説明

光ディスクの画像形成装置、光ディスクの画像形成装置の振動周波数を設定するためのプログラム

【課題】アクチュエータの共振を防止又は軽減させた状態で画像の形成が可能となる光ディスクの画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】感光又は感熱材料からなる光ディスクの変色層にレーザー光を照射して画像を形成する画像形成装置において、光ディスクを回転させるモータと、所定回転周波数で回転するべくモータを制御する回転制御部と、レーザー光を出射する半導体レーザーと、半導体レーザーと光ディスクとの間の対物レンズと、対物レンズの位置を変更するアクチュエータと、対物レンズからのレーザー光が変色層に集光するべくアクチュエータを制御する焦点制御部と、所定回転周波数で回転し且つレーザー光が変色層に集光した状態で、対物レンズが径方向へ所定振動周波数で振動するべく、アクチュエータの振動制御を行う振動制御部とを備え、所定振動周波数はアクチュエータに固有の共振周波数以外の周波数であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクの画像形成装置、光ディスクの画像形成装置の振動周波数を設定するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、情報の記録/再生のための記録媒体として光ディスク(例えば、CD(Compact Disc、DVD(Digital Versatile Disc)等)が普及している。更に、近年、レーザー光の光強度、熱により変色する変色層(感光層、感熱層等)が設けられ、文字、図形、画像等(以下、画像という)を形成可能な光ディスクが提唱されている。図8を参照しつつ、画像が形成可能な光ディスク100の構成の一例について説明すると、光ディスク100は、保護層101、変色層102、反射層103が積層された構造となっている。変色層102は、対物レンズ104からのレーザー光の光強度又は熱によって、可視特性{色(色相、明度、彩度)、反射率、透過率、光錯乱等}が変化(例えば、白色から有色、透明から有色等)する感光材料又は感熱材料によって構成されている。
【0003】
そして、この光ディスク100に対して、正確な画像の形成を行うべく光ディスクの画像形成装置が提唱されている。この光ディスクの画像形成装置は、光ディスクに対する情報の記録/再生を行うための光ディスク装置に画像形成機能を付加したものが一般的である。例えば、特許文献1に示す光ディスクの画像形成装置においては、一般的な光ディスク装置のサーボ制御であるフォーカス制御、スピンドル制御、スレッド制御とともに、光ディスク100の径方向(以下、トラッキング方向という)にレーザー光を所定振動周波数で振動させるための制御を行っている。尚、光ディスク100への画像の形成を行う際、光ディスクの画像形成装置は、一般的に、情報が記録される記録層(不図示)と変色層102の位置の相違、変色層102の光吸収等に起因してトラッキング制御が不安定となる可能性があるため、当該トラッキング制御は停止される。
【0004】
この光ディスクの画像形成装置について詳述すると、光ディスクの画像形成装置は、先ず、スピンドル制御によってスピンドルモータを回転させることにより、光ディスク100を所定回転周波数で回転させる。そして、光ディスクの画像形成装置は、光ディスク100の記録層に形成されるランドやグルーブに起因して発生するレーザー光の反射光の変動成分信号を、フォーカス制御が行われる有効領域外とするための交流信号を生成する。そして、当該交流信号が、アクチュエータのトラッキングコイルに印加されることにより、対物レンズ104がトラッキング方向へ当該交流信号の周波数に応じた振動周波数で振動する。この結果、対物レンズ104からのレーザー光が、光ディスク100のトラッキング方向へ振動することとなる。更に、この光ディスクの画像形成装置は、1周分の画像の形成において、光ディスク100が1回転する毎に位相を異ならせた交流信号を複数回アクチュエータのトラッキングコイルに印加させることにより、光ディスク100に形成される画像のコントラスト(ドットの濃淡)を選択的にすることを可能としている。そして、光ディスクの画像形成装置は、上述の制御を行いつつ、スレッド制御により例えば光ディスク100の内周側から外周側へレーザー光を照射させることによって、光ディスク100全体若しくは所望の領域における画像の形成を実現している。この結果、光ディスクの画像形成装置は、光ディスク100に対して、正確且つコントラストに優れた画像の形成を行うことが可能となる(図9参照)。
【特許文献1】特開2004−5847
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、対物レンズ104をトラッキング方向又は光軸方向(以下、フォーカス方向という)に移動させるアクチュエータは、図10に示すような固有の共振周波数を有している。詳述すると、アクチュエータは、当該アクチュエータを構成する、対物レンズ104を弾性力で保持するための金属バネや樹脂製ヒンジ等の重量・バネ定数等から定まる固有振動周波数に起因して発生する1次共振周波数、対物レンズ104を保持するレンズホルダ、軸受、摺動軸等の高剛性等から定まる固有振動周波数に起因して発生する二次共振(ローリング)周波数、更に高次の共振周波数を有している。つまり、アクチュエータは、製造工程において選択される構成部材(金属バネ、レンズホルダ等)の特性(固有振動周波数)によって定まる、アクチュエータに固有の共振周波数を有している。そして、前述の光ディスクの画像形成装置において、仮に、アクチュエータに固有の共振周波数と同じ周波数の交流信号が生成されて当該アクチュエータのトラッキングコイルに印加される場合、共振が発生する可能性があった。
【0006】
更に、前述の光ディスクの画像形成装置においては、光ディスク100に対して画像の形成を行う際、スピンドル制御によりスピンドルモータを回転させることにより、光ディスク100を所定回転周波数で回転させる。しかしながら、仮に、所定回転周波数の1以上の整数倍となる周波数と同じ周波数の交流信号が生成される場合においても、共振が発生する可能性があった。そして共振が発生した場合、例えば、トラッキング方向へのレーザー光の振動が不正確となり、画像の形成が不能となる可能性があった。或いは、光ディスク100に対して、不正確な(例えば、所望のコントラストではない)画像の形成がなされる可能性があった。また、例えば、アクチュエータの共振による影響がフォーカス制御にまでおよび当該フォーカス制御が不安定となり、光ディスク100に対するレーザー光のフォーカスはずれ等が発生する可能性があった。そのため、画像の形成が不能となる可能性があった。或いは、光ディスク100に対して不正確な画像の形成が行われる可能性があった。
【0007】
そこで、本発明は、アクチュエータの共振を防止又は軽減させた状態で画像の形成が可能となる光ディスクの画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための発明は、感光材料又は感熱材料からなる光ディスクの変色層にレーザー光を照射し、前記変色層に画像を形成する光ディスクの画像形成装置において、光ディスクを回転させるモータと、前記光ディスクが所定回転周波数で回転するべく、前記モータの回転を制御する回転制御部と、前記レーザー光を出射する半導体レーザーと、前記半導体レーザーと前記光ディスクの一方側の面との間の光路に介在する対物レンズと、前記光ディスクに対する前記対物レンズの位置を変更するアクチュエータと、前記対物レンズからのレーザー光が前記変色層に集光するべく、前記アクチュエータの位置制御を行う焦点制御部と、前記光ディスクが前記所定回転周波数で回転し、且つ、前記対物レンズからのレーザー光が前記変色層に集光した状態で、前記対物レンズが前記光ディスクの径方向へ所定振動周波数で振動するべく、前記アクチュエータの振動制御を行う振動制御部と、を備え、前記所定振動周波数は、前記アクチュエータに固有の共振周波数以外の周波数である、ことを特徴とする。
【0009】
また、感光材料又は感熱材料からなる変色層を有する光ディスクを回転させるモータと、前記光ディスクが所定回転周波数で回転するべく、前記モータの回転を制御する回転制御部と、前記変色層に画像を形成するためのレーザー光を出射する半導体レーザーと、前記半導体レーザーと前記光ディスクの一方側の面との間の光路に介在する対物レンズと、前記光ディスクに対する前記対物レンズの位置を変更するアクチュエータと、前記対物レンズからのレーザー光が前記変色層に集光するべく、前記アクチュエータの位置制御を行う焦点制御部と、前記光ディスクが前記所定回転数端数で回転し、且つ、前記対物レンズからのレーザー光が前記変色層に集光した状態で、前記対物レンズが前記光ディスクの径方向へ所定振動周波数で振動するべく、前記アクチュエータの振動制御を行う振動制御部と、を備えた光ディスクの画像形成装置を制御するコンピュータに、前記アクチュエータに固有の共振周波数以外の周波数を前記所定振動周波数として設定する機能を実現させるプログラム。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、アクチュエータの共振を防止又は軽減させた状態で画像の形成が可能となる光ディスクの画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0012】
