説明

光ディスク装置

【課題】インデックスマークが設けられていない不定形の光ディスクのレーベル面に対しデザインの印刷が可能であって、さらに、そのようなレーベル面にデザインを印刷した結果においてもデザインに欠損が生じない光ディスク装置を提供する。
【解決手段】光ディスク7を回転駆動しその回転位置を検出可能な回転位置検出手段を含む回転駆動機構13と、前記光ディスク7のレーベル面の存在を検知する移動可能なセンサ23と、前記センサ23と前期回転位置検出手段によって得られた結果に基づき前記光ディスク7のレーベル面の形状を計測する形状計測部39を有する制御回路51と、計測された前記光ディスク7のレーベル面の形状に基づいてデザインの印刷を行うプリンタヘッド21と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク装置に関し、特に不定形の光ディスクのレーベル面へ所望のデザインを印刷する機能を備えた光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などのディスク状記録媒体(以下、光ディスクという。)の盤面(以下、レーベル面という。)に文字や絵等のデザインを印刷する技術が知られている。
【0003】
レーベル面にデザインを印刷する場合、一般に、円形のディスクを対象としているので、ディスクの中心位置が変らなければ水平面内において、どのようにディスクをセットしても所望のデザインを印刷することが可能である。しかしながら、このような技術は光ディスクが名刺型、樽型やハート型といった不定形である場合には、レーベル面の印刷可能な範囲を特定できないために、所望のデザインに印刷することができないという問題点があった。
【0004】
このような問題点に対し、例えば、特許文献1では、不定形の光ディスクのレーベル面に対し、デザインの可能範囲を判断できる光ディスク装置が開示されている。特許文献1では、外形に対して少なくとも線対象となる位置に設けられたインデックスマークを有する光ディスクが使用される。そして、当該光ディスクのレーベル面に光を照射しながら回転させ、インデックスマークを始点として内周から外周にかけて照射された光の反射光を検出する。その反射光がコントローラに記録され、反射光の反射率の変化からレーベル面の印刷可能な範囲を特定するようにした発明である。
【特許文献1】特開2005−317104号公報 図5
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に開示される発明では、光ディスクにインデックスマークが設けられていない場合には、レーベル面の印刷可能な範囲が特定できず、レーベル面に対するデザインの正確な印刷ができないという問題点があった。
【0006】
また、仮に不定形の光ディスクの形状を把握できたとしても、レーベル面の印刷をしようとするデザインデータと光ディスクのレーベル面の印刷位置とで位置ずれが発生するという問題点もある。すなわち、例えば、図13はレーベル面への印刷においてデザインの印刷位置にずれが生じた不定形の光ディスクの平面図であるが、図13に示すように曲名等を示す「Text 1」等はその一部に欠損が生じてしまっている。
【0007】
このようにデザインデータと光ディスクの印刷位置との間で同期がとれていない場合にはデザインが欠損するだけでなく、同期がとれていれば正確に印刷されていたであろう箇所にインクが噴出されてしまい、光ディスク装置の内部が汚濁され、さらには、そのような事態から光ディスク装置に故障が発生するという問題点もある。
【0008】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、インデックスマークが設けられていない不定形の光ディスクのレーベル面に対しデザインの印刷が可能であって、さらに、そのようなレーベル面にデザインを印刷した結果においてもデザインに欠損が生じない光ディスク装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した問題点を解決するために、本発明の光ディスク装置は、光ディスクを回転駆動しその回転位置を検出可能な回転位置検出手段を含む回転駆動機構と、前記光ディスクのレーベル面の存在を検知する移動可能なセンサと、前記センサと前記回転位置検出手段によって得られた結果に基づき前記光ディスクのレーベル面の形状を計測する形状計測部を有する制御回路と、計測された前記光ディスクのレーベル面の形状に基づいてデザインの印刷を行うプリンタヘッドと、を備えたことを特徴とする。このような構成により、光ディスクを搭載した回転駆動機構が回転動作しながらセンサは適宜移動しつつ当該光ディスクのレーベル面の存在を検知することで光ディスクのレーベルの形状を計測することができ、計測結果に基づくデザインの印刷が行うことができる。
