説明

光ディスク装置

【課題】光ディスクが回転したままディスクトレイが筐体外に搬出することによる部品の破損や怪我の恐れがない、低振動・低騒音の光ディスク装置を簡易な構造によって提供する。
【解決手段】ディスクトレイ方式の光ディスク装置100において、筐体16内側に取り付けられた制動部材6はディスクトレイ7がディスク記録再生位置とディスク脱着位置以外の所定の位置にあるときにおいて光ディスクと摺接し、ディスクトレイ7がディスク記録再生位置にあるときにディスクトレイ7に当接するように配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動低減を図った光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CDやDVD、BD(Blu-ray Disc)に代表されるような光ディスクは、近年その記録容量がますます増大する傾向にある。BD片面一層には25GB、二層で50GBのデータを記録することができ、さらに多層化が進められている。
【0003】
それに伴い、高速にデータの読み出し又は書き込みを実現するため、光ディスクのデータを記録/再生する光ディスク装置のディスク回転速度もいっそう速いものが要求されるようになっている。
【0004】
高速回転するディスクトレイ方式の光ディスク装置では、光ディスク装置の緊急停止などにより光ディスクの回転が止まり切らない状態(以下、残留回転という)でディスクトレイが筐体外に搬出される場合がある。この場合、回転する光ディスクによって使用者の怪我や光ディスク面への傷つき等を引き起こすことも考えられ、安全上でも問題が発生する可能性がある。また光ディスクの高速回転によってディスクトレイの振動という問題も当然のことながら発生する。
【0005】
このようにディスクトレイの振動を防止する構造として、例えば特許文献1にはディスクトレイ搬送方向に対して垂直な方向に取り付けられた弾性部材の押圧力でディスクトレイや、ディスクトレイの搬送手段であるラックスライドを押さえつける構造のものがある。この構造によってディスクトレイの振動を抑えることができる。
【0006】
また特許文献2では、残留回転を制止するために光ディスクの上表面に制動部材を接触させる構造のものが開示されている。
【0007】
さらに特許文献3では、残留回転を制止するために光ディスクの外周片に制動部材を接触させる構造のものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−117432号公報
【特許文献2】特開平9−213000号公報
【特許文献3】特開平9−212999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した光ディスク装置では、光ディスク回転速度の高速化に伴う機構振動の増大が高密度な光ディスク記録面への記録/再生性能に悪影響を及ぼし、振動音を増大させる問題がある。
【0010】
特に、光ディスクの駆動機構や記録再生機構を搭載する部分(以下、ディスクトレイと言う)を光ディスク装置の収容部から出し入れ自在としたディスクトレイ方式の光ディスク装置においては、ディスクトレイ搬送機構の滑らかな摺動のために隣接部品と隙間を持つ構造となっている。
【0011】
そのために、ディスクトレイの振動を他の部品に伝えて逃がすための振動伝達経路が十分に確保されず振動が増大したり、その振動によって隣接部品同士が衝突してビビリ音が発生したりする。ディスクトレイの振動が増大することによるビビリ音が発生すると、騒音の増加や使用時の不快感を引き起こす。
【0012】
つまり、ディスクトレイ方式特有の問題として、ディスクの回転にともなうディスクトレイ自体の振動によって発生する振動がある。ディスクトレイ自体が振動すると光ピックアップを搭載したアクチュエータ自体も振動してしまい、光ディスク装置としての性能に大きな影響を与えしまう。また、増大したディスクトレイの振動によって隣接部品同士が衝突してビビリ音が発生する。そのため、一般的にはディスクトレイの振動をトップケース等に伝えて振動を緩和させるという防振対策が考えられる。しかしながらディスクトレイを滑らかに摺動させるために摺動用レールの部品間に隙間を設けているため、振動伝達経路を十分に確保するのは難しい(なお、もう一つの方式であるスロット方式はディスクトレイがないのでこのような問題はない)。
