説明

光ディスク処理装置

【課題】レーベル面に色素層が形成された特定の光ディスクがセットされたことを認識したときのみ、画像の形成を許可する光ディスク処理装置を提供する。
【解決手段】セットされた光ディスク200の内周部に光ピックアップを対向させ、DVD用のレーザを照射してピット(変調信号)を読み取る。読み取った変調信号をCD用のデコーダ136aに入力してデコードする。デコードされたディスク情報が特定のベリフィケーションデータを含むものであった場合、この光ディスクは正当な特定の光ディスクであると判断して、レーベル面への画像の形成を許可する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光ディスクのレーベル面に文字や写真などの画像を形成する光ディスク処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CD−R,DVD−R等の光ディスクにデータを記録する光ディスク処理装置において、光ディスクのデータ記録面に、文字や写真などの画像を形成する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この技術は、光ディスクヘのデータ記録が、色素層にレーザ光を照射して色素を変色させることによって行われる点を利用したものであり、ディスク面に対して画像の濃度に応じてレーザ光を照射することにより、色素の変色による濃淡で画像を形成するものである。
【0004】
一方、光ディスクのレーベル面にも色素層を形成し、ディスクのタイトル等を手書きしたり、インクジェットプリンタでプリントする代わりに、光ディスク記録装置でレーベル画像を形成することも提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−039027公報
【特許文献2】特開2002−203321公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2のように、光ディスクのレーベル面に色素層を形成する場合、この色素層は、データ記録面の色素層と必ずしも同一である必要がない。たとえば、レーベル面にはデータを記録する必要がないためトラックが形成されない。色素の耐久性の要請がデータ記録面の色素よりも緩やかであるため、低温で速やかに変色する色素を使用することが可能である。記録強度のレーザ光の照射による変色が、読出強度のレーザ光による反射率の変化よりもユーザに対する可視領域の濃度変化に寄与するような色素が好ましい等である。
【0006】
このように、レーベル面に描画に特化された色素層が形成されたディスクが実現された場合、光ディスク記録装置は、このレーベル直に対しては、データ記録面に対するデータ記録や描画とは異なる設定でレーザ光を照射する必要がある。
【0007】
このため、このような光ディスクのレーベル面が光ディスク処理装置にセットされたとき、光ディスク記録装置は、このことを確実に検出して、これに対応する設定でレーザ光を照射する必要がある。また逆に、一般の光ディスク記録装置に、上記光ディスクのレーベル面がセットされたとき、このレーベル面に対して画像の書き込みを行わないようにする必要もある。すなわち、最適でない設定で画像形成を行うと、美しい画像を形成できないからである。
【0008】
そこで、この発明は、レーベル面に色素層が形成された特定の光ディスクがセットされたことを認識したときのみ、画像の形成を許可する光ディスク処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、第1の層構造を有する第1構造の光ディスクから変調信号を読み取る第1読取手段と、第2の層構造を有する第2構造の光ディスクから変調信号を読み取る第2読取手段と、第1構造の光ディスクの方式で記録された変調信号をデコードする第1デコード手段と、第2構造の光ディスクの方式で記録された変調信号をデコードする第2デコード手段と、セットされた第1構造の光ディスクから第1読取手段が読み取った変調信号を、第2デコード手段がデコードできたとき、特定の処理動作を許可するディスク判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
この発明は、上記発明において、前記ディスク判定手段は、さらに、第2デコード手段がデコードしたデータが特定の内容であったときのみ、前記特定の処理動作を許可することを特徴とする。
【0011】
この発明は、上記発明において、前記第1構造の光ディスクはDVDであり、前記第2構造の光ディスクはCDであり、前記第2構造の光ディスクの方式で記録された変調信号は、最小ピット長0.83〜0.98μm、トラックピッチ1.50〜1.70μmで書き込まれたEFM信号であることを特徴とする。
【0012】
上記発明は、DVD等の第1構造の光ディスクにCD等の第2構造の光ディスクの方式で変調信号が記録されたものを読み取る装置に関する発明であり、第1読取手段で読み取った変調信号を第2デコード手段がデコードする。一般の光ディスク処理装置は、第1読取手段で読み取った変調信号を第1デコード手段でデコードする機能、および、第2読取手段で読み取った変調信号を第2デコード手段でデコードする機能を備えているのみである。したがって、この発明の光ディスク処理装置は、一般の装置では読取不可能な特殊な光ディスクがセットされたとき、そのディスクからデータを読み出し、特殊なディスクであることを認識し、その場合にのみ、この光ディスクに対して特定の処理の実行を許可する。また、この発明では、さらに、読み出したデータが特定の内容であった場合のみ、上記特定の処理の実行を許可する。