【0010】
また、本発明は、前記回転位置検出手段が、回転動作に応じて所定のパルス信号を出力する周波数発生器を備えることで、光ディスク装置に搭載された光ディスクのレーベル形状をより正確に把握することができる。
【0011】
また、本発明は、前記センサが、前記レーベル面の形状計測を予め定められた半径位置で行う為に駆動モータによって移動することを特徴とする。このような構成により、センサは駆動モータと同期して移動することが可能となる。
【0012】
また、本発明は、前記センサが、前記駆動モータの回転位置によって位置が把握されることを特徴とする。このような構成により、レーベル面の存在を検知するセンサの位置が把握され、センサの位置情報から光ディスクの形状を把握することができる。
【0013】
また、本発明は、前記センサが、前記駆動モータの駆動力によって背面と前面との間を移動する基板に設置されることを特徴とする。このような構成により、センサは安定して光ディスク装置内を移動することができ、正確な検知を行うことができる。
【0014】
また、本発明は、前記基板が、背面と前面とを連結する平行な2本のプリンタヘッドガイドシャフトに跨って把持されることを特徴とする。このような構成により、センサを搭載した基板は安定して光ディスク装置内を移動することができ、センサは正確な検知を行うことができる。
【0015】
また、本発明は、前記プリンタヘッドが、前記回転駆動機構の回転動作に同期してレーベルの印刷を行うことを特徴とする。このような構成により、レーベル印刷における計測された光ディスクの形状とデザインデータとの印刷位置のずれを防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る光ディスク装置によれば、インデックスマークが設けられていない不定形の光ディスクのレーベル面に対しても光ディスクの形状が計測できるとともに、レーベル面への印刷時において、デザインと計測された光ディスクのレーベル面の形状との間で同期がとれるため、デザインを正確に印刷することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。なお、説明において、レーベル面の検知を行うセンサとしては、発光部からレーベル面に対して光を照射しその反射光を受光することによって検知を行う反射型光センサを想定しているが、センサはこれに限定されず、透過型光センサや、CCDカメラを備えその撮影画像の画像処理で検知を行い更に印刷状況も確認する構成も可能である。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本発明の実施の形態にかかる光ディスク装置100の内部構造を示す前面斜視図であり、また、図2は、本発明の実施の形態にかかる光ディスク装置100の内部構造を示す背面斜視図である。
【0019】
図1または図2に示すように、光ディスク装置100は、メカユニット1と、メカユニット1の前面に取り付けられるフロントパネル3と、メカユニット1の側面及び背面を囲うように取り付けられるコの字型の枠体5とを有する。
【0020】
フロントパネル3には、光ディスク7が載置されるトレイ9と、トレイ9の進退動作を切替えるスイッチ11とが形成される。図1においては、トレイ9は閉じられた状態を示しており、スイッチ11が押されることでトレイ9は水平方向前面に押し出される。
【0021】
メカユニット1は、光ディスク7を所定の方向に回転駆動させる回転駆動機構13と、光ディスク7の下方に配置され、光ディスク7に対し光を照射する光ピックアップ装置14と、光ピックアップ装置14を前面または背面の方向に移動させる移動装置15とを備える。
【0022】
回転駆動機構13は、光ディスク7を回転駆動させるスピンドルモータを備え、当該スピンドルモータには、FG(Frequency Generator)と称される周波数発生器が配置されている。周波数発生器は、スピンドルモータが一回転する間に所定数のパルス信号を出力する機能を有し、出力されたパルス信号は後述する制御回路51に送信される。
【0023】
移動装置15は、モータとモータの駆動力を光ピックアップ装置に伝えるギヤなどの部品により構成される。上述した回転駆動装置13、光ピックアップ装置14及び移動装置15は、光ディスク装置100に搭載される図示しない制御回路によって制御される。なお、図1及び図2においては、樽型の光ディスク7が回転駆動機構13に設置されている。