<<光ディスクの画像形成装置1の全体構成例>>
図2乃至図4、図8、図10を適宜参照しつつ、図1を用いて本発明に係る光ディスクの画像形成装置1の全体構成について説明する。図1は、本発明に係る光ディスクの画像形成装置1の全体構成の一例を示すブロック図である。図2は、図1に示す光検出器13の受光面A乃至Dにおけるレーザー光の受光を示す図である。図3は、光ディスク2の回転制御において、ZCLV方式を採用した時の詳細を説明するための図である。図4は、画像データを構成する階調データとレーザー光の光強度との対応を示す表である。尚、本実施形態における光ディスクの画像形成装置1は、光ディスク2の記録層に対する情報の記録/再生可能な機能が付加されているものとして説明する。また、本実施形態における光ディスク2は、図8に示す感光材料又は感熱材料からなる変色層102、保護層101、反射層103を有しているものして説明する。
【0013】
光ディスクの画像形成装置1は、スピンドルモータ3(モータ)、FG発生回路5、スピンドルモータ制御部4(回転制御部)、分周回路9、PLL(Phase Locked Loop)回路10、光ピックアップ装置11、RF(ラジオ周波数)信号処理部21、デコーダ22、フォーカス信号処理部20(焦点制御部)、トラッキング信号処理部19、振動付加回路18(振動制御部)、ステッピングモータ29、スレッド処理部28、統括制御部6(振動制御部、検出部、算出部)、カウンタ34、タイマ35、インタフェース(I/F)24、バッファメモリ23、エンコーダ8、描画信号処理部31、描画制御部33、レーザーパワー制御部32、レーザードライバ17を有する。
【0014】
スピンドルモータ3は、スピンドルモータ制御部4からの制御電圧がスピンドルモータコイル(不図示)に印加されることによって回転し、例えば、回転軸7と固着される不図示のチャッキング機構で設置される光ディスク2を回転させる。
【0015】
FG発生回路5は、例えば、スピンドルモータ3が回転する時の逆起電圧に基づいて、スピンドルモータ3の回転速度に対応した周波数のFG信号を生成する。尚、本実施形態においてFG発生回路5は、スピンドルモータ3が1回転するあたり、例えば18パルスのFG信号を生成するものとして説明する。
【0016】
スピンドルモータ制御部4は、統括制御部6からの指示信号に基づいて、光ディスク2の回転周波数を当該指示信号に応じた所定回転周波数とするべく、スピンドルモータ3をスピンドル制御するものである。そのため、スピンドルモータ制御部4は、FG信号に基づいて実際の光ディスク2の回転周波数を検出し、当該回転周波数を指示信号に対応する所定回転周波数とするべく、スピンドルモータ3に印加させる制御電圧のレベルを制御する。尚、本実施形態においてスピンドルモータ制御部4は、統括制御部6からの例えばZCLV(Zoned Constant Linear Velocity)回転方式に基づいた指示信号に基づいて、スピンドル制御するものとして説明する。ZCLV方式については、統括制御部6の説明において詳述する。また、一般的な周知技術であり、本発明の要旨に関係しないため説明を簡略化するが、スピンドルモータ制御部4は、スピンドル制御において、光ディスク2の記録層に対して記録する記録データ、又は、変色層102に対して画像を形成するための画像データに同期したクロックがエンコーダ8から供給され、当該クロックとFG信号との位相同期制御を行っている。
【0017】
分周回路9は、FG信号を1/18分周して得られるSFG信号を出力する。この結果、SFG信号の例えば立上りから次のSFG信号の立上りまでの期間は、光ディスク2が1回転する期間を示すこととなる。
【0018】
PLL回路10は、VCO(Voltage Control Osilator、不図示)や回路内のループを制御することにより、FG信号と同期し、且つ、FG信号の周波数を逓倍したクロック信号CKを出力する。尚、本実施形態においては、後述する光ディスク2の各行における列数nをFG発生回路5が発生する1回転あたりのパルス数(18)で割り切れる値とし、列数nをパルス数(18)で除した商をPLL回路10の逓倍率に設定するものとする。この結果、PLL回路10が出力するクロック信号CKの1周期と光ディスク2が1列分回転する期間とは同期したものとなる。
【0019】
光ピックアップ装置11は、半導体レーザー12、光検出器13、アクチュエータ30、対物レンズ16を有している。尚、本発明の要旨に関係しないため不図示としたが、光ピックアップ装置11は、一般的な光ピックアップ装置が有する各種光学系(コリメータレンズ、ビームスプリッタ、アナモフィックレンズ等)、フロントモニタダイオード等を有している。
【0020】
半導体レーザー12は、レーザードライバ17からの制御電圧に基づいて、当該制御電圧によって発生する電流に応じた光強度のレーザー光を出射する。半導体レーザー12からのレーザー光は、各種光学系にて透過、反射等された後、対物レンズ16により集光されて光ディスク2に出射される。
【0021】
対物レンズ16は、アクチュエータ30のレンズホルダ(不図示)に設置され、金属バネ(不図示)等の弾性力により光ディスク2の一方側の面(レーベル面)と対向する位置に保持される。対物レンズ16は、半導体レーザー12からのレーザー光を集光して光ディスク2に出射する。また、対物レンズ16は、光ディスク2からのレーザー光の反射光を平行光に変換して各種光学系に出射する。
【0022】
光検出器13は、対物レンズ16からの各種光学系を介した反射光を受光し、当該反射光のレベルに応じた光電変換信号を出力する。図2を参照しつつ詳述すれば、光検出器13は、反射光を受光するための、例えば4つの受光面A乃至Dを有している。全受光面を4つの受光面A乃至Dに分割する2つの分割線O、Pは、互いに直交し、光ディスク2の記録層又は変色層102に対するフォーカス制御において非点収差法を採用した時の非点収差の発生方向に対して、略45°の角度となるように設けられる。また、何れかの分割線(例えば分割線O)の方向は、光ディスク2の記録層に対するトラッキング制御おいてプッシュプル法を採用した時、当該記録層に形成されているトラック(グルーブ又はランド)の接線方向を示すように設けられる。そして、光検出器13は、4つの受光面A乃至Dごとの反射光のレベルに応じた、4つの光電変換信号A乃至Dを出力する。尚、図1の光ディスクの画像形成装置1においては、一般的な光ディスク装置が有する光電変換信号A乃至Dを増幅するための増幅回路等は省略している。
【0023】
アクチュエータ30は、トラッキングコイル14、フォーカスコイル15を有している。
【0024】
フォーカスコイル15は、フォーカス信号処理部20からのフォーカス制御のための制御信号により、対物レンズ16をX方向(フォーカス方向、光軸方向)に移動させる。この対物レンズ16のX方向への移動距離は制御信号の振幅レベルに対応している。そして、対物レンズ16のX方向への移動により当該対物レンズ16にて集光されるレーザー光が、光ディスク2の記録層又は変色層102に合焦することとなる。
【0025】
トラッキングコイル14は、光ディスク2の記録層に対する情報の記録/再生を行う際、振動付加回路18からのトラッキング制御のための制御信号が印加されることにより、対物レンズ16をY方向(トラッキング方向、径方向)に移動させる。この対物レンズ16のY方向への移動距離は制御信号の振幅レベルに対応している。そして、対物レンズ16のY方向への移動により当該対物レンズ16にて集光されるレーザー光が、光ディスク2のトラックを追従することとなる。また、トラッキングコイル14は、光ディスク2の変色層102に対する画像の形成を行う際、振動付加回路18からの対物レンズ16をY方向へ振動させるための交流信号が印加されることにより、対物レンズ16をY方向に振動させる。この対物レンズ16のY方向への振動周波数は交流信号の周波数に対応しており、Y方向の振動振幅は交流信号の振幅に対応している。
【0026】
