説明

光スイッチおよび光波形モニタ装置

【課題】制御光パルスがない場合に発生する雑音成分を確実に抑圧することのできる光スイッチを実現し、その光スイッチを用いて被測定光の波形をより高い精度でモニタできる光波形モニタ装置を提供する。
【解決手段】本発明の光スイッチは、方向性結合器13で合波された信号光および制御光パルスが入力される第1非線形媒質14Aと、該第1非線形媒質14Aの出力側に設けられ、第1非線形媒質14Aに入力される信号光の偏波方向に直交する透過軸を有する第1偏光子14Bと、該第1偏光子14Bの透過光が入力される第2非線形媒質15Aと、該第2非線形媒質15Aの出力側に設けられ、第1偏光子14Bの透過軸の方向に直交する透過軸を有する第2偏光子15Bと、を備えており、制御光パルスがない場合に第1偏光子14Bを透過する雑音成分が第2偏光子15Bによって遮断される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号光の一部を抽出して出力する光スイッチ、および該光スイッチを光サンプリングゲートとして用いて被測定光の波形をモニタする光波形モニタ装置に関し、特に、制御光による非線形効果を利用して信号光の抽出を行う光スイッチおよび光波形モニタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光信号を観測する基本技術の1つとして、受光器を用いて光信号を電気信号に変換した後、その電気信号を電気オシロスコープで観測する技術がある。図6は、一般に用いられる光波形モニタ装置の一例である。図6に示す光波形モニタ装置では、まず、被測定光(光パルス)が光電変換器101を介して電気信号に変換される。次に、トリガー回路102で発生させた電気トリガーに応じて、電気サンプリングパルス発生回路103において電気サンプリングパルスが生成され、該電気サンプリングパルスに従って、光電変換器101からの電気信号がサンプリング回路104内でサンプリングされ、そのサンプリング波形が波形表示器105に表示される。このような光波形モニタ装置は、光信号の実波形を電気信号でサンプリングして波形をモニタする構成になっており、高い安定性を備えているなどの特徴がある。
【0003】
しかし、上記のような一般的な光波形モニタ装置については、光電変換器101やトリガー回路102、サンプリング回路104、波形表示器105などの帯域により、時間分解能が制限されるという課題がある。通常、電子回路の動作帯域は40ギガヘルツ(GHz)程度と言われており、時間分解能を10ピコ秒(ps)よりも高めることは困難になる。
【0004】
上記の課題を解決する基本技術としては、信号光を光のままサンプリングする光サンプリング技術がある。この光サンプリング技術は、例えば図7に示すように、非線形媒質からなる光サンプリングゲート111において、繰り返し周波数f0の被測定光(波長:λs)とそれよりもパルス幅の短いサンプリング光パルス(波長:λc)との強度相関信号光を発生させることにより、サンプリング結果を出力するものである。ここで、強度相関信号光とは、被測定光とサンプリング光パルスが時間領域で重なることにより発生した光を示す。
【0005】
具体的に上記図7の構成例において、サンプリング光パルスは、サンプリング周波数生成器113からのサンプリング周波数信号によって短パルス光源112を駆動することにより、短パルス光源112の出力として得られるようになっている。サンプリング周波数生成器113では、被測定光に同期した周波数f0のクロック信号をN分周し、さらに掃引のための周波数Δfにより周波数シフトすることで得られる周波数(f0/N+Δf)の信号がサンプリング周波数信号として出力される。
【0006】
そして、光サンプリングゲート111において、上記のサンプリング光パルスと被測定光とが合波され、光サンプリングゲート111内の非線形媒質に入力されることで非線形効果が生じる。この非線形効果により、被測定光とサンプリング光パルスとの強度相関を持つ光信号、即ち強度相関信号光(繰り返し周波数:f0/N+Δf)が得られ、この強度相関信号光が光フィルタで抽出されて光サンプリングゲート111から出力される。
【0007】
光サンプリングゲート111から出力された強度相関信号光は、光電変換器114で電気相関信号に変換され、通常、サンプリング周波数信号を用いてアナログ信号からディジタル信号に変換された後、電気信号に変換された強度相関信号として波形表示器115の垂直軸信号ポートに入力される。波形表示器115では、サンプリング周波数生成器113で用いられている周波数Δfの掃引信号が水平軸信号ポートに入力されてトリガーがかけられることにより、垂直軸信号ポートに入力された強度相関信号の波形が表示される。
【0008】
このような光サンプリングの時間分解能は、主にサンプリング光パルスのパルス幅で決定されるので、パルス幅の狭いサンプリング光パルスを用意すれば時間分解能の高い光サンプリングを実現できる。これにより、40ギガビット/秒(Gb/s)以上のビットレートの信号光波形をモニタするのに十分な時間分解能を達成することが可能になる。
【0009】