【0013】
この場合において、変調信号のデコードにCD等の第2構造の光ディスクのデコーダを用いることができるため、上記特殊な光ディスクを読み取るために新たな構成を備える必要がない。
【0014】
また、この発明は、上記発明において、前記特定の処理動作は、前記セットされたディスク面にレーザ光による画像を形成する処理であることを特徴とする。
【0015】
この発明では、ディスク情報に基づいて特定のディスクのレーベル面であると判断したときのみ、画像形成の処理を行うため、常にそのディスクに最適なパラメータ設定で美しい画像形成をすることが可能になるとともに、同じように構成された他の光ディスク(たとえばそのレーベル面)に対して画像形成の処理をしてしまうことがない。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、第1構造の光ディスク(以下DVD等という)に第2構造の光ディスク(以下CD等という)の方式で変調信号が記録されている特殊な光ディスクを読み取り、読み取った変調信号をデコードした内容が特定の内容であった場合のみ、特定の処理動作を実行するようにしたことにより、特殊な光ディスクを的確に認識して特定の処理動作を行うようにすることができる。且つ、他のディスクに対しては該特定の処理動作を行わないようにすることができる。
【0017】
また、変調信号のデコードにCD等の変調方式で記録された変調信号をデコードする第2構造の光ディスクのデコーダを用いることができるため、上記特殊な光ディスクを読み取るために新たなデコーダ等の構成を備える必要がない。
【0018】
また、この発明によれば、上記特殊な光ディスクが、書込可能なレーベル面であると判断したときのみ、このレーベル面に対して画像形成の処理を行うため、このレーベル面に適した各種パラメータを設定して画像形成処理を行うことができ、常にコントラストの明瞭な美しい画像形成をすることが可能になるとともに、同じように構成された他の光ディスクのレーベル面に対して画像形成の処理をしてしまうことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照してこの発明の実施形態である光ディスク記録装置について説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る光ディスク記録装置の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、光ディスク記録装置10は、光ピックアップ100、スピンドルモータ130、回転検出器132、RF (Radio Frequency)アンプ134、デコーダ136、サーボ回路138、ステッピングモータ140、モータドライバ142、PLL(Phase Locked Loop)回路144、分詞回路146、インタフェース150、バッファメモリ152、エンコーダ154、ストラテジ回路156、フレームメモリ158、データ変換器160、レーザパワー自動制御(Automatic Laser Power Control:ALPC)回路162、レーザドライバ164、及び制御部170を備えている。また、光ディスク記録装置10は、インタフェース150を介してホストコンピュータ300に接続されている。
【0021】
スピンドルモータ130は、図外の保持機構で保持した光ディスク200を回転させる。回転検出器132は、スピンドルモータ130の回転速度に応じた周波数の信号FGを出力する。
【0022】
光ピックアップ100は、レーザダイオード、対物レンズなどの複数のレンズ、トラッキングサーボ機構、フォーカスサーボ機構などを備えており、回転中の光ディスク200に対して、レンズで集光させたレーザ光を照射する。この光ピックアップ100は、コンボピックアップであり、CD用の780nmのレーザダイオードとDVD用の650nmのレーザダイオードを備えている。
【0023】
ステッピングモータ140は、光ピックアップ100を、光ディスク200の半径方向に移動させる。モータドライバ142は、制御部170からの指示に基づき、モータ駆動用の信号をステッピングモータ140へ出力して、スレッド制御を行う。
【0024】
RFアンプ134は、光ピックアップ100から出力された受光信号Rvを増幅して、増幅後の信号をデコーダ136およびサーボ回路138へ出力する。デコーダ136は、RFアンプ134から入力された受光信号Rvをデコードしてデータを復調する。このデコーダ136は、CD方式でエンコードされた信号(EFM信号)をデコードするCDデコーダ136aおよびDVD方式でエンコードされた信号(8/16変調信号)をDVDデコーダ136bを有している。
【0025】
サーボ回路138は、回転制御部,トラッキングサーボ部およびフォーカスサーボ部からなる。回転制御部は、信号FGによって検出されるスピンドルモータ130の回転速度が、制御部170から指示された角速度となるようにフィードバック制御を行う。また、トラッキングサーボ部は、光ピックアップ100から出力されたトラッキングエラー信号に基づいて、光ピックアップ100に対するトラッキング制御を行う。フォーカスサーボ部は、光ピックアップ100から出力されたフォーカスエラー信号に基づいて、光ピックアップ100に対するフォーカス制御を行う。
