説明

光ディスク装置、および光ディスク装置の動作モード設定方法

【課題】ホスト装置の電源供給能力に起因する動作の不具合を改善した光ディスク装置、および光ディスク装置の動作モード設定方法を提供する。
【解決手段】ODDをPCに接続し起動した後に、ODDは消費電流の大きい動作を所定時間だけ実行し、その間にパワーオンリセットがかかるか否かを判定する。パワーオンリセットがかからない場合には、ODDを最高仕様で動作できるようにし、パワーオンリセットがかかった場合には、仕様を抑えて消費電流の小さい動作を行うようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ディスク装置、および光ディスク装置の動作モード設定方法に係り、特にホスト装置の電源供給能力に起因する動作の不具合を改善した光ディスク装置、および光ディスク装置の動作モード設定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
PC(Personal Computer)をはじめとする情報処理装置では、情報を蓄積する装置の一つとして光ディスク装置(以下、ODD;Optical Disc Drive と略記することがある)を使用することが多い。最近はPCに対して外付けして使用するODDが増えている。
PCにODDを外付けする場合、双方のインタフェースはUSB(Universal Serial Bus)を使用することが多い。ODDが使用する電源は、ODD用に作られた電源アダプタから供給されるか、前記USBを介してPCから供給される。
【0003】
ODDに供給される電源が、前記USBを介してPCから供給される場合は、PCの電源供給能力に注意する必要がある。一つのODDが、あるメーカのPCと接続された際に問題なく動作したとしても、他のメーカのPCと接続された際にはPC側の電源供給能力が不足することにより、動作の不具合を起こすことがある。
【0004】
特許文献1においては、PCが備える制御プログラムにより接続機器をテスト動作させ、PCから電源を供給可能であるかを評価する電力診断方法が開示されている。
特許文献2においては、PCがUSBを介してODDの電源を供給する場合に、信号を送信か受信することで電源供給能力が充分であるかを判断し、充分な場合に電源を供給する装置が開示されている。
【0005】
特許文献3においては、複数の電源からODDに給電可能な電源を選別し、選別した電源の供給能力に応じてデータ転送に関わる条件を切替える装置が開示されている。
特許文献4においては、USBポートを二個使用して必要な電源電力を確保する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−135376号公報
【特許文献2】特開2005−50194号公報
【特許文献3】特開2005−301390号公報
【特許文献4】特開2008−27114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一つのUSBポートが供給する電源電流は、規格により500mAと定められている。一方、ODDはPCに外付けする装置としては消費電流が多いため、特許文献4にあるように二つのUSBポートを用いて最大1Aで電源の供給を受けるか、または別の電源アダプタから電源の供給を受けるようにしている。当然ながら、ユーザにとってはUSBポートから電源の供給を受け、別の電源アダプタは不要とする方法が便利である。
【0008】
ODDの電源がUSBポートから供給される場合、二つのポートを使用したとしても、ODDが1A以内で動作できることが望まれる。しかし、実際にはODDが消費する電流値はこの値の近傍にあり、ODDが内蔵する構成要素のバラツキや周辺温度の変化を考慮するとマージンは少ないのが実情である。PCの電源回路の電流供給能力は、前記USBポートの規格以上であることは当然であるが、実際に供給できる電流はメーカや機種により様々である。
【0009】
あるメーカのPCと接続して正常に動作したODDであっても、他のメーカのPCと接続した際には電源電圧が低下し、ODDが自身を再起動するパワーオンリセット(Power -on- reset)を発生することがある。パワーオンリセットは、一時的に消費電流が増加する場合、例えば高速でデータを書込み、読取る際に発生し易いが、この際にデータの書込みエラー、または読取りエラーを発生するという不具合がある。
【0010】
ユーザにとって問題であるのは購入したODDが、使用するPCから供給される電源で前記したエラーを発生することなく動作するか否かに関しては、実際に接続して使用するまでは分からないことにある。エラーが多発して使用できない場合には、ユーザが電源アダプタを別に購入することも考えられるが、使い勝手が悪くなり、また購入するための費用が問題である。
