説明

光ディスク装置

【課題】光ピックアップの移送機構における歯飛びを検出する。
【解決手段】光ピックアップ310はステッピングモータ100により光ディスク10の半径方向に移送される。ホスト装置からシーク動作命令を受け取った制御部330は、コントローラ340を介してステッピングモータ100を駆動して光ピックアップ310を目標アドレスまでシークする。シーク後の現在アドレスと目標アドレスとのずれ量を算出し、ずれ量が移送機構のピッチP、すなわちリードスクリューのピッチP以上であれば歯飛びが生じたと判定し、シーク条件を変更してシークを再実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ディスク装置、特に光ピックアップの移送制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、光ディスク装置では、ステッピングモータにより光ピックアップを光ディスクの半径方向に移送してシーク動作を行っている。
【0003】
図6及び図7に、下記に示す従来技術に開示された光ディスク装置の構成及び移送機構の構成を示す。光ピックアップ310は半導体レーザ(LD)を有し、記録データに応じて変調されたレーザ光を射出して光ディスク10にデータを記録するとともに、再生パワーのレーザ光を照射し光ディスク10からの反射光を受光して再生信号を生成する。
【0004】
デコーダ320は、光ピックアップ310からの再生信号をデコードし、アドレス信号等を生成して制御部330に供給する。
【0005】
制御部330は、CPU、ROM、RAM等により構成され、シーク動作を制御する。具体的には、パソコン等のホスト装置から光ピックアップ310の移送先に対応する目標アドレスを含むシーク動作命令を受け取ると、ステッピングモータ100に与えるパルス数を算出し、コントローラ340に供給する。コントローラ340は、制御部330からの指令に基づきドライバ350に駆動制御信号を供給する。ドライバ350は、駆動制御信号に応じてステッピングモータ100の回転数及び回転速度を制御する。
【0006】
ステッピングモータ100には、図7に示すように螺旋状の溝が一定ピッチPで形成されたリードスクリュー110が設けられており、リードスクリュー110は光ディスク10の半径方向と平行に取り付けられる。光ピックアップ310はリードスクリュー110の溝に沿って移動可能に配置されており、ステッピングモータ100が1回転する毎に、リードスクリュー110の1ピッチPだけ光ディスク10の半径方向に移動する。
【0007】
このような構成において、制御部330は、シーク動作完了時にデコーダ320から供給される現在のアドレスと、シーク動作開始時にホスト装置から受け取った目標アドレスとの差分を算出し、算出した位置ずれ量が許容量を超える場合にステッピングモータ100の脱調と判定してステッピングモータ100の回転速度を低下させる。ここで、「脱調」とは、ステッピングモータ100に印加されるパルス周波数が高くなる等によりステッピングモータ100のトルクが不足し、パルス電圧を印加してもステッピングモータ100が回転しない現象をいう。
【0008】
【特許文献1】特開2003−100041号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、移送機構の問題には、ステッピングモータ100の脱調のみならず、光ピックアップ310に設けられたティース部310aとリードスクリュー110との噛み合いが外れる、いわゆる「歯飛び」の問題も生じ、歯飛びが生じても目標アドレスと現在アドレスとの間に乖離が生じてしまう問題があった。なお、歯飛びは主に経時的動作あるいは衝撃等によるティース部310aの摩耗や損傷、または振動等により生じるものと考えられ、ステッピングモータ100だけでなくDCモータを用いた場合にも同様に起こり得る。
【0010】
