説明

光ディスク再生装置

【課題】 光ディスクに記録されたオーディオデータを再生する光ディスク再生装置において、再生開始後に再生するオーディオ信号の音量が小さい場合でも再生開始からユーザの希望する音量で自動的に聴取することができると共に、スピーカの破損を防止することができる光ディスク再生装置を提供する。
【解決手段】 再生指示部と、再生部と、再生開始位置記憶部と、ダイヤルの回転によりパルス信号を出力するロータリーエンコーダと、ロータリーエンコーダが出力したパルス信号に基づいてオーディオ信号を増幅するオーディオ信号増幅部と、再生部が再生を開始してから予め定めた第1の時間内に増幅度が増加しその後増幅度が変化しなくなってから予め定めた第2の時間経過したとき増幅度が予め定めた値以上増加している場合再生開始位置記憶部に記憶した位置からオーディオ信号の再生を再開するよう再生部を制御する制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクに記録されたオーディオデータを再生する光ディスク再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光ディスク再生装置が光ディスクを再生する場合、光ディスクに記録されたオーディオデータの信号レベルが異なると、オーディオ信号増幅部の増幅度が一定であってもスピーカから出力される楽音の音量が異なる。このため、従来の光ディスク再生装置のユーザは、光ディスクを装着する度に、音量ボリュウムを回転させることによりロータリーエンコーダを回転させ、オーディオ信号増幅部の増幅度を好みの音量に調整する必要がある。
【0003】
このような異なる光ディスク毎の音量調整作業を簡単にすることができる光ディスク再生装置として、個々の光ディスクの固有情報を読み取り、当該光ディスクを再生した際にユーザにより設定された適正な再生レベルの情報を固有情報と共に内蔵した記憶部に記憶し、固有情報が記憶されている光ディスクを再度再生する場合、その固有情報と共に記憶した適正な再生レベル情報に基づいて再生時の音量を自動的に最適なレベルで出力する光ディスク再生装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
このような光ディスク再生装置によれば、固有情報が記憶されている光ディスクを再生する場合、ユーザが音量調整をしなくても自動的に音量が調整されることから、光ディスクを光ディスク再生装置に装着する度にユーザが音量調整をする必要がなくなる。
【0005】
【特許文献1】特開2001−57027号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された光ディスク再生装置は、それぞれの光ディスク毎に、音量の設定を行い、設定した内容を再生レベル情報として固有情報と共に光ディスク再生装置の記憶部に記憶させておく必要がある。新たな光ディスクを再生する場合は、記憶部に新たな光ディスクについての固有情報及び再生レベル情報が記憶されていないため、ユーザが自らオーディオ信号の音量を調節する操作を行い、再生レベル情報を固有情報と共に記憶部に記憶させる必要がある。このような光ディスク再生装置では、例えば、一度しか鑑賞しないと考えられる映画が記録された光ディスクを再生する場合、音量の設定を行い、この設定した内容を再生レベル情報として固有情報と共に記憶させる作業が煩わしい。
【0007】
また、特許文献1に開示された光ディスク再生装置により、新たな光ディスクの再生を行う場合、光ディスクの再生前に、出力されるオーディオ信号の音量が小さい音量に設定されていると、ユーザは、再生が開始され、オーディオ信号が楽音として出力されてからオーディオ信号の音量が小さいと認識し、音量ボリュウムを回転させることによりロータリーエンコーダを回転させてオーディオ信号の音量を増加させる作業を行なう。このとき、ユーザは、再生が開始されてからロータリーエンコーダを回動させ、好みの音量に調節するまでの間、出力される楽音の音量が小さい状態のまま再生が経過していくことになる。例えば、特許文献1に開示された光ディスク再生装置によって映画が記録された新たな光ディスクを再生する場合、再生開始直後に出力される楽音の音量が小さいとユーザが認識しても、その認識から音量ボリュウムを回動させて音量を調整するまでの間は、その映画の再生場面は小さい音量のまま再生されることになる。このため、再生開始の場面からこの映画をユーザの希望する臨場感のある大きい音量で聴取することができなくなる。
