説明

光ディスクドライブ装置、光ピックアップ装置の処理方法、光ディスクドライブ装置の製造方法及び光ディスクドライブ装置の処理方法

【課題】高密度記録媒体用でありながら安価なプラスチック光学素子を用いることができ、使用開始時においても安定した読み取り及び書き込みを行うことができる光ディスクドライブ装置とその製造方法、光ディスクドライブ装置に組み込まれる光ピックアップ装置の処理方法、及び光ディスクドライブ装置の処理方法を提供する。
【解決手段】波長390〜420nmの光束を出射する第1光源、少なくとも1つのプラスチック光学素子及び光ディスクの情報記録面からの反射光を検出する光検出器とを有する光ピックアップ装置、及び光ディスクを回転駆動せしめる光ディスク駆動装置とを有する光ディスクドライブ装置において、前記光ディスクドライブ装置は、前記光ピックアップ装置の前記第1光源を照射させる工程の後に、前記光ディスク駆動装置と前記光ピックアップ装置を組みつける工程により製造されることを特徴とする光ディスクドライブ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ピックアップ装置を搭載した光ディスクドライブ装置、光ピックアップ装置の処理方法、光ディスクドライブ装置の製造方法及び光ディスクドライブ装置の処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光ピックアップ装置において、光ディスクに記録された情報の再生や、光ディスクへの情報の記録のための光源として使用されるレーザ光源の短波長化が進み、例えば、青紫色半導体レーザや、第2高調波発生を利用して赤外半導体レーザの波長変換を行う青紫色SHGレーザ等の波長390〜420nmのレーザ光源が実用化されつつある。
【0003】
これら青紫色レーザ光源を使用すると、デジタルバーサタイルディスク(以下、DVDと略記する)と同じ開口数(NA)の対物レンズを使用する場合で、直径12cmの光ディスク(かかる規格の光ディスクはHD DVD(以下、HDと略記する)として提案されている)に対して、15〜20GBの情報の記録が可能となり、対物レンズのNAを0.85にまで高めた場合には、直径12cmの光ディスク(かかる規格の光ディスクはブルーレイディスク(以下、BDと略記する)として提案されている)に対して、23〜27GBの情報の記録が可能となる。以下、本明細書では、青紫色レーザ光源を使用する光ディスク及び光磁気ディスクを総称して「高密度光ディスク」という。
従来、HD DVD、BD、CD、DVD、MOといった光情報記録媒体(以下、光ディスクとする)に対して、情報の読み取りや記録を行う光ディスクドライブには、光ピックアップ装置及び光ディスクを回転駆動せしめる光ディスク駆動装置が備えられている。光ピックアップ装置は、光源から発した所定波長の光を光ディスクに照射し、反射した光を光検出器で受光・検出する光学素子ユニットを備えており、光学素子ユニットはこれらの光を光ディスクの反射層(情報記録面)や光検出器で集光させるためのレンズ等の光学素子を有している。
【0004】
一方、光ピックアップ装置の光学素子は、射出成形等の手段により安価に作製できる等の点で、プラスチックを材料として適用することが好ましい。光学素子に適用可能なプラスチックとしては、環状オレフィンとα−オレフィンの共重合体(例えば、特許文献1)等が知られている。
【0005】
したがって、HD DVD、BD等の高密度記録媒体用の光ピックアップ装置及び光ディスクドライブ装置のように、情報の記録、再生に波長390〜420nmの青色光源を用いた光学系の検討及び開発が進められている。青色光を用いて再生や記録を行う高密度記録媒体用の光ピックアップ装置において、プラスチック光学素子が用いられる場合、短波長の青色光を長時間照射することによる変形や変質等の問題があり、耐光性に優れた樹脂の開発が更に進められている。特に、高密度記録媒体の再生及び記録において、CDやDVDの場合と比較して小さいスポット径が用いられる為、光学素子の変形による収差変化や変質による透過率の低下による光量の変化が問題となる為、これらを長時間に渡り低減することが求められている。
【特許文献1】特開2002−105131号公報 (第4頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、青色光のような短波長の光源を用いた光ピックアップ装置を搭載した光ディスクドライブ装置を使用して、光ディスクの再生や記録を行う際には、青色光に対して長期間の耐光性、耐久性を有する樹脂を用いた場合であっても、使用開始とともに光検出器により検出される光量が経時的に変化するという現象が認められた。ところが、長期間使用された光ディスクドライブ装置においては、このような現象は見られないことが判明した。長期間使用後には問題が解消するとしても、高度な精度が求められる高密度記録媒体の再生及び記録の際に、初期使用時に光量が変化した場合には、読み取りや書き込みに支障を生じる可能性もあり、対策が求められていた。
【0007】
そこで、本発明の課題は、高精度が求められる高密度記録媒体用でありながら安価なプラスチック光学素子を用いることができる上に、使用開始時においても安定した読み取り及び書き込みを行うことができる光ディスクドライブ装置とその製造方法、光ディスクドライブ装置に組み込まれる光ピックアップ装置の処理方法、及び光ディスクドライブ装置の処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0009】
1.a)波長390〜420nmの光束を出射する第1光源、少なくとも1つのプラスチック光学素子及び光ディスクの情報記録面からの反射光を検出する光検出器、とを有する光ピックアップ装置、及び、
b)光ディスクを回転駆動せしめる光ディスク駆動装置、とを有する光ディスクドライブ装置において、
前記光ディスクドライブ装置は、前記光ピックアップ装置の前記第1光源を照射させる工程の後に、前記光ディスク駆動装置と前記光ピックアップ装置を組みつける工程により製造されることを特徴とする光ディスクドライブ装置。
【0010】
このような光ディスクドライブ装置によれば、初期使用時においても光量変化等の問題が発生せず、情報の再生及び記録を良好に行うことができる。
【0011】
2.前記第1光源を照射させる工程が1時間以上行われることを特徴とする前記第1項に記載の光ディスクドライブ装置。
【0012】
本項の光ディスクドライブ装置によれば、情報の再生及び記録を更に良好に行うことができる。
【0013】
3.前記第1光源を照射させる工程において、前記第1光源の照射は2時間以上16時間以下の間行われることを特徴とする前記第1項に記載の光ディスクドライブ装置。
【0014】
本項の光ディスクドライブ装置によれば、情報の再生及び記録を特に良好に行うことができる。また、光源の照射工程を16時間以下の間行うことで、十分に本発明の効果を奏するとともに、コストの増加や製造時間の増大を抑えることができる。
【0015】
4.前記プラスチック光学素子が、α−オレフィンと下記一般式(I)または(II)で表される環状オレフィンの共重合体とヒンダートアミン系耐光安定剤とを有する樹脂組成物を成型して得られた光学素子であることを特徴とする前記第1〜3項のいずれか1項に記載の光ディスクドライブ装置。
【0016】
【化1】

【0017】
〔式中、nは0または1であり、mは0または正の整数であり、kは0または1であり、R1〜R18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基を表す。〕
【0018】
【化2】

【0019】
〔式中、pおよびqはそれぞれ独立に、0または正の整数であり、rおよびsはそれぞれ独立に、0、1または2を表し、R21〜R39はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基またはアルコキシ基を表す。〕
本発明者らの鋭意検討の結果、α−オレフィンと前記一般式(I)または(II)で表される感情オレフィンの共重合体とヒンダートアミン系対抗安定剤とを有する樹脂組成物を成型して得られた光学素子を用いることにより、390〜420nmの青色光源を用いた光ピックアップ装置においても長期にわたり安定した情報の再生及び記録が行える一方で、一定時間青色光源からの光束を照射した場合、透過率が一旦漸減した後、更に照射を続けることで透過率が漸増し、更に照射することで一定値で透過率が安定するという驚くべき性質を持つことが見出された。しかしながら、本項の構成によれば、光ピックアップ装置の段階で、光源を照射する工程を設けることで、光ディスクドライブ装置としての初期稼動時の安定性を確保することができ、更に長期にわたり安定して情報の記録及び再生を行うことができる。
【0020】
5.前記第1光源を照射させる工程で、前記第1光源からの光束の光量を継時的にモニタし、前記プラスチック光学素子を透過した前記第1光源からの光束の光量が漸減した後、漸増に転じてから、1時間以上照射されることを特徴とする前記第4項に記載の光ディスクドライブ装置。
【0021】
前述のように、前記の樹脂組成物を用いたプラスチック光学素子を光ピックアップ装置に用いた場合においては、光源の照射に伴い、プラスチック光学素子の透過率が漸減した後漸増するという現象が見られるが、本項の光ディスクドライブ装置により長期にわたる安定した情報の再生及び記録が可能である。
【0022】
6.前記第1光源を照射させる工程で、前記第1光源からの光束の光量を継時的にモニタし、前記プラスチック光学素子を透過した前記第1光源からの光束の光量が漸減した後、漸増に転じてから、透過光量の変化が0.1(%/時)以下になるまで前記第1光源が照射されることを特徴とする前記第4項または第5項に記載の光ディスクドライブ装置。
【0023】
本項の光ディスクドライブ装置によれば、前記第5項と同様の効果が得られる。
【0024】
7.前記第1光源を照射させる工程が、前記光ピックアップ装置を30℃以上60℃以下の環境温度下に設置して行われることを特徴とする前記第1〜6項のいずれか1項に記載の光ディスクドライブ装置。
【0025】
本項によれば、前記光ピックアップ装置を30℃以上60℃以下の環境温度下に設置して光源の照射工程を行うことにより、照射工程の効果を高め、短時間で本発明の効果が達成された光ディスクドライブ装置が得られる。
【0026】
8.前記第1光源を照射させる工程が、前記光ピックアップ装置を40℃以上50℃以下の環境温度下に設置して行われることを特徴とする前記第7項に記載の光ディスクドライブ装置。
【0027】
本項によれば、照射工程の効果を高め、より短時間で本発明の効果が達成された光ディスクドライブが得られるとともに、加熱による光ピックアップ装置に用いられている接着剤の溶融等の影響をより低減することができる。
【0028】
9.前記光ピックアップ装置が、波長630〜660nmの光束を出射する第2光源を有することを特徴とする前記第1〜8項のいずれか1項に記載の光ディスクドライブ装置。
【0029】
本項によれば、波長390〜420nmの光束を出射する第1光源に加え、波長630〜660nmの光束を出射する第2光源を設けることにより、例えば、高密度記録媒体とDVD等の2種類の光ディスクに対して良好に再生及び記録を行うことができる光ディスクドライブ装置を得ることができる。
【0030】
10.前記光ピックアップ装置が、波長760〜800nmの光束を出射する第3光源を有することを特徴とする前記第1〜9項のいずれか1項に記載の光ディスクドライブ装置。
【0031】
本項によれば、波長760〜800nmの光束を出射する第3光源を用いることにより、例えば、高密度記録媒体とCDの2種類の光ディスクに対して良好に再生及び記録を行うことができる光ディスクドライブ装置や、高密度記録媒体、DVD及びCDの3種類の光ディスクに対して良好に再生及び記録を行うことができる光ディスクドライブ装置を得ることができる。
【0032】
11.前記光ディスク駆動装置と前記光ピックアップ装置を組みつける工程の前には、前記第2光源を照射させる工程は行われないことを特徴とする前記第9項に記載の光ディスクドライブ装置。
【0033】
本項においては、第1光源のみを照射させ、第2光源を照射させないことにより、本発明の効果を十分に達成するとともに製造コストを低減させることができる。
【0034】
12.前記前記光ディスク駆動装置と前記光ピックアップ装置を組みつける工程の前には、前記第3光源を照射させる工程は行われないことを特徴とする前記第10項に記載の光ディスクドライブ装置。
【0035】
本項においては、第1光源のみを照射させ、第3光源を照射させないことにより、本発明の効果を十分に達成するとともに製造コストを低減させることができる。
【0036】
13.波長390〜420nmの光束を出射する第1光源、少なくとも1つのプラスチック光学素子及び光ディスクの情報記録面からの反射光を検出する光検出器、とを有する光ピックアップ装置の処理方法であって、
前記光ピックアップ装置が、光ディスクドライブ装置に組み込まれる前に、前記第1光源を照射させる工程を行うことを特徴とする光ピックアップ装置の処理方法。
【0037】
本項の処理方法を施された光ピックアップ装置が光ディスクドライブ装置に組み込まれた場合、初期使用時においても光量変化等の問題が発生せず、情報の再生及び記録を良好に行うことができる。
【0038】
14.前記第1光源を照射させる工程が1時間以上行われることを特徴とする前記第13項に記載の光ピックアップ装置の処理方法。
【0039】
本項の光ピックアップ装置の処理方法によれば、更に良好に情報の再生及び記録を行うことができる光ピックアップ装置が得られる。
【0040】
15.前記第1光源を照射させる工程において、前記第1光源の照射は2時間以上16時間以下の間行われることを特徴とする前記第14項に記載の光ピックアップ装置の処理方法。
【0041】
本項の光ピックアップ装置の処理方法によれば、特に良好に情報の再生及び記録を行うことができる光ピックアップ装置が得られるとともに、光源の照射工程を16時間以下の間行うことで、十分に本発明の効果を奏するとともに、コストの増加や製造時間の増大を抑えることができる。
【0042】
16.前記プラスチック光学素子が、α−オレフィンと下記一般式(I)または(II)で表される環状オレフィンの共重合体とヒンダートアミン系耐光安定剤とを有する樹脂組成物を成型して得られた光学素子であることを特徴とする前記第13〜15項のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置の処理方法。
【0043】
【化3】

