説明

光ディスク及び記録再生装置

光ディスクは、音楽情報などの多重記録再生に好適なROM部とRAM部の記録構造を有する。光ディスクは、光反射率を利用した位相ピットで情報が記録されたROM部と、記録及び再生可能なRAM部とが層状に配置され、ROM部に記録された情報とRAM部に記録された情報が同期再生される。RAM部はROM部と同期再生可能な複数の情報記録エリアに分割されている。ROM部の音楽情報の再生しながらRAM部に別々の楽器演奏等による音楽情報を多重記録し、必要に応じて多重再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、光反射率を利用した位相ピットで情報が記録されたROM部と光磁気的に記録再生可能なRAM部を有する光ディスク及び記録再生装置に関し、特に、情報が多重記録されたRAM部とROM部を同期再生可能な光ディスク及び記録再生装置に関する。
【背景技術】
従来、一般ユーザーが音楽を聞くための媒体としては、CD(Compact Disc)が一般に広く普及している。また、デジタルオーディオデータを記録再生する装置として、光磁気媒体を使ったMD(Mini Disc)システムなどが普及している。なお、MDシステムではCDに収められている音楽を録音再生することが可能である。
このように従来の音楽の聞き方は、CDのように予め音楽情報がROMとして記録された媒体を購入してそれを聞くか、あるいはMD等に好みの音楽を録音して聞くという楽しみ方が一般的である。
もう一つの音楽の楽しみ方は自分で楽器を演奏することである。楽器の演奏を録音して再生するには、MD等の録音可能な装置に外部マイクを取り付けて演奏を生で録音し再生する。この場合、自分の演奏のみを単独で録音することになる。しかしながら、ほとんどの音楽はオーケストラとかバンドのように様々な楽器が別々のパートを演奏することにより成り立っている。したがって、個々の演奏者が個人でオーケストラとかバンドのパートを演奏するためには、例えばCDを聞きながら楽器の演奏をすることも可能であるが、その演奏を記録するには別途録音用の装置を準備する必要があり、さらに演奏と同時に録音用の装置を操作しなければならず、煩雑であった。また例えばCDを再生しながら、それに合わせて楽器を演奏し、外部入力マイク等で録音する方法では、CD再生と演奏の音量バランスの調整が困難であるために品質の良い音楽を記録することが極めて難しかった。
以上のような音楽記録上の問題点を改善するには多重録音が行われる。多重録音では複数の録音トラックをもつ光ディスクのトラック毎に別々の音楽を記録する。つまり一つ目のトラックに予め音楽を録音しておき、その音を再生して聞きながら別のトラックに音を重ねて記録する。例えばはじめにピアノを録音し、次にそのピアノの音を聴きながらギターを録音することによりピアノとギターを同時再生可能となる。このように複数トラックで再生しながら記録する、あるいは複数トラックの音楽を同時再生するためには、高速かつ大容量な記憶装置が必要であり、主にハードディスクが用いられている。
しかしながら、ハードディスクを利用した多重記録システムは音楽の製作が目的であるため高度な編集が必要とされ、複雑な操作が要求される。この結果、ハードディスクを使用した多重録音システムは限られた一部で利用されてはいるが一般的には普及していない。また磁気ディスクは光ディスクの位相ピットのようなROM部がないため、予め音楽を記録しておくためには1枚毎に音楽を磁気的に記録する必要があり、製作コストが上昇するという問題もある。
ハードディスクに比べて簡単で扱いやすい媒体としてMD(Mini Disk)を使用した多重録音システムも実現されている。MDを使うことで媒体は安価となるが、複数トラックに順番にユーザーが音楽を記録しなればならないという点はハードディスクを使用した装置と同じである。このため出荷時に予め音楽情報を記録するには、やはりハードディスクの場合と同じように1枚毎に光磁気記録しなければならず、媒体コストが上昇してしまう。また、複数トラックにした分だけ記録容量が低下するという問題もある。したがって、従来の記録用MDによる多重録音システムも一部の専門家に使用されてはいるが一般的には普及していない。以上のように一部の専門家を除けば、これまでの音楽の楽しみ方は音楽を聴く、楽器を単独で演奏する、単独の演奏を録音再生するの3つに限られている。
一方、1枚の媒体にROM部とRAM部を設けたコンカレントROM/RAM方式の光ディスクは、一部の専門家に限られていた多重録音、同時再生機能を安価に実現させる可能性を秘めている。例えば位相ピットによるROM部に予め記録されている音楽あるいは画像情報に同期させて同じ位置に別の音楽あるいは画像情報をRAM部に記録する方法が提案されている(特許文献1)。また、パーシャルROM方式を用いて分割記録された音楽情報を時間的に同期再生する方法も提案されている(特許文献2,3)。いずれの提案も音楽情報の時間的な同期に関する方法でありミクシング時の出力比、あるいは波形調整については不明である。
【特許文献1】:特開平07−065375号公報
【特許文献2】:特開平05−151758号公報
【特許文献3】:特開平11−077294号公報
音楽情報を多重記録再生する際には、各音楽情報の時間的な同期も必要であるが、それと同時にミクシングする際の各音楽情報の出力比あるいは波形調整も重要である。出力比あるいは波形調整なしのミクシングでは十分な品質で音楽を聴くことが極めて困難である。一般に各音楽情報の最適な出力比あるいは波形調整量は、記録時に予測して決定することは困難であり、記録後の再生時に自由に設定できることが好ましい。しかもその設定は各音楽コンテンツ固有の条件であるから個々の情報媒体に記録されていることが好ましい。そこで本願発明者にあっては、ROM部とRAM部を有する光ディスクの同期記録再生におけるミクシング方法を提案している。このミクシング方法は、単一のROM情報に対して一つのRAM情報をミクシング記録再生することを前提としている。