【0026】
制御部170は、CPUを含むマイクロコンピュータで構成されており、ROM171に格納されたプログラムに従って各部を操作して、光ディスク200の記録面に対する情報記録や、光ディスク200のレーベル面に対する画像形成を行う。
【0027】
また、制御部170は、後述するように、セットされた光ディスクの内周部に予め書き込まれた情報(ディスク情報)を読み取り、このディスクのレーベル面が画像形成可能であるか否かを判定し、この判定結果に基づいてホストコンピュータ300からの画像形成の要求に基づいて画像を形成するか否かを判断する。
【0028】
また、セットされたディスクのレーベル面が画像形成可能であった場合には、このディスクに最適の画像形成パラメータをROM171から読み出して、データ変換器160やALPC回路162などに設定する。
【0029】
バッファメモリ152は、ホストコンピュータ300からインタフェース150を介して受信した記録データをFIFO形式で一時記憶する。記録データは、光ディスク200の記録面にデータとして記録されるデータである。フレームメモリ158は、ホストコンピュータからインタフェース150を介して受信した画像データを記憶する。画像データは、光ディスク200のレーベル面に画像として描画されるデータである。
【0030】
エンコーダ154は、バッファメモリ152から読み出された記録データをEFMまたは8/16変調し、ストラテジ回路156に出力する。ストラテジ回路156は、エンコーダ154から供給された変調信号に対して時間軸補正処理などを施して、レーザドライバ164へ出力する。
【0031】
データ変換器160は、光ディスク200に画像を形成するとき、そのときの光ピックアップ100の位置に応じた画像データをフレームメモリ158から読み出し、その画像データに応じたレーザパワーをレーザドライバ164へ出力する。
【0032】
ALPC回路162は、レーザダイオードから照射されるレーザ光の強度を制御する回路である。具体的には、ALPC回路162は、光ピックアップ100のフロントモニタダイオードによって検出されたレーザダイオードの出射光量値が制御部170が指示する目標値(最適レーザパワー)となるように駆動信号Liの電流値を制御する。
【0033】
レーザドライバ164は、情報記録時には、ストラテジ回路156から供給される変調データに従ってALPC回路162による制御内容を反映させた駆動信号Liを生成して、光ピックアップ100のレーザダイオードに供給する。また、画像形成時には、データ変換器160によって変換されたデータに従って、ALPC回路162による制御内容を反映させた駆動信号Liを生成して、光ピックアップ100のレーザダイオードに供給する。これにより、レーザダイオードによるレーザビームの強度は、制御部170から供給される目標値と一致するようにフィードバック制御される。
【0034】
図2は、画像形成可能な光ディスクのレーベル面の正面概略図及びA−A’断面図である。光ディスク200は、図2に示すように、2枚の基材200Kと200Rを貼り合わせた構成のDVD−Rであり、レーベル面側の基材200Rは、レーベル面側から順に、情報記録層202を有する保護層(ポリカーボネート基板)201、色素層(変色層)204、反射層205、接着層206を順に積層した構造である。また、光ディスク200は、その中心に設けられたセンタホール210の周囲にクランプエリア211が設けられ、さらにその周囲に内周側から順に、情報記録領域212、描画領域213が形成されている。
【0035】
なお、記録面側の基材200Kの層構成は、DVD−Rの周知の構成であるため、図示を省略している。また、図2に示した光ディスク200の構造は複式的なものであり、各層、各エリアの寸法比は必ずしも図示した通りではない。
保護層201は、透明のポリカーボネート基板から成りレーザ光を減衰させることなく透過させる。
【0036】
情報記録層202は、ポリカーボネート基板201内周部の色素層側面に形成された層であり、ディスクの情報記録領域212を形成するための層である。この層には、複数のピットから成るトラックが形成されており、このピットによりディスク情報が書き込まれている。このディスク情報は、CD−ROMフォーマットのピットで記録されている。ディスク情報は、このディスクのベリフィケーション(認証)データなどを含んでいる。なお、このディスクのレーベル面において情報記録領域212を除く領域にはトラックが形成されておらず、この光ディスク記録装置がトラッキング制御をすることができない。
【0037】
なお、情報記録領域212のディスク情報がCD−ROMフォーマットで記録されているのは、他の一般の光ディスク記録装置が、この領域の情報を読み取れないようにするためである。すなわち、レーベル面の画像形成機能を備えない一般の光ディスク記録装置が、情報記録領域212の情報を読み取ってしまうと、何らかの再生可能ディスクまたは書込可能ディスクであると誤った判断をしてしまい、無用なトラックのシークなどの誤動作をしてディスクや装置そのものが損傷してしまう可能性があるため、情報の読み取りそのものを不可能にしている。