【0013】
また、ディスクトレイ方式の光ディスク装置では、光ディスク装置の緊急停止などにより光ディスクの回転が止まり切っていない状態で筐体外に搬出される可能性がある。これによって怪我や部品の破損等が引き起こされる可能性があり、非常に危険である。
【0014】
前述したディスクトレイの振動問題に対して特許文献1はドロワー(ディスクトレイ)を押圧バネで押圧する構造となっているが、光ディスクの残留回転を防止することについては配慮されていない。また特許文献2及び特許文献3は前述した光ディスクの残留回転防止については開示されているがディスクトレイの振動防止については配慮されていない。
【0015】
本発明の目的は、光ディスクの残留回転による怪我や光ディスク面の傷付き等を防止するだけではなく、ディスクトレイの振動を抑えた光ディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的は、トップカバーとボトムカバーによって形成された筐体と、この筐体の内壁面に固定された制動部材と、光ディスクを装着して回転駆動させるスピンドルモータと、光ディスクの記録面の情報を再生・記録するためのピックアップと、前記スピンドルモータと前記ピックアップを搭載したディスクトレイとを備え、このディスクトレイが前記筐体内部のディスク記録・再生位置と前記筐体外部のディスク脱着位置との間を摺動する光ディスク装置において、前記制動部材は前記ディスクトレイが前記ディスク記録再生位置と前記ディスク脱着位置以外の所定の位置にあるときにおいて光ディスクと摺接し、前記ディスクトレイが前記ディスク記録再生位置にあるときは前記ディスクトレイの一部に当接するように配置されたことにより達成される。
【0017】
また上記目的は、前記制動部材は前記ディスクトレイの一部に設けられた突出片に当接することにより達成される。
【0018】
また上記目的は、前記ディスクトレイの一部に設けられた突出片に傾斜面を設け、この傾斜面に前記制動部材が当接することにより達成される。
【0019】
前記制動部材が前記光ディスクと摺接するときは、前記制動部材は前記光ディスクのラベル面と接触し、このラベル面に対して垂直方向でかつ前記ラベル面を押圧することにより達成される。
【0020】
また上記目的は、前記制動部材が前記ディスクトレイに当接しているときは、前記制動部材は前記ディスクトレイを前記光ディスクの回転軸に平行な方向に押圧するような位置に設置されていることにより達成される。
【0021】
また上記目的は、前記制動部材が前記ディスクトレイに当接しているときは、前記制動部材が前記ディスクトレイを前記光ディスクのラベル面に対して平行な方向に押圧するような位置に前記制動部材が設置されていることにより達成される。
【0022】
また上記目的は、前記制動部材が前記ディスクトレイに当接しているときは、前記制動部材は前記ディスクトレイを前記光ディスクの回転軸に平行な方向に押圧し、かつ前記光ディスクのラベル面に対して平行な方向に押圧するような位置に設置されていることにより達成される。
【0023】
また上記目的は、前記制動部材が前記ディスクトレイに当接したときは、前記制動部材の当接面となる部分の少なくともその一部がスロープ状となっていることにより達成される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、光ディスクの残留回転による怪我や光ディスク面への傷付き等を防止をするだけではなく、ディスクトレイの振動を抑えた光ディスク装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】一般的な光ディスク装置の構成を示す分解斜視図である。
【図2】一般的な光ディスク装置の部品配置を示した模式図である。
【図3】本発明の一実施例を備えた光ディスク装置の模式図である。
【図4】本発明の一実施例を備えた光ディスク装置の模式図である。
【図5】本発明の他の一実施例を備えた光ディスク装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