しかしながら、実際のミクシング記録では1回だけの記録では不十分であることが多い。例えば音楽演奏をROMに同期して記録する場合でも、通常は1回の記録で満足できるとは限らない。数回の演奏により各演奏を比較することもある。また、複数の楽器を使ったマルチトラック記録を行うことも考えられる。またROM部についても同様に複数種類の演奏あるいは映像を記録しておけば選択肢が増える。
【発明の開示】
本発明は、音楽情報などの多重記録再生に好適なROM部とRAM部の記録構造を備えた光ディスク及び記録再生装置を提供することを目的とする。
本発明は、光反射率を利用した位相ピットで情報が記録されたROM部と、記録及び再生可能なRAM部とが層状に配置され、ROM部に記録された情報とRAM部に記録された情報が同期再生される光ディスクであって、RAM部がROM部と同期再生可能な複数の情報記録エリアに分割されていることを特徴とする。
このような本発明の光ディスクによれば、ROM部にはROM情報として例えば楽器の演奏パート以外のドラム、ベース、ギター、コーラス、ボーカルなどの音楽情報を予め記録しておき、楽器の演奏はROM部に記録された音楽情報を聞きながらそれに合わせて行う。そして音楽ROM情報の再生と同時に楽器の演奏を同じ光ディスクのRAM部に同期記録する。この場合、楽器を変えたり、同じ楽器の演奏を繰り返すなどして別々のRAM部に同期記録できる。同期記録が済んだ後は、ROM部及び1又は複数のRAM部に多重記録した音楽情報を同期再生して合成出力する多重再生が簡単にできる。その結果、これまで一部の専門家に限られていた多重録音機能を手軽に安価に実現することが可能となる。
また本発明の別の形態にあっては、光反射率を利用した位相ピットで情報が記録されたROM部と、記録及び再生可能なRAM部とが層状に配置され、ROM部に記録された情報とRAM部に記録された情報が同期再生される光ディスクであって、逆に、ROM部がRAM部と同期再生可能な複数の情報記録エリアに分割されていることを特徴とする。
光ディスクの情報記録エリアは、RAM部がROM部と同期再生可能な複数の情報記録エリアに分割されている場合、一定の時間長さの情報量を有する少なくとも一区切りのROM部と、ROM部の時間長さに等しい情報量を有する少なくとも二区切りのRAM部を単位とする構造である。
また前記情報記録エリアは、ROM部がRAM部と同期再生可能な複数の情報記録エリアに分割されている場合、一定の時間長さの情報量を有する少なくとも二区切りのROM部、ROM部の時間長さに等しい情報量を有する少なくとも一区切りのRAM部を単位とする構造である。
光ディスクにおけるRAM部及びROM部が重畳配置されている。RAM部が光磁気記録膜である。更に、各ROM部及びRAM部に記録された情報を合成する際に使用されるミクシング情報を記録する領域を媒体上に備える。ミクシング情報が前記情報記録エリア以外のRAM部に記録される。
本発明の別の形態にあっては、反射率を利用した位相ピットで情報が記録されたROM部と、光により記録及び再生可能なRAM部とが媒体上の異なる位置に配置された円盤状の光ディスクに於いて、RAM部がROM部と同期再生可能な複数の情報記録エリアに分割されていることを特徴とする。
ここで情報記録エリアは、各分割されたRAM部の一定の時間長さの合計がROM部の時間長さに略同じである。また、各分割されたRAM部のミクシング情報が媒体上に記録されている。
本発明の別の形態にあっては、反射率を利用した位相ピットで情報が記録されたROM部と、光により記録及び再生可能なRAM部とが媒体上の異なる位置に配置された円盤状の多重光ディスクに於いて、逆にROM部がRAM部と同期再生可能な複数の情報記録エリアに分割されていることを特徴とする。
ここで、情報記録エリアは、各分割されたROM部の一定の時間長さの合計がRAM部の時間長さに略同じである。また各分割されたROM部のミクシング情報が媒体上に記録されている。ROM部及びRAM部が円周方向に繰り返し配置されている。RAM部が相変化記録膜から形成されている。ミクシング情報が情報記録エリア以外のRAM部に記録される。
本発明の光ディスクは、ROM部に音楽情報が記録され、RAM部にROM部の音楽情報に同期した他の音楽情報が記録されている。
本発明は、光反射率を利用した位相ピットで情報が記録されたROM部と、記録及び再生可能なRAM部とが層状に配置され、RAM部がROM部と同期再生可能な複数の情報記録エリアに分割された光ディスクの情報を記録再生する記録再生装置を提供する。
この記録再生装置は、ROM部のROM情報とRAM部の各RAM情報を検出する情報検出部と、情報検出部で検出されたROM情報と1又は複数のRAM情報を同期合成して再生する再生部とを有することを特徴とする。
本発明の別の装置形態にあっては、光反射率を利用した位相ピットで情報が記録されたROM部と、記録及び再生可能なRAM部とが層状に配置され、ROM部がRAM部と同期再生可能な複数の情報記録エリアに分割された光ディスクの情報を記録再生する記録再生装置を提供する。この記録再生装置は、ROM部の各ROM情報とRAM部のRAM情報を検出する情報検出部と、情報検出部で検出されたRAM情報と1又は複数のROM情報を同期合成して再生する再生部とを有することを特徴とする。
本発明の別の装置形態にあっては、反射率を利用した位相ピットで情報が記録されたROM部と、記録及び再生可能なRAM部とが媒体上の異なる位置に配置され、RAM部がROM部と同期再生可能な複数の情報記録エリアに分割された光ディスクの記録再生装置に於いて、ROM部のROM情報とRAM部の各RAM情報を検出する情報検出部と、情報検出部で検出されたROM情報と1又は複数のRAM情報を同期合成して再生する再生部とを有することを特徴とする。
更に本発明の別の装置形態にあっては、反射率を利用した位相ピットで情報が記録されたROM部と、記録及び再生可能なRAM部とが媒体上の異なる位置に配置され、ROM部がRAM部と同期再生可能な複数の情報記録エリアに分割された光ディスク記録再生装置に於いて、ROM部の各ROM情報とRAM部のRAM情報を検出する情報検出部と、情報検出部で検出されたRAM情報と1又は複数のROM情報を同期合成して再生する再生部とを有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明の光ディスク及び記録再生装置を用いた多重記録再生システムの説明図;