【0024】
また、光ディスク装置100には、背面から前面にかけて側面及び下面に平行に2本のプリンタヘッドガイドシャフト17a、17bが取り付けられている。そして、当該プリンタヘッドガイドシャフト17a、17bには、前面または背面方向に移動可能なプリンタヘッド移動機構19が跨って配置されている。より詳しくは、それぞれのプリンタヘッドガイドシャフト17a、17bは背面から前面にかけてプリンタヘッド移動機構19を貫通して把持している。
【0025】
このプリンタヘッド移動機構19は、プリンタヘッド21と、反射型光センサ(以下、センサという。)23と、これらを搭載する基板となるプリンタヘッドベース24とから構成される。プリンタヘッド21及びセンサ23は、プリンタヘッドベース24上であって、光ディスク7の回転中心と同一となる位置に配置される。その際、プリンタヘッド21に対しセンサ23が前となり、これらはプリンタヘッドガイドシャフト17a、17bに平行に配置される。
【0026】
プリンタヘッド21は光ディスク7に対し絵や文字などのデザインを印刷する機能を有する。また、センサ23は、光ディスク7のレーベル面に対し光を照射し、レーベル面からの反射光を検知する機能を有する。そして、プリンタヘッド移動機構19は、光ディスク装置100の背面に設置された減速器25によって移動する。
【0027】
さらに、上述した減速器25について図面を参照して詳細に説明する。図3は、減速器25の横断面図である。図3に示すように、減速器25は入力されるパルス信号に応じて回転駆動するステッピングモータ等の駆動モータ27と、駆動モータ27の駆動力を伝播する一または複数のギヤと、駆動モータ27を設置する設置台28とから構成される。
【0028】
具体的には、駆動モータ27の軸29の先端には、モータピニオンギヤ31が形成される。モータピニオンギヤ31には、駆動モータ27の駆動力が伝えられるとともに、駆動モータ27の回転速度を所定の速度に減速する第1の駆動ギヤ33が同一平面上で噛み合わさる。第1の駆動ギヤ33には、その径より小さなギヤとなるカナ35が枠体5側に一体成形され、カナ35が第2の駆動ギヤ37と同一平面上で噛み合わさる。そして、第2の駆動ギヤ37には、上述したプリンタヘッドガイドシャフト17bが貫通し、固定される。
【0029】
減速器25は上述したような構成を有し、制御回路51から送信されたパルス信号を駆動モータ27が受信し、駆動モータ27が回転駆動すると、その駆動力はモータピニオン31から第1の駆動ギヤ33、カナ35及び第2の駆動ギヤ37へ伝播する。したがって、プリンタヘッドガイドシャフト17bは、当該駆動力を得て、回転駆動し、配置されたプリンタヘッド移動機構19を移動させることになる。
【0030】
この移動は、例えば、プリンタヘッドガイドシャフト17bがプリンタヘッドベース24にねじ状に貫通することによって行うことができる。さらに、駆動モータ27に印加したパルス信号数を制御回路51が計測することで、プリンタヘッド移動機構19の移動距離を例えば5mmごと等で正確に動作させ、また、位置の特定をすることができる。
【0031】
次に、本実施形態に係るメカユニット1について図4に示すブロック図を参照して説明する。なお、図1及び図2に示される光ディスク装置100及び図3に示される減速器25の各部と同様の構成には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0032】
図4に示すように、メカユニット1は、光ディスク7を回転駆動させる回転駆動機構13と、光ピックアップ装置14を移動させる移動装置15と、プリンタヘッド移動機構19を駆動する減速器25と、これらを制御する制御回路51とを備える。そして、プリンタヘッド移動機構19は、光ディスク7の形状を検知するセンサ23と、光ディスク7のレーベル面にデザインデータをプリントするプリンタヘッド21とを有する。
【0033】
制御回路51は、外部に設置されるPC等の入出力装置49とデザインデータ等のデータの送受信を行う入出力部45と、入力されたデータを記憶するDRAMやSRAM等の記憶部47とを備える。さらに、センサ23からの検知結果に基づき、光ディスク7の形状を計測する形状計測部39と、光ディスク7の形状とデザインデータの形状とを比較し、一致しているか否かを判定する判定部41とを備える。これらの各機能ブロックはCPU等の制御部43によって制御される。
【0034】
このように構成されたメカユニット1の動作について図5に示すフローチャートを参照して説明する。
【0035】