このアクチュエータ30は、各構成部材(金属バネ(不図示)やトラッキングコイル14等)のバネ定数や高剛性等が選択されて製造されことにより、例えば図10に示す固有の共振周波数を有している。そして、このアクチュエータ30の固有の共振周波数(1次、2次、高次の共振周波数)を示す共振周波数情報(共振周波数を示すデータ)、及び、図10に示すアクチュエータ30の特性を示す特性情報が統括制御部6のメモリ27(記憶部)に予め記憶される。以下、図10を参照しつつ、アクチュエータ30の特性について詳述する。アクチュエータ30は、印加される入力電圧のレベルに応じて、対物レンズ16をX方向又はY方向へ移動させる移動距離が定まる(入力電圧に対する移動距離。以下、アクチュエータ30の利得という)。更に、このアクチュエータ30の利得は、入力電圧の周波数に依存する特性を有している。例えば、図10に示すように、高周波(例えば、2次共振周波数と高次共振周波数の間)の周波数領域におけるアクチュエータ30の利得は、低周波(例えば、1次共振周波数と2次共振周波数の間)の周波数領域におけるアクチュエータ30の利得よりも小さくなる。そして、このアクチュエータ30は、入力電圧の周波数が1次共振周波数から離れるにつれて、当該1次共振周波数による共振の影響が軽減されていく。つまり、アクチュエータ30に印加させる入力電圧の周波数を、1次共振周波数とは異なる周波数とすることによって、当該1次共振周波数による共振の発生を防止又は軽減することが可能となる。同様に、アクチュエータ30は、入力電圧の周波数が2次共振周波数、高次共振周波数から離れるにつれて、当該2次共振周波数、高次共振周波数による共振の影響が軽減されていく。そして、アクチュエータ30に印加させる入力電圧の周波数を、2次共振周波数、高次共振数端数とは異なる周波数とすることによって、当該2次共振周波数、高次共振周波数による共振の発生を防止又は軽減することが可能となる。尚、アクチュエータ30の固有の共振周波数及び特性は、例えば、光ピックアップ装置11の製造工程における検査等において検出することが可能であり、又は、アクチュエータ30の各構成部材のバネ定数、高剛性等を演算することによって求めることも可能である。
【0027】
RF信号処理部21は、光検出器13からの光電変換信号A乃至Dに基づいて、光ディスク2に記録された情報を示すデータ信号のRF信号を生成する。そして、RF信号処理部21は、RF信号を最適レベルにゲインコントロールするとともにイコライジング処理を施して2値データ化する。
【0028】
デコーダ22は、RF信号処理部21からの2値データ化された信号に対して光ディスク2の規格に対応するデコード処理を施し、アドレス情報やデータ情報をバッファメモリ23に送信する。例えば、光ディスク2がCDである場合、CD規格においては変調コードとしてEFM(Eight Fourteen Modulation)が採用され、誤り訂正符号としてCIRC(Cross Interleaved Reed-Solomon Code)が採用されているため、デコーダ22は、これらの変調コード、誤り訂正符号に基づくデコード処理を行う。或いは、光ディスク2がDVDである場合、DVD規格においては変調コードとしてEFM−Plus(8−16)が採用され、誤り訂正符号としてRS(Reed-Solomon)Product−Codeが採用されているため、デコーダ22は、これらの変調コード、誤り訂正符号に基づくデコード処理を行う。この結果、光ディスク2に記録された情報が、バッファメモリ23、インタフェース24を介して、ホストコンピュータ25にて再生されることとなる。尚、本実施形態において光ディスク2は、例えばCD規格に対応しているものとして説明する。
【0029】
フォーカス信号処理部20は、光検出器13からの光電変換信号A乃至Dに基づいて、フォーカス制御のための制御信号(フォーカスエラー信号)を生成して光ピックアップ装置11に送信する。この制御信号は、フォーカス制御において非点収差を採用した時、(光電変換信号A+光電変換信号C)−(光電変換信号B+光電変換信号D)を演算処理することによって求められる。尚、本実施形態においては、フォーカス制御において非点収差法を採用しているがこれに限るものではない。例えば、光ピックアップ装置11の光学系に回折格子を設け、半導体レーザー12からのレーザー光を3つのビームに回折させ、当該3つのビームの光ディスク2からの反射光に基づいてフォーカス制御を行う差動非点収差法を採用することとしても良い。
【0030】
トラッキング信号処理部19は、光ディスク2の記録層に対して情報の記録/再生を行う際、光検出器13からの光電変換信号A乃至Dに基づいて、トラッキング制御のための制御信号(トラッキングエラー信号)を生成する。この制御信号は、トラッキング制御においてプッシュプル法を採用したとき、(光電変換信号A+光電変換信号D)−(光電変換信号B+光電変換信号C)を演算処理することによって求められる。尚、トラッキング信号処理部19は、光ディスク2の変色層102に対して画像の形成を行う際、統括制御部6からの指示信号に基づいて、光検出器13からの光電変換信号A乃至Dの入力の有無に係らずトラッキング制御を行わない。つまり、光ディスク2の変色層102に対する画像の形成においては、トラッキング制御が停止状態となる。トラッキング制御を選択的にするための実現例としては、例えば、光電変換信号A乃至Dがトラッキング信号処理部19に入力する信号線に、統括制御部6からの指示信号に基づいてオン又はオフするスイッチ回路(不図示)等を設けることで可能となる。尚、本実施形態においては、トラッキング制御においてプッシュプル法を採用しているがこれに限るものではない。例えば、前述の差動非点収差法と同様に回折格子を設け、3つのビームの反射光に基づいてトラッキング制御を行う差動プッシュプル法を採用することとしても良い。
【0031】
振動付加回路18は、光ディスク2の記録層に対する情報の記録/再生を行う際、トラッキング信号処理部19からの制御信号を光ピックアップ装置11に送信する。また、振動付加回路18は、光ディスク2の変色層102に対する画像の形成を行う際、統括制御部6からの制御信号に基づいて振幅及び周波数が制御された交流信号を光ピックアップ装置11に送信する。尚、振動付加回路18の詳細な説明については後述する。
【0032】
ステッピングモータ29は、スレッド処理部28からの制御電圧がステッピングモータコイル(不図示)に印加されることによって、当該制御電圧のレベルに対応したステップ距離分回転し、光ピックアップ装置11をY方向へ移動させる。つまり、光ピックアップ装置11のY方向への移動距離は、ステッピングモータ29のステップ距離に対応したものとなっている
スレッド処理部28は、統括制御部6からの指示信号に基づいて、光ピックアップ装置11のY方向への移動距離を当該指示信号に応じた移動距離とするべく、ステッピングモータ29をスレッド制御するものである。そのため、スレッド処理部28は、指示信号が示す移動距離に応じた制御電圧をステッピングモータ29に印加させる。尚、本実施形態においてスレッド処理部28は、例えば、Y方向における−Y方向側(回転軸7側、光ディスク2の内周側)から+Y方向側(外周側)へ光ピックアップ装置11を移動するべく、ステッピングモータ29をスレッド制御するものして説明する。また、スレッド処理部28のスレッド制御におけるステッピングモータ29の最小ステップ距離に対応した、光ピックアップ装置11の+Y方向への最小移動距離は、後述する光ディスク2の行間の距離と等しいものとなっている。
【0033】
インタフェース24は、接続端子(不図示)を介して接続される、例えばホストコンピュータ25と、光ディスクの画像形成装置1とがデータの送受信を行うために設けられる。インタフェース24の一例としては、ATAPI(AT Attachment Packet Interface)規格やSCSI(small Computer System Interface)規格、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)1394規格、USB(Universal Serial Bus)規格等がある。
【0034】
バッファメモリ23は、光ディスク2に記録されたデコーダ22からのアドレス情報、データ情報を、光ディスクの画像形成装置1又はホストコンピュータ25の処理状態に応じて保持する。また、バッファメモリ23は、インタフェース24を介したホストコンピュータ25からの光ディスク2の記録層に対して記録する記録データを、光ディスクの画像形成装置1又はホストコンピュータ25の処理状態に応じて保持する。また、バッファメモリ23は、インタフェース24を介したホストコンピュータ25からの光ディスク2の変色層102に対して画像を形成するための画像データを、光ディスクの画像形成装置1又はホストコンピュータ25の処理状態に応じて保持する。
【0035】
エンコーダ8は、バッファメモリ23からの記録データ、画像データに対し、CD規格に対応した変調コードであるEFM変調等のエンコード処理を施す。尚、ホストコンピュータ25からの画像データは、一般的にビットマップ形式のデータである。そこで、エンコーダ8は、エンコード処理において、バッファメモリ23からの画像の形成指示を示す指示信号とともに送信されるビットマップ形式の画像データを、光ディスク2の形状に対応した位置(後述する光ディスク2のゾーン領域番号、行番号、列番号)情報を含むデータに変換する。尚、画像データの詳細については、統括制御部6において詳述する。
【0036】
