説明

光ディスク挿入装置

【課題】機構部の厚みを大きくせず、ローディングアームの支点の配置に自由度をもたせる。
【解決手段】左右に間隔を隔てて配設され相互に逆方向に回動可能とされている1対のローディングアーム11a,11bと、前記各ローディングアームに回転可能に支持され、各ローディングアームの回動により光ディスクの外周縁に当接しうる閉鎖位置および光ディスクの外周縁から離間する拡開位置を取りうる引き込みローラ15a,15bと、ローラ回転用モータ17の駆動により前記両引き込みローラを相互に逆方向に回転させる歯車伝導機構と、カム板駆動用モータの駆動により移動され、カム溝が形成されているカム板と、前記カム板のカム溝に嵌合されるカムフォロワを備え、前記カム板の移動により回動され前記両ローディングアームを同期的に相互に逆方向に回動させるローディングアーム制御レバー29とを有するもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクやジャケットに印刷を行うレーベル印刷機に使用される光ディスク挿入装置に係り、特に、1対の引き込みローラにより光ディスクを良好に引き込み、しかも印刷時には各引き込みローラを退避させるようにした光ディスク挿入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、光ディスクのスロットインタイプの光ディスク挿入装置には、鼓ローラによる引き込みタイプと、ローディングアームに設けたローラが回転して引き込むローディングアームタイプの2種類のものがある。
【0003】
このうち、ローディングアームタイプのものには、リンク機構を利用したもの(例えば、特許文献1参照)や、一方のローディングアームの支点における根元の歯車により他方のローディングアームも開かせるもの(例えば、特許文献2参照)があった。
【0004】
【特許文献1】特開2007−207403号公報
【特許文献2】特開平11−66677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した特許文献1のものにおいては、リンクの取り回しにおいて機構部の厚みが大となり、装置全体の厚みが大きくなってしまうという問題点があった。
【0006】
また、前述した特許文献2のものにおいては、ローディングアームの支点の配置に自由度がなくなるし、また、ローディングアームの拡開の度合いが小さいときに光ディスクを引き込む力が小さくなってしまうという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明は、機構部の厚みを大きくせず、ローディングアームの支点の配置に自由度をもたせ、しかも、安定的に光ディスクを引き込むことのできる光ディスク挿入装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するため、本発明の光ディスク挿入装置の特徴は、左右に間隔を隔てて配設され相互に逆方向に回動可能とされている1対のローディングアームと、前記各ローディングアームに回転可能に支持され、各ローディングアームの回動により光ディスクの外周縁に当接しうる閉鎖位置および光ディスクの外周縁から離間する拡開位置を取りうる引き込みローラと、ローラ回転用モータの駆動により前記両引き込みローラを相互に逆方向に回転させる歯車伝導機構と、カム板駆動用モータの駆動により移動され、カム溝が形成されているカム板と、前記カム板のカム溝に嵌合されるカムフォロワを備え、前記カム板の移動により回動され前記両ローディングアームを同期的に相互に逆方向に回動させるローディングアーム制御レバーとを有している点にある。
【0009】
そして、このような構成を採用したことにより、カム板を移動させてローディングアーム制御レバーを回動させるだけで1対のローディングアームを同期的に相互に逆方向に回動させることができる。
【0010】
また、本発明の他の光ディスク挿入装置の特徴は、前記ローディングアーム制御レバーには、扇形歯車が突設され、前記一方のローディングアームには、この扇形歯車に噛合している歯車が一体に形成され、この歯車には、他方のローディングアームを回動させる歯車列の歯車が噛合しており、前記ローディングアーム制御レバーの回動により前記1対のローディングアームが相互に逆方向に回動される点にある。
【0011】
そして、このような構成を採用したことにより、ローディングアーム制御レバーの扇形歯車の回動により一方のローディングアームが回動され、これと同時に歯車列がそれぞれ回動して他方のローディングアームが逆方向に回動されることになる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の光ディスク挿入装置によれば、カム板を移動させてローディングアーム制御レバーを回動させるだけで1対のローディングアームを同期的に相互に逆方向に回動させることができるので、簡単な構成により全体を薄型化して、両引き込みローラにより安定的に光ディスクを引き込むことができるし、また、必要に応じて両ローディングアームを拡開して退避させることができる。
【0013】
また、ローディングアーム制御レバーの扇形歯車の回動により一方のローディングアームが回動され、これと同時に歯車列がそれぞれ回動して他方のローディングアームが逆方向に回動されるので、両ローディングアームを安定的に同期的に回動することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1ないし図4は本発明に係る光ディスク挿入装置が搭載されているレーベル印刷機の全体を示すものである。
【0015】
図1ないし図4において、レーベル印刷機1は、ほぼ長方形状のフレーム2を有しており、このフレーム2の一端部には、印刷に供するCD、DVDなどの光ディスクやこれらを収納するディスクケースなどの被印刷物を挿脱するための挿脱口59が配設されている。
【0016】
前記挿脱口59の内側には、印刷を行うための後述するサーマルヘッドユニットが搭載されている。また、前記フレーム2の他端部には、レーベル印刷機の内部に収納されている前記被印刷物を前記挿入口方向へ押動するための後述するキャリッジユニットが配設されている。
【0017】
さらに、前記挿脱口59からレーベル印刷機内に円盤状の被印刷物を導入する際に使用される光ディスク挿入装置10が配設されている。
【0018】
