説明

光ディスク装置

【課題】ドロワイジェクト機構に連動してドロワおよびガイドレールのがたつきを抑制できる光ディスク装置を提供する。
【解決手段】ロック側のガイドレール3端部には、側圧を付与する側圧突起部5が配設されている。側圧突起部5の端部には、側圧を伝達するための側圧伝達突起5aが内側に向けて形成されている。ドロワ1の後端角部には側圧を受ける側圧受け部1bが外側に向けて形成され、底板の奥壁部2aの隅部には付勢力を受ける付勢力受け壁2bが内側に向けて形成されている。ドロワ1をドライブ筐体内に挿入完了した位置での相互干渉により、イジェクトバネのイジェクト付勢力を利用してドロワ1とガイドレール3間に側圧が作用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク装置に関し、特に、ドロワイジェクト機構に連動してドロワおよびガイドレールのがたつきが抑制できるノートパソコン搭載用のスリム型光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、光ディスク装置には、ディスクを駆動するディスク駆動メカニズムが搭載されたドロワが設けられ、ドロワはイジェクト機構によって光ディスク装置本体に対して挿抜自在に構成されている。例えば、ドロワの排出方向における先端部にイジェクト機構を備え、光ディスク装置の前面に設けられたイジェクトボタンを押すことにより、ドロワが装置本体から排出され、一方、排出されたドロワをユーザが手動により装置本体内に挿入すると、ドロワが装置本体内に収納された状態で保持されるといったものである(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このイジェクト機構は、例えば図7乃至図9に示すように、スライダ等をイジェクトバネ23によりドロワ奥行き方向へ付勢し、ドロワロック時にドロワ21を保護するための底板24に設けた底板奥壁24aによって押し込みされ、イジェクトバネ23に蓄えられた反発力によってドロワ21が排出されるように構成されている。
【0004】
またイジェクトに要する力を伝達するためのイジェクトピン22が、光ディスク装置本体20の底板側24に設けられる。
【特許文献1】特開2000−137937号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の構造では、このイジェクト力伝達用の介在物としてイジェクトピン、これをガイドする構造、組み立て工数、およびこれらをレイアウトするスペースが必要となり、省コスト、省スペース化の障害となっていた。また、ロック状態にあるドロワ、ガイドレールのがた取りの為に別部材(板バネ等)を追加する必要があった。
【0006】
本発明は、上記した問題点を解決するためになされたものであり、ドロワイジェクト機構に連動してドロワおよびガイドレールのがたつきが抑制できる光ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、
ドライブ筐体と、
ディスク駆動メカニズムを搭載したドロワと、
前記ドロアを前記ドライブ筐体に対してスライド自在に支持する左右のガイドレールと、
ロック側のガイドレールに沿って設けられ、一端が前記ロック側のガイドレールに接続され、他端が前記ロック側のガイドレールの接続点より奥側の前記ドロワに接続されたイジェクト用のイジェクトバネと、
前記ロック側のガイドレールの端部に配置され、その奥側の端部に内側に向いた側圧伝達突起が形成された側圧部材と、
前記側圧伝達突起が位置するところの前記ドライブ本体の底板側部に形成され、前記側圧伝達突起と同じ向きに傾斜した付勢力受け壁と、を有し、
前記ドロアが前記ドライブ筐体内に挿入完了した位置である時、前記イジェクトバネの付勢力を受ける前記側圧部材の前記側圧伝達突起および前記付勢力受け壁によって前記ドロア及び前記ロック側のガイドレールに対し側圧を与えることを特徴とする光ディスク装置が提供される。
【0008】
これは、側圧部材の側圧伝達突起にイジェクトバネの付勢力を受けた時、側圧方向の分力が生成されることとなり、その結果ドロワ及びガイドレールに対し側圧を加えることができるようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ドロアがドライブ筐体内に挿入完了した位置である時、イジェクトバネの付勢力を利用してドロワおよびガイドレールのがたつきが抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。尚、各図において同一箇所については同一の符号を付すとともに、重複した説明は省略する。
