説明

光ディスク装置

【課題】負荷が大きい場合であっても、ピックアップを必要な精度でスレッド送りする。
【解決手段】収束光ビームの信号トラックに対するずれ量が閾値を越えたとき、ずれ方向が正方向か負方向かに応じて、ステッピングモータ9の駆動電圧を現在の位置のモータ駆動電圧から、所定時間、次の正/逆回転方向のモータ駆動電圧に変更した後、元のモータ駆動電圧に変更する駆動電圧変更手段と、ずれ方向が正方向か負方向かに応じて次の正/逆回転方向のモータ駆動電圧を決定する駆動電圧決定手段とを設け、駆動電圧決定手段によるモータ駆動電圧の決定動作と決定動作との間に駆動電圧変更手段によるモータ駆動電圧の変更動作を、対物レンズ4のレンズシフト量の許容値に応じた回数だけ行うように、モータ駆動電圧の決定動作及び変更動作を繰り返すと共に、回数に応じて所定時間を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、必要な精度のスレッド送りを可能にした光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、光ディスク装置では、対物レンズの光軸からのずれが大きい程、光ピックアップからの再生信号の品質は悪化する。このため、通常は、対物レンズにトラッキングが掛かった状態で、ピックアップをスレッド送りをする場合、対物レンズの光軸からのずれ量が許容値内に入るように、閾値を設け、その閾値を越えた場合に、スレッド送りを行なうことで、レンズシフト量が許容値内に入るようにしていた。
【0003】
このスレッド送りには、通常、マイクロステップ駆動が採用されていた。マイクロステップ駆動では、通常のステップ駆動の1ステップを、一定の回数で等分割して1マイクロステップとし、その精度での送りを実現していた。この方法の一例として、特開2004−55008号公報(以下、特許文献1)に記載の装置がある。また、このマイクロステップ駆動を実現する駆動回路の一例としては、特開平6−189598号公報(以下、特許文献2)に記載の回路がある。
【0004】
先ず、特許文献1に開示されている従来のステッピングモータの駆動法について、図30〜図33を参照して説明する。
【0005】
図30はステッピングモータの基本構造を示す図である。図30において、311はN、Sと2極を有する永久磁石からなる回転子を示す。320は固定子を示し、90度の角間隔毎に4つの電機子歯321〜324を備え、回転子311を回転可能に保持している。電機子歯321、323にはA相の電機子巻線が巻回され、電機子歯322、324にはB相の電機子巻線が巻回されている。電機子歯321〜324は、これらの電機子巻線によって交互に磁化される。
【0006】
図31は、1相励磁駆動時のステッピングモータの電流の変化及びそれに対応した回転子の回転状態を示す。同図(a)は、電機子歯321、323に巻回されるA相の電機子巻線に流される駆動電流Iaの波形を示し、同図(b)は電機子歯322、324に巻回されるB相の電機子巻線に流される駆動電流Ibの波形を示す。同図(c)は、駆動電流Ia、Ibの各相に対応するステッピングモータの固定子の電機子歯321〜324の励磁状態及び回転子311の回転状態を示す。
【0007】
図30及び図31を参照するに、先ず、電機子歯321、323に巻回されたA相の電機子巻線に正方向の駆動電流を流すと、巻線の方向に伴って、電機子歯321がN極に、電機子歯323がS極にそれぞれ磁化される。これによって、回転子311は、1501に示すような向きに引き寄せられる。
【0008】
次に、電機子歯322、324に巻回されたB相の電機子巻線に正方向の駆動電流を流すと、巻線の方向に伴って、電機子歯322がN極に、電機子歯324がS極にそれぞれ磁化される。これによって、回転子311は、1502に示すような向きに引き寄せられて、1501の状態から90度回転する。
【0009】
今度は、電機子歯321、323に巻回されたA相の電機子巻線に逆方向の駆動電流を流すと、巻線の方向に伴って、電機子歯321がS極に、電機子歯323がN極にそれぞれ磁化される。これによって、回転子311は、1503に示すような向きに引き寄せられて、1502の状態から90度回転する。
【0010】
続いて、電機子歯322、324に巻回されたB相の電機子巻線に逆方向の駆動電流を流すと、巻線の方向に伴って、電機子歯322がS極に、電機子歯324がN極にそれぞれ磁化される。これによって、回転子311は、1504に示すような向きに引き寄せられて、1503の状態から90度回転する。
【0011】
即ち、1501〜1504に示す4つの状態を経て、回転子311は1回転する。
【0012】
状態1501〜1502,状態1502〜1503、状態1503〜1504,状態1504〜1501への各状態変化を1ステップと呼ぶ。また、各状態変化に伴う回転子311の回転角度は基本ステップ角と呼ばれ、ステッピングモータを駆動させる基本単位となる回転角度である。
【0013】
図32は、2相励磁駆動時のステッピングモータの電流の変化及びそれに対応した回転子の回転状態並びにステッピングモータの基本構造を示す。同図(a)は、電機子歯321、323に巻回されるA相の電機子巻線に流される駆動電流Iaの波形を示し、同図(b)は電機子歯322、324に巻回されるB相の電機子巻線に流される駆動電流Ibの波形を示す。同図(c)は、駆動電流Ia、Ibの各相に対応するステッピングモータの固定子の電機子歯321〜324の励磁状態及び回転子311の回転状態を示す。同図(d)は、図30と同様のステッピングモータの基本構造を示す。
【0014】
図32を参照するに、先ず、電機子歯321、323に巻回されたA相の電機子巻線に正方向の駆動電流を流すと、巻線の方向に伴って、電機子歯321がN極に、電機子歯323がS極にそれぞれ磁化される。また、電機子歯322、324に巻回されたB相の電機子巻線に正方向の駆動電流を流すと、巻線の方向に伴って、電機子歯322がN極に、電機子歯324がS極にそれぞれ磁化される。これによって、回転子311は、1701に示すような向きに引き寄せられる。
【0015】
次に、電機子歯321、323に巻回されたA相の電機子巻線に逆方向の駆動電流を流すと、巻線の方向に伴って、電機子歯321がS極に、電機子歯323がN極にそれぞれ磁化される。また、電機子歯322、324に巻回されたB相の電機子巻線に正方向の駆動電流を流すと、巻線の方向に伴って、電機子歯322がN極に、電機子歯324がS極にそれぞれ磁化される。これによって、回転子311は、1702に示すような向きに引き寄せられて、1701の状態から90度回転する。
【0016】
今度は、電機子歯321、323に巻回されたA相の電機子巻線に逆方向の駆動電流を流すと、巻線の方向に伴って、電機子歯321がS極に、電機子歯323がN極にそれぞれ磁化される。また、電機子歯322、324に巻回されたB相の電機子巻線に逆方向の駆動電流を流すと、巻線の方向に伴って、電機子歯322がS極に、電機子歯324がN極にそれぞれ磁化される。これによって、回転子311は、1703に示すような向きに引き寄せられて、1702の状態から90度回転する。
【0017】
続いて、電機子歯321、323に巻回されたA相の電機子巻線に正方向の駆動電流を流すと、巻線の方向に伴って、電機子歯321がN極に、電機子歯323がS極にそれぞれ磁化される。また、電機子歯322、324に巻回されたB相の電機子巻線に逆方向の駆動電流を流すと、巻線の方向に伴って、電機子歯322がS極に、電機子歯324がN極にそれぞれ磁化される。これによって、回転子311は、1704に示すような向きに引き寄せられて、1703の状態から90度回転する。
【0018】
即ち、回転子311の角度がθ0〜θ3である1701〜1704に示す4つの状態を経て、回転子311は1回転する。
【0019】
状態1701〜1702,状態1702〜1703、状態1703〜1704,状態1704〜1701への各状態変化を1ステップと呼ぶ。
【0020】
次に、図33を参照して、マイクロステップ駆動について説明する。図33は、16分割マイクロステップ駆動時の入力パルス及びその入力パルスに基づいて形成されたステッピングモータの電流変化を示す。マイクロステップ駆動は、光ディスク上のトラックにピックアップを精度良くトラッキングさせる際に、ステッピングモータを制御する方法として用いられる。図33(a)に示す入力パルスθ0、θ1、θ2、……,θ15に基づいて、ステッピングモータの固定子のA相及びB相の電機子巻線に互いに90度の位相差を有する正弦波状の駆動電流Ia、Ibを流すようにする。これによって、ステッピングモータの回転子の回転角度を細分化することができる。
【0021】
図33の場合のステップ数は図31の場合のステップ数の4倍であり、1ステップの回転角度は,1/4に分割される。図33の場合のマイクロステップ駆動は,電流位相が元に戻るまで16状態あるので、上述したように16分割マイクロステップ駆動と呼ばれる。マイクロステップ駆動は、16分割だけでなく、理論的には、更に細かく分割することが可能である。
【0022】
次に、図34を参照して、上述の特許文献2に開示された従来のステッピングモータの駆動制御装置について説明する。401は、アップダウンカウンタで、これにクロックパルスCP及び回転方向制御信号up/downが供給されて、そのクロックパルスCPを、計数アップ及び計数ダウンする。アップダウンカウンタ401から出力された計数出力は、アドレスデータとして正弦波データRОM402a及び余弦波データRОM402bに供給されて、それぞれ記憶されている正弦波データ及び余弦波データが読み出される。読み出された正弦波データ及び余弦波データは、励磁電流制御部403a、403bそれぞれのD/A変換器431a、431bに供給されて、アナログ信号に変換された後、励磁電流制御部403a、403bそれぞれの駆動回路432a、432bに供給される。これによって、それぞれの駆動回路432a、432bに接続された、ステッピングモータ404のA相及びB相の電機子コイル404a、404bに励磁電流Ia、Ibが流されて、ステッピングモータ404が定電流駆動される。404cは、ステッピングモータ404の回転子である。
【0023】