図2は図1の記録再生装置の説明図;
図3は本発明による光ディスクの構造説明図;
図4は本発明の光ディスクにおけるROM信号とRAM信号の多重記録状態の説明図;
図5は本発明の光ディスクにおける記録領域の説明図;
図6はRAM部がROM部と同期再生可能な3つの記録情報エリアに分割された本発明の光ディスクにおける記録構造の説明図;
図7は図6に基づく具体的に媒体フォーマットの説明図;
図8は本発明の光ディスクでミクシング情報を記録するTOC領域の説明図;
図9は図6のTOC領域の媒体フォーマットの説明図;
図10は本発明による記録再生装置のブロック図;
図11はROM部がRAM部と同期再生可能な3つの記録情報エリアに分割された本発明の光ディスクにおける記録構造の説明図;
図12はRAM部が2つのROM部と同期再生可能な3つの記録情報エリアに分割された本発明の光ディスクにおける記録構造の説明図;
図13は円周方向についてRAM部がROM部と同期再生可能な3つの記録情報エリアに分割された本発明の光ディスクにおける記録構造の説明図;
図14はRAM部とROM部を内周側と外周側に分割した本発明の光ディスクの説明図;
図15はRAM部とROM部を円周方向に分割した本発明の光ディスクの説明図;
図16はROM部とRAM部の多重記録構造を媒体厚み方向で二重化した本発明の光ディスクの説明図;
【発明を実施するための最良の形態】
図1は、本発明の光ディスク及び記録再生装置を用いた音楽用の多重記録再生システムの説明図である。
図1において、本発明の記録再生装置10に対しては記録媒体としての光ディスク12が使用され、記録再生装置10のスロットから光ディスク12を挿入することで記録再生を行うことができる。本発明の光ディスク12は、光反射率を利用した位相ピットで予め情報が記録されたROM部と、記録及び再生可能なRAM部とが、媒体厚み方向に層状に配置され、ROM部に記録された情報とRAM部に記録された情報を同期再生することが可能であり、更に本発明にあっては、1つのROM部に対応したRAM部がROM部と同期再生可能な複数の情報記憶エリアに分割されていることを特徴とする。
図1の多重記録再生システムは、記録再生装置10に対し例えばギター16、マイク18を入力接続すると共に、スピーカ20を出力接続しており、ギター16以外にピアノ14を配置しており、ピアノ14の音はマイク18から入力するようにしている。即ち、ギター16の音は直接、電気信号に変換されて記録再生装置10に与えられ、ピアノ14からの音はマイク18により電気信号に変換されて記録再生装置10に入力され、それぞれAD変換器によりデジタル信号に変換された後に光ディスク12に記録される。このとき光ディスク12のROM部に予め記録されている音楽情報をスピーカ20から出力させる。スピーカ20から出力されるROM部の音楽情報としては、例えば楽器の演奏パート以外のドラム、ベース、ギター、コーラス、ボーカルなどのバンド演奏でもよいし、あるいはオーケストラの演奏でもよく、更には一定間隔のリズムを刻む音であってもよい。いずれにしてもギター16やピアノ14といった楽器の演奏は、光ディスク12のROM部に記録された音楽情報をスピーカ20で再生し、それを聞きながら演奏し、ROM部に対応した複数のRAM部の情報記録エリアのいずれかに録音する。
光ディスク12のROM部に対応した複数の情報記録エリアに分割されたRAM部に対する音楽情報の記録は、ギター16やピアノ14の音楽信号を別々に記録してもよいし、あるいはギター16といった同じ楽器の演奏を数回繰り返して別々に同期記録することも可能である。もちろん、ギター16のように演奏の電気信号を直接、記録再生装置10に入力する複数の楽器について同時に演奏して、ROM部に対応したRAM部の各情報記録エリアに別々に記録することも可能である。ここで、記録再生装置10からの出力信号をスピーカ20に送って再生しているが、スピーカ20で再生した場合にはマイク18などで音を拾う可能性があることから、このような場合にはヘッドフォンなどの出力機器を使用すればよい。また光ディスク12からの音楽情報の再生は、RAM部に記録情報がない場合にはROM部の予め記録された音楽情報の再生出力のみを行うものであるが、一旦、ギター16やピアノ14による演奏情報がRAM部に記録された場合には、ROM部とRAM部の各音楽情報を読み出して信号を合成した後にスピーカ20から出力することもできる。もちろんスピーカ20としては、外部スピーカのみならず、記録再生装置10そのものにスピーカを内蔵してもよい。
図2は、図1の本発明による記録再生装置の説明図である。図2において、記録再生装置10は、前面に光ディスク12の投入排出を行うスロット11を備えており、スロット11から光ディスク12を投入することで音楽情報の記録再生が可能となる。記録再生装置10には、多重記録再生のための操作部として、曲ナンバー選択部22、ミクシングON/OFF釦24、音量比調整釦26、RAM音質調整釦28、ROM音質調整釦30、決定釦32及びミクシングトラック選択釦34が設けられている。また、この例では、記録再生装置に対し2台のスピーカ20−1,20−2を接続し、音楽情報のステレオ再生を可能としている。
図2における本発明の記録再生装置10の各操作部は、光ディスク12に対し図1に示したような楽器を使用して複数の音楽情報の多重記録を行った後のミクシング操作に利用される。例えば、多重録音の済んだ光ディスク12を記録再生装置10にローディングした状態でミクシングON/OFF釦24を操作してミクシングONとした後に、曲ナンバー選択部22により特定の曲を選択し、これによりミクシング状態が有効となり、音量比調整釦26、RAM音質調整釦28及びROM音質調整釦30が可能となる。