【0044】
〔式中、nは0または1であり、mは0または正の整数であり、kは0または1であり、R1〜R18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基を表す。〕
【0045】
【化4】

【0046】
〔式中、pおよびqはそれぞれ独立に、0または正の整数であり、rおよびsはそれぞれ独立に、0、1または2を表し、R21〜R39はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基またはアルコキシ基を表す。〕
前述のように、α−オレフィンと上記一般式(I)または(II)で表される環状オレフィンの共重合体とヒンダートアミン系耐光安定剤とを有する樹脂組成物を成型して得られた光学素子を光ピックアップ装置に用いた場合においては、光源の照射に伴い、光量が変化するという現象が発生するが、本発明の処理方法により良好に情報の再生及び記録を行うことができる光ピックアップ装置を得ることができる。
【0047】
17.前記第1光源を照射させる工程において、前記光ピックアップ装置に対して光ディスク若しくはその均等物を配置し、前記光ディスクの情報記録面若しくはその均等物の反射面により反射された前記第1光源からの光束を前記光検出器により経時的にモニタすることを特徴とする前記第13〜16項のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置の処理方法。
【0048】
本項の光ピックアップ装置の処理方法のように、前記第1光源を照射させる工程において、前記光ピックアップ装置に対して光ディスク若しくはその均等物を配置し、前記光ディスクの情報記録面若しくはその均等物の反射面により反射された前記第1光源からの光束を前記光検出器により経時的にモニタすることにより、光量の変化に基づき光源の照射工程の時間を調整することができ、効率的に本発明の効果を奏する光ピックアップ装置を得ることができる。
【0049】
18.前記第1光源を照射させる工程において、前記光ピックアップ装置に対して光ディスクが配置されるべき位置に、前記第1光源からの光束を検出できる第2光検出器を配置し、前記第2光検出器により、前記第1光源からの光束を経時的にモニタすることを特徴とする前記第13〜16項のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置の処理方法。
【0050】
本項の処理方法により、前記第17項と同様の効果が得られる。
【0051】
19.前記第1光源を照射させる工程で、前記光検出器で検出される光束の光量が漸減した後、漸増に転じてから、1時間以上照射されることを特徴とする前記第17項に記載の光ピックアップ装置の処理方法。
【0052】
前述のように、前記の樹脂組成物を用いたプラスチック光学素子を光ピックアップ装置に用いた場合においては、光源の照射に伴い、プラスチック光学素子の透過率が漸減した後漸増するという現象が見られるが、本項の処理方法により、光ディスクドライブ装置に組み込まれた際に、初期稼動時から安定した情報の再生及び記録が可能な光ピックアップ装置を得ることができる。
【0053】
20.前記第1光源を照射させる工程で、前記光検出器で検出される光束の光量が漸減した後、漸増に転じてから、前記光検出器で検出される光束の光量の変化が0.1(%/時)以下になるまで前記第1光源が照射されることを特徴とする前記第17項に記載の光ピックアップ装置の処理方法。
【0054】
本項の処理方法により、前記第19項と同様の効果が得られる。
【0055】
21.前記第1光源を照射させる工程で、前記第2光検出器で検出される光束の光量が漸減した後、漸増に転じてから、1時間以上照射されることを特徴とする前記第18項に記載の光ピックアップ装置の処理方法。
【0056】
本項の処理方法により、前記第19項と同様の効果が得られる。
【0057】
22.前記第1光源を照射させる工程で、前記第2光検出器で検出される光束の光量が漸減した後、漸増に転じてから、前記第2光検出器で検出される光束の光量の変化が0.1(%/時)以下になるまで前記第1光源が照射されることを特徴とする前記第18項に記載の光ピックアップ装置の処理方法。
【0058】
本項の処理方法により、前記第20項と同様の効果が得られる。
【0059】
23.前記第1光源を照射させる工程が、前記光ピックアップ装置を30℃以上60℃以下の環境温度下に設置して行われることを特徴とする前記第13〜22項のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置の処理方法。
【0060】
本項の処理方法によれば、前記光ピックアップ装置を30℃以上60℃以下の環境温度下に設置して光源の照射工程を行うことにより、照射工程の効果を高め、短時間で本発明の効果を達成することができる。
【0061】
24.前記第1光源を照射させる工程が、前記光ピックアップ装置を40℃以上50℃以下の環境温度下に設置して行われることを特徴とする前記第23項に記載の光ピックアップ装置の処理方法。
【0062】
本項によれば、照射工程の効果を高め、より短時間で本発明の効果が達成することができるとともに、加熱による光ピックアップ装置に用いられている接着剤の溶融等の影響を低減することができる。
【0063】
25.前記光ピックアップ装置の処理方法において、複数の前記光ピックアップ装置が電気的に接続された状態で、該複数の光ピックアップ装置のそれぞれの第1光源を照射させることにより、前記第1光源を照射させる工程が行われることを特徴とする前記第13〜24項のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置の処理方法。
【0064】
本項のように、複数の光ピックアップ装置を電気的に接続した状態で、光源の照射工程を行うことにより、効率的に本発明の効果を達成することができる。
【0065】
26.前記接続された複数の光ピックアップ装置のうち、少なくとも1台の光ピックアップ装置に対して、光ディスク若しくはその均等物を配置し、前記光ディスクの情報記録面若しくはその均等物の反射面により反射された前記第1光源からの光束を前記光検出器により経時的にモニタすることを特徴とする前記第25項に記載の光ピックアップ装置の処理方法。
【0066】
複数の光ピックアップ装置を電気的に接続した状態で、光源の照射工程を行う場合、接続されたそれぞれの光ピックアップ装置は同じ条件で照射されるため、同じ時間の照射で同様の効果を得られるため、少なくとも1台の光ピックアップ装置の光束を経時的にモニタすることにより、効率的に本発明の効果を得ることができる。
【0067】
27.前記接続された複数の光ピックアップ装置のうち、少なくとも1台の光ピックアップ装置に対して、光ディスクが配置されるべき位置に、前記第1光源からの光束を検出できる第2光検出器を配置し、前記第2光検出器により、前記第1光源からの光束を経時的にモニタすることを特徴とする前記第25項に記載の光ピックアップ装置の処理方法。
【0068】
本項の処理方法によれば、前記第26項と同様の効果が得られる。
【0069】
28.前記光ピックアップ装置が、波長630〜660nmの光束を出射する第2光源を有することを特徴とする前記第13〜27項のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置の処理方法。
【0070】
本項によれば、波長390〜420nmの光束を出射する第1光源に加え、波長630〜660nmの光束を出射する第2光源を設けることにより、例えば、高密度記録媒体とDVD等の2種類の光ディスクに対して良好に再生及び記録を行うことができる光ピックアップ装置が得られる。
【0071】
29.前記光ピックアップ装置が、波長760〜800nmの光束を出射する第3光源を有することを特徴とする前記第13〜28項のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置の処理方法。
【0072】
本項によれば、波長760〜800nmの光束を出射する第3光源を用いることにより、例えば、高密度記録媒体とCDの2種類の光ディスクに対して良好に再生及び記録を行うことができる光ピックアップ装置や、高密度記録媒体、DVD及びCDの3種類の光ディスクに対して良好に再生及び記録を行うことができる光ピックアップ装置が得られる。
【0073】
30.前記第13〜29項のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置の処理方法が施された光ピックアップ装置と光ディスク駆動装置とを組み付けることを特徴とする光ディスクドライブ装置の製造方法。
【0074】
本項によれば、前記第13〜29項と同様の効果が得られる。
【0075】
31.a)波長390〜420nmの光束を出射する第1光源、少なくとも1つのプラスチック光学素子及び光ディスクの情報記録面からの反射光を検出する光検出器、とを有する光ピックアップ装置、及び、
b)光ディスクを回転駆動せしめる光ディスク駆動装置、とを有する光ディスクドライブ装置の処理方法であって、
前記第1光源を照射させる工程を有することを特徴とする光ディスクドライブ装置の処理方法。
【0076】
本項の光ディスクドライブ装置の処理方法によれば、パソコン、レコーダ、プレーヤ等に組み込まれた際に、初期稼動時から安定した情報の再生及び記録を行うことができる光ディスクドライブ装置を得ることができる。
【0077】
32.前記第1光源を照射させる工程が1時間以上行われることを特徴とする前記第31項に記載の光ディスクドライブ装置の処理方法。
【0078】
本項の光ディスクドライブ装置の処理方法によれば、更に良好に情報の再生及び記録を行うことができる光ディスクドライブ装置が得られる。
【0079】
33.前記第1光源を照射させる工程において、前記第1光源の照射は2時間以上16時間以下の間行われることを特徴とする前記第32項に記載の光ディスクドライブ装置の処理方法。
【0080】
本項の光ディスクドライブ装置の処理方法によれば、特に良好に情報の再生及び記録を行うことができる光ディスクドライブ装置が得られるとともに、光源の照射工程を16時間以下の間行うことで、十分に本発明の効果を奏するとともに、コストの増加や製造時間の増大を抑えることができる。
【0081】
34.前記プラスチック光学素子が、α−オレフィンと下記一般式(I)または(II)で表される環状オレフィンの共重合体とヒンダートアミン系耐光安定剤とを有する樹脂組成物を成型して得られた光学素子であることを特徴とする前記第31〜33項のいずれか1項に記載の光ディスクドライブ装置の処理方法。
【0082】
【化5】

【0083】
〔式中、nは0または1であり、mは0または正の整数であり、kは0または1であり、R1〜R18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基を表す。〕
【0084】
【化6】

