説明

光ディスク装置

【課題】 光ヘッド、ディスクトレイ、トラバースシャーシの駆動の切り替えを円滑に
行い、駆動力を適切に調整し、エネルギ消費量を低減するとともに、駆動装置(モータ)
及び駆動力伝達装置に必要以上の負荷がかかるのを低減する。

【解決手段】 サブラック421のギア歯が形成されているのと反対側には、トラバー
スシャーシ21に形成されている突起部22と接触する門型形状の弾性部材(板ばね43
)が備えられている。板ばね43はサブラック422に固定される一対の固定部431と
、一対の固定部431をつなぐ支持部432と、支持部432の中央に固定部と一体に形
成され、突起部22と当接する山型部433とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクに記録された情報を読み出す又は光ディスクに情報を記録する光
ディスク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、映像、音声又は情報の記録媒体として、CD(Compact Disc)、DVD(Digita
l Versatile Disc)等の光ディスクが多く用いられている。これら光ディスクを記録媒体
として用いる光ディスク装置は該光ディスクの記録面に対しレーザ光を照射しデータの記
録を行い、及び(又は)前記記録面で反射してきた光を検出することで、データの読出し
を行っている。
【0003】
前記光ディスク装置の多くは、前記光ディスクを載置するディスクトレイを有している
。前記光ディスク装置は前記ディスクトレイに光ディスクを載置し、該ディスクトレイを
摺動させ、該光ディスクを筐体内の所定位置へ搬送(ローディング)する。そして、前記
光ディスクを駆動するためのディスク駆動手段及び該光ディスクにレーザ光を照射するた
めの光ヘッドが備えられたトラバースシャーシを、前記光ディスクが前記ディスク駆動手
段に装着されるように移動(チャッキング)する。このとき、前記光ディスクは前記ディ
スクトレイを離れディスク駆動手段にて、周方向に滑らないように挟着されている。
【0004】
その後、前記ディスク駆動手段で前記光ディスクを駆動(回転)しつつ、前記光ヘッド
を該光ディスクの径方向に移動させ、該光ヘッドから該光ディスクへレーザ光を照射する
ことで、データの記録又は読出しを行う。
【0005】
前記光ヘッドより前記光ディスクにレーザ光を照射する場合、まず前記光ヘッドがホー
ムポジションに移動する必要がある。前記光ヘッドを前記ホームポジションに移動させる
とき、一端、前記光ディスクの内周側のポジションに移動させた後、わずかに外周方向に
移動したホームポジションに移動する。これにより、前記光ヘッドを前記ホームポジショ
ンに正確に配置することができる。
【0006】
前記光ディスクを排出(アンロード)するときは、前記光ヘッドを移動し、該光ヘッド
が前記所定位置に停止した後、前記トラバースシャーシを移動する。前記トラバースシャ
ーシを移動することで前記光ディスクは前記ディスク駆動手段にチャッキングされた状態
から外れ前記ディスクトレイに載置される。前記光ディスクが前記ディスクトレイに載置
された状態で該ディスクトレイを筐体より搬出して該光ディスクの排出を完了する。
【0007】
前記光ヘッドが前記光ディスクの最内周の所定の位置に移動していない状態で、前記ト
ラバースシャーシや前記ディスクトレイを移動させてしまうと、光ヘッドが前記ディスク
トレイ等の部材と接触し、物理的なダメージが加えられる可能性があり、故障、破損の原
因になる。また、前記ディスクトレイ、前記トラバースシャーシ及び前記光ヘッドは単一
のモータで駆動されており、該ディスクトレイ、トラバースシャーシ及び光ヘッドの駆動
を適切なタイミングで切り替えなくてはならない。
【0008】
例えば特開2004−178767号公報に記載の発明では、光ヘッドを駆動する光ピ
ックアップ駆動手段と、トレイ駆動手段と、シャーシ駆動手段が単一のモータで駆動され
るものが示されており、光ピックアップが前記光ディスクの内周の所定位置に到達したか
否かを検知するための検知スイッチが備えられているものを示している。検知スイッチで
検知されたことに基づいて、各駆動手段の動作を切り替える。
【0009】
また、特開2004−273062号公報に記載の発明では、前記光ヘッドと当接する
突起部を設けておき、該光ヘッドを駆動する駆動手段に備えられるモータの電圧を検知し
ている。前記光ヘッドが前記突起部と接触しモータが停止することでおきる電圧の上昇を
検出したときに、前記モータへの電力の供給を停止し前記光ヘッドを停止する。
【0010】
また、特開2002−288911号公報に記載の発明では、ディスク搬送機構と光ピ
ックアップ送り機構を1つのモータで駆動するものが示されている。前記ディスク搬送機
構と前記光ピックアップ送り機構の駆動機構の切り替えを、歯車の回転角度で行うものが
示されている。
【特許文献1】特開2004−178767号公報
【特許文献2】特開2004−273062号公報
【特許文献3】特開2002−288911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述したような光ヘッドが所定位置に達したことを検出する検出スイッ
チを設けようとすると、前記トラバースシャーシ、前記ディスクトレイと干渉しない位置
に設けなくてはならず、設計の自由度が低下するという問題が生じる。また、前記検出ス
イッチを制御するための専用のプリント配線基板等も必要となり、さらに設計の自由度が
低下する。
【0012】
また、前記検出スイッチを設けるにはスイッチ自体及び制御用プリント配線基板等を設
けなくてはならず、ディスク装置を構成する部品点数が増加し、ディスク装置の製造コス
トが高くなる。
【0013】
また、光ヘッドが所定位置に達したときに突起部に当接させ、そのときのモータの負荷
変動を、該モータに供給される電圧の変化を検出することで該光ヘッドが所定位置に達し
たと判定するものの場合、前記光ヘッドが突起部に当接しない状態で動きを制限されてし
まっても、モータの負荷が変動し、該光ヘッドが所定位置に到達したと認識してしまう。
この状態で、次の動作に切り替えると光ヘッドの位置が適正でないため、光ヘッド、ディ
スクトレイ、トラバースシャーシ等を故障、破損させてしまう可能性がある。また、光デ
ィスクにも傷がつく可能性がある。
【0014】
さらに、歯車の回転角度で前記ディスク搬送機構と前記光ピックアップ送り機構の駆動
機構の切り替えを行うものの場合、駆動中や、取付時に歯車の噛み合いがずれてしまうと
、駆動機構の切り替えタイミングがずれてしまい、故障、破損の原因になる。
【0015】
そこで本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、光ヘッド、ディスクトレイ
、トラバースシャーシの駆動の切り替えを円滑に行うことができ、簡単な構造で、製造コ