この光ディスク挿入装置10は、図5および図6に詳示するように、前記フレーム2内に張設された基板3上に支持されている。なお、この基板3には、各種動作を行うための開口3Aが形成されている。
【0019】
前記光ディスク挿入装置10は、前記基板3に、左右に光ディスク挿入用の間隔を置いて回動自在に配設されている1対のローディングアーム11a,11bを有している。これらの両ローディングアーム11a,11bの平面形状は、相互に逆方向に彎曲しており、前記フレーム2の幅方向の中点に直交する仮想線分を中心線として線対称をなすようになっている。
【0020】
前記各ローディングアーム11a,11bは、それぞれの前記挿脱口59側となる基端部に各ローディングアーム11a,11bと一体に回動しうるように各ローディングアーム11a,11bの下側に配設されている回動用歯車12a,12bを有しており、前記各ローディングアーム11a,11bは、回動用歯車12a,12bの中心に位置する回動軸12ac,12bcを中心として回動されるようになっている。
【0021】
前記各ローディングアーム11a,11bの上側には、前記各回動用歯車12a,12bと同軸的に駆動用歯車13a,13bが各回動用歯車12a,12bから独立して回転しうるように配設されており、また、前記各ローディングアーム11a,11bの上側には、前記駆動用歯車13a,13bと順次噛合して回転しうる3つの歯車からなる駆動歯車列14a,14bが各ローディングアーム11a,11bに沿うように配設されている。さらに、前記各ローディングアーム11a,11bの先端部には、光ディスクの外周縁を挟持して、前記挿脱口59からレーベル印刷機の内部に引き込むためのゴム製の引き込みローラ15a,15bが回転自在に支持されている。両引き込みローラ15a,15bは同一の円筒形状とされており、各引き込みローラ15a,15bの回転軸16a,16bには、前記駆動歯車列14a,14bの最後尾の歯車14ac,14bcと噛合している歯車(図示せず)が嵌着されており、前記駆動用歯車13a,13bの回転により前記引き込みローラ15a,15bが回転駆動されるようになっている。
【0022】
図3に詳示するように、前記各引き込みローラ15a,15bを駆動するためのローラ回転用モータ17が前記基板3の上面に装着されている。図4に詳示するように、前記ローラ回転用モータ17の出力軸17Aには、ピニオン17Bが嵌着されており、このピニオン17Bには、同じく基板3に支持されている減速用歯車17Cが噛合している。また、この減速用歯車17Cには、同軸的にウォームホイール17Dが連接されている。
【0023】
前記ウォームホイール17Dの近傍には、前記基板3に支持されており一方の前記ローディングアーム11bの近傍まで水平方向に延在するウォーム支持軸18の一端部が位置している。このウォーム支持軸18の両端部には、それぞれウォーム18A,18Bが嵌着されている。このうち一端部のウォーム18Aは、前記ウォームホイール17Dに噛合されており、前記ウォームホイール17Dの回転を伝達され、ウォーム支持軸18を回転させるようになっている。
【0024】
前記ウォーム支持軸18の他端部のウォーム18Bの近傍には、前記基板3に回転自在に支持されているウォームホイール19が配設されており、このウォームホイール19には、前記ウォーム18Bが噛合され、前記ウォーム支持軸18の回転を前記ウォームホイール19に伝達するようになっている。
【0025】
前記ウォームホイール19の近傍には、前記基板3に回転自在に支持されているピニオン20が配設されている。このピニオン20は、前記駆動用歯車13bと同軸的に配設されており、このピニオン20の回転により前記駆動用歯車13bが回転されるようになっている。この結果、駆動用歯車13bに噛合されている駆動歯車列14bを介して引き込みローラ15bが回転駆動されることになる。
【0026】
前記ピニオン20には、同軸的にプーリ21Aがピニオン20と一体に回転するように配設されている。一方、前記ローディングアーム11aの基端部の近傍には、他のプーリ21Bが前記基板3に回転自在に支持されている。そして、前記両プーリ21A,21Bにはベルト22が巻回されており、前記ピニオン20の回転によりベルト22の走行を介してプーリ21Bが回転駆動されるようになっている。
【0027】
前記プーリ21Bには、図5および図6に詳示するように、同軸的に歯車23Aがプーリ21Bと一体に回転するように配設されている。また、この歯車23Aの近傍には、この歯車23Aに噛合している他の歯車23Bが配設されている。
【0028】
また、この歯車23Bの近傍には、この歯車23Bの回転軸23bを回動支点として前記基板3に回動自在に支持されている動力伝達遮断レバー24が配設されており、この動力伝達遮断レバー24には、前記歯車23Bと噛合しており、伝達遮断用歯車をなすピニオン23Cが回転自在に支持されている。この動力伝達遮断レバー24の前記ピニオン23Cから離間した端部には、後述するピン24Aがこのレバー24の表面から突出するように突設されている。さらに、この動力伝達遮断レバー24の近傍には、前記駆動用歯車13aと一体に回転するように同軸配置されている歯車23Dが臨んでおり、前記動力伝達遮断レバー24の回動に伴ない前記歯車23Bと噛合している前記ピニオン23Cは、歯車23Dに噛合して歯車23Bの回転を歯車23Dに伝達する伝達位置と、歯車23Dから離間して歯車23Bの回転を歯車23Dに伝達しない遮断位置とを取りうるようになっている。
【0029】
そして、前記ピニオン23Cが、両歯車23B,23Dに同時に噛合して歯車23Bの回転を歯車23Dに伝達すると、この歯車23Dの回転が、同軸配置されている前記駆動用歯車13aに伝達され、この駆動用歯車13aから駆動歯車列14aを介して引き込みローラ15aを回転駆動するようになっている。
【0030】
なお、前記両引き込みローラ15a,15bは、光ディスクODを引き込むように相互に逆方向に等速で回転駆動するようになっている。
【0031】
一方、前記引き込みローラ15aの駆動を停止して、他方の引き込みローラ15bのみを駆動することにより、光ディスクODを回転することができる。すなわち、1回目の印刷のみでは所望の印刷を完全に行うことができないような場合には、一度排出した光ディスクODを再度収納したうえで、2度目の印刷を行なう必要がある。この際には、光ディスクODの円周方向位置を1度目と同一位置に向け、光ディスクODを1回目と同じ向きに規制する必要がある。
【0032】