例えば、ユーザによって入出力装置49からデザインデータ等が入力されると、当該デザインデータは、制御回路51の入出力部45から入力され、記憶部47に記憶される(S101)。これと同期して、制御部43は回転駆動機構13を駆動する。このように、回転駆動機構13が回転駆動することで、周波数発生器からパルス信号が発生し、制御回路51に送信される。また、駆動モータ27は制御回路51から送信されたパルス信号に応じて回転駆動し、当該回転駆動に基づく駆動力が減速器25を介して伝達しプリンタヘッド移動機構19を動作させる。
【0036】
プリンタヘッド移動機構19は初期位置から移動と停止を繰り返しながら、回転する光ディスク7のレーベル面に対しセンサ23から光を照射し、その反射光を検知する。具体的には、回転する光ディスク7の中心から半径方向に所定の距離だけ離れた箇所をセンサ23が検知する。そして、当該位置を検知し始めてから光ディスク7が一周した際に、当該位置の検知を終え、次の位置へと移動する。
【0037】
このようにして検知された結果は制御回路51の形状計測部39へと送信される。形状計測部39では、回転駆動機構13が回転駆動することで発生したパルス信号と、センサ23から送信された検知結果を受信し、光ディスク7の形状を求める(S102)。
【0038】
判定部41では、記憶部47に記憶されたデザインデータと形状計測部39で計測された光ディスク7の形状とを比較する(S103)。デザインデータと光ディスク7の形状が一致している場合には(S103:Yes)、制御部43が回転駆動機構13を回転させ、前記デザインデータと光ディスク7の形状とが一致するように同期処理をする(S104)。そして、同期がとれた後、プリンタヘッド21が印刷処理を開始する(S105)。
【0039】
一方、前記デザインデータと光ディスク7の形状が一致していない場合には(S103:No)、その旨の注意喚起、警告等をデータとして入出力部45から入出力装置49へ送信する。これによって、ユーザは印刷処理を続行させるか否かを判断する。そして、印刷処理を続行させるか否かを入力しデータとして送信する。
【0040】
当該データは制御回路51に受信され(S106)、印刷処理の続行の可否が判定される(S107)。当該データが印刷処理を続行しない旨のデータである場合には(S107:No)、制御回路51は、印刷処理を中止する。一方、当該データが印刷処理を続行する旨のデータである場合には(S107:Yes)、光ディスク7の形状に合うように、デザインデータが修正される(S108)。デザインデータの修正が完了したら、上述した同期処理(S104)を行い、印刷処理を開始する(S105)。このような同期処理を行うことで、光ディスク7のレーベル面に対するデザインデータの欠損を防止することができる。
【0041】
さらに、光ディスク7の形状を計測する形状計測部39の仕組みについて図6から図8を参照して説明する。
【0042】
図6は、回転駆動機構13のスピンドルモータの回転角とセンサ23による光ディスク7への光の軌跡の関係を示した概念図である。すなわち、回転する光ディスク7に対し一点で光を照射し、その光の軌跡を追うと、図6に示すような光の軌跡が得られる。そして、二点鎖線で示される複数の同心円が、センサ23からの光ディスク7のレーベル面へ照射された光の軌跡である。
【0043】
中心から半径方向に離れた最初の二点鎖線の円は回転駆動機構13の中心Oから半径方向に15mm離れた位置の光の軌跡を示しており、以降半径方向に5mm間隔で中心Oから55mm離れた位置まで、最初の二点鎖線を含む合計9本の光の軌跡が示されている。
【0044】
また、斜線で示す部分は光ディスク7のレーベル面からの反射光が検知できた部分である。したがって、図6においては、中心Oから15mm、20mm、25mm、30mm、35mmまでが確実に二点鎖線を覆っており、光ディスク7のレーベル面からの反射光を検知できていることが分かる。次に、中心Oから40mm、45mm離れた位置では、二点鎖線の一部を除いて光ディスク7からの反射光を検知できていることが分かる。さらに、中心Oから50mm、55mm離れた位置に至っては、二点鎖線をまったく覆っておらず、光ディスク7のレーベル面からの反射光が検知できていないことが分かる。このように、回転する光ディスク7のレーベル面に対し光を照射し、その反射光を検知できたか否かを判断することで、光ディスク7のレーベル面の形状を特定することが可能となる。
【0045】
さらに、図7は上述した概念図に対し回転駆動機構13の回転角と反射光の有無の関係を説明するための図である。図7において、FG信号は上述した周波数発生器から発生するパルス信号を示しており、発生があった場合をHで、発生がなかった場合をLで示している。
