説明

光ディスク装置

【課題】ラップ量を大きく設定でき、ディスクを確実にクランプ解除できるとともに、ディスクと他の機構部とのクリアランスを確保し、設計自由度、動作余裕度の向上した光ディスク装置を提供する。
【解決手段】光ディスク装置は、光ディスク11を保持して回転するディスクモータ12と、ディスクモータを昇降可能に支持したモータ支持機構と、ディスクモータを上昇位置、下降位置、上昇位置と下降位置との間のディスク駆動位置の間で昇降させるモータ昇降機構と、光ディスクに当接して光ディスクの移動を規制するクランプ解除位置と、光ディスクから離間する退避位置との間を昇降可能に設けられたクランプ解除部材20と、ディスクモータの昇降に同期してクランプ解除部材を昇降させる解除部材昇降機構と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ディスク状の情報記録媒体、例えば円盤状の光ディスクに情報を記録し、または光ディスクから情報を再生する光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報記録再生装置として、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)等の光ディスクに対して情報を記録/再生する光ディスク装置が広く知られている。
【0003】
光ディスク装置は、例えば、コンピュータに内蔵されるスリム型の光ディスク装置は、偏平な矩形箱状に形成された筐体と、光ディスクを支持および回転するモータおよびターンテーブルと、ターンテーブルに載置された光ディスクに対して情報を記録、再生する光ピックアップ等の駆動部、光ディスクを光ディスク装置内部の所定の位置に引き込み、また確実に排出するためのディスクローディング機構と、光ディスクを回転させるディスクモータ等を備えている。
【0004】
ディスクローディング機構としては、光ディスクあるいは光ディスクが収容されているカートリッジが載置されるトレイを有し、トレイが装置内部から突出されることで、光ディスクが搭載可能となるトレイタイプと、光ディスクを装置内部に引き込むスロットインタイプとに大別される。
【0005】
スロットインタイプのディスクローディング機構は、光ディスク装置の厚さを低減可能であり、自動車等に搭載されるオーディオ・ビデオシステムや携帯型パーソナルコンピュータ等に代表される組み込み式の光ディスク装置に、広く採用されている。
【0006】
スロットインタイプのディスクローディング機構においては、光ディスクのローディング時、ターンテーブルおよびモータが所定位置から上昇して、そのクランプ部が光ディスクに嵌合することにより、光ディスクを所定位置に支持する。また、光ディスクをターンテーブルからリリースおよびイジェクトする場合、ターンテーブルおよびモータが光ディスクとともに下降し、所定位置に固定配置された板状のディスクカバーに光ディスクを係止し、この状態で、ターンテーブルおよびモータのみを更に下降させることにより、光ディスクがターンテーブルのクランプ部からリリースされる(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−39193号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記光ディスク装置のように、光ディスクをリリースするためのディスクカバーが装置内の所定位置に固定配置されている場合、ディスクカバーを光ディスクのローディングおよびリリースに最適な位置に配設することが難しい。すなわち、光ディスク装置の薄型化に伴い、ターンテーブルおよびモータの昇降ストロークはあまり大きく取ることができず、ディスクカバーと他の機構部との間、および光ディスクと他の機構部との間のクリアランスを充分に確保することが困難となる。そのため、光ディスク装置に衝撃等が作用した際、ディスクカバーが他の機構部と干渉する可能性がある。
【0008】
また、光ディスクがディスクカバーに当接してから、更に、ターンテーブルが下降移動する距離、すなわち、ラップ量を充分に確保することが難しい。光ディスクをターンテーブルのクランプ部から確実にクランプ解除するためには、このラップ量を充分に確保することが望まし。
【0009】