描画信号処理部31は、エンコーダ8にてエンコード処理されるデータから、画像形成のための画像データを検出し、エンコード処理された画像データを描画制御部33に順次送信させる。また、描画信号処理部31は、画像データを検出しない場合(つまり、エンコード処理されたデータが記録データの場合)、当該記録データを不図示のストラテジ回路に送信させる。以下、本発明の要旨に関係しないため説明を簡略化するが、エンコーダ8にてエンコード処理された記録データは、ストラテジ回路にて所定の処理が施され、ストラテジ回路からの出力とレーザーパワー制御部32からの出力とに基づいて、レーザードライバ17からの半導体レーザー12に対する制御電圧が制御される。この結果、光ディスク2の記録層に対する情報の記録が行われることとなる。
【0037】
描画制御部33は、エンコーダ8からの画像データに基づいて、レーザードライバ17から半導体レーザー12に送信される制御信号を制御するものである。例えば、描画制御部33は、画像データが光ディスク2の変色層102に対する画像の形成を示すデータである場合、半導体レーザー12からのレーザー光の光強度を画像が形成可能なレベル(以下、ライトレベルという)とするためのパルス(以下、画像形成パルスという)を、レーザードライバ17に送信する。また、描画制御部33は、画像データが光ディスク2の変色層102に対する画像の形成をしないことを示すデータである場合、半導体レーザー12からのレーザー光の光強度を少なくともフォーカス制御可能なレベル(<ライトレベル。以下、サーボレベルという)とするためのパルス(以下、サーボパルスという)を、レーザードライバ17に送信する。
【0038】
レーザーパワー制御部32は、APC(Automatic Power Control)回路を有し、光ピックアップ装置11のフロントモニタダイオードにて受光されるレーザー光の光強度を検出し、光ディスク2に実際に照射されるレーザー光の光強度を算出する。そして、レーザーパワー制御部32は、光ディスク2に実際に照射されるレーザー光の光強度を、統括制御部6からの指示信号が示す光強度とするべく、レーザードライバ17に制御信号を送信する。
【0039】
レーザードライバ17は、描画制御部33からの画像形成パルスとレーザーパワー制御部32からの制御信号に基づいた制御電圧を半導体レーザー12に印加させる。また、レーザードライバ17は、描画制御部33からのサーボパルスとレーザーパワー制御部32からの制御信号に基づいた制御電圧を半導体レーザー12に印加させる。
【0040】
カウンタ34は、FG信号の例えば立ち上がりをカウントする。そして、カウンタ34は、カウント値が18カウントに達したときタイマ35の計時を停止させるための信号を当該タイマ35に送信する。尚、カウンタ34のカウント値は、当該信号の送信とともにリセットされ、次回入力されるFG信号の立ち上がりから再びカウントを開始する。
タイマ35は、カウンタ34のカウント開始とともに計時を開始し、カウンタ34からの信号に基づいて計時を停止する。
【0041】
統括制御部6は、CPU(Central Processing Unit)26、メモリ27を有している。CPU26は、メモリ27に格納されているプログラムデータに基づいて、光ディスクの画像形成装置1を統括制御するものである。メモリ27には、前述したアクチュエータ30の共振周波数情報、特性情報が予め記憶されている。また、メモリ27には、ZCLV方式基づいて各ゾーン領域(複数の分割エリア)における光ディスク2の回転周波数を設定するための情報が記憶されている。尚、メモリ27は、例えばデータを紫外線消去することによりデータを繰り返し書き込み読み出しできるEPROM(Erasable Programmable ROM)、データを電気消去することによりデータを繰り返し書き込み読み出しできるEEPROM(Electronically Erasable Programmable ROM、フラッシュROMを含む)等の不揮発性記憶素子で構成される。
【0042】
以下、図3を参照しつつ、統括制御部6によるスピンドルモータ制御部4の制御について説明する。統括制御部6は、光ディスク2のリードイン領域にレーザー光を照射させたときの、デコーダ22によるデコード処理の結果得られる情報(ATIP(Absolute Time In Pre-groove)情報等)に基づいて、光ディスク2に適用する回転方式を選択する(以下、光ディスク2に適用する回転方式を選択するまでの光ディスクの画像形成装置1の動作を初期動作という)。このとき、統括制御部6が選択する回転方式は、前述したようにZCLV方式となる。周知のようにZCLV方式は、光ディスク2の径方向(Y方向)へ複数のゾーン領域を設け、各ゾーン領域ごとに同一の回転周波数とし、スレッド制御により光ピックアップ装置11が内周側のゾーン領域から外周側のゾーン領域へ移動するにつれて回転周波数を小さくするものである。そして、本実施形態において光ディスクの画像形成装置1は、画像データに基づいて、各ゾーン領域あたりにm(行)×n(列)のドット(画像の1構成単位)を形成するものとする。この場合、ZCLV方式を採用することによって、全てのゾーン領域における内周側からの順番が同じ行(例えば、第1ゾーン領域第1行乃至最終ゾーン領域の第1行)に対する画像形成において光ディスク2の線速度は同一となる。尚、対物レンズ16からのレーザー光がある列を照射した後、光ディスク2の回転により当該ある列と隣接する列を照射するまでの期間は、前述したPLL回路10からのクロック信号CKの1周期と同期している。また、行間の距離は、前述したスレッド処理部28のスレッド制御による光ピックアップ装置11の最小移動距離と等しくなっている。
【0043】
そして、この画像データは、各ドットの階調を示す階調データが集合したデータ列となっている。以下、図4を参照しつつ、階調データについて説明する。尚、本実施形態において統括制御部6は、光ディスク2の変色層102に対する画像の形成においてドットのコントラストを高めるべく、1行分の画像の形成にあたり最大7回転光ディスク2を回転させるものとして説明する。画像データを構成する各階調データは、ホストコンピュータ25からのビットマップ形式の画像データのうちの1ドット分のデータに対応したデータである。そして、例えば、階調データは、1ドット分のデータの濃淡情報を8(=2の3乗)階調で示す3ビットデータである。このように階調データを3ビットデータとしたとき、図4は、各階調データとレーザー光の光強度との対応を示すものである。図4に示すように、階調データが(000)のとき、光ディスク2が7回転する全てにおいて、レーザー光がサーボレベルとなり、光ディスク2に画像が形成されず変色層102は例えば最も淡く(明)なる。また、階調データが(111)のとき、光ディスク2が7回転する全てにおいて、レーザー光がライトレベルとなり、光ディスク2に形成される画像が例えば最も濃く(暗)なり、コントラストが優れたものとなる。
【0044】
再び、統括制御部6の構成について詳述すると、統括制御部6は、ZCLV方式を回転方式として選択した後、例えば、第1ゾーン領域に画像を形成するための光ディスク2の回転周波数を、メモリ27から読み出す情報に基づいて算出する。そして、統括制御部6は、スピンドルモータ制御部4に対して、光ディスク2の回転周波数を第1ゾーン領域に対応する回転周波数とするための指示信号を送信する。そして、統括制御部6は、タイマ35の計時から実際の光ディスク2の回転周波数を検出する。また、統括制御部6は、スレッド処理部28のスレッド制御による光ピックアップ装置11の移動距離から、第1ゾーン領域に対する画像の形成が終了したと判別したとき、例えば、第2ゾーン領域に画像を形成するための光ディスク2の回転周波数を、メモリ27から読み出す情報に基づいて算出する。このように、統括制御部6は、スレッド処理部28のスレッド制御により、光ピックアップ装置11のY方向における位置を検出し、各ゾーン領域に対応する光ディスク2の回転周波数を算出する。
【0045】
また、統括制御部6は、メモリ27から読み出す共振周波数情報、及び、各ゾーン領域に対応した光ディスク2の回転周波数に基づいて、振動付加回路18が光ピックアップ装置11に供給する交流信号の周波数、振幅を制御する。詳述すると、統括制御部6は、共振周波数及び光ディスク2の回転周波数の1以上の整数倍となる周波数以外の周波数を交流信号の周波数とするべく、振動付加回路18に周波数制御信号を送信する。
【0046】
また、統括制御部6は、交流信号の振幅を、スレッド処理部28のスレッド制御による光ピックアップ装置11の最小移動距離と等しくするべく、振動付加回路18が光ピックアップ装置11に供給する交流信号の振幅を制御する。詳述すると、統括制御部6は、交流信号の周波数を算出すると、メモリ27からアクチュエータ30の特性情報を読み出す。この特性情報は、前述したように、一定電圧をアクチュエータ30に印加させたときの、周波数に対する当該アクチュエータ30の利得を示している。例えば、光ピックアップ装置11の最小移動距離をA、算出された交流信号の周波数をfa、当該交流信号の周波数faに応じた利得をa´とする。このとき、統括制御部6は、交流信号の振幅DがA=a´×Dを満たすように演算処理する。そして、統括制御部6は、交流信号の振幅を算出した振幅Dとするための振幅制御信号を振動付加回路18に送信する。尚、図10に示すアクチュエータ30の特性は、一般的に、ある周波数fa(利得がa´)に対して2倍の周波数となるfbの利得b´は、略1/4a´となる。この結果、統括制御部6にて算出される1のゾーン領域に対応する交流信号の周波数が、他のゾーン領域に対応する交流信号の周波数の2倍の周波数となるとき、統括制御部6は、当該1のゾーン領域に対応する交流信号の振幅を、他のゾーン領域に対応する交流信号の振幅の略4倍の振幅とするための振幅制御信号を生成することとなる。尚、本実施形態において統括制御部6は、交流信号の周波数に応じて当該交流信号の振幅を算出するべく演算処理するものとして説明したが、これに限るものではない。例えば、交流信号の周波数ごとに対応した振幅情報を予めメモリ27にテーブルデータとして記憶させておき、算出する交流信号の周波数に応じてメモリ27から振幅情報を読み出すように設けても良い。