この状態で、光ディスク12に多重録音されているROM部とRAM部の再生により、ミクシングされた音楽がスピーカ20−1,20−2から出力される。このためユーザーは、再生音楽を聴きながらRAM音質調整釦28及びROM音質調整釦30を操作し、好みの条件に調整する。調整ができたならば決定釦32を押すことにより、調整された音量比、音質の各情報が装置内のTOC(テーブル・オブ・コンテンツ)メモリに記録され、曲の再生が終了すると、光ディスク12に予め設けられているTOCエリアにミクシングの設定条件の情報が記録される。また、再生時にミクシングトラック選択釦34を選択することで、ROMに対応した複数領域に分割されているRAM部の情報記録エリアのいずれか1つを選択して、これによってミクシング対象とする記録済みの音楽情報を選択することができる。
図3は、本発明による光ディスクの構造説明図である。図3(A)は本発明による光ディスク12の外観を示しており、媒体記録面に編集またはスパイラル方向に記録トラックが形成されている。図3(B)は、光ディスク12の半径方向断面の一部となる12aの部分を取り出している。光ディスク12は、透明基板36の上部に光反射率を利用した位相ピット45により情報が記録されたROM部を備えており、この位相ピット45の記録面の上には、保護コート46が形成されている。
図3(C)は、図3(B)の透明基板36に形成された位相ピット45の部分を、半径方向の断面について媒体構造を拡大して示した説明図である。図3(C)において、光ディスク12は、レーザ光52が入射する側に透明基板36を配置し、透明基板36に続いてRAM部48とROM部50を層状に形成し、その上に保護コート46を設けている。このRAM部48及びROM部50の構造の詳細は、透明基板36に続いて誘電体膜38、光磁気記録膜40、誘電体膜42を設けることでRAM部48を形成し、続いて反射膜44を設けることでROM部50を形成し、更に保護コード46を設けている。透明基板36はポリカーボネートまたはアモルファスポリオリフィンなどを材料とし、透明基板36の表面には成型によりROM部を構成する図3(B)に示すような位相ピット45が形成されている。この透明基板36をスパッタ装置に導入し、RAM部48を成膜する。この成膜は、透明基板36の位相ピット形成面に対し、まずSiNなどの誘電体膜38を成膜し、次にTbFeCoなどの光磁気記録膜40を成膜し、続いてSiNなどの誘電体膜42を成膜し、最後に反射膜44を成膜する。
このようなRAM部48とROM部50を層状に形成した光ディスク12に対し、透明基板36側からレーザ光52を照射すると、ROM部50の位相ピットによる反射率の変化とRAM部48に形成した光磁気記録膜40による記録または再生を同時に行うことができる。
図4は、本発明の光ディスク12におけるROM信号とRAM信号の多重記録状態の説明図であり、図3(B)の位相ピット45を下側から見た状態で表している。図4において、光ディスクの円周方向に位相ピットを形成する凹凸の記録が物理的に行われており、これがROM信号52となる。このようなROM信号52の位相ピットに対し、その下側に図3(C)に示したように光磁気記録膜40が形成されていることから、ここに例えば磁気マークとしてのRAM信号54が記録されることになる。ここでRAM信号54の記録時のタイミング検出のためにROM信号52のデータを利用する場合、RAM信号54のマーク長はROM信号のn倍(但しn=1,2,3,…となる任意の整数)とすればよい。
図5は、本発明の光ディスク12における記録領域の説明図である。この例では、光ディスク12上のN曲目の記録領域56とN+k曲目の記録領域58を示しており、各記録領域56,58にあってはROM部に対しRAM部が複数の情報記録エリアに分割されている。
図6は本発明の光ディスクにおいて、ROM部に対しRAM部が同期再生可能な3つの記録情報エリアに分割された場合の記録構造、即ち記録フォーマットの説明図である。図6は3つのROM部64,66,68を取り出している。ROM部64は3つのRAM部70,72,74となる記録情報エリアに分割され、ROM部66もRAM部76,78,80となる3つの記録情報エリアに分割され、更にROM部68もRAM部82,84,86の3つの記録情報エリアに分割されている。このため、例えばROM部64を例にとると、ROM部64の情報を再生する際に、これに同期して3つのRAM部70,72,74に対する情報の記録または情報の再生を同期的に行うことができる。
図7は、図6に基づく本発明の光ディスク12における具体的な媒体フォーマットの説明図である。図7(A)はROM部88であり、セクタの先頭を識別するためのセクタ同期信号90、セクタごとの番地を示すセクタアドレス92、ROMデータ部94から構成されている。更にROMデータ部94にはセクタ内の分割位置を示すアドレス102,104が形成され、セクタ内をサーボセクタ96,98,100に分割している。一方、図7(B)のRAM部106については、図7(A)のROM部88による1つのROMセクタに対し同期記録再生可能な3つのRAMセクタに分割する例を示していることから、ROM部88のセクタアドレス92、アドレス102,104に対応してRAM部106の分割RAMセクタ108,110,112の先頭にフラグ114,116,118を設け、分割RAMセクタが記録済みであるか否かを示すようにしている。このようなROM部88のROMデータ部94とRAM部106の各分割RAMセクタ108,110,112に対しては、時間長さが同じ音楽情報が記録されることから、ROMデータ部94については予め音楽情報を非圧縮で位相ピットにより固定記録しておき、これに対し分割RAMセクタ108,110,112に対しては、同じ時間長さの音楽情報に対し、これを圧縮することで3分の1の時間長さとし、3つの圧縮された音楽データの合計時間とROMデータ部94の時間とを同一時間とする記録を行う。
図8は、本発明の光ディスク12でミクシング情報を記録するTOC領域の説明図である。この実施形態の光ディスク12にあっては、図3(C)に示したような構造のRAM部48とROM部50を持つデータ領域60に対し、例えばその内周側にRAM部のみの構造を持つTOC領域62を設けている。TOC領域62には、データ領域60に記録された各音楽情報についての音量比、音質、波形調整情報などのミクシング情報が記録されている。このミクシング情報は、1つのROM部に対しRAM部が複数に分割されていることから、各分割されたRAM部ごとに記録している音楽情報のミクシング情報が独立に記録される。