上記のような光サンプリング技術における光サンプリングゲートに関しては、例えば図8に示すような構成の光スイッチを用いたものが提案されている(例えば、下記の特許文献1,2および非特許文献1参照)。この図8の光スイッチでは、波長λsの信号光(被測定光)と、該信号光とは異なる波長λcの制御光(サンプリング光パルス)とが、各々に対応した偏波コントローラ121,122を介して方向性結合器123に入力され、該方向性結合器123で合波された光が非線形媒質124に与えられる。このとき、非線形媒質124に入力される信号光の偏波方向は、図9の左側に示すように、非線形媒質124の後段に配置される偏光子125の透過軸に直交するように偏波コントローラ121によって制御され、また、非線形媒質124に入力される制御光の偏波方向は、上記信号光の偏波方向に対して40〜50度の角度をなすように偏波コントローラ122によって制御されている。
【0010】
そして、非線形媒質124に入力された信号光は、制御光のパルスが存在しないとき、図9の右下に示すように、入力時の偏波状態を保ったまま非線形媒質124を通過するため、当該偏波方向に垂直な透過軸を持つ偏光子124により遮断される。一方、制御光のパルスが存在するときには、図9の右上に示すように、四光波混合により信号光が制御光の偏波方向に光パラメトリック増幅される。四光波混合は制御光と同じ偏波成分の信号光に対して選択的に発生するので、制御光パルスのピークパワーが十分に大きな場合には、非線形媒質124で光パラメトリック増幅された信号光の偏波方向は励起光の偏波方向とほぼ同じ方向になる。このため、非線形媒質124から出射される信号光のうちで偏光子125の透過軸に平行な成分が偏光子125を透過するようになり、該偏光子125の透過光を波長フィルタ126に与えて波長λsの光を抽出することで、制御光に従ってスイッチングされた信号光が波長フィルタ126から出力されるようになる。
【0011】
上記のような光スイッチによれば、非線形媒質124において四光波混合により生じる光パラメトリック増幅効果を利用することで、公知の光カースイッチ(例えば、下記の非特許文献2参照)に比べて、高いスイッチング効率を実現することできる。また、光カースイッチのように制御光のパワーを高い精度で制御することが不要になるという利点もある。
【特許文献1】特開2006−184851号公報
【特許文献2】特開2006−194842号公報
【非特許文献1】S.Watanabe et al., "Novel Fiber Kerr-Switch with Parametric Gain: Demonstration of Optical Demultiplexing and Sampling up to 640 Gb/s", ECOC. 2004, Th4.1.6.
【非特許文献2】K. Kitayama et al., "Optical sampling using an all-fiber optical Kerr shutter," Appl. Phys. Lett., vol. 46,pp. 623-625, 1985.)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記の図8に示したような従来の光スイッチについては、偏光子の性能限界等に起因して雑音成分が発生し、スイッチ特性が劣化してしまうという課題がある。
【0013】
すなわち、上記従来の光スイッチにおいて、理想的には、制御光パルスがないときに偏光子を透過する光成分は無くなるが、実際には、光スイッチに入力される信号光の揺らぎや、非線形媒質の偏波モード分散(Polarization Mode Dispersion:PMD)、偏光子の透過特性の波長依存性などが要因となって有意な量の光成分が偏光子を透過し雑音成分が発生する。
【0014】
図10は、制御光パルスがない場合における偏光子の透過光のスペクトルの一例である。このように偏光子の透過光のパワーは、ある波長で最小となり、その波長近傍の光成分は実質的に透過しなくなるものの、そこから波長が離れると透過光のパワーは増加するようになり雑音成分となる。このため、従来の光スイッチの構成は、制御光パルスがないときの雑音成分の抑圧に限界があり、信号光消光比(信号光の出力があるときの光パワーと信号光の出力がないときの雑音光のパワーとの比)という観点で課題が残されていた。このような従来の光スイッチを光サンプリングゲートとして用いて光波形モニタ装置を構成した場合、被測定光のモニタ波形にも上記雑音成分が影響してしまい、被測定光の波形を高い精度でモニタすることが難しくなる。
【0015】
本発明は上記の点に着目してなされたもので、制御光パルスがない場合に発生する雑音成分を確実に抑圧することのできる光スイッチを実現することを目的とする。また、その光スイッチを光サンプリングゲートとして用いることで、被測定光の波形をより高い精度でモニタできる光波形モニタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するため本発明の光スイッチは、信号光および該信号光とは波長および偏波方向の異なる制御光パルスを合波して出力する合波部と、前記合波部の出力光が入力される第1非線形媒質と、前記第1非線形媒質の出力側に設けられ、前記第1非線形媒質に入力される前記信号光の偏波方向に直交する透過軸を有する第1偏光子と、を含み、前記第1非線形媒質における前記信号光および前記制御光パルスによる非線形効果により、前記信号光が前記制御光パルスの偏波方向に光パラメトリック増幅されることで、該信号光のうちの前記第1偏光子の透過軸に平行な成分が前記第1偏光子を透過して出力される光スイッチにおいて、前記第1偏光子の透過光が入力される第2非線形媒質と、前記第2非線形媒質の出力側に設けられ、前記第1偏光子の透過軸の方向に直交する透過軸を有する第2偏光子と、を備え、前記第2非線形媒質における前記信号光および前記制御光パルスによる非線形効果により前記信号光の偏波方向が回転されることで、該信号光のうちの前記第2偏光子の透過軸に平行な成分が前記第2偏光子を透過して出力されるようにしたものである。