【0047】
<<振動付加回路18の構成>>
図5を参照しつつ、振動付加回路18の構成について詳述する。図5は、振動付加回路18の構成の一例を示すブロック図である。振動付加回路18は、交流信号発生回路36、可変増幅回路37、加算回路38を有している。
【0048】
交流信号発生回路36は、統括制御部6からの周波数制御信号に基づいて、当該周波数制御信号が示す周波数の交流信号を生成する。この結果、交流信号の周波数は、共振周波数及び光ディスク2の回転周波数の1以上の整数倍となる周波数以外の周波数となる。尚、本実施形態においては、図5に示す正弦波(又は余弦波)の交流信号を発生する交流信号発生回路36を用いているがこれに限るものではない。例えば、統括制御部6からの周波数制御信号に基づいて、交流信号の周波数と同じ周波数の例えば三角波信号を生成する三角波生成回路(不図示)を適用しても良い。
【0049】
可変増幅回路37は、統括制御部6からの振幅制御信号に基づくゲインが設定される。そして、可変増幅回路37は、交流信号発生回路36からの交流信号を設定されたゲインで増幅して出力する。この結果、交流信号の振幅は、スレッド処理部28のスレッド制御による光ピックアップ装置11の最小移動距離(及び光ディスク2の行間の距離)と等しい大きさとなる。
【0050】
加算回路38は、可変増幅回路37からの交流信号と、トラッキング信号処理部19からの制御信号を加算して出力する。尚、本実施形態においては、光ディスク2の記録層に対する情報の記録/再生を行う際、トラッキング信号処理部19からの制御信号のみが振動付加回路18に送信されるものとし、光ディスク2の変色層102に対する画像の形成を行う際、統括制御部6からの周波数制御信号、振幅制御信号が振動付加回路18に送信されるものとして説明している。このため、加算回路38において制御信号と交流信号が加算される場合はない。このため、加算回路38は、振動付加回路18の構成としないことも可能である。
【0051】
<<光ディスクの画像形成装置1の動作>>
以下、図3乃至図5、図10を適宜参照しつつ、図6、図7を用いて本発明に係る光ディスクの画像形成装置1の動作について説明する。図6、図7は、本発明に係る光ディスクの画像形成装置1の動作の一例を示すフローチャートである。尚、本説明においては、光ディスクの画像形成装置1における光ディスク2の記録層に対する情報の記録/再生は周知の技術であるため説明は省略する。
【0052】
統括制御部6は、ホストコンピュータ25からの画像形成のための指示信号を検出すると(S101・YES)、光ディスクの画像形成装置1の初期動作を開始させる。そのため、統括制御部6は、半導体レーザー12からレーザー光を出射させるべく、例えばレーザーパワー制御部32に制御信号を送信する。また、統括制御部6は、光ディスク2のリードイン領域に、対物レンズ16からのレーザー光を照射させるべく、スレッド処理部28に制御信号を送信する。この結果、半導体レーザー12からのレーザー光が光ディスク2のリードイン領域に出射されることとなる(S102)。光ディスク2のリードイン領域からのレーザー光の反射光は、光検出器13にて受光され当該反射光のレベルに応じた光電変換信号A乃至DがRF信号処理部21を介してデコーダ22に送信される。統括制御部6は、デコーダ22によるデコード処理の結果得られる情報に基づいて、光ディスク2に適用する回転方式を選択する(S103)。このとき、統括制御部6は、前述したようにZCLV方式を選択することとなる。そして、統括制御部6は、光ディスク2の第1ゾーン領域から画像の形成を開始するべく、ゾーン領域番号を示す変数iを1とする(S104)。また、統括制御部6は、メモリ27から第1ゾーン領域に対応した回転周波数Aiを示す情報を読み出す(S105)。そして、統括制御部6は、メモリ27からの情報に基づいて、スピンドルモータ制御部4に指示信号を送信する。尚、統括制御部6は、トラッキング信号処理部19によるトラッキング制御を停止するべく、例えば、光電変換信号A乃至Dがトラッキング信号処理部19に入力する信号線に設けられるスイッチ回路(不図示)をオフする。また、本発明の要旨に関係しないため説明は省略するが、フォーカス信号処理部20は、レーザー光の反射光に基づいてフォーカス制御を後述の処理期間中行っているものとして説明する。
【0053】
スピンドルモータ制御部4は、統括制御部6からの指示信号に基づいて、光ディスク2の回転周波数を当該指示信号に対応した回転周波数Aiとするべく、スピンドルモータ3に印加させる制御電圧のレベルを算出する。スピンドルモータ3は、スピンドルモータ制御部4からの制御電圧が印加されることによって回転する(S106)。FG発生回路5は、スピンドルモータ3が回転するときの逆起電圧に基づいて、スピンドルモータ3の1回転あたり(つまり、光ディスク2の1回転あたり)18パルスのFG信号を生成する。カウンタ34はFG信号の立ち上がりをカウントするとともに、タイマ35はカウンタ34のカウント開始とともに計時を開始する(S107・YES)。そして、カウンタ34は、カウント値が18に達することによって(S108・YES)、タイマ35の計時を停止させる。統括制御部6は、タイマ35の計時から18パルスのFG信号の期間Tを検出して(S109)、実際の光ディスク2の回転周波数(=1/18T)を算出する。そして、統括制御部6は、算出した実際の光ディスク2の回転周波数が、第1ゾーン領域に対応した回転周波数Aiであるか否かを判別する(S110)。統括制御部6は、実際の光ディスク2の回転周波数が回転周波数Aiであると判別すると(S110・YES)、メモリ27からアクチュエータ30に固有の共振周波数Bを示す共振周波数情報を読み出す(S111)。尚、統括制御部6は、実際の光ディスク2の回転周波数が回転周波数Aiではないと判別したとき(S110・NO)、S107の処理を戻る。
【0054】
統括制御部6は、メモリ27からの共振周波数情報、及び、回転周波数Aiに基づいて、振動付加回路18の交流信号発生回路36が発生する交流信号の周波数Ciを算出する(S112)。詳述すると、統括制御部6は、共振周波数情報が示す共振周波数B、及び、回転周波数Aiの1以上の整数倍(n)となる周波数以外の周波数を、交流信号の周波数Ciとする周波数制御信号を生成する。尚、本発明に係る光ディスクの画像形成装置1においては、共振周波数B、及び、回転周波数Aiの1以上の整数倍(n)となる周波数以外の周波数であれば何れの周波数を交流信号の周波数Ciとして選択可能であるものとして説明している。しかしながら、例えば、図10に示す周波数fa、fbのような、アクチュエータ30の特性のうち高周波(例えば2次共振周波数と高次共振周波数の間)の周波数領域であって、且つ、アクチュエータ30の利得が例えばフォーカス制御、対物レンズ16のY方向への振動を確実に実現可能となるレベルの周波数を統括制御部6が選択することとすれば、光ディスク2に対してより迅速且つ正確な描画等の形成を行うことが可能である。或いは、回転周波数Aiの1以上の整数倍(n)となる周波数、及び、共振周波数(各1次、2次、高次共振周波数)から離れた周波数を統括制御部6が選択することによって、より確実にアクチュエータ30の共振を防止又は軽減することが可能となる。
【0055】
次に、統括制御部6は、交流信号の振幅Dを、スレッド処理部28のスレッド制御による光ピックアップ装置11の最小移動距離と等しくするべく、メモリ27からの特性情報を読み出し、算出した交流信号の周波数Ciに基づいて、当該交流信号の振幅Dを算出する(S113)。この交流信号の振幅Dは、前述したように交流信号の周波数Ciに応じたアクチュエータ30の利得に基づいて算出されることとなる。そして、統括制御部6は、第1ゾーン領域の第1行から画像の形成を開始するべく、行番号を示す変数jを1とする(S114)。また、統括制御部6は、光ピックアップ装置11を第1ゾーン領域の第1行に移動させるべく、スレッド処理部28に指示信号を送信する。スレッド処理部28は、指示信号に基づいて、ステッピングモータ29のステップ距離を光ピックアップ装置11の第1ゾーン領域の第1行への移動距離と等しくするための制御電圧を当該ステッピングモータ29に印加させる。この結果、ステッピングモータ29は制御電圧が印加されることにより回転し、光ピックアップ装置11が第1ゾーン領域の第1行に移動することとなる(S115)。