【0085】
〔式中、pおよびqはそれぞれ独立に、0または正の整数であり、rおよびsはそれぞれ独立に、0、1または2を表し、R21〜R39はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基またはアルコキシ基を表す。〕
前述のように、α−オレフィンと上記一般式(I)または(II)で表される環状オレフィンの共重合体とヒンダートアミン系耐光安定剤とを有する樹脂組成物を成型して得られた光学素子を光ピックアップ装置に用いた場合においては、光源の照射に伴い、光量が変化するという現象が発生するが、本発明の処理方法により良好に情報の再生及び記録を行うことができる光ディスクドライブ装置を得ることができる。
【0086】
35.前記第1光源を照射させる工程において、前記光ディスク駆動装置上に、光ディスク若しくはその均等物を配置し、前記光ディスクの情報記録面若しくはその均等物の反射面により反射された前記第1光源からの光束を前記光検出器により経時的にモニタすることを特徴とする前記第31〜34項のいずれか1項に記載の光ディスクドライブ装置の処理方法。
【0087】
本項の光ディスクドライブ装置の処理方法のように、前記第1光源を照射させる工程において、前記光ディスク駆動装置上に光ディスク若しくはその均等物を配置し、前記光ディスクの情報記録面若しくはその均等物の反射面により反射された前記第1光源からの光束を前記光検出器により経時的にモニタすることにより、光量の変化に基づき光源の照射工程の時間を調整することができ、効率的に本発明の効果を奏する光ディスクドライブ装置を得ることができる。
【0088】
36.前記第1光源を照射させる工程で、前記光検出器で検出される光束の光量が漸減した後、漸増に転じてから、1時間以上照射されることを特徴とする前記第35項に記載の光ディスクドライブ装置の処理方法。
【0089】
前述のように、前記の樹脂組成物を用いたプラスチック光学素子を光ピックアップ装置に用いた場合においては、光源の照射に伴い、プラスチック光学素子の透過率が漸減した後漸増するという現象が見られるが、本項の処理方法により、パソコン、プレーヤ及びレコーダ等の装置に組み込まれた際に、初期稼動時から安定した情報の再生及び記録が可能な光ディスクドライブ装置を得ることができる。
【0090】
37.前記第1光源を照射させる工程で、前記光検出器で検出される光束の光量が漸減した後、漸増に転じてから、前記光検出器で検出される光束の光量の変化が0.1(%/時)以下になるまで前記第1光源が照射されることを特徴とする前記第35項に記載の光ディスクドライブ装置の処理方法。
【0091】
本項の処理方法により、前記第36項と同様の効果が得られる。
【0092】
38.前記第1光源を照射させる工程が、前記ディスクドライブ装置を30℃以上60℃以下の環境温度下に設置して行われることを特徴とする前記第31〜37項のいずれか1項に記載の光ディスクドライブ装置の処理方法。
【0093】
本項の処理方法によれば、前記光ディスクドライブ装置を30℃以上60℃以下の環境温度下に設置して光源の照射工程を行うことにより、照射工程の効果を高め、短時間で本発明の効果を達成することができる。
【0094】
39.前記第1光源を照射させる工程が、前記光ディスクドライブ装置を40℃以上50℃以下の環境温度下に設置して行われることを特徴とする前記第39項に記載の光ディスクドライブ装置の処理方法。
【0095】
本項によれば、照射工程の効果を高め、より短時間で本発明の効果が達成することができるとともに、加熱による光ディスクドライブ装置に用いられている接着剤の溶融等の影響を低減することができる。
【0096】
40.前記光ディスクドライブ装置の処理方法において、複数の前記ディスクドライブ装置が電気的に接続された状態で、該複数の光ディスクドライブ装置のそれぞれの第1光源を照射させることにより、前記第1光源を照射させる工程が行われることを特徴とする前記第31〜39項のいずれか1項に記載の光ディスクドライブ装置の処理方法。
【0097】
本項のように、複数の光ディスクドライブ装置を電気的に接続した状態で、光源の照射工程を行うことにより、効率的に本発明の効果を達成することができる。
【0098】
41.前記接続された複数の光ディスクドライブ装置のうち、少なくとも1台の光ディスクドライブ装置の光ディスク駆動装置上に、光ディスク若しくはその均等物を配置し、前記光ディスクの情報記録面若しくはその均等物の反射面により反射された前記第1光源からの光束を前記光検出器により経時的にモニタすることを特徴とする前記第40に記載の光ディスクドライブ装置の処理方法。
【0099】
複数の光ディスクドライブ装置を電気的に接続した状態で、光源の照射工程を行う場合、接続されたそれぞれの光ディスクドライブ装置は同じ条件で照射されるため、同じ時間の照射で同様の効果を得られるため、少なくとも1台の光ピックアップ装置の光束を経時的にモニタすることにより、効率的に本発明の効果を得ることができる。
【0100】
42.前記光ディスクドライブ装置の前記光ピックアップ装置が、波長630〜660nmの光束を出射する第2光源を有することを特徴とする前記第31〜41項のいずれか1項に記載の光ディスクドライブ装置の処理方法。
【0101】
本項によれば、波長390〜420nmの光束を出射する第1光源に加え、波長630〜660nmの光束を出射する第2光源を設けることにより、例えば、高密度記録媒体とDVD等の2種類の光ディスクに対して良好に再生及び記録を行うことができる光ディスクドライブ装置が得られる。
【0102】
43.前記光ディスクドライブ装置の前記光ピックアップ装置が、波長760〜800nmの光束を出射する第3光源を有することを特徴とする前記31〜42項のいずれか1項に記載の光ディスクドライブ装置の処理方法。
【0103】
本項によれば、波長760〜800nmの光束を出射する第3光源を用いることにより、例えば、高密度記録媒体とCDの2種類の光ディスクに対して良好に再生及び記録を行うことができる光ディスクドライブ装置や、高密度記録媒体、DVD及びCDの3種類の光ディスクに対して良好に再生及び記録を行うことができる光ディスクドライブ装置が得られる。
【発明の効果】
【0104】
本発明により、高精度が求められる高密度記録媒体用でありながら安価なプラスチック光学素子を用いることができる上に、使用開始時においても安定した読み取り及び書き込みを行うことができる光ディスクドライブ装置とその製造方法、光ディスクドライブ装置に組み込まれる光ピックアップ装置の処理方法、及び光ディスクドライブ装置の処理方法を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0105】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0106】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、高密度記録媒体であるBD(Blu−rayDisc)又はHD DVD、DVD及びCDに対して適切に情報の記録/再生を行える光ピックアップ装置の構成を概略的に示す上面図である。図2は、本実施の形態を矢印V方向から見た側面図である。本実施の形態においては、3つの異なる記録媒体への記録/再生を行うことができる光ピックアップ装置を例として挙げるが、本発明はこれに限られず、例えばBDやHD DVD専用に用いられる光ピックアップ装置であってもよいし、BDとDVD、HD DVDとDVD等、2種類の記録媒体に対して記録/再生を行うことができる光ピックアップ装置であってもよい。
【0107】
本実施の形態においては、集光光学系として対物レンズOBJ及びカップリングレンズCOLを含む。本実施の形態においては、対物レンズOBJ及びカップリングレンズCOLは全てプラスチック光学素子としている。カップリングレンズCOLは、第1群(レンズL1、L2)と、第2群(レンズL3)から構成され、ここでは第2群が光軸方向に移動可能となっている。レンズL1〜L3には回折構造は形成されていないが、回折構造を形成しても良い。又、本実施の形態では、第2の光源である第2半導体レーザLD2と、第3の光源である第3半導体レーザLD3とを、同一のパッケージに収容した或いは同一のヒートシンクに固定した、いわゆる2レーザ1パッケージを使用しているが、半導体レーザを個別に配置しても良い。3つの半導体レーザLD1〜LD3と、光検出器(受光素子)PDの受光部とは、各光ディスクOD1〜OD3の情報記録面を介して互いに光学的に共役の関係となっている。
【0108】
第1の光ディスクOD1(例えば、BD又はHD DVD)に対して情報の記録及び/又は再生を行う場合、カップリングレンズCOLの第2群を光軸方向の第1位置へと移動させ、半導体レーザLD1からの光束が第1の発散角θ1で対物レンズOBJに入射するようにする。ここで、図1の光ピックアップ装置において、光源波長390〜420nmの半導体レーザLD1(第1の光源)から出射された光束は、ビーム整形素子BSで光束形状を整形され、更に第1回折素子D1を通過することで、記録再生用のメインビームとトラッキングエラー信号検出用のサブビームに分離された後、ダイクロイックビームスプリッタDBSで反射され、偏光ビームスプリッタPBSで反射されて、カップリングレンズCOLを通過して第1の発散角θ1とされた後、立ち上げミラーMに入射する。尚、カップリングレンズCOLの動作については後述する。
【0109】
図2において、立ち上げミラーMに入射した光束の一部は、それを透過した後モニタレンズMLを通過して、レーザパワーモニタLPMに入射し、レーザパワーの監視に用いられる。一方、立ち上げミラーMに入射した光束の残りは、そこで反射され、1/4波長板QWPを通過した後、対物レンズOBJ(本実施の形態では2枚の素子からなるが1枚でも良い)に入射して、ここから光ディスクOD1の情報記録面R1(保護基板の厚さ0.1mm又は0.6mm)に集光される。
【0110】
情報記録面R1で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物レンズOBJ、1/4波長板QWPを通過し、立ち上げミラーMで反射された後、カップリングレンズCOLを通過し、更に偏光ビームスプリッタPBSを通過してセンサレンズSLによって、光検出器(受光素子)PDの受光面に集光されるようになっている。光検出器PDの出力信号を用いて、光ディスクOD1に情報記録された情報の読み取り信号が得られる。
【0111】
また、光検出器PD上でのスポットの形状変化、位置変化による光量変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行う。この検出に基づいて対物レンズアクチュエータ機構ACTのフォーカシングアクチュエータ及びトラッキングアクチュエータが、第1半導体レーザLD1からの光束を光ディスクOD1の情報記録面R1上に適切に結像するように、対物レンズOBJをレンズホルダHDと一体で移動させるようになっている。
【0112】
第2の光ディスクOD2(例えばDVD)に対して情報の記録及び/又は再生を行う場合、カップリングレンズCOLの第2群を光軸方向の第2位置へと移動させ、半導体レーザLD2からの光束が第2の発散角θ2で対物レンズOBJに入射するようにする。ここで、図1の光ピックアップ装置において、光源波長630〜660nmの半導体レーザLD2から出射された光束は、2レーザ1パッケージから外部へと出た後、第2回折素子D2を通過することで、記録再生用のメインビームとトラッキングエラー信号検出用のサブビームに分離され、カップリングレンズCPLで発散角を調整され、1/2波長板HWP、ダイクロイックビームスプリッタDBSを通過し、偏光ビームスプリッタPBSで反射されて、カップリングレンズCOLを通過して第2の発散角θ2とされた後、立ち上げミラーMに入射する。
【0113】
図2において、立ち上げミラーMに入射した光束の一部は、それを透過した後モニタレンズMLを通過して、レーザパワーモニタLPMに入射し、レーザパワーの監視に用いられる。一方、立ち上げミラーMに入射した光束の残りは、そこで反射され、1/4波長板QWPを通過した後、対物レンズOBJに入射して、ここから光ディスクOD2の情報記録面R2(保護基板の厚さ0.6mm)に集光される。
【0114】
情報記録面R2で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物レンズOBJ、1/4波長板QWPを通過し、立ち上げミラーMで反射された後、カップリングレンズCOLを通過し、更に偏光ビームスプリッタPBSを通過してセンサレンズSLによって、光検出器PDの受光面に集光されるようになっている。光検出器PDの出力信号を用いて、光ディスクOD2に情報記録された情報の読み取り信号が得られる。
【0115】
また、光検出器PD上でのスポットの形状変化、位置変化による光量変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行う。この検出に基づいて対物レンズアクチュエータ機構ACTのフォーカシングアクチュエータ及びトラッキングアクチュエータが、第2半導体レーザLD2からの光束を光ディスクOD2の情報記録面R2上に適切に結像するように、対物レンズOBJをレンズホルダHDと一体で移動させるようになっている。
【0116】
第3の光ディスクOD3(例えばCD)に対して情報の記録及び/又は再生を行う場合、カップリングレンズCOLの第2群を光軸方向の第3位置へと移動させ、半導体レーザLD3からの光束が第3の発散角θ3で対物レンズOBJに入射するようにする。ここで、図1の光ピックアップ装置において、光源波長760〜800nmの半導体レーザLD3から出射された光束は、2レーザ1パッケージから外部へと出た後、第2回折素子D2を通過することで、記録再生用のメインビームとトラッキングエラー信号検出用のサブビームに分離され、カップリングレンズCPLで発散角を調整され、1/2波長板HWP、ダイクロイックビームスプリッタDBSを通過し、偏光ビームスプリッタPBSで反射されて、カップリングレンズCOLを通過して第3の発散角θ3とされた後、立ち上げミラーMに入射する。
【0117】
図2において、立ち上げミラーMに入射した光束の一部は、それを透過した後モニタレンズMLを通過して、レーザパワーモニタLPMに入射し、レーザパワーの監視に用いられる。一方、立ち上げミラーMに入射した光束の残りは、そこで反射され、1/4波長板QWPを通過した後、対物レンズOBJに入射して、ここから光ディスクOD3の情報記録面R3(保護基板の厚さ1.2mm)に集光される。
【0118】
情報記録面R3で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物レンズOBJ、1/4波長板QWPを通過し、立ち上げミラーMで反射された後、カップリングレンズCOLを通過し、更に偏光ビームスプリッタPBSを通過してセンサレンズSLによって、光検出器PDの受光面に集光されるようになっている。光検出器PDの出力信号を用いて、光ディスクOD3に情報記録された情報の読み取り信号が得られる。
【0119】
また、光検出器PD上でのスポットの形状変化、位置変化による光量変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行う。この検出に基づいて対物レンズアクチュエータ機構ACTのフォーカシングアクチュエータ及びトラッキングアクチュエータが、第3半導体レーザLD3からの光束を光ディスクOD3の情報記録面R3上に適切に結像するように、対物レンズOBJをレンズホルダHDと一体で移動させるようになっている。
【0120】
本実施の形態によれば、カップリングレンズCOLが、2群3枚構成となっており、各群の空気間隔は、後述するようにして可変となっているので、空気間隔を変化させることにより、各半導体レーザLD1〜LD3から出射される光束の波長及び光ディスクの保護基板厚に応じて発散角を変化させ、光ディスクOD1〜OD3の情報記録面に対して適切な集光スポットを形成することができる。
【0121】
本発明の光ディスクドライブ装置は、前述の光ピックアップ装置と、図2のOD1〜OD3の光ディスクを支持、回転駆動する不図示の光ディスク駆動装置とを組み付けることで得ることができる。
【0122】
本発明においては、光照射による効果の促進の観点で、加熱された環境において光照射が行われることが好ましい。加熱時の環境温度については、光照射による効果の促進と加熱される光ピックアップ装置や光ディスクドライブ装置の耐熱性の観点で、30℃〜60℃の環境下で光照射されることが好ましく、40℃〜50℃の範囲の環境下で光照射が行われることが特に好ましい。
【0123】
尚、加熱装置については特に限定はないが、例えばギアオーブンや赤外線加熱炉等が好ましく用いられる。
【0124】
本発明における光源を照射させる工程の時間は、求められる性能に応じて適宜設定可能であり、予め定められた時間照射しても良いし、照射工程中に照射光束を何らかの方法でモニタし所望の性能に達した時点で照射を取りやめる方法でも良い。予め定められた時間照射する方法のほうが、照射光束をモニタするために光検出器の調整をする工程が不要となり簡易である為好ましい。予め定められた時間照射する場合、一度照射工程中に照射光束を何らかの方法でモニタし、所望の性能に達するまでの時間を測定し、測定結果に基づき照射時間を定めることができる。具体的には、本発明の処理を終えた光ピックアップ装置を組み込んだ光ディスクドライブ装置や、本発明の処理を終えた光ディスクドライブ装置を組み込んだパソコン、プレーヤ及びレコーダ等の装置の初期稼動時から安定した情報の再生及び記録を行うためには、1時間以上の照射が好ましく、2時間〜16時間照射されることが更に好ましい。光源の照射工程を16時間以下の間行うことで、十分に本発明の効果を奏するとともに、コストの増加や製造時間の増大を抑えることができる。
【0125】
光源を照射する工程において、照射光束をモニタする方法としては、光ピックアップ装置に対し本発明の処理を施す場合は、前記光ピックアップ装置に対して光ディスク若しくはその均等物を配置し、前記光ディスクの情報記録面若しくはその均等物の反射面により反射された光源からの光束を前記光検出器により経時的にモニタする方法や、前記光ピックアップ装置に対して光ディスクが配置されるべき位置に、光源からの光束を検出できる光検出器を別途配置し、別途配置された光検出器により、前記光源からの光束を経時的にモニタする方法等が好ましく用いられる。
【0126】
光ディスクドライブ装置に対して本発明の処理を施す場合も同様に、前記光ディスク駆動装置上に、光ディスク若しくはその均等物を配置し、前記光ディスクの情報記録面若しくはその均等物の反射面により反射された光源からの光束を前記光検出器により経時的にモニタする方法等が好ましく用いられる。
【0127】
また、光源を照射させる工程を行う際には、複数の光ピックアップ装置または複数の光ディスクドライブ装置が電気的に接続された状態で、該複数の光ピックアップ装置または複数の光ディスクドライブ装置のそれぞれの光源を照射させることにより、複数の装置に同時に処理を行うことが、効率的であり好ましい。複数の装置を電気的に接続した状態で光源を照射させる工程を行う際に、光源の光束をモニタする場合は、全ての装置についてモニタする必要はなく、少なくとも1台の装置についてモニタする方法が効率的であり好ましく、1台の装置についてのみモニタする方法が更に好ましい。
【0128】
ところで、390〜420nmの青色光源を用いる高密度記録媒体に対して適切に情報を記録/再生できるというだけでは、光ピックアップ装置の製品としての価値は十分なものとはいえない。現在において、多種多様な情報を記録したDVDやCDが販売されている現実をふまえると、高密度記録媒体に対して適切に情報を記録/再生できるだけでは足らず、例えばユーザーが所有している従来のDVD或いはCDに対しても同様に適切に情報を記録/再生できるようにすることが、互換タイプの光ピックアップ装置として製品の価値を高めることに通じるのである。このような背景から、互換タイプの光ピックアップ装置に用いる光学系は、低コストで簡素な構成を有することは勿論であり、それに加えて高密度記録媒体、従来のDVD、CDいずれに対しても、適切に情報を記録/再生するために良好なスポットを得ることが望まれている。
【0129】
従って、本発明における光ピックアップ装置及び光ディスクドライブ装置においても、波長390nm〜420nmの光束を出射する第1光源に加えて、波長620〜660nmの光束を出射する第2光源や、波長760〜800nmの光束を出射する第3光源を設け、高密度記録媒体への記録/再生に加えて、DVDやCDに対しても記録/再生が行える構成とすることが望ましい。これらの第2光源や第3光源を有する光ピックアップ装置や光ディスクドライブ装置において、光源の照射処理を行う場合、全ての光源を照射させてもよいが、波長390〜420nmの光束を出射する第1光源のみを照射させることが好ましい。
【0130】
本発明の光ピックアップ装置用光学素子においては、390〜420nmの青紫色レーザに対して長期的な耐光性及び耐熱性に優れる樹脂組成物が基材として用いられることが好ましい。このような樹脂組成物としては、αオレフィンと環状オレフィンからなる共重合体樹脂及びヒンダートアミン系耐光安定剤を有する樹脂組成物が好ましく用いられる。
【0131】
樹脂組成物を構成する共重合体における環状オレフィンとしては、下記一般式(I)または(II)で表される環状オレフィンが好ましく挙げられる。
【0132】
【化7】

