説明

光ディスク再生装置

【課題】偏荷重を有する光ディスクを再生させた場合でも光ディスクに記録されたデータを正確に再生することができる光ディスク再生装置を提供する。
【解決手段】筐体と、ローダ駆動手段と、前方に突出するピンを備え光ディスクを再生する再生部と、再生部の後方部分の左側面及び右側面からそれぞれ水平方向に突出する軸と、軸を軸支する軸受けと、ピン605を挿入しピンが上下方向に移動可能な長孔部111を備える保持部11と、ピンを挿入する孔183を備えると共に突出するボス181を備えピンの上下方向の移動に伴い上昇または降下する昇降部18と、ピンを上方に押圧する押圧手段19と、回動可能に成され昇降部のボスを挿入する溝部173を備えるスパイラルカム17と、スパイラルカムを時計回り方向または反時計回り方向に回転させるカム駆動部とを備え、保持部の長孔部は、上端部分に傾斜部112を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクに記録されているデータを再生する光ディスク再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光ディスク再生装置として、光ディスクを載置したローダ部を筐体の内部に移動させ、筐体内部に備えるターンテーブルにより当該光ディスクを回転させることによって、光ディスクに記録されたデータを再生するディスクローディング機構を有する光ディスク再生装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に開示された光ディスク再生装置は、光ディスクを回転させるターンテーブル及び光ディスクに記録されたデータを再生する光ピックアップ等を備えた再生部(特許文献1ではトラバース系27)を備える。この再生部は、一端が筐体本体に軸支され、他端にピン(特許文献1ではピン部28)を備える。このピンは、スライド部(特許文献1ではスライドレバーA18)に備えた溝部(特許文献1ではカム溝23)に係合し、当該スライド部がスライドすることによって昇降する。これにより、再生部は、筐体に軸支された一端部分を軸として上下に昇降可能となっている。
【0004】
前述したように、特許文献1に開示された光ディスク再生装置は、先ず、ローダ部が光ディスクを筐体内に移動させ、次に、筐体内に移動された光ディスクの下方から筐体に一端が軸支された再生部が上昇して再生部に備えるターンテーブルが光ディスクを保持した後、当該ターンテーブルが光ディスクを回転させると共に光ピックアップが光ディスクに記録されたデータを読み取ることによって、光ディスクに記録されたデータを再生する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−251481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されているような従来の光ディスク再生装置は、通常、再生部の一端の左右側面からそれぞれ水平方向に軸が突出し、この軸を筐体に固定された軸受けが軸支することによって再生部の一端を軸支し、再生部の他端に備えるピンを上下方向に開口した溝に挿入した状態で当該ピンを昇降させる構成となっている。このため、再生部の他端に備えるピンを昇降させる部分において、温度変化によって溝に挿入されたピンが膨張して外径が大きくなると、当該ピンの外周部分が溝の内壁をスムーズに移動できなくなり、当該再生部がスムーズに昇降できなくなってしまうため、このピンの外周と溝の内周との間に予め所定の隙間を設けておくことが必要となる。
【0007】
このように、従来の光ディスク再生装置は、再生部を昇降させるためのピンの外周と溝の内周との間に隙間が生じていることによって、筐体と再生部との間には左右方向及び上下方向にガタが生じた状態となる。このため、例えば、偏荷重を有する光ディスクをターンテーブルによって回転させた場合、光ディスクの有する偏荷重によって当該光ディスクが水平方向又は上下方向に振動する。このとき、筐体と再生部との間にガタが生じていることにより、光ディスクから発生した振動が再生部に備える光ピックアップにも伝達してしまい、光ディスクに記録されているデータを光ピックアップが正確に読み取ることができなくなる。また、光ディスクから発生した振動によって再生部が常に振動している状態が長時間に亘ると、この断続的な振動によって再生部に備える光ピックアップや他の電子部品が破損してしまう虞がある。
【0008】
