説明

光ディスク装置

【課題】光ディスクの挿入の方式としてスロットイン方式を採用している光ディスク装置において、挿入した光ディスクが装置内に詰まって排出されなくなった場合に、ユーザによる装置内からの光ディスクの取り出しをより容易にすることを可能にする。
【解決手段】ディスク挿出口3の矩形開口部31に切り欠き部32を設け、光ディスクDを取り出すためのピンセット状工具を挿入して光ディスクDをはさむことができるようにしているので、光ディスク記録再生装置1内に詰まって排出されなくなった光ディスクDを、ユーザが容易に取り出すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクの挿入の方式としてスロットイン方式を採用している光ディスク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、CDやDVDなどの光ディスクへの記録・再生を行う光ディスク装置が知られている。また、この光ディスク装置での光ディスクの挿入の方式として、トレイ方式やスロットイン方式が知られている。
【0003】
トレイ方式は、光ディスク装置のデッキから突出した引出し式のトレイに光ディスクを投入し、トレイをデッキ内に引っ込めることによって、トレイごと光ディスクの挿入を行う方式である。また、スロットイン方式は、ローラによる引き込み装置により、デッキに設けられたスリット状の挿出口から光ディスクをデッキ内に引き込むことによって、光ディスクの挿入を行う方式である。
【0004】
近年では、トレイの開閉の操作が不要であることにより、ディスク交換の際の煩わしさが少ないことなどから、車載用AV機器、車載ナビゲーション装置などに用いられる光ディスク装置では、トレイ方式よりもスロットイン方式が多く採用されている。
【0005】
しかしながら、スロットイン方式を採用している光ディスク装置では、光ディスクの挿出口がスリット状になっているため、光ディスクの排出時に、光ディスクの反り等が原因で光ディスクがデッキ内に詰まる問題がしばしば生じる。また、光ディスクがデッキ内に詰まった場合、光ディスクの挿出口がスリット状であるのでユーザでは光ディスクを容易にデッキ外に取り出すことができないという問題点があった。
【0006】
そこで、この問題点を解決するための技術が提案されている。例えば、特許文献1には、光ディスクの「反り」によって光ディスクが正常に排出できなかった場合には、ターンテーブル上で光ディスクを回転させ、排出方向に対しての光ディスクの「反り」の位置を変えることによって、光ディスクの排出を可能にするディスクドライブが開示されている。
【特許文献1】特開2007−257732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示のディスクドライブでは、光ディスクの「反り」が全周に及んでいる場合や光ディスク内周の「ばり」がターンテーブルに食い込んで抜けない場合には、光ディスクを回転させて光ディスクの「反り」の位置をいくら変えても排出を行うことはできない。よって、このような場合にユーザでは光ディスクを容易にデッキ外に取り出すことができないという問題点が残っていた。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、光ディスクの挿入の方式としてスロットイン方式を採用している光ディスク装置において、挿入した光ディスクが装置内に詰まって排出されなくなった場合に、ユーザによる装置内からの光ディスクの取り出しをより容易にすることを可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の光ディスク装置は、上記課題を解決するために、光ディスクが挿出されるディスク挿出口が設けられた筐体を備え、スロットイン方式により前記ディスク挿出口からの前記光ディスクの挿入が行われる光ディスク装置であって、前記ディスク挿出口は、前記光ディスクが挿出されるために必要となる矩形状のディスク挿出開口領域を有するとともに、ディスク挿出口をディスク挿出開口領域よりもそのディスク挿出開口領域の短手方向に拡大する拡大開口領域を有することを特徴としている。
【0010】