本発明の目的は、光ピックアップとリードスクリューとの間の歯飛び等の異常を効率的に検出し、これにより目標アドレスと現在アドレスとの乖離を防止できる装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、モータと、光ディスクにレーザ光を照射する光ピックアップと、前記モータに係合し、前記モータの回動により前記光ピックアップを前記光ディスクの半径方向に移送する移送機構と、前記移送機構による移送後のアドレスと目標アドレスとのずれ量を前記移送機構のピッチと大小比較し、前記ずれ量が前記ピッチ以上である場合に前記移送機構に異常が生じたと判定する制御手段とを有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、モータと、光ディスクにレーザ光を照射する光ピックアップと、前記モータに係合し、前記モータの回動により前記光ピックアップを前記光ディスクの半径方向に移送する移送機構と、前記光ピックアップをフォーカス制御するフォーカスサーボ手段と、前記フォーカスサーボ手段からのサーボ信号に応じ、前記フォーカスサーボ手段によるフォーカス制御が中断された場合に前記移送機構に異常が生じたと判定して前記移送機構による前記光ピックアップの移送を中断し、前記フォーカス制御が中断されない場合に前記移送機構による移送後のアドレスと目標アドレスとのずれ量を前記移送機構のピッチと大小比較し、前記ずれ量が前記ピッチ以上である場合に前記移送機構に異常が生じたと判定する制御手段とを有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、モータと、光ディスクにレーザ光を照射する光ピックアップと、前記モータに係合し、前記モータの回動により前記光ピックアップを前記光ディスクの半径方向に移送する移送機構と、前記光ピックアップの再生信号からフォーカスエラー信号を生成し、該フォーカスエラー信号に応じてフォーカス制御するフォーカスサーボ手段と、前記フォーカスエラー信号のレベルが所定のしきい値を超える場合に前記移送機構に異常が生じたと判定して前記移送機構による前記光ピックアップの移送を中断し、前記フォーカス制御が中断されない場合に前記移送機構による移送後のアドレスと目標アドレスとのずれ量を前記移送機構のピッチと大小比較し、前記ずれ量が前記ピッチ以上である場合に前記移送機構に異常が生じたと判定する制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、光ピックアップ移送後のアドレスと目標アドレスとのずれ量と移送機構のピッチとを大小比較することで移送機構に異常(歯飛び等)が生じたものと判定するので、歯飛び等の異常を確実に検出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。なお、図6に示す従来装置と同一部材については同一符号を付す。
【0016】
<第1実施形態>
図1に示すように、本実施形態の光ディスク装置の構成は、図6に示す従来装置の構成とほぼ同一であり、パソコン等のホスト装置からのシーク動作開始命令は制御部330に供給される。制御部330は、コントローラ340に制御信号を供給し、ステッピングモータ100はコントローラ340及びドライバ350により回転制御される。光ピックアップ310は、図7に示すようにティース部310aを介してリードスクリュー110と連結し、リードスクリュー110の回転により光ディスク10の半径方向に移動する。光ピックアップ310は、スピンドルモータ11により回転駆動される光ディスク10に記録パワーのレーザ光を照射してデータを記録し、あるいは再生パワーのレーザ光を照射して記録データを再生する。光ピックアップ310からの再生信号はデコーダ320に供給され、デコーダ320は再生信号をデコードしてデコードデータ及びアドレスデータを制御部330に供給する。
【0017】
制御部330は、ホスト装置からのシーク動作開始命令に応じて光ピックアップ310を移送した後にデコーダ320から供給されたアドレス(現在アドレス)を目標アドレスと比較し、そのずれ量に応じてシークが正常に実行されたか否かを判定するが、ずれ量と大小比較するしきい値は従来のように許容量ではなく、歯飛びを検出すべく移送機構のピッチに応じて設定される。すなわち、図7に示すように、光ピックアップ310はティース部310aを介してリードスクリュー110に噛合し、リードスクリュー110のピッチPに従って光ディスク10の半径方向に移送される。光ピックアップ310に設けられたティース部310aとリードスクリュー110との噛合が外れ、ティース部310aがリードスクリュー110の溝から乗り上げる歯飛びが生じると、少なくともリードスクリュー110のピッチP分の乖離が生じることになる。制御部330は、この点に着目し、目標アドレスと現在アドレスとのずれ量をリードスクリュー110のピッチPと大小比較することでシーク動作中に歯飛びが生じたか否かを判定する。
