光ディスク装置
【課題】フォトディテクタに対する反射光のスポットの位置ずれによってフォーカスエラー信号に生じるずれを補正できる光ディスク装置を提供する。
【解決手段】光ディスク媒体に光を集光する対物レンズと、互いに並んで配列され、光ディスク媒体からの反射光の光量に応じた出力信号を出力する複数の受光素子と、それぞれ対応する受光素子の出力信号を増幅する複数の増幅器と、各増幅器が出力する増幅信号に基づいてフォーカスエラー信号を出力する信号出力回路と、を備え、フォーカスエラー信号に基づいて対物レンズの信号面からの距離を一定に保つよう対物レンズの位置を制御するフォーカスサーボ制御を実行し、光ディスク媒体からの情報の読み取り精度が高くなる位置に対物レンズを移動させ、その後に各増幅器が出力する増幅信号のレベルが互いに近くなるように各増幅器のゲインを調整する光ディスク装置である。
【解決手段】光ディスク媒体に光を集光する対物レンズと、互いに並んで配列され、光ディスク媒体からの反射光の光量に応じた出力信号を出力する複数の受光素子と、それぞれ対応する受光素子の出力信号を増幅する複数の増幅器と、各増幅器が出力する増幅信号に基づいてフォーカスエラー信号を出力する信号出力回路と、を備え、フォーカスエラー信号に基づいて対物レンズの信号面からの距離を一定に保つよう対物レンズの位置を制御するフォーカスサーボ制御を実行し、光ディスク媒体からの情報の読み取り精度が高くなる位置に対物レンズを移動させ、その後に各増幅器が出力する増幅信号のレベルが互いに近くなるように各増幅器のゲインを調整する光ディスク装置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CDや、DVD、Blu−ray Disc(登録商標)などの光ディスク媒体に記録された情報を読み取る光ディスク装置、その制御方法、その制御プログラム及び当該プログラムを記憶した情報記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種の光ディスク媒体が情報記録媒体として利用されている。一般に、光ディスク媒体は、情報を記録するデータ記録層や、データ記録層を保護する保護層など、複数の層を積層した構造を有している。このような光ディスク媒体に記録された情報の読み取りを行うために、光ディスク装置が用いられる。光ディスク装置は、光ディスク媒体に対して光を照射し、その光ディスク媒体での反射光を検出するための光学ピックアップを備えている。
【0003】
光ディスク装置が光ディスク媒体に記録された情報を読み取る際には、この光学ピックアップ内の対物レンズのフォーカスを、光ディスク媒体の信号面(データ記録層の表面)に合わせる必要がある。そこで光ディスク装置は、情報の読み取りの際には、光学ピックアップからの出力信号に基づいて、対物レンズのフォーカスが信号面に一致するフォーカス状態を検出するフォーカス検出動作を行う(例えば特許文献1参照)。
【0004】
光ディスク装置は、信号面に対する対物レンズのフォーカスのずれを示すフォーカスエラー信号(以下、FE信号と表記する)を用いて、非点収差法によりフォーカス状態を検出することができる。具体的に、対物レンズを光ディスク媒体の表面に徐々に近づけた場合、対物レンズのフォーカスが信号面に合うタイミングの近傍で、FE信号がS字の波形を示す。このようなFE信号の波形を利用して、光ディスク装置はフォーカス状態を検出する。以下では、対物レンズのフォーカスが信号面に合った状態での対物レンズの位置を合焦位置という。
【0005】
FE信号の生成方法の具体例について、説明する。図9A〜図9Cは、光学ピックアップ内のフォトディテクタに光ディスク媒体からの反射光が照射されて形成されるスポットSの形状を示す図である。これらの図において、スポットSは一点鎖線で示されている。ここではフォトディテクタは、2行2列のマトリクス状に配置された4個の受光素子Da〜Ddを含んで構成されており、これらの受光素子Da〜Ddは、それぞれ光ディスク媒体からの反射光を受けてその光量を示す信号を出力する。対物レンズのフォーカスが信号面に合っていれば、スポットSは図9Aに示すように円形となり、受光素子Da〜Ddのそれぞれは、互いに略等しい光量の光を検出することになる。しかしながら、対物レンズのフォーカスが信号面からわずかにずれると、スポットSは楕円形になり、しかも対物レンズが光ディスク媒体に近づく方向にずれた場合と光ディスク媒体から離れる方向にずれた場合とでこの楕円の長軸方向が変化する。図9Bは対物レンズが合焦位置よりも光ディスク媒体に近づいた場合のスポットSを示しており、図9Cは対物レンズが合焦位置よりも光ディスク媒体から離れた場合のスポットSを示している。
【0006】
受光素子Da〜Ddのそれぞれが出力する出力信号のレベルをLa〜Ldとすると、FE信号レベルLfeは、例えば
Lfe=(La+Lc)−(Lb+Ld)
によって算出される。(La+Lc)は、フォトディテクタの検出面の右上から左下に向かう対角線に沿って配置された受光素子Da及びDcの受光量の総和を示している。この対角線は、図9Bに示したような、対物レンズが合焦位置よりも光ディスク媒体に近づいた場合にスポットSが形成する楕円の長軸方向に一致している。また、(Lb+Ld)は、上記の対角線と交差する対角線に沿って配置された受光素子Db及びDdの受光量の総和を示している。この対角線は、図9Cに示したような、対物レンズが合焦位置よりも光ディスク媒体から離れた場合にスポットSが形成する楕円の長軸方向に一致している。そのため、対物レンズを徐々に光ディスク媒体に近づけた場合、まず合焦位置の手前でスポットSは図9Cに示すような形状となり、FE信号は負のピークを示す。その後に合焦位置でスポットSは図9Aに示すような円形となり、このときのFE信号の大きさは0となる。さらに対物レンズが光ディスク媒体に近づくと、スポットSは図9Bに示すような形状となり、このときのFE信号は正のピークを示す。図10は、このような制御を実行した場合に合焦位置近傍でFE信号が示すS字波形を示している。光ディスク装置は、対物レンズを光ディスク媒体に近づけながら、FE信号がいったん負のピークを示した後に0となるタイミングを検出するか、あるいは、対物レンズを光ディスク媒体から遠ざけながら、FE信号が正のピークを示した後に0となるタイミングを検出することによって、対物レンズの合焦位置を特定することができる。いったん合焦位置が特定されれば、光ディスク装置は、このときのFE信号のレベルを保つように対物レンズの位置を調整するフィードバック制御(フォーカスサーボ制御)を行うことによって、対物レンズのフォーカスが光ディスク媒体の信号面に合った状態を維持することができる。光ディスク媒体からの情報の読み出しは、このフォーカスサーボ制御の実行中に行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4001024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来例の光ディスク装置において、図9Aに示したようなスポットSの位置がフォトディテクタの中心位置からずれてしまうと、合焦位置の正確な検出が困難になってしまう。なぜなら、スポットSの位置が中心位置からずれると、スポットSが円形になっても、FE信号の大きさが0にならず、正負いずれかにずれてしまうからである。このようなFE信号のずれは、各種の要因によって引き起こされる。例えば、光ディスク装置の製造時におけるフォトディテクタの取り付け位置が反射光の光軸からずれると、FE信号にもずれが生じる。また、光ディスク装置の使用中には、上述したフォーカスサーボ制御のほかに、光ディスク媒体の信号面に設けられたトラックに追従するように対物レンズを光ディスク媒体の径方向に沿って移動させるトラッキングサーボ制御も行われる。このトラッキングサーボ制御は、光ディスク媒体の表面に平行な方向に沿って、対物レンズをレーザ光の光軸に対して相対的に移動させる制御である。そのため、このようなトラッキングサーボ制御に伴う対物レンズの移動によって、反射光のフォトディテクタに対する相対位置も移動することになる。この対物レンズの相対移動によって、FE信号に現れるS字波形が合焦位置に対して非対称となり、フォーカス検出精度に影響を及ぼすおそれがある。
【0009】
本発明は上記実情を考慮してなされたものであって、その目的の一つは、フォトディテクタに対する反射光のスポットの位置ずれによってFE信号に生じるずれを補正することのできる光ディスク装置、その制御方法、その制御プログラム、及び当該プログラムを記憶した情報記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る光ディスク装置は、光ディスク媒体に記録された情報を読み取る光ディスク装置であって、前記光ディスク媒体に光を集光する対物レンズと、互いに並んで配列され、前記光ディスク媒体からの反射光を受けて、当該反射光の光量に応じた出力信号を出力する複数の受光素子と、それぞれ、前記複数の受光素子のうちの対応する受光素子が出力する出力信号を増幅する複数の増幅器と、前記複数の増幅器のそれぞれが出力する増幅信号に基づいて、前記光ディスク媒体の信号面に対する前記対物レンズの焦点位置のずれを示すフォーカスエラー信号を出力する信号出力回路と、前記フォーカスエラー信号に基づいて、前記対物レンズの前記信号面からの距離を一定に保つよう前記対物レンズの位置を制御するフォーカスサーボ制御手段と、前記光ディスク媒体からの情報の読み取り精度が高くなる位置に前記対物レンズを移動させる位置調整手段と、前記位置調整手段が前記対物レンズを移動させた後における、前記複数の増幅器それぞれが出力する増幅信号のレベルが互いに近くなるように、前記複数の増幅器それぞれのゲインを調整するゲイン調整手段と、を含むことを特徴とする。
【0011】
前記光ディスク装置において、前記ゲイン調整手段は、前記位置調整手段により前記対物レンズを移動させた後における、前記複数の増幅器それぞれが出力する増幅信号のレベルが互いに近くなり、かつ、前記複数の増幅器それぞれが出力する増幅信号の総和が調整前後で変わらないように、前記複数の増幅器それぞれのゲインを調整することとしてもよい。
【0012】
また、前記光ディスク装置において、前記位置調整手段は、前記対物レンズの位置を変化させて、互いに異なる複数の位置のそれぞれにおける前記光ディスク媒体からの情報の読み取り精度を示す評価値を取得し、当該取得した複数の評価値に応じて決まる位置に前記対物レンズを移動させることとしてもよい。
【0013】
さらに、前記光ディスク装置において、前記評価値はジッター値であってもよい。
【0014】
また、本発明に係る光ディスク装置の制御方法は、情報が記録された光ディスク媒体に光を集光する対物レンズと、互いに並んで配列され、前記光ディスク媒体からの反射光を受けて、当該反射光の光量に応じた出力信号を出力する複数の受光素子と、それぞれ、前記複数の受光素子のうちの対応する受光素子が出力する出力信号を増幅する複数の増幅器と、前記複数の増幅器のそれぞれが出力する増幅信号に基づいて、前記光ディスク媒体の信号面に対する前記対物レンズの焦点位置のずれを示すフォーカスエラー信号を出力する信号出力回路と、を備える光ディスク装置の制御方法であって、前記フォーカスエラー信号に基づいて、前記対物レンズの前記信号面からの距離を一定に保つよう前記対物レンズの位置を制御するフォーカスサーボ制御ステップと、前記光ディスク媒体からの情報の読み取り精度が高くなる位置に前記対物レンズを移動させる位置調整ステップと、前記位置調整ステップで前記対物レンズを移動させた後における、前記複数の増幅器それぞれが出力する増幅信号のレベルが互いに近くなるように、前記複数の増幅器それぞれのゲインを調整するゲイン調整ステップと、を含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係るプログラムは、情報が記録された光ディスク媒体に光を集光する対物レンズと、互いに並んで配列され、前記光ディスク媒体からの反射光を受けて、当該反射光の光量に応じた出力信号を出力する複数の受光素子と、それぞれ、前記複数の受光素子のうちの対応する受光素子が出力する出力信号を増幅する複数の増幅器と、前記複数の増幅器のそれぞれが出力する増幅信号に基づいて、前記光ディスク媒体の信号面に対する前記対物レンズの焦点位置のずれを示すフォーカスエラー信号を出力する信号出力回路と、を備える光ディスク装置を制御するプログラムであって、前記フォーカスエラー信号に基づいて、前記対物レンズの前記信号面からの距離を一定に保つよう前記対物レンズの位置を制御するフォーカスサーボ制御手段、前記光ディスク媒体からの情報の読み取り精度が高くなる位置に前記対物レンズを移動させる位置調整手段、及び、前記位置調整手段が前記対物レンズを移動させた後における、前記複数の増幅器それぞれが出力する増幅信号のレベルが互いに近くなるように、前記複数の増幅器それぞれのゲインを調整するゲイン調整手段、としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に記憶されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光ディスク装置の構成例を表すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る光ディスク装置の光学ピックアップの内部構成例を表す概要図である。