本発明は、再生部の一端に備える軸を軸受けにより軸支し、他端に備えるピンを溝部により昇降することによって光ディスクに記録されたデータを再生する光ディスク再生装置において、偏荷重を有する光ディスクを再生させた場合でも光ディスクに記録されたデータを正確に再生することができる光ディスク再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の請求項1記載の発明は、筐体と、前記筐体の前面に開口する開口部と、光ディスクを載置するディスク載置部を備えるローダ部を備え前記開口部を介して当該ローダ部を前記筐体の外部から前記筐体の内部に移動させるローダ駆動手段と、前面に前方に突出するピンを備え前記ローダ駆動手段によって前記筐体の内部に移動された光ディスクに記録されたデータを再生する再生部と、前記再生部の後方部分の左側面及び右側面からそれぞれ水平方向に突出する軸と、凹部を備え前記軸を当該凹部に挿入することによって前記軸を軸支する軸受けと、前記ピンを挿入し前記ピンが上下方向に移動可能な長孔部を備える保持部と、前記ピンを挿入する孔を備えると共に突出するボスを備え前記ピンの上下方向の移動に伴い上昇または降下する昇降部と、前記ピンを上方に押圧する押圧手段と、回動可能に成され前記昇降部の前記ボスを挿入する溝部を備えるスパイラルカムと、前記スパイラルカムを時計回り方向または反時計回り方向に回転させるカム駆動部とを備え、前記保持部の長孔部は、上端部分に傾斜部を備えることを特徴とする。
【0010】
本願の請求項2記載の発明は、請求項1記載の光ディスク再生装置において、前記昇降部の前記溝部は、外周部分から内周方向に湾曲しながら延在する細長いスパイラル形状であることを特徴とする。
【0011】
本願の請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の光ディスク再生装置において、前記押圧手段は、前記昇降部の前記ボスに挿入される孔を備え当該孔から両側に延在した腕部によって前記ピンを上方に押圧するトーションスプリングであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、再生部の一端に備える軸を軸受けにより軸支し、他端に備えるピンを溝部により昇降することによって光ディスクに記録されたデータを再生する光ディスク再生装置において、偏荷重を有する光ディスクを再生させた場合でも光ディスクに記録されたデータを正確に再生することができる光ディスク再生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例の光ディスク再生装置を示す上面図。
【図2】図2(a)は、本実施例の光ディスク再生装置1において、再生部6及び保持部11の構成を示す正面図で、図2(b)は、本実施例の光ディスク再生装置1において、スパイラルカム17の構成を示す正面図。
【図3】図3(a)及び図3(b)は、本実施例の光ディスク再生装置1において、昇降部18の構成を示す図で、図3(a)は正面図、図3(b)は図3(a)の側面図、図3(c)はトーションスプリング19の構成を示す正面図。
【図4】本実施例の光ディスク再生装置1において、再生部6、保持部11、スパイラルカム17、昇降部18及びトーションスプリング19の構成を示す正面図。
【図5】本実施例の光ディスク再生装置1において、ローダ部3によって光ディスクを筐体2の内部にローディングした場合における再生部6とスパイラルカム17の動作の過程を説明する図。
【図6】本実施例の光ディスク再生装置1において、ローダ部3によって光ディスクを筐体2の内部にローディングした場合における再生部6とスパイラルカム17の動作の過程を説明する図。
【図7】本実施例の光ディスク再生装置1において、図6(a)及び図6(b)に示すように、再生部6が上昇した状態における保持部11、スパイラルカム17、昇降部18、トーションスプリング19及びピン605を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、従来技術で示した構成要素と同一の部分については同符号を用いる。
【0015】
図1は、本発明の一実施例の光ディスク再生装置を示す上面図である。
光ディスク再生装置1は、筐体2、ローダ部3、案内部4、ローダ駆動用モータ5、再生部6、2つの軸受け7、保持部11、カム駆動部15、スパイラルカム17、昇降部18、トーションスプリング19、カム軸支部22、ギヤ軸支部23、後述するクランパ16及び図示しない制御部を備える。
図1においては、下方を光ディスク再生装置1の前方とする。
【0016】
筐体2は、箱型を形成し、前面に開口部201を備える。ローダ部3は、平板であって、中央部分にディスク載置部301を備える。ディスク載置部301は、上面に図示しない光ディスクを載置可能な凹部302を備え、凹部302の中央部分に孔303を備える。ローダ部3の左右部分の下面にはそれぞれ下方に突出する凸部304を備え、上方から見て左側の凸部304の内側にはラックギヤ305を備える。
【0017】