なお、矩形状とは、完全な矩形のみではなく、光ディスクの挿入を容易とするために長手方向の両辺または一辺の辺が多少湾曲したものも含み、また、四隅の一つまたは複数が丸くなっているものなど、略矩形である形状も含む意味である。
【0011】
これによれば、光ディスクが挿出されるディスク挿出口の短手方向の長さが、拡大開口領域が設けられている分だけ広くなるので、その分だけ光ディスクを取り出すための工具(例えば、ピンセット状の工具など)を挿入しやすくなる。また、挿入した光ディスクが装置内に詰まって排出されなくなった場合に、詰まった光ディスクをユーザがそのピンセット状の工具によって取り出すことが可能になるので、請求項1によれば、挿入した光ディスクが装置内に詰まって排出されなくなった場合に、ユーザによる装置内からの光ディスクの取り出しをより容易にすることが可能になる。
【0012】
また、請求項2の光ディスク装置では、前記拡大開口領域として、切り欠き部が設けられていることを特徴としている。
【0013】
さらに、請求項3の光ディスク装置では、前記切り欠き部は、前記ディスク挿出開口領域の両側に互いに対向して1つずつ設けられていることを特徴としている。
【0014】
請求項2および3のようにしても、挿入した光ディスクが装置内に詰まって排出されなくなった場合に、ユーザによる装置内からの光ディスクの取り出しを容易にすることが可能になる。
【0015】
また、請求項4の光ディスク装置では、前記切り欠き部は、前記ディスク挿出開口領域の長手方向のほぼ中心に設けられていることを特徴としている。
【0016】
スロットイン方式によりディスク挿出口からの光ディスクの挿入が行われる光ディスク装置では、光ディスクの排出時、ディスク挿出口の長手方向のほぼ中心の箇所が、光ディスクに最も接近する箇所となる。
【0017】
よって、請求項4によれば、光ディスクを取り出すためのピンセット状の工具などをディスク挿出口に挿入して光ディスクをはさむ作業を行う場合に、最短距離で光ディスクをはさむことができるので、光ディスクをよりはさみやすく、取り出す作業もより行いやすくなる。
【0018】
また、請求項5の光ディスク装置では、前記光ディスクが挿出可能に前記ディスク挿出口に設けられ、前記拡大開口領域を少なくとも覆う可撓性のシート部材をさらに備えていることを特徴としている。
【0019】
これにより、拡大開口領域を広くとった場合であっても、ディスク挿出口から光ディスク装置内に侵入する埃の量をシート部材によって軽減することができ、埃による光ディスク装置の故障を防ぐことができる。また、シート部材は可撓性を有しているので、光ディスクを取り出すためのピンセット状の工具などを挿入して光ディスクをはさむ作業を行う場合であっても、シート部材が撓むことでこの作業を妨げないで済む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、光ディスク記録再生装置1の外形を模式的に示す斜視図である。図2(a)は、図1の光ディスク記録再生装置1の正面図である。図2(b)は、図2(a)の光ディスク記録再生装置1のIIB―IIB線断面図である。図2(b)は、図1の光ディスク記録再生装置1の正面図である。そして、図2(c)は、図1の光ディスク記録再生装置1のIIC―IIC線断面図である。なお、図1および図2(a)では、光ディスク記録再生装置1に備えられる操作スイッチなどの図示を説明の簡略化のため省略している。また、図2(b)および図2(c)では、光ディスク記録再生装置1に備えられる光ピックアップ装置やターンテーブルなどの内部機器の図示を説明の簡略化のため省略している。なお、光ディスク記録再生装置1は、光ディスクの挿入の方式としてスロットイン方式を採用しているものとする。
【0021】
図1に示すように光ディスク記録再生装置1は、装置本体の外筐となる筐体2と不織布4を備えている。また、図1および図2(a)に示すように、筐体2の正面には、光ディスクを挿入・排出するためのディスク挿出口3が設けられている。なお、挿入・排出される光ディスクとしては、例えばCD、DVD、CD−ROM、BD(Blu-ray Disc)などがある。
【0022】
