岐ケーブル7を引き込み、各スプリッタトレイ1毎に分岐ケーブル7をそれぞれ接続して対応するドロップケーブル5を引き出すことにより、加入者の増加に対応できる。
【0049】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば本実施形態においては、メカニカルスプライス等を利用した既設のクロージャーを利用して、既設のクロージャーのトレイの蓋と図1に示すトレイとを取り替えることにより、あるいは既設のトレイの上に図1に示すトレイを積み重ねることにより、クロージャーを構成する例を主に説明しているが、これに特に限られるものではなく、スプリッタトレイ1を内装金具に例えばトレイ基板2の孔などを利用して直接取り付けることにより既存のクロージャーと置き換えたり、あるいは新設のクロージャーとして新設のクロジャー固定吊金具や内装金具などと共に設置することも可能であり、クロージャ内への収納形態は任意である。
【0050】
また、図示した上述の実施形態では、5つのアダプタ9を一体成形によって1つのブロックとしているが、1つ1つ独立したアダプタ9を段違いに組み合わせてトレイ基板2の上に配置し、カバー16で押さえることによって一体化するようにしても良い。更には、場合によっては、予めスプリッタ・モジュール4を組み立てたものをトレイ基板2に搭載するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の光ケーブル用クロージャーの一実施形態を示す正面図で、クロージャーの左右からドロップケーブルを引き出す状態を示す。
【図2】図1の側面図である。
【図3】図1の光ケーブル用クロージャーにおいて、クロージャーの片側からドロップケーブルを引き出す状態を示す。
【図4】図2の側面図である。
【図5】クロージャースリーブ40を横断面した状態でスプリッタトレイを示す説明図である。
【図6】本実施形態のスプリッタトレイを余長収納部の図示を省略して示す斜視図である。
【図7】図6のスプリッタトレイのスプリッタ・モジュール部分のカバーを外した状態を示す斜視図である。
【図8】同スプリッタトレイを2段重ねとして状態を示す斜視図である。
【図9】スプリッタトレイのトレイ基板の一実施形態を示す平面図である。
【図10】スプリッタ・モジュール部分の一実施形態を示す平面図であり、カバーの図示を省略している。
【図11】図9のトレイ基板のスプリッタ・モジュール収納スペース部分を拡大して示す平面図である。
【図12】バイパスケーブルガイドの構造を示す図11のXII−XII線に沿う断面図である。
【図13】トレイ基板のヒンジ構造部分を拡大して示す図9のXIII−XIII線に沿う断面図である。
【図14】トレイ基板のヒンジ構造部分を拡大して示す平面図である。
【図15】同ヒンジ構造部分の正面図である。
【図16】トレイ基板の左半分の構造を示す正面図である。
【図17】係止爪部の構造部分を拡大して示す図で、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は縦断面図である。
【図18】トレイ基板の余長部とケーブル引き込み口部分を拡大して示す平面図である。
【図19】図18のトレイ基板の側面図である。
【図20】スプリッタ・モジュール収納スペースのスプリッタ保持部の構造を示す縦断面図である。
【図21】図20のXXI-XXI線に沿う断面図である。
【図22】図20のXXII-XXII線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 スプリッタトレイ
2 トレイ基板
3 スプリッタ・モジュール収納スペース
4 アダプタ付きスプリッタ・モジュール
5 ドロップケーブル
6 余長収納部
7 分岐ケーブル
8 現場型コネクタ
9 アダプタ
10スプリッタ
14 アダプタのポートを区画する部分
21 分岐ケーブル引き込み口
22 ドロップケーブル引き込み口
28 内側係止部
29 断続部
30 ショートカットガイド部
31 係止爪部
32 ヒンジ部
34 バイパスケーブルガイド部
35 ケーブル収納スペース
40 クロージャースリーブ
41 主ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主ケーブルから引き出された分岐ケーブルとドロップケーブルとの接続部を保持するトレイをクロージャースリーブ内に備える光ケーブル接続用クロージャーにおいて、前記トレイはスプリッタと該スプリッタの入力側ファイバ並びに出力側ファイバに接続された複数のポートを有するアダプタとで構成されるスプリッタ・モジュールと、左右両端のケーブル引き込み用ケーブル口と前記スプリッタ・モジュールとの間にそれぞれ配置される余長収納部とを同じ平面上に搭載し、前記分岐ケーブルと前記ドロップケーブルの先端に取り付けられた現場型コネクタを前記アダプタのポートに差し込むだけでケーブルの接続を完了するものである光ケーブル接続用クロージャー。
【請求項2】
前記アダプタは左右に2列に分配されて配置されているものである請求項1記載の光ケーブル接続用クロージャー。
【請求項3】
前記アダプタは前記ポートを区画する部分が1つ置に前記コネクタの抜き差し方向に突出しており、凹凸を形成する段違いに配列されている請求項1または2記載の光ケーブル接続用クロージャー。
【請求項4】
前記アダプタは一体成形の多連アダプタである請求項1から3のいずれか1つに記載の光ケーブル接続用クロージャー。
【請求項5】
前記トレイは前記ドロップケーブルを当該トレイの外に引き出した状態で当該トレイの縁に固定するバイパスケーブルガイド部を有し、前記ドロップケーブルを当該トレイの縁から外に一旦引き出して前記バイパスケーブルガイド部を利用して固定し、前記スプリッタ・モジュールを迂回して前記トレイの縁に沿って反対側の余長収納部へ引き回し、反対側の前記ケーブル引き込み用ケーブル口から引き出すものである請求項1記載の光ケーブル接続用クロージャー。
【請求項6】
前記余長収納部には前記ドロップケーブルの浮き上がりを抑えるケーブル係止用爪部が備えられているものである請求項1記載の光ケーブル接続用クロージャー。
【請求項7】
前記ケーブル係止用爪部の内側には、前記ドロップケーブルの巻き中心側への移動を抑制する内側係止部を有し、該内側係止部は全体として環状を成すと共に前記ドロップケーブルをショートカットさせて巻回可能とする断続部を備えるものである請求項6記載の光ケーブル接続用クロージャー。
【請求項8】
前記断続部はショートカットさせる前記ドロップケーブルの巻きの内側と接触するショートカットガイド部を備え、かつ該ショートカットガイド部が前記ドロップケーブルに許容される最小曲げ半径よりも大きな曲率半径の曲面を成すものである請求項7記載の光ケーブル接続用クロージャー。
【請求項9】
前記トレイは既設のクロージャーのトレイに対してその上から積み重ねるように既設トレイの縁に装着可能な爪部と、既設のクロージャーのトレイの蓋と置換可能な互換性のあるヒンジ構造とを有するものである請求項1から8のいずれか1つに記載の光ケーブル接続用クロージャー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2008−158340(P2008−158340A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−348227(P2006−348227)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【出願人】(502446449)セリングビジョン株式会社 (1)
【出願人】(591236172)株式会社ハタ研削 (20)
【Fターム(参考)】