説明

光ディスク装置

【課題】ディスクトレイを排出したときに下部に倒れたり、水平方向に回転したりするのを防ぐとともに、前記ディスクトレイが引き込まれるときに振動するのを防ぎ、ディスクローディングを円滑に行う。
【解決手段】メインシャーシ1のクランプ支持部11には形成されるガイド溝12が、ディスクトレイ2にはフロント側に傾斜部251と、ディスクトレイ2の上面と平行に形成された水平部252とを有するガイドリブ25が形成されており、ディスクトレイ2が一定量排出されている状態で、ガイドリブ25がガイド溝12と係合するように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクに記録された情報を読み出す又は光ディスクに情報を記録する光ディスク装置に関し、さらに詳しくは、光ディスクを載置し挿入排出するディスクトレイの振動を低減することができる光ディスク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、映像、音声又は情報の記録媒体として、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等の光ディスクが多く用いられている。これら光ディスクを記録媒体として用いる光ディスク装置は該光ディスクの記録面に対しレーザ光を照射しデータの記録を行い、及び(又は)前記記録面で反射してきた光を検出することで、データの読出しを行っている。
【0003】
前記光ディスク装置の多くは、前記光ディスクを載置するディスクトレイを有している。前記光ディスク装置は前記ディスクトレイに光ディスクを載置し、該ディスクトレイを該光ディスク装置の筐体内の所定位置へ摺動することで搬送(ローディング)する。
【0004】
その後、前記光ディスクを駆動(回転)しつつ、光ヘッドを該光ディスクの径方向に移動させ、該光ヘッドから該光ディスクへレーザ光を照射する又は反射光を受光することで、データの記録又は読出しを行う。
【0005】
データの記録又は読出しが終了したのち、前記光ディスクを排出(アンローディング)するには、ローディング時と反対側に、前記光ディスク装置の筐体内から該光ディスク装置の外部に摺動することでアンローディングされる。
【0006】
光ディスク装置の筐体はディスクトレイを含めて、樹脂の一体成形で形成されるものであり、特に大量生産を行う場合、複数の金型を用いて、複数個の同一部品を並行して製造するのが一般的である。複数の金型を正確に同一の形状で形成することや、また、成形圧や溶融樹脂の温度などの成形条件を完全に一致させることは難しく、成形品の全てが必ずしも同一の寸法で成形されるとは限らない。
【0007】
この大量生産に起因する成形寸法のばらつきにより発生する、前記ディスクトレイと筐体との間の摺動摩擦を減らすため、前記ディスクトレイと前記筐体との間にあそびを持たせて製造している。前記ディスクトレイと前記筐体との間のあそびがある場合、ディスクトレイがローディング及び(又は)アンローディングするときに該ディスクトレイが振動する。
【0008】
そこで、特開2003−331497号公報に記載の発明では、上枠材に設けられたネジガイドホルダに調整ネジを挿入し、前記調整ネジで軌条側端を案内しつつ支持するものが示されている。また、特開2004−259336号公報では合成樹脂天板の一側部にスリットを形成し、弾性変位可能な略L字状押え片を形成し、その押え片でトレイの一側縁の上面と弾性的に接触されることでトレイの傾きを抑制している。
【特許文献1】特開2003−331497号公報
【特許文献2】特開2004−259336号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特開2003−331497号公報に記載の発明では、前記調整ネジ、ネジガイドホルダ等、複数の部材が別途必要であり、それだけ、部品点数が増えると共に、製造工数が増え、それだけ、組み立てコストが高くなる。
【0010】
また、特開2004−259336号公報に記載の発明では、別途部材は必要ではないが、スリットを形成し、L字状の押え片を形成しなくてはならず、複雑な作業が多くなり、製造、組み立ての手間、時間が必要であり、それだけ、製造コストが高くなる。
【0011】