【図3】フォーカスエラー信号を算出する回路の一例を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る光ディスク装置が実行する処理の流れの一例を示すフロー図である。
【図5】フォーカスバイアスの値と読み取り精度の評価値との関係の一例を示すグラフである。
【図6A】ゲイン調整を行わない場合において、対物レンズが光軸位置より光ディスク媒体の中心に近い位置にあるときに測定される信号のシミュレーション結果を示す図である。
【図6B】ゲイン調整を行わない場合において、対物レンズが光軸位置にあるときに測定される信号のシミュレーション結果を示す図である。
【図6C】ゲイン調整を行わない場合において、対物レンズが光軸位置より光ディスク媒体の外周に近い位置にあるときに測定される信号のシミュレーション結果を示す図である。
【図7A】第1実施形態に係る光ディスク装置によるゲイン調整を行う場合において、対物レンズが光軸位置より光ディスク媒体の中心に近い位置にあるときに測定される信号のシミュレーション結果を示す図である。
【図7B】第1実施形態に係る光ディスク装置によるゲイン調整を行う場合において、対物レンズが光軸位置にあるときに測定される信号のシミュレーション結果を示す図である。
【図7C】第1実施形態に係る光ディスク装置によるゲイン調整を行う場合において、対物レンズが光軸位置より光ディスク媒体の外周に近い位置にあるときに測定される信号のシミュレーション結果を示す図である。
【図8A】第2実施形態に係る光ディスク装置によるゲイン調整を行う場合において、対物レンズが光軸位置より光ディスク媒体の中心に近い位置にあるときに測定される信号のシミュレーション結果を示す図である。
【図8B】第2実施形態に係る光ディスク装置によるゲイン調整を行う場合において、対物レンズが光軸位置にあるときに測定される信号のシミュレーション結果を示す図である。
【図8C】第2実施形態に係る光ディスク装置によるゲイン調整を行う場合において、対物レンズが光軸位置より光ディスク媒体の外周に近い位置にあるときに測定される信号のシミュレーション結果を示す図である。
【図9A】対物レンズが合焦位置にある場合にフォトディテクタが検出するスポットの形状を示す図である。
【図9B】対物レンズが合焦位置よりも光ディスク媒体に近づいた場合にフォトディテクタが検出するスポットの形状を示す図である。
【図9C】対物レンズが合焦位置よりも光ディスク媒体から離れた場合にフォトディテクタが検出するスポットの形状を示す図である。
【図10】フォーカスエラー信号の波形の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。
【0018】
[第1実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る光ディスク装置1は、光ディスク媒体に記録された情報を読み取る装置であって、図1に示すように、媒体支持部11と、スピンドルモータ12と、光学ピックアップ13と、送りモータ15と、駆動回路16と、信号出力回路17と、サーボ信号処理部18と、記録信号処理部19と、制御部20と、を備えている。
【0019】
光ディスク装置1による情報読み出しの対象となる光ディスク媒体Mは、情報が記録されるデータ記録層と、その両側からデータ記録層を保護する保護層と、が積層されて構成される。以下では、データ記録層の表面を信号面という。なお、光ディスク媒体Mは複数のデータ記録層を含んでもよい。光ディスク装置1は、光ディスク媒体Mに記録された情報を読み取るだけでなく、光ディスク媒体Mに対して情報を書き込み可能に構成されてもよい。さらに、光ディスク装置1は、CDや、DVD、Blu−ray Discなど、複数種類の光ディスク媒体Mに記録された情報を読み取り可能に構成されてもよい。
【0020】
媒体支持部11は、光ディスク媒体Mを回転可能に支持する。また、この媒体支持部11は、スピンドルモータ12から伝達される動力によって光ディスク媒体Mを回転させる。
【0021】
光学ピックアップ13は、光ディスク媒体Mに対してレーザー光を照射し、照射した光の光ディスク媒体Mでの反射光を検出して、検出した反射光に応じた出力信号を出力する。図2は、光学ピックアップ13の内部構成の一例を示す図である。この図の例においては、光学ピックアップ13は、発光素子31と、偏光ビームスプリッタ32と、コリメータレンズ33と、コリメータレンズ駆動部34と、立ち上げミラー35と、対物レンズ36と、フォトディテクタ37と、対物レンズ駆動部38と、を備えている。
【0022】
発光素子31は、所定波長のレーザー光を出力する半導体レーザー素子である。発光素子31から出射された出射光は、偏光ビームスプリッタ32及びコリメータレンズ33を通過した後、立ち上げミラー35で反射される。さらに、立ち上げミラー35で反射された出射光は、対物レンズ36によって、対物レンズ36から焦点距離Fだけ離れた位置に集光され、光ディスク媒体Mによって反射される。
【0023】
光ディスク媒体Mにより反射された反射光は、対物レンズ36を通過した後、立ち上げミラー35で反射され、偏光ビームスプリッタ32によってフォトディテクタ37側に導かれる。フォトディテクタ37は、2行2列のマトリクス状に配置された4個の受光素子Da〜Ddを備えており、偏光ビームスプリッタ32によって導かれた反射光がこれらの受光素子Da〜Ddに到達すると、フォトディテクタ37は、4個の受光素子Da〜Ddのそれぞれが受光した光の強度に応じた信号を出力信号として出力する。なお、以下では、フォトディテクタ37において光ディスク媒体Mからの反射光が照射される範囲を、スポットSという。
【0024】
コリメータレンズ駆動部34は、アクチュエータ等により構成され、コリメータレンズ33をレーザー光の光軸方向に沿って前後に駆動する。コリメータレンズ駆動部34がコリメータレンズ33を光軸方向に沿って移動させることにより、対物レンズ36の球面収差補正が可能となる。
【0025】
対物レンズ駆動部38は、アクチュエータ等により構成され、対物レンズ36を、光ディスク媒体Mの径方向(以下、トラッキング方向という)、及び、光ディスク媒体Mの表面に垂直な方向(以下、フォーカス方向という)の2つの方向に沿って移動させる。対物レンズ駆動部38が対物レンズ36をフォーカス方向に沿って移動させることにより、対物レンズ36から光ディスク媒体Mの表面までの距離が変化する。
【0026】
送りモータ15は、光学ピックアップ13全体をトラッキング方向に沿って移動させる。この送りモータ15の駆動によって、光学ピックアップ13は、光ディスク媒体Mの中心近傍の位置から外周近傍の位置まで移動可能になっている。
【0027】
駆動回路16は、サーボ信号処理部18から入力される制御信号に従って、スピンドルモータ12、送りモータ15、コリメータレンズ駆動部34、及び対物レンズ駆動部38を駆動する駆動信号を出力する。この駆動回路16からの駆動信号に応じて、スピンドルモータ12の回転速度が変化することによって、光ディスク媒体Mの回転速度が制御される。また、この駆動回路16からの駆動信号に応じて対物レンズ駆動部38及び送りモータ15が駆動することによって、対物レンズ36の媒体回転軸からの距離、及び対物レンズ36の媒体表面までの距離が制御される。
【0028】
信号出力回路17、サーボ信号処理部18、記録信号処理部19、及び制御部20は、例えば、光学ピックアップ13から出力されるアナログ信号を処理するアナログ回路、アナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換器、及び当該変換により得られたディジタル信号を処理するDSP(Digital Signal Processer)やマイクロコンピュータなどによって実現される。
【0029】
信号出力回路17は、受光素子Da〜Ddのそれぞれが出力するアナログ信号に基づいて、各種の信号を出力する。具体的に、信号出力回路17は、各受光素子からの出力信号を所与のゲイン(増幅率)で増幅して得られる増幅信号に対して演算を行うことによって、対物レンズ36の合焦位置からのずれを表すフォーカスエラー信号(FE信号)を算出する。図3は、信号出力回路17のうち、特にFE信号を算出する回路部分の構成を示す図である。同図に示すように、信号出力回路17は増幅器17a〜17dを含んでおり、これらの増幅器17a〜17dは、それぞれ、受光素子Da〜Ddの出力信号を増幅して得られる増幅信号を出力する。なお、図中において丸に囲まれた+は2つの入力信号を加算した信号を出力する加算回路を、丸に囲まれた−は2つの入力信号の差分を出力する減算回路を、それぞれ示している。このような回路によって出力されるFE信号のレベルLfeは、
Lfe=(La_g+Lc_g)−(Lb_g+Ld_g)
という計算式により表される。ここで、La_g、Lb_g、Lc_g、及びLd_gは、それぞれ増幅器17a〜17dが出力する増幅信号のレベルである。受光素子Da〜Ddが出力する出力信号のレベルをLa〜Ldとし、増幅器17a〜17dのゲインをGa〜Gdとすると、増幅信号のレベルLa_g、Lb_g、Lc_g、及びLd_gは、それぞれ以下の計算式により表される。
La_g=La・Ga
Lb_g=Lb・Gb
Lc_g=Lc・Gc
Ld_g=Ld・Gd
【0030】
仮に光ディスク媒体Mからの反射光が常にフォトディテクタ37の中心位置に入射するものとすると、対物レンズ36が合焦位置にあるときにLa、Lb、Lc、及びLdは互いに等しくなる。このとき、Ga、Gb、Gc、及びGdが互いに等しければ、La_g、Lb_g、Lc_g、及びLd_gも互いに等しくなり、その結果FE信号レベルLfeは0になる。しかしながら、各種の要因により反射光の入射位置(すなわち、スポットSの位置)がフォトディテクタ37の中心からずれると、対物レンズ36が合焦位置にあってもLa、Lb、Lc、及びLdが互いに等しくならず、FE信号レベルLfeが0にならない場合がある。そこで本実施形態では、増幅器17a〜17dのゲインGa、Gb、Gc、及びGdをそれぞれ個別に制御して、スポットSの位置がフォトディテクタ37の中心からずれている場合にも、対物レンズ36が合焦位置にあるときのFE信号レベルLfeが0となるように調整する。このような調整方法の具体例については、後述する。
【0031】
また、図3には示されていないが、信号出力回路17は、FE信号以外にも、データ再生用のRF信号や、対物レンズ36の焦点位置と光ディスク媒体Mのトラック位置との間のトラッキング方向のずれを示すトラッキングエラー信号(TE信号)を出力する。さらに信号出力回路17は、受光素子Da〜Ddの出力信号を増幅して全加算することで得られるプルイン信号(PI信号)も出力する。プルイン信号のレベルLpiは、以下の計算式により表される。
Lpi=La_g+Lb_g+Lc_g+Ld_g
【0032】