このような場合には、前記引き込みローラ15aの駆動を停止して、他方の引き込みローラ15bのみを駆動して、この引き込みローラ15bの回転を光ディスクODに伝達して、光ディスクODを所定角度回動することができる。なお、前記光ディスクODの外周縁には、円周方向に間隔を隔てて図示しない複数のマークが形成されており、他方、この光ディスクODのいずれかのマークを検出する光学式のセンサ4が光ディスクODの外周縁に対向しうるように配設されている。なお、前記各マークはセンサ4が検出できれば、人間が目視できないものであってもよい。そして、センサ4により光ディスクODの外周縁の特定のマークを検出することにより光ディスクODの印刷時の向きが予め検出されることになる。
【0033】
なお、前述した動力伝達遮断レバー24の回動については後述する。
【0034】
前記各ローディングアーム11a,11bを回動するための構成は、図7ないし図9に詳示されている。
【0035】
図7において、一方のローディングアーム11aの近傍には、前記回動用歯車12aに噛合しているアイドル歯車28が前記基板3に回転自在に支持されている。また、前記アイドル歯車28の近傍には、ほぼ中央部に位置する回動軸29Aを中心として回動自在とされているローディングアーム制御レバー29が前記基板3に支持されている。前記ローディングアーム制御レバー29には、前記アイドル歯車28に噛合する扇形歯車29Bが突設されている。さらにまた、前記ローディングアーム制御レバー29には、このローディングアーム制御レバー29を図7において反時計方向、すなわち、前記ローディングアーム11aを、引き込みローラ15aが光ディスクODの外周縁に圧接する方向に付勢するコイルばね29Cが取付けられている。
【0036】
前記ローディングアーム制御レバー29の前記扇形歯車29Bと反対側の端部には、カムフォロワとしての後述するピン29Dがこのレバー29の表面から突出するように突設されている。
【0037】
前記ローディングアーム制御レバー29の近傍には、前記フレーム2の長手方向に沿って移動可能なカム板30が配設されている。このカム板30には、前記ローディングアーム制御レバー29から離間した部位の一側にフレーム2の長手方向に沿うラック30Aが形成されている。
【0038】
一方、前記ラック30Aの近傍の前記基板3には、カム板駆動用モータ31が配設されている。このカム板駆動用モータ31の出力軸31aには、減速歯車列31bを介して前記ラック30Aに噛合しているピニオン31cが連結されている。
【0039】
前記カム板30には、図9Aに詳示するように、前記ローディングアーム制御レバー29のピン29Dが嵌合されるほぼ台形状をなす台形カム溝30Bが形成されている。この台形カム溝30Bの前記台形の底辺の両端には、前記ピン29Dを捕捉して前記両ローディングアーム11a,11bの引き込みローラ15a,15bを光ディスクODの外周縁から離間する開状態に保持するための保持溝30Ba,30Bbが形成されている。また、これらの保持溝30Ba,30Bb以外の前記台形カム溝30Bにおいては、前記コイルばね29Cの付勢により前記ローディングアーム制御レバー29のピン29Dは、前記台形の頂辺側に付勢され、前記両ローディングアーム11a,11bの引き込みローラ15a,15bは、光ディスクODの外周縁に圧接するようになっている。
【0040】
前記カム板30には、前記台形カム溝30Bのある面の裏側に裏板30Cが設けられており、この裏板30Cには、図9Bに詳示するように、前記動力伝達遮断レバー24の前記ピン24Aが嵌合される線状カム溝30Dが形成されている。この線状カム溝30Dは、前記ピニオン23Cが歯車23Dに噛合して、歯車23Bの回転を歯車23Dに伝達する位置に動力伝達遮断レバー24を規制する、カム板30の移動方向に延在する直線状の第1伝達溝30Daと、この第1伝達溝30Daの一端部に連接され前記ピニオン23Cが歯車23Dから離間して、歯車23Bの回転を歯車23Dに伝達しない位置に動力伝達遮断レバー24を規制するほぼV字状の遮断溝30Dbと、この遮断溝30Dbの他端部に連接され前記ピニオン23Cが歯車23Dに噛合して、歯車23Bの回転を歯車23Dに伝達する位置に動力伝達遮断レバー24を再度規制する短い長さの第2伝達溝30Dcとにより構成されている。
【0041】
なお、本実施形態においては、前記動力伝達遮断レバー24と前記ローディングアーム制御レバー29とを同じカム板30により回動させるようになっているが、個別のカム板を設けて回動させるようにしてもよい。
【0042】
図7に戻って、前記両ローディングアーム11a,11bを相互に逆方向に拡開するために、前記両ローディングアーム11a,11bの回動用歯車12a,12b間には、両回動用歯車12a,12bを含めて順次噛合している同一歯数の6個の歯車32a,32a…からなる歯車列32が配設されており、この歯車列32により前記ローディングアーム11aの回動をローディングアーム11bに伝達し、両ローディングアーム11a,11bを相互に逆方向に拡開することができる。なお、前述した歯車列32に代えて前記両ローディングアーム11a,11bの回動用歯車12a,12bを相互に逆方向に回動するためのラックを設け、前記ローディングアーム11aの回動をラックに伝達してラックを移動させ、ラックの移動により回動用歯車12bを回動用歯車12aと逆方向に回動させてローディングアーム11aとローディングアーム11bを相互に逆方向に回動させるようにしてもよい。
【0043】
前記光ディスクODにレーベル印刷を行うために光ディスクODを排出方向に移送するためのキャリッジユニット35が設けられている。このキャリッジユニット35は、図10に示すキャリッジユニット駆動機構により前記フレーム2の長手方向に往復動されるものであり、図11A,Bに詳示するように、レーベル印刷機のフレーム2の両側に間隔を隔てて配設され内側に垂下部35c,35dがそれぞれ形成されている1対の支持アーム35a,35bには、両支持アーム35a,35bより低位に位置するキャリッジ本体36が支持されている。
【0044】
前記キャリッジ本体36は、ほぼ長方形状をなす基板36aを有しており、この基板36aの両側に間隔を隔てて光ディスクODを挿脱口59方向に押動させるための1対の突起37a,37bが水平方向に突出するように形成されている。
【0045】