【0018】
図2に、本実施形態の処理フローチャートを示す。まず、ホスト装置からシーク動作開始命令を受け取ると、トラッキングサーボをOFFとして(S101)、ステッピングモータ100を駆動してマクロシークを開始する(S102)。ここで、マクロシークは光ピックアップ310自体を光ディスク10の半径方向に移送することをいう。これに対し、後述するミクロジャンプは光ピックアップ310自体は移送せず、対物レンズのみをトラック方向に移動させることをいう。制御部330は、現在のアドレスからホスト装置から与えられた目標アドレスに達するまでの距離(移送距離)を算出し、必要なパルス数を算出してステッピングモータ100を駆動する。ステッピングモータ100の回転角はパルス数で規定され、回転速度はパルス周波数で規定される。
【0019】
マクロシークを終了した後(S103)、トラッキングサーボを再びONする(S104)。そして、マクロシーク完了後の現在アドレスをデコーダ320でリードし(S105)、制御部330に供給する。制御部330は、デコーダ320から供給されたマクロシーク完了時の現在アドレスとホスト装置から供給された目標アドレスとを比較する(S106)。具体的には、目標アドレスと現在アドレスとのずれ量を算出し、算出したずれ量とリードスクリュー110のピッチPとを大小比較する。
【0020】
比較の結果、ずれ量がピッチPより小さい場合には(S107でNO)、マクロシーク動作時に歯飛びは生じておらず正常に完了したとして次に通常のリシーク処理を実行する(S108)。通常のリシーク処理は、目標アドレスと現在アドレスとのずれ量に応じて再度マクロシークを実行したり、対物レンズのみを移動させるミクロジャンプを実行する。
【0021】
一方、ずれ量がピッチP以上である場合には(S107でYES)、マクロシーク動作時に歯飛びが生じたものと判定し(S109)、シーク条件を変更してマクロシークを再度実行する。すなわち、スピンドルモータ11の回転数(回転速度)を低下させる(S110)。スピンドルモータ11で光ディスク10を8倍速で回転駆動している場合に、6倍速あるいは4倍速に低下させる等である。スピンドルモータ11の回転速度を低下させるのは、歯飛びの誘因である振動を抑制するためである。光ディスク10に偏重心があると高速回転時にスピンドルモータ11が振動してしまい、その振動が光ピックアップ310、ティース部310a、リードスクリュー110等の移送機構に伝わり、脱調あるいは歯飛びの誘因となる。そこで、スピンドルモータ11の回転速度を低下すれば、振動を抑制できる。また、スピンドルモータ11の回転数を低下させるだけでなく、ステッピングモータ100の駆動特性(プロファイル)を通常のプロファイルからロープロファイルに変更する(S111)。スピンドルモータ11及びステッピングモータ100の回転速度を変更した後、光ピックアップ310を光ディスク10の最内周まで移送して光ピックアップ310のアドレスをリセットし、再びS101以降の処理を実行してマクロシークを再実行する。目標アドレスまでの残余の距離が分かっているので、その分だけ再シークしてもよい。マクロシークの再実行時には、スピンドルモータ11の回転速度及びステッピングモータ100の回転速度が低下しているため、歯飛びを生じることなく目標アドレスまでシークできる可能性が高まる。
【0022】
図3に、S111におけるロープロファイルの一例を示す。横軸はドライバ350から供給されるパルス数、縦軸はステッピングモータ100の回転速度である。図中aは通常のプロファイルであり、図中bはロープロファイルである。通常プロファイルでは最高回転速度がN1であるが、ロープロファイルでは最高回転速度はN2である。また、ロープロファイルでは通常プロファイルよりも加速度が小さい。したがって、ロープロファイルに変更することで歯飛びを防ぐことができる。
【0023】
このように、本実施形態ではマクロシーク完了時の現在アドレスと目標アドレスとのずれ量がピッチP以上である場合に歯飛びが生じたと判定し、シーク条件を変更してマクロシークを再実行するので、ホスト装置から指令された目標アドレスまで光ピックアップ310を確実にシークすることができる。また、歯飛びが発生することによるティース部310aの摩耗や損傷を防止することができる。