この発明は以上の点に鑑みてなされたもので、その目的は、ラップ量を大きく設定でき、ディスクを確実にクランプ解除できるとともに、ディスクと他の機構部とのクリアランスを確保し、設計自由度、動作余裕度の向上した光ディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の態様に係る光ディスク装置は、光ディスクが載置されるターンテーブルおよびターンテーブルに設けられ前記光ディスクをクランプするクランプ部を有し、前記光ディスクを保持して回転するディスクモータと、前記ディスクモータを昇降可能に支持したモータ支持機構と、所定位置に装填された光ディスクに対して、前記ディスクモータを、前記クランプ部が前記光ディスクをクランプする上昇位置と、前記光ディスクから離間する下降位置と、上記上昇位置と下降位置との間のディスク駆動位置との間で昇降させるモータ昇降機構と、前記光ディスクに当接して光ディスクの移動を規制するクランプ解除位置と、前記光ディスクから離間する退避位置との間を昇降可能に設けられたクランプ解除部材と、前記ディスクモータの昇降に同期して前記クランプ解除部材を昇降させる解除部材昇降機構と、を備えている。
【発明の効果】
【0011】
上記構成によれば、ラップ量を大きく設定でき、ディスクを確実にクランプ解除できるとともに、ディスクと他の機構部とのクリアランスを確保し、設計自由度、動作余裕度の向上した光ディスク装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、この発明の実施形態に係る光ディスク装置について詳細に説明する。
【0013】
図1は、本実施形態に係る光ディスク装置をそのトップカバーを取外して内部構造を示している。図1に示すように、光ディスク装置は、例えば、携帯可能なパーソナルコンピュータ等に内蔵されるスロットインタイプの光ディスク装置として構成されている。この光ディスク装置は、ベースとなるボトムカバー10aおよびボトムカバーの上面開口を覆った図示しないトップカバーとを有している。ボトムカバー10aは、板金によりほぼ矩形状に形成され、周縁部がほぼ直角に折曲げられ、側壁を構成している。ボトムカバー10aは、装填される光ディスク11よりも大きな面積に形成されている。
【0014】
ボトムカバー10aのほぼ中心部には、光ディスク11を支持および回転するディスクモータ12が設けられ、また、ディスクモータの周囲には、メカシャーシ14が設けられている。このメカシャーシ14には、光ディスク11に対してレーザ光を照射し、情報を記録、再生する光ピックアップ(光ヘッド)16、および光ピックアップを光ディスクの径方向に沿って移動させる図示しないヘッド駆動機構が設けられている。
【0015】
また、ボトムカバー10a上には、ディスクモータ12をその回転軸の方向に沿って昇降させるモータ昇降機構18、クランプ解除スライダ20、解除部材昇降機構としてのスライダ昇降機構22、モータ昇降機構およびスライダ昇降機構を駆動するカム駆動機構24が設けられている。更に、ボトムカバー10a上には、光ディスク11を装置内にローディングするとともに、装置から外方にイジェクトする図示しないローディング機構が設けられている。
【0016】
図2は、ディスクモータ、モータ支持機構、モータ昇降機構、クランプ解除スライダを一部分解して示し、図3は、ディスクモータの一部を取外して、モータ昇降機構のカム部材およびクランプ解除スライダを示している。図4は、ディスクモータをその底面側から示し、図5は、カム部材を示している。図6は、ディスクモータ、クランプリング、その他、周辺部材との関係を概略的に示している。
【0017】
図1ないし図4に示すように、ディスクモータ12は、円盤状の底板26と、底板上に設けられた円筒状のモータケース28と、モータの回転軸に取り付けられたターンテーブル30と、を有している。ターンテーブル30の中央部には、光ディスク11の内孔に係合する円形のハブ31が突設され、更に、ハブの外周3箇所には、ボールチャッキング爪32が形成されている。これらのボールチャッキング爪32は、ハブ31を光ディスク11の内孔に挿入した状態で、光ディスクの内周縁部をチャックし、光ディスクをターンテーブル30上にクランプする。ハブ31およびボールチャッキング爪32はクランプ部を構成している。
【0018】