【0008】
また、特許文献1に開示された光ディスク再生装置により、再生開始の場面からこの映画をユーザの希望する臨場感のある音量で聴取することができるように、例えば、予め、出力させるオーディオ信号の音量を大きめに設定しておけば、再生開始の場面から再生される映画をユーザの希望する臨場感のある大きな音量で聴取することができる。しかしながら、新たな光ディスクに記録されているオーディオ信号の信号レベルが高く設定されていた場合、出力させるオーディオ信号の音量を予め大きめに設定しておいてしまうと、スピーカから出力される楽音がスピーカの出力可能な音量より大きいオーディオ信号が出力されてしまい、スピーカが破損してしまう虞がある。
【0009】
本発明は、光ディスクに記録されたオーディオデータを再生する光ディスク再生装置において、再生開始後に再生するオーディオ信号の音量が小さい場合でも再生開始からユーザの希望する音量で自動的に聴取することができると共に、スピーカの破損を防止することができる光ディスク再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願の請求項1記載の発明は、光ディスクに記録されたオーディオデータを再生する光ディスク再生装置において、光ディスクに記録されたオーディオデータの再生を指示する再生指示信号を出力する再生指示部と、前記再生指示部からの再生指示信号に基づいて光ディスクに記録されたオーディオデータを再生する再生部と、前記再生部が再生を開始した位置を記憶する再生開始位置記憶部と、ダイヤルの回転によりパルス信号を出力するロータリーエンコーダと、前記ロータリーエンコーダが出力したパルス信号に基づいて前記再生部が再生したオーディオ信号を増幅するオーディオ信号増幅部と、時間情報を出力する時計部と、前記時計部が出力する時間情報に基づいて前記再生部が再生を開始してから予め定めた第1の時間内に前記オーディオ信号増幅部の増幅度が増加しその後前記オーディオ信号増幅部の増幅度が変化しなくなった時点から予め定めた第2の時間経過したとき前記オーディオ信号増幅部の増幅度が予め定めた値以上増加している場合前記再生開始位置記憶部に記憶した位置からオーディオ信号の再生を再開するよう前記再生部を制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光ディスクに記録されたオーディオデータを再生する光ディスク再生装置において、再生開始後に再生するオーディオ信号の音量が小さい場合でも再生開始からユーザの希望する音量で自動的に聴取することができると共に、スピーカの破損を防止することができる光ディスク再生装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施例を図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施例である光ディスク再生装置の構成を示すブロック図である。
光ディスク再生装置1は、再生部2、オーディオ信号増幅部3、出力部4、制御部5、操作部6、表示部7、時計部8、設定記憶部9及び再生開始位置記憶部10を備える。出力部4は、スピーカ30に接続されている。
【0014】
操作部6は、光ディスク20の再生の開始を指示する再生指示信号を出力する。また、操作部6は、光ディスク20の再生の停止を指示する再生停止指示信号や、光ディスク20に記録された複数のトラックから任意のトラックを選択して再生する選択指示信号を出力する。制御部5は、操作部6から再生指示信号が出力されると、光ディスク20に記録されたオーディオデータの再生を開始するよう再生部2を制御する。再生部2は、制御部5の制御によりCD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)等の光ディスク20に記録されたオーディオデータを再生し、オーディオ信号を出力する。
【0015】
再生開始位置記憶部10は、光ディスク20に記録されたオーディオデータを再生したときの再生開始位置を記憶する。
【0016】
操作部6は、ロータリーエンコーダ601を備える。ロータリーエンコーダ601は、時計回り及び反時計周りに回転可能な図示しないダイヤルを備え、このダイヤルの回転に応じてロータリーエンコーダ3内部のパルス発振器がパルス信号を出力する。ロータリーエンコーダ601は、ダイヤルが時計回りに予め定めた角度、例えば時計回りに15度回転する毎に第1のパルス信号を出力し、ダイヤルが反時計回りに予め定めた角度、例えば反時計回りに15度回転する毎に第2のパルス信号を出力する。第1のパルス信号及び第2のパルス信号は、電圧0Vを基準にして、第1のパルス信号は+(正)のパルス波であり、第2のパルス信号は−(負)のパルス波である。
【0017】
表示部7は、操作部6からの再生指示信号、再生停止指示信号及び選択指示信号に応じて、再生状態を示す情報や選択したトラック番号を示す情報を表示する。
【0018】
制御部5は、オーディオ信号増幅部3が出力するオーディオ信号の出力レベルを制御する。制御部5は、オーディオ信号増幅部3が出力するオーディオ信号の出力レベルをロータリーエンコーダ601が出力する第1のパルス信号毎に予め定めた増幅度、例えば、第1のパルス信号毎に増幅度を1dB増加させるよう制御する。また、制御部5は、オーディオ信号増幅部3が出力するオーディオ信号の出力レベルをロータリーエンコーダ601が出力する第2のパルス信号毎に予め定めた増幅度、例えば、第2のパルス信号毎に増幅度を1dB減衰させるよう制御する。
【0019】
オーディオ信号増幅部3は、再生部2から出力されたオーディオ信号を制御部5により指示された出力レベルに増幅し、出力部4に出力する。出力部4は、オーディオ信号増幅部3から出力されたオーディオ信号をスピーカ30へ出力する。スピーカ30は、出力部4から出力されたオーディオ信号を変換し楽音として出力する。
【0020】
時計部8は、時刻の情報を出力する。設定部602は、図示しない時間設定キーを備え、ユーザの操作により任意の時間が設定されると、この設定された時間に応じた設定時間指示信号を出力する。設定記憶部9は、設定部602から出力された設定時間指示信号に基づいて設定時間を記憶する。
【0021】
制御部5は、時計部8が出力する時刻の情報に基づいて、再生部2が再生を開始してから設定記憶部9に記憶された設定時間以内にオーディオ信号増幅部3の増幅度が増加した場合、その後オーディオ信号増幅部3の増幅度の変化がなくなってから予め定めた時間が経過したときにオーディオ信号増幅部3の増幅度が再生を開始したときの増幅度から予め定めた値以上増加しているとき、再生開始位置記憶部10に記憶されている再生開始位置からオーディオ信号の再生を再開するよう再生部2を制御する。再生部2は、制御部5の制御に応じて、再生開始位置記憶部10に記憶された再生位置から光ディスク20に記録されたオーディオデータの再生を再開する。
【0022】
以上により、光ディスク再生装置1は、光ディスク20に記録されたオーディオデータを再生し、スピーカ30へ出力する。
【0023】
次に、光ディスク再生装置1の再生動作について説明する。
本実施例において、設定部602の設定キーは20秒間に設定されているものとする。
図2は、本実施例の光ディスク再生装置の再生動作を説明するフローチャート図である。
【0024】
図2に示すように、先ず、操作部6から再生指示信号が出力されると、再生部2は、制御部5の制御により、光ディスク20に記録されたオーディオデータの再生を開始する(ステップ1)。
【0025】
再生開始位置記憶部10は、光ディスク20の再生開始位置を記憶する(ステップ2)。
次に、制御部5は、再生部2によるオーディオ信号の再生が開始されてから設定記憶部9に設定時間として記憶された20秒以内にロータリーエンコーダ601からオーディオ信号増幅部3の増幅度を増加させる第1のパルス信号がロータリーエンコーダ601から出力されたか否かを判別する(ステップ3)。
【0026】
再生開始から20秒以内にロータリーエンコーダ601からオーディオ信号増幅部3の増幅度を増加させる第1のパルス信号がロータリーエンコーダ601から出力された場合、制御部5は、オーディオ信号の出力レベルを増加するようオーディオ信号増幅部3を制御する(ステップ4)。
再生部2によるオーディオ信号の再生が開始されてから20秒以内にオーディオ信号増幅部3の増幅度が増加していない場合は、この処理を終了する。
【0027】
ステップ3において、再生部2によるオーディオ信号の再生が開始されてから20秒以内にオーディオ信号増幅部3の増幅度が増加した場合、制御部5は、時計部8からの時刻情報に基づいて、時間を計測するタイマーをスタートする(ステップ5)。
【0028】
次に、制御部5は、オーディオ信号増幅部3の増幅度を増加させる第1のパルス信号がロータリーエンコーダ601から出力されたか否かを判別する(ステップ6)。
【0029】
ステップ6において、制御部5がオーディオ信号増幅部3の増幅度を増加させる第1のパルス信号がロータリーエンコーダ601から出力されたと判別した場合、制御部5は、オーディオ信号の出力レベルを増加するようオーディオ信号増幅部3を制御し(ステップ7)、ステップ5へ戻る。
【0030】
ステップ6において、制御部5がオーディオ信号増幅部3の増幅度を増加させる第1のパルス信号がロータリーエンコーダ601から出力されないと判別した場合、制御部5は、タイマーをスタートしてから予め定めた時間、例えば、3秒以内であるか否かを判別する(ステップ8)。
【0031】
ステップ8において、タイマーをスタートしてから3秒以内である場合は、ステップ6へ戻る。
ステップ8において、タイマーをスタートしてから3秒を経過した場合、制御部5は、オーディオ信号増幅部3の増幅度が再生を開始したときの増幅度から予め定めた値、例えば、5dB以上増加させる第1のパルス信号がロータリーエンコーダ601から出力されているか否かを判別する(ステップ9)。
【0032】
ステップ9において、オーディオ信号増幅部3の増幅度が再生を開始したときの増幅度から5dB以上増加させる第1のパルス信号がロータリーエンコーダ601から出力されていない場合は、この処理を終了する。
【0033】
ステップ9において、オーディオ信号増幅部3の増幅度が再生を開始したときの増幅度から5dB以上増加させる第1のパルス信号がロータリーエンコーダ601から出力されている場合、制御部5は、再生開始位置記憶部10に記憶されている再生開始位置からオーディオ信号の再生を再開するよう再生部2を制御する。再生部2は、制御部5の制御に応じて、再生開始位置記憶部10に記憶された再生位置から光ディスク20に記録されているオーディオデータの再生を再開する(ステップ10)。
【0034】
一般に、出力される楽音の音量が小さい場合、ユーザは映画の本編の再生が開始されてから約10秒以内に音量を増加させる。一方、映画が記録されている光ディスクを再生する場合、再生を開始してからの約10秒間は、映画会社のテロップが再生され、その後に映画の本編が開始される。このため、光ディスク20の再生を開始してから約10秒間の映画のテロップが終了した後、本編が開始されてから約10秒間、即ち、再生を開始してから約20秒以内にユーザがロータリーエンコーダを回動させて音量を増加させた場合は、出力される楽音の音量が小さいとユーザが認識していると推測することができる。
【0035】
本実施例の光ディスク再生装置1によって光ディスク20を再生させる場合、予め、ロータリーエンコーダ601を回動させて、オーディオ信号増幅部3によるオーディオ信号の増幅度を最小にしておき、光ディスク20の再生が開始されてから20秒以内にユーザがロータリーエンコーダ601を回動し、オーディオ信号の増幅度を増加させた場合、オーディオ信号増幅部3の増幅度の変化がなくなってから3秒経過したときにオーディオ信号増幅部3の増幅度が再生を開始したときの増幅度から5dB以上増加している場合、再生部2による再生が自動的に再生開始位置から再開される。このことにより、例えば、光ディスク再生装置によって新たな光ディスクに記録された映画を鑑賞する場合、ユーザがオーディオ信号の音量を小さく設定していた場合、光ディスク20の再生を開始してから20秒以内にロータリーエンコーダを回動させ、ロータリーエンコーダの回動を停止してから3秒経過したときにオーディオ信号増幅部3の増幅度が5dB以上増加している場合、再生を開始した位置から光ディスク20の再生が再開されるので、ユーザの希望する音量で再生開始の場面から映画を聴取することができる。
【0036】
本実施例の光ディスク再生装置は、例えば、映画が記録された新たな光ディスクを再生する場合、再生開始から20秒以内に出力される楽音の音量が小さいとユーザが認識し、ロータリーエンコーダを回動させて音量を増加させ、ロータリーエンコーダの回動を停止してから3秒経過したときにオーディオ信号増幅部3の増幅度が5dB以上増加している場合、再生開始位置からの再生が自動的に再開されるので、音量を調整するまでの間に、その映画の再生場面が小さい音量のまま経過してしまうことを防止し、この映画をユーザの希望する臨場感のある音量で再生開始の場面から聴取することができる。
【0037】
また、ユーザがオーディオ信号の音量を小さく設定しておいても、再生を開始してから増幅度を5dB以上増加すれば再生開始位置から再生が再開されるので、再生開始の場面から再生される映画をユーザの希望する臨場感のある音量で聴取することができるように、予め、出力させるオーディオ信号の音量を大きめに設定したために、スピーカから出力される楽音がスピーカの出力可能な音量より大きいオーディオ信号が出力され、スピーカが破損してしまうことを防止することができる。
【0038】
ユーザが光ディスクを再生させている最中にオーディオ信号増幅部3により増幅するオーディオ信号の増幅度を5dB未満の範囲で増加させる場合は、出力される音量の変化が小さいことから、それまで出力されている楽音の音量は小さくはないが更に臨場感のある音量で出力したいと希望し、音量を微調整する場合であると推測できる。一方、オーディオ信号増幅部3により増幅するオーディオ信号の増幅度を5dB以上増加させる場合は、それまで出力されていた楽音の音量が小さいため、再生を再開したい場合であると推測できる。
【0039】
本実施例の光ディスク再生装置1は、光ディスク20の再生を開始してから、オーディオ信号増幅部3の増幅度の増加量が5dB未満である場合及びオーディオ信号増幅部3の増幅度を減衰させた場合、つまり、出力させるオーディオ信号の音量を5dB以下の範囲で微調整した場合やオーディオ信号の音量を小さくした場合、再生開始位置からの再生を再開せず、そのままの再生を継続する。これにより、例えば、音量を微調整する以前の楽音の音量は小さくはないが、更に臨場感のある音量に微調整したい場合、ユーザが希望していないのにも拘らず、音量を増加したために光ディスク20の再生が再生開始位置に戻されてしまうことを防止することができる。
【0040】
ユーザが光ディスクを再生させながらロータリーエンコーダを少しずつ回動させて音量を微調整させる場合、ロータリーエンコーダが停止してから3秒以内のときは、音量調整の最中であり、更にロータリーエンコーダの回動を再開させる可能性があると推測できる。一方、ロータリーエンコーダが停止してから3秒経過したときは、音量の調整が終了した場合であると推測できる。
【0041】
本実施例の光ディスク再生装置1は、再生開始から20秒以内にオーディオ信号増幅部3の増幅度を増加させ、増幅度が変化しなくなってから3秒経過したときにオーディオ信号増幅部3の増幅度が5dB以上増加している場合、再生開始位置からの再生を再開する。これにより、例えば、光ディスク20の再生を開始してからユーザがロータリーエンコーダ601を回動させ、オーディオ信号増幅部3の増幅度を5dB以上増加させた後、更に好みの音量に微調整したいと考えているのにも拘らず、オーディオ信号増幅部3の増幅度の増加量が5dB以上となった直後に再生開始位置に戻って再生されてしまい、ユーザが音量を微調整できない状態で再生が再開されてしまうことを防止することができる。
【0042】