前記各突起37a,37bは、先端部を半円状とされるとともに基端部を長方形状とされており、各突起37a,37bの肉厚は光ディスクODの肉厚より薄くされている。そして、これらの両突起37a,37bは、光ディスクODの表面および裏面のいずれからも上下に突出することなく光ディスクODの外周縁を押動するようになっている。したがって、前記両突起37a,37bは、印刷の際に後述するサーマルヘッドやプラテンローラに当接することがないので、光ディスクODの全面印刷が可能となる。
【0046】
前記各突起37a,37bの先端部の下方には、各突起37a,37bより前方に突出する非常に薄い肉厚の保持片38a,38bが取付けられている。そして、これらの保持片38a,38bが存在しても、両突起37a,37bは、保持片38a,38bとともに前記光ディスクODの表面から上方に突出することなく光ディスクODの外周縁を押動することができる。
【0047】
前記各突起37a,37bの基端部から前記基板36aにかけて前記キャリッジユニット35の移動方向に沿って長尺長方形状の長孔39a,39bがそれぞれ形成されている。
【0048】
図12に詳示するように、前記各長孔39a,39bには、それぞれ上下に間隔を隔てた各1対の補助保持爪40aa,40ab:40ba,40bbを備え、光ディスクODを保持する保持片38a,38bを補助して光ディスクODの保持を安定させるための補助保持部材40a,40bが各長孔39a,39bの長手方向に沿って移動可能に嵌合されている。なお、各補助保持部材40a,40bは、図13Aに示すばね部材41a,41bにより前記各突起37a,37bから突出するように付勢されている。
【0049】
前記各補助保持補助保持部材40a,40bの両補助保持爪40aa,40ab:40ba,40bbの上下間隔は光ディスクODの厚さより多少大きく形成されている。
【0050】
前記キャリッジユニット35を往復動させるキャリッジ駆動機構が図13ないし図16に示されている。
【0051】
図13ないし図16において、フレーム2の両側には、フレーム2の長手方向の両端部に間隔を隔ててそれぞれ駆動プーリ41aa,41baおよび従動プーリ41ab,41bbが回転自在に支持されている。そして、これらの駆動プーリ41aa,41baおよび従動プーリ41ab,41bbには、それぞれベルト42a,42bが巻回されている。
【0052】
一方、前記従動プーリ41bbおよびベルト42bの近傍の前記基板3上には、前記両ベルト42a,42bを走行するためのキャリッジ駆動用モータ43が支持されている。このモータ43の出力軸43Aには、ピニオン43Bが嵌着されている。前記ピニオン43Bの近傍には、平面視くの字状をなすレバー44が配設されており、このレバー44は、その屈曲されている中間部を基板3に回動自在に支持されている。
【0053】
前記レバー44には、このレバー44の回動中心に支持されている駆動側歯車45が正逆両方向に回転可能に支持されており、この駆動側歯車45は前記ピニオン43Bと噛合している。また、前記レバー44は、前記駆動側歯車45の回転方向に応じて同様の方向に回動するようになっている。
【0054】
前記被印刷物を前記挿脱口59方向へ押動する印刷モードの際に前記キャリッジユニット35を走行させるために使用される順方向歯車46と、前記被印刷物を前記挿入口方向へ押動する印刷モードと逆方向に前記キャリッジユニット35を走行させるために使用される逆方向歯車列47とがそれぞれ前記駆動側歯車45から分岐するように形成されている。
【0055】
このうち、前記順方向歯車46は、前記駆動側歯車45と噛合するように前記レバー44に回転可能に支持されており、この順方向歯車46は前記駆動側歯車45より歯数を少なくされている。また、順方向歯車46には、前記基板3に回転自在に支持され、順方向歯車46より歯数の多い従動側歯車48Aが、前記ピニオン43Bの回転方向によるレバー44の回動により噛合しうるようになっている。
【0056】
一方、前記逆方向歯車列46は、前記駆動側歯車45と噛合するように前記レバー44に回転可能に支持されている前記駆動側歯車45より歯数の少ない第1逆方向歯車47Aの第1歯部47Aaを有している。そして、前記駆動側歯車45と第1逆方向歯車47Aの第1歯部47Aaとの噛合により、駆動側歯車45より第1逆方向歯車47Aの方が回転数を増大されるようになっている。
【0057】
前記第1逆方向歯車47Aは、図16(A)に詳示するように、2段歯車とされており、前記第1歯部47Aaと、この第1歯部47Aaと同心状に配置され、この第1歯部47Aaより歯数の多い第2歯部47Abとにより構成されている。
【0058】
前記第1逆方向歯車47Aの近傍の前記基板3には、図16(B)に詳示されているように、2段歯車とされている第2逆方向歯車47Bが回転可能に支持されており、この第2逆方向歯車47Bは、相互に同心状に配置されている歯数の少ない第1歯部47Baと、この第1歯部47Baより歯数の多い第2歯部47Bbとを有している。
【0059】
そして、前記レバー44に支持されている第1逆方向歯車47Aの歯数の多い第2歯部47Abが、前記ピニオン43Bの回転方向によるレバー44の回動により第2逆方向歯車47Bの歯数の少ない第1歯部47Baに噛合しうるようになっている。前記第2逆方向歯車47Bの第1歯部47Baは、第1逆方向歯車47Aの第2歯部47Abより歯数が少ないので、前記第1逆方向歯車47Aの第2歯部47Abと前記第2逆方向歯車47Bの第1歯部47Baとの噛合により、第1逆方向歯車47Aより第2逆方向歯車47Bの方が回転数を増大されるようになっている。
【0060】
また、前記レバー44の回動により前記第1逆方向歯車47Aの第2歯部47Abと前記第2逆方向歯車47Bの第1歯部47Baとが噛合すると、順方向歯車46は前記従動側歯車48Aとの噛合は解除されるようになっている。逆に、前記レバー44の逆方向の回動により前記順方向歯車46と前記従動側歯車48Aとが噛合すると、前記第1逆方向歯車47Aの第2歯部47Abと前記第2逆方向歯車47Bの第1歯部47Baとの噛合は解除されるようになっている。
【0061】
前記第2逆方向歯車47Bの近傍の前記基板3には、図16(C)に詳示されているように、2段歯車とされている第3逆方向歯車47Cが回転可能に支持されており、この第3逆方向歯車47Cは、相互に同心状に配置されている歯数の多い第1歯部47Caと、この第1歯部47Caより歯数の少ない第2歯部47Cbとを有している。
【0062】
そして、第2逆方向歯車47Bの第2歯部47Bbが、第3逆方向歯車47Cの第2歯部47Cbに噛合している。また、前記第3逆方向歯車47Cの第1歯部47Caが前記順方向歯車46とともに前記従動側歯車48Aと噛合している。