案内部4は、ローダ部3の左右の側面に近接した位置にそれぞれ配設された状態で筐体2に固定される。ローダ部3は、左右の側面に案内部4が近接していることによって、左右方向への移動が抑止され、筐体2に対して前後方向にのみ移動可能となる。ローダ駆動用モータ5は、回転軸にピニオン501を備え、このピニオン501は、ラックギヤ305に噛合っている。ローダ駆動用モータ5は、制御部の制御によりピニオン501を時計回り方向又は反時計回り方向に回転させる。ローダ部3は、ローダ駆動用モータ5のピニオン501が時計回り方向又は反時計回り方向に回転することによって、ピニオン501に噛合ったラックギヤ305が前後方向に移動し、開口部201を介して筐体2の前方と筐体2内部との間を自在にスライドする。
【0018】
再生部6は、筐体2の内部に配設され、上面にターンテーブル601、スピンドルモータ602、光ピックアップ603及びピックアップ駆動部604を備える。再生部6は、後方部分の左側面及び右側面にそれぞれ水平方向に突出した軸606を備え、前面に前方に突出した2つのピン605を備える。
【0019】
ターンテーブル601は、ローダ部3によって筐体2の内部に搬送された光ディスクを保持する。スピンドルモータ602は、制御部の制御によりターンテーブル601を回転させる。ピックアップ駆動部604は、制御部の制御により、スピンドルモータ602の軸方向に光ピックアップ603をスライド駆動させる。光ピックアップ603は、光ディスクに記録されたオーディオデータを読み取る。
【0020】
2つの軸受け7は、それぞれ下面が筐体2に固定され、再生部6の後方部分の左右の位置にそれぞれ配設される。2つの軸受け7は、それぞれ内側に凹状を成す凹部701を備える。再生部6は、左右側面から水平方向に突出した軸606がそれぞれ軸受け7の凹部701に挿入されることにより、軸受け7に軸支された状態となる。
保持部11は、下面が筐体2に固定され、再生部6の前方となる位置に配設される。
【0021】
図2(a)は、本実施例の光ディスク再生装置1において、再生部6及び保持部11の構成を示す正面図である。
【0022】
図1及び図2(a)に示すように、保持部11は、薄い板状を成し、前後に貫通し長手方向が上下方向である2つの長孔部111を備える。2つの長孔部111は、再生部6の前面に備える2つのピン605がそれぞれ貫通した状態となる。2つの長孔部111は、上端部分にそれぞれ内壁が逆V字形状を形成する傾斜部112を備える。再生部6は、ピン605が長孔部111に貫通した状態となることにより、左右方向への移動が抑制され、上下方向のみ移動可能となる。
【0023】
図2(b)は、本実施例の光ディスク再生装置1において、スパイラルカム17の構成を示す正面図である。
【0024】
スパイラルカム17は、薄い円盤型を成し、外周部分にギヤ171を備える。スパイラルカム17は、中央部分に前後に貫通する中心孔172を備え、中心孔172の外周部分に溝部173を備える。図2(b)に示すように、溝部173は、スパイラルカム17の外周部分から反時計回り方向に従って内周方向に湾曲しながら延在する細長いスパイラル形状を形成する。本実施例においては、溝部173の外周方向の端部分の位置を位置Aとし、溝部173の内周部分の端部分の位置を位置Bとする。
【0025】
図3(a)及び図3(b)は、本実施例の光ディスク再生装置1において、昇降部18の構成を示す図で、図3(a)は正面図、図3(b)は図3(a)の側面図である。
【0026】
昇降部18は、T型の板状を形成し、左右の両側にそれぞれ角型の孔183を備え、中央の下方部分に前方に突出するボス181を備える。ボス181は、後方に近似した位置に鍔部182を備える。
【0027】
図3(c)は、本実施例の光ディスク再生装置1において、トーションスプリング19の構成を示す正面図である。
【0028】
トーションスプリング19は、弾性を有する鋼材から形成され、中央部分に孔191を備え、孔191の左右にそれぞれ上方に延在する腕部192を備える。
【0029】
図4は、本実施例の光ディスク再生装置1において、再生部6、保持部11、スパイラルカム17、昇降部18及びトーションスプリング19の構成を示す正面図である。
図4においては、スパイラルカム17のギヤ171の構成は図2(b)に示すものとし、図示を省略する。
【0030】
図1に示すように、カム軸支部22は、下面が筐体2に固定され、スパイラルカム17の前方となる位置に配設される。カム軸支部22は、スパイラルカム17の中心孔172を前後方向に軸支する。スパイラルカム17は、カム軸支部22に軸支されることにより、前後方向を軸として自在に回動可能に成される。
【0031】