底板26の外周縁部の3箇所には、カム当接突起34a、34b、34cが固定されている。これらのカム当接突起34a、34b、34cは、円周方向に沿って、例えば、90度以上の離間を置いて設けられ、また、それぞれディスクモータ12の中心軸と平行な方向に沿って延びているとともにモータケース28の僅かに外側に配置されている。各カム当接突起34a、34b、34cの下端部は後述するカムに当接する係合部を形成し、上端部は、ばねを掛けるばね掛け部を形成している。
【0019】
一方、図1ないし図3、および図5、図6に示すように、ボトムカバー10aの中央部には、3つの板状の昇降ガイド36が立設され、各昇降ガイドには、ボトムカバーに対して垂直に延びるガイドスリット36aが形成されている。ボトムカバー10aにおいて各昇降ガイド36の両側には、ばね掛け孔37が形成されている。
【0020】
ボトムカバー10a上において、3つの昇降ガイド36の外側には、円弧状のリングガイドリブ40が突設され、ディスクモータ12の中心軸とほぼ同軸的に延びている。カム部材として機能する円弧状のクランプリング42がボトムカバー10a上に載置され、リングガイドリブ40によりディスクモータ12の中心軸の周りで回動自在にガイドされている。これにより、クランプリング42は、ディスクモータ12の外側に、僅かに隙間を置いて配置されている。
【0021】
図2、図3、図5、図6に示すように、クランプリング42には、3つの昇降カム43a、43b、43cが形成されている。これらの昇降カム43a、43b、43cは、クランプリング42の円周方向に沿って互いに離間して位置し、モータの底板26に設けられたカム当接突起34a、34b、34cに対応する位置関係に設けられている。クランプリング42には、昇降カム43aの外側に位置した解除カム44が形成されている。この解除カム44は、昇降カム43aに対して、クランプリング42の円周方向に沿って所定の位相だけずれて設けられている。更に、図7に示すように、クランプリング42は、その外周面から径方向外方に突出して係合爪45を有している。このようなクランプリング42は、例えば、合成樹脂により一体成形されている。
【0022】
図1ないし図3、および図6に示すように、ディスクモータ12は、カム当接突起34a、34b、34cがそれぞれ対応する昇降ガイド36のガイドスリット36a内に昇降可能に係合し、ガイドされている。これにより、ディスクモータ12は、昇降ガイド36によりボトムカバー10aの平面方向の位置が規制されているとともに、モータの回転軸と平行な方向に沿って昇降可能に支持されている。
【0023】
ディスクモータ12のカム当接突起34a、34b、34cに形成されたばね掛け部には、付勢部材、例えば、コイルばね38の中央部が掛けられ、更に、このコイルばねの両端がばね掛け孔37に係止されている。これら3つのコイルばね38により、カム当接突起34a、34b、34cおよびディスクモータ12は、ボトムカバー10a側に付勢されて、カム当接突起34a、34b、34cはクランプリング42の昇降カム43a、43b、43c上にそれぞれ弾性的に押し付けられている。これにより、ディスクモータ12の高さ方向、すなわち、中心軸方向の位置が決められている。
【0024】
このように、昇降ガイド36、クランプリング42、コイルばね38、およびカム当接突起34a、34b、34cにより、ディスクモータ12を昇降自在に支持する支持機構19が構成されている。
【0025】
図1および図7に示すように、ボトムカバー10a上において、メカシャーシ14の外側には、クランプリング42をディスクモータ12の回転軸の周りで回動させるカム駆動機構24が設けられている。カム駆動機構24は、ディスクモータ12の回転軸と交差する方向に沿って往復移動可能に設けられたカムスライダ46と、ギア列48を介してカムスライダを移動させるローディングモータ49と、ディスクモータの回転軸と平行な軸の周りで回動可能にボトムカバー10a上に設けられたクランプレバー50とを有している。クランプレバー50は、カムスライダ46のカム溝46aに係合した第1係合部50aと、クランプリング42の係合爪45と係合した第2係合部50bとを有ししている。
【0026】
ローディングモータ49が駆動されると、その駆動力がギア列48を介してカムスライダ46に伝達され、カムスライダが直線的にスライドされる。これに伴い、カムスライダ46によりクランプレバー50が回動され、このクランプレバーによりクランプリング42が回動される。そして、クランプリング42が回動し昇降カム43a、43b、43cが移動することにより、ディスクモータ12のカム当接突起34a、34b、34cが昇降カムに沿って昇降され、その結果、ディスクモータ12が昇降される。
【0027】
このように、クランプリング42、カム当接突起34a、34b、34c、カム駆動機構24により、ディスクモータ12を昇降させるモータ昇降機構18が構成されている。
【0028】
図6に示すように、ボトムカバー10aの開口部を覆ってトップカバー10bが設けられ、このトップカバーは、ディスクモータ12のターンテーブル30と隙間を置いて対向している。トップカバー10bには、ディスクモータ12の上昇時、ハブ31を逃がす円形の逃げ孔52が形成され、また、逃げ孔52の外周部には、光ディスク11の内周部分に当接し、ハブ31のボールチャッキング爪32に光ディスクをクランプさせる係止リブ54が形成されている。
【0029】
次に、光ディスク11のクランプを解除するクランプ解除機構について説明する。図2、図3、図6に示すように、クランプ解除機構は、クランプ解除部材として機能するクランプ解除スライダ20を備え、このクランプ解除スライダは、メカシャーシ14のディスクモータ開口部に形成されたガイド溝53に係合し、ディスクモータ12の回転軸と平行な方向に沿って昇降可能に支持されている。
【0030】
クランプ解除スライダ20の上端部は、光ディスク11の内周部に当接可能な当接突起20aを形成し、中間部は、クランプリング42の解除カム44に係合したカム当接部20bを形成している。クランプ解除スライダ20は、このクランプ解除スライダとメカシャーシ14との間に架設された樹脂ばね21により、ボトムカバー10a側に付勢され、カム当接部20bは解除カム44に弾性的に押し当てられている。樹脂ばね21は、例えば、合成樹脂によりクランプ解除スライダ20と一体に成形されている。
【0031】
カム駆動機構24によりクランプリング42が回動されると、クランプ解除スライダ20は、解除カム44によりディスクモータ12の昇降に同期して昇降され、当接突起20aが光ディスク11の内周部に当接して光ディスクの移動を規制するクランプ解除位置と、当接突起20aが光ディスクから離間する退避位置との間を移動される。
【0032】
このように、解除カム44を有するクランプリング42、カム駆動機構24により、ディスクモータ12の昇降に同期してクランプ解除スライダ20を昇降させるスライダ昇降機構22が構成されている。すなわち、カムスライダ46のスライド動作によりクランプリング42が回動してディスクモータ12およびクランプ解除スライダ20を昇降駆動し、光ディスク11をクランプおよびクランプ解除するように構成されている。
【0033】
次に、以上のように構成された光ディスク装置のディスククランプ解除動作について説明する。ここでは、ディスク駆動中からクランプ解除(ディスク排出待機状態)までの動作を5段階にて説明する。
【0034】
図8は、光ディスク11がディスクモータ12のターンテーブル30上に載置され、ハブ31とクランプした状態、つまり、光ディスク11をディスクモータ12により回転させた動作状態を示している。ディスクモータ12は、ディスク駆動位置に保持され、クランプ解除スライダ20は、下降して退避位置に保持されている。光ディスク11は、トップカバー10b、クランプ解除スライダ20のディスク当接突起20aから適当なクリアランスC1を持った高さに保持されて駆動されている。図示しないイジェクトスイッチ等が押下されると、クランプ解除動作が開始される。
【0035】
図9は、クランプ解除開始時の状態を示している。クランプ解除動作が開示されると、カム駆動機構24により、クランプリング42が反時計方向に回動され、クランプリングに形成された昇降カム43a、43b、43cおよび解除カム44によりディスクモータ12およびクランプ解除スライダ20が上昇される。昇降カム43a、43b、43cおよび解除カム44の位相設定により、クランプ解除スライダ20はディスク当接突起20aが光ディスク11に接触するクランプ解除位置に達する。ディスクモータ12は光ディスク11の内周部がトップカバー10の係止リブ54に当接する上昇位置に上昇する。
【0036】
この状態で、クランプリング42が更に反時計方向に回動されると、図10に示すように、クランプ解除スライダ20は解除カム44によってクランプ解除位置に保持されたまま、ディスクモータ12が下降される。この間、光ディスク11もディスクモータ12とともに下降しようとするが、クランプ解除スライダ20のディスク当接突起20aに当たり移動が規制される。これにより、ディスクモータ12のハブ31と光ディスク11とのクランプが解除され、ディスクモータ12のみが下降し、光ディスク11はディスク当接突起20aに保持される。
【0037】
この際、クランプ解除スライダ20は、クランプ解除位置に上昇して保持されているため、クランプ解除スライダ20が光ディスクに当接した位置からディスクモータ12が下降移動する距離、すなわち、ラップ量C2を充分に確保することができる。これにより、光ディスク11のクランプが確実に解除される。
【0038】
続いて、図11に示すように、クランプリング42が更に反時計方向に回動されると、ディスクモータ12、クランプ解除スライダ20、およびクランプ解除された光ディスク11が下降して行き、図12に示すように、ディスクモータ12は駆動位置を越えて下方の下降位置まで移動し、クランプ解除スライダは光ディスクから十分に離間する退避位置に至る。
【0039】
この間、光ディスク11は、図示しないローディング機構のイジェクトアーム等により途中で搬送待機位置に保持される。これにより、ディスクモータ12のハブ31およびクランプ解除スライダ20のディスク当接突起20aは、光ディスク11に対して適正なクリアランスを持つ位置まで退避し、光ディスクの搬送待機状態となる。
なお、光ディスク11をディスクモータ12のハブ31にクランプする場合は、上述した一連の動作と可逆の動作が行われる。
【0040】
以上のように構成された光ディスク駆動装置によれば、クランプ解除用のクランプ解除スライダをディスクモータの昇降タイミングに同期させて自在に制御することにより、ディスクのクランプ解除を最適のタイミングで行うことができるとともに、十分なラップ量を設定し、確実にクランプを解除することができる。また、ディスク駆動時およびディスク搬送動作時には、光ディスクとクランプ解除スライダとの間に十分なクリアランスを待たせることができ、光ディスク装置の設計自由度および動作余裕度が向上する。
【0041】
更に、クランプされた光ディスクとクランプ解除スライダとの相対接近速度を大きく設定することができ、クランプ負荷が減少し、スライダ昇降機構を構成するローディングモータの消費電力を低減することが可能となる。クランプ解除をディスク下側に設けられた構造物からより離れた位置で行うことができ、ディスクの記録面を保護し、信頼性の向上を図ることができる。
【0042】
また、ディスクモータを昇降させるモータ昇降機構およびクランプ解除スライダを昇降させるスライダ昇降機構は、共通のクランプリングおよびカム駆動機構により構成されているため、ディスクモータおよびクランプ解除スライダを正確なタイミングで同期して昇降動作させることができ、クランプ解除動作の信頼性を向上することが可能となる。
【0043】
以上のことから、ラップ量を大きく設定でき、ディスクを確実にクランプ解除できるとともに、ディスクと他の機構部とのクリアランスを確保し、設計自由度、動作余裕度の向上した光ディスク装置が得られる。
【0044】
この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
例えば、クランプ解除部材の形状は、上述したスライダに限定されることなく、種々変形可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、この発明の実施形態に係る光ディスク装置をそのトップカバーを取外して内部構造示す斜視図。
【図2】図2は、上記光ディスク装置のディスクモータ、モータ支持機構、モータ昇降機構、クランプ解除スライダを一部分解して示す斜視図。
【図3】図3は、前記ディスクモータの一部を取外して、モータ昇降機構のカム部材およびクランプ解除スライダを示す斜視図。
【図4】図4は、前記ディスクモータをその底面側から見た斜視図。
【図5】図5は、カム部材を示す斜視図。
【図6】図6は、ディスクモータ、クランプリング、その他、周辺部材との関係を概略的に示す断面図。
【図7】図7は、ディスクモータ、クランプリングおよびカム駆動機構を示す斜視図。
【図8】図8は、前記光ディスク装置のディスク駆動状態を示す光ディスク装置の断面図。
【図9】図9は、前記光ディスク装置のクランプ解除動作開始時の状態を示す光ディスク装置の断面図。