【0063】
前述したように、前記順方向歯車46を介して従動側歯車48Aを駆動するのに対し、前記逆方向歯車列47を介して従動側歯車48Aを駆動する方が2段階において回転数を増大するようになっているので、約4倍の回転数で従動側歯車48Aを駆動することができることになる。
【0064】
前記従動側歯車48Aには、図15に詳示するように、同軸配置されたウォームギア48Bが一体に形成されている。
【0065】
一方、前記キャリッジユニット35の走行方向に沿うようにして前記フレーム2の長手方向のほぼ全域に駆動軸50が回転自在に支持されている。この駆動軸50には、前記ウォームギア48Bと噛合し、このウォームギア48Bの回転により駆動軸50を回転させるためのウォーム50Aが嵌着されている。また、この駆動軸50の前端側には、他のウォーム50Bが嵌着されている。
【0066】
一方、前記ウォーム50Bの近傍の前記基板3上には、前記ウォーム50Bの回転を前記駆動プーリ41baに伝達するための複数の歯車からなる伝達歯車列51Aが配設されている。この伝達歯車列51Aには、前記ウォーム50Bの回転を反対側の駆動プーリ41aaに伝達するための図示しない歯車を嵌着された伝達軸52が前記駆動軸50と平面視において直交する方向に延在するように設けられている。前記駆動プーリ41aa側の前記伝達軸52には、他の伝達歯車列51Bを介して前記ウォーム50Bの回転を駆動プーリ41baと等角速度となるように回転させるための図示しない歯車が嵌着されている。
【0067】
そして、前記各1対のプーリ41aa,41ab:41ba,41bbを駆動して巻回されている各ベルト42a,42bを等速で走行させて前記キャリッジユニット35を往復動させるために、図10に示すように、前記キャリッジユニット35の1対の支持アーム35a,35bには、各ベルト42a,42bを対応する支持アーム35a,35bとの間で挟持して支持アーム35a,35bを各ベルト42a,42bとともに一体に移動させるための板体35e,35fがねじ35g,35hにより螺着されている。
【0068】
なお、前述したように2本のベルト42a,42bを等速で走行させて前記キャリッジユニット35を往復動させるのと異なり、回転可能な2本の平行なリードスクリューにそれぞれリードナットを介してキャリッジユニット35を搭載し、リードスクリューをモータにより回転駆動させてキャリッジユニット35を移動させるようにしてもよい。
【0069】
前記光ディスクODにレーベル印刷を行うため前記フレーム2の一端部の挿脱口59の近傍には、サーマルヘッドユニット52が取付けられている。
【0070】
前記サーマルヘッドユニット52は、図12に詳示するように、フレーム2の長手方向に対し直交する水平方向に延在するようにフレーム2に支持されている回動軸53に回動自在に支持されている。前記回動軸53には、前記サーマルヘッドユニット52の基台53Aが支持されている。このサーマルヘッドユニット52の基台53Aには、上向きのねじ部材53Bが回転自在に支持されている。このねじ部材53Bには、サーマルヘッドカバー53Cの基端部が螺着されており、前記ねじ部材53Bを回転することにより前記サーマルヘッドカバー53Cの水平方向に対する角度が変化されるようになっている。
【0071】
前記サーマルヘッドカバー53Cは、前記基端部から前記挿脱口59方向に延在しており、また、このサーマルヘッドカバー53Cは、前記フレーム2の長手方向に対し直交する方向のほぼ全域に配設されている。
【0072】
前記サーマルヘッドカバー53Cの下面には、サーマルヘッド取付台53Dが固定されており、このサーマルヘッド取付台53Dの下面には、前記フレーム2の長手方向に対し直交する方向のほぼ全域に延在するラインサーマルヘッド53Eが固定されている。さらに、図示しないサーマルヘッドカバー53Cを昇降させるカムを用いた機構が配設されており、この機構および図1に示すアップダウン用モータ53Gにより前記ラインサーマルヘッド53Eを昇降させるようになっている。
【0073】
前記サーマルヘッドカバー53Cの先端側には、凹部53Fが形成されており、この凹部53Fには、ラインサーマルヘッド53Eを下方に付勢するコイルばね54が圧接している。また、前記ラインサーマルヘッド53Eの下方には、このラインサーマルヘッド53Eとの間で光ディスクODを挟持するためのプラテンローラ55が光ディスクODの移動方向に回転自在に配設されている。
【0074】
一方、前記サーマルヘッド取付台53Dには、前進してきた前記キャリッジユニット35の上側の各保持爪40aa,40baに当接し、両補助保持部材40a,40bを後退させるためのストッパ53Da,53Dbが突設されている。
【0075】
前記サーマルヘッドカバー53Cの前記凹部53Fよりさらに先端側には、前記光ディスクODを保持するための上側保持ローラ56aが光ディスクODの移動方向に回転自在に支持されている。この上側保持ローラ56aは、前記ラインサーマルヘッド53Eによる印刷時には、前記光ディスクODから離間するようになっている。
【0076】
前記上側保持ローラ56aの下方には、この上側保持ローラ56aとともに前記光ディスクODを挟持可能な下側保持ローラ56bが配設されている。この下側保持ローラ56bは、ベルクランク状の支持アーム57Aの先端部に回転自在に支持されている。この支持アーム57Aは、その基端部を支軸57Bにより回動自在に支持されている。なお、前記支持アーム57Aは、ラインサーマルヘッド53Eの圧接動作とリンクして、下側保持ローラ56bが上側保持ローラ56aに圧接する方向に保持されている。
【0077】
図17に示すように、前記挿脱口59の近傍には、レーベル印刷に供される被印刷物の平面形状を検出するための3つの反射式フォトセンサ60a,60b,60cが被印刷物の挿脱方向に対し直交する方向に間隔を隔てて配設されている。このうち、フォトセンサ60aは、フレームの幅方向における中央部に配設されている。また、フォトセンサ60bは、前記フォトセンサ60aから約30mm離間した位置に配設されている。また、前記フォトセンサ60cは、前記センサ60aから約50mm離間し、前記フォトセンサ60bからは約20mm離間した位置に配設されている。
【0078】