図9は、図8のTOC領域における媒体フォーマットの説明図である。この図9のTOC領域は図7のデータ領域に対応している。図9において、TOC領域は、図9(A)のROM−TOC部114と図9(B)のRAM−TOC部130から構成されている。ROM−TOC部114については、曲数120、コンテンツアドレス122、曲名124、時間126及びRAM分割数128が記録されている。このROM−TOC部114は固定情報であることから、TOC領域における位相ピットとして形成する。図9(B)のRAM−TOC部130は、分割RAMセクタに分けてRAMミクシング情報131,132,134を設け、ここに音量比、音質、波形調整情報などのミクシング情報を記録する。またRAM記録情報136が設けられ、記録済みの分割RAMセクタと未記録の分割RAMセクタの状態を記録している。
図10は、本発明による記録再生装置の実施形態を示したブロック図である。
図10において、スピンドルモータ138に対しては、図示しないローディング及びアンローディング機構により外部から挿入された光ディスク12が装着され、一定速度で回転される。スピンドルモータ138は回転制御回路140により制御され、この回転制御はクロック生成回路160からのクロックに基づき、例えばCLV制御(線速度一定制御)が行われる。光ディスク12に対する記録再生のヘッドとして、この実施形態では光ヘッド142と磁気ヘッド144を備え、RAM部については光ヘッド142によるレーザ光のDC連続光の照射状態で磁気ヘッド144からの磁気マークを記録し、また、光ディスク12のROM部及びRAM部の同期再生については光ヘッド142からのレーザ光のDC連続光による再生を行なう。このような光ヘッド142と磁気ヘッド144からなるヘッド構成については、例えばテレビジョン学会Vol.46 No.10 1319〜1324頁(1992)に記載されている構成を用いることができる。このようなヘッド構成により光ディスク12の位相ピットからなるRAM信号と、光磁気記録膜に形成された磁気マークの分離同時読出しが可能となる。光ディスク12に情報を記録するための記録部は、データ圧縮回路146、記録メモリ148、記録データ処理回路150及び記録ドライバ152で構成される。一方、光ディスク12のROM部及びRAM部の情報を同期再生する再生部は、ROM再生アンプ154、ROM再生データ処理回路156、ROMバッファメモリ158、RAM再生アンプ162、RAM再生データ処理回路164、データ伸張回路166、第1バッファメモリ168、第2バッファメモリ170、第3バッファメモリ172及びミクシング回路174で構成される。更に、これら記録部及び再生部を制御するためMPUなどのファームウェアを用いた制御回路176が設けられ、制御回路176に対しては操作部178と表示部180が設けられ、更にTOCメモリ182を接続している。
次に図10の記録再生装置につき、光ディスク12のROM部とRAM部の同期再生の動作を説明する。ユーザが操作部178を使用して曲を選択すると、選択した曲のアドレスに対応する位置に光ヘッド142が移動し、ROM部とRAM部の記録情報が分離されて読み出される。光ヘッド142により分離して読み出されたROM部とRAM部の読出信号は、それぞれROM再生アンプ154とRAM再生アンプ162で増幅及び波形成形された後に2値化され、ROM再生データ処理回路156とRAM再生データ処理回路164に入力される。ROM再生データ処理回路156とRAM再生データ処理回路164は、2値化された再生信号に対し、例えば8−14変調(EFM)に対する復調を行った後にエラー訂正動作を行って、ROMデータ及びRAMデータを出力する。ここで、ROM再生データ処理回路156はROMデータのセクタアドレス信号を分離し、制御回路176に供給する。制御回路176はセクタアドレス信号を受けて光ディスク12上の光ヘッド142の位置を認識すると共に、図示しない光学ヘッド移動機構を用いて光ヘッドを目標位置に移動させるトラッキング制御を行う。またROM再生アンプ154の出力はクロック生成回路160に供給され、CLVによる回転制御のためのクロックを回転制御回路140に供給すると共に、記録タイミングのためのクロックを記録ドライバ回路152に供給する。ROM再生データ処理回路156で復調されたROMデータは、ROMバッファメモリ158に供給される。ここで、分割された3つのRAM部に対応して3つのバッファメモリ168,170,172が設けられている。RAM再生データ処理回路164は、3つのRAM部のそれぞれから復調されたRAM圧縮データをデータ伸張回路166で元に戻す伸張処理を行った後、各RAM部に対応して設けた第1,第2,第3バッファメモリ168,170,172のそれぞれに供給する。ROMバッファメモリ158に格納されたROMデータ及び第1,第2,第3バッファメモリ168,170,172に格納された各RAMデータは、TOCメモリ182に記録されたミクシング条件に従った制御回路176の指示に従いミクシング回路174で合成され、外部に出力され、スピーカやヘッドフォンなどの出力機器から再生音楽を出力する。
次に図10の本発明の記憶再生装置において光ディスク12のROM部の再生と同期したRAMに対する記録動作について説明する。例えば図1の多重記録再生システムに示したようにユーザが光ディスク12のROM部に記録されている音楽情報を再生しながらギター16を演奏して、RAMに同期記録するような場合である。このようなROM部と同期したRAMの記録にあっては、光ヘッド142及び磁気ヘッド144が光ディスク12の選曲された位置に位置決め制御された後に記録再生動作が同時に行なわれる。再生動作にあっては光ヘット142により光ディスク12の選曲されたROM部のRAMデータが読み出され、ROM再生アンプ154で増幅制御された後、ROM再生データ処理回路156で復調され、ROMバッファメモリ158に格納された後にミクシング回路174を介して、外部のスピーカ類に再生される。この時、制御回路176にあっては録音であることからRAM部の復調データとのミクシングは行なわれていない。