ストを低減することができる光ディスク装置を提供することを目的とする。
【0016】
また本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、光ヘッド、ディスクトレイ、
トラバースシャーシの駆動の駆動力を適切に調整することができるので、エネルギ消費量
を低減することができるとともに、駆動装置(モータ)及び駆動力伝達装置に必要以上の
負荷がかかるのを低減することができ、それだけ長期にわたって安定して使用することが
できる光ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため本発明は、光ディスクを載置させる摺動自在なディスクトレイ
と、前記光ディスクに対してレーザ光を照射させる摺動自在な光ヘッドと、前記光ヘッド
及び前記光ディスクを支持するターンテーブルを搭載した昇降自在なトラバースユニット
と、前記ディスクトレイの摺動、前記光ヘッドの摺動及び前記トラバースユニットの昇降
の動力源になる駆動モータと、前記トラバースユニットと、前記駆動モータを支持し、前
記トラバースユニットが上昇したときに前記ターンテーブルと前記光ディスクを挟着しチ
ャッキングするクランプとを搭載したローダーシャーシユニットとを備えた光ディスク装
置であって、前記駆動モータには正逆回転駆動における回転数を検出するためのエンコー
ダパルスを出力するエンコーダが備えられ、前記光ヘッドのラックには弾性部材が、前記
トラバースユニットには前記光ヘッドが前記光ディスクの内周側に移動したときに前記弾
性部材と当接する突起部が備えられており、前記板ばねは、前記光ヘッドが内周側の前記
駆動モータの駆動力を受けることができる所定の位置に到達したときに、前記山型部と前
記突起部とが当接し、前記駆動モータから受ける駆動力が小さいときには前記山型部が突
起部を超えることができないように形成されており、前記光ヘッドは前記トラバースユニ
ットが降下するときは前記山型部が前記突起部を越え、前記駆動モータよりの駆動力を受
けない位置まで移動するものであり、前記板ばねが前記突起部に当接し前記光ヘッドが止
まるときの前記エンコーダより出力されるエンコーダパルスの変化を検知し、前記駆動モ
ータから出力される駆動力を切り替えることを特徴とする。
【0018】
この構成によると、スイッチ等の複雑な装置を用いることなく、「光ヘッドの動作」、
「トラバースユニットの動作」、「ディスクトレイの動作」の切り替えを行うことができ
る。また、各動作で最適な駆動力を選択することができるので、エネルギ消費量を低減す
ることができる。また、駆動モータ、駆動力伝達機構(駆動力伝達歯車機構、各種ラック
、各種カム)に必要以上の負荷がかかるのを抑制することができるので、長期間にわたり
安定した動作を行うことができる。
【0019】
上記構成において、前記光ディスクユニットを前記光ディスクの内周側へと移動させ、
前記トラバースユニットを下降させ、前記ディスクトレイを排出する場合、前記光ヘッド
を摺動することができるとともに前記板ばねが前記突起部を乗り越えることができない駆
動力を出力できる第1電圧を前記駆動モータに入力し、前記エンコーダより出力されるエ
ンコーダパルスの振幅が変化しなくなったのを検知すると、前記ターンテーブルと前記ク
ランプとのチャッキングを解消するための駆動力を発揮できる第2電圧を前記駆動モータ
に入力し、前記第2電圧を前記駆動モータに入力し始めたのち予め定められた切替タイミ
ングで、前記ディスクトレイを駆動することができる駆動力を出力できる第3電圧を前記
駆動モータに入力するものであってもよい。
【0020】
また上記構成において、前記光ヘッドを内周側へと移動させ所定のホームポジションに
移動する場合、前記光ヘッドを摺動することができるとともに前記板ばねが前記突起部を
乗り越えることができない駆動力を出力できる第1電圧を前記駆動モータに入力し、前記
エンコーダより出力されるエンコーダパルスの振幅が変化しなくなったのを検知すると、
前記光ヘッドを外周方向に移動することができる第4電圧を駆動モータに入力し、予め定
められた切替タイミングで入力電圧を0にするものであってもよい。
【0021】
さらに上記構成において、前記ディスクトレイを前記光ディスク装置に挿入する場合、
前記ディスクトレイを駆動でき且つ前記トラバースユニットを上昇させることができる駆
動力を出力できる第5電圧を前記駆動モータに入力し、前記エンコーダより出力されるエ
ンコーダパルスの周波数が高くなったのを検知すると、前記光ヘッドを外周方向に移動す
ることができエンコーダパルスの周波数が所定の値になる第6電圧を駆動モータに入力す
るものであってもよい。
【0022】
上記構成において、前記切替タイミングは時間経過をもとに決定されるものであっても
よく、前記エンコーダから出力されるエンコーダパルスのパルス数をもとに決定されるも
のであってもよい。
【0023】
なお本発明を詳細に述べると、動力源である駆動モータと、光ディスク装置本体に対し
てスライドして開閉可能に設けられるものであり、前記駆動モータの駆動力を受けるため
のトレイラックと、連動機構であるガイド溝とを備え、光ディスクを載置できるディスク
トレイと、前記光ディスクに対してレーザ光を照射するとともに、該光ディスクの内周又
は外周へと往復摺動可能に設けられるものであり、前記駆動モータの駆動力を受けるとと
もに、ラックボスとを具備したラックを備えた光ヘッドと、昇降自在に設けられるもので
あり、前記駆動モータの駆動力を受けるための摺動ボスを具備し、前記光ディスクを回動
するためのスピンドルモータと及び前記スピンドルモータに回動可能に取り付けられ前記
光ディスクを支持するターンテーブルが搭載されるトラバースシャーシと、前記ラックの
ラックボスに係合するトリガーガイドを具備し該光ヘッドの移動に連動するとともに、連
結ボスを有するレバートリガーと、前記駆動モータの駆動力を伝達するための駆動力伝達
歯車機構を備え、前記光ヘッドが摺動可能に取り付けられるトラバースユニットと、前記
駆動モータを搭載するとともに、前記駆動力伝達歯車機構と歯合して前記駆動モータの駆
動力を受ける一方、該駆動力伝達歯車機構との歯合を解消し前記駆動力が伝達されないよ
うにするための間欠部を具備したギアトレイを回動可能に軸支し、さらに、前記ギアトレ
イと歯合するカムスライダーラックを具備するとともに、前記トラバースシャーシの摺動
ボスが係合するカム溝、前記ディスクトレイのガイド溝と係合する立設ボス及び前記レバ
ートリガーの連結ボスと係合する連結溝を具備し、該トラバースシャーシ及びディスクト
レイを連動させる一方、前記レバートリガーの移動に連動するカムスライダーと、前記ト
ラバースユニットが上昇したときに前記ターンテーブルと前記光ディスクをチャッキング
するクランプとを備えたローダーシャーシユニットとを含む光ディスク装置であって、前
記駆動モータには正逆回転駆動における回転数を検出するためのエンコーダパルスを出力