【0024】
なお、通常、現在アドレスと目標アドレスとの間に乖離が存在する場合には、マクロシーク完了時の現在アドレスを目標アドレスに一致させるべく現在アドレスからリシークを行うが、このリシークに必要な距離はずれ量であるため、リシーク距離がピッチP以上であるか否かを判定してもよい。リシーク距離がピッチP以上である場合には歯飛びが生じたと判定して光ピックアップ310を最内周まで移送し、その後マクロシークを再実行する。
【0025】
<第2実施形態>
図4に、本実施形態における光ディスク装置の構成を示す。基本的な構成及び動作は図1と同様であるが、さらに以下の構成を有する。すなわち、光ピックアップ310は、フォーカスサーボ12により光ディスク10のフォーカス方向に駆動制御され、図示しないトラッキングサーボにより光ディスク10のトラッキング方向に駆動制御される。フォーカスサーボ12及びトラッキングサーボは、それぞれ光ピックアップ310の再生信号から生成されるフォーカスエラー信号FE及びトラッキングエラー信号TEに応じ、フォーカスエラー及びトラッキングエラーを解消するように光ピックアップ310の対物レンズをフォーカスコイル及びトラッキングコイルで電磁駆動してサーボ制御する。フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号の生成方法は周知であり、その詳細は省略する。
【0026】
本実施形態において、フォーカスサーボ12はサーボ信号を光ピックアップ310のフォーカスコイルに供給してサーボ制御するとともに、サーボ信号を制御部330に供給する。フォーカスサーボ12は、フォーカスエラー信号FEのレベルが所定の範囲内であればこれを打ち消すようなサーボ信号を生成してサーボ制御するが、フォーカスエラー信号FEのレベルが上限値を超える場合には、フォーカスサーボ不能と判定してフォーカスサーボを中断する。制御部330は、フォーカスサーボ12がフォーカスサーボを中断したか否かをサーボ信号に基づいて判定し、フォーカスサーボが中断して光ピックアップ310のフォーカス制御がOFFした(これをフォーカスダウンと称する)状態を歯飛びが生じた状態として検出する。歯飛びが生じると、目標アドレスに到達することができなくなる。すなわち、正常な場合にはステッピングモータ100へ供給されるパルス数と光ピックアップ310が実際に移送される移送量との間には一定の関係が成立するため入力パルス数をカウントすることで光ピックアップ310の移送量を算出することができる。具体的には、ステッパポインタでステッピングモータ100への入力パルスをカウントすることで光ピックアップ310の移送量、つまり移送後のアドレスを規定することができる。
例えば、1マイクロステップをステッピングモータ100の1/256回転とし、1マイクロステップで光ピックアップ310が7.8μm移送される等である。しかし、歯飛びが生じると、上記のマイクロステップ量と移送量との関係がくずれ、ステッパポインタから得られる光ピックアップの位置と実際の光ピックアップ310の位置との間に乖離が生じてステッパポインタ上では目標アドレスに達してるはずであるが実際には目標アドレスと異なる位置に存在することになってしまう。そこで、歯飛びが生じたと判定した場合、制御部330はマクロシーク動作中であってもマクロシーク動作を中断し、歯飛びによる目標アドレスと現在アドレスとの乖離を解消する。さらに、制御部330は、たとえマクロシークを中断せずマクロシークを完了した後においても上記した第1実施形態と同様にマクロシーク完了後の現在アドレスと目標アドレスとのずれ量から歯飛びの発生を検出する。
【0027】