【0017】
上記のような構成の光スイッチでは、信号光および制御光パルスが合波部で合波されて第1非線形媒質に入力されることにより、制御光パルスがあるときには、第1非線形媒質で制御光パルスの偏波方向に光パラメトリック増幅された信号光の一部が第1偏光子を透過する。一方、制御光パルスがないときには、第1非線形媒質を通過した信号光が第1偏光子で遮断されるものの、信号光の揺らぎ等に起因した雑音成分の一部が第1偏光子を透過する。しかしながら、この雑音成分は、第2非線形媒質を通過した後に、第1偏光子の透過軸の方向に対して直交する透過軸をもつ第2偏光子によって、その殆どが遮断される。また、制御光パルスがあるときに第1偏光子を透過した信号光は、第2非線形媒質において制御光パルスにより発生する相互位相変調によって偏波方向が回転され、該回転された信号光のうちの第2偏光子の透過軸に平行な成分が第2偏光子を透過する。これにより、制御光パルスの有無に従ってスイッチングされた信号光が雑音成分を抑圧した状態で出力されるようになる。
【0018】
また、本発明の光波形モニタ装置は、被測定光をサンプリングするためのサンプリング光パルスを生成するサンプリング光パルス生成部と、前記被測定光が入力され、前記サンプリング光パルス生成部からのサンプリング光パルスに従って前記被測定光をサンプリングしたモニタ光を出力する光ゲート部と、を備えた光波形モニタ装置において、前述した本発明の光スイッチを前記光ゲート部として用い、前記被測定光および前記サンプリング光パルス生成部からのサンプリング光パルスが前記光スイッチの前記合波部で合波されて前記第1非線形媒質に入力されるようにしたものである。
【0019】
上記のような構成の光波形モニタ装置では、被測定光およびサンプリング光パルスが前述した光スイッチを用いた光ゲート部に入力されることにより、サンプリング光パルスに従った被測定光のサンプリングが雑音成分を抑圧した状態で行われ、そのサンプリング結果となるモニタ光が光ゲート部から出力されるようになる。
【発明の効果】
【0020】
上記のように本発明の光スイッチによれば、第1偏光子の後段に、第2非線形媒体および第2偏光子を設けたことにより、制御光パルスがない場合に光スイッチから出力される雑音レベルが従来より大幅に低下するため、信号光消光比の改善を図ることができ、より優れたスイッチ特性を実現することが可能になる。また、上記のような光スイッチを光ゲート部に用いた光波形モニタ装置によれば、光ゲート部における被測定光のサンプリングが雑音成分の影響を殆ど受けることなく高い信号光消光比によって行われるため、被測定光の波形を非常に高い精度でモニタすることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照しながら説明する。なお、全図を通して同一の符号は同一または相当部分を示すものとする。
【0022】
図1は、本発明による光スイッチの一実施形態の構成を示すブロック図である。
【0023】
図1において、本光スイッチ1は、例えば、信号光が入力される第1偏波コントローラ(Polarization Controller:PC)11と、制御光が入力される第2偏波コントローラ12と、各偏波コントローラ11,12から出力される信号光および制御光を合波する合波部としての方向性結合器13と、方向性結合器13の出力光が入力される第1光スイッチ部14および該第1光スイッチ部14に直列に接続された第2光スイッチ部15と、該第2光スイッチ部15の出力光が入力される波長フィルタ16と、を備えて構成される。
【0024】
偏波コントローラ11は、入力される信号光の偏波状態を制御する。すなわち、信号光は、偏波コントローラ11によって所定の方向の直線偏波とされる。この信号光の偏波方向は、具体的には、第1光スイッチ部14内の後述する偏光子14Bの透過軸の方向に対して直交するように制御されている。ここでは、上記信号光の波長をλsとし、例えば図1の左上に示すような光パルス列からなる信号光を想定する。
【0025】
偏波コントローラ12は、入力される制御光の偏波状態を制御し、上記偏波コントローラ11で制御された信号光の偏波方向に対して、制御光の偏波方向が40〜50度(好ましくは、45度)の角度をなすように設定するものである。ここでは、上記制御光の波長をλcとする。この波長λcは信号光の波長λsとは適切に分離されているものとする。また、制御光の波形は、例えば図1の左下に示すように繰り返し周期が信号光よりも長いパルス波形を有している。さらに、この制御光パルスのピークパワーは、第1光スイッチ部14内の後述する非線形媒質(Nonlinear Medium:NLM)14Aで発生する四光波混合(Four Wave Mixing:FWM)により信号光を光パラメトリック増幅させると共に、第2光スイッチ部15内の後述する非線形媒質15Aで発生する相互位相変調(Cross Phase Modulation:XPM)により信号光の偏波方向を回転させることが可能なレベルに調整されている。
【0026】