このようなROM部の再生による音楽収録を聞きながらユーザがギターを演奏し、ギター演奏による入力信号がAD変換された後に、データ圧縮回路146により圧縮され、記録メモリ148に供給される。ここで光ディスク12のROM部との再生により検出されたアドレス情報が、ROM再生データ処理回路156から制御回路176に与えられており、制御回路176の指示により光ディスク12の再生中のROM部に対応したRAMへの記録タイミングの制御が行なわれる。この記録タイミングにおいて記録メモリ148から読み出された圧縮データは記録データ処理回路156においてエラー検出訂正用のデータが付加され、例えば8−14変調(EFM)後に記録ドライバ152を介して磁気ヘッド144により光ディスク12のRAM部に磁気マークとして記録される。ここで磁気ヘッド144に光ディスク12のRAM部に情報を記録する場合には光ヘッド142から照射されるレーザ光はDC連続光となっているため、磁気ヘッド144によるRAM部に対する磁気マークの記録と共にROM部の再生が通常と同じ方法で行なうことができる。
次に図10の本発明による記録再生装置において、光ディスク12のRAM部に対するギター演奏などの記録動作が終了した後に行なう同期再生時のミクシング動作について説明する。このミクシング動作は光ディスク12のROM部に同期してギター演奏などによりRAM部に記録された音楽データのミクシング条件をユーザの好みに合わせて調整し、記録するようになる。このミクシング動作については図2に示した記録再生装置10のミクシングON/OFF釦24を操作してミクシングオンとし、曲ナンバー選択部22によりミクシング対象の曲を選択すると共に、ミクシングトラック選択釦34によりRAM部に対応するミクシングトラックを選択して再生を開始する。このようなミクシング動作に伴う図10の操作部178からの信号をうけて制御回路176はユーザが設定したミクシングの為の条件に従い、光ディスク12の選択された対象曲のROM部とミクシングトラックとして選択されたRAM部の同期再生を行い、両者が合成された再生曲をスピーカから出すようになる。このようなミクシングによる同期再生の状態でユーザは再生された曲を聞きながら、図2の音量比調整釦26やRAM音質調整釦28さらにはROM音質調整釦30により好みに合わせた調整を行なう。このミクシングの為の調整された条件は制御回路176を通して、TOCメモリ182に記録される。ミクシングのための調整が済んで曲の再生が終了したならば、ユーザは図2のミクシング決定釦32を押す。このミクシング決定釦32を押すことでTOCメモリ182に記録されたミクシング条件が図8に示したように光ディスク12のTOC領域62に記録される。すなわちTOC領域には図9に示すようなROM−TOC部114とRAM−TOC部130が設けられていることから、例えばRAM−TOC部130のRAMミクシング情報130に対し、ユーザが決定したミクシング条件が記録される。このようにミクシング条件を光ディスクのROM−TOC部114に記録することで光ディスク12そのものが記録しているROM部とこれに対応した複数のRAM部の情報についてのミクシング条件を持つこととなり、この光ディスクを別の装置で再生した場合でも同じ条件で曲を聴くことが可能となる。
図11は、本発明の光ディスクにおけるROM部とRAM部の他の実施形態を示した記録構造、すなわち媒体フォーマットの説明図である。この図11の記録構造にあっては、1つのRAM184に対応するROM部を3つのROM部190,192,194からなる情報記録エリアに分割している。この関係はちょうど図6に示したROM部とRAM部の関係を逆にしている。このため図11のフォーマット構成を持つ光ディスクにあっては、例えば1つのRAM184に対応した3つの情報記録エリアに分割されたROM部190,192,194のそれぞれに位相ピットの形成により、予め3種類の異なる音楽情報を記録していることになる。このためユーザにあっては3つのROM部190,192,194の少なくともいずれかひとつのROMデータを選択して再生しながらギター、ピアノなどのいずれかひとつの楽器演奏を行なってRAM部184に同期記録し、その後に両者の同期再生を行なってミクシング条件を決定し、決定したミクシング条件を光ディスクのTOC領域に記録するようになる。ここでRAM部184の時間長さに対し3つのROM部190,192,194の再生時における時間長さを同一にする必要があり、従ってRAM部184に対し、3つのROM部190,192,194のデータはその3分の1に圧縮した圧縮データを位相ピットにより記録していることとなる。このようなRAM部及び対応する3つのROM部の関係は、RAM部184に続くRAM部186,188についても同様であり、それぞれ3つのROM部196,198,200及びROM部202,204,206に分割されている。
図11の記録構造を持つ光ディスクの記録再生装置としては、基本的には図10の装置構成でよいが、ROM部が1つのRAM部に対し3つの情報記録エリアに分割されていることから、ROMバッファメモリ158として第1、第2、第3のROMバッファメモリを図示のRAM部用の第1、第2、第3バッファメモリ168,170,172と同様に設ける。またデータ伸張回路もROMバッファメモリ158側に設ける。一方、RAM側についてはデータ伸張回路166は不要であり、またバッファメモリも1つよい。
図12は、本発明の光ディスクにおける他の記録構造、即ち記録フォーマットの説明図である。この図12の実施形態にあっては、2つのROM部に対応して、RAM部を3つ情報記録エリアに分割したことを特徴とする。例えば先頭側のROM部208,210の2つに対し、RAM220,222,224の3つの情報記録エリアを対応して分割している。この場合、ROM部208、210のそれぞれの時間長さに対し3つのRAM部220,222,224の時間長さを同一にする必要があるため、RAM部220,222,224のデータはROM部208,10のデータに対し3分の2の時間長となるように圧縮して同期記録することになる。この点は、残りのRAM部212〜218及びROM部226〜236についても同様である。この図12のような記録構造を持つ光ディスクの再生については、図10におけるROMバッファメモリ158を2つ設けることで実現でき、もちろんデータ圧縮回路146及びデータ伸張回路166は記録データの時間長さを3分の2に圧縮して光ディスクに記録した後、これに対応するデータ伸張を行なって再生するものであれば良い。