この図34のステッピングモータの動作を、図35のタイミングチャートを参照して説明する。図35は、ステッピングモータを、その初期状態が逆転方向で静止している状態から、回転方向制御信号up/downをHレベルにして回転方向を正転方向に切り換え、基本ステップ角で4ステップ角回転させた後、回転方向制御信号up/downをLレベルにして回転方向を逆転方向に切り換えたときの各部の波形を示す。
【0024】
先ず、図35(a)の回転方向制御信号up/downによって、アップダウンカウンタ401の計数方向が正方向に設定され、これに図35(b)のクロックパルスCPが供給されると、図35(c)に示すようにアップダウンカウンタ401は計数動作を開始する。アップダウンカウンタ401の計数値をアドレスデータとして、RОM402a、402bから、それぞれ図35(d)、(e)に示す正弦波及び余弦波データが読み出される。読み出された正弦波及び余弦波データは、励磁電流制御部403a、403bそれぞれのD/A変換器431a、431bに供給されて、アナログ信号に変換された後、励磁電流制御部403a、403bそれぞれの駆動回路432a、432bに供給される。これによって、それぞれの駆動回路432a、432bに接続された、ステッピングモータ404のA相及びB相の電機子コイル404a、404bに励磁電流Ia、Ibが流されて、ステッピングモータ404が定電流駆動される。クロックパルスCPが供給されて、アップダウンカウンタ401が計数アップ動作を開始すると、図35(g)に示すように励磁位置の回転角が正方向に移動していき、回転子位置との間に位相差ができ、図35(f)に示すようにトルクが発生する。図35(f)に示すように、モータの発生トルクが正方向の最大摩擦トルクと平衡状態になるまで大きくなると、モータの回転子は回転を開始し、励磁位置に追従していく。
【0025】
その後、図35(a)に示すように、時点t1で、回転方向制御信号up/downが反転し、図35(c)に示すようにアップダウンカウンタ401が計数ダウンすると、図35(g)に示すように励磁位置の回転角は逆方向に移動していき,励磁位置と回転子位置との間の位相差が逆方向になり、図35(f)に示すように逆方向の最大摩擦トルクと平衡になるまで逆方向の発生トルクが大きくなると、回転子は励磁位置に追従していく。
【0026】
このように、ステッピングモータの摩擦などの損失のため、励磁位置と回転子位置の間に位相差が発生し、停止位置が多少ずれてしまう現象、即ち、ヒステリシス現象が生じる。
【0027】
今、対物レンズの光軸からのずれ量の許容値が、中心値に対して、±25μmの範囲であり、ステッピングモータの1ステップのスレッド移動量が200μmの場合、マイクロステップ駆動の分割数を4にすれば、1回のスレッド送り量は、50μmになるので、閾値を25μmに設定することで、必要な精度のスレッド送りを実現できる。実際には、1回のスレッド送り量はばらつくので、レンズシフト量も大きくなり、その分、閾値も大きくする必要が出てくるので、そうした点も考慮しなければならない。一般に、レンズシフト量の許容値が小さくなる場合は、閾値を下げ、分割数を上げるという関係にあり、許容値に応じて、マイクロステップ駆動の分割数を設定することで、スレッド送りの精度を確保してきた。
【特許文献1】特開2004−55008号公報
【特許文献2】特開平6−189598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
しかしながら、マイクロステップ駆動は、ステッピングモータの固定子コイルに正弦波状の駆動電流を流さなければならないので、負荷が大きい場合には、十分なトルクを発生させることが出来ず、必要な精度のスレッド送りが出来なくなるという問題があった。
【0029】
本発明は上記事情に鑑み、負荷が大きい場合であっても、ピックアップを必要な精度でスレッド送りすることのできる光ディスク装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0030】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、光ディスク上に記録された信号トラック上に、対物レンズを介して収束光ビームを照射する光ピックアップと、前記光ピックアップを前記光ディスクの半径方向に移動させるステッピングモータと、前記収束光ビームの前記信号トラックに対するずれ量を検出してトラッキング制御信号を出力すると共に、前記ステッピングモータを駆動することによって、トラック追従状態を保ったまま、前記光ピックアップを前記光ディスクの半径方向に移動させるように制御する制御手段と、前記制御手段よりのトラッキング制御信号に基づいて、前記対物レンズを前記信号トラックの幅方向に移動させるトラッキングアクチュエータとを有する光ディスク装置であって、前記収束光ビームの前記信号トラックに対するずれ量が所定閾値を越えたとき、そのずれ方向が正方向か負方向かに応じて、前記ステッピングモータの駆動電圧を現在の位置のステッピングモータ駆動電圧から、所定時間、次の正回転又は逆回転方向のステッピングモータ駆動電圧に変更した後、前記所定時間前のステッピングモータ駆動電圧に復帰させる駆動電圧変更手段と、前記閾値を越えたときのずれ方向が正方向か負方向かに応じて、次の正回転又は逆回転方向のステッピングモータ駆動電圧を決定する駆動電圧決定手段とを設け、駆動電圧決定手段によるステッピングモータ駆動電圧の決定動作と決定動作との間に、駆動電圧変更手段によるステッピングモータ駆動電圧の変更動作を、対物レンズのレンズシフト量の許容値に応じた回数だけ行なうように、ステッピングモータ駆動電圧の決定動作及び変更動作を繰り返すと共に、回数に応じて所定時間を設定するようにした光ディスク装置である。
【0031】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、制御手段によって検出された収束光ビームの信号トラックに対するずれ量に基づいて、ずれ量が所定閾値を越えたか否かを判別するようにした光ディスク装置である。
【0032】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、対物レンズの光ディスクの半径方向の移動量を検出する移動量検出手段を設けてなり、移動量検出手段によって検出された対物レンズの光ディスクの半径方向の移動量に基づいて、収束光ビームの信号トラックに対するずれ量が所定閾値を越えたか否かを判別するようにした光ディスク装置である。
【0033】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、駆動電圧変更手段によるステッピングモータ駆動電圧の変更動作の回数及び回数に対応した所定時間が記憶されたテーブル記憶手段を設けてなる光ディスク装置である。
【0034】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、駆動電圧変更手段によるステッピングモータ駆動電圧の変更動作の回数を固定し、所定時間の内の初回の設定時間を設定し、前回の設定時間に増分を加えたものを新たな設定時間とすると共に、対物レンズのステッピングモータの1ステップ相当の移動が可能な所定時間と前回の所定時間との差を残りの送り回数で割った時間を、増分とする光ディスク装置である。
【0035】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、駆動電圧変更手段によるステッピングモータ駆動電圧の複数回の変更動作による対物レンズの移動量を測定する移動量測定手段を設け、移動量測定手段によって測定された対物レンズの移動量が、ステッピングモータの1ステップ相当の移動量以内のときは、駆動電圧変更手段によるステッピングモータ駆動電圧の変更動作を継続し、ステッピングモータの1ステップ相当の移動量を越えたときは、駆動電圧決定手段によるステッピングモータ駆動電圧の決定動作に移行するようにした光ディスク装置である。
【0036】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、駆動電圧変更手段によるステッピングモータ駆動電圧の複数回の変更動作による対物レンズの移動量を測定する移動量測定手段を設け、前回の設定時間に増分を加えたものを新たな設定時間とすると共に、対物レンズのステッピングモータの1ステップ相当の移動が可能な所定時間と前回の所定時間との差を残りの送り回数で割った時間を、移動量測定手段によって測定された対物レンズの移動量によって補正して、増分とするようにした光ディスク装置である。
【発明の効果】
【0037】
請求項1に記載の発明によれば、光ディスク上に記録された信号トラック上に、対物レンズを介して収束光ビームを照射する光ピックアップと、光ピックアップを光ディスクの半径方向に移動させるステッピングモータと、収束光ビームの信号トラックに対するずれ量を検出してトラッキング制御信号を出力すると共に、ステッピングモータを駆動することによって、トラック追従状態を保ったまま、収束光ビームを光ディスクの半径方向に移動させるように制御する制御手段と、制御手段よりのトラッキング制御信号に基づいて、対物レンズを光ディスクの半径方向に移動させるトラッキングアクチュエータとを有する光ディスク装置であって、収束光ビームの信号トラックに対するずれ量が所定閾値を越えたとき、所定閾値の極性に応じて、ステッピングモータの駆動電圧を現在の位置のステッピングモータ駆動電圧から、所定時間、次の正回転又は逆回転方向のステッピングモータ駆動電圧に変更した後、再び元のステッピングモータ駆動電圧に変更する駆動電圧変更手段と、所定閾値の極性に応じて、次の正回転又は逆回転方向のステッピングモータ駆動電圧を決定する駆動電圧決定手段とを設け、駆動電圧決定手段によるステッピングモータ駆動電圧の決定動作と決定動作との間に、駆動電圧変更手段によるステッピングモータ駆動電圧の変更動作を、対物レンズのレンズシフト量の許容値に応じた回数だけ行なうように、ステッピングモータ駆動電圧の決定動作及び変更動作を繰り返すと共に、回数に応じて所定時間を設定するようにしたので、負荷が大きい場合であっても、ピックアップを必要な精度でスレッド送りすることのできる光ディスク装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
〈第1の実施形態〉
図1は、本発明による光ディスク装置の第1の実施形態の要部を示すブロック図である。図1において、1は光ピックアップを全体として示す。205は、この光ピックアップ1のピックアップを示し、その具体的構造は、図4を参照して後述する。