方向性結合器13は、偏波コントローラ11からの信号光と偏波コントローラ12からの制御光とを合波し、その合波光を第1光スイッチ部14に出力するものである。
【0027】
第1および第2光スイッチ部14,15は、それぞれ、前述した非線形媒質14A,15Aおよび偏光子14B,15Bを有する。各非線形媒質14A,15Aは、方向性結合器13で合波された信号光および制御光により非線形光学効果を生じさせるためのものである。具体的な非線形媒質14A,15Aとしては、例えば、光ファイバ伝送に用いられるステップインデックス型光ファイバがある。これは、広く使用されているために安価で実現できるものである。また、屈折率分布を変更し実効コア断面積を小さくし、ゲルマニウムをコア部に添加し非線形屈折率を増大させることにより、非線形係数の向上を図ったステップインデックス型シリカ系光ファイバや、ステップインデックス型光ファイバでは実現できないほど小さな実効コア断面積を実現することにより非線形係数を高めたフォトニック結晶ファイバ、更には、非線形屈折率がシリカよりも大きな材料からなる非線形性の高い光ファイバを用いることもできる。非線形係数を高めた光ファイバを採用することにより、強度相関信号光を効率よく発生させるために必要な光ファイバ長の短尺化が可能になり、コンパクトで安定な光スイッチを実現できる。加えて、擬似位相整合構造を有する周期分極ニオブ酸リチウム(periodically poled lithium niobate:PPLN)等の光導波路若しくはKTP等の光学結晶、または、ガリウム・アルミニウム砒素(GaAlAs)等の半導体素子を、非線形媒質14A,15Aとして用いることも可能である。
【0028】
各偏光子14B,15Bは、各非線形媒質14A,15Aにおいて非線形効果が生じた光成分について、特定の直線偏波成分を取り出すためのものであり、具体的には、例えば偏光ビームスプリッタ(PBS)や複屈折性の光学結晶等を使用することが可能である。ここで、前段側の偏光子14Bの透過軸の方向は、非線形媒質14Aに入力される信号光の偏波方向と直交するように設定される。換言すれば、前述した偏波コントローラ11は、偏光子14Bの偏波軸と直交するように信号光の偏波方向を制御する。また、後段側の偏光子15Bの透過軸の方向は、前段側の偏光子14Bの透過軸と直交するように設定される。
【0029】
波長フィルタ16は、第2光スイッチ部15の偏光子15Bを透過した光が入力され、該入力光より信号光の波長λsと同一の成分を抽出して出力するものである。
【0030】
次に、上記のような構成を有する光スイッチ1の動作について図2を参照しながら説明する。
【0031】
本光スイッチ1では、偏波コントローラ11により偏光子14Bの透過軸と直交するように偏波方向が制御された信号光と、偏波コントローラ12により信号光の偏波方向に対して40〜50度の角度をなすように偏波方向が制御された制御光とが、方向性結合器13で合波されて第1光スイッチ部14の非線形媒質14Aに入力される。このときの信号光および制御光の各偏波状態を図2左上に示しておく。
【0032】
非線形媒質14Aでは、制御光のパルスが存在しないとき、信号光および制御光による非線形光学効果は生じないため、信号光は入力時の偏波状態を基本的に保ったまま非線形媒質14Aを通過する。このため、偏光子14Bに入力される信号光の偏波状態は、図2の中央下段左側の矢印線に示すように、偏光子14Bの透過軸に垂直な直線偏波となる。一方、信号光の揺らぎや非線形媒質14Aの偏波モード分散(PMD)等に起因して発生する雑音成分は、図2の中央下段左側の円形斜線部分に示すように無偏光状態となる。このため、透過軸に垂直な直線偏波の信号光は偏光子14Bを透過しないが、無偏光状態の雑音成分のうちの透過軸と平行な成分は偏光子14Bを透過するため、図2の中央下段右側の楕円斜線部分に示すような雑音成分が偏光子14Bから出力される。そして、この雑音成分は、第2光スイッチ部15の非線形媒質15Aを通過し、偏光子14Bの出力時と同様の偏波状態で偏光子15Bに入力する。しかし、偏光子15Bの透過軸の方向が入力される雑音成分の主な偏波方向に対して垂直に設定されているため、上記の雑音成分は、図2の右側下段に示すよう偏光子15Bを殆ど透過しない。よって、制御光のパルスが存在しないとき、信号光および雑音成分は2段の光スイッチ部14,15によって実質的に遮断される。
【0033】
一方、制御光のパルスが存在するときには、第1光スイッチ部14の非線形媒質14Aに入力された信号光は、制御光による四光波混合によって制御光の偏波方向に光パラメトリック増幅されて強度相関信号光が発生する。このため、第1光スイッチ部14の偏光子14Bに入力される信号光の偏波状態は、図2の中央上段左側の矢印線に示すように、偏光子14Bの透過軸に対して40〜50度傾いた直線偏波となる。このような直線偏波の信号光のうちの透過軸に平行な成分が偏光子14Bを透過するため、図2の中央上段右側の矢印線に示すような偏波状態の信号光が偏光子14Bから出力される。また、非線形媒質14Aに入力された制御光についても、その一部が非線形媒質14Aを通過して偏光子14Bに入力され、透過軸に平行な成分が偏光子14Bから出力される。そして、偏光子14Bを透過した信号光および制御光は、第2光スイッチ部15の非線形媒質15Aに入力され、該非線形媒質15Aにおいて発生する相互位相変調(XPM)により、公知の光カースイッチの動作原理と同様にして、信号光の偏波方向が所定の角度(例えば、約90度)回転される。このため、第2光スイッチ部15の偏光子15Bに入力される信号光の偏波状態は、図2の左側上段の矢印線に示すように、偏光子15Bの透過軸に略平行な直線偏波となる。よって、信号光は偏光子15Bを透過し、後段の波長フィルタ16で波長λs以外の不要な成分が除去されて出力される。