さらに、前記ディスクトレイは、アンロードされるときには、該ディスクトレイの側面に形成されたストッパが前記筐体に形成されている接触部材と当接することで停止する。しかしながら、前記前記ディスクトレイは該ディスクトレイの下部に形成されたラックと、該ラックと歯合するピニオンギアの回動によって駆動しており、前記ラックは前記トレイの摺動方向に中心軸とずれて形成されているので、前記ディスクトレイが排出されて停止するときに、該ディスクトレイのディスク載置面に沿う方向に振れる。
【0012】
特開2003−331497号公報、特開2004−259336号公報に記載の発明は、ディスクトレイのディスク載置面と直交する方向の倒れ、振動を抑制するものであり、ディスク載置面に沿う方向の振れを抑制するものではない。
【0013】
そこで本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、ディスクトレイを排出したときに該ディスクトレイのディスク載置面と直交する方向の倒れ及びディスク載置面に沿う方向の振れを抑制し、精度良くディスクローディング及びディスクアンローディングを行うことができる光ディスク装置を提供することを目的とする。
【0014】
そこで本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、部材を追加したり、複雑形状に加工したりすることなく、ディスクトレイのディスクローディング及びディスクアンローディングを円滑に行うことができるとともに、製造コストを低減することができる光ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため本発明は、光ディスクにレーザ光を照射することで、データの記録、読出を行う光ディスク装置であって、メインシャーシと、前記光ディスクにレーザ光を照射する光ヘッドと、前記光ディスクを回動するディスク回動装置と、前記メインシャーシ内部に摺動可能に支持され前記光ディスクを載置し前進後退させ、光ディスク装置の正面に形成されている開口部より挿入又は排出される方向に摺動し、前記光ディスクをロード又はアンロードするディスクトレイと、前記メインシャーシに回動可能に支持され、前記光ヘッドを摺動可能に支持するとともに、前記ディスク回動装置を保持するトラバースシャーシと、前記メインシャーシに摺動可能に支持されるとともに前記トレイと係合する昇降カムと、前記メインシャーシに形成され、前記光ディスクを前記ディスク回動装置との間に挟着するクランプを支持するクランプ支持部と、動力源である駆動モータと、前記駆動モータの動力を前記トレイ、前記光ヘッド及び前記昇降カムに伝達するための歯車機構とを有しており、前記クランプ支持部には前記ディスクトレイが摺動する間隙が形成されており、前記間隙は間隙の上面に前記ディスクトレイの摺動方向に伸びる2個のガイド溝と、前記間隙の両側面より突出するストッパとを備えており、前記ディスクトレイは、上面の奥側には摺動中心を挟んで配置され、前記ガイド溝の幅よりもわずかに小さな厚みを有し、該ディスクトレイが開口部よりも所定量突出したときに前記ガイド溝と係合する2個のガイドリブと、両側面には該ディスクトレイが開口部より排出され停止するときに前記ストッパと当接する当接部とを備え、前記ガイド溝は前記ディスクトレイの摺動方向奥側に向かって広がる形状を有する引き込み部を有しており、前記ガイドリブは前記開口部側が前記ディスクトレイ上面と所定の角度をなす傾斜部と、前記傾斜部と連続し前記ディスクトレイの上面と平行に形成され、前記ガイド溝の上面と当接する水平部とを有し、前記ディスクトレイの先端部が開口部より一定長さ以上突出し、該ディスクトレイに開口部を中心とする重力によるモーメントがかかる状態で、前記ガイドリブと前記ガイド溝とが係合し、摺動することを特徴とする。
【0016】
この構成によると、前記ディスクトレイがロード及びアンロードのための摺動を行うときに、前記ガイドリブが前記ガイド溝と係合し、摺動するので前記ディスクトレイ及び(又は)光ディスクの自重にて発生するモーメントにより垂れるのを抑制することができる。
【0017】
前記ディスクトレイが垂れるのを防ぐことができるので、該ディスクトレイがローディング方向に摺動するときに、該ディスクトレイが揺動するのを防ぐことが可能である。
【0018】