【0038】
情報記録領域212のディスク情報をCD−ROMフォーマットで記録しておくことにより、一般の光ディスク記録装置は、このエリアのデータを読み取ることができないため、無用な誤動作をすることなく動作を停止し、ディスクや装置にダメージを与えることがない。
【0039】
また、上記光ディスク200と類似の層構造でレーベル面に色素層を形成した類似ディスクが製造された場合でも、この方式でディスク情報が書き込まれているか否かで正当な光ディスクであるか否かを判定することができ、このような類似ディスクに対してレーベル面への画像形成を禁止することができる。これにより、最適なパラメータセットが不明な類似ディスク,品質の保証のない類似ディスクに画像形成を行って、不明瞭で美しくない画像を形成してしまうことを防止することができる。
【0040】
なお、CD−ROMフォーマットとは、最小ピット長0.83〜0.98μm(規格では0.83)のEFM信号をトラックピッチ1.50〜1.70μm(規格では1.60で書き込むフォーマットである。なお、DVDフォーマット規格は、最小ピッチ0.40μmの8/1 6変調信号をトラックピッチ0.74μmで書き込むことを定めている。
【0041】
なお、DVD用レーザでCD−ROMフォーマットのピットを読み出す場合、DVDの0.74μmピッチトラック用のサブビームによるディファレンシャルプッシュプル(DPP)方式でトラッキングすることができないが、サブビームを用いない位相差(DPD)方式であればトラッキングが可能であり、ピットの読み出しが可能である。
【0042】
色素層204は、可視光で濃淡のはっきりした鮮やかな画像が形成できるように、基材200Kのデータ記録面に設けられた記録層と異なる有機色素で構成され、記録層の色素よりも弱いパワーのレーザ光で変色し、その反射率の変化の程度が大きい。反射層205は、アルミなどの金属から成り、レーザ光を反射する。接着層206は、レーベル面側の基材200Rとデータ記録面側の基材200Kとを接着する層である。
【0043】
光ディスク記録装置10は、レーベル面にコントラストが良好な美しい画像が形成できるように、ディスクのメーカ,ディスク種類毎に最適のレーザパワー値およびフォーカスゲインをROM171のパラメータテーブルに記憶している。ディスクのメーカおよびディスク種類は、情報記録領域212のディスク情報によって判断することができるため、パラメータテーブルは、図4に示すように、ディスク情報と最適のレーザパワー値およびフォーカスゲインを対応づけて記憶している。なお、このパラメータテーブルに格納しているレーザパワー値やフォーカスゲインは、実験により予め求められたものである。
【0044】
光ディスク記録装置10の制御部170は、光ディスクのレーベル面に画像を形成する場合、セットされた光ディスク200の情報記録領域212に記録されたディスク情報を読み出し、この情報に基づいてROM171のパラメータテーブルから、この光ディスク200に応じたレーザパワー値やフォーカスゲインを読み出して、データ変換器160やサーボ回路138に設定する。
【0045】
次に、光ディスク記録装置10の画像形成動作について、フローチャートに基づいて説明する。図3は、光ディスク記録装置の画像形成動作を説明するためのフローチャートである。この処理において、s11で許可される画像形成処理は、画像を光ディスクの周方向および半径方向に放射状に配列したドットに分解し、各ドット位置をその濃度に応じた程度に変色させる画像形成方式で、光ディスク200のレーベル面に画像を形成する、という処理であり、この処理が本発明の「特定の処理動作」に対応する。
【0046】
光ディスク記録装置10に光ディスクがセットされると、制御部170は、サーボ回路138に制御信号を出力して、スピンドルモータ130に光ディスク200を回転させるとともに、ALPC回路162に制御信号を出力して、光ピックアップ100から光ディスク200へ650nmのレーザ光および780nmのレーザ光を同時または順次照射する(s1)。そしてそのフォーカスや戻り光により、光ディスクの層構造すなわち焦点面の高さがDVDであるかCDであるかを判断する(s2)。セットされた光ディスクがCDである場合には、CD系の光ディスクに対する処理に進む(s3)。
【0047】
一方、制御部170は、光ディスクがDVDである場合には、モータドライバ142に制御信号を出力して、ステッピングモータ140により光ピックアップ100を情報記録領域212に対向する位置に移動させる。そして、制御部170は、ALPC回路162に制御信号を出力して、650nmのレーザ光で情報記録領域212に記録されたディスク情報を読み出す(s4)。このときデコーダ136は、DVD用のデコーダ136bが動作している。DVD用のデコーダ136bでディスク情報をデコードできた場合には(s5)、DVD系の光ディスクに対する処理に進む(s6)。
【0048】
DVD用のデコーダ136bでディスク情報をデコードできなかった場合には、今度はCD用のデコーダ136aでディスク情報のデコードを試みる(s7)。CD用のデコーダ136aでディスク情報をデコードできた場合、すなわち、ディスク情報がCDフォーマットであった場合(s8)、制御部170は、読み出したディスク情報に含まれるベリフィケーションデータが、ROM171のパラメータテーブルに記憶している複数のベリフィケーションデータのいずれかと一致するかを判断する(s9)。一致した場合には、対応するレーザパワーおよびサーボゲインをデータ変換器160およびALPC回路162に設定して(s10)、画像形成処理を許可する(s11)。