ところで、ロックが解除されてディスクトレイが外部に搬出される際には、スピンドルモータの回転を止める制御が行われ光ディスクの回転が停止されるようになっている。しかしながら上述したように電源供給停止などの異常終了が起こったときにディスクトレイを排出(引き出される)された場合、光ディスクの回転停止の制御が行われず、慣性によって光ディスクが回転したまま筐体外部に搬出されてしまう場合がある。
【0027】
その場合、高速に回転する光ディスクで使用者が指を怪我したり光ディスクに傷を付けたりする可能性がある。
【0028】
そこで本発明の発明者らは特許文献2、3に記載された光ディスクの回転を強制的に止めるパッド(以下、制動部材という)でディスクトレイの振動緩和にも兼用させることを種々検討した結果、以下のような実施例を得た。
【0029】
以下、本発明の一実施例を図にしたがって説明する。
【0030】
本発明の一実施例を説明するにあたり、一般的な光ディスク装置の構成を図1、図2を用いて説明する。
【0031】
図1は一般的な光ディスク装置の分解斜視図である。図2は一般的な光ディスク装置の部品配置を示す模式図であり、図2(a)はディスクトレイが筐体外に搬出される途中における光ディスク装置の上面図、図2(b)はディスクトレイ7が筐体内に搬入された位置にある光ディスク装置の上面図である。
【0032】
なお、ディスクトレイ7が筐体16の内部から外部へ搬出される方向をx軸正方向、光ディスク200面に対して垂直にボトムケース14からトップカバー15に向かう方向をz軸正方向として座標を定義する。
【0033】
図1において、光ディスク装置100は薄板金属板をプレス成形したボトムカバー14とトップカバー15とが組み合わせられることによって筐体16が形成されている。ディスクトレイ7はボトムカバー14の内側に取り付けられているガイドレール3a,3bにラックスライド1a、1bを介して支持されており、ラックスライド1a、1b及びディスクトレイ7はガイドレール3a,3bのレール方向に摺動自在となっている。上記トップカバー15の内壁面には制動部材6が貼り付けられている。この制動部材6はゴムやスポンジ等の弾性部材で形成されており、本図では光ディスク200のラベル面と対向する位置となっている。光ディスク200の記録・再生が終了しディスクトレイ7が排出されたときに制動部材6が光ディスク200の面に接触して回転が強制的に停止されるようになっている。
【0034】
ディスクトレイ7には光ディスクを装着して回転駆動するスピンドルモータ10と、光ディスク記録面の情報を再生または記録面へ情報を記録するピックアップ9を搭載したユニットメカ8が3個のインシュレータ(図示せず)を介して取り付けられている。ディスクトレイ7の前方にはディスクトレイ7が筐体16内部に収納されているときに筐体16前方の蓋となるベゼル12が取り付けられている。このベゼル12の前面にはディスクトレイ7を開閉させるためのスイッチ11が取り付けられている。
【0035】
ディスクトレイ7にはディスクトレイ押出機構13が取り付けられている。このディスクトレイ押出機構13は前方に押し込むことが可能で、押し込まれた際はディスクトレイ押出機構13内部の図示しない弾性体が自然長より収縮する構造になっている。
【0036】
光ディスクに記録された情報の再生および情報の記録はディスクトレイ7が筐体16内部の所定の搬入位置に収納されているときに行われる。記録再生している間は図示しないロック機構によってディスクトレイ7が筐体16外部に搬出されないようになっている。その際、ディスクトレイ押出機構13はボトムカバー14によって押し込まれ、ディスクトレイ押出機構13内部の弾性体が収縮した状態のまま固定されている。
【0037】
図2(a)において、光ディスク200をスピンドルモータ10から脱着するためにはディスクトレイ7を筐体16の外部に搬出することになる。その際にはベセル12に取り付けられたスイッチ11が押されるか、もしくは図示しない外部接続機器からイジェクト命令が出された際の信号を図示しないCPU(Central Processing Unit)が検知し、ロック機構にロック解除の命令を行うことによってロックが解除される。
【0038】
なお、図1では特許文献2のように制動部材6が光ディスクのラベル面に接触して制動する構造を示したが、図2(a)(b)は特許文献3のように制動部材6が光ディスク200の外周エッジ部分に接触して停止させる構造を示している。
【0039】