【0011】
図1は、光ディスク装置全体を表側から見た斜視図であり、図2は光ディスク装置全体を裏側から見た斜視図である。
【0012】
図1に示すように、ディスク駆動メカニズムMが搭載されたドロワ1と、ドロワ1の底部側を保護し、シールドするための底板2とが設けられている。ドロワ1は、底板2に対してスライド可能になっており、そのためドロワ1をスライド自在に支持するガイドレール3,3がドロワ1の左右に配設されている。
【0013】
図3は、イジェクトバネ4の取り付け部の詳細を示す斜視図であり、図4は側圧作用部の詳細を示す斜視図である。図2及び図3に示すように、ロック側のガイドレール3に沿って、ドロワ1を底板2に係止するロック側のガイドレール3とドロワ1には、それぞれフックが形成されており、ガイドレール3に形成されたガイドレール側フック3aと、ガイドレール側フック3aより奥側のドロアに形成されたドロワ側フック1a間には、イジェクトバネ4が懸架されている。ロック側のガイドレール3は、図3の上方に設けられたストッパ(図示せず)で位置規制され、ドロワ1は、図3の下方に設けられたストッパ(図示せず)で位置規制されている。また、ロック側のガイドレール3は、ドロワ1から所望の寸法だけ突き出ているように規制されている。
【0014】
図4に示すように、ロック側のガイドレール3端部には、側圧を付与する側圧突起部5が配設されている。この側圧突起部5はバネ性等を持たせるため、例えばポリアセタール樹脂製の樹脂バネとする。側圧突起部5の端部には、側圧を伝達するための側圧伝達突起5aが内側に向けて形成されている。ドロワ1の後端部には側圧を受ける側圧受け部1bが外側に向けて形成され、また底板2の奥壁部2aの隅部には付勢力を受ける付勢力受け壁2bが内側に向けて(側圧伝達突起5aの向きと同じ)形成されている。尚、側圧受け部1bはドロワ1と一体に形成し、付勢力受け壁2bは底板2と一体に形成すると好適である。ドロワ1をドライブ筐体内に挿入完了した位置での相互干渉により、イジェクトバネ4のイジェクト付勢力を利用してドロワ1とガイドレール3間に側圧が作用するよう構成されている。かかる側圧は、ドロワ1とガイドレール3間のがたつきを抑制する。
【0015】
次に、光ディスク装置本体へのドロワの進入と排出の際に発生する力について、図面により説明する。
【0016】
図5(a)、(b)、(c)はドロワ進入時のイジェクトバネ4の挙動を示す説明図である。
【0017】
図5(a)に示す状態では、イジェクトバネ4は懸架された初期の付勢状態にあり、ドロワ1とドロワ1上にバネ付勢されたロック側のガイドレール3が一体となって、装置本体側に進入する。
【0018】
次に、図5(b)に示す状態では、ロック側のガイドレール3の奥先端が底板奥壁部2aに当接し、ドロワ1に対してスライドし、イジェクトバネ4は伸張途上にある。
【0019】
図5(c)に示す状態では、ドロワ1の光ディスク装置本体への挿入が完了し、ドロワ1はロックホールドされる。イジェクトバネ4の最大伸張による復元力が、ドロワ排出力として蓄えられる。これがドロワ1のロックの解除により開放され、ドロワ1は光ディスク装置本体からイジェクトされる。
【0020】
次に、ドロワの側圧発生について説明する。図6(a)、(b)は、ドロワ側圧の発生の様子を示す説明図である。図6(a)は図5(b)に対応しており、イジェクトバネ4は図示していない。図6(a)に示すように、ガイドレール3の先端は底板奥壁部2aのレール当接部2cに規制され、ドロワ側の側圧受け部1bおよび側圧突起部5の側圧伝達突起5aは近傍位置まで達している。また底板側に形成されている付勢力受け壁2bも近接しているが作用していない。
【0021】
さらにドロワ1が光ディスク装置本体に進入した図6(b)に示す位置では、ドロワ側の側圧受け部1aが側圧突起部5の側圧伝達突起5aを押圧し、側圧突起部5の変形により外側ヘスライドされ、底板側の付勢力受け壁2bにガイドされてロック側のガイドレール3が手前へ押し出される。その際、前出の底板奥壁部2aがレール当接部2cから離れ、全付勢力が付勢力受け壁2bに作用することとなり、付勢力受け壁2bの斜面角度に従って側圧方向とドロワ排出方向に力が分解され、ドロワ1およびガイドレール3のがたつき抑制力(側圧)が作られる。
【0022】
以上説明したように、本実施の形態では、部品点数・工数削減による省コスト・省スペース化が可能となり、また製造時における、組み立て性の向上が図れるため組み立て時のミス低減が図れ、さらに、部品点数低減による信頼性の向上が図れる。また、レールとドロワ同時に付勢可能なる構成により、がたつき防止効果の向上が図れる。特に、高スピード時における振動防止効果が得られ、騒音の低減が図れる。