また、前記ディスクトレイのアンロード時に、該ディスクトレイの当接部が前記メインシャーシの前記間隙に形成された前記ストッパと当接するときに、前記ディスクトレイが水平方向に回転しようとするモーメントを、前記ガイド溝の内側面と前記ガイドリブの側面とが当接することで抗力を発生し、回転するのを抑制することができる。
【0019】
さらに、前記ガイドリブが開口側の傾斜部と、該傾斜部と一体的に連設される水平部とを有しているので、前記ディスクトレイがアンロードされるときに、該ガイドリブが前記ガイド溝に挿入するときに衝撃を低減することができ、それだけ、円滑にアンロードすることができる。
【0020】
また、前記ガイド溝には前記ディスクトレイの摺動奥側に向かって大きくなる引き込み部が形成されているので、前記ディスクトレイの摺動時に、前記ガイドリブと前記ガイド溝の中心がずれていても、該ガイドリブを正確に該ガイド溝に引き込むことができ、常に一定の位置にディスクトレイをアンロードすることができる。
【0021】
また上記目的を達成するために本発明は、光ディスクにレーザ光を照射することで、データの記録、読出を行う光ディスク装置であって、メインシャーシと、前記メインシャーシ内部に摺動可能に支持され前記光ディスクを載置し前進後退させ、光ディスク装置の正面に形成されている開口部より挿入又は排出し、前記光ディスクをロード又はアンロードするディスクトレイと、前記ケースに回動可能に支持され、前記光ディスクにレーザ光を照射する光ヘッドと、前記光ディスクを回動するディスク回動装置とを保持するトラバースシャーシと、前記メインシャーシに形成され、前記光ディスクを前記ディスク回動装置との間に挟着するクランプを支持するクランプ支持部とを有しており、前記クランプ支持部には前記ディスクトレイが摺動する間隙が形成されており、前記間隙は内側上面に前記ガイドリブと係合し該ディスクトレイの摺動方向に伸びる1又は複数個のガイド溝と、前記間隙の内側両側面に形成されたストッパとを備えており、前記ディスクトレイは、上面の奥側には摺動中心を挟んで配置される1又は複数個のガイドリブと、両側面には前記ディスクトレイが排出側で停止するときに前記ストッパと当接する当接部とを備えていることを特徴とする。
【0022】
この構成によると、前記ディスクトレイがロード及びアンロードのための摺動を行うときに、前記ガイドリブが前記ガイド溝と係合し、摺動するので前記ディスクトレイ及び(又は)光ディスクの自重にて発生するモーメントにより垂れるのを抑制することができる。
【0023】
前記ディスクトレイが垂れるのを防ぐことができるので、該ディスクトレイがローディング方向に摺動するときに、該ディスクトレイが揺動するのを防ぐことが可能である。
【0024】
また、前記ディスクトレイのアンロード時に、該ディスクトレイの当接部が前記メインシャーシの前記間隙に形成された前記ストッパと当接するときに、前記ディスクトレイが水平方向に回転しようとするモーメントを、前記ガイド溝の内側面と前記ガイドリブの側面とが当接することで抗力を発生し、回転するのを抑制することができる。
【0025】
この構成によると、前記ディスクトレイのサイドレールに屈曲部を形成することで、該ディスクトレイがアンロード位置に摺動してきたときに、前記屈曲部が前記メインシャーシの押え部と当接するので、前記ディスクトレイが垂れるのを抑制することができる。
【0026】
前記ディスクトレイが垂れるのを防ぐことができるので、該ディスクトレイがローディング方向に摺動するときに、該ディスクトレイが揺動するのを防ぐことが可能である。
【0027】
上記構成において、前記ガイドリブは前記ディスクトレイの先端部が前記開口部より一定量以上排出されているときに前記ガイド溝と係合し、摺動するものであってもよく、前記ガイドリブは前記開口側に前記ディスクトレイの上面に対し所定の角度をなす傾斜面を有する傾斜部と、該ディスクトレイの上面と平行に形成される水平部とを有するものであってもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によると、ディスクトレイを排出したときに該ディスクトレイのディスク載置面と直交する方向の倒れ及びディスク載置面に沿う方向の振れを抑制し、精度良くディスクローディング及びディスクアンローディングを行うことができる光ディスク装置を提供することができる。