【0039】
2は半導体レーザ光源を示し、このレーザ光源2よりの発散レーザ光は、ハーフミラー3に入射して、その光路が90度変更された後、対物レンズ4に入射して、光ディスクDの記録面に焦点を結ぶように収束され、その収束レーザ光は光ディスクの記録面上に照射される。
【0040】
光ディスクDの記録面より反射した発散レーザ光は、対物レンズ4に入射して収束され、その収束レーザ光はハーフミラー3を通過した後、光検出器7の受光面上に焦点を結ぶように入射し、これによって、光ディスクDの記録面に記録されている信号が読み取られる。
【0041】
光検出器7からフォーカスエラー検出信号及びトラッキングエラー検出信号が得られ、これらのエラー検出信号がコントロール部10に供給され、このコントロール部10によって作られたフォーカス制御信号及びトラッキング制御信号がそれぞれフォーカス制御用アクチュエータ5及びトラッキング制御用アクチュエータ6に供給されて、収束レーザ光が光ディスクDの記録面上に焦点を結び且つ記録面上の信号トラックを走査するように、対物レンズ4が二次元駆動制御される。
【0042】
対物レンズ4よりの収束レーザ光が光ディスクDの記録面上の信号トラックを追従しているときに、コントロール部10で発生するトラッキング制御信号が所定の閾値を越えると、コントロール部10より駆動パルスが発生し、この駆動パルスによってステッピングモータ9が駆動されて、ピックアップ205が光ディスクDの半径方向に移動され、これにより対物レンズ4よりの収束レーザ光の信号トラックに対する追従状態が常に保持される。
【0043】
次に、図1のコントロール部10の具体的構成例を示す図2のブロック図及び通常スレッド送り時のタイミングチャートを示す図3を参照して、図1のコントロール部10の構成及び動作を説明する。
【0044】
図1の光検出器7よりのフォーカスエラー検出信号及びトラッキングエラー検出信号が信号作成部101に供給されて、それぞれフォーカスセンター基準及びトラッキングセンター基準からのずれ量であるフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号が作成され、それぞれ各別の位相補償回路102F、102Tを通じて、フォーカスドライバー103F及びトラッキングドライバー103Tに供給されて、それぞれフォーカス制御信号及びトラッキング制御信号が得られる。これらフォーカス制御信号及びトラッキング制御信号は、図1のそれぞれフォーカス制御用アクチュエータ5及びトラッキング制御用アクチュエータ6に供給されることによって、収束レーザ光が光ディスクDの記録面上に焦点を結び且つ記録面上の信号トラックを走査するように、対物レンズ4にフィードバックが掛けられる。
【0045】
トラッキングドライバー103Tに対する入力信号が、ローパスフィルタ104に供給されて、その低域成分SEが抽出される。この低域成分SEは、A/D変換器105に供給されて、デジタル信号に変換されて、マイコン(マイクロコンピュータ)106に供給される。このデジタル信号も、ここでは、SEと表される。トラッキングドライバー入力信号の低域成分SEは、トラッキングの乗っている状態では、対物レンズ4のレンズセンターからのレンズシフト量に相当する鋸歯状波である。トラッキングの乗っている状態のトラックが光ディスクDの外周方向に移動するため、これに追従して対物レンズ4も光ディスクDの外周方向に移動し、レンズシフト量が大きくなり、低域成分SEのレベルも大きくなる。この低域成分のレベルが閾値VSTHを越えたとき、マイコン106はクロックパルスCP(図3(b))を発生し、このクロックパルスCPがステッピングモータ駆動回路107に供給されて、ステッピングモータ9が駆動される。これによって、ピックアップ205は光ディスクDの半径方向に移動され、対物レンズ4の位置はレンズセンターに近づき、トラッキングドライバー入力信号の低域成分SEのレベルは低下する。また、マイコン16からステッピングモータ駆動回路107に対し、ステッピングモータ9の回転方向を制御する回転方向制御信号up/down(図3(c))が供給される。
【0046】
ステッピングモータ9は、駆動電流Ia、Ibによって駆動される、互いに90度の角度位置関係を有する固定子コイル9a、9b及びこれら固定子コイル9a、9bへの通電によって回転する回転子9cを備えている。
【0047】
ステッピングモータ9の1ステップ当りのスレッド移動量は、例えば100μmである。また、レンズシフト量の許容値は、中心に対し±25μmの範囲である。閾値VSTHは、25μmに相当する電圧に設定されている。レンズシフト量の許容値に応じて決まる制限値、即ち、正逆駆動の回数は、例えば、4に設定されている。この値はレンズシフト量の許容値である50μmの1/2である25μmを1回の平均移動量として、100÷25=4に設定した。即ち、1回の移動量がばらついて、25μmの2倍の50μmになっても、レンズシフト量は中心に対して、±25μmの範囲に入るように設計される。
【0048】
図3の場合、同図(a)に示すように、ステッピングモータ9の4回の正逆駆動により、レンズシフトB1〜A1、B2〜A2、B3〜A3、B4〜A4が発生し、合計100μm相当の移動量となっている。
【0049】
次に、図4を参照して、図1の光ピックアップ1の機械的構成の例を説明する。図4(a)は,光ピックアップ1の斜視図、図4(b)はその一部の端面図である。202は、各種トラバース部品を支持する矩形のシャーシである。シャーシ202には、回転軸にターンテーブル204が圧入されたスピンドルモータ203が固定されている。スピンドルモータ203は、ターンテーブル204上に載置される光ディスクを回転させる。
【0050】
シャーシ202上には、一対のガイドシャフト206、206が、一対のガイドシャフト支持部材212,213を介して互いに平行に固定されている。この一対のガイドシャフト206、206によって、光ディスク(図1のD)に対し情報を再生又は記録再生するピックアップ205が、光ディスクの半径方向に移動可能に案内される。205a、205b及び205cは、ピックアップ205のそれぞれ軸受け部、覆い部及び軸受け部である。
【0051】
ピックアップ205に固定されたナット209(図4(b)参照)が、一対のガイドシャフト206、206の一方に平行に設けられたリードスクリュー207の螺旋溝207aに螺合せしめられている(図4(b)参照)。リードスクリュー207の一端はステッピングモータ208(図1のステッピングモータ9)の回転軸に直結され、他端はシャーシ202上に設けられた軸受け部202bに回転自在に支持されている。ステッピングモータ208は、シャーシ202の固定部202aに取り付けられている。
【0052】
次に、この図4の光ピックアップ1の動作を説明する。先ず、スピンドルモータ203を回転させることによって、ターンテーブル204上に載置された光ディスク(図示せず)を回転させる。続いて、ステッピングモータ208によって、リードスクリュー207を回転させる。これにより、リードスクリュー207の螺旋溝207aと螺合するナット209は、リードスクリュー207の軸方向に沿って送られる。これに伴って、ピックアップ205はナット209に固定され、且つ、ガイドシャフト206に摺動自在に案内されて、光ディスクの半径方向に送られる。これにより、光ピックアップ205を、回転する光ディスクの任意のトラックの近傍に移動させ、光ディスクの任意のトラック上の情報を読み出し,また、その任意のトラックに情報を書き込み、そして、それを読み出すことができる。
【0053】
次に、図5を参照して、図2のステッピングモータ駆動回路(1相駆動の例)107の具体回路例を説明する。301は、リングカウンタからなる制御回路で、図2のマイコン106からのクロックパルスCP及びステッピングモータ9の回転方向制御信号up/downを受けて、後述するスイッチングパルスp1〜p4を発生する。
【0054】
電源及び接地間にそれぞれ直列接続されたスイッチング素子SW1、SW2及びSW3,SW4の並列回路からなるスイッチ回路302a、302bが設けられる。スイッチ回路302aのスイッチング素子SW1、SW2の接続中点及びスイッチング素子SW3、SW4の接続中点間に、ステッピングモータ9の一方の固定子コイル9aの両端が接続される。同様に、スイッチ回路302bのスイッチング素子SW1、SW2の接続中点及びスイッチング素子SW3、SW4の接続中点間に、ステッピングモータ9の他方の固定子コイル9bの両端が接続される。Ia、Ibは、それぞれ固定子コイル9a、9bに流れる駆動電流を示す。
【0055】
そして、スイッチ回路302aのスイッチング素子SW2、SW3に、制御回路301からのスイッチングパルスp1が供給され、スイッチング素子SW1、SW4に、制御回路301からのスイッチングパルスp3が供給される。スイッチ回路302bのスイッチング素子SW2、SW3に、制御回路301からのスイッチングパルスp2が供給され、スイッチング素子SW1、SW4に、制御回路301からのスイッチングパルスp4が供給される。
【0056】
図6及び図7に、回転方向制御信号up/downがそれぞれHレベル及びLレベルの場合の、回転方向制御信号up/down、クロックパルスCP、スイッチングパルスp1〜p4及びステッピングモータ9の固定子コイル9a、9bにそれぞれ流れる駆動電流Ia、Ibのタイミングチャートを示す。
【0057】
図6、図7に示すように、リングカウンタ301にクロックパルスCPが供給される毎に、リングカウンタ301からスイッチングパルスp1〜p4が順次出力される。回転方向制御信号up/downがHレベルのときは、図6に示すように、スイッチングパルスp1、p2、p3、p4の順にHレベルが位相シフトして、図6(g)、(h)に示す波形の駆動電流Ia、Ibが固定子コイル9a、9bに流れる。
【0058】
回転方向制御信号up/downがLレベルのときは、図7に示すように、スイッチングパルスp1、p4、p3、p2の順にHレベルを位相シフトして、図7(g)、(h)に示す波形の駆動電流Ia、Ibが固定子コイル9a、9bに流れる。
【0059】
次に、図8について説明する。図8(a)〜(d)は、通常のステップ駆動の場合の各部の波形を示し、それぞれ図6(a)、(b)、(g)、(h)に対応する。S1の位相では、駆動電流IaがHレベルで、駆動電流Ibが0になって、回転子311の位置は図8(j)のθ0となり、次のS2の位相では、駆動電流Iaが0、駆動電流IbがHレベルになって、回転子311の位置は図8(j)のθ4になる。