図13は、光ディスクのトラック方向(円周方向)についてROM部とRAM部が連続して形成された場合の記録構造、すなわち記録フォーマットの説明図である。このトラック方向にROM部とRAM部が連続する記録構造にあっては、例えばROM部242とこれに続く3つのRAM部244,246,248で1つの記録再生エリア238を構成している。このようなROM部とRAM部がトラック方向に連続して形成された光ディスクとしては、図3に示したRAM部48とROM部50を層状に形成している光ディスクに限定されず、相変化型の光ディスクを用いることも可能である。
図14は、本発明による光ディスクによる他の実施形態であり、この光ディスク12にあっては光ディスク12の記録領域を内周と外周に分け、例えば外周の記録領域を光磁気マークを備えたRAM部領域256とし、内周の記録領域を位相ピットを形成したROM部領域258としたことを特徴とする。
図15は、同様に光ディスク12をROM領域とRAM領域に分けた他の実施形態であり、この実施形態にあっては光ディスク12を円周方向に分けている。即ち光ディスク12の円周方向を4分割し、RAM領域260、ROM領域264、RAM領域262及びROM領域266に分けて設けている。このように光ディスクの記録面をROM領域とRAM領域に分けた記録構造にあっては、図14の半径方向にRAM領域256とROM領域258を分けた場合には、予めテーブル情報などにより外周のRAM領域256と内周のROM領域258の対応セクタテーブルを準備しておき、ROMデータ及びRAMデータを各領域から読み出した後にバッファメモリに格納し、バッファメモリに格納が完了した後に同期再生すればよい。また図15の円周方向にRAM領域とROM領域を分割した場合には、同一トラック上にRAM領域とROM領域が交互に存在することから、これに対応したROMデータとRAMデータの対応セクタテーブルを準備し、このセクタテーブルの対応関係に従ったROMデータとRAMデータの同期再生及び同期記録を行なえばよい。
図16は、本発明の光ディスク12の他の実施形態であり、図3の光ディスク12と同様RAM部とROM部を層状に設けているが、更にRAM部とROM部を媒体厚み方向に二重化したことを特徴とする。
図16(A)は二重記録構造を持つ光ディスク12の断面図であり、透明基板268に形成した位相ピット270に続いて記録層272を設け、これにより第1のROM部とRAM部を形成している。続いてスペース層278を介して位相ピット274と記録層276を設け、これにより第2のROM部とRAM部を構成し、その上に保護コート280を設けている。
図16(B)は保護コート280側に位置する第2のROM部及びRAM部の詳細構造であり、図16(C)は透明基板268側に位置する第1のROM部とRAM部の詳細構造である。まず図16(C)の第1のROM部とRAM部を説明すると、透明基板268の位相ピット形成面に対し、SiNなどの誘電体膜286を成膜し、次にTbFeCoなどの光磁気記録膜288を成膜し、次にSiNなどの誘電体膜290を成膜し、最後に半透明反射膜292を成膜する。次に図16(B)の第2のROM部とRAM部を説明すると、予め位相ピットが生成されたスタンプなどの密着張り合わせによるUV効果で形成されたスペース層278に続いて、SiNなどの誘電体膜294を成膜し、次にTbFeCoの光磁気記録膜296を成膜し、次にSiNなどの誘電体膜298を成膜し、更にAl,銀、金これらの合金を使用した反射膜300を成膜している。ここで図16(C)の第1のROM部とRAM部の反射膜としては、位相ピットの読出しに必要な反射膜を確保するため、例えば30〜70%の範囲に反射率を調整している。このような反射率の調整によりその背後に位置する図16(B)の第2のROM部とRAM部に対しても、反射膜300による位相ピットの読出しに可能なレーザー光量の入射が得られ、反射膜300としては例えば80%以上の反射率を持たせることで、十分な位相ピットの読出しを可能とする。もちろん2段階のROM部とRAM部における反射率はその膜厚を調整することで必要とする適宜の反射率を決めることができる。この図16のような二重構造を持つ光ディスク12にあっては、図3の構造を持つ光ディスク12に対し、その記録容量を2倍にすることができる。また図16の二重構造を持つ光ディスク12にあっては図16(A)に示すように記録部の厚さ方向の位置に対応してレーザービーム282またはレーザービーム284のようにフォーカス位置を調整することで二重化されたいずれか一方ROM部とRAM部の同期記録及び同期再生を行なうことができる。
尚、上記の実施形態は1つのROM部に対し、RAM部を3つの情報記録エリアに分割した場合を例にとっているが、この分割数は2以上であればよく、必要に応じて適宜の分割数とすることができる。この関係は1つのRAM部に対し、ROM部を3つの情報記録エリアに分割した場合についても同様である。
また上記の実施形態は音楽情報の記録再生を例にとるものであったが、音楽情報以外の例えば画像情報の記録再生についても、まったく同様に適用することができる。また本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光反射率を利用した位相ピットで情報が記録されたROM部と、記録及び再生可能なRAM部とが層状に配置され、前記ROM部に記録された情報と前記RAM部に記録された情報が同期再生される光ディスクに於いて、
前記RAM部は前記ROM部と同期再生可能な複数の情報記録エリアに分割されていることを特徴とする光ディスク。
【請求項2】
光反射率を利用した位相ピットで情報が記録されたROM部と、記録及び再生可能なRAM部とが層状に配置され、ROM部に記録された情報とRAM部に記録された情報が同期再生される光ディスクに於いて、
前記ROM部は前記RAM部と同期再生可能な複数の情報記録エリアに分割されていることを特徴とする光ディスク。