【0034】
ここで、上記の非線形媒体14Aによる強度相関信号の発生について詳しく説明する。
【0035】
非線形媒体14A内で発生する非線形効果のひとつに、超高速に応答する四光波混合効果がある。これは、非線形媒体14Aの零分散波長と同じ波長をもつポンプ光と、ポンプ光とは異なる波長の信号光との両者を、非線形媒体14Aに入力すると、第三の光、アイドラー光が発生する現象である。アイドラー光の強度は、ポンプ光ピークパワーの二乗と信号光ピークパワーの積に比例するので、四光波混合効果により、光学的に強度相関信号光が得られる。
【0036】
ポンプ光の強度を大きくすると、同時に光パラメトリック増幅現象が生じる。即ち、ポンプ光のエネルギーが、信号光および第三のアイドラー光に分配され、効率よく強度相関信号光が得られる。この増幅現象は、信号光にも同様に発生する。すなわち、この増幅成分を、非線形媒体14Aに入力した信号光と分離できれば、入力信号光波長と同一波長の強度相関信号光が得られる。
【0037】
例えば、C−バンド全帯域の信号光をスイッチングする場合、ポンプ光はC−バンド外に設定しなければならず、必然的にアイドラー光はC−バンド外に発生してしまい、これを強度相関信号光として用いるにはC−バンド帯域外の光部品が必要になり、光スイッチが高額になってしまう。そのために、信号光と同一の波長の強度相関信号光を得ることは重要である。
【0038】
ここで、別の非線形効果である光カー効果を用いた光カースイッチを用いると、上述の分離が可能になる。光カースイッチは、非線形媒質および偏光子で構成されるスイッチであって、該スイッチに入力した信号光が偏光子を透過しないように、信号光の偏波状態が設定される。すなわち、信号光の偏波に対して40〜50度、好ましくは45度の角度をなす直線偏波の制御光(ポンプ光)が非線形媒質に入力されると、制御光により信号光の偏波状態が変化し、強度相関信号光成分のみが偏光子を通過する。よって、光カースイッチの応用により、第1光スイッチ部14において、入力信号光と同一波長の強度相関信号光を得ることができる。
【0039】
さらに、本光スイッチ1の構成においては、非線形媒体14Aにおける強度相関信号光の発生によってエネルギーが低下した制御光のうちの透過軸に平行な成分も偏光子14Bを通過し、強度相関信号光と一緒に後段の第2光スイッチ部15の非線形媒体15Aに入力される。このときの制御光のパワーは、非線形媒体15Aで発生する相互位相変調(XPM)により、強度相関信号光の偏波状態を約90度回転させることが可能になるようなレベルに予め設定されており、これにより強度相関信号光の偏波方向が偏光子15Bの透過軸と略平行になる。よって、制御光のパルスが存在する場合にのみ、入力信号光と同一波長の強度相関信号光が偏光子15Bから出力されるようになる。
【0040】
上記のような動作原理により、本光スイッチ1は、制御光のパルスの有無に従ってON/OFFスイッチされた信号光を、OFF時の雑音成分を抑圧した状態で出力することができる。図3は、制御光パルスがない場合における本光スイッチ1の出力光スペクトルを、上述の図10に示した従来の光スイッチの場合と比較した一例である。このように、本光スイッチ1によれば、動作可能な波長帯域の全体に亘って従来よりも雑音レベルを低下させることができる。よって、ON時の信号光パワーとOFF時の雑音光パワーとの比で表される信号光消光比を改善することが可能であり、より優れた性能を有する光スイッチを実現することができる。
【0041】
なお、上記第1実施形態の光スイッチでは、第1光スイッチ部14の偏光子14Bの透過軸の方向に対して、非線形媒体14Aに入力される信号光の偏波方向が直交するように偏波コントローラ11を設定すると共に、その信号光の偏波方向に対して制御光の偏波方向が40〜50度の角度をなすように偏波コントローラ12を設定する一例を示したが、例えば、第2光スイッチ部15または波長フィルタ16から出力される光のパワーをモニタし、そのモニタ結果を基に信号光および制御光の偏波状態が最適化されるように各偏波コントローラ11,12のフィードバック制御を行うようにしてもよい。このような構成を適用することにより、本光スイッチに入力される信号光の偏波状態に依存することのない安定したスイッチ特性を実現することが可能になる。
【0042】
次に、上記のような本発明による光スイッチを用いた光波形モニタ装置の実施形態について説明する。
【0043】
図4は、本発明による光波形モニタ装置の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【0044】
図4において、本光波形モニタ装置は、例えば、前述の図1に示した光スイッチ1を用いた光ゲート部と、光スイッチ1にサンプリング光パルスを与えるサンプリング光パルス生成部2と、光スイッチ1からの出力光を電気信号に変換する光電変換部3と、該光電変換部3から出力される電気信号の波形を表示する波形表示部4と、を備えて構成される。
【0045】
