説明

光センサ装置及びこれを用いたワークの位置検出方法

【課題】搬送されるワークを短時間で且つ正確に所定位置に停止させることができ、位置検出コストの低減及び作業性の向上を実現する光センサ装置を提供する。
【解決手段】ベルトコンベアBの一方の側縁がわから横切る方向に投光する投光側光ファイバユニット10Aと、ベルトコンベアBの他方の側縁がわで投光側光ファイバユニット10Aからの光を受ける受光側光ファイバユニット10Bと、受光側光ファイバユニット10Bの光ファイバ12と接続する光電センサ13を備え、両光ファイバユニット10A,10Bは、プリント基板Pの移動方向に沿う投光面10a及び受光面10bを各々具備して、両面10a,10b間にプリント基板Pが進入するのに伴って受光面10bの受光量が単調に減衰する特性を有し、光電センサ13は、二つの異なった閾値S1,S2を特性領域A内に設定して定まる二つの位置P1,P2で検出信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトコンベア等のワーク搬送路の近傍に配置されて、この搬送路上を移動するワークの位置検出を行うのに用いられる光センサ装置及びこれを用いたワークの位置検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記した光センサ装置としては、例えば、光ファイバを介して光源側に接続して、ベルトコンベアの一方の側縁からこのベルトコンベアを横切る方向に投光する投光側光ファイバユニットと、光電センサに接続して、ベルトコンベアの他方の側縁で投光側光ファイバユニットから投光された光を受ける受光側光ファイバユニットを備えたものが知られており、この光センサ装置では、ベルトコンベアで搬送されるワークが、光側光ファイバユニットから投光された光を遮ることで、その位置検出が成されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記したベルトコンベアで搬送されるワークを所定位置に正確に停止させるには、所定位置の手前でワークを大きく減速させる必要があり、従来において、上記光センサ装置を二組用意し、一方の光センサ装置を所定の停止位置に配置すると共に、他方の光センサ装置をワークの減速開始位置に並べて配置するようにしていた。
【特許文献1】特開2004-205361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来において、ワークの搬送時間の短縮を図るためには、減速を開始してから停止するまでの区間を短くすること、又は停止位置の精度を上げるために停止動作から実際に停止するまでの区間を短くすること、すなわち、二組の光センサ装置の互いの間隔を狭めることが要求されるが、光センサ装置の各投光部分の大きさをできる限り小さくしたとしても限界がある。
【0005】
また、ワークの停止位置を変える場合には、二組の光センサ装置の相対位置関係を変更する必要があり、その作業が煩雑で且つ容易でないという問題を有しており、これらの問題を解決することが従来の課題となっていた。
本発明は、上記した従来の課題に着目してなされたもので、搬送されるワークを短時間でしかも正確に所定位置に停止させることができるのは勿論のこと、ワークの位置検出に係るコストの低減及び作業性の向上を実現することが可能である光センサ装置及びこれを用いたワークの位置検出方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するべく本発明の請求項1に係る発明は、ベルトコンベアなどのワーク搬送路上を移動するワークの位置検出を行う光センサ装置であって、前記ワーク搬送路の一方の側縁がわに位置して該ワーク搬送路を横切る方向に投光する投光側光ファイバユニットと、前記ワーク搬送路の他方の側縁がわに位置して前記投光側光ファイバユニットから投光された光を受ける受光側光ファイバユニットと、この受光側光ファイバユニットの光ファイバと接続する光電センサを備え、前記投光側光ファイバユニット及び受光側光ファイバユニットは、前記ワークの移動方向に沿う投光面及び受光面をそれぞれ具備して、両面間にワークが進入するのに伴って前記受光側光ファイバユニットにおける受光面の受光量が単調に減衰する特性を有し、前記光電センサは、受光量が急変する特性領域(図2の特性領域A参照)を有し、二つの異なった前記受光量に対応した閾値を前記特性領域内に設定して定まる二つの位置(図2の閾値S1,S2及びこれで定まる二つの位置P1,P2参照)でワーク検出信号を出力する構成としたことを特徴としており、このような構成の光センサ装置を前述した課題を解決するための手段としている。
【0007】