【0029】
また本発明によると、部材を追加したり、複雑形状に加工したりすることなく、ディスクトレイのディスクローディング及びディスクアンローディングを円滑に行うことができるとともに、製造コストを低減することができる光ディスク装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明にかかる光ディスク装置の概略斜視図である。図1に示すように光ディスク装置Aはディスクトレイ2が、外装ハウジングOhのフロントパネルFpに設けられたスリット状の出入り口Stから、出入りできるように配置されている。
【0031】
ディスクトレイ2が出入り口Stより光ディスク装置Aの外部に排出されている状態で光ディスクを載置し、ディスクトレイ2を挿入することで光ディスクを再生/記録可能な領域に挿入(ローディング)する。また、ディスクトレイ2を光ディスク装置Aより排出することで光ディスク装置A内部に挿入されている光ディスクを排出(アンローディング)する。
【0032】
図2は本発明にかかる光ディスク装置の一例のトレイが排出された状態の平面図であり、図3は図2に示す光ディスク装置のトレイが収納された状態の平面図であり、図4は図2に示す光ディスク装置に備えられるディスクトレイの側面図であり、図5は図3に示す光ディスク装置に備えられるディスクトレイの側面図である。
【0033】
図2及び図3に示す光ディスク装置Aは、メインシャーシ1と、メインシャーシ1に摺動可能に支持されたディスクトレイ2と、光ディスクにレーザ光を照射し情報の読み取り及び(又は)記録を行う光ヘッド3と、前記光ヘッド3及び光ディスクを回動可能に保持するディスク回動装置が支持されるトラバースシャーシ4と、メインシャーシ1に摺動可能に支持されトラバースシャーシ4と接続する昇降カム5と、ディスクトレイ2及び昇降カム5を駆動するための駆動モータ6と、駆動モータ6の動力をディスクトレイ2及び昇降カム5に伝達するための歯車機構7とを有している。
【0034】
メインシャーシ1はトラバースシャーシ4が配置される部分のディスクトレイ2を挟んだ反対側に、ディスク回動装置と光ディスクを挟持するためのクランプが配置されるクランプ支持部11を有している。クランプ支持部11はディスクトレイ2が摺動するための間隙110を有しており、間隙110の内側面にはディスクトレイ2の後述のガイドリブ25と係合するガイド溝12が形成されている。
【0035】
ディスクトレイ2には底面に後述する歯車73と歯合するラック21と、光ディスクを配置するための円形の段差22と、中央部には光ヘッド3からのレーザ光を透過させ、ディスク回動装置がクランプ8に近接するための貫通孔23と、底面に後述の昇降カム5の支持部51に形成された摺動ボス53と相対的に摺動可能なガイド24と、両側面にメインシャーシ1のガイド溝12と係合しディスクトレイ2の摺動をガイドするガイドリブ25とが形成されている。
【0036】
ガイド24はディスクトレイ2の端部よりディスクトレイ2の摺動方向に延びる直線部241と、所定の位置で斜めに屈曲する斜行部242と、さらに摺動方向と直交するように屈曲する直交部243を有している。
【0037】
図4、図5に示すようにディスクトレイ2の上面には、ガイドリブ25が形成されている。ガイドリブ25はディスクトレイ2の奥側の端部に、それには限定されないが、ここでは、摺動方向に対して直交する方向に並んで形成されている。ガイドリブ25はフロント側にゆるい傾斜を備えた傾斜部251と、リア側にディスクトレイ2の上面と平行に形成された水平部252とを有している。
【0038】
ディスクトレイ2が一定以上排出され、ディスクトレイ2の出入り口Stより排出された部分の重量が内部に残った部分の重量よりも重くなると、出入り口St側端部を中心に、ディスクトレイ2が垂れる方向にモーメントがかかる。
【0039】
図6は図2に示す光ディスク装置のガイドリブ及びガイド溝の拡大断面図である。ガイドリブ25及びガイド溝12は図6に示すようにガイドリブ25がガイド溝12と係合するように形成されている。ディスクトレイ2をアンローディング方向に移動するとき、ディスクトレイ2が出入り口St周りに垂れる方向にモーメントがかかる位置に到達すると、ディスクトレイ2の上面に形成されたガイドリブ25がガイド溝12と係合する。これにより、ガイドリブ25の水平部252がガイド溝12の底部121(クランプ支持部11の底面側)と当接し、重量によるモーメントに対する抗力を発生した状態で停止或いは摺動する。これにより、ディスクトレイ2がディスク排出位置にあるときに垂れるのを防ぐことができる。