上述したロック機構のロックが解除されると図2(a)のように、ディスクトレイ押出機構13内部の弾性体が収縮した状態から自然長に戻る力でディスクトレイ7が筐体16の外部まで矢印方向に押し出される。この時、制動部材6に光ディスク200の外周エッジが接触するので光ディスクの回転が停止する。これは制動部材6が光ディスク200のエッジ側から矢印Fa方向に押圧することになるからである。
【0040】
図2(b)において、ディスクトレイ7を筐体16の外部から筐体16の内部に搬入する際は、ディスクトレイ7を筐体16内部の光ディスク記録再生位置まで手動で搬入するとラッチ機構(図示せず)によりロック機構が作動してディスクトレイ7の移動がロックされる。この時、制動部材6に光ディスク200の外周エッジ部分が接触しながら押し込まれるものの、光ディスク200は制動部材6を通過し回転には全く支障がない位置でロックされる。光ディスク200の記録再生を行う際はスピンドルモータ10の駆動により光ディスク200を高速で回転させる。
【0041】
このとき、光ディスク200が高速で回転すると、光ディスク200の寸法誤差による偏重心や、光ディスクをスピンドルモータ10に固定する際の光ディスクとスピンドルモータ10の回転軸ずれによる偏重心によってディスク回転一次の振れ回り振動が発生する。
【0042】
また、上述したように記録再生時に高速回転していた光ディスクが記録再生終了後も回転が残留したままディスクトレイ7が筐体16の外部に搬出されると、回転する光ディスクに人の指が触れて怪我したり、指が筐体16等の隣接部品に触れて光ディスクや装置の部品が破損する恐れがあり好ましくない。
【0043】
以上のごとく、一般的な光ディスク装置に取り付けられた制動部材6は図2(a)に示すように、制動部材6はディスクトレイ7搬送中においてのみ有効である。しかし図2(b)に示すように光ディスク駆動中においては、制動部材6は光ディスクやその他の部品とは接触しない位置に配置されていたためディスクトレイの振動防止には全く寄与するものではなかった。
【0044】
そこで、本発明の発明者らは制動部材をディスクトレイの回転止めとしての機能だけではなく、ディスクトレイの振動防止としての機能を付加することを考えたものである。
【実施例1】
【0045】
図3は本発明の一実施例を備えた光ディスク装置の模式図であり、図3(a)は本実施例を備えた光ディスクを上面図である。図3(b)はその光ディスク装置を断面した図である。
【0046】
図3において、ディスクトレイ7は薄板金属板をプレス成形したボトムカバー14とトップカバー15によって覆われている。このディスクトレイ7は図1に示したガイドレール3a,3bのレール方向に摺動自在となっている。
【0047】
ディスクトレイ7には光ディスクを装着して回転駆動するスピンドルモータ10が取り付けられている。ディスクトレイ7の前方にはディスクトレイ7が筐体16内部に収納されているときに筐体16前方の蓋となるベゼル12が取り付けられている。光ディスク200に記録された情報の再生および情報の記録はディスクトレイ7が筐体16内部の所定の搬入位置に収納されているときに行われる。
【0048】
制動部材6は図1で説明したようにトップカバー15の内壁面に接着されている。しかしながら図1と異なるのはディスクトレイ7が筐体16内に収納されたときの制動部材6の位置はディスクトレイ7の一部を押圧する位置であり、ディスクトレイ7が排出されるときは図3(b)のように光ディスク200の面をFb方向に押圧する方向に接触する位置となっている。ディスクトレイ7の一部には制動部材6が当接する突出片7aが設けられている。この突出片7aには傾斜面部7bを有している。
【0049】
図4は本実施例を備えた光ディスク装置であり、図4(a)はディスクトレイが収納された状態を示す上面図である。図4(b)は図4(a)の断面図である。図4(c)はディスクトレイが引き出される状態を示す断面図である。
【0050】
図4(a)において、制動部材6は光ディスク200の上面(シール面)を接触しながら通過し、完全に閉じられた状態では青銅部材6はディスクトレイ7の突出片7aに当接している。ディスクトレイ7が完全に収納された状態では制動部材6は図4(b)のようにトップカバー15とディスクトレイ7の突出片7aとの間に挟まれて圧縮状態となっている。
【0051】