本発明に係る光センサ装置では、ワーク搬送路上を移動するワークの位置検出を行うに際して、投光側光ファイバユニットの投光面及び受光側光ファイバユニットの受光面間にワークが進入すると、これに伴って受光側光ファイバユニットにおける受光面の受光量が単調に減衰し始める。
この際、投光側光ファイバユニットの投光面及び受光側光ファイバユニットの受光面間には、光電センサの特性領域(A)内に二つの異なった受光量に対応する閾値(S1,S2)を設定することによって、ワーク検出信号を出力可能なワークの減速開始位置(P1)及びワークの所定停止位置(P2)が定めてあるので、ワークの進行に伴って減衰する受光量に基づいて光電センサがワークの減速開始位置(P1)への到達を識別すると、ワーク検出信号が出力されてワークの減速が開始することとなり、続いて、ワークのさらなる進行に伴って減衰する受光量に基づいて光電センサがワークの所定停止位置(P2)への到達を識別すると、上記と同じくワーク検出信号が出力されてワークが所定位置(P2)に停止することとなる。
【0008】
このように、ワークの減速開始位置(P1)及びワークの所定停止位置(P2)は、光電センサの特性領域(A)内に設定された二つの異なった受光量に対応した閾値(S1,S2)により定められているので、ワークの減速開始位置及びワークの所定停止位置に二組の光センサ装置を並べて配置した従来と比べて、両位置の間隔を狭く設定し得ることとなり、加えて、アンプ操作や後述するスリットの設置といった安価で且つ簡単な操作によってワークの停止位置の変更にも対応し得ることとなる。
【0009】
なお、ワークの減速開始位置(P1)及びワークの所定停止位置(P2)は、ワークの所定停止位置(P1)及びワークの停止はみ出し位置(P2)とそれぞれ置き換えることができ、このように成すことで、本出願人が先に出願した特願2007-287945号における請求項1に記載した第一の検出スイッチ及び第二の検出スイッチを本発明の光センサ装置一つで代替することが可能となる。
【0010】
また、本発明の請求項2に係る光センサ装置は、異なるワーク毎に閾値を設定して記憶し、外部信号によりワークが指定された段階で該当するワークの閾値を自動選択する制御部を設けた構成としており、このような構成とすることで、段取り換えの自動化が図られることとなる。
ここで、本発明に係る光センサ装置において、ワークの減速開始位置(P1)及びワークの所定停止位置(P2)の設定変更は、アンプ操作による閾値の変更で対応可能であるが、例えば、ワークの減速開始位置(P1)及びワークの所定停止位置(P2)の間隔をより狭めたい場合には、光電センサの特性領域(A)の一部を使用してアンプ操作により閾値(S1,S2)の間隔を狭めるようにしてもよいが、この場合には、SN比が低下することがある。
【0011】
そこで、本発明の請求項3に係る光センサ装置では、前記投光側光ファイバユニットの投光面及び受光側光ファイバユニットの受光面に、二つの異なった前記受光量に対応した閾値の間隔を調整する光芒幅調整用スリットを設けた構成としており、このような構成を採用すると、二つの閾値間の受光量変化が急峻なものとなって、SN比の低下を回避し得ることとなる。
【0012】
さらに、本発明に係る光センサ装置において、アンプ操作により二つの閾値を設定し、これらの閾値間にワークがあるときに、ワーク検出信号を出力させる構成としてもよい。
一方、本発明の請求項4に係る光センサ装置を用いたワークの位置検出方法は、ワーク搬送路の一方の側縁がわに位置して該ワーク搬送路を横切る方向に投光する投光側光ファイバユニットと、前記ワーク搬送路の他方の側縁がわに位置して前記投光側光ファイバユニットから投光された光を受ける受光側光ファイバユニットと、この受光側光ファイバユニットの光ファイバと接続する光電センサを備えた光センサ装置を用いて、前記ワーク搬送路上を移動するワークの位置検出を行うに際して、前記投光側光ファイバユニット及び受光側光ファイバユニットには、前記ワークの移動方向に沿う投光面及び受光面をそれぞれ具備して、両面間にワークが進入するのに伴って前記受光側光ファイバユニットにおける受光面の受光量が単調に減衰する特性を有する光ファイバユニットを用い、前記光電センサには、受光量が急変する特性領域(図2の特性領域A参照)を有する光電センサを使用して、二つの異なった前記受光量に対応した閾値を前記特性領域内に設定して定まる二つの位置(図2の閾値S1,S2及びこれで定まる二つの位置P1,P2参照)でワーク検出信号を出力させる構成としている。
【0013】