したがって、被印刷物が直径120mmの光ディスクODである場合、まず、フォトセンサ60aがこの光ディスクODを検出してONとなり、つぎに、2つのフォトセンサ60a,60bがこの光ディスクODを検出してONとなり、最後に、すべてのフォトセンサ60a,60b,60cがこの光ディスクODを検出してONとなるというように検出状態が変化することにより被印刷物が直径120mmの光ディスクODであることを認識することができる。
【0079】
つぎに、被印刷物が直径80mmの光ディスクODである場合、まず、フォトセンサ60aがこの光ディスクODを検出してONとなり、つぎに、2つのフォトセンサ60a,60bがこの光ディスクODを検出してONとなり、さらに、フォトセンサ60cはこの光ディスクODの外周より外側に位置するためONになることがないというように検出状態が変化することにより被印刷物が直径80mmの光ディスクODであることを認識することができる。
【0080】
さらに、被印刷物が長方形のジャケットである場合、最初からすべてのフォトセンサ60a,60b,60cがこのジャケットを検出してONとなるので、被印刷物がジャケットであることを認識することができる。
【0081】
なお、レーベル印刷機のすべての駆動を制御するCPUのような制御部(図示せず)が設けられている。
【0082】
また、本実施形態のレーベル印刷機は、光ディスクODのデータのリード/ライト(読み込み/書き込み)を行う光ピックアップを備えた記憶装置を兼ねた光ディスク一体型印刷機である。
【0083】
つぎに、前述した構成からなる本実施形態の作用について説明する。
【0084】
なお、この作用の説明においては、光ディスクODのデータのリード/ライトについても触れておく。
【0085】
初期状態においてキャリッジユニット35は、挿脱口59から最大限離間した位置において停止している。
【0086】
そこで、まず、図示しない挿脱口59からレーベル印刷に供される直径120mmの光ディスクODを挿入する。すると、3つのフォトセンサ60a,60b,60cのON・OFFの状態によりこの光ディスクODの種別が検出される。このようにして挿脱口59から光ディスクODが挿入されたことが検出された後、光ディスク挿入装置10のローラ回転用モータ17が駆動を開始され、両引き込みローラ15a,15bは、光ディスクODを引き込むように相互に逆方向に等速で回転し、光ディスクODをレーベル印刷機内に完全に引き込む。
【0087】
そして、レーベル印刷機内に引き込まれた光ディスクODは、初期位置にあるキャリッジユニット35の各補助保持部材40a,40bに当接することで光ディスクODのセンタリング(位置決め)を行い、光ディスクODのデータのリード/ライトを可能とするように光ディスクODは図示しないターンテーブルにクランプされる。その後、両引き込みローラ15a,15bが光ディスクODの外周縁と当接しない位置に退避するようにローディングアーム11a,11bを拡開するとともに、キャリッジユニット35についても各補助保持部材40a,40bが光ディスクODの外周縁と当接しない位置に退避する。
【0088】
この状態において、図示しない光ピックアップにより光ディスクODに対するデータのリード/ライトが行われる。この光ディスクODのデータのリード/ライトが終了し、レーベル印刷に移行するために印刷ボタン(図示せず)を押すと、両引き込みローラ15a,15bが光ディスクODの外周縁と当接するように、退避していたローディングアーム11a,11bを移動させるとともに、キャリッジユニット35の各補助保持部材40a,40bを光ディスクODに当接させ、図示しないターンテーブルを退避させることで、光ディスクODは両引き込みローラ15a,15bとキャリッジユニット35とにより保持される。
【0089】
その後、センサ4により光ディスクODの外周面に形成されている複数のマークのうちいずれかのマークを検出して、1度目の印刷における光ディスクODの向きが認識される。
【0090】
そして、光ディスクODは、図11(A)に示すように、進行方向前方側の周縁部が、キャリッジユニット35のキャリッジ本体36に左右に間隔を隔てて設けられている各補助保持部材40a,40bの両補助保持爪40aa,40ab:40ba,40bb間において各補助保持爪40aa,40ab:40ba,40bbから多少離間した状態でかつ各保持片38a,38bに載置されるように各補助保持爪40aa,40ab:40ba,40bbに補助的に保持されることになる。
【0091】
つぎに、カム板駆動用モータ31を駆動して、カム板30を図7において右方向に移動して、台形カム溝30Bに嵌合しているローディングアーム制御レバー29のピン29Dをこの台形カム溝30Bの斜面30Bcに沿うようにして保持溝30Ba内に嵌合させて拘束する。すると、ローディングアーム制御レバー29が斜面30Bcに沿って移動する際に、図7において反時計方向に回動することになり、このローディングアーム制御レバー29に突設されている扇形歯車29Bも同期的に回動する。この扇形歯車29Bの回動によりアイドル歯車28の所定角度の回動を介して回動用歯車12aが反時計方向に所定角度回動し、ローディングアーム11aを図7において反時計方向に回動させる。また、回動用歯車12aの回動は歯車列32を介して他方の回動用歯車12bに伝達され、回動用歯車12bは時計方向に回動用歯車12aと等角度回動する。
【0092】
このようにして、両回動用歯車12a,12bが逆方向に拡開するため、キャリッジユニット35の走行を邪魔することがない。
【0093】
その後、レーベル印刷に移行するために印刷ボタン(図示せず)を押すと、キャリッジ駆動機構のキャリッジ駆動用モータ43の出力軸43Aがキャリッジユニット35を挿脱口59方向に移動するように回転される。すると、出力軸43Aのピニオン43Bに噛合している駆動用歯車45の回転によりレバー44が回動し、駆動用歯車45は順方向歯車46と噛合することになる。この結果、ベルト42a,42bが等速で走行し、キャリッジユニット35は印刷に適した速度でサーマルヘッドユニット52の方向に走行される。よって、光ディスクODは、キャリッジユニット35とともにサーマルヘッドユニット52の方向に走行される。なお、本実施形態において光ディスクODの表面は、感熱記録紙TPにより被覆されており、この感熱記録紙TPは、ラインサーマルヘッド53Eの発熱素子の熱により発色されるようになっている。
【0094】