【0040】
またディスクトレイ2がローディング方向に摺動するとき、ディスクトレイ2がディスクトレイ2に対し先端部20が垂れる方向に回転するモーメントが働かなくなる位置にくると、ガイドリブ25とガイド溝12とが離反する。
【0041】
ディスクトレイ2がメインシャーシ1に挿入されるときに、ディスクトレイ2のガイドリブ25がメインシャーシ1のガイド溝12に押えられているので、ディスクトレイ2が摺動するときに、ディスクトレイ2の先端部20が垂れようとするのを防ぐことができ、さらに、ディスクトレイ2を挿入するときに先端部20が振動(揺動)するのを抑制することができる。
【0042】
図2、図3に示すように、メインシャーシ1の間隙110の内面のディスクトレイ2の側面と面する部分には、ストッパ13が備えられている。またディスクトレイ2の側面にはストッパ13と当接するための当接部26が形成されている。ディスクトレイ2はアンロード方向に摺動し、出入り口Stより最も突出したときに、ディスクトレイ2の当接部26はストッパ13と当接し、ディスクトレイ2は停止する。このとき、駆動モータ6の負荷が変化し、その変化を検出した時点で駆動モータ6が停止し、アンロード完了する。
【0043】
このとき、ディスクトレイ2のラック21がディスクトレイ2の摺動方向の中心とずれて配置されており、間隙110の両側に形成されたストッパ13及びディスクトレイ2の両側面に形成された当接部26の位置は互いに遊びができるように形成されているので、ラック21が形成されている側のストッパ13及び当接部26が当接すると、先端部20がストッパ13と当接部26との当接部を中心にラック21が配置されている方向に回るモーメントが作用する。このとき、ディスクトレイ2のガイドリブ25とが係合しているので、ガイド溝12の側部がガイドリブ25を押え、ラック21側に回ろうとするモーメントに対して抗力を発生し、回転するのを防止する。
【0044】
光ヘッド3はベース31と、ベース31に固定されるアクトベース32とを有している。ベース31にはレーザ光を出射するレーザ光源(図示省略)と、レーザ光を平行光にするコリメータレンズ(図示省略)を備えている。アクトベース32には光ディスクの記録面にレーザ光を集光する対物レンズ33が取り付けられている。ベース31はトラバースシャーシ4に摺動可能に支持されており、ベース31は光ディスクからのデータの読出しを行うときは光ディスクの半径方向に摺動する。
【0045】
トラバースシャーシ4はメインシャーシ1と回動可能に係合する係合凸部41と、光ヘッド3の摺動を邪魔しないための貫通孔42と、光ヘッド支持部43と、昇降カム5の後述するクランク部52と係合する昇降ボス44とを有している。
【0046】
昇降カム5はメインシャーシ1に摺動支持される支持部51と、トラバースシャーシ4の昇降ボス44と係合するクランク部52と、支持部51のメインシャーシ1と反対側に形成され、ディスクトレイ2のガイド24と係合する摺動ボス53とを有している、昇降カム5の支持部51の端部はラック511が形成されている。昇降カム5のクランク部52は、上端部521と、下端部522と、傾斜部523とを有しており、上端部521と下端部522とは傾斜部523を介して連結されている。
【0047】
駆動モータ6の回転軸にはウォームギア61が取り付けられており、歯車71と歯合しており、駆動モータ6の動力を歯車機構7に伝達する。歯車機構7は歯車70、71、72、73を有しており、歯車70、71、72、73は互いに歯合するようにメインシャーシ1に回動可能に支持されている。駆動モータ6が回動すると、ウォームギア61を介して動力が伝達され、歯車70、71、72、73はそれぞれ所定の方向に回動する。
【0048】
ディスク回動装置はクランプ8と圧接することで光ディスクを挟持するターンテーブルとターンテーブルを回動するための軸動モータ(不図示)とを備えている。
【0049】