【0060】
図8(e)〜(j)は、第1の実施形態の駆動方法の各部の波形及びステッピングモータの回転子の回転状態を示す。図8(e)、(f)は、A相及びB相の電機子コイルの駆動電流Ia、Ibをそれぞれ示し、図8(g)はステッピングモータの回転子311の正方向の駆動を示し、図8(h)は、リングカウンタ301に供給されるクロックパルスCPを示し、図8(i)は回転方向制御信号up/downを示し、図8(j)はステッピングモータの回転子311の回転状態を示す。
【0061】
図8(e)〜(j)の第1の実施形態の駆動方法の場合は、図8(a)〜(d)通常のステップ駆動の場合のS1位相の期間に、3回ステッピングモータの正逆回転駆動を行なう。回転位相θ0の状態から、回転方向制御信号up/downをHレベルの状態にして、ステッピングモータ駆動回路107にクロックパルスCPを供給して、B相の固定子巻線に正方向の駆動電流u1を流して回転子311を正方向に回転させ、所定時間T1印加後、回転方向制御信号up/downをLレベルの状態にして、B相の固定子巻線に逆方向の駆動電流d1を流して回転子311を逆方向に回転させる。この間、回転子311の回転位置は、θ0、θ1、θ0と変化する。
【0062】
回転位相θ0の状態から、回転方向制御信号up/downをHレベルの状態にして、ステッピングモータ駆動回路107にクロックパルスCPを供給して、B相の固定子巻線に正方向の駆動電流u2を流して回転子311を正方向に回転させ、T1より長い所定時間T2印加後、回転方向制御信号up/downをLレベルの状態にして、B相の固定子巻線に逆方向の駆動電流d2を流して回転子311を逆方向に回転させる。この間、回転子311の移動距離は長くなり、回転子311の回転位置はθ0、θ2、θ0と変化する。
【0063】
回転位相θ0の状態から、回転方向制御信号up/downをHレベルの状態にして、ステッピングモータ駆動回路107にクロックパルスCPを供給して、B相の固定子巻線に正方向の駆動電流u3を流して回転子311を正方向に回転させ、T2より長い所定時間T3印加後、回転方向制御信号up/downをLレベルの状態にして、B相の固定子巻線に逆方向の駆動電流d3を流して回転子311を逆方向に回転させる。この間、回転子311の移動距離は更に長くなり、回転子311の回転位置はθ0、θ3、θ0と変化する。
【0064】
回転位相θ0の状態から、回転方向制御信号up/downをHレベルの状態にして、ステッピングモータ駆動回路107にクロックパルスCPを供給して、B相の固定子巻線に正方向の駆動電流u4を流して回転子311を正方向に回転させる。この間、回転子311の移動距離は更に長くなり、回転子311の回転位置はθ0、θ4と変化する。この所定時間を更に増加させても、回転子311の移動距離はθ4よりは大きくはならない。
【0065】
次に、図9を参照して、スピンドルモータ203の回転に伴って、リードスクリュー207が回転し、その螺旋溝207aと螺合するナット209を移動させ、これによってナット209と一体になっているピックアップ205を移動させる動作を説明する。尚、ナット209と、リードスクリュー207の螺旋溝207aとの間には、バックラッシュがあることを想定している。
【0066】
ステッピングモータ203の回転子311の回転状態がθ0、θ1、θ0と変化するとき、リードスクリュー207が回転して、その螺旋溝207aの位置が、図9(a)のα0の位置から図9(b)のα1の位置に来て、その後、再び図9(a)のα0の位置に戻る。このとき、ナット209と一体になっているピックアップ205の軸受け部205a(図4参照)とガイドシャフト206(図4参照)との間に摩擦があるため、この摩擦力よりも大きな力のトルクをモータから発生させないと、ナット209を移動させることができない。モータの発生トルクを大きくして、ナット209を移動させた後、再び元の回転位相に戻しても、摩擦抵抗のため、ナット209の位置は保持される。従って、この場合、螺旋溝207aがα0の位置に戻った後も、ナット209は図9(b)のx1の位置に保持される。
【0067】
同様に、ステッピングモータ203の回転子311が回転状態がθ0、θ2、θ0と変化するとき、その螺旋溝207aの位置が、図9(a)のα0、図9(c)のα2、図9(a)のα0と移動し、ナット209の位置は、図9(c)のx2の位置に保持される。
【0068】
また、同様に、ステッピングモータ203の回転子311が回転状態がθ0、θ3、θ0と変化するとき、その螺旋溝207aの位置が、図9(a)のα0、図9(d)のα3、図9(a)のα0と移動し、ナット209の位置は、図9(d)のx3の位置に保持される。
【0069】
ステッピングモータ203の回転子311の回転状態がθ0、θ4と変化する通常のステップ移動を行なったときは、その螺旋溝207aの位置は、図9(a)のα0、図9(e)のα4と移動し、ナット209の位置は、図9(e)のx4の位置となる。
【0070】
以上は、リードスクリューのバックラッシュを使って説明したが、従来技術のように、ステッピングモータのヒステリシスがあった場合でも、静止負荷に打ち勝つトルクが発生するまでは、回転を始めないで、ステッピングモータの入力からみた効果は、バックラッシュと同じになる。
【0071】
次に、回転方向制御信号up/down及びクロックパルスCPを発生する図2のマイコン106のソフトウェア処理を図10のフローチャートを参照して説明する。この処理は、特定の周期、例えば、75μsecの周期で実行される。尚、図10及びその説明における、up/down及びcpは、それぞれ上述の図及び説明におけるup/down及びcpに対応する。
【0072】
ステップST1では、end_flag=1か否かを判別し、yesのときはステップST2に移行し、noのときはステップST3に移行する。ステップST2では、トラッキングドライバー入力信号の低域成分SEが+閾値(VSTH)を越えたか否かを判別し、その判別結果がyesのときはステップST4に移行して、ovf=1となる。ステップST2の判別結果がnoのときは、ステップST5に移行して、トラッキングドライバー入力信号の低域成分SEが−閾値(−1*VSTH)を越えたか否かを判別する。ステップST5の判別結果がyesのときは、ステップST6に移行して、ovf=2となる。ステップST4及び6の後は、ステップST8に移行して、end_flag=0となる。ステップST5の判別結果がnoのときは、ステップST7に移行して、odf=0となる。
【0073】
ステップST3では、ovf=1か否かを判別し、判別結果がyesのときはステップST11の処理に移行する。ステップST3の判別結果がnoのときは、ステップST9に移行して、ovf=2か否かを判別し、判別結果がyesのときはステップST10の処理に移行し、noのときはそのままとなる。
【0074】
このステップST10内の動作を説明する。順に、ステップST10の1の処理実行→ステップST10を抜けて次の処理サンプルで再びステップST10の処理に入る。ステップST10の2の処理実行後、ステップST10を抜けて次の処理サンプルで再びステップST10の処理に入る。ステップST10の3の処理実行といった順番の処理とする。
【0075】
ステップST10における各処理サンプルを説明する。処理サンプル1で、up/down=1を出力し、次の処理サンプル2で、cp=1を出力し、このとき、図8(f)で、u1の立ちあがり波形となり、次の処理サンプル3で、cp=0を出力し、次の処理サンプル4で、カウンタ301をカウントアップして制限値nになったら0にして、処理サンプル9へ、それ以外は、処理サンプル5へ行く処理に入る。次の処理サンプル5で、カウント値に応じて所定時間を設定して、所定時間待ちに入る。この部分の具体的な処理は、括弧内に記してあるが、先ず、処理サンプル4で、wait=0に設定して、処理サンプル5で、waitがカウント値と等しくなるまでこの処理が繰り返されることとなる。例えば、カウント値が1の場合は、処理サンプル5を1回通るだけであり、カウント値が2の場合は処理サンプル5を2回通る。処理サンプル5を1回通ると、75μsecの所定時間の待ちとなり、処理サンプル5を2回通ると、150μsecの所定時間待ちとなる。所定時間後、処理サンプル6へ入った場合は、up/down=0を出力し、次の処理サンプル7で、cp=1を出力し、このとき、図8(f)で、d1の立下り波形となり、次の処理サンプル8で、cp=0を出力し、次の処理サンプル9で、一定時間待ちし、次の処理サンプル10で、end_flag=1とし、次の処理サンプルでは、再びトラッキングドライバー入力信号の低域成分SEレベルが閾値を越えるかどうかを見ることとなる。
【0076】
上述の動作説明から分かる通り、この中の処理サンプル4の終了後のカウント値は、図8及び図9θ、u、d、T、αに付いている添え字の番号と一致する。制限値nは、4に設定してある。上述したのは、カウント値が1の場合の動作で、2、3の場合も同様である。
【0077】
次に、カウント値が4の場合の動作を説明する。カウント値が3の状態で、トラッキングドライバー入力信号の低域成分SEのレベルを検出した後、ステップST10の処理に入り、処理サンプル1、2、3、4の処理を順次終え、処理サンプル5の処理で、カウント値は4になり、これはnと等しいので、カウント値を0にして、処理サンプル9、10の処理を行なった後終了する。このため、駆動波形は、保持されることになる。
【0078】
トラッキングドライバー入力信号の低域成分SEのレベルが−閾値(−1*VSTH)を越えた場合は、ovf=2となり、次回の処理サンプルで、ステップST11の処理が実行されることとなる。ステップST11の処理は、ステップST10の処理に対して、移動の方向のみを変えればいいので、処理サンプル1と6におけるup/downの出力を1から0へと逆にしているだけで、処理サンプル2〜10については、ステップST10の処理と同様である。
【0079】
〈第2の実施形態〉