ディスク挿出口3は、矩形状の矩形開口部31を有するとともに、矩形開口部31の短手方向に設けられた方形の切り欠き部32を有している。切り欠き部32は、矩形開口部31の長手方向のほぼ中心の両側に互いに対抗して設けられており、矩形開口部31の一部を短手方向に拡大している。具体的には、図2(a)に示すように、光ディスク記録再生装置1の正面から見たディスク挿出口3の形状は十字型になっている。本実施形態では、例としてディスク挿出口3の長手方向の長さは125mmとし、短手方向の長さは2mmとする。また、矩形開口部31の長手方向と同方向の切り欠き部32の長さ(以降では、拡大開口領域長手方向長と呼ぶ)は10mmとし、切り欠き部32によって短手方向に拡大された矩形開口部31の当該短手方向の長さ(以降では、拡大開口領域短手方向長と呼ぶ)は4mmとする。
【0023】
不織布4は、図2(c)に示すように、筐体2の内側面に例えば貼付けによって保持され、ディスク挿出口3のうちの切り欠き部32の領域を覆う。つまり、矩形開口部31のうち不織布4に覆われていない領域の形状が、図2(a)に示すように、光ディスク記録再生装置1の正面から見た場合に一の字型になるように不織布4が備えられている。
【0024】
次に、図3(a)〜図3(e)を用いて、光ディスク記録再生装置1からの光ディスクDの排出時に生じるトラブルについての説明を行う。図3(a)は、光ディスクDの排出前の光ディスク記録再生装置1の装置内の状態を示す図である。図3(b)は、光ディスクDを正常に排出する光ディスク記録再生装置1の装置内の状態を示す図である。図3(c)は、光ディスクDの「反り」によって排出が行われなくなった光ディスク記録再生装置1の装置内の状態を示す図である。図3(d)は、光ディスクDの「ばり」によって排出が行われなくなった光ディスク記録再生装置1の装置内の状態を示す図である。そして、図3(e)は、異形の光ディスクDによって排出が行われなくなった光ディスク記録再生装置1の装置内の状態を示す図である。なお、図3(a)〜図3(e)では、簡略化のため不織布4の図示を省略している。また、図3(a)〜図3(e)では、簡略化のためターンテーブル11および搬送ローラ12以外の光ディスク記録再生装置1の内部機器の図示を省略している。
【0025】
図3(a)に示すように、光ディスクDの排出前の光ディスク記録再生装置1では、光ディスクDはターンテーブル11に載置されており、搬送ローラ12には接触していない状態になっている。光ディスクDを排出する場合は、光ディスクDを載せて回転させるためのターンテーブル11を下方向に傾けるとともに、搬送ローラ12を上方向に移動させ、ターンテーブル11に載置されていた光ディスクDを搬送ローラ12上に接触させる。そして、その後搬送ローラ12を回転させることによって光ディスクDをディスク挿出口3から排出する。
【0026】
ここで、光ディスクDが正常に排出される場合は、図3(b)に示すように、上述の工程が正常に進行する。一方、図3(c)に示すように、光ディスクDの「反り」によって、光ディスクDがディスク挿出口3から逸れて筐体2につかえた場合には、光ディスクDは排出されずに光ディスク記録再生装置1内に詰まってしまう。また、光ディスクDの内周縁にある「ばり」がターンテーブル11の回転軸に食い込むことによって、ターンテーブル11から光ディスクDが離れなくなった場合にも、図3(d)に示すように、光ディスクDは排出されずに光ディスク記録再生装置1内に詰まってしまう。さらに、図3(e)に示すように、光ディスクDが異形であることにより、ターンテーブル11を下方向に傾けても光ディスクDが搬送ローラ12に接触できない場合にも、光ディスクDは排出されずに光ディスク記録再生装置1内に詰まってしまう。なお、ここで言うところの異形とは、光ディスクDの径方向寸法が規格寸法よりも短い形(例えば光ディスク記録再生装置1が12cmディスク専用である場合には、径方向寸法が12cmよりも短い領域を有する形)を表す。例えば異形の光ディスクDとしては、星型の形状をした光ディスクD、名刺形の形状をした光ディスクDなどがある。
【0027】