【0046】
また、r=15、r=20等は回転駆動機構13の中心Oから離れた距離を示しており、r=15であれば中心Oから15mm離れた位置を示している。そして、それぞれの位置で反射光があった場合にはHで、反射光がなかった場合にはLで示している。
【0047】
図7に示すようにr=15からr=35までは、図6を参照して説明したとおり、0°から360°までは常にHを示しており、常に反射光があった旨が分かる。r=40及びr=45においては、0°から360°に至るまで一部において反射光が無かった旨が分かる。そして、r=50及びr=55においては、0°から360°に至るまでまったく反射光が無かった旨が分かる。
【0048】
したがって、図7から得られる結果に対し、Hの箇所のみを極座標上に書き戻すと図8のような結果を得られる。すなわち、図8に示す結果が本実施形態における光ディスク7のレーベルの形状であると理解できる。
【0049】
図9は、本実施形態によって印刷された不定形の光ディスク7の平面図である。このように、本実施形態によれば、ユーザが特に光ディスク7の向きを調整することなく、光ディスク7のレーベル面の形状とデザインデータとの同期をとることができるので、従来のような問題点が発生することなく、ユーザの所望の印刷結果を得ることができる。
【0050】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について図10から図12を参照して説明する。第2実施形態では光ディスク7のレーベル面の形状が名刺型である点で、第1実施形態で説明した樽型である場合と相違する。
【0051】
図10は、回転駆動機構13のスピンドルモータの回転角とセンサ23による光ディスク7への光の軌跡の関係を示した第2実施形態における概念図である。図6で示した概念図と同様、センサ23は二点鎖線で示される複数の同心円が、センサ23からの光ディスク7へ照射される光の軌跡である。そして、中心から半径方向に離れた最初の二点鎖線はスピンドルモータの中心Oから半径方向に15mm離れた位置の光の軌跡を示しており、以降半径方向に5mm間隔で中心Oから55mm離れた位置まで、最初の二点鎖線を含む合計10本の光の軌跡が示されている。
【0052】
また、斜線で示す部分は光ディスク7からの反射光が検知できた部分である。したがって、図10においては、中心Oから15mm、20mm、25mm、30mm、35mmまでが確実に二点鎖線を覆っており、光ディスク7からの反射光を検知できていることが分かる。次に、中心Oから40mm、45mm、50mm、55mm離れた位置では、二点鎖線の一部を除いて光ディスク7からの反射光を検知できていることが分かる。さらに、中心Oから60mm離れた位置に至っては、二点鎖線をまったく覆っておらず、光ディスク7からの反射光が検知できていないことが分かる。
【0053】
このように、光ディスク7のレーベル面の形状が名刺型であっても、回転する光ディスク7のレーベル面に対しセンサ23から光を照射し、その反射光を検知できたか否かを判断することで、光ディスク7のレーベル面の形状を特定することが可能となる。
【0054】
さらに、図11は上述した概念図に対しスピンドルモータの回転角と反射光の有無の関係を説明するための図である。図11において、FG信号は上述した周波数発生器から発生するパルス信号を示しており、発生があった場合をHで、発生がなかった場合をLで示している。
【0055】
また、本実施形態においてもr=15、r=20等はスピンドルモータの中心Oから離れた距離を示しており、r=15であれば中心Oから15mm離れた位置を示している。そして、それぞれの位置で反射光があった場合にはHで、反射光がなかった場合にはLで示している。
【0056】
図11に示すようにr=15からr=35までは、図10を参照して説明したとおり、0°から360°までは常にHを示しており、常に反射光があった旨が分かる。r=40からr=55においては、0°から360°に至るまで一部において反射光が無かった旨が分かる。
【0057】
したがって、図11から得られる結果に対し、Hの箇所のみを極座標上に書き戻すと図12のような結果を得られる。すなわち、図12に示す結果が本実施形態における光ディスク7のレーベル面の形状であると理解できる。
【0058】