次に、第2の実施形態を説明する。図11は、第2の実施形態の場合のステッピングモータの駆動方法の説明のためのタイミングチャートである。第1の実施形態の場合は、ステッピングモータの駆動方法が、1相駆動の場合であったが、第2の実施形態の場合は、ステッピングモータの駆動方法が、2相駆動の場合である。ステッピングモータのA相及びB相の固定子巻線の駆動電流の波形が、マイクロステップ駆動の場合は、図11(a)に示すように、モータ角度をθとするとき、正弦波電流Im sinθ及び余弦波電流Im cosθであるのに対し、2相駆動の場合は、図11(b)、(c)に示すように、ステッピングモータのA相及びB相の固定子巻線の駆動電流Ia、Ibの波形が、90度位相を異にする矩形波である。2相駆動の場合は、図11(b)、(c)に示すように、A相及びB相の固定子巻線の両方に同時に矩形波を流すので、発生トルクが大きく、大きな負荷を駆動することができる。2相駆動の場合のトルクは、マイクロステップ駆動のトルクの2倍になる。
【0080】
図12に、2相駆動の場合のステッピングモータ駆動回路の具体回路例を示すが、これは図5に示した1相駆動の場合の具体回路例と同じなので、重複説明を省略する。
【0081】
図13及び図14に、回転方向制御信号up/downがそれぞれHレベル及びLレベルの場合の、回転方向制御信号up/down、クロックパルスCP、スイッチングパルスp1〜p4及びステッピングモータ9の固定子コイル9a、9bにそれぞれ流れる駆動電流Ia、Ibのタイミングチャートを示す。
【0082】
図13、14に示すように、リングカウンタ301にクロックパルスCPが供給される毎に、リングカウンタ301からスイッチングパルスp1〜p4が順次出力される。
【0083】
回転方向制御信号up/downがHレベルのときは、図13に示すように、スイッチングパルスp1、p2、p3、p4の順にHレベルが90度ずつ位相シフトして、図13(g)、(h)に示すように、90度位相を異にする駆動電流が固定子コイル9a、9bに流れる。
【0084】
回転方向制御信号up/downがLレベルのときは、図14に示すように、スイッチングパルスp1、p4、p3、p2の順にHレベルが90度ずつ位相シフトして、図14(g)、(h)に示すように、270度位相を異にする駆動電流が固定子コイル9a、9bに流れる。
【0085】
次に、図15について説明する。図15(a)〜(d)は、通常のステップ駆動の場合の各部の各部の波形を示し、それぞれ図13(a)、(b)、(g)、(h)に対応する。S1の位相では、駆動電流Ia及びIbが共に+Imになって、回転子311の位置は図15(j)のθ0となり、次のS2の位相では、駆動電流Iaが−Im、駆動電流Ibが+Imになり、回転子311の位置は図15(j)のθ4になる。
【0086】
図15(e)〜(j)は、第2の実施形態の駆動方法の各部の波形及びステッピングモータの回転子311の回転状態を示す。図15(e)、(f)は、A相及びB相の電機子コイルの駆動電流Ia、Ibをそれぞれ示し、図15(g)はステッピングモータの回転子の正方向の駆動を示し、図15(h)は、リングカウンタ301に供給されるクロックパルスCPを示し、図15(i)は回転方向制御信号up/downを示し、図15(j)はステッピングモータの回転子311の回転状態を示す。
【0087】
図15(e)〜(j)の第2の実施形態の駆動方法の場合は、図15(a)〜(d)の通常のステップ駆動の場合のS1位相の期間に、3回ステッピングモータの正逆回転駆動を行なう。回転位相θ0の状態から、ステッピングモータ駆動回路107にクロックパルスCPを供給して、A相の固定子巻線に負方向の駆動電流u1を流して回転子311を正方向に回転させ、所定時間T1印加後、ステッピングモータ駆動回路107にクロックパルスCPを供給して、A相の固定子巻線に正方向の駆動電流d1を流して回転子311を逆方向に回転させる。この間、回転子311の回転位置は、θ0、θ1、θ0と変化する。
【0088】
回転位相θ0の状態から、ステッピングモータ駆動回路107にクロックパルスCPを供給して、A相の固定子巻線に負方向の駆動電流u2を流して回転子311を正方向に回転させ、T1より長い所定時間T2印加後、A相の固定子巻線に正方向の駆動電流d2を流して回転子311を逆方向に回転させる。この間、回転子311の移動距離は長くなり、回転子311の回転位置はθ0、θ2、θ0と変化する。
【0089】
回転位相θ0の状態から、ステッピングモータ駆動回路107にクロックパルスCPを供給して、A相の固定子巻線に負方向の駆動電流u3を流して回転子311を正方向に回転させ、T2より長い所定時間T3印加後、A相の固定子巻線に正方向の駆動電流d3を流して回転子311を逆方向に回転させる。この間、回転子311の移動距離は更に長くなり、回転子311の回転位置はθ0、θ3、θ0と変化する。
【0090】
回転位相θ0の状態から、ステッピングモータ駆動回路107にクロックパルスCPを供給して、A相の固定子巻線に負方向の駆動電流u4を流して回転子311を正方向に回転させる。回転子311の移動距離は更に長くなり、回転子311の回転位置はθ0、θ4と変化する。この所定時間を更に増加させても、回転子311の移動距離はθ4よりは大きくはならない。
【0091】
〈第3の実施形態〉
次に、図16を参照して、第3の実施形態を説明する。第1の実施形態の場合は、所定時間が、カウント値が1のとき75μsecで、カウント値が2のとき150μsec、カウント値が3のとき225μsecとカウント値に比例して設定されるのに対し、第3の実施形態の場合は、所定時間を、RОMテーブルを用いて、任意に(75μsecの倍数である)設定するようにしている点が異なる。
【0092】
第3の実施形態におけるマイコンのソフトウェア処理のフローチャートは、第1の実施形態における図10のフローチャートの一部を変更したものとなる。即ち、図10のステップST10及びステップST11における処理サンプル5の括弧の中を、図16のステップST20,ST21に示すように変更している。その他は図10のフローチャートと同じである。
【0093】
図16のステップST20,ST21の処理を以下に再掲する。
【0094】
(wait=wait+1とし、waitがRОMTable(カウント値)と等しくなったら、6へ)
ここで、
RОMTabLe(1)=1
RОMTabLe(2)=2
RОMTabLe(3)=3
とテーブルが設定されているものとする。
【0095】
〈第4の実施形態〉
次に、図17及び図18を参照して、第4の実施形態を説明する。図17(a)、(b)は、それぞれ第1の実施形態(マイコン処理のサンプリング時間が75μsec)及び第4の実施形態(マイコン処理のサンプリング時間が10μsec)の場合のカウント値並びに所定時間及びサンプル数の関係を示すグラフである。
【0096】
第1の実施形態の場合は、図17(a)に示すように、マイコンのソフト処理のサンプリング時間が75μsecのとき、カウント値が1のとき所定時間が75μsec、カウント値が2のとき所定時間が150μsec、カウント値が3のとき所定時間が225μsecのように、所定時間がカウント値に比例して設定される。
【0097】
これに対し、第4の実施形態では、図17(b)に示すように、マイコンのソフトウェア処理のサンプリング時間を10μsecにして、初期値(カウント値が1のときの所定時間)と最終値(カウント値が制限値のときの所定時間)を与えて、その間は比例関係で設定する。第4の実施形態におけるマイコンのソフトウェア処理のフローチャートは、図18に示すように、第1の実施形態における図10のフローチャートの一部を変更したものとなる。即ち、図10のステップST10及びステップST11における処理サンプル5の括弧の中を、図18のステップST30,ST31に示すように変更している。その他は図10のフローチャートと同じである。
【0098】
図18のステップST30,ST31の処理を以下に再掲する。
【0099】
(an=20、a1=11、n=4
t=a1+(an−a1)*(カウント値−1)/(n−1)
wait=wait+1とし、
waitがt以上となったら、6へ)
これによれば、カウント値が1のときt=11、カウント値が2のときt=14、カウント値が3のときt=17となり、それぞれの所定時間は110μsec、140μsec、170μsecとなる。
【0100】
今、静止負荷に打ち勝って動き出すことのできるパルス幅が、90μsec(これを図17(a)、(b)に直線bで表す)で、想定される最大の負荷であっても、1ステップに相当する距離だけ移動できるパルス幅が、200μsec(これを図17(a)、(b)に直線rで表す)だとすると、第1の実施形態の場合は、図17(a)に示すように、カウント値が1のときのパルス幅では、静止負荷に打ち勝って動き出すことができず、また、カウント値が3のときのパルス幅では、1ステップに相当する距離だけ移動してしまうので、カウント値が2のときだけが、1ステップに相当する距離より短い距離の移動ができることになる。
【0101】
一方、第4の実施形態の場合では、図17(b)に示すように、カウント値1、2、3に相当するパルス幅(所定時間)は、90μsecと200μsecの間にあるので、3回とも1ステップに相当する距離以内の移動ができ、第1の実施形態と比較して、細かい精度での移動が実現できることになる。従って、第4の実施形態の方法では、静止負荷に打ち勝って動き出すことのできるパルス幅より少し大きい値が所定時間となるようなa1を与え、想定される最大の負荷であっても、1ステップに相当する距離だけ移動できるパルス幅が所定時間となるような、anを与えることで、移動の精度を高めることができる。
【0102】
〈第5の実施形態〉
次に、第5の実施形態を説明する。図19は、第5の実施形態の場合のカウント値並びに所定時間及びサンプル数の関係を示すグラフである。第5の実施形態は、図19に示すように、第1の実施形態と同様に、マイコンのソフトウェアの処理のサンプリング時間が75μsecで、所定時間が、カウント値が1のとき75μsec、カウント値が2のとき150μsec、カウント値が3のとき225μsecと、カウント値に比例して設定されている。
【0103】
今、静止負荷に打ち勝って動き出すことのできるパルス幅が、50μsec(これを図19に直線bで表す)で、負荷が小さい場合、1ステップに相当する距離だけ移動できるパルス幅も小さくて済み、例えば、120μsec(これを図19に直線r1で示す)となり、また、負荷が大きい場合、1ステップに相当する距離だけ移動できるパルス幅も大きくなり、例えば、260μsec(これを図19に、直線r2で示す)となる。負荷が大きい場合、1発毎の送る距離は小さくなり、カウント値4まで行って、1ステップ分の距離を移動することとなるが、負荷が小さい場合は、1発の送る距離は大きくなるので、カウント値2で、1ステップ分の距離を移動してしまう。この場合、残りの2発は、加えても移動距離は変わることはないので、意味のないパルスとなる。第5の実施形態では、1ステップに相当する移動量になったら、手段2の出力を0にリセットし、次のステップ駆動電圧にして、余分なパルスを発生させないようにしている。