次に、図4(a)〜図4(d)を用いて、光ディスク記録再生装置1内に光ディスクDが詰まった場合の処置についての説明を行う。図4(a)は、光ディスク記録再生装置1内に詰まった光ディスクDを取り出すためのピンセット状の工具の一例を示す図である。図4(b)は、光ディスクDの「反り」によって光ディスク記録再生装置1内に光ディスクDが詰まった場合の処置の説明図である。図4(c)は、光ディスクDの「ばり」によって光ディスク記録再生装置1内に光ディスクDが詰まった場合の処置の説明図である。そして、図4(d)は、異形の光ディスクDによって光ディスク記録再生装置1内に光ディスクDが詰まった場合の処置の説明図である。なお、図4(b)〜図4(d)では、簡略化のため不織布4の図示を省略している。また、図4(b)〜図4(d)では、簡略化のためターンテーブル11および搬送ローラ12以外の光ディスク記録再生装置1の内部機器の図示を省略している。
【0028】
光ディスク記録再生装置1内に詰まった光ディスクDを取り出すための工具としては、図4(a)に示すピンセット状工具を用いる。ピンセット状工具の先端の幅および厚さは、切り欠き部32に挿入することが可能な幅および厚さであるものとする。なお、ピンセット状工具の先端は例えば平たい板状をしていることが好ましく、その板状の部分にはラバーを貼り付けることが好ましい。ラバーは摩擦係数が高いので、光ディスクDをはさんだときは滑りにくく、且つ、光ディスクDよりも柔らかいので光ディスクに傷もつけにくい。従って、このようなピンセット状工具を用いることによって、光ディスクを傷付けずに容易に光ディスク記録再生装置1内から取り出すことが可能になる。
【0029】
図3(c)に示したように、光ディスクDの「反り」によって、光ディスクDがディスク挿出口3から逸れて筐体2につかえた場合には、図4(b)に示すように、ピンセット状工具で光ディスクDをはさみ、下方向に光ディスクDを下げることによって光ディスクDの筐体2へのつかえを外し、光ディスクDをディスク挿出口3から強制的に取り出す処置を行えばよい。
【0030】
また、図3(d)に示したように、光ディスクDの内周部分にある「ばり」がターンテーブル11に食い込むことによって、ターンテーブル11から光ディスクDが離れなくなった場合には、図4(c)に示すように、ピンセット状工具で光ディスクDをはさみ、上下方向に光ディスクDを揺らすことによってターンテーブル11から光ディスクDを抜き取り、光ディスクDをディスク挿出口3から強制的に取り出す処置を行えばよい。
【0031】
さらに、図3(e)に示したように、光ディスクDが異形であることにより、ターンテーブル11を下方向に傾けても光ディスクDが搬送ローラ12に接触できない場合には、図4(d)に示すように、ピンセット状工具で光ディスクDをはさみ、上方向に光ディスクDを上げることによってターンテーブル11から光ディスクDを抜き取り、光ディスクDをディスク挿出口3から強制的に取り出す処置を行えばよい。
【0032】
次に、図5を用いて、光ディスクDの排出時における光ディスク記録再生装置1の動作について説明を行う。図5は、光ディスクDの排出時における光ディスク記録再生装置1の動作フローである。本フローは、光ディスク記録再生装置1に備えられる操作スイッチ群(図示せず)によって光ディスクDの排出を指示する指示入力をユーザから受け付けたときに開始される。
【0033】
まず、ステップS1では、光ディスクDをディスク挿出口3から排出する処理(以降では、イジェクト処理と呼ぶ)を行い、ステップS2に移る。イジェクト処理では、前述したように、ターンテーブル11を下方向に傾けるとともに、搬送ローラ12を上方向に移動させることによって、ターンテーブル11に載置されていた光ディスクDを搬送ローラ12上に接触させる。そして、その後搬送ローラ12を回転させることによって光ディスクDをディスク挿出口3から排出する。
【0034】
ステップS2では、イジェクト処理が正常に終了したか否かを判定する処理(以降では、正常終了判定処理と呼ぶ)を行い、ステップS3に移る。
【0035】
ここで、図6に示すフローチャートを用いて、正常終了判定処理の概略について説明を行う。図6は、正常終了判定処理の概略を示す動作フローである。
【0036】