【0056】
描画信号処理部31は、エンコーダ8にてエンコード処理された画像データを描画制御部33に送信させる。このとき、統括制御部6は、第1ゾーン領域の第1行に画像を形成するための画像データを読み出す(S116)。そして、統括制御部6は、第1ゾーン領域の第1行に対応した画像データである階調データ群が全て‘000’であるか否かを判別する(S117)。何故ならば、階調データ群が全て‘000’である場合(S117・YES)、光ディスク2の変色層102に照射させるレーザー光は全てサーボレベルとなり(図4参照)、画像の形成を行う必要がないためである。そのため、光ディスクの画像形成装置1は、後述するS131の処理へ移行することが可能となる。例えば、統括制御部6は、階調データ群が全て‘000’ではないと判別すると(S117・NO)、第1ゾーン領域の第1行に対する画像の形成における光ディスク2の回転数(最大7回転)を示す変数kを1とする(S118)。また、統括制御部6は、第1ゾーン領域の第1行における列番号を示す変数lを1とする(S119)。
【0057】
統括制御部6は、S112にて算出した交流信号の周波数Ciを示す周波数制御信号、S113にて算出した交流信号の振幅Dを示す振幅制御信号を振動付加回路18に送信する。振動付加回路18の交流信号発生回路36は、周波数制御信号に基づいて、周波数Ciの交流信号を生成する。そして、可変増幅回路37のゲインが振幅制御信号に基づいて設定され、当該可変増幅回路37は交流信号発生回路36からの交流信号の振幅を振幅Dに増幅して加算回路38に出力する。加算回路38は、トラッキング信号処理部19からの制御信号が入力されないため、可変増幅回路37からの交流信号(周波数Ci、振幅D)を光ピックアップ装置11に送信する。この交流信号は、アクチュエータ30のトラッキングコイル14に供給される(S120)。この結果、対物レンズ16が、Y方向において交流信号の周波数Ciに対応した振動周波数であって、交流信号の振幅Dに対応した振動振幅(=光ディスク2の行間の距離、光ピックアップ装置11の最小移動距離)で振動することとなる。
【0058】
統括制御部6は、分周回路9からのFG信号を1/18分周して得られるSFG信号の立上り、及び、PLL回路10からのクロック信号CKの立上りに基づいて、光ディスク2の第1ゾーン領域、第1行、第1列に達したと判別する(S121・YES)。描画制御部33は、エンコーダ8からの画像データのうちの第1行、第1列に対応した階調データに基づいて、光ディスク2の変色層102に対するレーザー光の光強度を選択するためのパルスを生成する(S122)。例えば、描画制御部33は、第1行、第1列に対応した階調データが、‘000’以外の‘001’乃至‘111’のとき、レーザー光をライトレベルとするための画像形成パルスを生成する。また、描画制御部33は、当該階調データが‘000’のとき、レーザー光の光強度をサーボレベルとするためのサーボパルスを生成する。
【0059】
レーザードライバ17は、レーザーパワー制御部32からの実際に光ディスク2に照射されるレーザー光の光強度に基づいた制御信号と、描画制御部33からの例えば画像形成パルスに基づいて(S123・YES)、半導体レーザー12にライトレベルに応じた制御電圧を印加させる。この結果、半導体レーザー12から光ディスク2に対して画像の形成が可能となるライトレベルのレーザー光が出射される(S124)。そして、光ディスク2の第1行、第1列にあたる変色層102が、ライトレベルのレーザ光により感光又は感熱して画像が形成されることとなる。又は、レーザードライバ17は、レーザーパワー制御部32からの制御信号と、描画制御部33からサーボパルスに基づいて(S123・NO)、半導体レーザー12にサーボレベルに応じた制御電圧を印加させる。この結果、半導体レーザー12から光ディスク2に対して画像の形成はされないがフォーカス制御可能なサーボレベルのレーザー光が出射される(S125)。次に、統括制御部6は、PLL回路10からのクロック信号CKの立上りに基づいて、列番号を示す変数lをインクリメントして2とする(S126)。そして、統括制御部6は、変数lがn+1に達したか否かを判別する(S127)。統括制御部6は、変数lがn+1に達していないと判別すると(S127・NO)、S122の処理に戻る。また、統括制御部6は、変数lがn+1に達したと判別すると(S127・YES)、つまり、第1ゾーン領域、第1行に対する1回転目(k=1)の画像の形成が終了したと判別すると、変数kをインクリメントして2とする(S128)。そして、統括制御部6は、変数kが8(=1行あたりの最大回転7+1)に達したか否かを判別する(S129)。そして、統括制御部6は、変数kが8に達していないと判別すると(S129・NO)、S116にて読み出した第1ゾーン領域の第1行に対応した画像データである階調データ群のうち、2回転目でレーザー光をライトレベルとすべき階調データがあるか否かを判別する(S130)。つまり、統括制御部6は、階調データ群に、‘000’又は‘001’以外の階調データがあるか否かを判別する。そして、統括制御部6は、2回転目でレーザー光をライトレベルとすべき階調データがあると判別すると(S130・YES)、S119の処理に戻る。尚、第1ゾーン領域の第1行に対する2回転目以降の画像の形成において、統括制御部6は、振動付加回路18からの交流信号の位相を1回転目の交流信号に対し例えば{2π/7×(k−1)}ずらすように当該振動付加回路18を制御する。また、統括制御部6は、2回転目でレーザー光をライトレベルとすべき階調データがないと判別すると(S130・NO)、S128の処理に戻る。
【0060】
統括制御部6は、変数kが8に達したと判別すると(S129・YES)、つまり、第1ゾーン領域の第1行に対する画像の形成が終了したと判別すると、例えば、描画制御部33が、階調データに基づいて画像形成パルス又はサーボパルスの形成を行っているか否かを判別する。つまり、統括制御部6は、ホストコンピュータ25からの画像データを全て処理したか否かを判別する(S131)。統括制御部6は、画像データを全て処理していないと判別すると(S131・NO)、行番号を示す変数jがmに達したか否かを判別する(S132)。つまり、統括制御部6は、第1ゾーン領域の最終行である第m行に対して画像の形成を行ったか否かを判別する。統括制御部6は、変数jがmに達していないと判別すると(S132・NO)、変数jをインクリメントして2とする(S133)。そして、S115の処理に戻る。この結果、第1ゾーン領域の第2行に対して画像の形成が行われることとなる。
【0061】
また、統括制御部6は、変数jがmに達していると判別すると(S132・YES)、例えば、光ディスク2の変色層102に対する画像の形成を一旦停止するべく以下の処理を行う。尚、変数jがmに達したとき、画像の形成を一旦停止する理由としては、ZCLV方式においては前述したように各ゾーン領域ごとに光ディスク2の回転数周波数を変化させる必要がある。その場合、光ディスク2の回転周波数が変化する過程において、例えば、半導体レーザー12からのライトレベルのレーザー光が出射されるタイミングと、当該光ディスク2の回転周波数とのタイミングずれが発生する可能性がある。この場合、光ディスク2に対して誤った画像が形成される可能性があるため、画像の形成を一旦停止するものとしている。更に、光ディスク2の回転周波数が変化する過程において、当該回転周波数が交流信号の周波数Ciの整数倍となる周波数、又は、アクチュエータ30の共振周波数Bと一致する可能がある。この場合、アクチュエータ30に共振が発生する可能性があるため、画像の形成を一旦停止するものとしている。
【0062】
これらの理由により、統括制御部6は、描画制御部33にて生成されるパルスを強制的にサーボパルスとする(S134)。また、統括制御部6は、バッファメモリ23からエンコーダ8への画像データの送信、エンコーダ8から描画制御部33への画像データの送信を停止させる(S135)。また、統括制御部6は、光ディスク2の回転(つまり、スピンドルモータ3の回転)を停止させるべく、スピンドルモータ制御部4に指示信号を送信する。スピンドルモータ制御部4は、統括制御部6からの指示信号に基づいて、スピンドルモータ3の回転を停止するための制御電圧を、当該スピンドルモータ3に印加させる。この結果、スピンドルモータ3の回転が停止し(S136)、光ディスク2の回転が停止されることとなる。そして、統括制御部6は、ゾーン領域番号を示す変数iをインクリメントして2とする(S137)。そして、S105の処理に戻る。この結果、上述の処理が再び行われることによって、第2ゾーン領域に対応した回転周波数Aiで光ディスク2が回転するように制御され、アクチュエータ30の共振周波数B、及び当該回転周波数Aiの1以上の整数倍(n)となる周波数以外の周波数が交流信号の周波数Ciとして制御されることとなる。つまり、第2ゾーン領域に対する画像の形成においても、対物レンズ16を、Y方向において交流信号の周波数Ciに対応した振動周波数であって、交流信号の振幅Dに対応した振動振幅で振動させることが可能となる。尚、上述した処理は、光ディスク2の全体に対して画像の形成を行う場合、最終ゾーン領域にまで繰り返されることとなる。或いは、ホストコンピュータ25からの画像データを全て処理するまで繰り返されることとなる。この結果、アクチュエータ30の共振を防止又は軽減した状態とすることが可能となり、光ディスク2に対して正確且つコントラストに優れた画像を形成することが可能となる。