そして、光ディスクODがサーマルヘッドユニット52のラインサーマルヘッド53Eに到達すると、ラインサーマルヘッド53Eの多数の発熱素子は、印刷データに対応して選択的に通電されて発熱し、光ディスクOD上の感熱記録紙TPに印刷データに応じた印刷を行う。なお、光ディスクODの印刷時の走行方向におけるラインサーマルヘッド53Eより下流側の光ディスクODは、図12に詳示するように、両保持ローラ56a,56bが近接してはいるが、特に上側保持ローラ56aが感熱記録紙TPに接触して悪影響を与えることを防止するため、光ディスクODからは離間している。
【0095】
このようにしてキャリッジユニット35により光ディスクODは、挿脱口59方向に走行されながらラインサーマルヘッド53Eによりその感熱記録紙TPに印刷が行われることになる。ところで、光ディスクODが挿脱口59に近接すると、光ディスクODを補助的に保持しうるように配置されている各補助保持部材40a,40bの両補助保持爪40aa,40ab:40ba,40bbは、ラインサーマルヘッド53Eおよびプラテンローラ55間を通過し得ないので、図12に示すように、サーマルヘッド取付台53Dに垂設されているストッパ53Da,53Dbに、それぞれ対応する上側の各補助保持爪40aa,40baが当接し、キャリッジユニット35が光ディスクODとともに挿脱口59方向に走行するにもかかわらず、各補助保持部材40a,40bは、キャリッジ本体36の長孔39a,39bに沿うようにしてその位置に停止してキャリッジ本体36に対し相対的に後退し、ラインサーマルヘッド53Eにそれ以上近接しないことになる。
【0096】
さらに、印刷が進んで、両補助保持部材40a,40bが光ディスクODを挟持し得なくなった状態においては、光ディスクODの走行方向における後端部が、キャリッジ本体36の各突起37a,37bの先端に突設されている薄い肉厚の保持片38a,38b上に載置されているとともに、ラインサーマルヘッド53Eおよびプラテンローラ55に挟持されているので、光ディスクODは、安定的に保持されて印刷のために走行されることになる。
【0097】
そして、ラインサーマルヘッド53Eによる光ディスクODの全面印刷が終了すると、光ディスクODはラインサーマルヘッド53Eおよびプラテンローラ55による挟持から解放されることになる。そこで、この光ディスクODがラインサーマルヘッド53Eおよびプラテンローラ55による挟持から解放されると、サーマルヘッドカバー53Cが図12において反時計方向に回動し、このサーマルヘッドカバー53Cに支持されている上側保持ローラ56aが光ディスクODの上面に圧接し、下側保持ローラ56bとともに光ディスクODを保持する。
【0098】
したがって、光ディスクODは、その一部が挿脱口59から外部に露出した状態においても両保持ローラ56a,56bにより保持されているので、挿脱口59から落下するおそれはない。なお、この状態においてキャリッジ駆動用モータ43の駆動が停止される。この結果、キャリッジユニット35は、この位置において停止される。
【0099】
その後、キャリッジ駆動用モータ43は、印刷時と反対方向に駆動される。すると、出力軸43Aのピニオン43Bに噛合している駆動用歯車45の回転によりレバー44が前述した印刷時と反対方向に回動し、駆動用歯車45は逆方向歯車列47の第1逆方向歯車47Aの第1歯部47Aaと噛合することになる。この結果、逆方向歯車列47の各歯車47B,47C、従動側歯車48Aが順次回転されることにより回転数が増し、ベルト42a,42bが印刷時より約4倍の速度で走行し、キャリッジユニット35は直ちに初期位置に戻ることができる。このキャリッジユニット35が初期位置に戻ると、カム板30が移動されて、両ローディングアーム11a,11bは、挿入された光ディスクODの外周縁に各引き込みローラ15a,15bが当接しうる閉位置を取ることになる。
【0100】
したがって、光ディスクODの迅速な交換に対応することができる。
【0101】
ところで、一度印刷した光ディスクODに再度印刷を行う場合がある。
【0102】
この場合には、一度取り出した光ディスクODを再度レーベル印刷機の挿脱口59から挿入して印刷を行うことになるが、このとき光ディスクODの向きを前回の向きと同じにしないと、1度目と2度目の印刷が相互に異なる向きになってしまい、印刷不良になってしまう。
【0103】
このため、2度目の印刷の際に光ディスクODを挿脱口59から挿入し、ローラ回転用モータ17を駆動することにより両引き込みローラ15a,15bが相互に逆方向に等速で回転し、光ディスクODを引き込む。そして、光ディスクODの引き込みが終了した時点で、センサ4により検出した1度目の光ディスクODを挿入した際における光ディスクODの向きと同じ向きに光ディスクODを規制するためにセンサ4により2度目に挿入された光ディスクODの向きを検出する。そして、1度目と2度目の光ディスクODの向きにおける相違する角度を制御装置において演算し、この2度目の向きを1度目の向きと合致するように光ディスクODを相違する角度だけ回転させる必要がある。
【0104】
そこで、カム板駆動用モータ31を駆動してカム板30のラック30Aを図8Aに示す状態から右方向に移動させ、このカム板30の線状カム溝30Dに嵌合している動力伝達遮断レバー24のピン24Aを、図9Aに示す第1伝達溝30Daから図9Bに示す遮断溝30Dbの頂部へと移動させる。この結果、動力伝達遮断レバー24が反時計方向に回動して、ピニオン23Cが歯車23Dとの噛合を解除されることになる。すると、ローラ回転用モータ17の駆動が一方の引き込みローラ15aのみに伝達され、他方の引き込みローラ15bには伝達されなくなるので、ローラ回転用モータ17の駆動により回転している一方の引き込みローラ15aにより光ディスクODが自転されることになる。そこで、前記ローラ回転用モータ17の駆動を光ディスクODの2度目の向きが1度目の向きに合致するまで継続して停止することにより光ディスクODの向きは1度目の向きに合致することになる。
【0105】
前記ローラ回転用モータ17の駆動が停止したら、前記カム板駆動用モータ31を駆動してカム板30のラック30Aを図8Bに示す状態から左方向に移動させ、このカム板30の線状カム溝30Dに嵌合している動力伝達遮断レバー24のピン24Aを、図9Bに示す遮断溝30Dbの頂部から図9Aに示す第1伝達溝30Daへと移動させる。この結果、動力伝達遮断レバー24が時計方向に回動して、ピニオン23Cが歯車23Dに再度噛合されることになる。すると、ローラ回転用モータ17の駆動は両方の引き込みローラ15a,15bに伝達される状態になる。