【0023】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る光ディスク装置全体を表側から見た斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る光ディスク装置全体を裏側から見た斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る光ディスク装置のバネ取り付け部の詳細を示す斜視図である。
【図4】本発明の別の実施形態に係る光ディスク装置の側圧作用部の詳細を示す斜視図である。
【図5(a)】ドロワ進入時のイジェクトバネの挙動を示す説明図である。
【図5(b)】ドロワ進入時のイジェクトバネの挙動を示す説明図である。
【図5(c)】ドロワ進入時のイジェクトバネの挙動を示す説明図である。
【図6(a)】ドロワ側圧の発生の様子を示す説明図である。
【図6(b)】ドロワ側圧の発生の様子を示す説明図である。
【図7】従来の光ディスク装置全体を表側から見た斜視図である。
【図8】従来の光ディスク装置全体を裏側から見た斜視図である。
【図9】従来の光ディスク装置のイジェクト機構を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0025】
10・・・光ディスク装置、1・・・ドロワ、1a・・・ドロワ側フック、1b・・・側圧受け部、2・・・底板、2a・・・奥壁部、2b・・・付勢力受け壁、2c・・・レール当接部、3・・・ガイドレール、3a・・・ガイドレール側フック、4・・・イジェクトバネ、5・・・側圧突起部、5a・・・側圧伝達突起。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライブ筐体と、
ディスク駆動メカニズムを搭載したドロワと、
前記ドロアを前記ドライブ筐体に対してスライド自在に支持する左右のガイドレールと、
ロック側の前記ガイドレールに沿って設けられ、一端が前記ロック側のガイドレールに接続され、他端が前記ロック側のガイドレールの接続点より奥側の前記ドロワに接続されたイジェクト用のイジェクトバネと、
前記ロック側のガイドレールの端部に配置され、その奥側の端部に内側に向いた側圧伝達突起が形成された側圧部材と、
前記側圧伝達突起が位置するところの前記ドライブ本体の底板側部に形成され、前記側圧伝達突起と同じ向きに傾斜した付勢力受け壁と、を有し、
前記ドロアが前記ドライブ筐体内に挿入完了した位置である時、前記イジェクトバネの付勢力を受ける前記側圧部材の前記側圧伝達突起および前記付勢力受け壁によって前記ドロア及び前記ロック側のガイドレールに対し側圧を与えることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
前記側圧部材の前記側圧伝達突起および前記付勢力受け壁は、前記イジェクトバネの付勢力を受けた時、側圧方向の分力を生成し、前記ドロワ及び前記ガイドレールに対し側圧を加えることを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記側圧部材はバネ性部材であることを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記ドロアの前記イジェクトバネの接続点の奥側の角部には前記側圧伝達突起と当接する側圧受け部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【図5(c)】
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【図6(a)】
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【図6(b)】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−226961(P2007−226961A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−113529(P2007−113529)
【出願日】平成19年4月23日(2007.4.23)
【分割の表示】特願2004−381992(P2004−381992)の分割
【原出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(504224854)東芝サムスン ストレージ・テクノロジー株式会社 (74)
【Fターム(参考)】