ステップS21では、光ディスクDがディスク挿出口3から排出された(以降では、イジェクト完了と呼ぶ)か否かを判定する。そして、イジェクト完了したと判定した場合(ステップS21でYes)には、ステップS22に移る。また、イジェクト完了したと判定しなかった場合(ステップS21でNo)には、ステップS23に移る。なお、イジェクト完了か否かの判定は、光ディスクDの挿入・排出を検出する検出スイッチによって判定するものとする。
【0037】
ステップS22では、イジェクト処理が正常に終了したと判定(つまり、正常終了判定)して、ステップS3に移る。
【0038】
ステップS23では、イジェクト処理が開始されてから規定の時間以上経過した(以降では、タイムアウトと呼ぶ)か否かを判定する。そして、タイムアウトと判定した場合(ステップS23でYes)には、ステップS24に移る。また、タイムアウトと判定しなかった場合(ステップS23でNo)には、ステップS21に戻ってフローを繰り返す。なお、ここで言うところの規定の時間とは、任意に設定可能な時間であって、例えば10秒とする。
【0039】
ステップS24では、光ディスクDがターンテーブル11上に存在するか否かを判定する。また、光ディスクDがターンテーブル11上に存在するか否かについては、光ディスクDがターンテーブル11上にあるときにその光ディスクDによってオンされるように配置されたメカスイッチによって検出する。なお、光ディスクDがターンテーブル11上に存在する状態とは、図3(a)に示すように正常な状態で載置されている場合だけでなく、図3(c)のように一部分が載置されている場合も含む。そして、光ディスクDがターンテーブル11上に存在(つまり、装置内にディスクあり)すると判定した場合(ステップS24でYes)には、ステップS25に移る。また、装置内に光ディスクDが存在すると判定しなかった場合(ステップS24でNo)には、ステップS22に移る。
【0040】
ステップS25では、イジェクト処理が正常に終了していないと判定(つまり、異常終了判定)して、ステップS3に移る。
【0041】
図5に戻って、ステップS3では、ステップS2の正常終了判定処理において正常終了判定が行われていた場合(ステップS3でYes)には、フローを終了する。また、ステップS2の正常終了判定処理において異常終了判定が行われていた場合(ステップS3でNo)には、ステップS4に移る。
【0042】
ステップS4では、イジェクト処理が規定の回数以上繰り返された(つまり、規定のリトライ回数に達した)か否かを判定する。イジェクト処理の回数のカウント方法としては、本フローにおいてステップS1を1回繰り返すごとに1回増やすものとする。そして、規定のリトライ回数に達したと判定した場合(ステップS4でYes)には、ステップS5に移る。また、規定のリトライ回数に達したと判定しなかった場合(ステップS4でNo)には、ステップS1に戻ってフローを繰り返す。なお、規定のリトライ回数は、例えば3回とする。
【0043】
ステップS5では、イジェクト処理においてターンテーブル11が下方向に下限まで傾ききっていなかったり、ターンテーブルに固定している光ディスクDの固定が解除されていなかったりした場合に、ターンテーブル11を下方向に下限まで傾かせたり、ターンテーブルに固定している光ディスクDの固定を解除したりする処理(以降では、強制イジェクト処理と呼ぶ)を行い、ステップS6に移る。
【0044】
ステップS6では、図示しない表示装置に、図4(b)で示したような、光ディスクDの「反り」によって光ディスク記録再生装置1内に光ディスクDが詰まった場合の処置の説明図を表示させ、ステップS7に移る。ステップS6では、図4(b)で示したような説明図をユーザに対して提示してみせることによって、ユーザに対してピンセット状工具で光ディスクDを取り出す作業を促すとともに、この作業を支援する。
【0045】