【0106】
その後の駆動は1度目の印刷のときと同様である。なお、3度以上にわたってレーベル印刷を行なう際にも同様に光ディスクODを1度目の向きと同様に規制することができる。
【0107】
以上説明したように、本実施形態のレーベル印刷機によれば、カム板30をカム板駆動モータ31の駆動により移動させることにより引き込みローラ15a,15bを相互に拡開させて退避させることができる。また、同様にカム板30を移動させて両引き込みローラ15a,15bの回転駆動により光ディスクODを引き込むことができるし、一方の引き込みローラ15aのみを回転させて、光ディスクODを自転させることもできる。この光ディスクODの自転により、複数回にわたってレーベル印刷を行なう際に、光ディスクODを1度目の向きと同様の向きに位置決めすることができる。
【0108】
さらに、キャリッジユニット35の両補助保持部材40a,40bにより光ディスクODを保持しつつ押動するので、光ディスクODを安定的に走行させることができる。しかも、光ディスクODを押動するキャリッジユニット35の両補助保持部材40a,40bは、サーマルヘッドユニット52のストッパ53Dbに当接して後退し、その後は、光ディスクODは薄い保持片38a,38b上に後端部を載置されてラインサーマルヘッド53Eの下方を通過するので、ラインサーマルヘッド53Eにより光ディスクODの全面への印刷が可能とされる。
【0109】
さらにまた、印刷された後の光ディスクODは、両保持ローラ56a,56bにより上下から保持されるので、レーベル印刷機の外側に光ディスクODが落下することがない。
【0110】
また、光ディスクODを印刷のために押動するキャリッジユニット35は、光ディスクODの押動をおえた後には、印刷時の約4倍の速度で走行して初期位置に戻るとともに、その後直ちにカム板30が移動されて、両ローディングアーム11a,11bは、挿入された光ディスクODの外周縁に各引き込みローラ15a,15bが当接しうる閉位置を取ることになる。したがって、光ディスクODの迅速な交換に対応することができる。
【0111】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。例えば実施形態中において触れた平面長方形のジャケットにも印刷を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明に係る光ディスク挿入装置を搭載したレーベル印刷機の実施形態を示す要部の平面図
【図2】図1の底面図
【図3】図1の斜め上方からの斜視図
【図4】図1の斜め下方からの斜視図
【図5】図1における引き込みローラについての関連構成を示す要部の平面図
【図6】図5の底面図
【図7】図1におけるローディングアーム開閉機構の詳細を示す平面図
【図8】A,B,Cは図7のカム板と動力伝達遮断レバーとの関連構成をそれぞれ示す平面図
【図9】Aは図7のカム板におけるローディングアーム制御レバー回動用の台形カム溝を示す平面図、Bは図7のカム板における動力伝達遮断レバーを回動させるカム溝を示す底面図
【図10】図1のキャリッジユニット駆動機構を示す斜視図
【図11】A,Bは図10におけるキャリッジユニットの相互に異なる状態を示す斜視図
【図12】図1における印刷終了時の状態を示す要部の縦断面図
【図13】A,B,Cは図1におけるキャリッジ駆動機構を示す平面図、左側面図、右側面図
【図14】Aは図13のキャリッジ駆動機構のバックフィード時における使用歯車列を示す平面図,Bは図13のキャリッジ駆動機構の印画時における使用歯車列を示す平面図
【図15】図14の両使用歯車列を示す斜視図
【図16】A,B,Cはそれぞれ図14Aの各歯車を表側および裏側から示す斜視図
【図17】被印刷物の種類を検出するための3つのセンサを示す平面図
【符号の説明】
【0113】
1 レーベル印刷機
2 フレーム
3 基板
3a 開口
4 センサ
10 光ディスク挿入装置
11a,11b ローディングアーム
15a,15b 引き込みローラ
17 ローラ回転用モータ
24 動力伝達遮断レバー
29 ローディングアーム制御レバー
30 カム板
30A ラック
30B 台形カム溝
30D 線状カム溝
31 カム板駆動用モータ
35 キャリッジユニット
36 キャリッジ本体
38a,38b 保持片
40a,40b 補助保持部材
42a,42b ベルト
43 キャリッジ駆動モータ
46 順方向歯車
47 逆方向歯車列
50 駆動軸
52 サーマルヘッドユニット
53C サーマルヘッドカバー
53D サーマルヘッド取付台
53Da,53Db ストッパ
53E ラインサーマルヘッド
53G アップダウン用モータ
55 プラテンローラ
56a 上側保持ローラ
56b 下側保持ローラ
57A 支持アーム
57B 支軸
59 挿脱口
60a,60b,60c フォトセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に間隔を隔てて配設され相互に逆方向に回動可能とされている1対のローディングアームと、
前記各ローディングアームに回転可能に支持され、各ローディングアームの回動により光ディスクの外周縁に当接しうる閉鎖位置および光ディスクの外周縁から離間する拡開位置を取りうる引き込みローラと、
ローラ回転用モータの駆動により前記両引き込みローラを相互に逆方向に回転させる歯車伝導機構と、
カム板駆動用モータの駆動により移動され、カム溝が形成されているカム板と、
前記カム板のカム溝に嵌合されるカムフォロワを備え、前記カム板の移動により回動され前記両ローディングアームを同期的に相互に逆方向に回動させるローディングアーム制御レバーと
を有していることを特徴とする光ディスク挿入装置。
【請求項2】
前記ローディングアーム制御レバーには、扇形歯車が突設され、前記一方のローディングアームには、この扇形歯車に噛合している歯車が一体に形成され、この歯車には、他方のローディングアームを回動させる歯車列の歯車が噛合しており、前記ローディングアーム制御レバーの回動により前記1対のローディングアームが相互に逆方向に回動されることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク挿入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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