このような構成を成す光センサ装置を用いたワークの位置検出方法において、ワークの減速開始位置(P1)及びワークの所定停止位置(P2)は、光電センサの特性領域(A)内に設定された二つの異なった受光量に対応した閾値(S1,S2)により定められているので、ワークの減速開始位置及びワークの所定停止位置に二組の光センサ装置を並べて配置した従来のワークの位置検出方法と比較して、ワークの減速開始位置及びワークの所定停止位置の間隔を狭く設定し得ることとなるうえ、アンプ操作といった安価で且つ簡単な操作によってワークの停止位置の変更にも対応し得ることとなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1に係る光センサ装置及び請求項4に係る光センサ装置を用いたワークの位置検出方では、上記した構成としているので、搬送されるワークを短時間でしかも正確に所定位置に停止させることができるのは勿論のこと、ワークの位置検出に係るコストの低減及び作業性の向上を実現することが可能であるという非常に優れた効果がもたらされる。
【0015】
また、本発明の請求項2に係る光センサ装置では、上記した構成としているので、段取り換えの自動化を実現でき、本発明の請求項3に係る光センサ装置では、上記した構成としているので、SN比を低下させることなく検出幅を変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。
図1及び図2は、本発明の一実施形態に係る光センサ装置を示しており、この実施形態では、本発明に係る光センサ装置を搬送されるワークとしてのプリント基板の位置決めに用いた場合を例に挙げて説明する。
図1に示すように、この光センサ装置1は、光源2に接続する光ファイバ11を具備して、ベルトコンベア(ワーク搬送路)Bの一方の側縁がわからベルトコンベアBを横切る方向に投光する投光側光ファイバユニット10Aと、計測器3に接続する光ファイバ12を具備して、ベルトコンベアBの他方の側縁がわ対向位置で投光側光ファイバユニット10Aから投光された光を受ける受光側光ファイバユニット10Bと、計測器3内に配置されて受光側光ファイバユニット10Bの光ファイバ12と接続する光電センサ13を備えている。
【0017】
投光側光ファイバユニット10A及び受光側光ファイバユニット10Bは、プリント基板Pの移動方向に沿う投光面10a及び受光面10bをそれぞれ具備しており、受光側光ファイバユニット10Bは、両面10a,10b間にプリント基板Pが進入するのに伴って受光面10bの受光量が単調に減衰する特性を有している。
一方、光電センサ13は、図2に示すように、受光量が急変する特性領域Aを有しており、二つの異なった受光量に対応した相対受光レベルでの閾値S1,S2を特性領域A内に設定して定まるプリント基板Pの減速開始位置P1及びプリント基板Pの所定停止位置P2(二つの位置)で基板検出信号を出力するようになっている。
【0018】
図2において、光ファイバユニット10A,10B間距離Lが互いに異なる場合の基板位置−相対受光レベル曲線T1〜T3を示していて、例えば、基板位置−相対受光レベル曲線T1では、特性領域A内における相対受光レベルでの閾値S1,S2をそれぞれ85%及び55%としており、これで定まるプリント基板Pの減速開始位置P1及びプリント基板Pの所定停止位置P2の間隔は、約0.5mmとなっている。
【0019】
この場合、計測器3内には制御部14が内蔵してあり、異なるワーク毎に閾値S1,S2を設定して記憶し、外部信号によりワークが指定された段階で該当するワークの閾値S1,S2を自動選択するようになっている。
このような光センサ装置1では、ベルトコンベアBによって移動するプリント基板Pの位置検出を行うに際して、投光側光ファイバユニット10Aの投光面10a及び受光側光ファイバユニット10Bの受光面10b間にプリント基板Pが進入すると、これに伴って受光側光ファイバユニット10Bにおける受光面10bの受光量が単調に減衰し始める。
【0020】
この際、投光側光ファイバユニット10Aの投光面10a及び受光側光ファイバユニット10Bの受光面10b間には、光電センサ13の特性領域A内に二つの異なった受光量に対応する閾値S1,S2を設定することによって、基板検出信号を出力可能なプリント基板Pの減速開始位置P1及びプリント基板Pの所定停止位置P2が定めてあるので、プリント基板Pの進行に伴って減衰する受光量に基づいて光電センサ13がプリント基板Pの減速開始位置P1への到達を識別すると、基板検出信号が出力されてプリント基板Pの減速が開始することとなり、続いて、プリント基板Pのさらなる進行に伴って減衰する受光量に基づいて光電センサ13がプリント基板Pの所定停止位置P2への到達を識別すると、上記と同じく基板検出信号が出力されてプリント基板Pが所定位置P2に停止することとなる。
【0021】