サーボ信号処理部18は、信号出力回路17が出力するPI信号、FE信号、TE信号などに基づいて、サーボ制御用の各種の信号を生成し、制御部20に出力する。また、サーボ信号処理部18は、制御部20から入力される指示に従って、駆動回路16に対して対物レンズ駆動部38や送りモータ15、スピンドルモータ12を駆動させるための制御信号を出力する。
【0033】
特にサーボ信号処理部18は、制御部20からの指示に応じてサーボ制御を実行する。具体的に、サーボ信号処理部18は、制御部20からサーボ制御開始の指示が入力されると、信号出力回路17から入力されるFE信号に応じて対物レンズ駆動部38を制御する制御信号を出力することにより、対物レンズ36のフォーカス方向の位置調整を行うフォーカスサーボ制御を行う。これにより、対物レンズ36のフォーカスが光ディスク媒体Mの信号面に一致する状態が維持される。また、サーボ信号処理部18は、信号出力回路17から入力されるTE信号に応じて対物レンズ駆動部38を制御する制御信号を出力することにより、対物レンズ36のトラッキング方向の位置を変化させるトラッキングサーボ制御を行う。これにより、対物レンズ36のフォーカスがデータ記録層内のトラックに追従するように、対物レンズ36が媒体表面に対して相対移動する。このように、サーボ信号処理部18が実行するサーボ制御によって、光ディスク媒体Mの表面に対する対物レンズ36の相対位置が制御されることにより、光学ピックアップ13が光ディスク媒体Mから情報を読み取り可能な状態が維持され、その間に情報の読み出しが行われる。
【0034】
記録信号処理部19は、信号出力回路17が出力するRF信号に基づいて、光ディスク媒体Mに記録された情報を示すディジタル信号を復調して、制御部20に出力する。また、記録信号処理部19は、光学ピックアップ13による光ディスク媒体Mに記録された情報の読み取り精度に関する評価値(RF振幅やジッター値など)を算出し、制御部20に対して出力する。以下では具体例として、記録信号処理部19は、基準クロックに対するRF信号波形の立ち上がりタイミングの時間的なずれを示すジッター値を測定し、制御部20に対して出力することとする。
【0035】
制御部20は、例えばマイクロコンピュータによって構成され、実行モジュールと記憶素子とを含む。この制御部20の記憶素子には、実行するべきプログラムや各種パラメタが格納され、実行モジュールは、当該記憶素子に格納されたプログラムに従って処理を行う。具体的に、制御部20は、サーボ信号処理部18から入力される信号(FE信号に対して所定の判定を行った結果を示す信号など)に基づき、対物レンズ36の合焦位置を検出し、当該合焦位置に対物レンズ36を設定する処理(フォーカス検出処理)を実行する。
【0036】
また、制御部20は、パーソナルコンピュータや、家庭用ゲーム機本体、ビデオデコーダなどのホストに接続され、ホストからの要求に応じて、送りモータ15や対物レンズ駆動部38を駆動させる命令をサーボ信号処理部18に出力し、対物レンズ36の焦点(すなわち、光ディスク媒体M上における情報の読み取り位置)を光ディスク媒体M上の所望の位置へ移動させる。また、併せてスピンドルモータ12の回転速度を変更する命令をサーボ信号処理部18に出力し、光ディスク媒体Mの回転速度を調整する。そして、その状態において記録信号処理部19が出力する、光ディスク媒体Mから読み取られた信号から復調された信号を、ホスト側へ出力する。
【0037】
以下、光ディスク装置1がゲインGa〜Gdを調整してFE信号のずれを補正する処理の具体例について、図4のフロー図を用いて説明する。この処理は、例えば光ディスク装置1に新たに光ディスク媒体Mがセットされた場合や、光ディスク装置1の電源が投入された場合などに実行される。また、この処理は、制御部20が記憶素子に格納しているプログラムに従って各部の制御を行うことにより、実現される。このプログラムは、各種のコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に格納されて提供されてもよい。
【0038】
まず制御部20は、フォーカス検出処理を実行する(S1)。具体的に制御部20は、対物レンズ駆動部38を制御して対物レンズ36を所定の初期位置に移動させて、この初期位置から一定速度で徐々に対物レンズ36をフォーカス方向に沿って光ディスク媒体Mの表面に近づけるように移動させる。このとき、対物レンズ36は、合焦位置を含む範囲でフォーカス方向に沿って移動される。そして、その移動が行われている間に信号出力回路17が出力するFE信号を用いて、FE信号レベルLfeが負のピークを示した後に0になるタイミングを検出する。制御部20は、この検出されたタイミングにおける対物レンズ36の位置を、合焦位置として特定する。
【0039】
このS1の処理では、制御部20は、増幅器17a〜17dにゲインGa〜Gdとして互いに共通する所定の値が設定された状態で、フォーカス検出を行う。そのため、フォトディテクタ37に対するスポットSの位置ずれが生じている場合、正確にはFE信号レベルLfeが0になったタイミングでは対物レンズ36が合焦位置からずれている可能性がある。しかしながら、ここではFE信号レベルLfeが0になる位置を仮の合焦位置として検出する。
【0040】
S1で仮の合焦位置が検出されると、制御部20はサーボ信号処理部18に対してフォーカスサーボ制御の開始を指示する(S2)。これ以降、サーボ信号処理部18は、FE信号レベルLfeを0に保つように対物レンズ36と光ディスク媒体Mとの間の距離を調整するフォーカスサーボ制御を実行する。これにより、例えば面振れなどによって光ディスク媒体Mの表面が上下動したとしても、この動きに追従するように対物レンズ36を動かして、対物レンズ36から光ディスク媒体Mの信号面までの距離を一定に保つことができる。
【0041】
次いで制御部20は、フォーカスバイアスの値を調整するフォーカスバイアス調整処理を実行する(S3)。フォーカスバイアスの値(以下、FB値という)は、フォーカスサーボ制御時にFE信号レベルLfeに対して設定されるオフセット値である。制御部20がFB値を変化させると、サーボ信号処理部18は、変化後のFB値をオフセットとして適用したFE信号レベルLfeが0になるように対物レンズ36の位置を変化させることになる。つまり、FB値を変化させることにより、サーボ信号処理部18がフォーカスサーボ制御を実行中にも関わらず、対物レンズ36と光ディスク媒体M信号面との間の距離を当該FB値の変化に応じた量だけ移動させることができる。
【0042】
前述したように、S2でフォーカスサーボ制御が開始されたときの対物レンズ36の位置は、真の合焦位置からずれている可能性がある。フォーカスバイアス調整処理は、フォーカスサーボ制御を実行中に、光ディスク媒体Mからの情報の読み取り精度が高くなる位置に対物レンズ36を移動させる制御であって、このような処理を実行することにより、対物レンズ36を真の合焦位置に近づけることができる。
【0043】
具体的に、制御部20は、FB値を様々に変化させて、それぞれのFB値が設定された状態において光ディスク媒体Mからの読み取りを試行し、その際に記録信号処理部19が算出する読み取り精度の評価値(ここではジッター値)を取得する。そして、このような処理によって得られる複数のFB値のそれぞれに対応する複数の評価値に基づいて、よい評価値が得られると期待されるFB値(以下、調整FB値という)を算出する。この調整FB値をオフセットとして設定した状態でFE信号レベルLfeが0になるようにフォーカスサーボ制御を行うことで、S1で検出された仮の合焦位置と比較して、対物レンズ36がより真の合焦位置に近づくことになる。
【0044】
ここで、調整FB値の算出方法の具体例について説明する。一般に、FB値と読み取り精度の評価値(ここではジッター値)との間には、放物線で近似可能な関係が成立する。図5は、FB値とジッター値との間の関係の一例を示すグラフである。この図においては、横軸(X軸)がFB値を、縦軸(Y軸)がジッター値を、それぞれ示している。ここでは評価値としてジッター値を用いているので、その値が小さいほど読み取り精度が高いことになる。この図5においては、FB値とジッター値との関係が下に凸の放物線によって表されており、最も読み取り精度を向上できるFB値は、放物線の頂点に対応するX軸の値になる。そのため、放物線の頂点近傍の位置に対応するX軸の値を調整FB値として設定することによって、ジッター値を小さくする(すなわち、情報の読み取り精度を向上させる)ことができる。
【0045】
そこで、光ディスク装置1は、サンプルデータとして、FB値を少なくとも互いに異なる3個以上の値のそれぞれに設定した状態で、ジッター値を測定する。ここで、3個以上のサンプルデータが必要となるのは、放物線上において、図5で例示されるような、接線の傾きが負になる点Pa、接線の傾きが0に近くなる点Pb、及び接線の傾きが正になる点Pcの少なくとも3点が特定されないと、精度よく放物線の近似を行うことができないからである。3個以上のサンプルデータが測定されると、制御部20は、最小二乗法などの手法でこれらのサンプルデータを近似する放物線を算出し、その頂点位置に対応するFB値を、調整FB値として算出する。
【0046】
さらに本実施形態では、制御部20は、S3のフォーカスバイアス調整処理によって調整FB値が設定された状態で、各受光素子Da〜Ddの出力信号を増幅器17a〜17dが増幅して得られる増幅信号が互いに等しくなるように、ゲインGa〜Gdを調整する(S4)。各増幅器17a〜17dに設定すべきゲイン(調整ゲイン)Ga_adj〜Gd_adjは、以下の計算式で算出される。
【数1】
この式において、La〜LdはS4のゲイン調整前における各受光素子Da〜Ddの出力信号レベルであり、LpiはS4のゲイン調整前におけるPI信号レベルである。このようにして算出された調整ゲインGa_adj〜Gd_adjを増幅器17a〜17dに設定すると、各増幅器17a〜17dが出力する増幅信号のレベルは、いずれも(Lpi/4)になる。これにより、PI信号レベルLpiは調整前後で変化しないようにしながら、増幅器17a〜17dそれぞれが出力する増幅信号のレベルを互いに一致させることができる。
【0047】
S4のゲイン調整後は、増幅器17a〜17dが出力する増幅信号のレベルが互いに等しくなるので、合焦位置近傍でFE信号レベルLfeが0に一致するようになる。そこで制御部20は、FB値を0に再設定する(S5)。これにより、サーボ信号処理部18は、オフセット値なしの元のFE信号レベルLfeそのものが0に一致するように、フォーカスサーボ制御を行うことになる。これ以降、光ディスク装置1は、フォーカスサーボ制御が行われた状態で光ディスク媒体Mからの情報の読み取りを行う。
【0048】
以上説明したように、本実施形態に係る光ディスク装置1は、フォトディテクタ37に対するスポットSの位置ずれが生じている場合であっても、対物レンズ36が合焦位置にあるときにFE信号レベルLfeが0になるように増幅器17a〜17dのゲインを調整するので、精度よくフォーカスサーボ制御を行うことができるようになる。特に本実施形態では、図4のフロー図で説明したように、S3のフォーカスバイアス調整処理によって調整FB値が設定された状態で、S4のゲイン調整処理を行う。すなわち、S1のフォーカス検出処理によって対物レンズ36が仮の合焦位置に移動した後、さらに読み取り精度の評価値を利用して、対物レンズ36を真の合焦位置に近い位置に移動させた後に、ゲイン調整処理を行う。そのため、フォーカス検出処理の後、フォーカスバイアス調整処理を実行せずにゲイン調整処理を実行する場合と比較して、より精度よくFE信号レベルLfeを0にするようなゲイン調整を行うことができる。
【0049】