【0133】
式中、nは0または1であり、mは0または正の整数であり、kは0または1である。なおkが1の場合には、kを用いて表される環は6員環となり、kが0の場合にはこの環は5員環となる。
【0134】
1〜R18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基である。ここで、ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。
【0135】
また炭化水素基としては、通常、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または芳香族炭化水素基が挙げられる。より具体的には、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基およびオクタデシル基などが挙げられる。これらアルキル基はハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0136】
シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基が挙げられ、芳香族炭化水素基としてはフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。さらに上記一般式(I)において、R15とR16とが、R17とR18とが、R15とR17とが、R16とR18とが、R15とR18とが、あるいはR16とR17とがそれぞれ結合して(互いに共同して)、単環または多環の基を形成していてもよく、しかもこのようにして形成された単環または多環が二重結合を有していてもよい。ここで形成される単環または多環としては、具体的に以下のようなものが挙げられる。
【0137】
【化8】

【0138】
なお上記例示において、1または2の番号を付した炭素原子は、前記一般式(I)においてそれぞれR15(R16)またはR17(R18)結合している炭素原子を表す。
【0139】
また、R15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよい。このようなアルキリデン基は、通常は炭素原子数2〜20のアルキリデン基であり、このようなアルキリデン基の具体的な例としては、エチリデン基、プロピリデン基およびイソプロピリデン基が挙げられる。
【0140】
【化9】

【0141】
式中、pおよびqはそれぞれ独立に、0または正の整数であり、rおよびsはそれぞれ独立に、0、1または2である。また、R21〜R39はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基またはアルコキシ基である。
【0142】
ここでハロゲン原子は、上記一般式(I)中のハロゲン原子と同じである。また炭化水素基としては、通常、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または芳香族炭化水素基が挙げられる。より具体的には、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基およびオクタデシル基などが挙げられる。これらアルキル基はハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0143】
シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基が挙げられ、芳香族炭化水素基としては、アリール基、アラルキル基などが挙げられ、具体的には、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ベンジル基、フェニルエチル基などが挙げられる。
【0144】
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられる。ここで、R29およびR30が結合している炭素原子と、R33が結合している炭素原子またはR31が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよい。すなわち、上記二個の炭素原子がアルキレン基を介して結合している場合には、R29とR33とが、または、R30とR31とが互いに共同して、メチレン基(−CH2−)、エチレン基(−CH2CH2−)またはプロピレン基(−CH2CH2CH2−)の内のいずれかのアルキレン基を形成している。
【0145】
さらに、r=s=0のとき、R35とR32またはR35とR39とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。具体的には、r=s=0のとき、R35とR32とにより形成される以下のような芳香族環が挙げられる。
【0146】
【化10】