するエンコーダが備えられ、前記光ヘッドのラックには板ばねが、前記トラバースユニッ
トには前記光ヘッドが前記光ディスクの内周側に移動したときに前記板ばねと当接する突
起部が備えられており、前記板ばねは、一対の固定部と、前記一対の固定部を連結する支
持部と、前記支持部の略中央に形成される山型部とを有しており、前記光ヘッドが内周側
の前記駆動モータの駆動力を受けることができる所定の位置に到達したとき、前記山型部
と前記突起部とが当接し、前記駆動モータから受ける駆動力が小さいときに は前記山型
部が突起部を超えることができないように形成されており、前記光ヘッドは前記トラバー
スユニットが降下するときは前記山型部が前記突起部を越え、前記駆動モータよりの駆動
力を受けない位置まで移動するものであり、前記光ヘッドが摺動し前記山型部と前記突起
部が当接して前記駆動モータの回転が止まり、前記エンコーダから出力されるエンコーダ
パルスの振幅が一定期間変化しなくなったこと、又は、前記エンコーダパルスの周波数が
変化したことをもとに前記駆動モータから出力する駆動力を切り替えることを特徴とする
ものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、光ヘッド、ディスクトレイ、トラバースシャーシの駆動の切り替えを
円滑に行うことができ、簡単な構造で、製造コストを低減することができる光ディスク装
置を提供することができる。
【0025】
また本発明によると、ドライブシャーシを製造するのに必要な金型を長寿命化すること
ができ、それだけ、材料及びエネルギの浪費を低減することができる光ディスクローディ
ング装置及び光ディスク装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1〜図6は本発明にかかる光デ
ィスク装置を示している。図1は光ディスク装置の斜視図であり、図2は上方から見た光
ディスク装置の概略構成図を示している。図3は光ディスク装置の内部を上方から見た概
略構成図であり、図4は下方から見た光ディスク装置内部の概略構成図である。図5及び
図6はそれぞれ図3に示す光ディスク装置の内部をフロントパネル側、側方から見た概略
構成図である。なお、便宜上、図3〜図6においては、ディスクトレイ自体を省略し、後
述のガイド溝11及びトレイラック12のみを図示している。
【0027】
光ディスク装置Aはローディングされた光ディスクにレーザ光を照射し、データの読出
し及び(又は)書込みを行うものである。図2に示すように光ディスク装置Aは、ディス
クトレイ1と、トラバースユニット2と、ローダーシャーシユニット3とを有している。
<ディスクトレイについて>
図1に示すように光ディスク装置Aはディスクトレイ1が、外装ハウジングOhのフロ
ントパネルFpに設けられたスリット状の出入り口Stから、出入りできるように配置さ
れている。
【0028】
ディスクトレイ1が出入り口Stより光ディスク装置Aの外部に排出されている状態で
光ディスクを載置し、ディスクトレイ1を挿入することで光ディスクを再生/記録可能な
領域に挿入(ローディング)する。また、ディスクトレイ1を光ディスク装置Aより排出
することで光ディスク装置A内部に挿入されている光ディスクを排出(アンローディング
)する。
【0029】
図4に示すようにディスクトレイ1の下面に段階的に屈曲するガイド溝11と、後述の
ギアトレイ33から駆動力を伝達されるトレイラック12がディスクトレイ1の長手方向
に設けられている。ガイド溝11はディスクトレイ1の摺動方向に延びる直線部111と
、所定の位置で斜めに屈曲する斜行部112と、さらに摺動方向と直交するように屈曲す
る直交部113とを有している。
【0030】
なお、フロントパネルFpが設けられている方向をフロント側(「F」)、フロント側
に対向する方向をリア側(「R」)と表現する。また、フロント側からリア側に延びる方
向に対する垂直横行をサイド側(「S」)と表す。
<トラバースユニットについて>
図3に示すようにトラバースユニット2は、トラバースシャーシ21に、光ヘッド4、
レバートリガー5、スピンドルモータ6、駆動力伝達歯車機構7、エンコーダ8及び突起
部22を取り付けたものである。トラバースシャーシ21は、ローダーシャーシ31のリ
ア側の一端に取付ねじにてねじ止めされている。
【0031】
図2に示すように、トラバースシャーシ2はトラバースシャーシ21に設けられた取付
孔に、該孔自体の周囲(円周)及び軸方向の両端側を覆い、且つ、ローダーシャーシ31
に設けられたボスを挿入できる開口を有するフローティングゴム(ダンパー)210を嵌
め込みにて介在させ、ボスが取付孔を貫通するように、トラバースシャーシ21を載置し
、トラバースシャーシ21の取付孔とローダーシャーシ31のボスとを、取付ねじで固定
させている。
【0032】
取付ねじは、ねじ頭とローダーシャーシ31の間が一定の間隔になるように、取付固定
されている。この間隔を利用して、トラバースシャーシ21(トラバースユニット2)は
取付ねじを支点として回転移動が可能となり、光ディスクからデータを読み出す又は光デ
ィスクにデータを書き込む場合には、上昇して光ディスクを挟持する(チャッキングする
)。また、光ディスクを排出する場合には、トラバースシャーシ21(トラバースユニッ
ト2)は下降し、光ディスクがディスクトレイ1に載置された状態(光ディスクと後述の
ターンテーブルが離れている状態)にする。
【0033】
光ヘッド3は光ディスクにレーザ光を照射してデータを読出し又は記録するものであり
、トラバースシャーシ21に設けられたガイド軸211に沿って摺動するように取り付け
られている。光ディスクに対してレーザ光を照射する対物レンズ31を備えている。また
、図示を省略しているが、レーザ光を出射するレーザ光源、光ディスクで反射したレーザ
光を受光し電気信号に変換する受光素子等の光学部品が配置されている。
【0034】
なお、光ヘッド4には、後述の駆動モータ9の駆動力が伝達されるラック42が設けら
れている。ラック42は下部に光ヘッド3に一体的に形成されるメインラック421と、
メインラック421と重なるように上部に配置されるサブラック422とを有している。
つまり、ラック42はメインラック421とサブラック422が重なったダルブラックと
なっている。
【0035】
メインラック421は後述する第1歯車71と歯合し、駆動モータ9の駆動力を受けて
光ヘッド4の摺動を行う。また、サブラック422はメインラック421に対してスライ
ド可能に取り付けられており、メインラック421とサブラック422はギア歯が平面視
でずれるように、コイルばねにて付勢されている。メインラック421とサブラック42
2のギア歯が上述のとおりずれることで、第1歯車71のギア歯を挟むのでバックラッシ
ュを取り除くことができる。
【0036】
ラック42では、サブラック422のギア歯がメインラック421のギア歯よりも長く