本実施例ではディスクトレイ7の突出片7aに傾斜面部7bを設けた。この傾斜面部7bは制動部材6と突出片7aとが当接したとき制動部材7aは面に当接するので制動部材7aのめくれが防止できる。つまり傾斜面部7bがないと突出片7は制動部材6の接着面に対して同じ方向に圧力を加えてしまうためトップカバー15との接着が剥がれてしまう可能性があるからである。
【0052】
図4(c)はロックが解除されたディスクトレイ7が引き出された状態である。この状態では制動部材6は突出片6aから離れ、次に光ディスク200の表面(ラベル面)に接触するので光ディスク200の回転を止めることができる。
【0053】
以上のごとく、本実施例によれば光ディスク駆動中も光ディスクの回転一次の振れ回り振動によるディスクトレイ7の振動を制動部材6を介して筐体16に逃がす振動伝達経路を形成することができるのでディスクトレイ7の振動を低減できる。
【0054】
つまり、ディスクトレイ7搬送中の光ディスクの回転止めの機能を備えつつ、光ディスク駆動時のディスクトレイ7の振動低減の機能の2つを1つの簡易な構造によって実現できる。従って、構造の簡易化によるコスト低減や小型化・軽量化が可能となる。
【0055】
以上のごとく本実施例によれば、制動部材6が光ディスクに摺接した際にディスク面内方向の力が発生することはなく、この制動部材6を用いることによりスピンドルモータ10中心軸に対する光ディスクの重心ずれが増加することはない。
【0056】
尚、制動部材6は複数個設置してもよい。
【実施例2】
【0057】
図5は他の実施例を備えた光ディスク装置であり、図5(a)はディスクトレイが筐体から搬出される途中の上面図である。図5(b)はディスクトレイと制動部材の拡大斜視図である。図5(c)はディスクトレイと制動部材が接触した状態を示す斜視図である。
【0058】
なお、ディスクトレイ7が筐体16の内部から外部へ搬出される方向をx軸正方向、光ディスク面に対して垂直にボトムケース14からトップカバー15に向かう方向をz軸正方向として、座標を定義する。
【0059】
図5において、本実施例における制動部材6はディスクトレイ7が筐体16内部から外部へ搬出されるときに最初に光ディスクが摺接する部分である制動部材後端部A、及びディスクトレイ7が筐体16外部から内部へ搬入されるときに最初に光ディスクが摺接する部分である制動部材前端部Bがスロープ状となっている。これにより、制動部材6が光ディスクの側面と引っ掛かりを生じることなく、ラベル面とスムーズに摺接を開始することができる。
【0060】
また、ディスクトレイ7が筐体16の内部に搬入されたときに制動部材6が当接する部分であるディスクトレイ面Cは、図4に示すように制動部材6のスロープ形状にかみ合うようなスロープ形状としている。この構造を持つ場合、光ディスク駆動中に制動部材6がトレイを押圧する力をx、y、z軸各方向に分解すると図5(c)に示すFx、Fy、Fzのようになる。つまり、x、y、z軸全ての方向に対して押圧力が働くこれにより、光ディスク駆動中のディスクトレイ7の振動の各軸成分全てに対して振動低減の効果を得ることができる。
【0061】
ディスクトレイ7は滑らかな摺動のために図1に示したラックスライド1a、1bやガイドレール3a,3bなどの周辺部品に対してある程度の隙間が設けられている。しかし、光ディスク記録再生時には実施例1で述べた光ディスク回転一次の振れ回り振動が発生する。そのため、ディスクトレイ7と周辺部品との隙間が原因で接触振動、いわゆるガタ振動やそれによるビビリ音が発生し、騒音性能が著しく劣化してしまう。
【0062】
しかしながら、本実施例の構造を取ることによってディスク駆動時には制動部材6の押圧力の方向にラックスライド1と周辺部品との隙間を詰める(ガタ寄せする)ことができる。これにより、部品間の隙間の存在が原因となるガタ振動やビビリ音のない光ディスク装置が提供できる。
【0063】
尚、制動部材6とディスクトレイ7の接触部全てがスロープ状となっていなくてもよく、一部分だけをスロープ状としてもよい。また、本実施例に示す構造を複数設置してもよい。
【0064】
以上のごとく本発明によれば、光ディスクの内部に設置された制動部材が、ディスクトレイが筐体内部から外部へ搬送される途中において光ディスクと摺接し、ディスクトレイがディスク記録再生位置にあるときにおいてディスクトレイと当接する構造とした。これにより、光ディスクが回転したままディスクトレイが筐体外に搬出することによる部品の破損や怪我の恐れがない、低振動・低騒音の光ディスク装置を簡易な構造で提供することができる。