【0011】
前記した特許文献は前記した問題に係る文献であるが、特許文献1においては、PC側に制御プログラムが必要であり、通常の使用状態とは異なるテストモードを設ける必要がある。特許文献2においては、PCの電源供給能力が不充分な場合にはUSBポートからの供給された電源では動作しない。特許文献3においては、USBポートから電源が供給される場合にはデータを書込み、読取る速度が制限され、電源供給能力が充分であっても最高速度での動作はしないので、電源供給能力の範囲で最大の動作性能を有するような配慮が望まれる。
本発明の目的は前記した問題に鑑み、ホスト装置の電源供給能力に起因する動作の不具合を改善した光ディスク装置、および光ディスク装置の動作モード設定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため本発明は、ホスト装置から供給された電源を用いて光ディスクから情報データを再生する光ディスク装置であって、
前記光ディスクを回転させるスピンドルモータと、
前記光ディスクにレーザ光を照射する対物レンズと、該対物レンズの前記光ディスクに対する半径方向位置を微調するトラッキングアクチュエータと、前記対物レンズの前記光ディスクに対する垂直方向位置を微調するフォーカスアクチュエータと、前記レーザ光の前記光ディスクからの反射光を検出して前記光ディスクに書込まれた情報データを読取り電気信号に変換して出力する光検出器を有する光ピックアップと、
前記光ピックアップを前記光ディスクに対して半径方向に移動して相対的な位置を定めるスレッドモータと、
前記対物レンズの前記光ディスクに対する位置を微調するための駆動信号を生成して前記トラッキングアクチュエータとフォーカスアクチュエータに供給するサーボ部と、
前記光ピックアップから出力された電気信号を処理して前記ホスト装置に供給し、また前記サーボ部に前記駆動信号を生成させるために供給する信号処理部と、
前記光ディスク装置の動作を制御する制御部を有し、
該制御部は、前記光ディスク装置が前記ホスト装置に接続され起動された後に前記光ディスク装置を再起動させるためのパワーオンリセットが発生したと判定した場合には、消費電流を低減した動作を行うよう制御することを特徴としている。
【0013】
また本発明は、ホスト装置から供給された電源を用いて光ディスクから情報データを再生する光ディスク装置の動作モード設定方法であって、
前記動作モード設定が行われる前の電源供給状態であるか否かを判定する電源供給状態判定ステップと、
該電源供給状態判定ステップでの判定の結果、前記動作モード設定が行われる前の電源供給状態であると判定された場合には、該電源供給状態であることを記憶して所定の時間消費電流を増大させる消費電流増大ステップと、
該消費電流増大ステップにおいてパワーオンリセットが発生されたか否かを判定するパワーオンリセット判定ステップを有し、
該パワーオンリセット判定ステップでの判定の結果、パワーオンリセットは発生しなかったと判定された場合には、前記電源供給状態であることの記憶をクリアして前記光ディスク装置を所定の動作モードに設定し、前記パワーオンリセット判定ステップでの判定の結果、パワーオンリセットが発生したと判定された場合には、前記光ディスク装置を前記所定の動作よりも消費電流の小さい動作モードに設定することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ホスト装置の電源供給能力に起因する動作の不具合を改善した光ディスク装置、および光ディスク装置の動作モード設定方法を提供でき、ユーザに対する使い勝手の向上に寄与できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】一実施例における光ディスク装置のブロック図である。
【図2】一実施例における光ディスク装置の動作モード設定方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例につき図面を用いて説明する。まず光ディスク装置(ODD)に関して、装置全体の動作を説明する。