【0104】
ここで、1ステップの移動量になったかどうかは、各1発毎の送りの前と後のレンズシフト量の差を、積算することにより測定すれば良い。トラッキングドライバー入力信号の低域成分SEは、トラッキングが乗っているとき、レンズシフト量に比例しているので(トラッキングアクチュエータ入力電圧と、レンズ移動量は比例関係にある)、この信号を使う。
【0105】
図20は、第5の実施形態の場合の通常スレッド送り時の負荷が大きい場合及び小さい場合のトラッキングドライバー入力信号の低域成分SEのレベルの変化(同図(a)、(d))を、クロックパルス(同図(b)、(e))及び回転方向制御信号up/down(同図(c)、(f))と共に示したタイミングチャートである。図20(a)、(b)、(c)に示すように、負荷が大きい場合は、各1発毎の送りの前と後のレンズシフト量の差の積算値は、
積算値=(e1−f1)+(e2−f2)+(e3−f3)+(e4−f4)
となる。
【0106】
図20(d)、(e)、(f)に示すように、負荷が小さい場合は、各1発毎の送りの前と後のレンズシフト量の差の積算値は、
積算値=(g1−h1)+(g2−h2)+(g3−h3)+(g4−h4)
となるが、(g1−h1)+(g2−h2)で1ステップに相当する移動量になるので、(g3−h3)=(g4−h4)=0となっている。
【0107】
第5の実施形態におけるマイコンのソフトウェア処理のフローチャートを、図21に示し、第1の実施形態における図10のフローチャートの一部、即ち、ステップST10のサンプリング処理を、図21のステップST40に示すサンプリング処理に変更する。
【0108】
図21のステップST40において、1ステップの移動量に相当する値をSPとする。第5の実施形態では、サンプル処理1で、正回転方向に駆動する前に、トラッキングドライバー入力信号の低域成分SEをメモリmem1で保持して、サンプル処理6、7、8で、逆回転方向に駆動して、一定時間後(サンプル処理9の後)、サンプル処理10で、トラッキングドライバー入力信号の低域成分SEのレベルをメモリmem2で保持し、その両メモリの記憶内容の差mem1−mem2を積算して、メモリmemに代入している。
【0109】
第5の実施形態のサンプル処理4では、メモリmemの記憶内容memがmem>SPとなったとき、n=0、mem1=mem2=mem=0で、サンプル処理11へ移行することで、正回転駆動だけを行ない、逆回転駆動を行わないことで、次の回転位相のステップ駆動電圧にしている。それ以外の場合、「カウンタアップし、nになったら、0にして、サンプル処理9へ移行し、それ以外はサンプル処理5へ移行する。(wait=0)」
サンプル処理10では、
mem2=SE
mem=mem+(mem1−mem2)
とする。
【0110】
サンプル処理11では、
end_flag=1
とする。
【0111】
〈第6の実施形態〉
次に、図22及び23を参照して、第6の実施形態の場合の光ピックアップの構成を説明する。第1の実施形態では、レンズシフト量を表す信号として、トラッキングドライバー入力信号の低域成分SEを用いたが、第6の実施形態では、図22に示すように、光ピックアップ1内にレンズ位置検出器8を設けて、その検出出力を用いる。図23に、光ピックアップ1が可動台上に取り付けられた状態の一部の構成を示す。
【0112】
図23について説明する。4aは、対物レンズ4のレンズ筒を示す。このレンズ筒4aは、板ばね106を介して、可動台103上に取り付けられている。この可動台103は、対物レンズ4を光ディスクの半径方向にスレッディング移動させるように、ステッピングモータ9によって移動される。
【0113】
116は光出射手段、117は光検出手段で、共に柱104を介して、可動台103上に取り付けられている。光出射手段116は、対物レンズ4のレンズ筒4aの外周面に向けて、光ディスクDの面に平行で、且つ、その半径方向に略一定の光量の光を出射して、そのレンズ筒4aの外周面に照射し、その反射光を光検出手段117によって検出することによって、対物レンズ4のシフト量を検出するようにしている。
【0114】
図24に、対物レンズ4の相対位置と、光検出手段117の受光光量の関係を示し、対物レンズ4が光検出手段117に接近する程、光検出手段117の受光光量が増加し、対物レンズ4が光検出手段117から遠ざかる程、光検出手段117の受光光量が減少する。これによって、対物レンズ4のレンズ筒4aからの反射光を、光検出手段117が受光する光量によって観察することによって、対物レンズ4と可動台103の光ディスクDの半径方向の相対位置を検出することができる。尚、図24では、レンズセンター位置に対応するセンター受光量を示している。
【0115】
これによって、レンズシフト量を表す光検出手段117の検出出力を、上述のトラッキングドライバー入力信号の低域成分SEの代わりに用いることができる。レンズ位置検出器8における光検出手段117の検出出力を、A/D変換回路11に供給してデジタル信号に変換した後、コントロール部10に供給する。
【0116】
〈第7の実施形態〉
次に、第7の実施形態を説明する。第7の実施形態は、第4の実施形態を改良したものである。第7の実施形態は、ピックアップの移動量を測定する手段として、所定時間の駆動電圧を加える前の「トラッキング制御信号、又は、移動量検出手段出力」と駆動電圧を加えた後の「トラッキング制御信号、又は、移動量検出手段出力」の差を測定し、これが実行される毎に積算する手段を有しており、この出力を用いて、1回毎の移動量が均一となるように、所定時間に補正を加える点が、第4の実施形態と異なる点である。
【0117】
図25は、マイコンのソフトウェアの処理内容を示し、図10のフローチャートのステップST10内のサンプル処理を書き換えたもので、その他は図10と同様である。図25のフローチャートを説明する。最初の正逆の駆動時は、正回転駆動後、kc=1で、サンプル処理5で、k=0のときで、所定時間akは、決められた値a1となる。この時間だけ時間待ちをして、逆回転駆動する。この回のレンズ移動量 mem3と、レンズ移動量の積算値memに値が入る。
【0118】
2回目の正逆駆動では、kc=2で、k=1、x=(mem/1)*(4−1)/(STEP−mem)を計算する。ここでは、実際の移動量の1回当りの平均値を、残りの移動量の1回当りの移動量の平均値で割った値を計算している。初回の駆動での移動量が、STEP/4ならば、mem/1=mem=STEPで、x=1となる。即ち、実際の移動量が、1回毎に平均化した移動量と等しければ、x=1となる。初回の移動量がSTEP/4より大きいならば、xは1より大きくなり、STEP/4より小さいならば、xは1より小さくなる。2回目の所定時間a2は、(an−a1)/3*(1/x)+a1、また、akb=a2とする。この2回目の所定時間a2は、前回1回目の所定時間に、残りの所定時間を残りの回数で割った増分を加えたものにするが、この増分には、xの逆数で重み付けをしている。即ち、これまでの移動量の1回当りの平均が、残りの移動量の1回当りの平均よりも小さい場合、xは1より小さくなり、今回は、この増分を(1/x)倍することで、大きな値にして、前回の値a1に加える。また、これまでの移動量の1回当りの平均が、残りの移動量の1回当りの平均よりも大きい場合、xは1より大きくなり、今回は、この増分を(1/x)倍することで、小さい値にして、前回の値a1に加える。こうすることで、これまでの移動量の過不足を補うように、所定時間を設定している。また、xは、0.5〜2までの範囲に制限することで、急激な変化が起きないようにしている。所定時間の時間待ち後、逆回転駆動させる。サンプル処理10では、2回目の正回転駆動の前に保持した移動量のmem1と逆回転後、一定時間待ち後の移動量mem2との差をmem3として新たに保持し、積算値memも更新する。
【0119】
3回目の正逆駆動も、2回目と同様の処理となる。kc=3で、k=2、x=(mem/2)*(4−2)/(STEP−mem)を計算する。また、3回目の所定時間a3は(an−a2)/2*(1/x)+a2となる。この動作を図26のグラフに示す。図26は、カウント値kc(横軸)対する所定時間ak(縦軸)の関係を示している。横軸のkは、k=kc−1である。
【0120】
4回目は、サンプル処理4で、kc=0、mem1=mem2=mem3=mem=0にして、サンプル処理11へ行き、通常の正方向のステップ駆動で終了する。
【0121】
次に、第7の実施形態の第4の実施形態との違いについて述べる。第4の実施形態の場合は、所定時間は前回の所定時間に、残りの所定時間を残りの回数で割った増分を加えたものにしているが、これによって、各送り回数毎の移動量が同一になるとは限らない。
【0122】
図27は、第7の実施形態の第4の実施形態との動作の違いを示すグラフである。図27において、(a)は、送り回数に対する移動量の関係を示す。(b)は、送り回数に対する所定時間の関係を示す。(c)は、送り回数に対するL0の各回の移動量の増分の関係を示す。(d)は、送り回数に対するL1の各回の移動量の増分の関係を示す。(e)は、送り回数に対するL2の各回の移動量の増分の関係を示す。
【0123】
図27(b)の直線X0に示す所定時間を与えたとしても、移動量が図27(a)のL0のような直線特性になるとは限らず、L1、L2になる場合もある。それぞれに対応した、各回の移動量の増分を図27(c)、(d)、(e)に示す。2回目の所定時間の設定値は、第4の実施形態の場合が点Y0になるのに対して、第7の実施形態の場合は、移動結果が、L1の場合は、1回目の移動量が小さいので、xは1より小さくなり、所定時間の増分が増えるように補正され、Y1に、移動結果が、L2の場合は、1回目の移動量が大きいので、xは1より大きくなり、所定時間の増分が減るように補正され、Y2になり、その結果、図27(a)の2回目のL1、L2の値は、矢印の方向へ行き、L0に近づき、移動量の直線性が速く改善されることが分かる。