図7は図6に示すガイド溝の一例の拡大図を示す。図7に示すガイド溝12はクランプ支持部11を間隙110側から見た図である。ガイド溝12はディスクトレイ2の上面に形成されたガイドリブ25の厚さtに対してわずかに大きな幅Tを備えている。ガイド溝12はディスクトレイ2の摺動方向に伸びるように形成されている。ディスクトレイ2が摺動するとき、ガイド溝12とガイドリブ25の接触を抑制し、摩擦による損失を低減することができる。また、ガイドリブ25の位置とガイド溝12の位置がわずかにずれている場合でも、ガイドリブ25がガイド溝12に挿入されるので、ディスクトレイ2を精度良く摺動させることができる。
【0050】
ディスクトレイ2が所定位置までアンロードされた状態で、ディスクトレイ2のガイドリブ25がガイド溝12と係合する。ディスクトレイ2はフロント側の先端部20が垂れる方向に移動しようとする。すなわち、わずかに傾いた状態で、ガイドリブ25がガイド溝12に挿入される。このとき、ガイド溝12とガイドリブ25の傾斜部251とが最初に接触し、傾斜部251の傾斜にあわせて接触しつつ摺動するので、ガイドリブ25がガイド溝12に挿入されるときの衝撃を抑制することができる。
【0051】
図8は図2に示す光ディスク装置に備えられるガイド溝の他の例の拡大図である。図8に示すように、ガイド溝12のメインシャーシ1内部側にテーパ状の引き込み部120が形成されている。それ以外は図8に示すガイド溝12と同様の構造を有している。
【0052】
ガイド溝12はメインシャーシ1のクランプ支持部11に形成されているので、ディスクトレイ2がローディングされた状態のとき、ガイド溝12とガイドリブ25は離反している。アンローディングするときに、ディスクトレイ2が所定の位置に到達したときに、ガイドリブ25がガイド溝12に挿入される。ガイド溝12の引き込み部120はテーパ形状に形成されているので、ガイドリブ25の中心と、ガイド溝12の中心がある程度ずれていても、ガイドリブ25が引き込み部120のテーパ状に形成されている部分と接触摺動して、正確な位置に導かれる。
【0053】
上記実施例において、ガイド溝12及びガイドリブ25がそれぞれ2個ずつ形成されているものを例に説明しているが、それに限定されるものではなく、ディスクトレイ2のアンロード時の回転を抑制することができるものを広く採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、DVD、CD等の光ディスクを記録媒体とする光ディスク装置において適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明にかかる光ディスク装置の概略斜視図である。
【図2】本発明にかかる光ディスク装置の一例のトレイが排出された状態の平面図である。
【図3】図2に示す光ディスク装置のトレイが収納された状態の平面図である。
【図4】図2に示す光ディスク装置に備えられるディスクトレイの側面図である。
【図5】図3に示す光ディスク装置に備えられるディスクトレイの側面図である。
【図6】図2に示す光ディスク装置のガイドリブ及びガイド溝の拡大断面図である。
【図7】図6に示すガイド溝の一例の拡大図を示す。
【図8】図2に示す光ディスク装置に備えられるガイド溝の他の例の拡大図である。
【符号の説明】
【0056】
A 光ディスク装置
St 出入り口
Oh 外部ハウジング
Fp 前面パネル
1 メインシャーシ
11 クランプ支持部
12 ガイド溝
120 引き込み部
121 底部
2 ディスクトレイ
21 ラック
22 段差
23 貫通孔
24 ガイド
25 ガイドリブ
251 傾斜部
252 水平部
3 光ヘッド
31 べース
32 アクトベース
33 対物レンズ
4 トラバースシャーシ
41 係合凸部
42 貫通孔
43 光ヘッド支持部
44 昇降ボス
5 昇降カム
51 支持部
511 ラック
52 クランク部
53 摺動ボス
6 モータ
61 ウォームギア
7 歯車機構
8 クランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクにレーザ光を照射することで、データの記録、読出を行う光ディスク装置であって、