図1は、本発明の一実施例における光ディスク装置1のブロック図である。記録媒体である光ディスク101は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)やBD(Blu-ray Disc)である。もちろん、DVD−RやBD−Rのように一回のみ記録が可能な追記型、DVD−RAMやBD−REのような書換え型、DVD−ROMのような読取り専用型のいずれであっても良い。 装着された光ディスク101は、スピンドルモータ105により所定の回転速度(例えば、データを記録再生する位置において所定の線速度となる回転速度)で回転駆動される。そのためのスピンドルモータ制御信号115は、DSP(Digital Signal Processor)109が含むサーボ部113で生成され、増幅器108で電力増幅されたうえでスピンドルモータ105に供給される。なお、サーボ部113が前記スピンドルモータ制御信号115を生成するために、回転数検出回路106が設けられており、回転数検出回路106が発生するスピンドルモータ105の回転数を示す信号がDSP109に供給されている。
【0017】
光ピックアップ102は対物レンズ104を介して、レーザ光束を光ディスク101の記録面に照射し、データを記録または再生する。
光ピックアップ102は、スレッド機構に搭載されており、スレッドモータ103の回転に伴い、光ディスク101上の半径方向に移動して所定のトラック位置においてデータの記録再生を行う。このためのスレッドモータ制御信号118はサーボ部113で生成され、増幅器108で電力増幅されてスレッドモータ103に供給される。
また、対物レンズ104は電磁力を用いたトラッキングアクチュエータ119とフォーカスアクチュエータ120(図1では煩雑化を避けるため、119と120は対物レンズ104を駆動する方向のみ示す)に搭載されている。
【0018】
トラッキングアクチュエータ119には、サーボ部113で生成され増幅器108で電力増幅されたトラッキングアクチュエータ制御信号116が供給され、これに基づき対物レンズ104は、レーザ光束が光ディスク101の所定の記録トラック上を正しくトレースするよう、光ディスク101に対する半径方向(トラッキング方向)の位置を微調整される。また、フォーカスアクチュエータ120には、サーボ部113で生成され増幅器108で電力増幅されたフォーカスアクチュエータ制御信号117が供給され、これに基づき対物レンズ104は、レーザ光束が光ディスク101の所定の記録トラック上に正しくフォーカスするよう、光ディスク101に対する垂直方向(フォーカス方向)の位置を微調整される。
【0019】
光ピックアップ102が含む光検出器121は、前記レーザ光束の光ディスク101からの反射光を検出し、光ディスク101に記録されていた情報信号を検出して電気信号に変換する。検出された情報信号は信号処理部107に供給される。信号処理部107は、AFE(Analog Front End)回路とも呼ばれる回路ブロックを有し、AFE回路は、ディジタル記録であっても本質的にはアナログ信号として扱うべき段階における前記情報信号の処理を行う。即ち信号処理部107は、前記情報信号を演算処理して、例えばトラッキング制御信号とフォーカス制御信号を生成し、DSP109が含むサーボ部113に供給する。サーボ部113は、供給されたトラッキング制御信号とフォーカス制御信号に基づきトラッキング用とフォーカス用のサーボ信号、即ち先のトラッキングアクチュエータ制御信号116とフォーカスアクチュエータ制御信号117を生成し、増幅器108を介して光ピックアップ102に供給し、前記したトラッキング動作とフォーカス動作を制御する。
【0020】
また信号処理部107は、光ディスク101に対してデータを記録再生した際の振幅や位相の周波数特性を等化したうえで、等化されたデータをDSP109が含むデコーダ部112に供給する。デコーダ部112は、光ディスク101に記録されていた情報信号の再生処理を行う。例えば、光ディスク101に記録する以前に情報信号に施されたデータ圧縮処理とは逆の伸張処理を行い、元の情報信号をデコードする。なお、先の信号処理部107は、DSP109と同じ半導体チップ上に集積されることがある。
【0021】
以上述べた光ディスク装置1の動作は、マイコン(マイクロコンピュータ)111が生成する制御信号に基づいて行われる。なお、マイコン111もDSP109と同じ半導体チップ上に集積されることがある。以下では、マイコン111を制御部111と記述することがある。
【0022】
また、例えばユーザからの動作指令などは、光ディスク装置1の上位装置であるホストコンピュータ2で生成される。ホストコンピュータ2で生成された指令信号は、DSP109が含むI/F(インタフェース)部110が上位装置と光ディスク装置1の間の通信を仲介することで伝達される。ここでホストコンピュータ2は前記したPCが相当し、I/F部110は前記したUSBポートが相当する。即ち、光ディスク装置1はI/F部110を介してホストコンピュータ2から動作電源の供給を受けることができる。
【0023】