さらに、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上、説明したように、本発明に係る光ディスク装置は、インデックスマークが設けられていない不定形の光ディスクのレーベル面に対しても光ディスクのレーベル面の形状が計測できるとともに、レーベル面への印刷時において、デザインデータと計測された光ディスクのレーベル面の形状との間で同期がとれるため、デザインを正確に印刷することができ産業上の利用可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は、光ディスク装置の内部構造を示す前面斜視図である。
【図2】図2は、光ディスク装置の内部構造を示す背面斜視図である。
【図3】図3は、減速器の横断面図である。
【図4】図4は、メカユニットのブロック図である。
【図5】図5は、メカユニットの動作を示すフローチャートである。
【図6】図6は、スピンドルモータの回転角とそれに伴う光の軌跡を示す概念図である。
【図7】図7は、スピンドルモータの回転角と反射光の有無の関係を説明するための図である。
【図8】図8は、図7から得られる光ディスクのレーベル面の形状を示す概念図である。
【図9】図9は、第1実施形態によって印刷された不定形の光ディスクの平面図である。
【図10】図10は、スピンドルモータの回転角とそれに伴う光の軌跡を示す概念図である。
【図11】図11は、スピンドルモータの回転角と反射光の有無の関係を説明するための図である。
【図12】図12は、図11から得られる光ディスクのレーベル面の形状を示す概念図である。
【図13】図13は、レーベル面への印刷において印刷位置にずれが生じた不定形の光ディスクの平面図である
【符号の説明】
【0061】
1 メカユニット
3 フロントパネル
5 枠体
7 光ディスク
9 トレイ
11 スイッチ
13 回転駆動機構
14 光ピックアップ装置
15 移動装置
17a、17b プリンタヘッドガイドシャフト
19 プリンタヘッド移動機構
21 プリンタヘッド
23 センサ
24 プリンタヘッドベース
25 減速器
27 駆動モータ
28 設置台
29 軸
31 モータピニオンギヤ
33 第1の駆動ギヤ
35 カナ
37 第2の駆動ギヤ
39 形状計測部
41 判定部
43 制御部
45 入出力部
47 記憶部
49 入出力装置
51 制御回路
100 光ディスク装置



【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクを回転駆動しその回転位置を検出可能な回転位置検出手段を含む回転駆動機構と、
前記光ディスクのレーベル面の存在を検知する移動可能なセンサと、
前記センサと前記回転位置検出手段によって得られた結果に基づき前記光ディスクのレーベル面の形状を計測する形状計測部を有する制御回路と、
計測された前記光ディスクのレーベル面の形状に基づいてデザインの印刷を行うプリンタヘッドと、
を備えたことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
前記回転位置検出手段は回転動作に応じて所定のパルス信号を出力する周波数発生器を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記センサは、前記レーベル面の形状計測を予め定められた半径位置で行う為に、駆動モータによって移動することを特徴とする、請求項1または2に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記センサは、前記駆動モータの回転位置によって位置が把握されることを特徴とする、請求項3に記載の光ディスク装置。
【請求項5】
前記センサは、前記駆動モータの駆動力によって背面と前面との間を移動する基板に設置されることを特徴とする、請求項3または4に記載の光ディスク装置。
【請求項6】
前記基板は、背面と前面とを連結する平行な2本のプリンタヘッドガイドシャフトに跨って把持されることを特徴とする、請求項5に記載の光ディスク装置。
【請求項7】
前記プリンタヘッドは、前記回転駆動機構の回転動作に同期してレーベルの印刷を行うことを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の光ディスク装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−34013(P2008−34013A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−205386(P2006−205386)
【出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(000106944)シナノケンシ株式会社 (316)
【Fターム(参考)】