形成されており、サブラック422のギア歯がメインラック421のギア歯に対してリア
側に長くなるように重ねて配置される。これにより、光ヘッド4の位置によっては、メイ
ンラック421とサブラック422とが第1歯車71と歯合している、サブラック422
のみが第1歯車71と歯合している及びメインラック421、サブラック422いずれも
が第1歯車71と歯合していない場合がある。
【0037】
また、図4に示すように、サブラック421のギア歯が形成されているのと反対側には
、トラバースシャーシ21に形成されている突起部22と接触する門型形状の弾性部材(
板ばね43)が備えられている。板ばね43はサブラック422に固定される一対の固定
部431と、一対の固定部431をつなぐ支持部432と、支持部432の中央に固定部
と一体に形成され、突起部22と当接する山型部433とを有している。また。サブラッ
ク432の先端には、後述するレバートリガー5のトリガーガイド51に摺動可能に係合
するラックボス423が形成されている(立設されている)。
【0038】
光ヘッド4が光ディスクの内周側に摺動し、光ヘッド4の移動の限界部まで来ると、メ
インラック421と第1歯車71との歯合がはずれ、光ヘッド4の摺動は停止する。この
とき、サブラック422はまだ第1歯車71と歯合しており、サブラック422は光ディ
スクの内周側にさらに摺動し、板ばね43の山型部433とトラバースシャーシ21に形
成されている突起部22とが接触する。板ばね43は一定の力以下で突起部22と接触す
る(サブラック422の摺動力が小さい)と、山型部433が突起部22と当接し乗り越
えることができず、停止する。また、一定の力以上で突起部22と接触する(サブラック
422の摺動力が大きい)と、板ばね43は変形し、山型部433が突起部22を乗り越
えるように形成されている。
【0039】
レバートリガー5は、ラックボス423が係合するトリガーガイド51(図3参照)と
、後述のカムスライダー34の連結溝341と嵌合する連結ボス52(図4、図5参照)
とを有している。レバートリガー5はラックボス423の位置(移動)に応じてサイド方
向(ディスクトレイ1の移動方向に対して直行する方向)に往復移動するように、トラバ
ースシャーシ21に取り付けられている。レバートリガー5はサブラック422が摺動し
、ラックボス423がトリガーガイド51の側部を押すことで、サイド方向に移動する。
このとき、カムスライダー4の連結溝341を連結ボス52が押し、カムスライダー34
を移動させる。
【0040】
スピンドルモータ6は光ディスクを支持するためのターンテーブル61を有しており、
ターンテーブル61はトラバースユニット2が上昇することで、ローダーシャーシユニッ
ト3に設けられたクランプ32(図2参照)と磁力にて嵌着することで光ディスクを挟着
(チャッキング)する。このとき、クランプ32とターンテーブル61とは磁力にて互い
に引き合っており、光ディスクを強く挟着している。スピンドルモータ6はチャッキング
された光ディスクを回転させるモータである。チャッキングのため(ディスク再生等のた
め)の、スピンドルモータ6が搭載されたトラバースユニット2の昇降動作については後
述する。
【0041】
トラバースシャーシ21は、カムスライダー34のカム溝343に係合する摺動ボス2
12を有しており、カムスライダー34の移動に連動して、トラバースシャーシ21を昇
降させるものである。
【0042】
駆動力伝達歯車機構7は、第1歯車71、第2歯車72、第3歯車73を有している。
各歯車はトラバースシャーシ21に回動可能に軸支持されている。駆動力伝達歯車機構7
はローダーシャーシユニット2(図6参照)に設けられる駆動モータ9からの駆動力を、
ディスクトレイ1の往復移動、光ヘッド4の往復移動及びカムスライダー34の移動のた
めに伝達するものである。
【0043】
第1歯車71は、駆動モータ9の出力軸90(後述)に取り付けられたピニオンギア9
1(後述)より、駆動力が伝達される第1大歯車711と、第1大歯車711と同一の中
心軸上、下部(ローダーシャーシ31に近づく方向)に設けられ、光ヘッド4のラック4
2に駆動力を伝達する第1小歯車712とを有している。すなわち、第1大歯車711が
上方に、第1小歯車712が下方に同軸上で軸支されるように構成されている。
【0044】
第2歯車72は、第1歯車71からの駆動力が伝達される第2大歯車721と、第2大
歯車721と同一の中心軸上、下部(ローダーシャーシ31に近い方向)に設けられ、第
3歯車73に駆動力を伝達する第2小歯車722とを有している。すなわち、第2大歯車
721が上方に、第2小歯車722が下方に同軸上で軸支されるように構成されている。
【0045】
第3歯車73は、第2小歯車722から駆動力を伝達される歯車であり、トラバースシ
ャーシ21上に回動可能に軸支されている。
【0046】
エンコーダ8は、駆動モータ9の出力軸90に設けられたスリットプレート81のスリ
ットを読み取ることで出力軸90に設けられたピニオンギア91の回転情報(回転数、回
転角度、回転速度等)を得ることができる。
【0047】
さらに具体的説明すると、図7(エンコーダを含む駆動モータの平面図)、図8(エン
コーダを含む駆動モータの側面図)に示すように、エンコーダ8は、トラバースシャーシ
21に取り付けられたプリント基板82と、プリント基板82に取り付けられた断面凹形
状の検知部83を有している。エンコーダ8では、検知部83の一方の端部に光を出射す
る発光素子831が、多端は受光素子832が備えられている。発光素子831及び受光
素子832は対面して配置されており、発光素子831及び受光素子832の間にスリッ
トプレート81が接触しないように配置される。スリットプレート81には貫通孔形状の
スリット811が等中心角度間隔で配置されている。
【0048】
スリット811が発光素子831と受光素子832とをつなぐ線上にあるとき、受光素
子832は発光素子831からの光を受光し、電気信号を出力する。また、スリット81
1が発光素子831と受光素子832とをつなぐ線上にないとき、受光素子832は発光
素子831より出射される光を受光できず、電気信号が出力されない。発光素子831よ
り光を発光しつつ、スリットプレート81を回転すると、スリットプレート81は駆動モ
ータ9の回転にあわせて回転するので、受光素子832から電気信号(エンコーダパルス
)が周期的に出力され、その電気信号の周期によって、駆動モータ9の回転数(すなわち
、回転角度)を検出することができる。
<ローダーシャーシユニットについて>
ローダーシャーシユニット3は、図2及び図3に示すように、ローダーシャーシ31、
ギアトレイ33、駆動モータ9及びカムスライダー34を有している。ローダーシャーシ
31は、トラバースユニット2を収容する本体シャーシであり、駆動モータ9、カムスラ
イダー34を備えるように構成されている。