【0049】
一方、情報エリア212に記録されているディスク情報がDVDフォーマットでもCDフォーマットでもない場合(s8)や、ディスク情報はCDフォーマットで書き込まれているがベリフィケーションデータが存在しない、または、ベリフィケーションデータがパラメータテーブルに記憶しているものと一致しない場合(s9)には、このディスクに画像形成することを不可として異常終了で動作を終える。
【0050】
以上のフローチャートでは、セットされたDVDのデータをCDデコーダでデコードでき、且つ、そのデコードしたデータが特定の内容(ベリフィケーションデータ)であったとき、画像形成処理を許可するようにしているが、データの内容を判定せず、CDフォーマットのデータが書き込まれていたとき、画像形成処理を許可するようにしてもよい。
【0051】
上記実施形態では、光ディスク200の情報記録領域212を、図2に示したように、ピット列のトラックとして構成したが、書込可能ディスクで用いられているプリグルーブを形成し、ATIP(Absolute Time In Pre-groove)にベリフィケーションデータを書き込むようにしてもよい。たとえば、DVDにディスクの基板に形成されたプリグルーブを22.05kHzの周期で蛇行させてディスク情報を書き込んでもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、CDフォーマットのデータが書き込まれたDVDを処理する光ディスク記録装置について説明したが、第1構造の光ディスク、第2構造の光ディスクは、DVD,CDに限定されず、たとえば、Blu-ray DiscやHD-DVDであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】この発明の実施形態に係る光ディスク記録装置の概略構成を示すブロック図
【図2】同光ディスク記録装置で用いられる光ディスクのレーベル面の正面概略図および断面図
【図3】光ディスク記録装置の画像形成動作を説明するためのフローチャート
【図4】パラメータテーブルの概略構成を示す図
【符号の説明】
【0054】
10…光ディスク記録装置、100…光ピックアップ、130…スピンドルモータ、132…回転検出器、134…RFアンプ、136…デコーダ、136a…CD用デコーダ、136b…DVD用デコーダ、138…サーボ回路、140…ステッピングモータ、142…モータドライバ、150…インタフェース、152…バッファメモリ、154…エンコーダ、156…ストラテジ回路、158…フレームメモリ、160…データ変換器、162…ALPC回路、164…レーザドライバ、170…制御部、171…ROM
200…光ディスク、200K,200R…基材、201…保護層、202…情報記録層、204…色素層、205…反射層、206…接着層、210…センタホール、211‥クランプエリア、212…情報記録領域、213…描画領域
300…ホストコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の層構造を有する第1構造の光ディスクから変調信号を読み取る第1読取手段と、
第2の層構造を有する第2構造の光ディスクから変調信号を読み取る第2読取手段と、
第1構造の光ディスクの方式で記録された変調信号をデコードする第1デコード手段と、
第2構造の光ディスクの方式で記録された変調信号をデコードする第2デコード手段と、
セットされた第1構造の光ディスクから第1読取手段が読み取った変調信号を、第2デコード手段がデコードできたとき、特定の処理動作を許可するディスク判定手段と、
を備えた光ディスク処理装置。
【請求項2】
前記ディスク判定手段は、さらに、第2デコード手段がデコードしたデータが特定の内容であったときのみ、前記特定の処理動作を許可する請求項1に記載の光ディスク処理装置。
【請求項3】
前記第1構造の光ディスクはDVDであり、前記第2構造の光ディスクはCDであり、前記第2構造の光ディスクの方式で記録された変調信号は、最小ピット長0.83〜0.98μm、トラックピッチ1.50〜1.70μmで書き込まれたEFM信号である請求項1または請求項2に記載の光ディスク処理装置。
【請求項4】
前記特定の処理動作は、前記セットされたディスク面にレーザ光による画像を形成する処理である請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の光ディスク処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−102855(P2007−102855A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−288741(P2005−288741)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【出願人】(000005201)富士フイルムホールディングス株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】