【0147】
ここで、qは一般式(II)におけるqと同じである。上記のような一般式(I)または(II)表される環状オレフィンとしては、具体的には、ビシクロ−2−ヘプテン誘導体(ビシクロヘプト−2−エン誘導体)、トリシクロ−3−デセン誘導体、トリシクロ−3−ウンデセン誘導体、テトラシクロ−3−ドデセン誘導体、ペンタシクロ−4−ペンタデセン誘導体、ペンタシクロペンタデカジエン誘導体、ペンタシクロ−3−ペンタデセン誘導体、ペンタシクロ−3−ヘキサデセン誘導体、ペンタシクロ−4−ヘキサデセン誘導体、ヘキサシクロ−4−ヘプタデセン誘導体、ヘプタシクロ−5−エイコセン誘導体、ヘプタシクロ−4−エイコセン誘導体、ヘプタシクロ−5−ヘンエイコセン誘導体、オクタシクロ−5−ドコセン誘導体、ノナシクロ−5−ペンタコセン誘導体、ノナシクロ−6−ヘキサコセン誘導体、シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン誘導体、1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセン誘導体などが挙げられる。
【0148】
以下に、本発明に係る一般式(I)または(II)で表される環状オレフィンのより具体的な例を示すが、本発明ではこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
【0149】
《ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン誘導体》
1)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
2)6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
3)5,6−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
4)1−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5)6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
6)6−n−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
7)6−イソブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
8)7−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、等
《テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン誘導体》
9)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
10)8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
11)8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
12)8−プロピルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
13)8−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
14)8−イソブチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
15)8−ヘキシルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
16)8−シクロヘキシルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
17)8−ステアリルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
18)5,10−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
19)2,10−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
20)8,9−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
21)8−エチル−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
22)11,12−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
23)2,7,9−トリメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
24)9−エチル−2,7−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
25)9−イソブチル−2,7−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
26)9,11,12−トリメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
27)9−エチル−11,12−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
28)9−イソブチルー11,12−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
29)5,8,9,10−テトラメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
30)8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
31)8−エチリデン−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
32)8−エチリデン−9−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
33)8−エチリデン−9−イソプロピルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
34)8−エチリデン−9−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
35)8−n−プロピリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
36)8−n−プロピリデン−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
37)8−n−プロピリデン−9−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
38)8−n−プロピリデン−9−イソプロピルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
39)8−n−プロピリデン−9−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
40)8−イソプロピリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
41)8−イソプロピリデン−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
42)8−イソプロピリデン−9−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
43)8−イソプロピリデン−9−イソプロピルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
44)8−イソプロピリデン−9−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
45)8−クロロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
46)8−ブロモテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
47)8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
48)8,9−ジクロロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、等
《ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン誘導体》
49)ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン
50)12−メチルヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン
51)12−エチルヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン
52)12−イソブチルヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン
53)1,6,10−トリメチル−12−イソブチルヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン、等
《オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ドコセン誘導体》
54)オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ドコセン
55)15−メチルオクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ドコセン
56)15−エチルオクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ドコセン、等
《ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン誘導体》
57)ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン
58)1,3−ジメチルペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン
59)1,6−ジメチルペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン
60)15,16−ジメチルペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン、等
《ヘプタシクロ−5−エイコセン誘導体あるいはヘプタシクロ−5−ヘンエイコセン誘導体》
61)ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]−5−エイコセン
62)ヘプタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.03,8.012,17]−5−ヘンエイコセン、等
《トリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン誘導体》
63)トリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン
64)2−メチルトリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン
65)5−メチルトリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン、等
《トリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン誘導体》
66)トリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン
67)10−メチルトリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン、等
《ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン誘導体》
68)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン
69)1,3−ジメチルペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン
70)1,6−ジメチルペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン
71)14,15−ジメチルペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、等
《ジエン化合物》
72)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4、10−ペンタデカジエン、等
《ペンタシクロ[7.4.0.12,6.19,12.08,13]−3−ペンタデセン誘導体》
73)ペンタシクロ[7.4.0.12,6.19,12.08,13]−3−ペンタデセン
74)メチル置換ペンタシクロ[7.4.0.12,6.19,12.08,13]−3−ペンタデセン、等
《ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]−4−エイコセン誘導体》
75)ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]−4−エイコセン
76)ジメチル置換ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]−4−エイコセン、等
《ノナシクロ[10.9.1.14,7.113,20.115,18.03,8.02,10.012,21.014,19]−5−ペンタコセン誘導体》
77)ノナシクロ[10.9.1.14,7.113,20.115,18.03,8.02,10.012,21.014,19]−5−ペンタコセン
78)トリメチル置換ノナシクロ[10.9.1.14,7.113,20.115,18.03,8.02,10.012,21.014,19]−5−ペンタコセン、等
《ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘキサデセン誘導体》
79)ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘキサデセン
80)11−メチル−ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘキサデセン
81)11−エチル−ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘキサデセン
82)10,11−ジメチル−ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘキサデセン、等
《ヘプタシクロ[8.8.0.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ヘンエイコセン誘導体》
83)ヘプタシクロ[8.8.0.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ヘンエイコセン
84)15−メチル−ヘプタシクロ[8.8.0.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ヘンエイコセン
85)トリメチル−ヘプタシクロ[8.8.0.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ヘンエイコセン、等
《ノナシクロ[10.10.1.15,8.114,21.116,19.02,11.04,9.013,22.015,20]−5−ヘキサコセン誘導体》
86)ノナシクロ[10.10.1.15,8.114,21.116,19.02,11.04,9.013,22.015,20]−5−ヘキサコセン、等
《その他》
87)5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
88)5−メチル−5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
89)5−ベンジル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
90)5−トリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
91)5−(エチルフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
92)5−(イソプロピルフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
93)5−(ビフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
94)5−(β−ナフチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
95)5−(α−ナフチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
96)5−(アントラセニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
97)5,6−ジフェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
98)シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物
99)1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン
100)1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセン
101)8−フェニル−テトラシクロ[4.4.0.03,5.17,10]−3−ドデセン
102)8−メチル−8−フェニル−テトラシクロ[4.4.0.03,5.17,10]−3−ドデセン
103)8−ベンジル−テトラシクロ[4.4.0.03,5.17,10]−3−ドデセン
104)8−トリル−テトラシクロ[4.4.0.03,5.17,10]−3−ドデセン
105)8−(エチルフェニル)−テトラシクロ[4.4.0.03,5.17,10]−3−ドデセン
106)8−(イソプロピルフェニル)−テトラシクロ[4.4.0.03,5.17,10]−3−ドデセン
107)8,9−ジフェニル−テトラシクロ[4.4.0.03,5.17,10]−3−ドデセン
108)8−(ビフェニル)−テトラシクロ[4.4.0.03,5.17,10]−3−ドデセン
109)8−(β−ナフチル)−テトラシクロ[4.4.0.03,5.17,10]−3−ドデセン
110)8−(α−ナフチル)−テトラシクロ[4.4.0.03,5.17,10]−3−ドデセン
111)8−(アントラセニル)−テトラシクロ[4.4.0.03,5.17,10]−3−ドデセン
112)(シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物)に、シクロペンタジエンを更に付加した化合物
113)11,12−ベンゾ−ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン
114)11,12−ベンゾ−ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ヘキサデセン
115)11−フェニル−ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン
116)14,15−ベンゾ−ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]−5−エイコセン
共重合体を構成するα−オレフィンとしては、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの直鎖状α−オレフィン;4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテンなどの分岐状α−オレフィンなどが挙げられる。好ましくは、炭素原子数が2〜20のα−オレフィンが好ましい。このような直鎖状または分岐状のα−オレフィンは置換基で置換されていても良く、また1種単独、或いは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0150】
置換基としては、種々のものが挙げられ特に制限はないが、代表的なものとしてアルキル、アリール、アニリノ、アシルアミノ、スルホンアミド、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキニル、複素環、アルコキシ、アリールオキシ、複素環オキシ、シロキシ、アミノ、アルキルアミノ、イミド、ウレイド、スルファモイルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、複素環チオ、チオウレイド、ヒドロキシル及びメルカプトの各基、並びにスピロ化合物残基、有橋炭化水素化合物残基、スルホニル、スルフィニル、スルホニルオキシ、スルファモイル、ホスホリル、カルバモイル、アシル、アシルオキシ、オキシカルボニル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、ハロゲン置換アルコキシ、ハロゲン置換アリールオキシ、ピロリル、テトラゾリル等の各基及びハロゲン原子等が挙げられる。
【0151】
上記アルキル基としては炭素数1〜32のものが好ましく、直鎖でも分岐でもよい。アリール基としてはフェニル基が好ましい。
【0152】
アシルアミノ基としては、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基;スルホンアミド基としては、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基;アルキルチオ基、アリールチオ基におけるアルキル成分、アリール成分は上記のアルキル基、アリール基が挙げられる。
【0153】
アルケニル基としては炭素数2〜23のもの、シクロアルキル基としては炭素数3〜12、特に5〜7のものが好ましく、アルケニル基は直鎖でも分岐でもよい。シクロアルケニル基としては炭素数3〜12、特に5〜7のものが好ましい。
【0154】
ウレイド基としてはアルキルウレイド基、アリールウレイド基;スルファモイルアミノ基としてはアルキルスルファモイルアミノ基、アリールスルファモイルアミノ基;複素環基としては5〜7員のものが好ましく、具体的には2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル等;飽和複素環としては5〜7員のものが好ましく、具体的にはテトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル等;複素環オキシ基としては5〜7員の複素環を有するものが好ましく、例えば3,4,5,6−テトラヒドロピラニル−2−オキシ、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ等;複素環チオ基としては5〜7員の複素環チオ基が好ましく、例えば2−ピリジルチオ、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジフェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ等;シロキシ基としてはトリメチルシロキシ、トリエチルシロキシ、ジメチルブチルシロキシ等;イミド基としては琥珀酸イミド、3−ヘプタデシル琥珀酸イミド、フタルイミド、グルタルイミド等;スピロ化合物残基としてはスピロ[3.3]ヘプタン−1−イル等;有橋炭化水素化合物残基としてはビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル、トリシクロ[3.3.1.13.7]デカン−1−イル、7,7−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル等が挙げられる。
【0155】
スルホニル基としては、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ハロゲン置換アルキルスルホニル基、ハロゲン置換アリールスルホニル基等;スルフィニル基としては、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基等;スルホニルオキシ基としては、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基等;スルファモイル基としては、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル等;ホスホリル基としては、アルコキシホスホリル基、アリールオキシホスホリル基、アルキルホスホリル基、アリールホスホリル基等;カルバモイル基としては、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基等;アシル基としては、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基等;アシルオキシ基としては、アルキルカルボニルオキシ基等;オキシカルボニル基としては、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基等;ハロゲン置換アルコキシ基としてはα−ハロゲン置換アルコキシ基等;ハロゲン置換アリールオキシ基としては、テトラフルオロアリールオキシ基、ペンタフルオロアリールオキシ基等;ピロリル基としては1−ピロリル等;テトラゾリル基としては1−テトラゾリル等の各基が挙げられる。
【0156】
上記置換基の他に、トリフルオロメチル、ヘプタフルオロ−i−プロピル、ノニルフルオロ−t−ブチル等の各基や、テトラフルオロアリール基、ペンタフルオロアリール基なども好ましく用いられる。更に、これらの置換基は、他の置換基で置換されてもよい。
【0157】
本発明に係る共重合体中の非環状モノマー含有量は成形性の観点から20%以上であることが好ましく、25%以上で90%以下であることがより好ましく、30%以上で85%以下であることがさらに好ましい。
【0158】
本発明に係る重合体又は共重合体のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは80〜250℃、より好ましくは90〜220℃、最も好ましくは100〜200℃の範囲である。数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算値で、好ましくは10,000〜1,000,000、より好ましくは20,000〜500,000、最も好ましくは50,000〜300,000の範囲である。分子量分布は、上記Mnと、同様にGPCで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)との比(Mw/Mn)で表したときに、好ましくは2.0以下である。
【0159】
Mw/Mnが大きすぎると、成形体の機械的強度や耐熱性が低下する。特に機械的強度、耐熱性、成形加工性を向上させるには、Mw/Mnが1.8以下がより好ましく、1.6以下が特に好ましい。
重合時の温度は、0〜200℃、好ましくは50〜150℃の範囲から選ばれ、圧力は大気圧〜100気圧の範囲から選ばれる。また、重合体帯域に水素を存在させることによって、生成する重合体の分子量を容易に調整することができる。
【0160】
本発明に係るオレフィン系樹脂は、1成分の環状モノマーから合成された高分子でもよいが、好適には2成分以上の環状モノマー、或いは環状モノマーと非環状モノマーを用いて合成された共重合体が選ばれる。この共重合体については、100成分以上のモノマーを用いて製造しても良いが生産効率重合安定性からモノマーの混合は10成分以下が好ましい。更に好ましいのは、5成分以下である。
【0161】
また、得られた共重合体は、結晶性高分子でも非晶性高分子でもかまわないが、好ましくは非晶性高分子が良い。
【0162】