【0049】
ギアトレイ33は、第3歯車73から駆動力が伝達される歯車であり、ローダーシャー
シ31に回動可能に軸支持される。ギアトレイ33には、軸方向に、一部欠損する欠損部
331(図6参照)が設けられており、第3歯車73と歯合する場合、歯合しない場合を
角度およびトラバースユニット2の高さによって選択的に作り出すことができるようにな
っている。
【0050】
駆動モータ9は、ディスクトレイ1の摺動動作、光ヘッド4の往復移動及びカムスライ
ダー34の往復移動(トラバースユニット2の昇降移動)のための動力源である。駆動モ
ータ9の出力軸90にはピニオンギア91とスリットプレート81がはめ込まれており、
ピニオンギア91及びスリットプレート81は出力軸90と共に回転する。ピニオンギア
91は第1大歯車711と歯合している。
【0051】
カムスライダー34は、レバートリガー5の連結ボス52が係合する連結溝341(図
5参照)、ディスクトレイ1の底面のガイド溝11に係合する立設ボス342(図3、5
等参照)、トラバースシャーシ21の摺動ボス212と係合するカム溝343(図5参照
)及びギアトレイ33と歯合するカムスライダーラック344とを有している。
【0052】
カムスライダー34は、ローダーシャーシ31のフロント側に、ディスクトレイ1の移
動方向に対して直交する方向に摺動可能に配置されている。また、カム溝343は、カム
スライダー34が配置された状態でトラバースシャーシ21の昇降運動の上下方向に配置
される上側カム溝3431と下側カム溝3432とを有しており、上側カム溝3431と
下側カム溝3432とを連結する傾斜カム溝3433とを有している。カム溝343には
、トラバースシャーシ21の摺動ボス212が貫通しており、摺動ボス212が上側カム
溝3431に位置するように移動すればトラバースシャーシ21(トラバースユニット2
)が上昇し、下側カム溝3432に位置するように移動すればトラバースシャーシ21(
トラバースユニット2)が下降する。
【0053】
<各部材の移動について>
ここで各部材(光ヘッド4、トラバースユニット2、ディスクトレイ1)の移動につい
て、図1〜図12、特に図9〜図12を参照にしながら説明する。図9〜図12において
「実線」は機械的固定(例えば、圧入やねじ止め等)を、「一点鎖線」はギア歯による歯
合を意味している。また、「二重線」はカムによる係合を、「破線」は、遮断された関係
を意味している。その移動工程や切り替え工程に寄与する部材については、ドットでハッ
チングしている。
<光ヘッドの移動について(図9参照)>
本発明の光ディスク装置Aにおける光ヘッド4の移動について説明する。例えば、DV
D等の光ディスクの再生等を終了し、光ディスクを光ディスク装置Aから取り出す場合、
すなわち、ディスクトレイ1をオープンさせる場合を考える。
【0054】
ます、駆動モータ9がA1方向(正転方向)に回転し、その回転に伴い、ピニオンギア
91もA1方向に回転する。そして、このピニオンギア91と歯合する第1大歯車711
がB1方向に回転する。そうすると、第1大歯車711と連なっている(連設されている
)第1小歯車712もB1方向に回転し、この第1小歯車712と歯合するラック42(
メインラック421、サブラック422)がC1方向に移動する。このラック42が取り
付けられている光ヘッド4もC1方向に移動する。
【0055】
ピニオンギア91と第1大歯車711、第1小歯車712と第2大歯車721、第2小
歯車722と第3歯車73とは常時歯合しており、第2小歯車722と第3歯車73には
常に駆動モータ9からの駆動力が伝達されるようになっている。しかし、光ヘッド4の移
動時には、第3歯車73はギアトレイ33の間欠部331に位置するようになっている(
図6参照)。そのため、第3歯車73介してギアトレイ33に駆動力は伝達されず、トラ
バースユニット2及びディスクトレイ1は移動しない。
<光ディスクの移動からトラバースユニットの移動の切り替えについて(図10参照)>
光ヘッド4が内周側の所定の位置に到達すると、光ヘッド4のサブラック422備えら
れた板ばね43の山型部433とトラバースシャーシ21に備えられた突起部22とが当
接して光ヘッド4の移動が停止する。このとき、ラック42のメインラック421と第1
小歯車712との歯合は外れる。この状態で駆動モータ9が駆動力を大きくするとサブラ
ック422は第1小歯車712と歯合しているので、板ばね43は変形し、山型部433
が突起部22を乗り越え、サブラック422はさらに内周側に移動する。
【0056】
サブラック422がさらに内周側に移動すると、サブラック422に設けられたラック
ボス423が、レバートリガー5のトリガーガイド51にはめ込まれるようになり、さら
にC1方向に移動する。サブラック422のC1方向の移動に伴いレバートリガー5はD
1方向に移動する。レバートリガー5がさらに移動すると、ラックボス423がトリガー
ガイド51の端部に係止(ロック)されるようになる。すなわち、メインラック421と
第1小歯車712との歯合が外れ、そのあとでサブラック422がさらに内周側に移動し
、ラック42と第1小歯車712との歯合が外れて停止する。
<トラバースユニットの移動(降下)について(図11参照)>
一方サブラック422の移動と連動してD1方向に移動するレバートリガー5には、連
結ボス52が設けられており、連結ボス52はカムスライダー34の連結溝341を貫通
している。そのため、レバートリガー5がE1方向に移動すると、連動してカムスライダ
ー34が若干E1方向にスライドする。すると、カムスライダー34のカムスライダーラ
ック344もE1方向へ移動し、カムスライダーラック344はギアトレイ33と歯合す
る。
【0057】
カムスライダーラック34がE1方向に移動すると、カムスライダーラック344と歯
合したギアトレイ33がF1方向へと回転する。すると、ギアトレイ33に設けられた間
欠部331の位置が変化し(図6参照)、第3歯車73と歯合する。ギアトレイ33は第
3歯車73と歯合すると、駆動モータ9の駆動力がギアトレイ33に伝達され、ギアトレ
イ33と歯合するカムスライダーラック344、ひいてはカムスライダー34に伝達され
る。
【0058】
カムスライダー34は、駆動モータ9の駆動力によって、さらにE1方向に移動する。
カムスライダー34のカム溝343にはトラバースシャーシ21の摺動ボス212が貫通
しており、カムスライダー34の移動に連動して、摺動ボス212が下側カム溝3432
、傾斜カム溝3433、上側カム溝3431の順で移動する。すると、摺動ボス212の
移動に伴って、トラバースシャーシ21がG1方向へ降下する。その結果、トラバースシ
ャーシ21、ひいてはトラバースユニット2が降下する。トラバースユニット2が下降す
ることでトラバースユニット2に備えられた駆動力伝達歯車機構7、特に第3歯車73が
下方に移動するので、第3歯車73はギアトレイ33の間欠部331よりも下に移動し、
第3歯車73及びギアトレイ33は常時歯合する。
<トラバースユニットの移動からディスクトレイの移動への切り替えについて(図12参
照)>
トラバースユニット2が降下し、さらに駆動モータ9が回転すると、カムスライダー3
4がさらにE1方向にスライドする。そうすると、ディスクトレイ1のガイド溝11と係
合する立設ボス342もE1方向へと移動する。すると、立設ボス342が、段階的に屈
曲するガイド溝11の斜行部112へと位置するようになる。そのため、立設ボス342
が移動に連動してディスクトレイ1がH1方向(フロント方向)へ、移動する。
【0059】
ディスクトレイ1が立設ボス342に押されてH1方向に移動すると、トレイラック1
2も同時に移動し、ギアトレイ33と歯合する。トレイラック12とギアトレイ33が歯
合すると同時に、カムスライダー34のカムスライダーラック344とギアトレイ33と
の歯合が外れる。
<ディスクトレイの移動(トレイオープン)について(図12参照)>
トレイラック12とギアトレイ33とが歯合すると、ギアトレイ33のF1方向の回転
に伴い、トレイラック12もH1方向に移動する。すなわち、ディスクトレイ1がフロン
ト側へと移動し、フロントパネルFpのスリット状の出入り口Stからディスクトレイ1
が排出される。
【0060】
以上のように、ディスク装置Aでは1つの駆動モータ9の回転によって、光ヘッド4、
トラバースユニット2、ディスクトレイ1を動作させることが可能になっている。なお、
上記例では、光ヘッド4の内周への移動、トラバースユニット2の降下及びディスクトレ
イ1のオープンに係る一連の動作について説明したが、駆動モータ9をA2方向(逆回転
:図3参照)に回転させることで、各部分は上記B1〜H1方向とは逆のB2〜H2方向
に回転又は移動する。これにより、光ヘッド4の外周への移動、トラバースユニット2の
上昇、ディスクトレイ1のクローズにかかる動作も可能となっている。
<エンコーダ制御について>
ディスクトレイ1を開くときは、上述したように、光ヘッド4を内周側に移動し、トラ
バースユニット2を下降して、ディスクトレイ1を排出する。光ヘッド4の移動には駆動
モータ9からの駆動力(トルク)は小さくてよく、トラバースユニット2の下降及びディ
スクトレイ1の排出には大きな駆動力が必要になる。また、再生状態から光ディスクを排
出する場合、ローダーシャーシユニット3のクランプ32とトラバースユニット2のター
ンテーブル61との磁力によるチャッキングを外さなくてはならず、トラバースユニット
2の下降及びディスクトレイ1の排出に必要な駆動力よりもさらに大きな駆動力が必要と
なる。
【0061】
そこで、光ヘッド4に取り付けられた板ばね43と、トラバースシャーシ21に取り付
けられた突起部22及びエンコーダ8を用いて駆動力の切り替えを行う。図13(A)に
本発明にかかる光ディスク装置のディスクトレイを排出するときのエンコーダパルスと駆
動モータに印加される電圧のグラフを、図13(B)、(C)、(D)に板ばね及び突起
部の配置状態の概略図を示す。
【0062】
まず、光ヘッド4を移動させる。このとき、駆動モータ9からの駆動力(駆動トルク)
は小さくてもよく、低い電圧V1(図13(A)参照)で駆動される。このとき、駆動モ
ータ9に取り付けられたスリットプレート81が回動し、それに伴い、エンコーダ8より
出力される信号の電圧が変化するエンコーダパルスが出力される。光ヘッド4が移動して
いるときは駆動モータ9は一定速度で回転しており、一定周期のエンコーダパルスが出力
される。このとき、駆動モータ9に印加される電圧V1は、光ヘッド4を移動することが
できるとともに、板ばね43の山型部433が突起部22を乗り越えることができない駆
動力を出力する電圧である。
【0063】
光ヘッド4が内周側に到達し、板ばね43の山型部433とトラバースシャーシ21の
突起部22が当接すると(図13(A))、山型部433は突起部22を乗り越えること
ができないので、光ヘッド4は停止する。このとき光ヘッド4のサブラック422は第1
小歯車712と歯合しており、駆動力伝達歯車機構7及び駆動モータ9も停止する。駆動
モータ9が停止するとエンコーダ8からの信号が変化しなくなる。
【0064】
エンコーダ8からの信号が変化しない状態を確認すると、クランプ32とターンテーブ
ル61の磁力によるチャッキングを解消するための駆動力を得るための電圧V2を駆動モ
ータ9に印加する。このとき、サブラック422はわずかに移動し、板ばね43の山型部
433が突起部22を乗り越える(図13(B)、(C))。
【0065】
電圧V2を印加した状態でエンコーダ8より出力されるエンコーダパルスを読み取る。
エンコーダパルスが一定のパルス数に達したとき(ここでは4パルス)チャッキングが外
れたとみなして、駆動モータ9に印加している電圧をV3まで降下する。この電圧V3は
トラバースユニット2を降下させ、トラバースユニット2が降下した後にディスクトレイ
1を排出するのに必要な駆動力を出力するための電圧である。
【0066】
図14に本発明にかかる光ディスク装置のディスクトレイを挿入するときのエンコーダ
パルスと駆動モータに印加される電圧のグラフを示す。
【0067】
ディスクトレイ1に光ディスクを載置し、ディスクトレイ1の挿入動作を開始する場合
、駆動モータ9に排出動作とは逆の極性を持った電圧V4を印加する。電圧V4を印加す
ると、駆動モータ9より出力された駆動力は駆動力伝達歯車機構7にて伝達されトレイラ
ック12を移動させディスクトレイ1を挿入方向に移動する。その後、ディスクトレイ1
が最も奥まで挿入されディスクトレイ1が停止する。それと同時にトラバースユニット2
が上昇し、ターンテーブル61で光ディスクを持ち上げ、ローダーシャーシユニット3の
クランプ32と磁力にて光ディスクをチャッキングする。トラバースユニット2が上昇を
終了すると、光ヘッド4が移動を開始する。
【0068】
このとき、トラバースユニット2を上昇させるための駆動力及び光ヘッド4を移動する
ための駆動力はそれぞれ異なり、駆動モータ9に一定の電圧を印加している場合、エンコ
ーダ8より出力されるエンコーダパルスの周波数に差が出る。すなわち、トラバースユニ
ット2の上昇から光ヘッド4の移動に切り替わると、駆動モータ9にかかる負荷が減少す
るので、駆動モータ9の回転数は高くなりエンコーダパルスの周波数が高くなる。エンコ
ーダパルスの周波数が高くなったのが検知されるとディスクトレイ1が挿入され、トラバ
ースユニット2が上昇して光ディスクをチャッキングしたということであり、駆動モータ
9への電力の供給を終了する。
【0069】
また、図15に示すように光ヘッド4の動作確認のために、周波数が高くなると駆動モ
ータ9に印加する電圧をV5に下げて光ヘッド4が外周側の端部まで到達するように動作
させてもよい。このとき、光ヘッド4が外周側端部に到達すると、トラバースシャーシ2
と光ヘッド4が当接し光ヘッド4が停止する。光ヘッド4が停止すると、駆動モータ9の
回転も停止しエンコーダ8からの信号の変化がなくなる。この信号の変化がなくなったの
を検知すると、駆動モータ9への電力の供給を停止する。
【0070】
図16(A)に本発明にかかる光ディスク装置の光ヘッドが任意の位置から初期位置(
ホームポジション)に移動するときのエンコーダパルスと駆動モータに印加される電圧の
グラフを、図16(B)、(C)、(D)に板ばね及び突起部の配置状態の概略図を示す

【0071】
例えばディスクトレイ1が挿入され光ディスクがローディングされると、光ディスクの
開始トラックを検知するために光ヘッド4は光ディスクの内周の予め定められたホームポ
ジションまで移動し、光ディスクにレーザ光を照射して情報を読み取ったり、光ディスク
に情報を書き込んだりする。
【0072】
まず光ヘッド4の現在位置を把握するために一端内周側へ移動する(図16(A))。
このとき、駆動モータ9に印加される電圧V6は、光ヘッド4を移動することができ、且
つ、光ヘッド4に備えられている板ばね43の山型部433がトラバースシャーシ21に
備えられている突起部22を乗り越えることができない駆動力を出力する電圧である。こ
のとき、エンコーダ8からは、エンコーダパルスが一定周期で出力されている。
【0073】
光ヘッド4が内周側に到達し、板ばね43の山型部433とトラバースシャーシ21の
突起部22が当接すると(図16(B))、山型部433は突起部22を乗り越えること
ができないので、光ヘッド4は停止し、駆動力伝達歯車機構7及び駆動モータ9も停止す
る。駆動モータ9が停止するとエンコーダ8からの信号が変化しなくなる。エンコーダ8
からの信号が変化していない状態を検知すると、次に駆動モータ9を逆回転するための電
圧V7を印加する。駆動モータ9の回転は駆動力伝達歯車機構7の各歯車にて伝達される
ものであり、駆動モータ9の回転角度によって、光ヘッド4の移動量を決定することがで
きる(図16(C))。すなわち、エンコーダ8より出力されるエンコーダパルスの数が
所定の数(ここでは3パルス)になったときに駆動モータ9への電圧の印加を終了する。
【0074】
上記各制御例では、光ヘッド4の移動量、トラバースユニット2のチャッキング解除の
タイミングをエンコーダパルスの個数を測定して検出し、駆動モータ9に印加する電圧を
切り替えているが、それに限定されるものではなく、タイマー等の時間を測定できるもの
を備えておき、一定時間経過後、電圧を切り替えるものであってもよい。
【0075】
このようなエンコーダ制御を行うことにより、光ヘッド4の動作、トラバースユニット
2の動作、ディスクトレイ1の動作を、円滑な連続した動作として行うことが可能である
。また、各部材の動作状況に応じて最適な電力を駆動モータ9に供給することができるの
で、無駄な電力を消費することがなく、また、駆動モータ9に必要以上に負荷をかけるこ
とがないので、省エネルギで且つ各部材の寿命を延ばすことができる。
【0076】
上記実施例において弾性部材として門型形状を有する板ばねを挙げているがそれに限定
されるものではなく、トラバースシャーシに備えられた突起部にたいして、所定の弾性力
を発揮できるものを広く採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、DVD、CD等の光ディスクを記録媒体とする光ディスク装置において適用
することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明にかかる光ディスク装置の斜視図である。
【図2】本発明にかかる光ディスク装置内部の概略平面図である。
【図3】図2に示す光ディスク装置からローダーシャーシ、ディスクトレイを省略した概略構成図である。
【図4】下方から見た光ディスク装置内部の概略構成図である。
【図5】フロントパネル側から見た光ディスク装置内部の概略構成図である。
【図6】側方から見た光ディスク装置内部の概略構成図である。
【図7】上方から見たエンコーダの概略図である。
【図8】図7に示すエンコーダの側方から見た概略図である。
【図9】光ヘッドの移動を説明するブロック図である。
【図10】光ヘッドの移動からトラバースユニットの移動への切り替えについて説明するブロック図である。
【図11】トラバースユニットの移動について説明するブロック図である。
【図12】トラバースユニットの移動からディスクトレイの移動への切り替えについて説明するブロック図である。
【図13】図(A)は本発明にかかる光ディスク装置のディスクトレイを排出するときのエンコーダパルスと駆動モータに印加される電圧のグラフであり、図(B)〜(D)は板ばね及び突起部の配置状態の概略図である。
【図14】本発明にかかる光ディスク装置のディスクトレイを挿入するときのエンコーダパルスと駆動モータに印加される電圧のグラフである。
【図15】本発明にかかる光ディスク装置のディスクトレイを挿入するときのエンコーダパルスと駆動モータに印加される電圧のグラフである。
【図16】図(A)は本発明にかかる光ディスク装置の光ヘッドが任意の位置から初期位置(ホームポジション)に移動するときのエンコーダパルスと駆動モータに印加される電圧のグラフであり、図(B)〜(D)はそのときの板ばね及び突起部の配置状態の概略図である。
【符号の説明】
【0079】
A 光ディスク装置
1 ディスクトレイ
11 ガイド溝
12 トレイラック
2 トラバースユニット
21 トラバースシャーシ
22 突起部
3 ローダーシャーシユニット
31 ローダーシャーシ
32 クランプ
33 ギアトレイ
34 カムスライダー
4 光ヘッド
41 対物レンズ
42 ラック
43 板ばね
5 レバートリガー
51 トリガーガイド
52 連結ボス
6 スピンドルモータ
61 ターンテーブル
7 駆動力伝達歯車機構
71 第1歯車
72 第2歯車
73 第3歯車
8 エンコーダ
81 スリットプレート
82 プリント基板
83 検知部
9 駆動モータ
90 駆動軸
91 ピニオンギア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源である駆動モータと、
光ディスク装置本体に対してスライドして開閉可能に設けられるものであり、前記駆動
モータの駆動力を受けるためのトレイラックと、連動機構であるガイド溝とを備え、光デ
ィスクを載置できるディスクトレイと、
前記光ディスクに対してレーザ光を照射するとともに、該光ディスクの内周又は外周へ
と往復摺動可能に設けられるものであり、前記駆動モータの駆動力を受けるとともに、ラ
ックボスとを具備したラックを備えた光ヘッドと、
昇降自在に設けられるものであり、前記駆動モータの駆動力を受けるための摺動ボスを
具備し、前記光ディスクを回動するためのスピンドルモータと及び前記スピンドルモータ
に回動可能に取り付けられ前記光ディスクを支持するターンテーブルが搭載されるトラバ