サンプリング光パルス生成部2は、光スイッチ1の偏波コントローラ11に入力される繰り返し周波数f0の被測定光に同期した周波数f0の同期クロック信号を用いて、該同期クロック信号をN分周し、さらに掃引のための周波数Δfにより周波数シフトして、サンプリング周波数(f0/N+Δf)の信号を生成する。そして、そのサンプリング周波数信号に従って図示しない短パルス光源を駆動することにより、被測定光の波長λsとは異なる波長λcを有するサンプリング光パルスを生成し、そのサンプリング光パルスを光スイッチ1の偏波コントローラ12に出力する。ここでは、上記の被測定光およびサンプリング光パルスが、前述の図1に示した光スイッチ1における信号光および制御光に相当することになる。なお、サンプリング光パルス生成部2に与えられる同期クロック信号は、例えば特開2006−129035号公報等に開示されている公知のクロック抽出技術を利用して被測定光より生成されるものとする。
【0046】
光電変換器3は、例えば、光スイッチ1でサンプリングされて被測定光(モニタ光)を受光素子を用いて電気信号に変換した後に、該電気信号の振幅をサンプリング周波数信号を用いてディジタル信号に変換して出力するものである。
【0047】
波形表示部4は、光電変換器3から出力されるディジタル信号を垂直軸入力とし、サンプリング光パルス生成部2からの掃引信号Δfを水平軸入力として、モニタ光の波形を表示するためのものである。
【0048】
上記のような構成の光波形モニタ装置では、繰り返し周波数f0および波長λsの被測定光と、該被測定光に同期したサンプリング周波数(f0/N+Δf)および波長λc(≠λs)のサンプリング光パルスとが光スイッチ1に入力される。光スイッチ1では、被測定光の偏波状態が、偏波コントローラ11により、第1光スイッチ部14の偏光子14Bの透過軸の方向に直交する直線偏波に制御されると共に、該被測定光の偏波方向に対してサンプリング光パルスの偏波方向が40〜50度の角度をなすように、サンプリング光パルスの偏波状態が偏波コントローラ12により制御される。そして、各偏波コントローラ11,12から出力される被測定光およびサンプリング光パルスが方向性結合器13で合波されて、第1光スイッチ部14の非線形媒質14Aに入力される。これにより、前述した光スイッチ1の動作原理に従って、サンプリング光パルスがないときには、被測定光および雑音成分が第1、2光スイッチ部14,15で遮断される一方、サンプリング光パルスがあるときには、被測定光が第1、2光スイッチ部14,15および波長フィルタ16を順に透過して光スイッチ1から出力される。そして、光スイッチ1でサンプリングされた被測定光は、光電変換部3において電気信号に変換された後にその振幅がA/D変換され、当該ディジタル信号が波形表示部4に与えられて周波数Δfで掃引されることにより、被測定光の実波形が波形表示部4に表示されるようになる。
【0049】
上記のような光波形モニタ装置によれば、光スイッチ1における被測定光のサンプリングが雑音成分の影響を殆ど受けることなく高い信号光消光比によって行われるため、被測定光の波形を非常に高い精度でモニタすることが可能になる。
【0050】
次に、上記図4に示した光波形モニタ装置の応用例について説明する。
【0051】
図5は、本発明による光波形モニタ装置の他の実施形態の構成を示すブロック図である。
【0052】
図5において、本光波形モニタ装置の構成が上記の図4に示した構成と異なる点は、ソフトウェア同期処理部5を設け、光電変換部3から出力される電気信号をソフトウェア同期処理部5で処理した後に波形表示部4に与えるようにすることで、同期クロック信号を用いることなく、サンプリングパルス光源2’によりサンプリング周波数f1および波長λcのサンプリング光パルスを生成して、被測定光の波形をモニタできるようにした点である。
【0053】
ソフトウェア同期処理部5は、例えば、論文:T. Kiatchang, et al., "Real-time all-optical waveform sampling using a free-running passively mode-locked fiber laser as the sampling pulse source," OFC 2006, OWN1, 2006等で公知のソフトウェア同期技術を利用したアルゴリズムにより、光電変換部3から出力される電気信号より被測定光の同期クロック情報を取り出し、当該情報に応じて被測定光の波形を波形表示部4に表示させるものである。
【0054】
このようなソフトウェア同期処理部5を用いることにより、光スイッチ1に入力される被測定光とサンプリング光パルスの同期がとられているか否かに関係なく、被測定光の波形をモニタすることが可能になるので、光波形モニタ装置をより容易に実現することができる。また、上記の論文に記載されている光波形モニタ技術は、被測定光とは波長の異なる強度相関信号光(アイドラー光)の波形をソフトウェア同期処理によりモニタする構成であるため、光サンプリングゲートの帯域が被測定光の波長帯域の2倍以上必要であった。これに対して図5に示した本発明の構成によれば、被測定光と同一波長の強度相関信号光の波形をソフトウェア同期処理によりモニタするので、光スイッチ1(光サンプリングゲート)を構成する各光部品に要求される波長帯域が被測定光と同程度の帯域でよいという利点もある。
【0055】
以上、本明細書で開示した主な発明について以下にまとめる。
【0056】
(付記1) 信号光および該信号光とは波長および偏波方向の異なる制御光パルスを合波して出力する合波部と、