【0124】
〈第8の実施形態〉
次に、第8の実施形態を説明する。第8の実施形態は、第7の実施形態を改良したものである。図28は、マイコンのソフトウェア処理のフローチャートを示す。第7の実施形態の図25のステップST50のサンプル処理に、ステップST51,ST52のサンプル処理を追加したものである。
【0125】
第7の実施形態では、初回の所定時間a1と1ステップ相当の移動ができる所定時間anを固定値にしていたが、第8の実施形態では、この値を、正逆駆動処理での複数回での移動量を測定する手段の出力に応じて設定している点が異なる。
【0126】
追加されたステップST51のサンプル処理について説明する。第5の実施形態の記載で述べた通り、a1は、静止負荷に打ち勝って動き出すことのできるパルス幅より少し大きい値に、anは、1ステップに相当する距離だけ移動できるパルス幅より少し大きい値に設定することが望ましい。
【0127】
第8の実施形態の場合、1回目の駆動での移動量が、STEP/nに近くなるように、a1を設定し、n回目のパルス幅(所定時間)での駆動は行なわないので、n−1回の送り後の移動量が、STEP−STEP/nに近くなるように、anを設定する。
【0128】
追加されたステップST52のサンプル処理について説明する。
【0129】
1回目の送り終了後、サンプル処理5で、k=1のとき、移動量mem3を保持してmem_dとし、また、n−1回目の送り終了後サンプル処理5で、k=3のとき、移動量memを保持して、mem_1とする。上記mem_d、mem_tを得た後、kc=0で、下記の処理を行なう。
【0130】
この値mem_dがSTEP/nより大きいならば、a1を小さくする。この値がSTEP/nより小さいならば、a1を大きくする。
【0131】
この値mem_tがSTEP−STEP/nより大きいならば、anの値を小さくする。この値がSTEP−STEP/nより小さいならば、anの値を大きくする。
【0132】
この結果、初回の移動量は、STEP/nに近づき、n−1回の移動量は、STEP-STEP/nに近づくように、a1、anが決まることになる。
【0133】
ここでは、1ステップ分の移動(kc=1〜4)毎にmem_d、mem_tが決まり、それに応じて、a1、anが決まるが、数ステップ分の移動を行ない、そのmem_d、mem_tの平均値から、a1、anを決めても良い。
【0134】
〈第9の実施形態〉
次に、第9の実施形態を説明する。第9の実施形態は、第3の実施形態を改良したものである。第3の実施形態では、所定時間カウント値毎のテーブルを参照して固定値を与えていたが、第9の実施形態では、これらの値を、正逆駆動処理での複数回での移動量を測定する手段(新たに追加)の出力に応じて設定している点が異なる。
【0135】
図29は、マイコンのソフトウェア処理のフローチャートを示す。第9の実施形態では、第3の実施形態のステップST10をステップST60に代えて、さらに、ステップST60にステップST61,ST62のサンプル処理を追加したものである。
【0136】
図29のフローチャートを参照して説明する。kc=1、2、3の送り終了後、サンプル処理5で、k=0、1、2のとき、移動量memを保持し、T_mem(k)とする。上記T_mem(k)k=0、1、2を得た後、kc=0で、下記の処理を行なう。
【0137】
この値T_mem(kx)がSTEP*(kx+1)/nより小さいならば、RОMTable(kx)を大きくする。こうして、各回(kx=0,1,2)の所定時間RОMTable(kx)が、移動量T_mem(kx)=STEP*(kx+1)/nの直線に近づくように設定される。
【0138】
ここでは、1ステップ分の移動(kc=1〜4)毎にT_mem(kx)が決まり、それに応じて,RОMTabLe(kx)を決めているが、数ステップ分の移動を行ない、そのT_mem(kx)の平均値から,RОMTabLe(kx)を決めても良い。
【0139】
ところで,使用するディスクメディア、又は、ピックアップの性能に応じて,レンズシフト量の許容値は変わるので、それに対応して、スレッド送りの精度を変えられるのが望ましい。
【0140】
この場合、マイクロステップ駆動では、1ステップ当りの分割数を変えるのと同時に、それに対応して、駆動電圧テーブルも変更する必要があり、変更は容易ではない。
【0141】
一方、本発明の光ディスク装置の第4、第7、第8の各実施形態では、制限値n=4として書いたが、nを変更(第4及び第7の実施形態では2以上、第8の実施形態では3以上)しても問題はない。この場合、許容レンズシフト量に応じて、閾値を変え、それに応じて、正逆駆動の回数nを変えることで、使用するディスクメディア、又は、ピックアップの性能に応じたスレッド送りが実現できる。
【0142】
以下に、実施の形態としての第1〜第11の光ディスク装置について説明する。
【0143】
第1の光ディスク装置は、光ディスク上に記録された信号トラック上に、対物レンズを介して収束光ビームを照射する光ピックアップと、光ピックアップを光ディスクの半径方向に移動させるステッピングモータと、収束光ビームの信号トラックに対するずれ量を検出してトラッキング制御信号を出力すると共に、ステッピングモータを駆動することによって、トラック追従状態を保ったまま、光ピックアップを光ディスクの半径方向に移動させるように制御する制御手段と、制御手段よりのトラッキング制御信号に基づいて、対物レンズを信号トラックの幅方向に移動させるトラッキングアクチュエータとを有する光ディスク装置であって、収束光ビームの信号トラックに対するずれ量が所定閾値を越えたとき、そのずれ方向が正方向か負方向かに応じて、ステッピングモータの駆動電圧を現在の位置のステッピングモータ駆動電圧から、所定時間、次の正回転又は逆回転方向のステッピングモータ駆動電圧に変更した後、所定時間前のステッピングモータ駆動電圧に復帰させる駆動電圧変更手段と、所定閾値を越えたときのずれ方向が正方向か負方向かに応じて、
次の正回転又は逆回転方向のステッピングモータ駆動電圧を決定する駆動電圧決定手段とを設け、駆動電圧決定手段によるステッピングモータ駆動電圧の決定動作と決定動作との間に、駆動電圧変更手段によるステッピングモータ駆動電圧の変更動作を、対物レンズのレンズシフト量の許容値に応じた回数だけ行なうように、ステッピングモータ駆動電圧の決定動作及び変更動作を繰り返すと共に、回数に応じて所定時間を設定するようにした光ディスク装置である。
【0144】
第2の光ディスク装置は、第1の光ディスク装置において、制御手段によって検出された収束光ビームの信号トラックに対するずれ量に基づいて、ずれ量が所定閾値を越えたか否かを判別するようにした光ディスク装置である。
【0145】
第3の光ディスク装置は、第1の光ディスク装置において、対物レンズの光ディスクの半径方向の移動量を検出する移動量検出手段を設けてなり、移動量検出手段によって検出された対物レンズの光ディスクの半径方向の移動量に基づいて、収束光ビームの信号トラックに対するずれ量が所定閾値を越えたか否かを判別するようにした光ディスク装置である。
【0146】
第4の光ディスク装置は、第1の光ディスク装置において、駆動電圧変更手段によるステッピングモータ駆動電圧の変更動作の回数及び回数に対応した所定時間が記憶されたテーブル記憶手段を設けてなる光ディスク装置である。
【0147】
第5の光ディスク装置は、第1の光ディスク装置において、駆動電圧変更手段によるステッピングモータ駆動電圧の変更動作の回数を固定し、所定時間の内の初回の設定時間を設定し、前回の設定時間に増分を加えたものを新たな設定時間とすると共に、対物レンズのステッピングモータの1ステップ相当の移動が可能な所定時間と前回の所定時間との差を残りの送り回数で割った時間を、増分とする光ディスク装置である。
【0148】
第6の光ディスク装置は、第1の光ディスク装置において、駆動電圧変更手段によるステッピングモータ駆動電圧の複数回の変更動作による対物レンズの移動量を測定する移動量測定手段を設け、移動量測定手段によって測定された対物レンズの移動量が、ステッピングモータの1ステップ相当の移動量以内のときは、駆動電圧変更手段によるステッピングモータ駆動電圧の変更動作を継続し、ステッピングモータの1ステップ相当の移動量を越えたときは、駆動電圧決定手段によるステッピングモータ駆動電圧の決定動作に移行するようにした光ディスク装置である。
【0149】
第7の光ディスク装置は、第1の光ディスク装置において、駆動電圧変更手段によるステッピングモータ駆動電圧の複数回の変更動作による対物レンズの移動量を測定する移動量測定手段を設け、前回の設定時間に増分を加えたものを新たな設定時間とすると共に、対物レンズのステッピングモータの1ステップ相当の移動が可能な所定時間と前回の所定時間との差を残りの送り回数で割った時間を、移動量測定手段によって測定された対物レンズの移動量によって補正して、増分とするようにした光ディスク装置である。
【0150】
第8の光ディスク装置は、第5の光ディスク装置において、駆動電圧変更手段による複数回の移動量を測定する測定手段を設け、測定手段の測定出力に応じて、初回の所定時間及び1ステップ相当の移動ができる所定時間を設定する設定手段を設けてなる光ディスク装置である。
【0151】
第9の光ディスク装置は、第7の光ディスク装置において、駆動電圧変更手段による複数回の移動量を測定する測定手段の測定出力に応じて、初回の所定時間及び1ステップ相当の移動ができる所定時間を設定する設定手段を設けてなる光ディスク装置である。
【0152】
第10の光ディスク装置は、第4の光ディスク装置において、駆動電圧変更手段による複数回の移動量を測定する測定手段を設け、測定手段の測定出力に応じて、所定時間を設定する設定手段を設けてなる光ディスク装置である。
【0153】
第11の光ディスク装置は、第6、第7、第8、第9又は第10の光ディスク装置において、駆動電圧変更手段による複数回の移動量を測定する測定手段として、所定時間の駆動電圧を加える前のトラッキング制御信号又は移動量検出手段の出力と、駆動電圧を加えた後の所定時間の駆動電圧を加える前のトラッキング制御信号又は移動量検出手段の出力との差を測定し、これが実行される毎に、積算する積算手段を設けてなる光ディスク装置である。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】本発明による光ディスク装置の第1の実施形態における光ピックアップの要部を示すブロック図。