【0063】
尚、上述した実施形態によれば、光ディスクの画像形成装置1は、光ディスク2の記録層に対する情報の記録/再生可能な機能を付加したものとして説明したが、これに限るものではない。本発明に係る光ディスクの画像形成装置1は、光ディスク2の変色層102に対して画像が形成可能な機能のみを有するものとしても良い。
【0064】
また、上述した実施形態によれば、光ディスクの画像形成装置1は、光ディスク2の回転方式としてZCLV方式を採用しているが、これに限るものではない。例えば、光ディスク2の線速度が常に一定となるCLV方式を採用することも可能である。CLV方式を採用する場合、例えば、光ディスク2の線速度を常に一定とするための各行ごとの回転周波数情報をメモリ27に予め記憶させる。そして、光ピックアップ装置11のY方向への移動による画像の形成対象となる行の変化の都度、メモリ27から各行ごとに対応した回転周波数情報を読み出して光ディスクの回転周波数を制御するように設けても良い。光ディスク2の線速度が常に一定となることによって、よりコントラストに優れた画像を光ディスク2に形成することが可能となる。
【0065】
或いは、光ディスク2の角速度が常に一定となるCAV(Constant Angular Velocity)方式を採用することが可能である。但し、CAV方式においては、光ピックアップ装置11が光ディスク2の内周側から外周側へ移動するにつれて、光ディスク2の線速度が速くなるため、レーザーパワー制御部32によるレーザー光の光強度の変更が必要となる。詳述すれば、スレッド処理部28によるスレッド制御に基づいて、光ディスク2に対向する光ピックアップ装置11の位置に応じた統括制御部6からの指示信号がレーザーパワー制御部32に送信される。この指示信号は、光ディスク2の外周側に光ピックアップ装置11が位置するときのレーザー光のライトレベルが、内周側に光ピックアップ装置11が位置するときのレーザー光のライトレベルよりも大きくなるように指示する信号である。つまり、光ディスク2の外周側においては線速度が速くなるため、内周側におけるライトレベルでは画像の形成が行われなくなる可能性がある。このため、光ディスクの画像形成装置1にCAV方式を採用した場合、レーザーパワー制御部32によるレーザー光の更なる制御を必要とする。そして、CAV方式を採用した場合、光ディスク2に対する画像の形成を迅速に行うことが可能となる。尚、本実施形態においてZCLV方式を適用した理由は、変色層102の各ゾーン領域ごとに同一の回転周波数とし、全てのゾーン領域における内周側からの順番が同じ行に対する画像形成において光ディスク2の線速度を同一とすることが可能となり、コントラストが安定した画像の形成を行うことが実現可能となるためである。また、上述した実施形態によれば、統括制御部6は、光ディスク2の実際の回転周波数がメモリ27から読み出した回転周波数Aiであると判別したとき、交流信号の周波数を、回転周波数Aiの1以上の整数倍(n)となる周波数以外の周波数とするべく制御するものとして説明したが、これに限るものではない。例えば、統括制御部6は、光ディスク2の実際の回転周波数がメモリ27から読み出した回転周波数Aiであると判別したとき、当該光ディスク2の実際の回転周波数を示すデータを、レジスタ(不図示)若しくはメモリ27の所定のアドレスに一旦記憶させる。そして、交流信号の周波数を算出する際、レジスタ若しくはメモリ27の所定のアドレスから当該データを読み出し、光ディスク2の実際の回転周波数の1以上の整数倍(n)となる周波数以外の周波数を交流信号の周波数とするように制御しても良い。
【0066】
また、上述した実施形態によれば、統括制御部6は、交流信号の振幅を、隣接する行間の距離(光ピックアップ装置11の最小移動距離)と等しくするように、当該交流信号の振幅を制御しているがこれに限るものではない。例えば、統括制御部6は、交流信号の振幅を、隣接する行間の距離未満の大きさに制御して、当該隣接する行に形成される画像に間隔(隣接する行間の距離−交流信号の振幅)が設けられるようにしても良い。或いは、統括制御部6は、交流信号の振幅を、隣接する行間の距離以上(例えば、隣接する行間の距離≦交流信号の振幅<2×隣接する行間の距離)の大きさに制御して、当該隣接する行に形成される画像が重なるようにしても良い。
【0067】
また、上述した実施形態によれば、アクチュエータ30に固有の共振周波数を示す共振周波数情報がメモリ27に予め記憶されているものとして説明したが、これに限るものではない。アクチュエータ30に固有の共振周波数は、前述したように当該アクチュエータ30が製造される際に選択される構成部材の特性によって一義的に定まる。このため、例えば、振動付加回路18の交流信号発生回路36が、予め当該共振周波数以外の周波数の交流信号を生成するようなハード構成を有するように設けても良い。
【0068】
また、上述した実施形態によれば、PLL回路10からのクロック信号CLKに基づいて光ディスク2の各列に対して画像形成を行っているがこれに限るものではない。例えば、図11に示す光ディスクの画像形成装置39のように、エンコーダ8の階調データが同期する所定周波数のクロックを発振する発振回路40と、当該クロックを1/列数nで分周する分周回路41と、当該分周回路41の出力とSFG信号との位相比較を行う位相比較回路42とを設ける。そして、スピンドルモータ制御部4が、位相比較回路42の出力に基づいて、SFG信号が分周回路41の出力と同期するべくスピンドルモータ3をスピンドル制御する。そして、SFG信号と分周回路41の出力とが同期することにより、発振回路40が発振するクロックの1周期と光ディスク2が1列分回転する期間とは同期したものとなる。このため、発振回路40が発振するクロックに同期したタイミングで、ライトレベル(又はサーボレベル)のレーザー光が変色層102に出射されるとともに、光ディスク2が回転することとなり、当該光ディスク2の各列に対する画像形成を良好に行うことが可能となる。この結果、仮にスピンドルモータ3の回転が外乱を受けたとしても、安定した発振動作を行う発振回路40からのクロックに基づいて各列に対する画像形成を行うことが可能となる。
【0069】
上述した実施形態によれば、対物レンズ16のY方向における振動周波数を、アクチュエータ30に固有の共振周波数以外の周波数とすることが可能となる。この結果、当該振動周波数と共振周波数とが一致することによるアクチュエータ30の共振を防止又は軽減することが可能となり、光ディスク2の変色層102に対する画像の形成を正確に行うことが可能となる。また、光ディスク2の変色層102に対してコントラストの優れた画像を形成することが可能となる。
【0070】
更に、アクチュエータ30に固有の共振周波数を示す共振周波数情報をメモリ27に予め記憶させることが可能となる。この結果、光ディスクの画像形成装置1は、メモリ27から読み出す共振周波数情報に基づいて、対物レンズ16のY方向における振動周波数を共振周波数以外の周波数とすることが可能となる。例えば、光ピックアップ装置11を製造するメーカと、当該光ピックアップ装置11を組み込んだ光ディスクの画像形成装置1を製造するメーカとが異なる場合がある。この場合、光ピックアップ装置11を製造するメーカから提供されるアクチュエータ30の共振周波数情報を、光ディスクの画像形成装置1を製造するメーカがメモリ27に記憶させることにより、当該光ディスクの画像形成装置1を製造するメーカによるアクチュエータ30の特性の検出等にかかる負担を軽減することが可能となる。
【0071】
更に、対物レンズ16のY方向における振動周波数を、光ディスク2の回転周波数の1以上の整数倍となる周波数以外の周波数とすることが可能となる。この結果、共振周波数によるアクチュエータ30の共振の防止又は軽減のみならず、振動周波数が回転周波数の1以上の整数倍の周波数となることによるアクチュエータ30の共振を防止又は軽減することが可能となる。つまり、より確実にアクチュエータ30の共振を防止又は軽減することが可能となる。
【0072】
更に、光ディスク2に対する画像の形成において、ZCLV方式を採用することが可能となる。この結果、仮にCLV方式を採用した場合に光ディスク2の線速度を常に一定するための制御にかかる負担を軽減することが可能となるとともに、CAV方式を採用した場合のレーザー光の光強度の制御にかかる負担を軽減することが可能となる。そして、各ゾーン領域ごとに同一の回転周波数とし、全てのゾーン領域における内周側からの順番が同じ行に対する画像形成において光ディスク2の線速度を同一とすることが可能となり、コントラストが安定した画像の形成を行うことが実現可能となる。尚、ZCLV方式における各ゾーン領域における行数mを、ゾーン領域内における光ディスク2の線速度の変化に伴う画像のコントラストの変化を視認性において影響のない数(例えば、5行)で設けることによって、画像のコントラストにおいてCLV方式と同様の効果を奏することが可能となる。