ステップS7では、光ディスク記録再生装置1内から光ディスクDが取り出されたか否か(つまり、ピンセット状工具を用いてユーザが光ディスクDを装置内から取り出すことが出来たか否か)を判定する。光ディスク記録再生装置1内から光ディスクDが取り出されたか否かについては、光ディスクDがターンテーブル11上に存在するか否かによって判定する。なお、光ディスクDがターンテーブル11上に存在するか否かについては、ステップS24で示したのと同様に、メカスイッチを用いて検出する。そして、光ディスクDが取り出されたと判定した場合(ステップS7でYes)には、フローを終了する。また、光ディスクDが取り出されたと判定しなかった場合(ステップS7でNo)には、ステップS8に移る。
【0046】
ステップS8では、図示しない表示装置に、図4(c)で示したような、光ディスクDの「ばり」によって光ディスク記録再生装置1内に光ディスクDが詰まった場合の処置の説明図を表示させ、ステップS9に移る。ステップS8でも、図4(c)で示したような説明図をユーザに対して提示してみせることによって、ユーザに対してピンセット状工具で光ディスクDを取り出す作業を促すとともに、この作業を支援する。なお、図4(c)で示したような、光ディスクDの「ばり」によって光ディスク記録再生装置1内に光ディスクDが詰まった場合の処置を行えば、図4(d)に示したような、異形の光ディスクDによって光ディスク記録再生装置1内に光ディスクDが詰まった場合の光ディスクDの取り出しも可能であるので、本実施形態では、異形の光ディスクDによって光ディスク記録再生装置1内に光ディスクDが詰まった場合の処置の説明図は表示装置に表示しないものとする。
【0047】
ステップS9では、ステップS7と同様にして、光ディスク記録再生装置1内から光ディスクDが取り出されたか否か(つまり、ピンセット状工具を用いてユーザが光ディスクDを装置内から取り出すことが出来たか否か)を判定する。そして、光ディスクDが取り出されたと判定した場合(ステップS9でYes)には、フローを終了する。また、光ディスクDが取り出されたと判定しなかった場合(ステップS9でNo)には、ステップS10に移る。
【0048】
ステップS10では、ユーザによる光ディスクDの取り出しは困難であるものとして、図示しない表示装置に、例えばサポートセンターへの問い合わせの指示(つまり、対応指示)を表示させ、フローを終了する。
【0049】
なお、本実施形態では、ステップS6において、図4(b)で示したような説明図のみを表示装置に表示させる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、図4(b)で示したような説明図に加えて、「工具でディスクをはさみ、下方向にディスクを下げることによってディスクのつかえを外し、ディスクをディスク挿出口から強制的に取り出す」などの説明文をさらに表示させる構成であってもよい。
【0050】
また、本実施形態では、ステップS8において、図4(c)で示したような説明図のみを表示装置に表示させる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、図4(c)で示したような説明図に加えて、「工具でディスクをはさみ、上下方向にディスクを揺らすことによってターンテーブルからディスクを抜き取り、ディスクをディスク挿出口から強制的に取り出す」などの説明文をさらに表示させる構成であってもよい。
【0051】
なお、本実施形態では、異形の光ディスクDによって光ディスク記録再生装置1内に光ディスクDが詰まった場合の処置の説明図は表示装置に表示しない構成を示したが、必ずしもこれに限らず、図4(d)に示したような説明図を表示装置に表示させる構成であってもよい。また、この場合、図4(d)に示したような説明図に加えて、例えば「工具でディスクをはさみ、上方向にディスクを上げることによってターンテーブルからディスクを抜き取り、ディスクをディスク挿出口から強制的に取り出す」などの説明文をさらに表示させる構成であってもよい。
【0052】
以上の構成によれば、切り欠き部32の大きさが、光ディスクDを取り出すためのピンセット状工具を挿入して光ディスクDをはさむことができる程度の大きさであるので、光ディスク記録再生装置1内に詰まって排出されなくなった光ディスクDを、ユーザがより容易に取り出すことができる。また、ディスク挿出口3が切り欠き部32の分だけ広くなっているが、切り欠き部32の領域を不織布4で覆っているので、ディスク挿出口3から光ディスク記録再生装置1内に侵入する埃の量の増加を抑えることができる。さらに、不織布4を用いているため、フィルムや紙などを用いる場合に比べて耳障りな音がしにくいうえ、織布と違ってほつれた繊維が光ディスクに付着するといった問題も生じにくい。