図1及び図4に示すように、昇降部18は、保持部11の前方に配設され、左右にそれぞれ備える孔183が保持部11の長孔部111から前方に突出したピン605にそれぞれ挿入される。昇降部18は、ピン605が孔183に挿入されることにより、左右方向への移動が抑止された状態となる。トーションスプリング19は、昇降部18の前方に配設され、孔191が昇降部18のボス181に挿入されると共に鍔部182の後方となる位置に配設される。スパイラルカム17の溝部173には、昇降部18のボス181が挿入される。
【0032】
図4に示すように、トーションスプリング19は、孔191が昇降部18のボス181に挿入された状態の場合、左右の腕部192が左右のピン605の下方にそれぞれ当接し、左右のピン605をそれぞれ上方に押圧するように設定されるものとする。また、図4に示すように、スパイラルカム17の中心孔172の位置と昇降部18のボス181の位置は、それぞれ垂直となる位置であって、スパイラルカム17の中心孔172が昇降部18のボス181より上方となる位置に配設されるものとする。
【0033】
図1に示すように、カム駆動部15は、モータ151、ギヤ152及びピニオンギヤ153を備える。モータ151は、筐体2に固定され、図示しない制御部の制御によってギヤ152を時計回り方向又は反時計回り方向に回転させる。ギヤ軸支部23は、下面が筐体2に固定され、ピニオンギヤ153を前後方向に軸支する。ピニオンギヤ153は、同軸上に外径が異なる2つのギヤを備え、一方のギヤがギヤ152と噛合った状態で、かつ、他方のギヤがスパイラルカム17のギヤ171と噛合った状態でギヤ軸支部23に軸支される。スパイラルカム17は、ギヤ152の回転力がピニオンギヤ153を介してギヤ171に伝達されることによって時計回り方向又は反時計回り方向に回動する。
【0034】
この構成により、スパイラルカム17は、モータ151が時計回り方向または反時計回り方向に回転することによって、時計回り方向または反時計回り方向に回転する。
【0035】
図5は、本実施例の光ディスク再生装置1において、ローダ部3によって光ディスクを筐体2の内部にローディングした場合における再生部6とスパイラルカム17の動作の過程を説明する図で、図5(a)はローダ部3によって光ディスクを筐体2の内部にローディングした後の状態を示す正面図、図5(b)は図5(a)の側面図、図5(c)は図5(a)及び図5(b)の状態からスパイラルカム17を前方から見て時計回り方向に回転した状態を示す正面図、図5(d)は図5(c)の側面図である。
図5(a)及び図5(b)に示す状態においては、昇降部18のボス181が図4(b)に示すスパイラルカム17の溝部173の位置Aの位置に配設されているものとする。
【0036】
図6は、本実施例の光ディスク再生装置1において、ローダ部3によって光ディスクを筐体2の内部にローディングした場合における再生部6とスパイラルカム17の動作の過程を説明する図で、図6(a)は図5(c)及び図5(d)の状態からスパイラルカム17を前方から見て更に時計回り方向に回転した状態を示す正面図、図6(b)は図6(a)の側面図である。
図5及び図6においては、スパイラルカム17のギヤ171の構成は図2(b)に示すものとし、図示を省略する。
【0037】
図1に示すように、筐体2の前方にスライドしたローダ部3の凹部302に光ディスク20が載置された状態で、図示しない指示釦によって制御部にローディング指示信号が入力されると、制御部は、ローダ部3を筐体2の内部にスライドするようローダ駆動用モータ5を制御する。ローダ駆動用モータ5は、ピニオン501を回転させ、図5(b)に示すように、光ディスク20を載置したローダ部3を筐体2の内部にスライドする。
【0038】
図5(a)及び図5(b)の状態から図示しない指示釦によって制御部に再生指示信号が入力されると、制御部は、図1に示すモータ151を回転させ、カム駆動部15がスパイラルカム17を前方から見て時計回り方向に回転するよう制御する。カム駆動部15は、制御部の制御により、モータ151を回転させ、ギヤ152を介してピニオンギヤ153を回転させ、このピニオンギヤ153に噛合ったスパイラルカム17のギヤ171を時計回り方向に回転させる。すると、図5(c)及び図5(d)に示すように、ピン605が孔183に挿入され左右方向への移動を抑止された昇降部18のボス181は、図2(b)に示すスパイラルカム17の溝部173の位置Aの位置から溝部173の内壁を摺動しながらスパイラルカム17の内周方向に移動する。昇降部18は、スパイラルカム17の中心孔172が昇降部18のボス181より上方となる位置に配設されていることから、ボス181がスパイラルカム17の内周方向に移動することによって上方に移動する。ピン605は、昇降部18の孔183に挿入すると共にトーションスプリング19の腕部192によって上方に押圧されていることから、昇降部18が上昇するのに伴って上方に移動する。再生部6は、後方部分の軸606が軸受け7に軸支されていることから、ピン605が上方に移動することによって、軸606を軸として上昇する。