前記デコーダ部112でデコードされた情報信号は、I/F部110を介してホストコンピュータ2に供給される。また、逆にホストコンピュータ2からI/F部110を介して供給された情報信号は、信号処理部107が有する記録信号処理回路で所定の変調動作と記録符号化が施された後、光ピックアップ102が発生するレーザ光束を介して光ディスク1の記録トラックに記録される。
【0024】
光ディスク1において、その消費電流を決める大きな要因として次の要因がある。まず、高速で(4倍速、8倍速など)データを記録再生するためにスピンドルモータ制御信号115がスピンドルモータ105を高速回転させる際に、消費電流が増大する。また、スピンドルモータ105の回転起動時と速度変更時にも消費電流が増大する。また、光ピックアップ102の位置を変更するために、スレッドモータ制御信号118がスレッドモータ103を駆動する際に消費電流が増大することがある。さらに、トラッキングアクチュエータ制御信号116がトラッキングアクチュエータ119を、フォーカスアクチュエータ制御信号117がフォーカスアクチュエータ120を駆動する際に、瞬間的に消費電流が増大することがある。また、光ディスク101が光ディスク装置1に装着される際、図示しないローディング機構が機能するために、消費電流が増大することがある。
【0025】
例えば前記したような要因で消費電流が増大した時に、USBポートからの電源供給能力が不足して電源電圧が低下すると、制御部111は電圧低下を検知して、動作不良を避けるために光ディスク装置1の動作をリセットして再起動させる。このリセット動作は最初に電源が供給された時に、ファームウェアを含めて光ディスク装置1を起動する際にも行われる。双方を併せてパワーオンリセットと呼ぶ。
【0026】
ホストコンピュータ2(PC)から光ディスク装置1(ODD)への電源供給能力が不充分である場合には、例えば光ディスク装置1に電源を供給して起動した後、光ディスク101を装着するために前記ローディング機構が機能し、またスピンドルモータ105が起動し、またスレッドモータ103が起動し、さらにトラッキングアクチュエータ119やフォーカスアクチュエータ120が起動するなどの動作が行われるたびに、パワーオンリセットがかかり、情報データの書込みや読取りの動作が円滑に行われない問題が起こる。さらに、光ピックアップ102が情報データの書込みや読取りを行う際にパワーオンリセットがかかると、書込みエラーや読取りエラーが発生して、期待した記録再生動作が行われない問題がある。なお、倍速書込みや読取りが行われる際には、書込みや読取りの速度が速いほどスピンドルモータ105の回転速度が上昇して、パワーオンリセットがかかり易くなる。
【0027】
PCの電源供給能力が不充分であることにより、パワーオンリセットがかかる問題を解決するため、本実施例においては以下に説明するような判定機能をODDが有している。この判定機能をODDが独自に実施する場合と、ODDがPCからのコマンドを受けて実施する場合とが考えられるので、二つのケースに分けて説明する。
まず、ODDが、接続されたPCの電流供給能力を判定する機能を独自に実施する場合について述べる。まず、ODDは大きな消費電流を要する所定の動作を実行し、パワーオンリセットがかかるか否かを判定する。パワーオンリセットがかかったと判定された場合には、PCの電流供給能力が低いと判断して、後記するように例えば倍速書込みや読取りの際の速度を制限して、実際の動作仕様をODDが有する最高仕様よりも低目に変更する。
【0028】
前記した判定動作を、ODDに電源が供給された際に毎回行う場合には、接続するPCが変わった際にも確実に判定して動作仕様を決めることができる。
また、ODDに電源が供給された後、例えばスタンバイ状態のようにODDが動作しない状態に判定する場合には、毎回同じODDを使用する際に電源が供給されるたびに判定を繰返す煩わしさを解消することができる。
さらには、前記とは異なり、PCの電源供給能力の判定を特別に行うことなく、ODDの動作中にパワーオンリセットがかかった場合に、その動作に関わる仕様を低目に変更し、例えば倍速書込みや読取りの際の速度を制限する方法もある。この場合は、実際の書込みや読取りの動作が行われる際に、一度パワーオンリセットがかかることがあるものの、その後は問題が解消される。
【0029】
次に、ODDが独自に実施するという前記した場合とは異なり、PCが、接続されたODDに対して、PCの電流供給能力を判定して動作仕様を決めるように指示する場合について述べる。PCはこの指示を行うためのプログラムを有する。ODDがPCに接続された際に、ユーザは前記プログラムを使用して、ODDに前記機能を実施するか否かを選択して指示する。ユーザがODDに前記機能を実施するように指示した場合には、PCはODDに対して、この指示に対応したコマンドを送信する。該コマンドを受信したODDは、前記と同様にPCの電源供給能力を判定し、必要に応じて動作仕様を変更する。