本実施例の光ディスク再生装置1は、設定部602により、光ディスク20の再生が開始されてから増幅度の増加による再生の再開が有効となるまでの時間を設定することができる。これにより、例えば、設定部602による設定を20秒以内に設定しておけば、再生開始から数分が経過した後に、ユーザが更に迫力のある音量にしたいと希望し、オーディオ信号の増幅度を5dB以上増加させたとしても、それまで再生していた音楽や映画が再生開始位置に戻って再生されてしまうことを防止することができる。また、スローテンポのクラッシック音楽を聴取する場合等、聴取する音楽を好みの音量に微調整するのに多くの時間を要する場合は、設定部602の設定時間を30秒程度に設定し、アップテンポのポップス音楽を聴取する場合等、聴取する音楽を短時間で好みの音量に調節できる場合は、設定部602の設定時間を5秒程度に設定しておくことにより、聴取する音楽ジャンルに応じてユーザの好みの音量に調節することが可能となると共に、ユーザが希望していないのにも拘らず不用意に再生開始位置に戻ってしまうことを防止することができる。
【0043】
本実施例の光ディスク再生装置1は、ロータリーエンコーダを回転させることによってパルス信号を出力する構成としたが、ロータリーエンコーダの代わりに操作スイッチを備え、当該操作スイッチを押圧する毎にパルス信号を出力する構成としても良い。
【0044】
本実施例の光ディスク再生装置1は、再生部2が再生を開始してから設定記憶部9に記憶された設定時間以内にオーディオ信号増幅部3の増幅度が5dB以上増加した場合、再生開始位置記憶部10に記憶されている再生開始位置からオーディオ信号の再生を再開する構成としたが、再生を再開させる条件となる増幅度の増加量を設定することができる増加量設定部を備え、設定記憶部9に記憶された設定時間以内にこの増加量設定部によって設定された増幅度以上、オーディオ信号増幅部3の増幅度が増加した場合、オーディオ信号の再生を再開する構成としても良い。これにより、頻繁に再生させる光ディスク20の音楽ジャンルや映画ジャンルの出力レベルの違いに応じて、再生を再開させる条件となる増幅度の増加量をユーザが任意に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施例である光ディスク再生装置の構成を示すブロック図。
【図2】本実施例の光ディスク再生装置の再生動作を説明するフローチャート図。
【符号の説明】
【0046】
1 光ディスク再生装置、2 再生部、3 オーディオ信号増幅部、4 出力部、
5 制御部、6 操作部、601 ロータリーエンコーダ、602 設定部、
7 表示部、8 時計部、9 設定記憶部、10 再生開始位置記憶部、
20 光ディスク、30 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクに記録されたオーディオデータを再生する光ディスク再生装置において、
光ディスクに記録されたオーディオデータの再生を指示する再生指示信号を出力する再生指示部と、前記再生指示部からの再生指示信号に基づいて光ディスクに記録されたオーディオデータを再生する再生部と、前記再生部が再生を開始した位置を記憶する再生開始位置記憶部と、ダイヤルの回転によりパルス信号を出力するロータリーエンコーダと、前記ロータリーエンコーダが出力したパルス信号に基づいて前記再生部が再生したオーディオ信号を増幅するオーディオ信号増幅部と、時間情報を出力する時計部と、前記時計部が出力する時間情報に基づいて前記再生部が再生を開始してから予め定めた第1の時間内に前記オーディオ信号増幅部の増幅度が増加しその後前記オーディオ信号増幅部の増幅度が変化しなくなった時点から予め定めた第2の時間経過したとき前記オーディオ信号増幅部の増幅度が予め定めた値以上増加している場合前記再生開始位置記憶部に記憶した位置からオーディオ信号の再生を再開するよう前記再生部を制御する制御部とを備えることを特徴とする光ディスク再生装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−85747(P2006−85747A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−266316(P2004−266316)
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【出願人】(301066006)株式会社デノン (61)
【Fターム(参考)】