【0039】
そして、更にスパイラルカム17が時計回り方向に回転すると、再生部6が軸606を軸として更に上昇し、昇降部18のボス181が図2(b)に示すスパイラルカム17の溝部173の位置Bの位置まで移動すると、図6(b)に示すように、ターンテーブル601が、筐体2の内部に搬送された光ディスク20の孔21に挿入される。制御部は、ターンテーブル601が光ディスク20の孔21に挿入された後、クランパ16を降下させるよう制御を行う。光ディスク20は、クランパ16が降下することによって、ターンテーブル601とクランパ16によって孔21が狭持される。
【0040】
ターンテーブル601は、制御部の制御により光ディスク20を回転させる。光ピックアップ603は、図1に示すピックアップ駆動部604により光ディスク20の径方向にスライドし、光ディスク20に記録されているデータを読み取る。光ピックアップ603により読み取られたデータは、図示しないデータ再生回路によって再生される。
【0041】
以上の構成により、光ディスク再生装置1は、光ディスク20に記録されたデータを再生することができる。なお、図6(a)及び図6(b)に示すように、光ディスク20を筐体2の内部にローディングし、光ディスク20に記録されたデータを再生している状態から、光ディスク20を光ディスク再生装置1の外部に排出する場合は、前述した方法と反対に、スパイラルカム17を反時計回り方向に回転させて再生部6を降下させた後、ローダ部3を前方にスライドさせることによって光ディスク20を外部に排出することができる。
【0042】
図7は、本実施例の光ディスク再生装置1において、図6(a)及び図6(b)に示すように、再生部6が上昇した状態における保持部11、スパイラルカム17、昇降部18、トーションスプリング19及びピン605を示す正面図である。
【0043】
図6(a)及び図6(b)に示すように、昇降部18のボス181が図2(b)に示すスパイラルカム17の溝部173の位置Bの位置にある場合、長孔部111の上端の傾斜部112の頂点の位置は、孔183の上端の位置よりも僅かに下方の位置であるものとする。
図7においては、スパイラルカム17のギヤ171の構成は図2(b)に示すものとし、図示を省略する。
【0044】
図6(a)及び図6(b)に示すように、図1に示すカム駆動部15によってスパイラルカム17が時計回り方向に回転し、昇降部18のボス181が図2(b)に示すスパイラルカム17の溝部173の位置Bの位置にある場合、図7に示すように、ピン605は保持部11の長孔部111の上端に当接した状態となる。このとき、昇降部18のボス181が図2(b)に示すスパイラルカム17の溝部173の位置Bの位置にある場合、長孔部111の上端の傾斜部112の頂点の位置は、孔183の上端の位置よりも僅かに下方の位置であり、かつ、トーションスプリング19の腕部192がピン605を上方に押圧していることから、ピン605は、長孔部111の上端の傾斜部112とトーションスプリング19の腕部192に狭持された状態となる。このように、ピン605が長孔部111の上端に備えた傾斜部112とトーションスプリング19の腕部192との間で狭持された状態となることから、再生部6のピン605と保持部11の長孔部111との間にはガタが生じない状態となる。
【0045】
以上のように、本実施例の光ディスク再生装置1は、図6(a)及び図6(b)に示すように、再生部6が上昇して光ディスク20をターンテーブル601によって回転させ、光ディスク20に記録されているデータを再生する場合、図7に示すように、再生部6のピン605と保持部11の長孔部111との間にはガタが生じない状態となる。このことにより、例えば、再生部6によって再生する光ディスク20が偏荷重を有しており、偏荷重を有する光ディスク20をターンテーブル601によって回転させることによって光ディスク20が水平方向又は上下方向に振動しても、再生部6のピン605と保持部11の長孔部111との間にガタが生じないことから、偏荷重を有する光ディスク20から発生した振動によって再生部6が振動してしまい、光ディスクに記録されているデータを光ピックアップが正確に読み取ることができなくなったり、光ディスクから伝達される断続的な振動によって再生部に備える光ピックアップや他の電子部品が破損してしまうことを防止することができる。
【0046】