【請求項3】
請求の範囲1の光ディスクに於いて、前記情報記録エリアは、一定の時間長さの情報量を有する少なくとも一区切りのROM部と、前記ROM部の時間長さに等しい情報量を有する少なくとも二区切りのRAM部を単位とする構造であることを特徴とする光ディスク。
【請求項4】
請求の範囲2の光ディスクに於いて、前記情報記録エリアは、一定の時間長さの情報量を有する少なくとも二区切りのROM部、前記ROM部の時間長さに等しい情報量を有する少なくとも一区切りのRAM部を単位とする構造であることを特徴とする光ディスク。
【請求項5】
請求の範囲1又は2の光ディスクに於いて、前記RAM部及びROM部が重畳配置されていることを特徴とする光ディスク。
【請求項6】
請求の範囲5の光ディスクに於いて、前記RAM部が光磁気記録膜であることを特徴とする光ディスク。
【請求項7】
請求の範囲1又は2の光ディスクに於いて、前記各ROM部及びRAM部に記録された情報を合成する際に使用されるミクシング情報を記録する領域を媒体上に備えたことを特徴とする光ディスク。
【請求項8】
請求の範囲7の光ディスクに於いて、前記ミクシング情報が前記情報記録エリア以外のRAM部に記録されることを特徴とする光ディスク。
【請求項9】
反射率を利用した位相ピットで情報が記録されたROM部と、光により記録及び再生可能なRAM部とが媒体上の異なる位置に配置された円盤状の光ディスクに於いて、
前記RAM部は前記ROM部と同期再生可能な複数の情報記録エリアに分割されていることを特徴とする光ディスク。
【請求項10】
請求の範囲9の光ディスクに於いて、前記情報記録エリアは、各分割された前記RAM部の一定の時間長さの合計が前記ROM部の時間長さに略同じであることを特徴とする光ディスク。
【請求項11】
請求の範囲9の光ディスクに於いて、各分割された前記RAM部のミクシング情報が媒体上に記録されていることを特徴とする光ディスクる
【請求項12】
反射率を利用した位相ピットで情報が記録されたROM部と、記録及び再生可能なRAM部とが媒体上の異なる位置に配置された円盤状の多重光ディスクに於いて、
前記ROM部は前記RAM部と同期再生可能な複数の情報記録エリアに分割されていることを特徴とする光ディスク。
【請求項13】
請求の範囲12の光ディスクに於いて、前記情報記録エリアは、各分割された前記ROM部の一定の時間長さの合計が前記RAM部の時間長さに略同じであることを特徴とする光ディスク。
【請求項14】
請求の範囲12の光ディスクに於いて、各分割された前記ROM部のミクシング情報が媒体上に記録されていることを特徴とする光ディスク。
【請求項15】
請求の範囲9又は12の光ディスクに於いて、前記ROM部及びRAM部が円周方向に繰り返し配置されていることを特徴とする光ディスク。
【請求項16】
請求の範囲9又は12の光ディスクに於いて、前記RAM部が相変化記録膜から形成されていることを特徴とする光ディスク。
【請求項17】
請求の範囲9又は12の光ディスクに於いて、前記ミクシング情報が前記情報記録エリア以外のRAM部に記録されることを特徴とする光ディスク。
【請求項18】
請求の範囲1、2、9又は12の光ディスクに於いて、前記ROM部に音楽情報が記録され、前記RAM部に前記ROM部の音楽情報に同期した他の音楽情報が記録されていることを特徴とする光ディスク。
【請求項19】
光反射率を利用した位相ピットで情報が予め記録されたROM部と、記録及び再生可能なRAM部とが層状に配置され、前記RAM部が前記ROM部と同期再生可能な複数の情報記録エリアに分割された光ディスクの情報を記録再生する記録再生装置に於いて、
前記RAM部の各情報記録エリア単位にRAM情報を記録する記録部と、
前記ROM部のROM情報と前記RAM部の各RAM情報を読出し、読み出されたROM情報と1又は複数のRAM情報を同期合成して再生する再生部と、
を有することを特徴とする記録再生装置。
【請求項20】
光反射率を利用した位相ピットで情報が記録されたROM部と、記録及び再生可能なRAM部とが層状に配置され、前記ROM部が前記RAM部と同期再生可能な複数の情報記録エリアに分割されて予めROM情報が記録された光ディスクの情報を記録再生する記録再生装置に於いて、
前記RAM部にRAM情報を記録する記録部と、
前記ROM部の各ROM情報と前記RAM部のRAM情報を読出し、読み出されたRAM情報と1又は複数のROM情報を同期合成して再生する再生部と、
を有することを特徴とする記録再生装置。
【請求項21】
反射率を利用した位相ピットで情報が予め記録されたROM部と、記録及び再生可能なRAM部とが媒体上の異なる位置に配置され、前記RAM部が前記ROM部と同期再生可能な複数の情報記録エリアに分割された光ディスク記録再生装置に於いて、
前記ROM部のROM情報と前記RAM部の各RAM情報を検出する情報検出部と、
前記情報検出部で検出されたROM情報と1又は複数のRAM情報を同期合成して再生する再生部と、
を有することを特徴とする記録再生装置。
【請求項22】
反射率を利用した位相ピットで情報が予め記録されたROM部と、記録及び再生可能なRAM部とが媒体上の異なる位置に配置され、前記ROM部が前記RAM部と同期再生可能な複数の情報記録エリアに分割された光ディスク記録再生装置に於いて、
前記RAM部にRAM情報を記録する記録部と、
前記ROM部のROM情報と前記RAM部の各RAM情報を読出し、読み出されたRAM情報と1又は複数のROM情報を同期合成して再生する再生部と、
を有することを特徴とする記録再生装置。

【国際公開番号】WO2005/052938
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【発行日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−510916(P2005−510916)
【国際出願番号】PCT/JP2003/015248
【国際出願日】平成15年11月28日(2003.11.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】