前記合波部の出力光が入力される第1非線形媒質と、
前記第1非線形媒質の出力側に設けられ、前記第1非線形媒質に入力される前記信号光の偏波方向に直交する透過軸を有する第1偏光子と、を含み、
前記第1非線形媒質における前記信号光および前記制御光パルスによる非線形効果により、前記信号光が前記制御光パルスの偏波方向に光パラメトリック増幅されることで、該信号光のうちの前記第1偏光子の透過軸に平行な成分が前記第1偏光子を透過して出力される光スイッチにおいて、
前記第1偏光子の透過光が入力される第2非線形媒質と、
前記第2非線形媒質の出力側に設けられ、前記第1偏光子の透過軸の方向に直交する透過軸を有する第2偏光子と、を備え、
前記第2非線形媒質における前記信号光および前記制御光パルスによる非線形効果により前記信号光の偏波方向が回転されることで、該信号光のうちの前記第2偏光子の透過軸に平行な成分が前記第2偏光子を透過して出力されることを特徴とする光スイッチ。
【0057】
(付記2) 付記1に記載の光スイッチであって、
前記第2偏光子の透過光が入力され、前記信号光と同一の波長成分を抽出して出力する波長フィルタを備えたことを特徴とする光スイッチ。
【0058】
(付記3) 付記1に記載の光スイッチであって、
前記制御光パルスは、前記第1非線形媒質において前記信号光を光パラメトリック増幅させることが可能であり、かつ、前記第2非線形媒質において前記信号光の偏波方向を略90度回転させることが可能なパワーを有することを特徴とする光スイッチ。
【0059】
(付記4) 付記1に記載の光スイッチであって、
前記第1非線形媒体に入力される前記信号光の偏波方向が前記第1偏光子の透過軸に直交するように、前記信号光の偏波状態を制御する第1偏波コントローラを備えたことを特徴とする光スイッチ。
【0060】
(付記5) 付記4に記載の光スイッチであって、
前記第1偏波コントローラは、前記第2偏光子を透過した光のパワーレベルに基づいて、前記信号光の偏波状態をフィードバック制御することを特徴とする光スイッチ。
【0061】
(付記6) 付記1に記載の光スイッチであって、
前記第1非線形媒体に入力される前記制御光パルスの偏波方向が前記第1非線形媒体に入力される前記信号光の偏波方向に対して40〜50度の角度をなすように、前記制御光パルスの偏波状態を制御する第2偏波コントローラを備えたことを特徴とする光スイッチ。
【0062】
(付記7) 付記6に記載の光スイッチであって、
前記第2偏波コントローラは、前記第1非線形媒体に入力される前記制御光パルスの偏波方向が前記第1非線形媒体に入力される前記信号光の偏波方向に対して略45度の角度をなすようにすることを特徴とする光スイッチ。
【0063】
(付記8) 付記6に記載の光スイッチであって、
前記第2偏波コントローラは、前記第2偏光子を透過した光のパワーレベルに基づいて、前記制御光パルスの偏波状態をフィードバック制御することを特徴とする光スイッチ。
【0064】
(付記9) 被測定光をサンプリングするためのサンプリング光パルスを生成するサンプリング光パルス生成部と、
前記被測定光が入力され、前記サンプリング光パルス生成部からのサンプリング光パルスに従って前記被測定光をサンプリングしたモニタ光を出力する光ゲート部と、を備えた光波形モニタ装置において、
付記1に記載の光スイッチを前記光ゲート部として用い、前記被測定光および前記サンプリング光パルス生成部からのサンプリング光パルスが前記光スイッチの前記合波部で合波されて前記第1非線形媒質に入力されることを特徴とする光波形モニタ装置。
【0065】
(付記10) 付記9に記載の光波形モニタ装置であって、
前記サンプリング光パルス生成部は、前記被測定光に同期したクロック信号を基に所定のサンプリング周波数を有するサンプリング周波数信号を生成し、前記被測定光とは波長の異なる光を発生する光源を、前記サンプリング周波数信号に従って駆動することで、前記サンプリング光パルスを生成することを特徴とする光波形モニタ装置。
【0066】
(付記11) 付記9に記載の光波形モニタ装置であって、
前記光ゲート部から出力されるモニタ光を電気信号に変換する光電変換部と、前記光電変換部から出力される電気信号の波形を表示する波形表示部と、を備えたことを特徴とする光波形モニタ装置。
【0067】
(付記12) 付記11に記載の光波形モニタ装置であって、
前記光電変換部から出力される電気信号をソフトウェア同期処理して前記被測定光の同期クロック情報を取り出し、当該情報に応じて前記モニタ光の波形を前記波形表示部に表示させるソフトウェア同期処理部を備え、
前記サンプリング光パルス生成部は、前記被測定光とは波長の異なる光を発生する光源を、所定のサンプリング周波数を有するサンプリング周波数信号に従って駆動することで、前記サンプリング光パルスを生成することを特徴とする光波形モニタ装置。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明による光スイッチの一実施形態の構成を示す図である。
【図2】上記実施形態の動作を説明するための図である。
【図3】上記実施形態における制御光パルスがない場合の出力光スペクトルの一例を示す図である。
【図4】本発明による光波形モニタ装置の一実施形態の構成を示す図である。
【図5】本発明による光波形モニタ装置の他の実施形態の構成を示す図である。
【図6】一般的な光波形モニタ装置の構成例を示す図である。