【図2】図1のコントロール部の具体構成の一例を示すブロック図。
【図3】第1の実施形態の場合の通常スレッド送り時のトラッキングドライバー入力信号の低域成分SEのレベルの変化を、クロックパルスCP及び回転方向制御信号up/downと共に示したタイミングチャート。
【図4】図1の光ピックアップの機械的構成を示す図で、(a)は,光ピックアッ1の斜視図、(b)はその一部の端面図。
【図5】図2のステッピングモータ駆動回路(1相駆動の例)の具体例を示す回路図。
【図6】図5のステッピングモータ駆動回路の動作説明のためのタイミングチャート(回転方向制御信号up/downがHレベルの場合)。
【図7】図5のステッピングモータ駆動回路の動作説明のためのタイミングチャート(回転方向制御信号up/downがLレベルの場合)。
【図8】通常のステップ駆動各部の各部の波形を示すタイミングチャート並びに第1の実施形態の駆動方法の各部の波形を示すタイミングチャート及びステッピングモータの回転子の回転状態を示す図。
【図9】ステッピングモータ208の回転に伴って、リードスクリュー207が回転し、その螺旋溝207aと螺合するナット209を移動させ、これによってナット209と一体になっているピックアップ205を移動させる動作の説明のためのリードスクリュー及びナット間の位置関係の変化を示す断面図。
【図10】マイコン106のソフトウェア処理の説明に供するフローチャート。
【図11】第2の実施形態のステッピングモータの駆動方法の説明のためのタイミングチャート。
【図12】第2の実施形態のステッピングモータ駆動回路(2相駆動の例)の具体回路例を示す回路図。
【図13】図12のステッピングモータ駆動回路の動作説明のためのタイミングチャート(回転方向制御信号up/downがHレベルの場合)。
【図14】図12のステッピングモータ駆動回路の動作説明のためのタイミングチャート(回転方向制御信号up/downがLレベルの場合)。
【図15】通常のステップ駆動各部の各部の波形を示すタイミングチャート並びに第2の実施形態の駆動方法の各部の波形を示すタイミングチャート及びステッピングモータの回転子の回転状態を示す図。
【図16】第3の実施形態におけるマイコンの処理ソフトのフローチャートの一部を示す。
【図17】第1の実施形態及び第2の実施形態の場合のカウント値並びに所定時間及びサンプル数の関係を示すグラフ。
【図18】第4の実施形態におけるマイコンの処理ソフトのフローチャートの一部を示す。
【図19】第5の実施形態の場合のカウント値並びに所定時間及びサンプル数の関係を示すグラフ。
【図20】第5の実施形態の場合の通常スレッド送り時の負荷が大きい場合及び小さい場合のトラッキングドライバー入力信号の低域成分SEのレベルの変化をクロックパルスCP及び回転方向制御信号up/downと共に示したタイミングチャート。
【図21】第5の実施形態におけるマイコンの処理ソフトのフローチャートの一部を示す。
【図22】第6の実施形態における光ピックアップの要部を示すブロック図。
【図23】図23の光ピックアップの一部の詳細構成を示す略線図。
【図24】図23における対物レンズの相対位置と光検出手段の受光量の関係を示すグラフ。
【図25】第7の実施形態におけるマイコンの処理ソフトのフローチャートの一部を示す。
【図26】第7の実施形態の動作説明に供するカウント値及び所定時間の関係を示すグラフ。
【図27】第7の実施形態と第4の実施形態との違いを示すグラフを示し、(a)は、送り回数に対する移動量の関係を示し、(b)は、送り回数に対する所定時間の関係を示し、(c)は、送り回数に対するL0の各回の移動量の増分の関係を示し、(d)は、送り回数に対するL1の各回の移動量の増分の関係を示し、(e)は、送り回数に対するL2の各回の移動量の増分の関係を示す。
【図28】第8の実施形態のマイコンのソフトウェアのフローチャートの一部を示す。
【図29】第9の実施形態のマイコンのソフトウェアのフローチャートの一部を示す。
【図30】ステッピングモータの基本構造を示す図。
【図31】1相励磁駆動時のステッピングモータの電流の変化及びそれに対応した回転子の回転状態を示す。
【図32】2相励磁駆動時のステッピングモータの電流の変化及びそれに対応した回転子の回転状態並びにステッピングモータの基本構造を示す。
【図33】16分割マイクロステップ駆動時の入力パルス及びその入力パルスに基づいて形成されたステッピングモータの電流変化を示す図。
【図34】従来のステッピングモータの駆動制御装置を示すブロック図。
【図35】図34のステッピングモータの駆動制御装置の各部の波形を示すタイミングチャート。
【符号の説明】
【0155】
D…光ディスク
1…光ピックアップ
2…半導体レーザ光源
3…ハーフミラー
4…対物レンズ
5…フォーカス制御用アクチュエータ
6…トラッキング制御用アクチュエータ
7…光検出器
9…ステッピングモータ
10…コントロール部
101…信号作成部
102F…位相補償器
102T…位相補償器
103F…フォーカスドライバー
103F…トラッキングドライバー
104…ローパスフィルタ
105…A/D変換器
106…マイコン
107…ステッピングモータ駆動回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスク上に記録された信号トラック上に、対物レンズを介して収束光ビームを照射する光ピックアップと、
前記光ピックアップを前記光ディスクの半径方向に移動させるステッピングモータと、
前記収束光ビームの前記信号トラックに対するずれ量を検出してトラッキング制御信号を出力すると共に、前記ステッピングモータを駆動することによって、トラック追従状態を保ったまま、前記光ピックアップを前記光ディスクの半径方向に移動させるように制御する制御手段と、
前記制御手段よりのトラッキング制御信号に基づいて、前記対物レンズを前記信号トラックの幅方向に移動させるトラッキングアクチュエータとを有する光ディスク装置であって、
前記収束光ビームの前記信号トラックに対するずれ量が所定閾値を越えたとき、そのずれ方向が正方向か負方向かに応じて、前記ステッピングモータの駆動電圧を現在の位置のステッピングモータ駆動電圧から、所定時間、次の正回転又は逆回転方向のステッピングモータ駆動電圧に変更した後、前記所定時間前のステッピングモータ駆動電圧に復帰させる駆動電圧変更手段と、
前記閾値を越えたときのずれ方向が正方向か負方向かに応じて、次の正回転又は逆回転方向のステッピングモータ駆動電圧を決定する駆動電圧決定手段とを設け、
前記駆動電圧決定手段によるステッピングモータ駆動電圧の決定動作と決定動作との間に、前記駆動電圧変更手段によるステッピングモータ駆動電圧の変更動作を、前記対物レンズのレンズシフト量の許容値に応じた回数だけ行なうように、前記ステッピングモータ駆動電圧の決定動作及び変更動作を繰り返すと共に、前記回数に応じて前記所定時間を設定することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光ディスク装置において、
前記制御手段によって検出された前記収束光ビームの前記信号トラックに対するずれ量に基づいて、前記ずれ量が前記所定閾値を越えたか否かを判別することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光ディスク装置において、
前記対物レンズの前記光ディスクの半径方向の移動量を検出する移動量検出手段を設けてなり、
前記移動量検出手段によって検出された前記対物レンズの前記光ディスクの半径方向の移動量に基づいて、前記収束光ビームの前記信号トラックに対するずれ量が前記所定閾値を越えたか否かを判別することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項4】
請求項1に記載の光ディスク装置において、
前記駆動電圧変更手段によるステッピングモータ駆動電圧の変更動作の回数及び前記回数に対応した前記所定時間が記憶されたテーブル記憶手段を設けたことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項5】
請求項1に記載の光ディスク装置において、
前記駆動電圧変更手段によるステッピングモータ駆動電圧の変更動作の回数を固定し、前記所定時間の内の初回の設定時間を設定し、前回の設定時間に増分を加えたものを新たな設定時間とすると共に、前記対物レンズの前記ステッピングモータの1ステップ相当の移動が可能な所定時間と前回の所定時間との差を残りの送り回数で割った時間を、前記増分とすること特徴とする光ディスク装置。
【請求項6】
請求項1に記載の光ディスク装置において、
前記駆動電圧変更手段によるステッピングモータ駆動電圧の複数回の変更動作による前記対物レンズの移動量を測定する移動量測定手段を設け、
前記移動量測定手段によって測定された前記対物レンズの移動量が、前記ステッピングモータの1ステップ相当の移動量以内のときは、前記駆動電圧変更手段によるステッピングモータ駆動電圧の変更動作を継続し、前記ステッピングモータの1ステップ相当の移動量を越えたときは、前記駆動電圧決定手段によるステッピングモータ駆動電圧の決定動作に移行することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項7】
請求項1に記載の光ディスク装置において、
前記駆動電圧変更手段によるステッピングモータ駆動電圧の複数回の変更動作による前記対物レンズの移動量を測定する移動量測定手段を設け、
前回の設定時間に増分を加えたものを新たな設定時間とすると共に、前記対物レンズの前記ステッピングモータの1ステップ相当の移動が可能な所定時間と前回の所定時間との差を残りの送り回数で割った時間を、前記移動量測定手段によって測定された前記対物レンズの移動量によって補正して、前記増分とすること特徴とする光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2007−317337(P2007−317337A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−148719(P2006−148719)
【出願日】平成18年5月29日(2006.5.29)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】