このように、上記した光センサ装置1では、プリント基板Pの減速開始位置P1及びプリント基板Pの所定停止位置P2が、光電センサ13の特性領域A内に設定された二つの異なった受光量に対応する閾値S1,S2によって定められているので、両位置P1,P2の間隔を狭く設定し得ることとなり、加えて、アンプ操作といった安価で且つ簡単な操作によってプリント基板Pの停止位置の変更にも対応し得ることとなる。
【0022】
また、上記した光センサ装置1では、異なるワーク毎に閾値S1,S2を設定して記憶し、外部信号によりワークが指定された段階で該当するワークの閾値S1,S2を自動選択する制御部14を計測器3に内蔵しているので、段取り換えの自動化が図られることとなる。
さらに、上記した光センサ装置1において、投光側光ファイバユニット10Aの投光面10a及び受光側光ファイバユニット10Bの受光面10bに光芒幅調整用スリット15(図1に仮想線で示す)を設けることで、二つの異なった受光量に対応した閾値S1,S2の間隔を調整するように成すことができ、このような構成を採用すると、二つの閾値S1,S2間の受光量変化が急峻なものとなって、SN比の低下を回避し得ることとなる。
【0023】
上記した実施形態では、本発明に係る光センサ装置を搬送されるプリント基板の位置決めに用いた場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る光センサ装置を概略的に示す斜視説明図である。
【図2】図1における光センサ装置の光電センサの受光量が急変する特性領域を示す基板位置と相対受光レベルとの関係線図である。
【符号の説明】
【0025】
1 光センサ装置
2 光源
3 計測器
10A 投光側光ファイバユニット
10B 受光側光ファイバユニット
10a 投光面
10b 受光面
11,12 光ファイバ
11a 光ファイバの端面
13 光電センサ
14 制御部
15 光芒幅調整用スリット
A 光電センサの特性領域
B ベルトコンベア(ワーク搬送路)
P プリント基板(ワーク)
P1 プリント基板の減速開始位置
P2 プリント基板の所定停止位置
S1,S2 閾値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク搬送路上を移動するワークの位置検出を行う光センサ装置であって、
前記ワーク搬送路の一方の側縁がわに位置して該ワーク搬送路を横切る方向に投光する投光側光ファイバユニットと、
前記ワーク搬送路の他方の側縁がわに位置して前記投光側光ファイバユニットから投光された光を受ける受光側光ファイバユニットと、
この受光側光ファイバユニットの光ファイバと接続する光電センサを備え、
前記投光側光ファイバユニット及び受光側光ファイバユニットは、前記ワークの移動方向に沿う投光面及び受光面をそれぞれ具備して、両面間にワークが進入するのに伴って前記受光側光ファイバユニットにおける受光面の受光量が単調に減衰する特性を有し、
前記光電センサは、受光量が急変する特性領域を有し、二つの異なった前記受光量に対応した閾値を前記特性領域内に設定して定まる二つの位置でワーク検出信号を出力する
ことを特徴とする光センサ装置。
【請求項2】
異なるワーク毎に閾値を設定して記憶し、外部信号によりワークが指定された段階で該当するワークの閾値を自動選択する制御部を設けた請求項1に記載の光センサ装置。
【請求項3】
前記投光側光ファイバユニットの投光面及び受光側光ファイバユニットの受光面に、二つの異なった前記受光量に対応した閾値の間隔を調整する光芒幅調整用スリットを設けた請求項1又は2に記載の光センサ装置。
【請求項4】
ワーク搬送路の一方の側縁がわに位置して該ワーク搬送路を横切る方向に投光する投光側光ファイバユニットと、前記ワーク搬送路の他方の側縁がわに位置して前記投光側光ファイバユニットから投光された光を受ける受光側光ファイバユニットと、この受光側光ファイバユニットの光ファイバと接続する光電センサを備えた光センサ装置を用いて、前記ワーク搬送路上を移動するワークの位置検出を行うに際して、
前記投光側光ファイバユニット及び受光側光ファイバユニットには、前記ワークの移動方向に沿う投光面及び受光面をそれぞれ具備して、両面間にワークが進入するのに伴って前記受光側光ファイバユニットにおける受光面の受光量が単調に減衰する特性を有する光ファイバユニットを用い、
前記光電センサには、受光量が急変する特性領域を有する光電センサを使用して、二つの異なった前記受光量に対応した閾値を前記特性領域内に設定して定まる二つの位置でワーク検出信号を出力させる
ことを特徴とする光センサ装置を用いたワークの位置検出方法。

【図1】
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【図2】
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