本発明に係る重合体及び共重合体の炭素−炭素不飽和結合(芳香環含む)を水素添加する方法には、公知の方法を用いることができるが、中でも、水素添加率を高くし、且つ水素添加反応と同時に起こる重合体鎖切断反応を少なくするためには、有機溶媒中、ニッケル、コバルト、鉄、チタン、ロジウム、パラジウム、白金、ルテニウム及びレニウムから選ばれる少なくとも1つの金属を含む触媒を用いて水素添加反応を行なうのが好ましい。水素化触媒は、不均一触媒、均一触媒のいずれも使用可能である。不均一系触媒は、金属または金属化合物のままで、又は適当な担体に担持して用いることができる。担体としては、例えば、活性炭、シリカ、アルミナ、炭化カルシウム、チタニア、マグネシア、ジルコニア、ケイソウ土、炭化珪素等が挙げられ、触媒の担持量は、触媒合計質量に対する金属含有量で、通常0.01〜80質量%、好ましくは0.05〜60質量%の範囲である。均一系触媒は、ニッケル、コバルト、チタンまたは鉄化合物と有機金属化合物(例えば、有機アルミニウム化合物、有機リチウム化合物)とを組み合わせた触媒、またはロジウム、パラジウム、白金、ルテニウム、レニウム等の有機金属錯体触媒を用いることができる。これらの水素添加触媒は、それぞれ単独で、或いは2種類以上組み合わせて使用することができ、その使用量は、重合体100質量部に対して、通常、0.01〜100質量部、好ましくは0.05〜50質量部、より好ましくは0.1〜30質量部である。
【0163】
水素添加反応温度は、通常0〜300℃の温度であり、好ましくは室温〜250℃、特に好ましくは50〜200℃の温度範囲である。
【0164】
また、水素圧力は、通常0.1MPa〜30MPa、好ましくは1MPa〜20MPa、より好ましくは2MPa〜15MPaである。得られた水素添加物の水素添加率は、耐熱性や耐候性の観点から、1H−NMRによる測定において、主鎖の炭素−炭素不飽和結合の通常90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上である。水素化率が低いと、得られる重合体の透過率、低複屈折性、熱安定性等の光学特性が低下する。
【0165】
本発明に係る重合体及び共重合体の水素添加反応に於いて用いられる溶媒としては本発明の重合体及び共重合体を溶解し溶媒自体が水素添加されないものであればどのようなものでもよく、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタンなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、デカリンなどの脂肪族環状炭化水素、メチレンジクロリド、ジクロロエタン、ジクロロエチレン、テトラクロロエタン、クロルベンゼン、トリクロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素等が挙げられ、これらは2種以上混合して使用してもよい。
【0166】
本発明に係る重合体又は共重合体水素添加物の製造は、重合体溶液から重合体又は共重合体水素添加物を単離した後、再度溶媒に溶解しても可能であるが、単離することなく、上記有機金属錯体と有機アルミニウム化合物からなる水素添加触媒を加えることにより水素添加反応を行う方法を採用することもできる。
【0167】
水素添加反応の終了後、公知の方法により重合体に残存する水素添加触媒を除去することができる。例えば、吸着剤による吸着法、良溶媒による溶液に乳酸等の有機酸と貧溶媒と水とを添加し、この系を常温下或いは加温下に於いて抽出除去する方法、更には良溶媒による溶液または重合体スラリーを窒素または水素ガスの雰囲気下でトリメチレンジアミン、アニリン、ピリジン、エタンジアミド、水酸化ナトリウム等の塩基性化合物で接触処理した後に、或いは接触処理と同時に酢酸、クエン酸、安息香酸、塩酸等の酸性化合物を接触処理した後、洗浄除去する方法等が挙げられる。
【0168】
本発明に係る重合体又は共重合体水素添加物溶液から重合体水素化物の回収法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、撹拌下の貧溶媒中に反応溶液を排出し重合体水素化物を凝固させ濾過法、遠心分離法、デカンテーション法等により回収する方法、反応溶液中にスチームを吹き込んで重合体水素化物を析出させるスチームストリッピング法、反応溶液から溶媒を加熱等により直接除去する方法等が挙げられる。
【0169】
本発明において、水素添加方法を用いると水素添加率は90%以上が容易に達成でき、95%以上、特に99%以上とすることが可能であり、そうして得られる重合体又は共重合体水素添加物は容易に酸化されることがなく、優れた重合体又は共重合体水素添加物となる。
【0170】
次いで、本発明に係る樹脂組成物の調製方法について説明する。
【0171】
本発明に係る樹脂組成物は、成型する工程(成型プロセス)の前に特定の加工処理をすることが好ましく、加工処理の段階で通常樹脂に添加される可塑剤、酸化防止剤、その他の添加剤を加えても良い。
【0172】
本発明に係る樹脂組成物の調製方法としては、混練プロセスまたは混合物を溶媒に溶解、溶媒除去、乾燥を経て組成物を得るプロセス等が好ましい調製方法として挙げられるが、更に好ましい調製方法は、混練プロセスである。また、混練プロセスとして、通常の樹脂の配合に用いるプロセスを用いることができる。例えば、ロール、バンバリーミキサ、二軸混練機、ニーダールーダなどを用いることができるが、好ましくは、バンバリーミキサ、二軸混練機、ニーダールーダ等が挙げられる。樹脂の酸化を防ぐ目的で、密閉系で混練り可能な装置が好適に使用され、さらに好ましくは、窒素やアルゴンなどの不活性ガス化で混練プロセスを行うことが望ましい。
【0173】
本発明に係る樹脂組成物の調製時や樹脂組成物の成型工程においては、必要に応じて各種添加剤(配合剤ともいう)を添加することができる。添加剤については、格別限定はないが、酸化防止剤、熱安定剤、耐光安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、近赤外線吸収剤などの安定剤;滑剤、可塑剤などの樹脂改質剤;染料や顔料などの着色剤;帯電防止剤、難燃剤、フィラーなどが挙げられる。これらの配合剤は、単独で、あるいは2種以上を組み合せて用いることができ、その配合量は本発明に記載の効果を損なわない範囲で適宜選択される。
【0174】
本発明に用いられる酸化防止剤について説明する。
【0175】
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられ、これらの中でもフェノール系酸化防止剤、特にアルキル置換フェノール系酸化防止剤が好ましい。これらの酸化防止剤を配合することにより、透明性、耐熱性等を低下させることなく、成型時の酸化劣化等によるレンズの着色や強度低下を防止できる。これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択されるが、本発明に係る重合体100質量部に対して好ましくは0.001〜5質量部、より好ましくは0.01〜1質量部である。
【0176】
フェノール系酸化防止剤としては、従来公知のものが使用でき、例えば、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレートなどの特開昭63−179953号公報や特開平1−168643号公報に記載されるアクリレート系化合物;オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2′−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニルプロピオネート))メタン[すなわち、ペンタエリスリメチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート))]、トリエチレングリコールビス(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート)などのアルキル置換フェノール系化合物;6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、2−オクチルチオ−4,6−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5−トリアジンなどのトリアジン基含有フェノール系化合物;などが挙げられる。
【0177】
リン系酸化防止剤としては、一般の樹脂工業で通常使用される物であれば格別な限定はなく、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドなどのモノホスファイト系化合物;4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4′イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)などのジホスファイト系化合物などが挙げられる。これらの中でも、モノホスファイト系化合物が好ましく、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどが特に好ましい。
【0178】
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3′−チオジプロピピオネート、ジステアリル3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−β−ラウリル−チオ−プロピオネート、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどが挙げられる。
【0179】
ヒンダードアミン系耐光安定剤について説明する。
【0180】
ヒンダードアミン系耐光安定剤(以下、HALSと記す)の中でも、THFを溶媒として用いたGPCにより測定したポリスチレン換算のMnが1000〜10000であるものが好ましく、2000〜5000であるものがより好ましく、2800〜3800であるものが特に好ましい。Mnが小さすぎると、該HALSをブロック共重合体に加熱溶融混練して配合する際に、揮発のため所定量を配合できなかったり、射出成型等の加熱溶融成型時に発泡やシルバーストリークが生じるなど加工安定性が低下する。また、ランプを点灯させた状態でレンズを長時間使用する場合に、レンズから揮発性成分がガスとなって発生する。逆にMnが大き過ぎると、ブロック共重合体への分散性が低下して、レンズの透明性が低下し、耐光性改良の効果が低減する。したがって、本発明においては、HALSのMnを上記範囲とすることにより加工安定性、低ガス発生性、透明性に優れたレンズが得られる。
【0181】
このようなHALSの具体例としては、N,N′,N″,N′″−テトラキス−〔4,6−ビス−{ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ}−トリアジン−2−イル〕−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、1,6−ヘキサンジアミン−N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)とモルフォリン−2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの重縮合物、ポリ〔(6−モルフォリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕−ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕〕などの、ピペリジン環がトリアジン骨格を介して複数結合した高分子量HALS;コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールと3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンとの混合エステル化物などの、ピペリジン環がエステル結合を介して結合した高分子量HALS等が挙げられる。
【0182】
これらの中でも、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物などのMnが2,000〜5,000のものが好ましい。
【0183】
本発明に係る樹脂に対する上記配合量は、重合体100質量部に対して、好ましくは0.01〜20質量部、より好ましくは0.02〜15質量部、特に好ましくは0.05〜10質量部である。添加量が少なすぎると耐光性の改良効果が十分に得られず、屋外で長時間使用する場合等に着色が生じる。一方、HALSの配合量が多すぎると、その一部がガスとなって発生したり、樹脂への分散性が低下して、レンズの透明性が低下する。
【0184】
また、本発明に係る樹脂組成物に、さらに最も低いガラス転移温度が30℃以下である化合物を配合することにより、透明性、耐熱性、機械的強度などの諸特性を低下させることなく、長時間の高温高湿度環境下での白濁を防止できる。
【0185】
すなわち本発明においては、本発明の樹脂組成物と、(1)軟質重合体、(2)アルコール性化合物、からなる群から選ばれる少なくとも1種類の配合剤を含んでなる樹脂組成物が提供される。これらの配合剤を配合することにより、透明性、低吸水性、機械的強度などの諸特性を低下させることなく、長時間の高温高湿度環境下での白濁を防止できる。
【0186】
これらの中でも、(1)軟質重合体、及び(2)アルコール性化合物が、高温高湿度環境下における白濁防止効果、得られる樹脂組成物の透明性に優れる。
【0187】
(1)軟質重合体
本発明に用いる軟質重合体は、通常30℃以下のTgを有する重合体であり、Tgが複数存在する場合には、少なくとも最も低いTgが30℃以下であることが好ましい。
【0188】
これらの軟質重合体の具体例としては、例えば、液状ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体(EPDM)、エチレン・プロピレン・スチレン共重合体などのオレフィン系軟質重合体、ポリイソブチレン、イソブチレン・イソプレンゴム、イソブチレン・スチレン共重合体などのイソブチレン系軟質重合体;ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン・スチレンランダム共重合体、イソプレン・スチレンランダム共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、イソプレン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン・ブロック共重合体などのジエン系軟質重合体、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、ジヒドロキシポリシロキサン、などのケイ素含有軟質重合体、ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ブチルアクリレート・スチレン共重合体などのα,β−不飽和酸からなる軟質重合体、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリステアリン酸ビニル、酢酸ビニル・スチレン共重合体などの不飽和アルコールおよびアミンまたはそのアシル誘導体またはアセタールからなる軟質重合体、エチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エピクロルヒドリンゴム、などのエポキシ系軟質軟質重合体、フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン−プロピレンゴム、などのフッ素系軟質重合体、天然ゴム、ポリペプチド、蛋白質、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなどのその他の軟質重合体、等が挙げられる。これらの軟質重合体は、架橋構造を有したものであってもよく、また、変性反応により官能基を導入したものでもよい。
【0189】
上記軟質重合体の中でもジエン系軟質重合体が好ましく、特に該軟質重合体の炭素−炭素不飽和結合を水素化した水素化物が、ゴム弾性、機械強度、柔軟性、分散性の点で優れる。
【0190】
(2)アルコール性化合物
また、アルコール性化合物は、分子内に少なくとも1つの非フェノール性水酸基を有する化合物で、好適には、少なくても1つの水酸基と少なくとも1つのエーテル結合またはエステル結合を有する。このような化合物の具体例としては、例えば2価以上の多価アルコール、より好ましくは3価以上の多価アルコール、さらに好ましくは3〜8個の水酸基を有する多価アルコールの水酸基の1つがエーテル化またはエステル化されたアルコール性エーテル化合物やアルコール性エステル化合物が挙げられる。
【0191】
2価以上の多価アルコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、トリグリセロール、ジペンタエリスリトール、1,6,7−トリヒドロキシ−2,2−ジ(ヒドロキシメチル)−4−オキソヘプタン、ソルビトール、2−メチル−1,6,7−トリヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−4−オキソヘプタン、1,5,6−トリヒドロキシ−3−オキソヘキサンペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどが挙げられるが、特に3価以上の多価アルコール、さらには3〜8個の水酸基を有する多価アルコールが好ましい。またアルコール性エステル化合物を得る場合には、α、β−ジオールを含むアルコール性エステル化合物が合成可能なグリセロール、ジグリセロール、トリグリセロールなどが好ましい。
【0192】
このようなアルコール性化合物として、例えば、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノベヘネート、ジグリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリンジラウレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールモノラウレート、ペンタエリスリトールモノベヘレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールジラウレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ジペンタエリスリトールジステアレートなどの多価アルコール性エステル化物;3−(オクチルオキシ)−1,2−プロパンジオール、3−(デシルオキシ)−1,2−プロパンジオール、3−(ラウリルオキシ)−1,2−プロパンジオール、3−(4−ノニルフェニルオキシ)−1,2−プロパンジオール、1,6−ジヒドロオキシ−2,2−ジ(ヒドロキシメチル)−7−(4−ノニルフェニルオキシ)−4−オキソヘプタン、p−ノニルフェニルエーテルとホルムアルデヒドの縮合体とグリシドールの反応により得られるアルコール性エーテル化合物、p−オクチルフェニルエーテルとホルムアルデヒドの縮合体とグリシドールの反応により得られるアルコール性エーテル化合物、p−オクチルフェニルエーテルとジシクロペンタジエンの縮合体とグリシドールの反応により得られるアルコール性エーテル化合物などが挙げられる。これらの多価アルコール性化合物は単独でまたは2種以上を組み合わせて使用される。これらの多価アルコール性化合物の分子量は特に限定されないが、通常500〜2000、好ましくは800〜1500のものが、透明性の低下も少ない。
【0193】
(3)有機または無機フィラー
有機フィラーとしては、通常の有機重合体粒子または架橋有機重合体粒子を用いることができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのハロゲン含有ビニル重合体;ポリアリレート、ポリメタクリレートなどのα,β−不飽和酸から誘導された重合体;ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルなどの不飽和アルコールから誘導された重合体;ポリエチレンオキシド、またはビスグリシジルエーテルからから誘導された重合体;ポリフェニレンオキシド、ポリカーボネート、ポリスルフォンなどの芳香族縮合系重合体;ポリウレタン;ポリアミド;ポリエステル;アルデヒド・フェノール系樹脂;天然高分子化合物などの粒子または架橋粒子を挙げることができる。
【0194】
無機フィラーとしては、例えば、フッ化リチウム、硼砂(硼酸ナトリウム含水塩)などの1族元素化合物;炭酸マグネシウム、燐酸マグネシウム、炭酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、炭酸バリウムなどの2族元素化合物;二酸化チタン(チタニア)、一酸化チタンなどの4族元素化合物;二酸化モリブデン、三酸化モリブデンの6族元素化合物;塩化マンガン、酢酸マンガンなどの7族元素化合物;塩化コバルト、酢酸コバルトなどの8〜10族元素化合物;沃化第一銅などの11族元素化合物;酸化亜鉛、酢酸亜鉛などの12族元素化合物;酸化アルミニウム(アルミナ)、フッ化アルミニウム、アルミノシリケート(珪酸アルミナ、カオリン、カオリナイト)などの13族元素化合物;酸化珪素(シリカ、シリカゲル)、石墨、カーボン、グラファイト、ガラスなどの14族元素化合物;カーナル石、カイナイト、雲母(マイカ、キンウンモ)、バイロース鉱などの天然鉱物の粒子が挙げられる。
【0195】
(1)〜(3)の化合物の配合量は脂環式炭化水素系共重合体と配合される化合物の組み合わせによって決まるが、一般に、配合量が多すぎれば、組成物のガラス転移温度や透明性が大きく低下し、光学材料として使用するのに不適である。また配合量が少なすぎれば、高温高湿下において成型物の白濁を生じる場合がある。配合量としては、脂環式炭化水素系共重合体100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.02〜5質量部、特に好ましくは0.05〜2質量部の割合で配合する。配合量が少なすぎる場合には高温高湿度環境下における白濁防止効果が得られず、配合量が多すぎる場合は成型品の耐熱性、透明性が低下する。
【0196】
《その他の配合剤》
本発明に係る樹脂組成物には、必要に応じて、その他の配合剤として、紫外線吸収剤、光安定剤、近赤外線吸収剤、染料や顔料などの着色剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、蛍光増白剤などを配合することができ、これらは単独で、あるいは2種以上混合して用いることができ、その配合量は本発明の目的を損ねない範囲で適宜選択される。
【実施例】
【0197】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
【0198】
〔光ピックアップ装置〕
光ピックアップ装置に用いられる光学素子として、対物レンズOBLとカップリングレンズCOLをプラスチックレンズとした。
【0199】
プラスチックレンズに用いられる樹脂組成物としては、環状オレフィン系重合体としてテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンとエチレンの共重合体(表1には、樹脂1と記載)を用い、これにHALSとしてビス−[2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル]セバシエートを1.0質量%添加し、これを約220℃で混練し、押し出し機でペレット化して樹脂組成物を作製した。このペレット化した樹脂組成物を用いて、インライン方式の射出成型機により、各光学素子に形成した。
【0200】
これらの光学素子と、第1光源として主波長405nmの青色LED、第2光源として主波長635nmの赤色LED及び第3光源として波長780nmの赤外LEDを有する図1に記載の光ピックアップ装置を作成した。
【0201】
〔光源照射工程の実施及び光ディスクドライブ装置の作製〕
得られた光ピックアップ装置の光源(405nmの青色LED)を以下のように照射させた後、光ディスク駆動装置とともに組み付けて光ディスクドライブ装置を作成した。
【0202】
(実施例1)
光ピックアップ装置の第1光源を、室温(20℃)環境下で0.8時間照射させた後、光ディスク駆動装置とともに組み付けて光ディスクドライブ装置を作製した。この際、光検出器による光量の経時変化はモニタしておらず、第2光源及び第3光源の照射は行わなかった。
【0203】
(実施例2)
光ピックアップ装置の第1光源を、室温(20℃)環境下で3時間照射させた以外は、実施例1と同様の方法で光ディスクドライブ装置を作製した。
【0204】
(実施例3)
光ピックアップ装置の第1光源を、室温(20℃)環境下で10時間照射させた以外は、実施例1と同様の方法で光ディスクドライブ装置を作製した。
【0205】
(実施例4)
光ピックアップ装置の第1光源を、室温(20℃)環境下で16時間照射させた以外は、実施例1と同様の方法で光ディスクドライブ装置を作製した。
【0206】
(実施例5)
光ピックアップ装置の第1光源を、室温(20℃)環境下で20時間照射させた以外は、実施例1と同様の方法で光ディスクドライブ装置を作製した。
【0207】
(比較例1)
光ピックアップ装置の光源を照射する工程を行わずに、光ディスク駆動装置とともに組み付けて光ディスクドライブ装置を作製した。
【0208】
(実施例6)
光ピックアップ装置の第1光源を、35℃環境下で照射させた以外は実施例2と同様の方法で光ディスクドライブ装置を作製した。
【0209】
(実施例7)
光ピックアップ装置の第1光源を、45℃環境下で照射させた以外は実施例6と同様の方法で光ディスクドライブ装置を作製した。
【0210】
(実施例8)
光ピックアップ装置の第1光源を、65℃環境下で照射させた以外は実施例6と同様の方法で光ディスクドライブ装置を作製した。
【0211】
(実施例9)
光ピックアップ装置の第1光源を照射させる際に、光ディスクの情報記録面が配置される位置に反射板を設置し、光検出器により検出光量をモニタしながら室温(20℃)で光源の照射を行った。光量が漸減した後漸増し始めた時点から2時間照射を続けた後、光ディスク駆動装置とともに組み付けて光ディスクドライブ装置を作成した。この際、第2光源及び第3光源は照射させなかった。
【0212】
(実施例10)
光ピックアップ装置の第1光源を照射させる際に、光ディスクの情報記録面が配置される位置に別途第2光検出器を設け、第2光検出器により検出光量をモニタしながら光源の照射を行った以外は実施例9と同様の方法で光ディスクドライブ装置を作成した。
【0213】
(実施例11)
光ピックアップ装置の第1光源を照射させる際に、光ディスクの情報記録面が配置される位置に反射板を設置し、光検出器により検出光量をモニタしながら光源の照射を行った。光量が漸減、漸増した後、光量の変化量が0.1(%/時)以下になるまで照射を続けた後光ディスク駆動装置とともに組み付けて光ディスクドライブ装置を作成した。この際、第2光源及び第3光源は照射させなかった。
【0214】
(実施例12)
光ピックアップ装置の第1光源を照射させる工程の後、第2光源及び第3光源をそれぞれ10時間ずつ照射させた以外は実施例2と同様の方法で光ディスクドライブ装置を作成した。
【0215】
(比較例2)
光ピックアップ装置の第1光源を照射させる工程を行わず、第2光源及び第3光源をそれぞれ10時間ずつ照射させた後、光ディスク駆動装置とともに組み付けて光ディスクドライブ装置を作成した。
【0216】
〔光ディスクドライブ装置の評価〕
得られた実施例1〜12及び比較例1〜2の光ディスクドライブ装置の光ディスクドライブ装置上にブルーレイディスク(BD)を設置し、第1光源を20時間連続照射させて光検出器による情報の読み取りの安定性についての評価を行った。
【0217】
A:第1光源を長時間照射させても光量の変化が発生せず、安定した読み取りを行うことができた
B:第1光源を長時間照射させた際、極軽微な光量の変化が発生したものの、読み取りへの影響は軽微であり、安定した読み取りを行うことができた
C:第1光源を長時間照射させた際、光量の変化が発生したものの、読み取りへの影響は軽微であり、安定した読み取りを行うことができた
D:第1光源を長時間照射させた際、光量の変化が発生し、読み取りでのエラーレートが少し増加した
E:第1光源を長時間照射させた際、光量の変化が発生し、読み取りでのエラーレートが許容できないほどに増加した
実用上は、A〜Cであれば問題なく使用が可能であるが、D〜Eの場合問題となる場合がある。結果を下記表1に示す。
【0218】
【表1】