【0030】
ユーザがODDに前記機能を実施しないように指示した場合には、PCはODDにこの指示に対応して、前記とは異なるコマンドを送信する。この場合、ODDはPCの電源供給能力の判定を特別に行うことなく、動作中にパワーオンリセットがかかった場合に、その動作に関わる仕様を低目に変更する。
【0031】
ODDが、実際の動作仕様をODDが有する最高仕様よりも低目に変更するためには、次の方法がある。
最も効果的な方法の一つとして、スピンドルモータ105の回転速度を低減する方法、即ち、データの書込みや読取りをする際の最高の速度を、例えば8倍速から4倍速や2倍速に下げるように、スピンドルモータ105の駆動電流を制限する方法がある。この際、パワーオンリセットがかからない範囲で最高の速度とすることが望ましい。
【0032】
さらにスレッドモータ103の駆動電流を、スピンドルモータ105に応じて制限することが望ましい。
また、スピンドルモータ103の起動時や速度変更時にその電流を制限することにも効果があり、トラッキングアクチュエータ駆動電流やフォーカスアクチュエータ駆動電流を制限することにも効果がある。
【0033】
次に、ODDが、大きな消費電流を要する所定の動作を実行してパワーオンリセットがかかるか否かを判定し、さらにODDの動作モードを設定する方法について、詳しく説明する。
図2は、一実施例における光ディスク装置(ODD)1の動作モード設定方法のフロー図である。
【0034】
ODD1がPC2に接続され、ODD1に電源が供給されることでフローが開始される。
ステップS201でODD1の制御部111は、この電源供給はODD1がPC2に接続された後の初回の電源供給であるか否かを判定する。
【0035】
ステップS201での判定の結果、初回の電源供給であると判定された場合には(図中のYes)、ステップS202に到り、制御部111はODDが電源供給されていることを示すフラグを作成して不揮発メモリに記憶する。該不揮発メモリは制御部111或いはDSP109が内蔵するメモリであっても良く、またこれらに外付けされたメモリであっても良い。
【0036】
次にステップS203では、大きな消費電流を必要とする動作を実行する。制御部111は、例えばスピンドルモータ105に指示して最高速度で回転させる。或いはスレッドモータ103に指示して最高速度で回転させる。この動作を所定の時間、例えば2秒間継続する。
次にステップS204では、制御部111は、前記した動作が所定の時間継続された間に問題が有ったか否かを、パワーオンリセットの有無に基づいて判定する。
【0037】
ステップS204での判定の結果、前記した動作が継続された間に問題は無かったと判定された場合には(図中のNo)、ステップS205に到り、前記不揮発メモリに記憶した電源供給フラグをクリアする。この場合は、例えばスピンドルモータ105やスレッドモータ103を速い速度で回転させても問題ないため、ODD1を最高仕様のまま動作させる通常動作に設定してフローを終了する。
【0038】
ステップS204での判定の結果、前記した動作が継続された間に問題が有ったと判定された場合には(図中のYes)、ステップS201に戻る。ステップS201では再度、ODD1がPC2に接続された後の初回の電源供給であるか否かを判定するが、ここでは初回ではないため判定は図中のNoとなる。この場合は、少なくも最高仕様のままでODD1を動作させることはエラーを起こす原因となるため、動作仕様を適宜低目に変更した動作に設定してフローを終了する。動作使用を適宜低目に変更した動作とは、例えばスピンドルモータ105の回転速度を最高速度よりも低い所定の速度に低減した動作であって良い。
【0039】
以上示した実施例によれば、PCが通常の使用状態とは異なるテストモードを有する必要はない。また、PCの電源供給能力が不充分な場合にも、ODDはUSBポートから供給された電源で所定の動作仕様で動作することができる。さらには、USBポートから供給された電源に電源供給能力が充分に有る場合には、ODDは最大の動作性能で動作することができる。
【0040】
また、先の図2において、ステップS204での判定がYesである場合に、ステップS203に戻るようにし、ステップS203で前回とは異なり、最高速度よりも低い所定の速度で例えばスピンドルモータ105を回転させる動作を実行し、ステップS204での判定がNoとなるうちの最高速度を求めてODD1の動作を設定しても良い。これにより、PCの電源供給能力をさらに生かした状態でODD1の動作仕様を設定することができる。