ースシャーシと、前記ラックのラックボスに係合するトリガーガイドを具備し該光ヘッド
の移動に連動するとともに、連結ボスを有するレバートリガーと、前記駆動モータの駆動
力を伝達するための駆動力伝達歯車機構を備え、前記光ヘッドが摺動可能に取り付けられ
るトラバースユニットと、
前記駆動モータを搭載するとともに、前記駆動力伝達歯車機構と歯合して前記駆動モー
タの駆動力を受ける一方、該駆動力伝達歯車機構との歯合を解消し前記駆動力が伝達され
ないようにするための間欠部を具備したギアトレイを回動可能に軸支し、さらに、前記ギ
アトレイと歯合するカムスライダーラックを具備するとともに、前記トラバースシャーシ
の摺動ボスが係合するカム溝、前記ディスクトレイのガイド溝と係合する立設ボス及び前
記レバートリガーの連結ボスと係合する連結溝を具備し、該トラバースシャーシ及びディ
スクトレイを連動させる一方、前記レバートリガーの移動に連動するカムスライダーと、
前記トラバースユニットが上昇したときに前記ターンテーブルと前記光ディスクをチャッ
キングするクランプとを備えたローダーシャーシユニットとを含む光ディスク装置であっ
て、
前記駆動モータには正逆回転駆動における回転数を検出するためのエンコーダパルスを
出力するエンコーダが備えられ、
前記光ヘッドのラックには板ばねが、前記トラバースユニットには前記光ヘッドが前記
光ディスクの内周側に移動したときに前記板ばねと当接する突起部が備えられており、
前記板ばねは、一対の固定部と、前記一対の固定部を連結する支持部と、前記支持部の
略中央に形成される山型部とを有しており、前記光ヘッドが内周側の前記駆動モータの駆
動力を受けることができる所定の位置に到達したとき、前記山型部と前記突起部とが当接
し、前記駆動モータから受ける駆動力が小さいときに は前記山型部が突起部を超えるこ
とができないように形成されており、
前記光ヘッドは前記トラバースユニットが降下するときは前記山型部が前記突起部を越
え、前記駆動モータよりの駆動力を受けない位置まで移動するものであり、
前記光ヘッドが摺動し前記山型部と前記突起部が当接して前記駆動モータの回転が止ま
り、前記エンコーダから出力されるエンコーダパルスの振幅が一定期間変化しなくなった
こと、又は、前記エンコーダパルスの周波数が変化したことをもとに前記駆動モータから
出力する駆動力を切り替えることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
光ディスクを載置させる摺動自在なディスクトレイと、
前記光ディスクに対してレーザ光を照射させる摺動自在な光ヘッドと、
前記光ヘッド及び前記光ディスクを支持するターンテーブルを搭載した昇降自在なトラ
バースユニットと、
前記ディスクトレイの摺動、前記光ヘッドの摺動及び前記トラバースユニットの昇降の
動力源になる駆動モータと、
前記トラバースユニットと、前記駆動モータを支持し、前記トラバースユニットが上昇
したときに前記ターンテーブルと前記光ディスクを挟着しチャッキングするクランプとを
搭載したローダーシャーシユニットとを備えた光ディスク装置であって、
前記駆動モータには正逆回転駆動における回転数を検出するためのエンコーダパルスを
出力するエンコーダが備えられ、
前記光ヘッドのラックには弾性部材が、前記トラバースユニットには前記光ヘッドが前
記光ディスクの内周側に移動したときに前記弾性部材と当接する突起部が備えられており

前記板ばねは、前記光ヘッドが内周側の前記駆動モータの駆動力を受けることができる
所定の位置に到達したときに、前記山型部と前記突起部とが当接し、前記駆動モータから
受ける駆動力が小さいときには前記山型部が突起部を超えることができないように形成さ
れており、前記光ヘッドは前記トラバースユニットが降下するときは前記山型部が前記突
起部を越え、前記駆動モータよりの駆動力を受けない位置まで移動するものであり、
前記板ばねが前記突起部に当接し前記光ヘッドが止まるときの前記エンコーダより出力
されるエンコーダパルスの変化を検知し、前記駆動モータから出力される駆動力を切り替
えることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
前記光ディスクユニットを前記光ディスクの内周側へと移動させ、前記トラバースユニ
ットを下降させ、前記ディスクトレイを排出する場合、前記光ヘッドを摺動することがで
きるとともに前記板ばねが前記突起部を乗り越えることができない駆動力を出力できる第
1電圧を前記駆動モータに入力し、前記エンコーダより出力されるエンコーダパルスの振
幅が変化しなくなったのを検知すると、前記ターンテーブルと前記クランプとのチャッキ
ングを解消するための駆動力を発揮できる第2電圧を前記駆動モータに入力し、前記第2
電圧を前記駆動モータに入力し始めたのち予め定められている切替タイミングで、前記デ
ィスクトレイを駆動することができる駆動力を出力できる第3電圧を前記駆動モータに入
力することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記光ヘッドを内周側へと移動させ所定のホームポジションに移動する場合、前記光ヘ
ッドを摺動することができるとともに前記板ばねが前記突起部を乗り越えることができな
い駆動力を出力できる第1電圧を前記駆動モータに入力し、前記エンコーダより出力され
るエンコーダパルスの振幅が変化しなくなったのを検知すると、前記光ヘッドを外周方向
に移動することができる第4電圧を駆動モータに入力し、予め定められている切替タイミ
ングで入力電圧を0にすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の光
ディスク装置。
【請求項5】
前記ディスクトレイを前記光ディスク装置に挿入する場合、前記駆動モータが前記ディ
スクトレイを駆動でき且つ前記トラバースユニットを上昇させるための駆動力を出力でき
る第5電圧を該駆動モータに入力し、前記エンコーダより出力されるエンコーダパルスの
周波数が高くなったのを検知すると、前記光ヘッドを外周方向に移動することができエン
コーダパルスの周波数が所定の値になる第6電圧を駆動モータに入力することを特徴とす
る請求項1から請求項4のいずれかに記載の光ディスク装置。
【請求項6】
前記切替タイミングは時間経過をもとに決定されることを特徴とする請求項3から請求
項5のいずれかに記載の光ディスク装置。
【請求項7】
前記切替タイミングは前記エンコーダから出力されるエンコーダパルスのパルス数をも
とに決定されることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれかに記載の光ディスク装
置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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