【0219】
〔光ディスクドライブ装置の照射処理〕
第1光源の照射処理を行っていない光ピックアップ装置を光ディスク駆動装置とともに組み付けることで得られた光ディスクドライブ装置において、実施例1〜12における光ピックアップ装置への照射処理と同様の処理を行った後、光ディスクドライブ装置の安定性の評価を行ったところ、実施例1〜12と同様の効果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0220】
【図1】光ピックアップ装置の構成を概略的に示す上面図である。
【図2】光ピックアップ装置を矢印V方向から見た側面図である。
【符号の説明】
【0221】
OBJ 対物レンズ
COL カップリングレンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)波長390〜420nmの光束を出射する第1光源、少なくとも1つのプラスチック光学素子及び光ディスクの情報記録面からの反射光を検出する光検出器、とを有する光ピックアップ装置、及び、
b)光ディスクを回転駆動せしめる光ディスク駆動装置、とを有する光ディスクドライブ装置において、
前記光ディスクドライブ装置は、前記光ピックアップ装置の前記第1光源を照射させる工程の後に、前記光ディスク駆動装置と前記光ピックアップ装置を組みつける工程により製造されることを特徴とする光ディスクドライブ装置。
【請求項2】
前記第1光源を照射させる工程が1時間以上行われることを特徴とする請求項1に記載の光ディスクドライブ装置。
【請求項3】
前記第1光源を照射させる工程において、前記第1光源の照射は2時間以上16時間以下の間行われることを特徴とする請求項1に記載の光ディスクドライブ装置。
【請求項4】
前記プラスチック光学素子が、α−オレフィンと下記一般式(I)または(II)で表される環状オレフィンの共重合体とヒンダートアミン系耐光安定剤とを有する樹脂組成物を成型して得られた光学素子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光ディスクドライブ装置。
【化1】