図5に、本実施形態の処理フローチャートを示す。ホスト装置からシーク動作開始命令を受け取ると、トラッキングサーボをOFFとして(S201)、ステッピングモータ100を駆動してマクロシークを開始する(S202)。マクロシークを開始して光ピックアップ310の移送を開始した後、制御部330はフォーカスサーボ12からのサーボ信号に基づきフォーカスダウンが生じたか否かを判定する(S203)。フォーカスダウンは上記のとおりフォーカスエラー信号FEのレベルが所定範囲を超えた場合に生じるものであり、歯飛びが生じた場合には光ピックアップ310に設けられたティース部310aとリードスクリュー110との噛み合わせが外れて光ピックアップ310の対物レンズがリードスクリュー110の溝から乗り上げた状態となって光ピックアップ310がフォーカス方向に急峻に移動するためにフォーカスエラー信号FEのレベルが増大したものと考えることができる。そこで、制御部330は、フォーカスダウンが生じた場合にマクロシークを中断し(S210)、歯飛びが生じたものと判定する(S211)。その後の処理は第1実施形態と同様であり、シーク条件を変更、具体的にはスピンドルモータ11の回転速度及びステッピングモータ100の回転速度を低下させてマクロシークを再度実行する(S212,S213)。マクロシークを中断した場合でも、光ピックアップ310を最内周まで移送して現在アドレスを0にリセットし、その後にマクロシークを再度実行することが好適である。最内周まで移送した後、アドレスをリードして0にリセットされたことを確認した後にマクロシークを再実行する。
【0028】
一方、フォーカスダウンが生じていない場合には、制御部330は光ピックアップ310が正常に移送されたと判定し、マクロシークを終了し(S204)、トラッキングサーボを再びONする(S205)。そして、マクロシーク完了後の現在アドレスをデコーダ320でリードし(S206)、制御部330に供給する。制御部330は、デコーダ320から供給されたマクロシーク完了時の現在アドレスとホスト装置から供給された目標アドレスとを比較する(S207)。具体的には、目標アドレスと現在アドレスとのずれ量を算出し、算出したずれ量とリードスクリュー110のピッチPとを大小比較する。
【0029】
比較の結果、ずれ量がピッチPより小さい場合には(S208でNO)、マクロシーク動作時に歯飛びは生じておらず正常に完了したとして次に通常のリシーク処理を実行する(S209)。
【0030】
一方、マクロシークは中断していないもののずれ量がピッチP以上である場合には(S208でYES)、マクロシーク動作時に歯飛びが生じたものと判定し(S211)、シーク条件を変更してマクロシークを再度実行する。すなわち、スピンドルモータ11の回転数(回転速度)を低下させ(S212)、ステッピングモータ100の駆動特性(プロファイル)を通常のプロファイルからロープロファイルに変更する(S213)。スピンドルモータ11及びステッピングモータ100の回転速度を変更した後、光ピックアップ310を光ディスク10の最内周まで移送して光ピックアップ310のアドレスをリセットし、再びS201以降の処理を実行してマクロシークを再実行する。現在アドレスが分かっているので、残余の距離分だけ再シークしてもよい。
【0031】
このように、本実施形態では、マクロシーク動作中及びマクロシーク動作完了後において歯飛びの有無を判定するので、歯飛びを確実に検出することができる。
【0032】
なお、本実施形態では歯飛びを検出した場合にスピンドルモータ11の回転速度を低下させるとともにステッピングモータ100の回転速度を低下させてマクロシークを再度実行しているが、スピンドルモータ11の回転速度のみを低下させてもよい。また、他の条件を変化させてマクロシークを再度実行してもよい。
【0033】
また、本実施形態ではステッピングモータ100の場合を示したが、DCモータで駆動する場合にも同様に適用することができる。
【0034】
また、本実施形態ではフォーカスサーボ12からのサーボ信号に基づいてフォーカスダウンを検出しているが、フォーカスエラー信号のレベルを所定のしきい値と比較する比較回路を設け、比較回路からの比較結果に基づいてフォーカスダウンを検出してもよい。フォーカスサーボ12が該比較回路を有していてもよく、比較回路でフォーカスエラー信号FEのレベルと所定のしきい値とを比較し、フォーカスエラー信号FEのレベルが所定のしきい値を超えた場合にサーボ制御を中断するとともに異常信号を制御部330に供給する構成としてもよい。制御部330は、フォーカスサーボ12の比較回路から供給された異常信号により歯飛びが生じたことを検出してマクロシーク動作を中断すればよい。
【0035】