ここまで示した実施形態は一例であって、本発明を限定するものではない。本発明の趣旨に基づきながら異なる実施形態を考えられるが、いずれも本発明の範疇にある。
【符号の説明】
【0041】
1:光ディスク装置、2:ホストコンピュータ、101:光ディスク、102:光ピックアップ、103:スレッドモータ、105:スピンドルモータ、111:制御部、119:トラッキングアクチュエータ、120:フォーカスアクチュエータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスト装置から供給された電源を用いて光ディスクから情報データを再生する光ディスク装置であって、
前記光ディスクを回転させるスピンドルモータと、
前記光ディスクにレーザ光を照射する対物レンズと、該対物レンズの前記光ディスクに対する半径方向位置を微調するトラッキングアクチュエータと、前記対物レンズの前記光ディスクに対する垂直方向位置を微調するフォーカスアクチュエータと、前記レーザ光の前記光ディスクからの反射光を検出して前記光ディスクに書込まれた情報データを読取り電気信号に変換して出力する光検出器を有する光ピックアップと、
前記光ピックアップを前記光ディスクに対して半径方向に移動して相対的な位置を定めるスレッドモータと、
前記対物レンズの前記光ディスクに対する位置を微調するための駆動信号を生成して前記トラッキングアクチュエータとフォーカスアクチュエータに供給するサーボ部と、
前記光ピックアップから出力された電気信号を処理して前記ホスト装置に供給し、また前記サーボ部に前記駆動信号を生成させるために供給する信号処理部と、
前記光ディスク装置の動作を制御する制御部を有し、
該制御部は、前記光ディスク装置が前記ホスト装置に接続され起動された後に前記光ディスク装置を再起動させるためのパワーオンリセットが発生したと判定した場合には、消費電流を低減した動作を行うよう制御することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光ディスク装置において、前記制御部は、前記いずれか一つまたは複数の構成要素に指示して所定の消費電流を消費させ、前記パワーオンリセットが発生するか否かを判定することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
請求項2に記載の光ディスク装置において、所定の消費電流を消費させる構成要素は、前記スピンドルモータであることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項4】
請求項2に記載の光ディスク装置において、所定の消費電流を消費させる構成要素は、前記スレッドモータであることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項5】
請求項1に記載の光ディスク装置において、前記制御部は、前記光ディスク装置が前記ホスト装置に接続され起動された後、前記情報データを再生する以前において前記パワーオンリセットが発生したか否かを判定することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項6】
請求項1に記載の光ディスク装置において、前記制御部は、前記光ディスク装置が前記ホスト装置に接続され起動された後、前記情報データを再生しないスタンバイ期間において前記パワーオンリセットが発生したか否かを判定することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項7】
ホスト装置から供給された電源を用いて光ディスクから情報データを再生する光ディスク装置の動作モード設定方法であって、
前記動作モード設定が行われる前の電源供給状態であるか否かを判定する電源供給状態判定ステップと、
該電源供給状態判定ステップでの判定の結果、前記動作モード設定が行われる前の電源供給状態であると判定された場合には、該電源供給状態であることを記憶して所定の時間消費電流を増大させる消費電流増大ステップと、
該消費電流増大ステップにおいてパワーオンリセットが発生されたか否かを判定するパワーオンリセット判定ステップを有し、
該パワーオンリセット判定ステップでの判定の結果、パワーオンリセットは発生しなかったと判定された場合には、前記電源供給状態であることの記憶をクリアして前記光ディスク装置を所定の動作モードに設定し、
前記パワーオンリセット判定ステップでの判定の結果、パワーオンリセットが発生したと判定された場合には、前記光ディスク装置を前記所定の動作よりも消費電流の小さい動作モードに設定することを特徴とする光ディスク装置の動作モード設定方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate