説明

光ディスク装置

【課題】光ディスク装置において、光ディスクの認識エラーの発生原因を判別する。
【解決手段】BDレコーダは、第1閾値と第2閾値とが記憶されるメモリと、光ディスクドライブとを備える。光ディスクドライブは、レーザダイオードを含む光ピックアップと、レーザダイオードの駆動電流値を検出する電流検出回路とを有する。光ディスクに認識エラーが発生した場合(S1でYES)、BDレコーダは駆動電流値と第1閾値とを比較し(S2)、第1閾値を超えている場合(S3でYES)、レーザダイオードに異常が発生していると判別する。一方、第1閾値を超えていないとき(S3でNO)、BDレコーダは、駆動電流値が第2閾値未満である場合(S6でYES)、レーザダイオード以外の回路部品又は配線に異常が発生していると判別し(S7)、第2閾値未満でない場合(S6でNO)、汚れ等によって光ディスクに異常が発生していると判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクの認識エラーを判別可能な光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、レーザ光を照射するレーザダイオードを有する光ピックアップを備え、ブルーレイディスク等の光ディスクに対してデータの読み書きを行う光ディスク装置が知られている。この種の光ディスク装置では、レーザダイオードの発光強度が経年劣化により低下するため、レーザダイオードに流す電流量を増加させることにより所定の発光強度を維持している。しかし、レーザダイオードの劣化がさらに進むと所定の発光強度を維持できなくなるため、このような場合、光ディスクに対してデータの読み書きを正常に行うことができない等の異常状態(以下、認識エラーという)が発生する。
【0003】
ところで、認識エラーは、光ディスクの読み取り面が汚れていることによっても発生する。従って、上記従来の光ディスク装置では、認識エラーの発生原因が、光ディスクの汚れによるものか、又はレーザダイオードの劣化の問題によるものかを判別することができない。
【0004】
これに対して、特許文献1には、レーザダイオードの駆動電流値が所定の駆動電流値よりも大きいか否かを判別することにより、レーザダイオードの劣化を判定することができる光ディスク装置が開示されている。また、特許文献2には、レーザダイオードに流れる電流とモニタの出力電流との勾配に基づいて、レーザダイオードの劣化を判定する光ディスク装置が開示されている。これらの光ディスク装置では、認識エラーがレーザダイオードの劣化によるものであるか否かを判別することができるため上記問題を解決できる。しかしながら、認識エラーは、レーザダイオードの劣化以外に光ディスク装置内の回路部品等の不具合発生が原因である場合もある。しかし、上記特許文献1及び2に開示された光ディスク装置では、装置内部の問題によって認識エラーが発生したものであるか否かを判別することができないため、ユーザにとって使い勝手が悪い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−161995号公報
【特許文献2】特開2007−128593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、光ディスクの認識エラーの発生原因を判別することができる光ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、光ディスクに対してレーザ光を照射するためのレーザダイオードを有し、光ディスクに対してデータの読み書きを行う光ピックアップと、前記レーザダイオードの駆動電流値を検出する電流検出手段と、各種情報を記憶する記憶手段と、装置各部を制御する制御手段とを備える光ディスク装置において、前記記憶手段は、前記レーザダイオードに異常が発生しているか否かを判別するための第1閾値と、自装置内に異常が発生しているか否かを判別するための第2閾値とをそれぞれ記憶し、前記制御手段は、前記光ピックアップを用いて光ディスクからデータを読み書きするとき、前記電流検出手段によって検出された駆動電流値が前記第1閾値を超えている否かを判別し、この結果、超えている場合、前記レーザダイオードに異常が発生していると判別し、上記判別の結果、超えていない場合、前記駆動電流値が前記第2閾値未満であるか否かを判別し、この結果、前記第2閾値未満である場合、自装置内における前記レーザダイオード以外の回路部品又は配線に異常が発生していると判別し、上記判別の結果、前記第2閾値未満でない場合、光ディスクに異常が発生していると判別するものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光ディスク装置において、映像を表示可能なディスプレイを有する表示装置と接続するための接続手段と、前記接続手段に接続された前記表示装置に対して映像を出力する映像出力手段とをさらに備え、前記制御手段は、前記光ピックアップを用いて光ディスクからデータを読み書きするとき、前記レーザダイオードに異常が発生していると判別した場合、前記映像出力手段を用いて、該レーザダイオードに異常が発生している旨を報知するメッセージを前記表示装置のディスプレイ上に表示し、自装置内における前記レーザダイオード以外の回路部品又は配線に異常が発生していると判別した場合、前記映像出力手段を用いて、自装置内に異常が発生している旨を報知するメッセージを前記表示装置のディスプレイ上に表示し、光ディスクに異常が発生していると判別した場合、前記映像出力手段を用いて、該光ディスクに異常が発生している旨を報知するメッセージを前記表示装置のディスプレイ上に表示するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、制御手段は、駆動電流値が第1閾値を超えている場合、レーザダイオードに異常が発生していると判別する。また、制御手段は、駆動電流値が第1閾値を超えていない場合、駆動電流値が第2閾値未満であれば、自装置内におけるレーザダイオード以外の回路部品又は配線に異常が発生していると判別し、一方、第2閾値未満でなければ、光ディスクに異常が発生していると判別する。そのため、レーザダイオードに異常が発生している場合、及び光ディスクに異常が発生している場合に加えて、自装置内に異常が発生している場合についても発生原因を判別することができるのでユーザにとって使い勝手が良い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係るブルーレイディスクレコーダの構成を示すブロック図。
【図2】上記ブルーレイディスクレコーダの各閾値を示すリスト。
【図3】上記ブルーレイディスクレコーダの光ディスクドライブの概要構成を示すブロック図。
【図4】上記ブルーレイディスクレコーダの再生処理の手順を示すフローチャート。
【図5】上記ブルーレイディスクレコーダに接続されるモニタ装置に表示される映像を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態に係るブルーレイディスクレコーダ(光ディスク装置)について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、ブルーレイディスクレコーダ(以下、BDレコーダという)1の内部構成を示し、図2は、レーザダイオードの各種駆動電流値のリストを示す。BDレコーダ1は、3つのレーザダイオードを有し、ブルーレイディスク、DVD、及びCDの光ディスク媒体を再生することができる装置であり、HDMIケーブル3を介して接続されたモニタ装置2に映像や音声を出力する。モニタ装置2は、ディスプレイ21やスピーカ22を有する表示装置であり、BDレコーダ1から出力された映像をディスプレイ21に表示したり、音声をスピーカ22に出力したりする。
【0012】
BDレコーダ1は、放送局から放送されるテレビジョン(以下、TVという)放送信号に基づくTV番組を受信するチューナ(TV番組受信手段)11と、ユーザによって操作されるボタン等を有する操作部12とを備える。また、BDレコーダ1は、筐体外部に露出するように設けられたHDMI端子部(接続手段)13と、各種情報が記憶されるメモリ14と、光ディスクドライブ15と、装置各部の制御を行う制御用マイコン(制御手段)16とをさらに備える。
【0013】
メモリ14には、制御用マイコン16を動作させるためのプログラム14aと、第1閾値14bと、第2閾値14cとが記憶されている。第1閾値14bは、光ディスクドライブ15の光ピックアップ15aに設けられた各レーザダイオード31(31a、31b、31c:図3参照)に異常が発生しているか否かを判別するための値である。第2閾値14cは、自装置1内に異常が発生しているか否かを判別するための値である。
【0014】
第1閾値14b及び第2閾値14cは、各レーザダイオード31(図3参照)の特性に対応した値であり、例えば、図2のリストLに示すように、各レーザダイオード31の駆動電流値の最大値、及び最小値の値が予め算出されて記憶されている。ここでは、リストLに示すように、光ディスクDがCD(Compact Disc)である場合、第1閾値14bは最大値68mAであり、第2閾値14cは59.3mAである。また、光ディスクDがDVD(Digital Versatile Disc)である場合、第1閾値14bは最大値50.4mAであり、第2閾値14cは41.7mAである。また、光ディスクDがBD(Blu−ray Disc)である場合、第1閾値14bは最大値31.2mAであり、第2閾値14cは19.9mAである。
【0015】
光ディスクドライブ15は、光ディスクDに対してレーザ光を照射するための各レーザダイオード31(図3参照)が設けられた光ピックアップ15aを有する。光ピックアップ15aは、光ディスクドライブ15の内部に装着されたブルーレイディスク等の光ディスクDからテレビ番組等のデータの読み出しや書き込みを行う。
【0016】
制御用マイコン16は、映像出力部(映像出力手段)16aと、録画処理部16bと、エラー判別部16cとを有する。映像出力部16aは、チューナ11によって受信されたTV番組や、光ディスクドライブ15によって光ディスクDから読み出されたTV番組等の再生を行い、再生されたTV番組や各種メッセージを表示するための映像信号及び音声信号を、HDMIケーブル3を介してモニタ装置2に出力する。
【0017】
録画処理部16bは、例えばユーザによる操作部12の操作に基づいてチューナ11から受信されたTV番組を、光ディスクドライブ15を用いて光ディスクDに録画する。エラー判別部16cは、光ディスクDからデータの読み書きが正常に行えないエラー状態(以下、認識エラーという)が発生した場合に、第1閾値14b及び第2閾値14cの値に基づいて発生原因を判別する処理を行うものである。処理の詳細については後述する。
【0018】
次に、光ディスクドライブ15の光ピックアップ15aの周辺の構成について、図3を参照して説明する。図3は、光ディスクドライブ15の構成を示すブロック図である。
【0019】
光ディスクドライブ15は、光ピックアップ15aに加えて、レーザダイオードドライバ回路(以下、LDドライバ回路という)15bと、電流検出回路(電流検出手段)15cと、電流を供給する電源回路15dとを有する。光ピックアップ15aは、光ディスクDにレーザ光を照射する各レーザダイオード31に加えて、光ディスクDからの反射光を受光するフォトダイオード32を有する。各レーザダイオード31は、CDに対してデータの読み書きを行うレーザダイオード31aと、DVDに対してデータの読み書きを行うレーザダイオード31bと、BDに対してデータの読み書きを行うレーザダイオード31cとを含む。
【0020】
LDドライバ回路15bは、電源回路15dから供給される電流を各レーザダイオード31へ供給する。電流検出回路15cは、LDドライバ回路15bと電源回路15dとの間に接続され、レーザダイオード31の駆動電流値を検出し、検出した駆動電流値を制御用マイコン16に送信する。電流検出回路15cは、例えば、抵抗を含み、抵抗の両端にかかる電圧を検出し、この電圧値に基づき、レーザダイオード31の駆動電流値を求める。
【0021】
次に、光ディスクDの再生処理について図4、及び図5を参照して説明する。図4は、再生処理のフローチャートを示し、図5(a)〜(c)は、それぞれモニタ装置2のディスプレイ21上に表示されるメッセージの例を示す。ここでは、光ディスクドライブ15の内部に既に光ディスクDが装着されており、この光ディスクDからデータを読み取る際の処理を想定する。ここでは、光ディスクDとしてBDが装着されたものとし、第1閾値14b及び第2閾値14cにはBDに対応した値が格納されるものとする。
【0022】
まず、光ディスクDからデータの読み出しが行えない等の認識エラーが発生した場合(S1でYES)、制御用マイコン16は、エラー判別部16cを用いて、電流検出回路15cから送信されたレーザダイオード31cの駆動電流値と第1閾値14bとを比較する(S2)。一方、認識エラーが発生していない場合(S1でNO)、光ディスクDからデータを読み出す(S9)。
【0023】
そして、上記S2の比較の結果、駆動電流値が第1閾値14bを超えている場合(S3でYES)、レーザダイオード31cに異常が発生していると判別し、制御用マイコン16は、レーザダイオード31cに異常が発生している旨を報知する(S4)。具体的には、制御用マイコン16が、映像出力部16aを用いて、例えば図5(a)に示すように、レーザダイオード31cに異常が発生している旨を報知するメッセージをモニタ装置2のディスプレイ21上に表示する。
【0024】
一方、上記S2の比較の結果、駆動電流値が第1閾値14bを超えていない場合(S3でNO)、制御用マイコン16は、エラー判別部16cを用いて、駆動電流値が第2閾値14c未満であるか否かを判定する(S5)。この結果、第2閾値14c未満である場合(S6でYES)、自装置1内におけるレーザダイオード31c以外の回路部品又は配線、例えば、LDドライバ回路15bや、LDドライバ回路15bと電源回路15dとを結ぶ配線等に異常が発生していると判別し、その旨を報知する(S7)。具体的には、制御用マイコン16が、映像出力部16aを用いて、例えば図5(b)に示すように、自装置1内に異常が発生している旨を報知するメッセージをモニタ装置2のディスプレイ21上に表示する。
【0025】
一方、上記S5の比較の結果、第2閾値未満でない場合(S6でNO)、制御用マイコン16は、汚れ等によって光ディスクDに異常が発生していると判別し、その旨を報知する(S8)。具体的には、制御用マイコン16が、映像出力部16aを用いて、例えば図5(c)に示すように、光ディスクDに異常が発生している旨を報知するメッセージをモニタ装置2のディスプレイ21上に表示する。なお、ここでは、光ディスクDがBDである場合の例を示したが、光ディスクDがCDである場合やDVDである場合であっても、同様にレーザダイオード31a、31bに異常が発生している旨の報知を行うことができる。また、光ディスクDに認識エラーが発生した場合、レーザダイオード31a〜31cのそれぞれを順番に駆動させると共に、そのときの駆動電流値に対して上記図4に示した処理を行うことにより異常の発生原因を報知するものであってもよい。
【0026】
上述したように、本実施形態に係るBDレコーダ1においては、制御用マイコン16は、各レーザダイオード31の駆動電流値が第1閾値14bを超えている場合、各レーザダイオード31に異常が発生していると判別する。また、制御用マイコン16は、各レーザダイオード31の駆動電流値が第1閾値14bを超えていない場合、駆動電流値が第2閾値14c未満であれば、自装置1内における各レーザダイオード31以外の回路部品又は配線に異常が発生していると判別し、一方、第2閾値14c未満でなければ、光ディスクDに異常が発生していると判別する。そのため、各レーザダイオード31に異常が発生している場合、及び光ディスクDに異常が発生している場合に加えて、自装置1内に異常が発生している場合についても発生原因を判別することができるのでユーザにとって使い勝手が良い。
【0027】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、各レーザダイオード等に異常が発生した場合、音声によって異常が発生した旨をユーザに報知するものであってもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 BDプレーヤ(光ディスク装置)
2 モニタ装置(表示装置)
13 HDMI端子部(接続手段)
14 メモリ(記憶手段)
16 制御用マイコン(制御手段)
21 ディスプレイ
31 レーザダイオード
14b 第1閾値
14c 第2閾値
15a 光ピックアップ
15c 電流検出回路(電流検出手段)
16a 映像出力部(映像出力手段)
31a〜31c レーザダイオード
D 光ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクに対してレーザ光を照射するためのレーザダイオードを有し、光ディスクに対してデータの読み書きを行う光ピックアップと、
前記レーザダイオードの駆動電流値を検出する電流検出手段と、
各種情報を記憶する記憶手段と、
装置各部を制御する制御手段とを備える光ディスク装置において、
前記記憶手段は、
前記レーザダイオードに異常が発生しているか否かを判別するための第1閾値と、
自装置内に異常が発生しているか否かを判別するための第2閾値とをそれぞれ記憶し、
前記制御手段は、
前記光ピックアップを用いて光ディスクからデータを読み書きするとき、
前記電流検出手段によって検出された駆動電流値が前記第1閾値を超えている否かを判別し、この結果、超えている場合、前記レーザダイオードに異常が発生していると判別し、
上記判別の結果、超えていない場合、前記駆動電流値が前記第2閾値未満であるか否かを判別し、この結果、前記第2閾値未満である場合、自装置内における前記レーザダイオード以外の回路部品又は配線に異常が発生していると判別し、
上記判別の結果、前記第2閾値未満でない場合、光ディスクに異常が発生していると判別することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
映像を表示可能なディスプレイを有する表示装置と接続するための接続手段と、
前記接続手段に接続された前記表示装置に対して映像を出力する映像出力手段とをさらに備え、
前記制御手段は、
前記光ピックアップを用いて光ディスクからデータを読み書きするとき、
前記レーザダイオードに異常が発生していると判別した場合、前記映像出力手段を用いて、該レーザダイオードに異常が発生している旨を報知するメッセージを前記表示装置のディスプレイ上に表示し、
自装置内における前記レーザダイオード以外の回路部品又は配線に異常が発生していると判別した場合、前記映像出力手段を用いて、自装置内に異常が発生している旨を報知するメッセージを前記表示装置のディスプレイ上に表示し、
光ディスクに異常が発生していると判別した場合、前記映像出力手段を用いて、該光ディスクに異常が発生している旨を報知するメッセージを前記表示装置のディスプレイ上に表示することを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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