メインシャーシと、前記光ディスクにレーザ光を照射する光ヘッドと、前記光ディスクを回動するディスク回動装置と、前記メインシャーシ内部に摺動可能に支持され前記光ディスクを載置し前進後退させ、光ディスク装置の正面に形成されている開口部より挿入又は排出される方向に摺動し、前記光ディスクをロード又はアンロードするディスクトレイと、前記メインシャーシに回動可能に支持され、前記光ヘッドを摺動可能に支持するとともに、前記ディスク回動装置を保持するトラバースシャーシと、前記メインシャーシに摺動可能に支持されるとともに前記トレイと係合する昇降カムと、前記メインシャーシに形成され、前記光ディスクを前記ディスク回動装置との間に挟着するクランプを支持するクランプ支持部と、動力源である駆動モータと、前記駆動モータの動力を前記トレイ、前記光ヘッド及び前記昇降カムに伝達するための歯車機構とを有しており、
前記クランプ支持部には前記ディスクトレイが摺動する間隙が形成されており、前記間隙は間隙の上面に前記ディスクトレイの摺動方向に伸びる2個のガイド溝と、前記間隙の両側面より突出するストッパとを備えており、
前記ディスクトレイは、上面の奥側には摺動中心を挟んで配置され、前記ガイド溝の幅よりもわずかに小さな厚みを有し、該ディスクトレイが開口部よりも所定量突出したときに前記ガイド溝と係合する2個のガイドリブと、両側面には該ディスクトレイが開口部より排出され停止するときに前記ストッパと当接する当接部とを備え、
前記ガイド溝は前記ディスクトレイの摺動方向奥側に向かって広がる形状を有する引き込み部を有しており、
前記ガイドリブは前記開口部側が前記ディスクトレイ上面と所定の角度をなす傾斜部と、前記傾斜部と連続し前記ディスクトレイの上面と平行に形成され、前記ガイド溝の上面と当接する水平部とを有し、
前記ディスクトレイの先端部が開口部より一定長さ以上突出し、該ディスクトレイに開口部を中心とする重力によるモーメントがかかる状態で、前記ガイドリブと前記ガイド溝とが係合し、摺動することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
光ディスクにレーザ光を照射することで、データの記録、読出を行う光ディスク装置であって、
メインシャーシと、前記メインシャーシ内部に摺動可能に支持され前記光ディスクを載置し前進後退させ、光ディスク装置の正面に形成されている開口部より挿入又は排出し、前記光ディスクをロード又はアンロードするディスクトレイと、前記ケースに回動可能に支持され、前記光ディスクにレーザ光を照射する光ヘッドと、前記光ディスクを回動するディスク回動装置とを保持するトラバースシャーシと、前記メインシャーシに形成され、前記光ディスクを前記ディスク回動装置との間に挟着するクランプを支持するクランプ支持部とを有しており、
前記クランプ支持部には前記ディスクトレイが摺動する間隙が形成されており、前記間隙は内側上面に前記ガイドリブと係合し該ディスクトレイの摺動方向に伸びる1又は複数個のガイド溝と、前記間隙の内側両側面に形成されたストッパとを備えており、
前記ディスクトレイは、上面の奥側には摺動中心を挟んで配置される1又は複数個のガイドリブと、両側面には前記ディスクトレイが排出側で停止するときに前記ストッパと当接する当接部とを備えていることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
前記ディスクトレイの先端部が前記開口部より一定量以上排出されているときに前記ガイドリブと前記ガイド溝とが係合することを特徴とする請求項3に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記ガイドリブは前記開口側に前記ディスクトレイの上面に対し所定の角度をなす傾斜面を有する傾斜部と、該ディスクトレイの上面と平行に形成される水平部とを有することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の光ディスク装置。
【請求項5】
前記ガイド溝は前記ディスクトレイの摺動方向奥側に向かって広がる形状を有する引き込み部を有していることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載の光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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