【図10】図10は、前記光ディスク装置のクランプ解除時の状態を示す光ディスク装置の断面図。
【図11】図11は、前記光ディスク装置のディスク離脱時の状態を示す光ディスク装置の断面図。
【図12】図12は、前記光ディスク装置のクランプ解除動作完了時およびディスク搬送待機時の状態を示す光ディスク装置の断面図。
【符号の説明】
【0046】
10a…ボトムカバー、10b…トップカバー、11…光ディスク、
12…ディスクモータ、14…メカシャーシ、18…モータ昇降機構、
19…モータ支持機構、20…クランプ解除スライダ、24…カム駆動機構、
30…ターンテーブル、31…ハブ、32…ボールチャッキング爪、
34a、34b、34c…カム当接突起、36…昇降ガイド、42…クランプリング、
43a、43b、43c…昇降カム、44…解除カム、46…カムスライダ、
49…ローディングモータ、50…クランプレバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクが載置されるターンテーブルおよびターンテーブルに設けられ前記光ディスクをクランプするクランプ部を有し、前記光ディスクを保持して回転するディスクモータと、
前記ディスクモータを昇降可能に支持したモータ支持機構と、
所定位置に装填された光ディスクに対して、前記ディスクモータを、前記クランプ部が前記光ディスクをクランプする上昇位置と、前記光ディスクから離間する下降位置と、上記上昇位置と下降位置との間のディスク駆動位置との間で昇降させるモータ昇降機構と、
前記光ディスクに当接して光ディスクの移動を規制するクランプ解除位置と、前記光ディスクから離間する退避位置との間を昇降可能に設けられたクランプ解除部材と、
前記ディスクモータの昇降に同期して前記クランプ解除部材を昇降させる解除部材昇降機構と、
を備えた光ディスク装置。
【請求項2】
前記モータ昇降機構および解除部材昇降機構は、前記ディスクのクランプ解除時、前記解除部材を前記クランプ解除位置に上昇させ、この解除部材をクランプ解除位置に保持した状態で、前記ディスクモータを下降位置に下降させる請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記モータ昇降機構は、前記ディスクモータの周囲に、前記ディスクモータの回転軸の周りで回動可能に設けられた円弧状のカム部材と、このカム部材に形成された昇降カムと、前記ディスクモータから突出し前記昇降カムに係合した係合部と、前記カム部材を回動させるカム駆動機構と、を有し、
前記モータ支持機構は、前記ディスクモータを支持およびガイドする昇降ガイドと、前記ディスクモータの前記係合部が前記昇降カムに押し当たる方向に前記ディスクモータを付勢した付勢部材と、を有し、
前記解除部材昇降機構は、前記カム部材に形成された解除カムと、前記クランプ解除部材を前記解除カムと係合する方向に付勢した付勢部材と、を有している請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記クランプ解除部材は、前記光ディスクに当接可能な当接部と、前記解除カムに係合したカム係合部と、を有し、前記ディスクモータの回転軸と平行な方向に沿って昇降可能に設けられている請求項3に記載の光ディスク装置。
【請求項5】
前記昇降カムおよび解除カムは、前記カム部材の回動方向に沿って位相がずれて形成されている請求項3に記載の光ディスク装置。
【請求項6】
前記カム駆動機構は、前記ディスクモータの回転軸と交差する方向に沿って往復移動可能に設けられたカムスライダと、前記カムスライダを移動させるローディングモータと、前記ディスクモータの回転軸と平行な軸の周りで回動可能に設けられているとともに、前記カムスライダに係合した第1係合部と前記カム部材に係合した第2係合部とを有し、前記カムスライダの移動に応じて回動し前記カム部材を回動させるクランプレバーと、を備えている請求項1に記載の光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−245531(P2009−245531A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−91721(P2008−91721)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】