また、本実施例の光ディスク再生装置1は、スパイラルカム17に備える溝部173に昇降部18に備えるボス181を挿入させた状態でスパイラルカム17を回転させることによって昇降部18のボス181が溝部173に備えるスパイラル状の孔を摺動しながら昇降部18が上昇または降下する構成とすることにより、ピン605をスムーズに上昇または降下させることができ、ピン605を上昇または降下させる過程における不用意な騒音を防止することができる。
【0047】
本実施例の光ディスク再生装置1は、昇降部18を上下方向に移動させる手段として図2(b)に示すようなスパイラル状の溝部173にボス181を挿入し、スパイラルカム17を時計回り方向に回転させる構成としたが、昇降部18をスムーズに上下方向に移動させることができれば、図2(b)に示すようなスパイラル状の溝部の構成でなくても、例えば、特殊な形状をした溝を備える構成としても良いし、また、例えば、傾斜溝を備えた板状の部材を備え、当該傾斜溝にピン605が挿入した状態で当該板状の部材を左右にスライドすることによってピン605を上下方向に移動させる構成としても良い。
【0048】
本実施例の光ディスク再生装置1は、ピン605を上方に押圧するのにトーションスプリング19を備える構成としたが、ピン605を上方に押圧することができれば、例えば、コイルスプリング部材によってピン605を上方に押圧する構成としても良いし、また、ウレタン部材のような弾性体によってピン605を上方に押圧する構成としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、光ディスクに記録されているデータを再生する光ディスク再生装置に有用に用いることができる。
【符号の説明】
【0050】
1 光ディスク再生装置、2 筐体、201 開口部、
3 ローダ部、301 ディスク載置部、302 凹部、303 孔、
304 凸部、305 ラックギヤ、4 案内部、
5 ローダ駆動用モータ、501 ピニオン、
6 再生部、601 ターンテーブル、602 スピンドルモータ、
603 光ピックアップ、604 ピックアップ駆動部、605 ピン、
606 軸、7 軸受け、701 凹部、
11 保持部、111 長孔部、112 傾斜部、
15 カム駆動部、151 モータ、152 ギヤ、153 ピニオンギヤ、
16 クランパ、20 光ディスク、21 孔、
17 スパイラルカム、171 ギヤ、172 中心孔、173 溝部、
18 昇降部、181 ボス、182 鍔部、183 孔、
19 トーションスプリング、191 孔、192 腕部、
22 カム軸支部、23 ギヤ軸支部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の前面に開口する開口部と、
光ディスクを載置するディスク載置部を備えるローダ部を備え前記開口部を介して当該ローダ部を前記筐体の外部から前記筐体の内部に移動させるローダ駆動手段と、
前面に前方に突出するピンを備え前記ローダ駆動手段によって前記筐体の内部に移動された光ディスクに記録されたデータを再生する再生部と、
前記再生部の後方部分の左側面及び右側面からそれぞれ水平方向に突出する軸と、
凹部を備え前記軸を当該凹部に挿入することによって前記軸を軸支する軸受けと、
前記ピンを挿入し前記ピンが上下方向に移動可能な長孔部を備える保持部と、
前記ピンを挿入する孔を備えると共に突出するボスを備え前記ピンの上下方向の移動に伴い上昇または降下する昇降部と、
前記ピンを上方に押圧する押圧手段と、
回動可能に成され前記昇降部の前記ボスを挿入する溝部を備えるスパイラルカムと、
前記スパイラルカムを時計回り方向または反時計回り方向に回転させるカム駆動部とを備え、
前記保持部の長孔部は、上端部分に傾斜部を備えることを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項2】
請求項1記載の光ディスク再生装置において、
前記昇降部の前記溝部は、外周部分から内周方向に湾曲しながら延在する細長いスパイラル形状であることを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の光ディスク再生装置において、
前記押圧手段は、前記昇降部の前記ボスに挿入される孔を備え当該孔から両側に延在した腕部によって前記ピンを上方に押圧するトーションスプリングであることを特徴とする光ディスク再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−190499(P2012−190499A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50919(P2011−50919)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(309039716)株式会社ディーアンドエムホールディングス (37)
【Fターム(参考)】