【図7】光サンプリング技術を用いた従来の光波形モニタ装置の構成例を示す図である。
【図8】図7の光サンプリングゲートとして用いられる従来の光スイッチの構成例を示す図である。
【図9】図8の光スイッチの動作を説明するための図である。
【図10】図8の光スイッチにおける制御光パルスがない場合の出力光スペクトルの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
1…光スイッチ
2…サンプリング光パルス生成部
2’…サンプリングパルス光源
3…光電変換部
4…波形表示部
5…ソフトウェア同期処理部
11,12…偏波コントローラ(PC)
13…方向性結合器
14…第1光スイッチ部
15…第2光スイッチ部
14A,15A…非線形媒質(NLM)
14B,15B…偏光子
16…波長フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号光および該信号光とは波長および偏波方向の異なる制御光パルスを合波して出力する合波部と、
前記合波部の出力光が入力される第1非線形媒質と、
前記第1非線形媒質の出力側に設けられ、前記第1非線形媒質に入力される前記信号光の偏波方向に直交する透過軸を有する第1偏光子と、を含み、
前記第1非線形媒質における前記信号光および前記制御光パルスによる非線形効果により、前記信号光が前記制御光パルスの偏波方向に光パラメトリック増幅されることで、該信号光のうちの前記第1偏光子の透過軸に平行な成分が前記第1偏光子を透過して出力される光スイッチにおいて、
前記第1偏光子の透過光が入力される第2非線形媒質と、
前記第2非線形媒質の出力側に設けられ、前記第1偏光子の透過軸の方向に直交する透過軸を有する第2偏光子と、を備え、
前記第2非線形媒質における前記信号光および前記制御光パルスによる非線形効果により前記信号光の偏波方向が回転されることで、該信号光のうちの前記第2偏光子の透過軸に平行な成分が前記第2偏光子を透過して出力されることを特徴とする光スイッチ。
【請求項2】
請求項1に記載の光スイッチであって、
前記第2偏光子の透過光が入力され、前記信号光と同一の波長成分を抽出して出力する波長フィルタを備えたことを特徴とする光スイッチ。
【請求項3】
請求項1に記載の光スイッチであって、
前記制御光パルスは、前記第1非線形媒質において前記信号光を光パラメトリック増幅させることが可能であり、かつ、前記第2非線形媒質において前記信号光の偏波方向を略90度回転させることが可能なパワーを有することを特徴とする光スイッチ。
【請求項4】
請求項1に記載の光スイッチであって、
前記第1非線形媒体に入力される前記信号光の偏波方向が前記第1偏光子の透過軸に直交するように、前記信号光の偏波状態を制御する第1偏波コントローラを備えたことを特徴とする光スイッチ。
【請求項5】
請求項4に記載の光スイッチであって、
前記第1偏波コントローラは、前記第2偏光子を透過した光のパワーレベルに基づいて、前記信号光の偏波状態をフィードバック制御することを特徴とする光スイッチ。
【請求項6】
請求項1に記載の光スイッチであって、
前記第1非線形媒体に入力される前記制御光パルスの偏波方向が前記第1非線形媒体に入力される前記信号光の偏波方向に対して40〜50度の角度をなすように、前記制御光パルスの偏波状態を制御する第2偏波コントローラを備えたことを特徴とする光スイッチ。
【請求項7】
被測定光をサンプリングするためのサンプリング光パルスを生成するサンプリング光パルス生成部と、
前記被測定光が入力され、前記サンプリング光パルス生成部からのサンプリング光パルスに従って前記被測定光をサンプリングしたモニタ光を出力する光ゲート部と、を備えた光波形モニタ装置において、
請求項1〜6のいずれか1つに記載の光スイッチを前記光ゲート部として用い、前記被測定光および前記サンプリング光パルス生成部からのサンプリング光パルスが前記光スイッチの前記合波部で合波されて前記第1非線形媒質に入力されることを特徴とする光波形モニタ装置。
【請求項8】
請求項7に記載の光波形モニタ装置であって、
前記サンプリング光パルス生成部は、前記被測定光に同期したクロック信号を基に所定のサンプリング周波数を有するサンプリング周波数信号を生成し、前記被測定光とは波長の異なる光を発生する光源を、前記サンプリング周波数信号に従って駆動することで、前記サンプリング光パルスを生成することを特徴とする光波形モニタ装置。
【請求項9】
請求項7に記載の光波形モニタ装置であって、
前記光ゲート部から出力されるモニタ光を電気信号に変換する光電変換部と、前記光電変換部から出力される電気信号の波形を表示する波形表示部と、を備えたことを特徴とする光波形モニタ装置。
【請求項10】
請求項9に記載の光波形モニタ装置であって、
前記光電変換部から出力される電気信号をソフトウェア同期処理して前記被測定光の同期クロック情報を取り出し、当該情報に応じて前記モニタ光の波形を前記波形表示部に表示させるソフトウェア同期処理部を備え、
前記サンプリング光パルス生成部は、前記被測定光とは波長の異なる光を発生する光源を、所定のサンプリング周波数を有するサンプリング周波数信号に従って駆動することで、前記サンプリング光パルスを生成することを特徴とする光波形モニタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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