【符号の説明】
【0065】
1・・・ラックスライド、3・・・ガイドレール、6・・・制動部材、7・・・ディスクトレイ、8・・・ユニットメカ、9・・・ピックアップ、10・・・スピンドルモータ、11・・・スイッチ、12・・・ベゼル、13・・・押出機構、14・・・ボトムカバー、15・・・トップカバー、16・・・筐体、100・・・光ディスク装置、200・・・光ディスク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トップカバーとボトムカバーによって形成された筐体と、この筐体の内壁面に固定された制動部材と、光ディスクを装着して回転駆動させるスピンドルモータと、光ディスクの記録面の情報を再生・記録するためのピックアップと、前記スピンドルモータと前記ピックアップを搭載したディスクトレイとを備え、
このディスクトレイが前記筐体内部のディスク記録・再生位置と前記筐体外部のディスク脱着位置との間を摺動する光ディスク装置において、
前記制動部材は前記ディスクトレイが前記ディスク記録再生位置と前記ディスク脱着位置以外の所定の位置にあるときにおいて光ディスクと摺接し、前記ディスクトレイが前記ディスク記録再生位置にあるときは前記ディスクトレイの一部に当接するように配置されたことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
請求項1記載の光ディスク装置において、
前記制動部材は前記ディスクトレイの一部に設けられた突出片に当接することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
請求項1記載の光ディスク装置において、
前記ディスクトレイの一部に設けられた突出片に傾斜面を設け、この傾斜面に前記制動部材が当接することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項4】
請求項1記載の光ディスク装置において、
前記制動部材が前記光ディスクと摺接するときは、前記制動部材は前記光ディスクのラベル面と接触し、このラベル面に対して垂直方向でかつ前記ラベル面を押圧することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項5】
請求項1記載の光ディスク装置において、
前記制動部材が前記ディスクトレイに当接しているときは、前記制動部材は前記ディスクトレイを前記光ディスクの回転軸に平行な方向に押圧するような位置に設置されていることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項6】
請求項1記載の光ディスク装置において、
前記制動部材が前記ディスクトレイに当接しているときは、前記制動部材が前記ディスクトレイを前記光ディスクのラベル面に対して平行な方向に押圧するような位置に前記制動部材が設置されていることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項7】
請求項1記載の光ディスク装置において、
前記制動部材が前記ディスクトレイに当接しているときは、前記制動部材は前記ディスクトレイを前記光ディスクの回転軸に平行な方向に押圧し、かつ前記光ディスクのラベル面に対して平行な方向に押圧するような位置に設置されていることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項8】
請求項1記載の光ディスク装置において、
前記制動部材が前記ディスクトレイに当接したときは、前記制動部材の当接面となる部分の少なくともその一部がスロープ状となっていることを特徴とする光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−165250(P2011−165250A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−25379(P2010−25379)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【Fターム(参考)】