図6A〜図6C、及び図7A〜図7Cは、本実施形態に係る光ディスク装置1によるゲイン調整の効果を説明するための図であって、いずれも、光ディスク装置1で測定されるFE信号レベルLfe及びPI信号レベルLpi、並びに増幅器17a〜17dが出力する増幅信号のレベルLa_g〜Ld_gについてシミュレーションを実行した結果を示している。各図において、横軸は対物レンズ36の位置を示しており、その原点は合焦位置を示している。また、縦軸は、各信号のレベルを示している。さらに、図6A〜図6Cは上述したゲイン調整を行わない場合のグラフであって、図7A〜図7Cは上述した方法でゲイン調整を行った場合のグラフである。さらに、図6B及び図7Bは、対物レンズ36のトラッキング方向に沿った位置がレーザー光の光軸と一致する位置(光軸位置)にある場合のグラフであり、図6A及び図7Aは、対物レンズ36がトラッキング方向に沿って光軸位置から0.4mmだけ光ディスク媒体Mの中心に近づくように移動した場合のグラフである。また、図6C及び図7Cは、対物レンズ36がトラッキング方向に沿って光軸位置から0.4mmだけ光ディスク媒体Mの外周に近づくように移動した場合のグラフである。図7Bに示すように、本実施形態におけるゲイン処理が適用されると、対物レンズ36が合焦位置(図中横軸の原点位置)にあるときに、増幅器17a〜17dが出力する増幅信号レベルが一致するようにゲインGa〜Gdが調整されることになる。
【0050】
図6A〜図6Cに示されるように、ゲイン調整が行われない場合には、対物レンズ36が合焦位置にあるにも関わらず、増幅器17a〜17dが出力する増幅信号レベルは一致しておらず、その結果FE信号レベルLfeも0に一致しないことになる。なお、図6Bでは、各増幅信号レベルは一致しないにも関わらず偶発的にFE信号レベルLfeは横軸原点位置で略0になっているが、対物レンズ36がトラッキング方向に沿って移動すると、図6A及び図6Cに示されるようにFE信号レベルLfeは0から乖離してしまう。これに対してゲイン調整を行った場合、図7A〜図7Cに示されるように、対物レンズ36がトラッキング方向に沿って移動するにつれて対物レンズ36が合焦位置にあるときの増幅信号レベルは変化するものの、FE信号レベルLfeは対物レンズ36のトラッキング方向に沿った位置にかかわらず略0に保たれる。このように、本実施形態におけるゲイン調整処理によれば、対物レンズ36がトラッキング方向に沿って移動しても、合焦位置におけるFE信号レベルLfeが0から大きく乖離しないようにすることができる。
【0051】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る光ディスク装置について、説明する。なお、この第2実施形態に係る光ディスク装置のハードウェア構成は、図1及び図2に示される第1実施形態に係る光ディスク装置のハードウェア構成と同様である。したがって、その詳細な説明は省略し、第1実施形態と同様の構成要素については、同一の参照符号を用いて参照する。
【0052】
本実施形態に係る光ディスク装置も、第1実施形態に係る光ディスク装置と同様に、FE信号レベルLfeが0になるときの対物レンズ36の位置を合焦位置に近づけるためのゲイン調整を行うが、その調整方法が第1実施形態とは異なっている。具体的に、本実施形態では、まず制御部20は、対物レンズ駆動部38を制御して、所定の初期位置から開始して、対物レンズ36をフォーカス方向に沿って移動させる。このとき制御部20は、合焦位置を含む一定の範囲で対物レンズ36を移動させることとする。つまり、対物レンズ36の移動範囲は、合焦位置近傍でFE信号に現れるS字波形を含むような範囲となる。さらに制御部20は、この一定の範囲での移動が行われている間における、増幅器17a〜17dが出力する増幅信号レベルLa_g〜Ld_gそれぞれの最大値を取得する。以下では、各増幅器17a〜17dが出力する増幅信号の最大値を、ピークレベルPa〜Pdと表記する。このピークレベルPa〜Pdは、例えば公知のピークホールド回路によって測定できる。
【0053】
そして制御部20は、取得したピークレベルPa〜Pdの値を用いて、各増幅器17a〜17dの出力信号のピークレベルが一致するように、ゲイン調整を行う。具体的に、本実施形態では、調整ゲインGa_adj〜Gd_adjは、以下の計算式により算出される。
【数2】
ここで、SUMはピークレベルPa〜Pdの合計値である。すなわち、SUMは
SUM=Pa+Pb+Pc+Pd
という計算式により算出される。
【0054】
なお、各増幅器17a〜17dが出力する増幅信号のピークレベルが得られるタイミングは、互いに異なっており、いずれも対物レンズ36が合焦位置にあるときの増幅信号レベルであるとは限らない。そのため、対物レンズ36が真の合焦位置にあると推定される場合における各受光素子の出力信号レベルを用いてゲイン調整を行う第1実施形態の調整方法と比較して、本実施形態によるゲイン調整では、調整の精度が落ちる場合も考えられる。しかしながら、本実施形態によるゲイン調整によっても、ゲイン調整を行わない場合と比較して、対物レンズ36が合焦位置にあるときのFE信号レベルLfeが0に近づくようにすることができる。さらに、本実施形態では、対物レンズ36をフォーカス方向に沿って一定範囲で移動させた際に得られるピークレベルを用いてゲイン調整を行うので、第1実施形態による調整方法と比較して、より素早く、簡易な処理でゲイン調整を行うことが可能になっている。すなわち、本実施形態によれば、仮の合焦位置を検出してフォーカスサーボ制御を開始し、さらにその状態でフォーカスバイアス調整処理を実行するという手順を踏むことなく、一度ピークレベルの測定を行えば直ちにゲイン調整を行うことが可能になっている。なお、一般に光ディスク装置は、光ディスク媒体Mの種別を判定したり光ディスク媒体Mの個体差を補正するために事前に光ディスク媒体Mの反射率に関する情報を取得したりする目的で、まず合焦位置を含む範囲で対物レンズ36を移動させ、信号レベルの測定を行う。そのため、この際にゲイン調整のためのピークレベル測定を合わせて行うこととすれば、本実施形態に係る光ディスク装置は、ゲイン調整そのもののために余分な動作を行うことなく、予め調整されたゲインでフォーカスサーボ制御を開始することができる。
【0055】
図8A〜図8Cは、本実施形態に係る光ディスク装置によるゲイン調整の効果を説明するための図であって、それぞれ図6A〜図6Cと同じ条件の下で、本実施形態によるゲイン調整を行った場合の各信号のシミュレーション結果を示している。図8Bに示すように、本実施形態におけるゲイン調整が適用された場合には各増幅信号のピークレベルが一致し、対物レンズ36が合焦位置にあるときのFE信号レベルLfeも略0になる。なお、図7A及び図7Cの場合と比較すると、図8A及び図8Cに示すように本実施形態によるゲイン調整では対物レンズ36が合焦位置にあるときのFE信号レベルLfeは若干0から乖離しているものの、図6A及び図6Cと比較すると、ゲイン調整を行わない場合よりもFE信号レベルLfeは0に近づいていることが分かる。
【0056】
なお、本発明の実施の形態は以上説明したものに限られない。例えば以上の説明においては受光素子はそれぞれ矩形の検出領域を持ちマトリクス状に配置されるものとしたが、このようなものに限らず、反射光のスポットSを十字状の境界線によって4つに分割するように配列され、非点収差法により合焦位置を検出するためのフォーカスエラー信号を生成するものであれば、どのようなものであってもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 光ディスク装置、11 媒体支持部、12 スピンドルモータ、13 光学ピックアップ、15 送りモータ、16 駆動回路、17 信号出力回路、18 サーボ信号処理部、19 記録信号処理部、20 制御部、31 発光素子、32 偏光ビームスプリッタ、33 コリメータレンズ、34 コリメータレンズ駆動部、35 立ち上げミラー、36 対物レンズ、37 フォトディテクタ、38 対物レンズ駆動部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、CDや、DVD、Blu−ray Disc(登録商標)などの光ディスク媒体に記録された情報を読み取る光ディスク装置、その制御方法、その制御プログラム及び当該プログラムを記憶した情報記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種の光ディスク媒体が情報記録媒体として利用されている。一般に、光ディスク媒体は、情報を記録するデータ記録層や、データ記録層を保護する保護層など、複数の層を積層した構造を有している。このような光ディスク媒体に記録された情報の読み取りを行うために、光ディスク装置が用いられる。光ディスク装置は、光ディスク媒体に対して光を照射し、その光ディスク媒体での反射光を検出するための光学ピックアップを備えている。
【0003】
光ディスク装置が光ディスク媒体に記録された情報を読み取る際には、この光学ピックアップ内の対物レンズのフォーカスを、光ディスク媒体の信号面(データ記録層の表面)に合わせる必要がある。そこで光ディスク装置は、情報の読み取りの際には、光学ピックアップからの出力信号に基づいて、対物レンズのフォーカスが信号面に一致するフォーカス状態を検出するフォーカス検出動作を行う(例えば特許文献1参照)。
【0004】
光ディスク装置は、信号面に対する対物レンズのフォーカスのずれを示すフォーカスエラー信号(以下、FE信号と表記する)を用いて、非点収差法によりフォーカス状態を検出することができる。具体的に、対物レンズを光ディスク媒体の表面に徐々に近づけた場合、対物レンズのフォーカスが信号面に合うタイミングの近傍で、FE信号がS字の波形を示す。このようなFE信号の波形を利用して、光ディスク装置はフォーカス状態を検出する。以下では、対物レンズのフォーカスが信号面に合った状態での対物レンズの位置を合焦位置という。
【0005】
FE信号の生成方法の具体例について、説明する。図9A〜図9Cは、光学ピックアップ内のフォトディテクタに光ディスク媒体からの反射光が照射されて形成されるスポットSの形状を示す図である。これらの図において、スポットSは一点鎖線で示されている。ここではフォトディテクタは、2行2列のマトリクス状に配置された4個の受光素子Da〜Ddを含んで構成されており、これらの受光素子Da〜Ddは、それぞれ光ディスク媒体からの反射光を受けてその光量を示す信号を出力する。対物レンズのフォーカスが信号面に合っていれば、スポットSは図9Aに示すように円形となり、受光素子Da〜Ddのそれぞれは、互いに略等しい光量の光を検出することになる。しかしながら、対物レンズのフォーカスが信号面からわずかにずれると、スポットSは楕円形になり、しかも対物レンズが光ディスク媒体に近づく方向にずれた場合と光ディスク媒体から離れる方向にずれた場合とでこの楕円の長軸方向が変化する。図9Bは対物レンズが合焦位置よりも光ディスク媒体に近づいた場合のスポットSを示しており、図9Cは対物レンズが合焦位置よりも光ディスク媒体から離れた場合のスポットSを示している。
【0006】
受光素子Da〜Ddのそれぞれが出力する出力信号のレベルをLa〜Ldとすると、FE信号レベルLfeは、例えば
Lfe=(La+Lc)−(Lb+Ld)