【0073】
更に、統括制御部6において、光ディスク2の実際の回転周波数を検出し、当該回転周波数の1以上の整数倍となる周波数以外の周波数を、対物レンズ16のY方向における振動周波数として算出することが可能となる。この結果、対物レンズ16の振動周波数を、確実に回転周波数の1以上の整数倍となる周波数以外の周波数とすることが可能となり、アクチュエータ30の共振を防止又は軽減することが可能となる。
【0074】
更に、交流信号の振幅を、ステッピングモータ29の各ステップ距離(光ピックアップ装置11の移動距離)と略同一とすることが可能となり、光ディスク2の変色層102に対してコントラストの優れた画像を形成することが可能となる。
【0075】
また、上述の光ディスクの画像形成装置1の処理をプログラムデータとしてメモリ27等に予め記憶させておき、当該プログラムデータを読み出して処理することによりソフトウェア処理することも可能となる。例えば、光ピックアップ装置11の経年劣化等によりアクチュエータ30の共振周波数、特性が変化する可能性がある。この場合、メモリ27のデータ書換え端子等を介して経年劣化前の共振周波数情報、特性情報を、光ピックアップ装置11を製造するメーカ等から提供される経年劣化後のアクチュエータ30の共振周波数情報、特性情報に更新することによってフレキシブルに対応することが可能となる。或いは、メモリ27が光ディスクの画像形成装置1に対して着脱可能な場合、ユーザー側からのメモリ27をメーカ側が受け取り、経年劣化後のアクチュエータ30の共振周波数情報、特性情報に更新することによって、光ディスクの画像形成装置1のアクチュエータ30の共振の防止又は軽減にかかる信頼性、安心性を向上することが可能となる。
【0076】
以上、本発明に係る光ディスクの画像形成装置、光ディスクの画像形成装置の振動周波数を設定するためのプログラムについて説明したが、上記の説明は、本発明の理解を容易とするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得る。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明に係る光ディスクの画像形成装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】光検出器の受光面A乃至Dにおけるレーザー光の受光を示す図である。
【図3】ZCLV方式を採用した時の詳細を説明するための図である。
【図4】画像データを構成する階調データとレーザー光の光強度との対応表である。
【図5】振動付加回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図6】本発明に係る光ディスクの画像形成装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】本発明に係る光ディスクの画像形成装置1の動作の一例を示すフローチャートである。
【図8】光ディスクの断面図である。
【図9】光ディスクに形成された画像の一例を示す図である。
【図10】アクチュエータの特性を示す図である。
【図11】本発明に係る光ディスクの画像形成装置のその他の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0078】
1 光ディスクの画像形成装置 2 光ディスク
3 スピンドルモータ 4 スピンドルモータ制御部
5 FG発生回路 6 統括制御部
7 回転軸 8 エンコーダ
9 分周回路 10 PLL回路
11 光ピックアップ装置 12 半導体レーザー
13 光検出器 14 トラッキングコイル
15 フォーカスコイル 16 対物レンズ
17 レーザードライバ 18 振動付加回路
19 トラッキング信号処理部 20 フォーカス信号処理部
21 RF信号処理部 22 デコーダ
23 バッファメモリ 24 インタフェース
25 ホストコンピュータ 26 CPU
27 メモリ 28 スレッド処理部
29 ステッピングモータ 30 アクチュエータ
31 描画信号処理部 32 レーザーパワー制御部
33 描画制御部 34 カウンタ
35 タイマ 36 交流信号発生回路
37 可変増幅回路 38 加算回路
39 光ディスクの画像形成装置 40 発振回路
41 分周回路 42 位相比較回路
100 光ディスク 101 保護層
102 変色層 103 反射層
104 対物レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光材料又は感熱材料からなる光ディスクの変色層にレーザー光を照射し、前記変色層に画像を形成する光ディスクの画像形成装置において、
前記光ディスクを回転させるモータと、
前記光ディスクが所定回転周波数で回転するべく、前記モータの回転を制御する回転制御部と、
前記レーザー光を出射する半導体レーザーと、
前記半導体レーザーと前記光ディスクの一方側の面との間の光路に介在する対物レンズと、
前記光ディスクに対する前記対物レンズの位置を変更するアクチュエータと、
前記対物レンズからのレーザー光が前記変色層に集光するべく、前記アクチュエータの位置制御を行う焦点制御部と、
前記光ディスクが前記所定回転周波数で回転し、且つ、前記対物レンズからのレーザー光が前記変色層に集光した状態で、前記対物レンズが前記光ディスクの径方向へ所定振動周波数で振動するべく、前記アクチュエータの振動制御を行う振動制御部と、を備え、
前記所定振動周波数は、前記アクチュエータに固有の共振周波数以外の周波数である、
ことを特徴とする光ディスクの画像形成装置。
【請求項2】
前記共振周波数を示すデータが予め記憶される記憶部、を備え、
前記振動制御部は、前記記憶部から読み出される前記データに基づいて、前記対物レンズが前記光ディスクの径方向に前記共振周波数以外の周波数で振動するべく、前記アクチュエータの振動制御を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の光ディスクの画像形成装置。
【請求項3】
前記所定振動周波数は、前記所定回転周波数の1以上の整数倍となる周波数以外の周波数である、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光ディスクの画像形成装置。
【請求項4】
前記所定回転周波数は、前記光ディスクの径方向の複数の分割エリアごとに同一である、
ことを特徴とする請求項3に記載の光ディスクの画像形成装置。
【請求項5】
前記光ディスクの回転周波数を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて、前記回転周波数の1以上の整数倍となる周波数以外の周波数を算出する算出部と、
を備えたことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の光ディスクの画像形成装置。
【請求項6】
前記アクチュエータを前記光ディスクの径方向へ移動させるステッピングモータ、を備え、
前記振動制御部は、前記対物レンズが前記光ディスクの径方向へ前記所定振動周波数及び前記ステッピングモータの各ステップ距離と略同一となる所定振幅で振動するべく、前記アクチュエータの振動制御を行う、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の光ディスクの画像形成装置。
【請求項7】
感光材料又は感熱材料からなる変色層を有する光ディスクを回転させるモータと、
前記光ディスクが所定回転周波数で回転するべく、前記モータの回転を制御する回転制御部と、
前記変色層に画像を形成するためのレーザー光を出射する半導体レーザーと、
前記半導体レーザーと前記光ディスクの一方側の面との間の光路に介在する対物レンズと、
前記光ディスクに対する前記対物レンズの位置を変更するアクチュエータと、
前記対物レンズからのレーザー光が前記変色層に集光するべく、前記アクチュエータの位置制御を行う焦点制御部と、
前記光ディスクが前記所定回転周波数で回転し、且つ、前記対物レンズからのレーザー光が前記変色層に集光した状態で、前記対物レンズが前記光ディスクの径方向へ所定振動周波数で振動するべく、前記アクチュエータの振動制御を行う振動制御部と、
を備えた光ディスクの画像形成装置を制御するコンピュータに、
前記アクチュエータに固有の共振周波数以外の周波数を前記所定振動周波数として設定する機能を実現させるプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−179633(P2007−179633A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−376001(P2005−376001)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】