〔式中、nは0または1であり、mは0または正の整数であり、kは0または1であり、R1〜R18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基を表す。〕
【化2】

〔式中、pおよびqはそれぞれ独立に、0または正の整数であり、rおよびsはそれぞれ独立に、0、1または2を表し、R21〜R39はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基またはアルコキシ基を表す。〕
【請求項5】
前記第1光源を照射させる工程で、前記第1光源からの光束の光量を継時的にモニタし、前記プラスチック光学素子を透過した前記第1光源からの光束の光量が漸減した後、漸増に転じてから、1時間以上照射されることを特徴とする請求項4に記載の光ディスクドライブ装置。
【請求項6】
前記第1光源を照射させる工程で、前記第1光源からの光束の光量を継時的にモニタし、前記プラスチック光学素子を透過した前記第1光源からの光束の光量が漸減した後、漸増に転じてから、透過光量の変化が0.1(%/時)以下になるまで前記第1光源が照射されることを特徴とする請求項4または5に記載の光ディスクドライブ装置。
【請求項7】
前記第1光源を照射させる工程が、前記光ピックアップ装置を30℃以上60℃以下の環境温度下に設置して行われることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光ディスクドライブ装置。
【請求項8】
前記第1光源を照射させる工程が、前記光ピックアップ装置を40℃以上50℃以下の環境温度下に設置して行われることを特徴とする請求項7に記載の光ディスクドライブ装置。
【請求項9】
前記光ピックアップ装置が、波長630〜660nmの光束を出射する第2光源を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の光ディスクドライブ装置。
【請求項10】
前記光ピックアップ装置が、波長760〜800nmの光束を出射する第3光源を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の光ディスクドライブ装置。
【請求項11】
前記光ディスク駆動装置と前記光ピックアップ装置を組みつける工程の前には、前記第2光源を照射させる工程は行われないことを特徴とする請求項9に記載の光ディスクドライブ装置。
【請求項12】
前記前記光ディスク駆動装置と前記光ピックアップ装置を組みつける工程の前には、前記第3光源を照射させる工程は行われないことを特徴とする請求項10に記載の光ディスクドライブ装置。
【請求項13】
波長390〜420nmの光束を出射する第1光源、少なくとも1つのプラスチック光学素子及び光ディスクの情報記録面からの反射光を検出する光検出器、とを有する光ピックアップ装置の処理方法であって、
前記光ピックアップ装置が、光ディスクドライブ装置に組み込まれる前に、前記第1光源を照射させる工程を行うことを特徴とする光ピックアップ装置の処理方法。
【請求項14】
前記第1光源を照射させる工程が1時間以上行われることを特徴とする請求項13に記載の光ピックアップ装置の処理方法。
【請求項15】
前記第1光源を照射させる工程において、前記第1光源の照射は2時間以上16時間以下の間行われることを特徴とする請求項14に記載の光ピックアップ装置の処理方法。
【請求項16】
前記プラスチック光学素子が、α−オレフィンと下記一般式(I)または(II)で表される環状オレフィンの共重合体とヒンダートアミン系耐光安定剤とを有する樹脂組成物を成型して得られた光学素子であることを特徴とする請求項13〜15のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置の処理方法。
【化3】

〔式中、nは0または1であり、mは0または正の整数であり、kは0または1であり、R1〜R18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基を表す。〕
【化4】

〔式中、pおよびqはそれぞれ独立に、0または正の整数であり、rおよびsはそれぞれ独立に、0、1または2を表し、R21〜R39はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基またはアルコキシ基を表す。〕
【請求項17】
前記第1光源を照射させる工程において、前記光ピックアップ装置に対して光ディスク若しくはその均等物を配置し、前記光ディスクの情報記録面若しくはその均等物の反射面により反射された前記第1光源からの光束を前記光検出器により経時的にモニタすることを特徴とする請求項13〜16のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置の処理方法。
【請求項18】
前記第1光源を照射させる工程において、前記光ピックアップ装置に対して光ディスクが配置されるべき位置に、前記第1光源からの光束を検出できる第2光検出器を配置し、前記第2光検出器により、前記第1光源からの光束を経時的にモニタすることを特徴とする請求項13〜16のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置の処理方法。
【請求項19】
前記第1光源を照射させる工程で、前記光検出器で検出される光束の光量が漸減した後、漸増に転じてから、1時間以上照射されることを特徴とする請求項17に記載の光ピックアップ装置の処理方法。
【請求項20】
前記第1光源を照射させる工程で、前記光検出器で検出される光束の光量が漸減した後、漸増に転じてから、前記光検出器で検出される光束の光量の変化が0.1(%/時)以下になるまで前記第1光源が照射されることを特徴とする請求項17に記載の光ピックアップ装置の処理方法。
【請求項21】
前記第1光源を照射させる工程で、前記第2光検出器で検出される光束の光量が漸減した後、漸増に転じてから、1時間以上照射されることを特徴とする請求項18に記載の光ピックアップ装置の処理方法。
【請求項22】
前記第1光源を照射させる工程で、前記第2光検出器で検出される光束の光量が漸減した後、漸増に転じてから、前記第2光検出器で検出される光束の光量の変化が0.1(%/時)以下になるまで前記第1光源が照射されることを特徴とする請求項18に記載の光ピックアップ装置の処理方法。
【請求項23】
前記第1光源を照射させる工程が、前記光ピックアップ装置を30℃以上60℃以下の環境温度下に設置して行われることを特徴とする請求項13〜22のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置の処理方法。
【請求項24】
前記第1光源を照射させる工程が、前記光ピックアップ装置を40℃以上50℃以下の環境温度下に設置して行われることを特徴とする請求項23に記載の光ピックアップ装置の処理方法。
【請求項25】
前記光ピックアップ装置の処理方法において、複数の前記光ピックアップ装置が電気的に接続された状態で、該複数の光ピックアップ装置のそれぞれの第1光源を照射させることにより、前記第1光源を照射させる工程が行われることを特徴とする請求項13〜24のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置の処理方法。
【請求項26】
前記接続された複数の光ピックアップ装置のうち、少なくとも1台の光ピックアップ装置に対して、光ディスク若しくはその均等物を配置し、前記光ディスクの情報記録面若しくはその均等物の反射面により反射された前記第1光源からの光束を前記光検出器により経時的にモニタすることを特徴とする請求項25に記載の光ピックアップ装置の処理方法。
【請求項27】
前記接続された複数の光ピックアップ装置のうち、少なくとも1台の光ピックアップ装置に対して、光ディスクが配置されるべき位置に、前記第1光源からの光束を検出できる第2光検出器を配置し、前記第2光検出器により、前記第1光源からの光束を経時的にモニタすることを特徴とする請求項25に記載の光ピックアップ装置の処理方法。
【請求項28】
前記光ピックアップ装置が、波長630〜660nmの光束を出射する第2光源を有することを特徴とする請求項13〜27のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置の処理方法。
【請求項29】
前記光ピックアップ装置が、波長760〜800nmの光束を出射する第3光源を有することを特徴とする請求項13〜28のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置の処理方法。
【請求項30】
請求項13〜29のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置の処理方法が施された光ピックアップ装置と光ディスク駆動装置とを組み付けることを特徴とする光ディスクドライブ装置の製造方法。
【請求項31】
a)波長390〜420nmの光束を出射する第1光源、少なくとも1つのプラスチック光学素子及び光ディスクの情報記録面からの反射光を検出する光検出器、とを有する光ピックアップ装置、及び、
b)光ディスクを回転駆動せしめる光ディスク駆動装置、とを有する光ディスクドライブ装置の処理方法であって、
前記第1光源を照射させる工程を有することを特徴とする光ディスクドライブ装置の処理方法。
【請求項32】
前記第1光源を照射させる工程が1時間以上行われることを特徴とする請求項31に記載の光ディスクドライブ装置の処理方法。
【請求項33】
前記第1光源を照射させる工程において、前記第1光源の照射は2時間以上16時間以下の間行われることを特徴とする請求項32に記載の光ディスクドライブ装置の処理方法。
【請求項34】
前記プラスチック光学素子が、α−オレフィンと下記一般式(I)または(II)で表される環状オレフィンの共重合体とヒンダートアミン系耐光安定剤とを有する樹脂組成物を成型して得られた光学素子であることを特徴とする請求項31〜33のいずれか1項に記載の光ディスクドライブ装置の処理方法。
【化5】

〔式中、nは0または1であり、mは0または正の整数であり、kは0または1であり、R1〜R18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基を表す。〕
【化6】

〔式中、pおよびqはそれぞれ独立に、0または正の整数であり、rおよびsはそれぞれ独立に、0、1または2を表し、R21〜R39はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基またはアルコキシ基を表す。〕
【請求項35】
前記第1光源を照射させる工程において、前記光ディスク駆動装置上に、光ディスク若しくはその均等物を配置し、前記光ディスクの情報記録面若しくはその均等物の反射面により反射された前記第1光源からの光束を前記光検出器により経時的にモニタすることを特徴とする請求項31〜34のいずれか1項に記載の光ディスクドライブ装置の処理方法。
【請求項36】
前記第1光源を照射させる工程で、前記光検出器で検出される光束の光量が漸減した後、漸増に転じてから、1時間以上照射されることを特徴とする請求項35に記載の光ディスクドライブ装置の処理方法。
【請求項37】
前記第1光源を照射させる工程で、前記光検出器で検出される光束の光量が漸減した後、漸増に転じてから、前記光検出器で検出される光束の光量の変化が0.1(%/時)以下になるまで前記第1光源が照射されることを特徴とする請求項35に記載の光ディスクドライブ装置の処理方法。
【請求項38】
前記第1光源を照射させる工程が、前記ディスクドライブ装置を30℃以上60℃以下の環境温度下に設置して行われることを特徴とする請求項31〜37のいずれか1項に記載の光ディスクドライブ装置の処理方法。
【請求項39】
前記第1光源を照射させる工程が、前記光ディスクドライブ装置を40℃以上50℃以下の環境温度下に設置して行われることを特徴とする請求項39に記載の光ディスクドライブ装置の処理方法。
【請求項40】
前記光ディスクドライブ装置の処理方法において、複数の前記ディスクドライブ装置が電気的に接続された状態で、該複数の光ディスクドライブ装置のそれぞれの第1光源を照射させることにより、前記第1光源を照射させる工程が行われることを特徴とする請求項31〜39のいずれか1項に記載の光ディスクドライブ装置の処理方法。
【請求項41】
前記接続された複数の光ディスクドライブ装置のうち、少なくとも1台の光ディスクドライブ装置の光ディスク駆動装置上に、光ディスク若しくはその均等物を配置し、前記光ディスクの情報記録面若しくはその均等物の反射面により反射された前記第1光源からの光束を前記光検出器により経時的にモニタすることを特徴とする請求項40に記載の光ディスクドライブ装置の処理方法。
【請求項42】
前記光ディスクドライブ装置の前記光ピックアップ装置が、波長630〜660nmの光束を出射する第2光源を有することを特徴とする請求項31〜41のいずれか1項に記載の光ディスクドライブ装置の処理方法。
【請求項43】
前記光ディスクドライブ装置の前記光ピックアップ装置が、波長760〜800nmの光束を出射する第3光源を有することを特徴とする請求項31〜42のいずれか1項に記載の光ディスクドライブ装置の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−122799(P2007−122799A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−312490(P2005−312490)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】