によって算出される。(La+Lc)は、フォトディテクタの検出面の右上から左下に向かう対角線に沿って配置された受光素子Da及びDcの受光量の総和を示している。この対角線は、図9Bに示したような、対物レンズが合焦位置よりも光ディスク媒体に近づいた場合にスポットSが形成する楕円の長軸方向に一致している。また、(Lb+Ld)は、上記の対角線と交差する対角線に沿って配置された受光素子Db及びDdの受光量の総和を示している。この対角線は、図9Cに示したような、対物レンズが合焦位置よりも光ディスク媒体から離れた場合にスポットSが形成する楕円の長軸方向に一致している。そのため、対物レンズを徐々に光ディスク媒体に近づけた場合、まず合焦位置の手前でスポットSは図9Cに示すような形状となり、FE信号は負のピークを示す。その後に合焦位置でスポットSは図9Aに示すような円形となり、このときのFE信号の大きさは0となる。さらに対物レンズが光ディスク媒体に近づくと、スポットSは図9Bに示すような形状となり、このときのFE信号は正のピークを示す。図10は、このような制御を実行した場合に合焦位置近傍でFE信号が示すS字波形を示している。光ディスク装置は、対物レンズを光ディスク媒体に近づけながら、FE信号がいったん負のピークを示した後に0となるタイミングを検出するか、あるいは、対物レンズを光ディスク媒体から遠ざけながら、FE信号が正のピークを示した後に0となるタイミングを検出することによって、対物レンズの合焦位置を特定することができる。いったん合焦位置が特定されれば、光ディスク装置は、このときのFE信号のレベルを保つように対物レンズの位置を調整するフィードバック制御(フォーカスサーボ制御)を行うことによって、対物レンズのフォーカスが光ディスク媒体の信号面に合った状態を維持することができる。光ディスク媒体からの情報の読み出しは、このフォーカスサーボ制御の実行中に行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4001024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来例の光ディスク装置において、図9Aに示したようなスポットSの位置がフォトディテクタの中心位置からずれてしまうと、合焦位置の正確な検出が困難になってしまう。なぜなら、スポットSの位置が中心位置からずれると、スポットSが円形になっても、FE信号の大きさが0にならず、正負いずれかにずれてしまうからである。このようなFE信号のずれは、各種の要因によって引き起こされる。例えば、光ディスク装置の製造時におけるフォトディテクタの取り付け位置が反射光の光軸からずれると、FE信号にもずれが生じる。また、光ディスク装置の使用中には、上述したフォーカスサーボ制御のほかに、光ディスク媒体の信号面に設けられたトラックに追従するように対物レンズを光ディスク媒体の径方向に沿って移動させるトラッキングサーボ制御も行われる。このトラッキングサーボ制御は、光ディスク媒体の表面に平行な方向に沿って、対物レンズをレーザ光の光軸に対して相対的に移動させる制御である。そのため、このようなトラッキングサーボ制御に伴う対物レンズの移動によって、反射光のフォトディテクタに対する相対位置も移動することになる。この対物レンズの相対移動によって、FE信号に現れるS字波形が合焦位置に対して非対称となり、フォーカス検出精度に影響を及ぼすおそれがある。
【0009】
本発明は上記実情を考慮してなされたものであって、その目的の一つは、フォトディテクタに対する反射光のスポットの位置ずれによってFE信号に生じるずれを補正することのできる光ディスク装置、その制御方法、その制御プログラム、及び当該プログラムを記憶した情報記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る光ディスク装置は、光ディスク媒体に記録された情報を読み取る光ディスク装置であって、前記光ディスク媒体に光を集光する対物レンズと、互いに並んで配列され、前記光ディスク媒体からの反射光を受けて、当該反射光の光量に応じた出力信号を出力する複数の受光素子と、それぞれ、前記複数の受光素子のうちの対応する受光素子が出力する出力信号を増幅する複数の増幅器と、前記複数の増幅器のそれぞれが出力する増幅信号に基づいて、前記光ディスク媒体の信号面に対する前記対物レンズの焦点位置のずれを示すフォーカスエラー信号を出力する信号出力回路と、前記フォーカスエラー信号に基づいて、前記対物レンズの前記信号面からの距離を一定に保つよう前記対物レンズの位置を制御するフォーカスサーボ制御手段と、前記光ディスク媒体からの情報の読み取り精度が高くなる位置に前記対物レンズを移動させる位置調整手段と、前記位置調整手段が前記対物レンズを移動させた後における、前記複数の増幅器それぞれが出力する増幅信号のレベルが互いに近くなるように、前記複数の増幅器それぞれのゲインを調整するゲイン調整手段と、を含むことを特徴とする。
【0011】
前記光ディスク装置において、前記ゲイン調整手段は、前記位置調整手段により前記対物レンズを移動させた後における、前記複数の増幅器それぞれが出力する増幅信号のレベルが互いに近くなり、かつ、前記複数の増幅器それぞれが出力する増幅信号の総和が調整前後で変わらないように、前記複数の増幅器それぞれのゲインを調整することとしてもよい。
【0012】
また、前記光ディスク装置において、前記位置調整手段は、前記対物レンズの位置を変化させて、互いに異なる複数の位置のそれぞれにおける前記光ディスク媒体からの情報の読み取り精度を示す評価値を取得し、当該取得した複数の評価値に応じて決まる位置に前記対物レンズを移動させることとしてもよい。
【0013】
さらに、前記光ディスク装置において、前記評価値はジッター値であってもよい。
【0014】
また、本発明に係る光ディスク装置の制御方法は、情報が記録された光ディスク媒体に光を集光する対物レンズと、互いに並んで配列され、前記光ディスク媒体からの反射光を受けて、当該反射光の光量に応じた出力信号を出力する複数の受光素子と、それぞれ、前記複数の受光素子のうちの対応する受光素子が出力する出力信号を増幅する複数の増幅器と、前記複数の増幅器のそれぞれが出力する増幅信号に基づいて、前記光ディスク媒体の信号面に対する前記対物レンズの焦点位置のずれを示すフォーカスエラー信号を出力する信号出力回路と、を備える光ディスク装置の制御方法であって、前記フォーカスエラー信号に基づいて、前記対物レンズの前記信号面からの距離を一定に保つよう前記対物レンズの位置を制御するフォーカスサーボ制御ステップと、前記光ディスク媒体からの情報の読み取り精度が高くなる位置に前記対物レンズを移動させる位置調整ステップと、前記位置調整ステップで前記対物レンズを移動させた後における、前記複数の増幅器それぞれが出力する増幅信号のレベルが互いに近くなるように、前記複数の増幅器それぞれのゲインを調整するゲイン調整ステップと、を含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係るプログラムは、情報が記録された光ディスク媒体に光を集光する対物レンズと、互いに並んで配列され、前記光ディスク媒体からの反射光を受けて、当該反射光の光量に応じた出力信号を出力する複数の受光素子と、それぞれ、前記複数の受光素子のうちの対応する受光素子が出力する出力信号を増幅する複数の増幅器と、前記複数の増幅器のそれぞれが出力する増幅信号に基づいて、前記光ディスク媒体の信号面に対する前記対物レンズの焦点位置のずれを示すフォーカスエラー信号を出力する信号出力回路と、を備える光ディスク装置を制御するプログラムであって、前記フォーカスエラー信号に基づいて、前記対物レンズの前記信号面からの距離を一定に保つよう前記対物レンズの位置を制御するフォーカスサーボ制御手段、前記光ディスク媒体からの情報の読み取り精度が高くなる位置に前記対物レンズを移動させる位置調整手段、及び、前記位置調整手段が前記対物レンズを移動させた後における、前記複数の増幅器それぞれが出力する増幅信号のレベルが互いに近くなるように、前記複数の増幅器それぞれのゲインを調整するゲイン調整手段、としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に記憶されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光ディスク装置の構成例を表すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る光ディスク装置の光学ピックアップの内部構成例を表す概要図である。
【図3】フォーカスエラー信号を算出する回路の一例を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る光ディスク装置が実行する処理の流れの一例を示すフロー図である。
【図5】フォーカスバイアスの値と読み取り精度の評価値との関係の一例を示すグラフである。
【図6A】ゲイン調整を行わない場合において、対物レンズが光軸位置より光ディスク媒体の中心に近い位置にあるときに測定される信号のシミュレーション結果を示す図である。
【図6B】ゲイン調整を行わない場合において、対物レンズが光軸位置にあるときに測定される信号のシミュレーション結果を示す図である。
【図6C】ゲイン調整を行わない場合において、対物レンズが光軸位置より光ディスク媒体の外周に近い位置にあるときに測定される信号のシミュレーション結果を示す図である。
【図7A】第1実施形態に係る光ディスク装置によるゲイン調整を行う場合において、対物レンズが光軸位置より光ディスク媒体の中心に近い位置にあるときに測定される信号のシミュレーション結果を示す図である。
【図7B】第1実施形態に係る光ディスク装置によるゲイン調整を行う場合において、対物レンズが光軸位置にあるときに測定される信号のシミュレーション結果を示す図である。
【図7C】第1実施形態に係る光ディスク装置によるゲイン調整を行う場合において、対物レンズが光軸位置より光ディスク媒体の外周に近い位置にあるときに測定される信号のシミュレーション結果を示す図である。
【図8A】第2実施形態に係る光ディスク装置によるゲイン調整を行う場合において、対物レンズが光軸位置より光ディスク媒体の中心に近い位置にあるときに測定される信号のシミュレーション結果を示す図である。
【図8B】第2実施形態に係る光ディスク装置によるゲイン調整を行う場合において、対物レンズが光軸位置にあるときに測定される信号のシミュレーション結果を示す図である。
【図8C】第2実施形態に係る光ディスク装置によるゲイン調整を行う場合において、対物レンズが光軸位置より光ディスク媒体の外周に近い位置にあるときに測定される信号のシミュレーション結果を示す図である。
【図9A】対物レンズが合焦位置にある場合にフォトディテクタが検出するスポットの形状を示す図である。
【図9B】対物レンズが合焦位置よりも光ディスク媒体に近づいた場合にフォトディテクタが検出するスポットの形状を示す図である。
【図9C】対物レンズが合焦位置よりも光ディスク媒体から離れた場合にフォトディテクタが検出するスポットの形状を示す図である。
【図10】フォーカスエラー信号の波形の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。
【0018】
[第1実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る光ディスク装置1は、光ディスク媒体に記録された情報を読み取る装置であって、図1に示すように、媒体支持部11と、スピンドルモータ12と、光学ピックアップ13と、送りモータ15と、駆動回路16と、信号出力回路17と、サーボ信号処理部18と、記録信号処理部19と、制御部20と、を備えている。
【0019】
光ディスク装置1による情報読み出しの対象となる光ディスク媒体Mは、情報が記録されるデータ記録層と、その両側からデータ記録層を保護する保護層と、が積層されて構成される。以下では、データ記録層の表面を信号面という。なお、光ディスク媒体Mは複数のデータ記録層を含んでもよい。光ディスク装置1は、光ディスク媒体Mに記録された情報を読み取るだけでなく、光ディスク媒体Mに対して情報を書き込み可能に構成されてもよい。さらに、光ディスク装置1は、CDや、DVD、Blu−ray Discなど、複数種類の光ディスク媒体Mに記録された情報を読み取り可能に構成されてもよい。
【0020】
媒体支持部11は、光ディスク媒体Mを回転可能に支持する。また、この媒体支持部11は、スピンドルモータ12から伝達される動力によって光ディスク媒体Mを回転させる。
【0021】
光学ピックアップ13は、光ディスク媒体Mに対してレーザー光を照射し、照射した光の光ディスク媒体Mでの反射光を検出して、検出した反射光に応じた出力信号を出力する。図2は、光学ピックアップ13の内部構成の一例を示す図である。この図の例においては、光学ピックアップ13は、発光素子31と、偏光ビームスプリッタ32と、コリメータレンズ33と、コリメータレンズ駆動部34と、立ち上げミラー35と、対物レンズ36と、フォトディテクタ37と、対物レンズ駆動部38と、を備えている。
【0022】
発光素子31は、所定波長のレーザー光を出力する半導体レーザー素子である。発光素子31から出射された出射光は、偏光ビームスプリッタ32及びコリメータレンズ33を通過した後、立ち上げミラー35で反射される。さらに、立ち上げミラー35で反射された出射光は、対物レンズ36によって、対物レンズ36から焦点距離Fだけ離れた位置に集光され、光ディスク媒体Mによって反射される。