【0053】
なお、光ディスク記録再生装置1は、車両に搭載されるナビゲーション装置、オーディオ/ビジュアル機器、ゲーム機器等、種々の電子機器に搭載することが可能である。
【0054】
また、本実施形態では、ディスク挿出口3の長手方向の長さは125mmとし、短手方向の長さは2mmとする構成を示したが、ディスク挿出口3の長手方向の長さおよび短手方向の長さは、光ディスク記録再生装置1で用いる光ディスクの直径に応じて任意に設定可能である。
【0055】
さらに、本実施形態では、拡大開口領域長手方向長は10mmとし、拡大開口領域短手方向長は4mmとする構成を示したが、必ずしもこれに限らない。拡大開口領域長手方向長および拡大開口領域短手方向長は、光ディスクDを光ディスク記録再生装置1内から取り出すための工具を挿入して光ディスクDを保持することが可能なだけの長さがありさえすればよく、例えば矩形開口部31の長手方向の全長にわたる切り欠き部32が設けられる構成であってもよい。しかしながら、防塵上の問題および外観上の問題から、拡大開口領域長手方向長および拡大開口領域短手方向長は小さく抑えることが好ましいため、矩形開口部31の長手方向の全長のうちの一部に切り欠き部32が設けられる構成が好ましく、例えば、拡大開口領域長手方向長を10mm〜20mmとし、拡大開口領域短手方向長を4mm〜10mmとすることが好ましい。
【0056】
なお、本実施形態では、方形の切り欠き部32を矩形開口部31に設ける構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、方形以外の略矩形の切り欠き部を設ける構成であってもよいし、弧形の切り欠き部を設ける構成であってもよい。つまり、拡大開口領域長手方向長が一律の値をとらない構成としてもよいし、拡大開口領域短手方向長が一律の値をとらない構成としてもよい。
【0057】
また、本実施形態では、矩形開口部31の長手方向のほぼ中心の両側に互いに対抗して切り欠き部32を設ける構成、つまり切り欠き部32を2つ設ける構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、切り欠き部32を1つしか設けない構成であってもよいし、切り欠き部32を3つ以上設ける構成であってもよい。
【0058】
さらに、本実施形態では、矩形開口部31の長手方向のほぼ中心に切り欠き部32を設ける構成を示したが、必ずしもこれに限らない。矩形開口部31の長手方向のほぼ中心にあたる位置以外の位置に切り欠き部32を設ける構成であってもよく、例えば、矩形開口部31の長手方向の中心よりも端部に近い位置に切り欠き部32を設ける構成であってもよい。
【0059】
なお、本実施形態では、切り欠き部32を不織布4によって覆う構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、切り欠き部32が設けられた領域以外の矩形開口部31の一部も不織布4によって覆う構成としてもよい。この場合には、ディスク挿出口3から光ディスクDの挿入・排出を行うことが出来るように不織布4に一本の切れ目を設ける必要がある。
【0060】
また、本実施形態では、筐体2に不織布4を備える構成を示したが、必ずしもこれに限らない。筐体2には、他の可撓性のシート部材を備える構成であってもよく、例えばフィルム、紙、織布、人工皮革などを不織布4の代わりに用いる構成であってもよい。また、筐体2に不織布4などの可撓性のシート部材を備えない構成であってもよい。
【0061】
なお、本実施形態では、ピンセット状工具の先端が平たい板状をしているとともに、その板状の部分にはラバーを用いる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、ピンセット状工具の先端は平たい板状の形状以外の形状であってもよい。また、ピンセット状工具の先端には、摩擦係数が高く、光ディスクに傷をつけにくい材質でありさえすれば、ラバー以外を用いる構成であってもよい。