さらに、本実施形態では歯飛びを検出しているが、ステッピングモータ100を用いる場合には、歯飛びの検出と並行して従来技術で示すように目標アドレスと現在アドレスとの位置ずれ量をピッチP以外のしきい値と比較してステッピングモータ100の脱調を検出するようにしてもよい。この場合、S107あるいはS208でずれ量がピッチPより小さいと判定された後に、ずれ量を所定のしきい値(ピッチPより小さいしきい値)と比較し、しきい値以上である場合に脱調が生じたと判定してマクロシークを再実行すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施形態における光ディスク装置の構成図である。
【図2】実施形態の処理フローチャートである。
【図3】実施形態のロープロファイルの説明図である。
【図4】他の実施形態における光ディスク装置の構成図である。
【図5】他の実施形態の処理フローチャートである。
【図6】従来装置の構成図である。
【図7】従来装置の移送機構説明図である。
【符号の説明】
【0037】
10 光ディスク、12 フォーカスサーボ、100 ステッピングモータ、310 光ピックアップ、320 デコーダ、330 制御部、340 コントローラ、350 ドライバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
光ディスクにレーザ光を照射する光ピックアップと、
前記モータに係合し、前記モータの回動により前記光ピックアップを前記光ディスクの半径方向に移送する移送機構と、
前記移送機構による移送後のアドレスと目標アドレスとのずれ量を前記移送機構のピッチと大小比較し、前記ずれ量が前記ピッチ以上である場合に前記移送機構に異常が生じたと判定する制御手段と、
を有することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
モータと、
光ディスクにレーザ光を照射する光ピックアップと、
前記モータに係合し、前記モータの回動により前記光ピックアップを前記光ディスクの半径方向に移送する移送機構と、
前記光ピックアップをフォーカス制御するフォーカスサーボ手段と、
前記フォーカスサーボ手段からのサーボ信号に応じ、前記フォーカスサーボ手段によるフォーカス制御が中断された場合に前記移送機構に異常が生じたと判定して前記移送機構による前記光ピックアップの移送を中断し、前記フォーカス制御が中断されない場合に前記移送機構による移送後のアドレスと目標アドレスとのずれ量を前記移送機構のピッチと大小比較し、前記ずれ量が前記ピッチ以上である場合に前記移送機構に異常が生じたと判定する制御手段と、
を有することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
モータと、
光ディスクにレーザ光を照射する光ピックアップと、
前記モータに係合し、前記モータの回動により前記光ピックアップを前記光ディスクの半径方向に移送する移送機構と、
前記光ピックアップの再生信号からフォーカスエラー信号を生成し、該フォーカスエラー信号に応じてフォーカス制御するフォーカスサーボ手段と、
前記フォーカスエラー信号のレベルが所定のしきい値を超える場合に前記移送機構に異常が生じたと判定して前記移送機構による前記光ピックアップの移送を中断し、前記フォーカス制御が中断されない場合に前記移送機構による移送後のアドレスと目標アドレスとのずれ量を前記移送機構のピッチと大小比較し、前記ずれ量が前記ピッチ以上である場合に前記移送機構に異常が生じたと判定する制御手段と、
を有することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の装置において、
前記異常は、前記移送機構の歯飛びであることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の装置において、
前記制御手段は、前記移送機構に異常が生じたと判定した場合に、移送条件を変更して前記移動機構による前記光ピックアップの移送を再実行することを特徴とする光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−257722(P2007−257722A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−79659(P2006−79659)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(000003676)ティアック株式会社 (339)
【Fターム(参考)】