【0023】
光ディスク媒体Mにより反射された反射光は、対物レンズ36を通過した後、立ち上げミラー35で反射され、偏光ビームスプリッタ32によってフォトディテクタ37側に導かれる。フォトディテクタ37は、2行2列のマトリクス状に配置された4個の受光素子Da〜Ddを備えており、偏光ビームスプリッタ32によって導かれた反射光がこれらの受光素子Da〜Ddに到達すると、フォトディテクタ37は、4個の受光素子Da〜Ddのそれぞれが受光した光の強度に応じた信号を出力信号として出力する。なお、以下では、フォトディテクタ37において光ディスク媒体Mからの反射光が照射される範囲を、スポットSという。
【0024】
コリメータレンズ駆動部34は、アクチュエータ等により構成され、コリメータレンズ33をレーザー光の光軸方向に沿って前後に駆動する。コリメータレンズ駆動部34がコリメータレンズ33を光軸方向に沿って移動させることにより、対物レンズ36の球面収差補正が可能となる。
【0025】
対物レンズ駆動部38は、アクチュエータ等により構成され、対物レンズ36を、光ディスク媒体Mの径方向(以下、トラッキング方向という)、及び、光ディスク媒体Mの表面に垂直な方向(以下、フォーカス方向という)の2つの方向に沿って移動させる。対物レンズ駆動部38が対物レンズ36をフォーカス方向に沿って移動させることにより、対物レンズ36から光ディスク媒体Mの表面までの距離が変化する。
【0026】
送りモータ15は、光学ピックアップ13全体をトラッキング方向に沿って移動させる。この送りモータ15の駆動によって、光学ピックアップ13は、光ディスク媒体Mの中心近傍の位置から外周近傍の位置まで移動可能になっている。
【0027】
駆動回路16は、サーボ信号処理部18から入力される制御信号に従って、スピンドルモータ12、送りモータ15、コリメータレンズ駆動部34、及び対物レンズ駆動部38を駆動する駆動信号を出力する。この駆動回路16からの駆動信号に応じて、スピンドルモータ12の回転速度が変化することによって、光ディスク媒体Mの回転速度が制御される。また、この駆動回路16からの駆動信号に応じて対物レンズ駆動部38及び送りモータ15が駆動することによって、対物レンズ36の媒体回転軸からの距離、及び対物レンズ36の媒体表面までの距離が制御される。
【0028】
信号出力回路17、サーボ信号処理部18、記録信号処理部19、及び制御部20は、例えば、光学ピックアップ13から出力されるアナログ信号を処理するアナログ回路、アナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換器、及び当該変換により得られたディジタル信号を処理するDSP(Digital Signal Processer)やマイクロコンピュータなどによって実現される。
【0029】
信号出力回路17は、受光素子Da〜Ddのそれぞれが出力するアナログ信号に基づいて、各種の信号を出力する。具体的に、信号出力回路17は、各受光素子からの出力信号を所与のゲイン(増幅率)で増幅して得られる増幅信号に対して演算を行うことによって、対物レンズ36の合焦位置からのずれを表すフォーカスエラー信号(FE信号)を算出する。図3は、信号出力回路17のうち、特にFE信号を算出する回路部分の構成を示す図である。同図に示すように、信号出力回路17は増幅器17a〜17dを含んでおり、これらの増幅器17a〜17dは、それぞれ、受光素子Da〜Ddの出力信号を増幅して得られる増幅信号を出力する。なお、図中において丸に囲まれた+は2つの入力信号を加算した信号を出力する加算回路を、丸に囲まれた−は2つの入力信号の差分を出力する減算回路を、それぞれ示している。このような回路によって出力されるFE信号のレベルLfeは、
Lfe=(La_g+Lc_g)−(Lb_g+Ld_g)
という計算式により表される。ここで、La_g、Lb_g、Lc_g、及びLd_gは、それぞれ増幅器17a〜17dが出力する増幅信号のレベルである。受光素子Da〜Ddが出力する出力信号のレベルをLa〜Ldとし、増幅器17a〜17dのゲインをGa〜Gdとすると、増幅信号のレベルLa_g、Lb_g、Lc_g、及びLd_gは、それぞれ以下の計算式により表される。
La_g=La・Ga
Lb_g=Lb・Gb
Lc_g=Lc・Gc
Ld_g=Ld・Gd
【0030】
仮に光ディスク媒体Mからの反射光が常にフォトディテクタ37の中心位置に入射するものとすると、対物レンズ36が合焦位置にあるときにLa、Lb、Lc、及びLdは互いに等しくなる。このとき、Ga、Gb、Gc、及びGdが互いに等しければ、La_g、Lb_g、Lc_g、及びLd_gも互いに等しくなり、その結果FE信号レベルLfeは0になる。しかしながら、各種の要因により反射光の入射位置(すなわち、スポットSの位置)がフォトディテクタ37の中心からずれると、対物レンズ36が合焦位置にあってもLa、Lb、Lc、及びLdが互いに等しくならず、FE信号レベルLfeが0にならない場合がある。そこで本実施形態では、増幅器17a〜17dのゲインGa、Gb、Gc、及びGdをそれぞれ個別に制御して、スポットSの位置がフォトディテクタ37の中心からずれている場合にも、対物レンズ36が合焦位置にあるときのFE信号レベルLfeが0となるように調整する。このような調整方法の具体例については、後述する。
【0031】
また、図3には示されていないが、信号出力回路17は、FE信号以外にも、データ再生用のRF信号や、対物レンズ36の焦点位置と光ディスク媒体Mのトラック位置との間のトラッキング方向のずれを示すトラッキングエラー信号(TE信号)を出力する。さらに信号出力回路17は、受光素子Da〜Ddの出力信号を増幅して全加算することで得られるプルイン信号(PI信号)も出力する。プルイン信号のレベルLpiは、以下の計算式により表される。
Lpi=La_g+Lb_g+Lc_g+Ld_g
【0032】
サーボ信号処理部18は、信号出力回路17が出力するPI信号、FE信号、TE信号などに基づいて、サーボ制御用の各種の信号を生成し、制御部20に出力する。また、サーボ信号処理部18は、制御部20から入力される指示に従って、駆動回路16に対して対物レンズ駆動部38や送りモータ15、スピンドルモータ12を駆動させるための制御信号を出力する。
【0033】
特にサーボ信号処理部18は、制御部20からの指示に応じてサーボ制御を実行する。具体的に、サーボ信号処理部18は、制御部20からサーボ制御開始の指示が入力されると、信号出力回路17から入力されるFE信号に応じて対物レンズ駆動部38を制御する制御信号を出力することにより、対物レンズ36のフォーカス方向の位置調整を行うフォーカスサーボ制御を行う。これにより、対物レンズ36のフォーカスが光ディスク媒体Mの信号面に一致する状態が維持される。また、サーボ信号処理部18は、信号出力回路17から入力されるTE信号に応じて対物レンズ駆動部38を制御する制御信号を出力することにより、対物レンズ36のトラッキング方向の位置を変化させるトラッキングサーボ制御を行う。これにより、対物レンズ36のフォーカスがデータ記録層内のトラックに追従するように、対物レンズ36が媒体表面に対して相対移動する。このように、サーボ信号処理部18が実行するサーボ制御によって、光ディスク媒体Mの表面に対する対物レンズ36の相対位置が制御されることにより、光学ピックアップ13が光ディスク媒体Mから情報を読み取り可能な状態が維持され、その間に情報の読み出しが行われる。
【0034】
記録信号処理部19は、信号出力回路17が出力するRF信号に基づいて、光ディスク媒体Mに記録された情報を示すディジタル信号を復調して、制御部20に出力する。また、記録信号処理部19は、光学ピックアップ13による光ディスク媒体Mに記録された情報の読み取り精度に関する評価値(RF振幅やジッター値など)を算出し、制御部20に対して出力する。以下では具体例として、記録信号処理部19は、基準クロックに対するRF信号波形の立ち上がりタイミングの時間的なずれを示すジッター値を測定し、制御部20に対して出力することとする。
【0035】
制御部20は、例えばマイクロコンピュータによって構成され、実行モジュールと記憶素子とを含む。この制御部20の記憶素子には、実行するべきプログラムや各種パラメタが格納され、実行モジュールは、当該記憶素子に格納されたプログラムに従って処理を行う。具体的に、制御部20は、サーボ信号処理部18から入力される信号(FE信号に対して所定の判定を行った結果を示す信号など)に基づき、対物レンズ36の合焦位置を検出し、当該合焦位置に対物レンズ36を設定する処理(フォーカス検出処理)を実行する。
【0036】
また、制御部20は、パーソナルコンピュータや、家庭用ゲーム機本体、ビデオデコーダなどのホストに接続され、ホストからの要求に応じて、送りモータ15や対物レンズ駆動部38を駆動させる命令をサーボ信号処理部18に出力し、対物レンズ36の焦点(すなわち、光ディスク媒体M上における情報の読み取り位置)を光ディスク媒体M上の所望の位置へ移動させる。また、併せてスピンドルモータ12の回転速度を変更する命令をサーボ信号処理部18に出力し、光ディスク媒体Mの回転速度を調整する。そして、その状態において記録信号処理部19が出力する、光ディスク媒体Mから読み取られた信号から復調された信号を、ホスト側へ出力する。
【0037】
以下、光ディスク装置1がゲインGa〜Gdを調整してFE信号のずれを補正する処理の具体例について、図4のフロー図を用いて説明する。この処理は、例えば光ディスク装置1に新たに光ディスク媒体Mがセットされた場合や、光ディスク装置1の電源が投入された場合などに実行される。また、この処理は、制御部20が記憶素子に格納しているプログラムに従って各部の制御を行うことにより、実現される。このプログラムは、各種のコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に格納されて提供されてもよい。
【0038】
まず制御部20は、フォーカス検出処理を実行する(S1)。具体的に制御部20は、対物レンズ駆動部38を制御して対物レンズ36を所定の初期位置に移動させて、この初期位置から一定速度で徐々に対物レンズ36をフォーカス方向に沿って光ディスク媒体Mの表面に近づけるように移動させる。このとき、対物レンズ36は、合焦位置を含む範囲でフォーカス方向に沿って移動される。そして、その移動が行われている間に信号出力回路17が出力するFE信号を用いて、FE信号レベルLfeが負のピークを示した後に0になるタイミングを検出する。制御部20は、この検出されたタイミングにおける対物レンズ36の位置を、合焦位置として特定する。
【0039】
このS1の処理では、制御部20は、増幅器17a〜17dにゲインGa〜Gdとして互いに共通する所定の値が設定された状態で、フォーカス検出を行う。そのため、フォトディテクタ37に対するスポットSの位置ずれが生じている場合、正確にはFE信号レベルLfeが0になったタイミングでは対物レンズ36が合焦位置からずれている可能性がある。しかしながら、ここではFE信号レベルLfeが0になる位置を仮の合焦位置として検出する。
【0040】
S1で仮の合焦位置が検出されると、制御部20はサーボ信号処理部18に対してフォーカスサーボ制御の開始を指示する(S2)。これ以降、サーボ信号処理部18は、FE信号レベルLfeを0に保つように対物レンズ36と光ディスク媒体Mとの間の距離を調整するフォーカスサーボ制御を実行する。これにより、例えば面振れなどによって光ディスク媒体Mの表面が上下動したとしても、この動きに追従するように対物レンズ36を動かして、対物レンズ36から光ディスク媒体Mの信号面までの距離を一定に保つことができる。
【0041】