【0062】
また、本実施形態では、光ディスク記録再生装置1内に詰まった光ディスクDを取り出すための工具としてピンセット状工具を用いる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。光ディスク記録再生装置1内に詰まった光ディスクDを取り出すための工具としては、光ディスク記録再生装置1内に詰まった光ディスクDを保持することが可能な工具でありさえすればよく、例えばクリップ状のものなどであってもよい。
【0063】
さらに、本実施形態では、光ディスク記録再生装置1に本発明を適用する構成を示したが、必ずしもこれに限らず、光ディスクの記録・再生のうち再生のみを行う光ディスク再生装置に本発明を適用する構成であってもよい。
【0064】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】光ディスク記録再生装置1の外形を模式的に示す斜視図である。
【図2】(a)は、図1の光ディスク記録再生装置1の正面図であり、(b)は、図2(a)の光ディスク記録再生装置1のIIB―IIB線断面図であり、(c)は、図1の光ディスク記録再生装置1のIIC―IIC線断面図である。
【図3】(a)は、光ディスクD排出前の光ディスク記録再生装置1の装置内の状態を示す図であり、(b)は、光ディスクDを正常に排出する光ディスク記録再生装置1の装置内の状態を示す図であり、(c)〜(e)は、光ディスクDを正常に排出できなかった光ディスク記録再生装置1の装置内の状態を示す図である。
【図4】(a)は、光ディスク記録再生装置1内に詰まった光ディスクDを取り出すためのピンセット状の工具の一例を示す図である。(b)〜(d)は、光ディスク記録再生装置1内に光ディスクDが詰まった場合の処置についての説明図である。
【図5】光ディスクDの排出時における光ディスク記録再生装置1の動作フローである。
【図6】正常終了判定処理の概略を示す動作フローである。
【符号の説明】
【0066】
1 光ディスク記録再生装置(光ディスク装置)、2 筐体、3 ディスク挿出口、4 不織布(可撓性を有するシート部材)、11 ターンテーブル、12 搬送ローラ、31 矩形開口部(ディスク挿出開口領域)、32 切り欠き部(拡大開口領域)、D 光ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクが挿出されるディスク挿出口が設けられた筐体を備え、スロットイン方式により前記ディスク挿出口からの前記光ディスクの挿入が行われる光ディスク装置であって、
前記ディスク挿出口は、前記光ディスクが挿出されるために必要となる矩形状のディスク挿出開口領域を有するとともに、ディスク挿出口をディスク挿出開口領域よりもそのディスク挿出開口領域の短手方向に拡大する拡大開口領域を有することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
前記拡大開口領域として、切り欠き部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記切り欠き部は、前記ディスク挿出開口領域の両側に互いに対向して1つずつ設けられていることを特徴とする請求項2に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記切り欠き部は、前記ディスク挿出開口領域の長手方向のほぼ中心に設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の光ディスク装置。
【請求項5】
前記光ディスクが挿出可能に前記ディスク挿出口に設けられ、前記拡大開口領域を少なくとも覆う可撓性のシート部材をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−151876(P2009−151876A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−329181(P2007−329181)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】