次いで制御部20は、フォーカスバイアスの値を調整するフォーカスバイアス調整処理を実行する(S3)。フォーカスバイアスの値(以下、FB値という)は、フォーカスサーボ制御時にFE信号レベルLfeに対して設定されるオフセット値である。制御部20がFB値を変化させると、サーボ信号処理部18は、変化後のFB値をオフセットとして適用したFE信号レベルLfeが0になるように対物レンズ36の位置を変化させることになる。つまり、FB値を変化させることにより、サーボ信号処理部18がフォーカスサーボ制御を実行中にも関わらず、対物レンズ36と光ディスク媒体M信号面との間の距離を当該FB値の変化に応じた量だけ移動させることができる。
【0042】
前述したように、S2でフォーカスサーボ制御が開始されたときの対物レンズ36の位置は、真の合焦位置からずれている可能性がある。フォーカスバイアス調整処理は、フォーカスサーボ制御を実行中に、光ディスク媒体Mからの情報の読み取り精度が高くなる位置に対物レンズ36を移動させる制御であって、このような処理を実行することにより、対物レンズ36を真の合焦位置に近づけることができる。
【0043】
具体的に、制御部20は、FB値を様々に変化させて、それぞれのFB値が設定された状態において光ディスク媒体Mからの読み取りを試行し、その際に記録信号処理部19が算出する読み取り精度の評価値(ここではジッター値)を取得する。そして、このような処理によって得られる複数のFB値のそれぞれに対応する複数の評価値に基づいて、よい評価値が得られると期待されるFB値(以下、調整FB値という)を算出する。この調整FB値をオフセットとして設定した状態でFE信号レベルLfeが0になるようにフォーカスサーボ制御を行うことで、S1で検出された仮の合焦位置と比較して、対物レンズ36がより真の合焦位置に近づくことになる。
【0044】
ここで、調整FB値の算出方法の具体例について説明する。一般に、FB値と読み取り精度の評価値(ここではジッター値)との間には、放物線で近似可能な関係が成立する。図5は、FB値とジッター値との間の関係の一例を示すグラフである。この図においては、横軸(X軸)がFB値を、縦軸(Y軸)がジッター値を、それぞれ示している。ここでは評価値としてジッター値を用いているので、その値が小さいほど読み取り精度が高いことになる。この図5においては、FB値とジッター値との関係が下に凸の放物線によって表されており、最も読み取り精度を向上できるFB値は、放物線の頂点に対応するX軸の値になる。そのため、放物線の頂点近傍の位置に対応するX軸の値を調整FB値として設定することによって、ジッター値を小さくする(すなわち、情報の読み取り精度を向上させる)ことができる。
【0045】
そこで、光ディスク装置1は、サンプルデータとして、FB値を少なくとも互いに異なる3個以上の値のそれぞれに設定した状態で、ジッター値を測定する。ここで、3個以上のサンプルデータが必要となるのは、放物線上において、図5で例示されるような、接線の傾きが負になる点Pa、接線の傾きが0に近くなる点Pb、及び接線の傾きが正になる点Pcの少なくとも3点が特定されないと、精度よく放物線の近似を行うことができないからである。3個以上のサンプルデータが測定されると、制御部20は、最小二乗法などの手法でこれらのサンプルデータを近似する放物線を算出し、その頂点位置に対応するFB値を、調整FB値として算出する。
【0046】
さらに本実施形態では、制御部20は、S3のフォーカスバイアス調整処理によって調整FB値が設定された状態で、各受光素子Da〜Ddの出力信号を増幅器17a〜17dが増幅して得られる増幅信号が互いに等しくなるように、ゲインGa〜Gdを調整する(S4)。各増幅器17a〜17dに設定すべきゲイン(調整ゲイン)Ga_adj〜Gd_adjは、以下の計算式で算出される。
【数1】
この式において、La〜LdはS4のゲイン調整前における各受光素子Da〜Ddの出力信号レベルであり、LpiはS4のゲイン調整前におけるPI信号レベルである。このようにして算出された調整ゲインGa_adj〜Gd_adjを増幅器17a〜17dに設定すると、各増幅器17a〜17dが出力する増幅信号のレベルは、いずれも(Lpi/4)になる。これにより、PI信号レベルLpiは調整前後で変化しないようにしながら、増幅器17a〜17dそれぞれが出力する増幅信号のレベルを互いに一致させることができる。
【0047】
S4のゲイン調整後は、増幅器17a〜17dが出力する増幅信号のレベルが互いに等しくなるので、合焦位置近傍でFE信号レベルLfeが0に一致するようになる。そこで制御部20は、FB値を0に再設定する(S5)。これにより、サーボ信号処理部18は、オフセット値なしの元のFE信号レベルLfeそのものが0に一致するように、フォーカスサーボ制御を行うことになる。これ以降、光ディスク装置1は、フォーカスサーボ制御が行われた状態で光ディスク媒体Mからの情報の読み取りを行う。
【0048】
以上説明したように、本実施形態に係る光ディスク装置1は、フォトディテクタ37に対するスポットSの位置ずれが生じている場合であっても、対物レンズ36が合焦位置にあるときにFE信号レベルLfeが0になるように増幅器17a〜17dのゲインを調整するので、精度よくフォーカスサーボ制御を行うことができるようになる。特に本実施形態では、図4のフロー図で説明したように、S3のフォーカスバイアス調整処理によって調整FB値が設定された状態で、S4のゲイン調整処理を行う。すなわち、S1のフォーカス検出処理によって対物レンズ36が仮の合焦位置に移動した後、さらに読み取り精度の評価値を利用して、対物レンズ36を真の合焦位置に近い位置に移動させた後に、ゲイン調整処理を行う。そのため、フォーカス検出処理の後、フォーカスバイアス調整処理を実行せずにゲイン調整処理を実行する場合と比較して、より精度よくFE信号レベルLfeを0にするようなゲイン調整を行うことができる。
【0049】
図6A〜図6C、及び図7A〜図7Cは、本実施形態に係る光ディスク装置1によるゲイン調整の効果を説明するための図であって、いずれも、光ディスク装置1で測定されるFE信号レベルLfe及びPI信号レベルLpi、並びに増幅器17a〜17dが出力する増幅信号のレベルLa_g〜Ld_gについてシミュレーションを実行した結果を示している。各図において、横軸は対物レンズ36の位置を示しており、その原点は合焦位置を示している。また、縦軸は、各信号のレベルを示している。さらに、図6A〜図6Cは上述したゲイン調整を行わない場合のグラフであって、図7A〜図7Cは上述した方法でゲイン調整を行った場合のグラフである。さらに、図6B及び図7Bは、対物レンズ36のトラッキング方向に沿った位置がレーザー光の光軸と一致する位置(光軸位置)にある場合のグラフであり、図6A及び図7Aは、対物レンズ36がトラッキング方向に沿って光軸位置から0.4mmだけ光ディスク媒体Mの中心に近づくように移動した場合のグラフである。また、図6C及び図7Cは、対物レンズ36がトラッキング方向に沿って光軸位置から0.4mmだけ光ディスク媒体Mの外周に近づくように移動した場合のグラフである。図7Bに示すように、本実施形態におけるゲイン処理が適用されると、対物レンズ36が合焦位置(図中横軸の原点位置)にあるときに、増幅器17a〜17dが出力する増幅信号レベルが一致するようにゲインGa〜Gdが調整されることになる。
【0050】
図6A〜図6Cに示されるように、ゲイン調整が行われない場合には、対物レンズ36が合焦位置にあるにも関わらず、増幅器17a〜17dが出力する増幅信号レベルは一致しておらず、その結果FE信号レベルLfeも0に一致しないことになる。なお、図6Bでは、各増幅信号レベルは一致しないにも関わらず偶発的にFE信号レベルLfeは横軸原点位置で略0になっているが、対物レンズ36がトラッキング方向に沿って移動すると、図6A及び図6Cに示されるようにFE信号レベルLfeは0から乖離してしまう。これに対してゲイン調整を行った場合、図7A〜図7Cに示されるように、対物レンズ36がトラッキング方向に沿って移動するにつれて対物レンズ36が合焦位置にあるときの増幅信号レベルは変化するものの、FE信号レベルLfeは対物レンズ36のトラッキング方向に沿った位置にかかわらず略0に保たれる。このように、本実施形態におけるゲイン調整処理によれば、対物レンズ36がトラッキング方向に沿って移動しても、合焦位置におけるFE信号レベルLfeが0から大きく乖離しないようにすることができる。
【0051】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る光ディスク装置について、説明する。なお、この第2実施形態に係る光ディスク装置のハードウェア構成は、図1及び図2に示される第1実施形態に係る光ディスク装置のハードウェア構成と同様である。したがって、その詳細な説明は省略し、第1実施形態と同様の構成要素については、同一の参照符号を用いて参照する。
【0052】
本実施形態に係る光ディスク装置も、第1実施形態に係る光ディスク装置と同様に、FE信号レベルLfeが0になるときの対物レンズ36の位置を合焦位置に近づけるためのゲイン調整を行うが、その調整方法が第1実施形態とは異なっている。具体的に、本実施形態では、まず制御部20は、対物レンズ駆動部38を制御して、所定の初期位置から開始して、対物レンズ36をフォーカス方向に沿って移動させる。このとき制御部20は、合焦位置を含む一定の範囲で対物レンズ36を移動させることとする。つまり、対物レンズ36の移動範囲は、合焦位置近傍でFE信号に現れるS字波形を含むような範囲となる。さらに制御部20は、この一定の範囲での移動が行われている間における、増幅器17a〜17dが出力する増幅信号レベルLa_g〜Ld_gそれぞれの最大値を取得する。以下では、各増幅器17a〜17dが出力する増幅信号の最大値を、ピークレベルPa〜Pdと表記する。このピークレベルPa〜Pdは、例えば公知のピークホールド回路によって測定できる。
【0053】
そして制御部20は、取得したピークレベルPa〜Pdの値を用いて、各増幅器17a〜17dの出力信号のピークレベルが一致するように、ゲイン調整を行う。具体的に、本実施形態では、調整ゲインGa_adj〜Gd_adjは、以下の計算式により算出される。
【数2】
ここで、SUMはピークレベルPa〜Pdの合計値である。すなわち、SUMは
SUM=Pa+Pb+Pc+Pd
という計算式により算出される。
【0054】
なお、各増幅器17a〜17dが出力する増幅信号のピークレベルが得られるタイミングは、互いに異なっており、いずれも対物レンズ36が合焦位置にあるときの増幅信号レベルであるとは限らない。そのため、対物レンズ36が真の合焦位置にあると推定される場合における各受光素子の出力信号レベルを用いてゲイン調整を行う第1実施形態の調整方法と比較して、本実施形態によるゲイン調整では、調整の精度が落ちる場合も考えられる。しかしながら、本実施形態によるゲイン調整によっても、ゲイン調整を行わない場合と比較して、対物レンズ36が合焦位置にあるときのFE信号レベルLfeが0に近づくようにすることができる。さらに、本実施形態では、対物レンズ36をフォーカス方向に沿って一定範囲で移動させた際に得られるピークレベルを用いてゲイン調整を行うので、第1実施形態による調整方法と比較して、より素早く、簡易な処理でゲイン調整を行うことが可能になっている。すなわち、本実施形態によれば、仮の合焦位置を検出してフォーカスサーボ制御を開始し、さらにその状態でフォーカスバイアス調整処理を実行するという手順を踏むことなく、一度ピークレベルの測定を行えば直ちにゲイン調整を行うことが可能になっている。なお、一般に光ディスク装置は、光ディスク媒体Mの種別を判定したり光ディスク媒体Mの個体差を補正するために事前に光ディスク媒体Mの反射率に関する情報を取得したりする目的で、まず合焦位置を含む範囲で対物レンズ36を移動させ、信号レベルの測定を行う。そのため、この際にゲイン調整のためのピークレベル測定を合わせて行うこととすれば、本実施形態に係る光ディスク装置は、ゲイン調整そのもののために余分な動作を行うことなく、予め調整されたゲインでフォーカスサーボ制御を開始することができる。
【0055】
図8A〜図8Cは、本実施形態に係る光ディスク装置によるゲイン調整の効果を説明するための図であって、それぞれ図6A〜図6Cと同じ条件の下で、本実施形態によるゲイン調整を行った場合の各信号のシミュレーション結果を示している。図8Bに示すように、本実施形態におけるゲイン調整が適用された場合には各増幅信号のピークレベルが一致し、対物レンズ36が合焦位置にあるときのFE信号レベルLfeも略0になる。なお、図7A及び図7Cの場合と比較すると、図8A及び図8Cに示すように本実施形態によるゲイン調整では対物レンズ36が合焦位置にあるときのFE信号レベルLfeは若干0から乖離しているものの、図6A及び図6Cと比較すると、ゲイン調整を行わない場合よりもFE信号レベルLfeは0に近づいていることが分かる。
【0056】
なお、本発明の実施の形態は以上説明したものに限られない。例えば以上の説明においては受光素子はそれぞれ矩形の検出領域を持ちマトリクス状に配置されるものとしたが、このようなものに限らず、反射光のスポットSを十字状の境界線によって4つに分割するように配列され、非点収差法により合焦位置を検出するためのフォーカスエラー信号を生成するものであれば、どのようなものであってもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 光ディスク装置、11 媒体支持部、12 スピンドルモータ、13 光学ピックアップ、15 送りモータ、16 駆動回路、17 信号出力回路、18 サーボ信号処理部、19 記録信号処理部、20 制御部、31 発光素子、32 偏光ビームスプリッタ、33 コリメータレンズ、34 コリメータレンズ駆動部、35 立ち上げミラー、36 対物レンズ、37 フォトディテクタ、38 対物レンズ駆動部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスク媒体に記録された情報を読み取る光ディスク装置であって、
前記光ディスク媒体に光を集光する対物レンズと、
互いに並んで配列され、前記光ディスク媒体からの反射光を受けて、当該反射光の光量に応じた出力信号を出力する複数の受光素子と、
それぞれ、前記複数の受光素子のうちの対応する受光素子が出力する出力信号を増幅する複数の増幅器と、
前記複数の増幅器のそれぞれが出力する増幅信号に基づいて、前記光ディスク媒体の信号面に対する前記対物レンズの焦点位置のずれを示すフォーカスエラー信号を出力する信号出力回路と、
前記フォーカスエラー信号に基づいて、前記対物レンズの前記信号面からの距離を一定に保つよう前記対物レンズの位置を制御するフォーカスサーボ制御手段と、
前記光ディスク媒体からの情報の読み取り精度が高くなる位置に前記対物レンズを移動させる位置調整手段と、
前記位置調整手段が前記対物レンズを移動させた後における、前記複数の増幅器それぞれが出力する増幅信号のレベルが互いに近くなるように、前記複数の増幅器それぞれのゲインを調整するゲイン調整手段と、
を含むことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光ディスク装置において、
前記ゲイン調整手段は、前記位置調整手段により前記対物レンズを移動させた後における、前記複数の増幅器それぞれが出力する増幅信号のレベルが互いに近くなり、かつ、前記複数の増幅器それぞれが出力する増幅信号の総和が調整前後で変わらないように、前記複数の増幅器それぞれのゲインを調整する
ことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光ディスク装置において、
前記位置調整手段は、前記対物レンズの位置を変化させて、互いに異なる複数の位置のそれぞれにおける前記光ディスク媒体からの情報の読み取り精度を示す評価値を取得し、当該取得した複数の評価値に応じて決まる位置に前記対物レンズを移動させる
ことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項4】
請求項3に記載の光ディスク装置において、
前記評価値はジッター値である
ことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項5】
情報が記録された光ディスク媒体に光を集光する対物レンズと、
互いに並んで配列され、前記光ディスク媒体からの反射光を受けて、当該反射光の光量に応じた出力信号を出力する複数の受光素子と、
それぞれ、前記複数の受光素子のうちの対応する受光素子が出力する出力信号を増幅する複数の増幅器と、
前記複数の増幅器のそれぞれが出力する増幅信号に基づいて、前記光ディスク媒体の信号面に対する前記対物レンズの焦点位置のずれを示すフォーカスエラー信号を出力する信号出力回路と、
を備える光ディスク装置の制御方法であって、
前記フォーカスエラー信号に基づいて、前記対物レンズの前記信号面からの距離を一定に保つよう前記対物レンズの位置を制御するフォーカスサーボ制御ステップと、
前記光ディスク媒体からの情報の読み取り精度が高くなる位置に前記対物レンズを移動させる位置調整ステップと、
前記位置調整ステップで前記対物レンズを移動させた後における、前記複数の増幅器それぞれが出力する増幅信号のレベルが互いに近くなるように、前記複数の増幅器それぞれのゲインを調整するゲイン調整ステップと、
を含むことを特徴とする光ディスク装置の制御方法。
【請求項6】
情報が記録された光ディスク媒体に光を集光する対物レンズと、
互いに並んで配列され、前記光ディスク媒体からの反射光を受けて、当該反射光の光量に応じた出力信号を出力する複数の受光素子と、
それぞれ、前記複数の受光素子のうちの対応する受光素子が出力する出力信号を増幅する複数の増幅器と、
前記複数の増幅器のそれぞれが出力する増幅信号に基づいて、前記光ディスク媒体の信号面に対する前記対物レンズの焦点位置のずれを示すフォーカスエラー信号を出力する信号出力回路と、
を備える光ディスク装置を制御するプログラムであって、
前記フォーカスエラー信号に基づいて、前記対物レンズの前記信号面からの距離を一定に保つよう前記対物レンズの位置を制御するフォーカスサーボ制御手段、
前記光ディスク媒体からの情報の読み取り精度が高くなる位置に前記対物レンズを移動させる位置調整手段、及び、
前記位置調整手段が前記対物レンズを移動させた後における、前記複数の増幅器それぞれが出力する増幅信号のレベルが互いに近くなるように、前記複数の増幅器それぞれのゲインを調整するゲイン調整手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のプログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体。
【請求項1】
光ディスク媒体に記録された情報を読み取る光ディスク装置であって、
前記光ディスク媒体に光を集光する対物レンズと、
互いに並んで配列され、前記光ディスク媒体からの反射光を受けて、当該反射光の光量に応じた出力信号を出力する複数の受光素子と、
それぞれ、前記複数の受光素子のうちの対応する受光素子が出力する出力信号を増幅する複数の増幅器と、
前記複数の増幅器のそれぞれが出力する増幅信号に基づいて、前記光ディスク媒体の信号面に対する前記対物レンズの焦点位置のずれを示すフォーカスエラー信号を出力する信号出力回路と、
前記フォーカスエラー信号に基づいて、前記対物レンズの前記信号面からの距離を一定に保つよう前記対物レンズの位置を制御するフォーカスサーボ制御手段と、
前記光ディスク媒体からの情報の読み取り精度が高くなる位置に前記対物レンズを移動させる位置調整手段と、
前記位置調整手段が前記対物レンズを移動させた後における、前記複数の増幅器それぞれが出力する増幅信号のレベルが互いに近くなるように、前記複数の増幅器それぞれのゲインを調整するゲイン調整手段と、
を含むことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光ディスク装置において、
前記ゲイン調整手段は、前記位置調整手段により前記対物レンズを移動させた後における、前記複数の増幅器それぞれが出力する増幅信号のレベルが互いに近くなり、かつ、前記複数の増幅器それぞれが出力する増幅信号の総和が調整前後で変わらないように、前記複数の増幅器それぞれのゲインを調整する
ことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光ディスク装置において、
前記位置調整手段は、前記対物レンズの位置を変化させて、互いに異なる複数の位置のそれぞれにおける前記光ディスク媒体からの情報の読み取り精度を示す評価値を取得し、当該取得した複数の評価値に応じて決まる位置に前記対物レンズを移動させる
ことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項4】
請求項3に記載の光ディスク装置において、
前記評価値はジッター値である
ことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項5】
情報が記録された光ディスク媒体に光を集光する対物レンズと、
互いに並んで配列され、前記光ディスク媒体からの反射光を受けて、当該反射光の光量に応じた出力信号を出力する複数の受光素子と、
それぞれ、前記複数の受光素子のうちの対応する受光素子が出力する出力信号を増幅する複数の増幅器と、
前記複数の増幅器のそれぞれが出力する増幅信号に基づいて、前記光ディスク媒体の信号面に対する前記対物レンズの焦点位置のずれを示すフォーカスエラー信号を出力する信号出力回路と、
を備える光ディスク装置の制御方法であって、
前記フォーカスエラー信号に基づいて、前記対物レンズの前記信号面からの距離を一定に保つよう前記対物レンズの位置を制御するフォーカスサーボ制御ステップと、
前記光ディスク媒体からの情報の読み取り精度が高くなる位置に前記対物レンズを移動させる位置調整ステップと、
前記位置調整ステップで前記対物レンズを移動させた後における、前記複数の増幅器それぞれが出力する増幅信号のレベルが互いに近くなるように、前記複数の増幅器それぞれのゲインを調整するゲイン調整ステップと、
を含むことを特徴とする光ディスク装置の制御方法。
【請求項6】
情報が記録された光ディスク媒体に光を集光する対物レンズと、
互いに並んで配列され、前記光ディスク媒体からの反射光を受けて、当該反射光の光量に応じた出力信号を出力する複数の受光素子と、
それぞれ、前記複数の受光素子のうちの対応する受光素子が出力する出力信号を増幅する複数の増幅器と、
前記複数の増幅器のそれぞれが出力する増幅信号に基づいて、前記光ディスク媒体の信号面に対する前記対物レンズの焦点位置のずれを示すフォーカスエラー信号を出力する信号出力回路と、
を備える光ディスク装置を制御するプログラムであって、
前記フォーカスエラー信号に基づいて、前記対物レンズの前記信号面からの距離を一定に保つよう前記対物レンズの位置を制御するフォーカスサーボ制御手段、
前記光ディスク媒体からの情報の読み取り精度が高くなる位置に前記対物レンズを移動させる位置調整手段、及び、
前記位置調整手段が前記対物レンズを移動させた後における、前記複数の増幅器それぞれが出力する増幅信号のレベルが互いに近くなるように、前記複数の増幅器それぞれのゲインを調整するゲイン調整手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のプログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【公開番号】特開2012−203949(P2012−203949A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66477(P2011−66477)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(310021766)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (417)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(310021766)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (417)
【Fターム(参考)】
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