説明

光ディスク装置

【課題】光ピックアップ周辺の温度を正確に検出して、適切な温度制御が可能な光ディスク装置を提供する。
【解決手段】光ディスク装置1は、光ディスクDに光を照射するとともに光ディスクDで反射された反射光を受光する光ピックアップ20と、光ピックアップ20の周辺温度を検出するための温度センサ40と、温度センサ40から得られる温度情報に応じた温度制御処理を実行する温度制御処理部55と、を備える。温度センサ40で検出された温度情報が温度制御処理部55に入力されるまでの間に、信号のフィルタリングを行うフィルタ部543が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクに記録される情報の再生を行ったり、光ディスクに情報を記録したりする際に使用される光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光ディスクを回転駆動して、光ディスクの情報を再生したり、光ディスクに情報を記録したりする光ディスク装置が普及している。このような光ディスク装置は、例えばBDレコーダ、BDプレーヤ、DVDレコーダ、DVDプレーヤ等に備えられる。光ディスク装置には、光ディスクに光を照射するとともに光ディスクで反射された戻り光(反射光)を受光する光ピックアップが備えられ、この光ピックアップを用いて情報の読み取りや書き込みが行われる。
【0003】
従来の光ディスク装置においては、温度センサが光ピックアップ周辺に配置されることがある(例えば特許文献1や2参照)。この温度センサによって測定された温度を利用して、例えば光ピックアップが備える半導体レーザ(レーザダイオード)の駆動制御や、光ピックアップが備えるレンズに関わる動作制御等が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−287277号公報
【特許文献2】特開2007−157248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、光ピックアップ周辺の温度を測定する温度センサとして、例えば特許文献1に示されるように、光ピックアップの駆動を制御する回路(光源駆動用の回路やレンズ駆動用の回路)が形成される回路基板に配置されるサーミスタが使用されることがある。なお、上記回路基板は、通常、光ピックアップのベースに取り付けられる。
【0006】
しかしながら、この構成では、サーミスタは、例えば回路基板上に設けられる発熱部品から発生する熱の影響を受け易い。この結果、サーミスタによって検出される温度が、光ピックアップ周辺の実際の温度と乖離してしまうことがある。そして、サーミスタで検出される温度情報に応じた温度制御処理を実行した場合に、不適切な制御動作が実行されることがある。なお、発熱部品としては、例えば半導体レーザを駆動するLDD(Laser Diode Driver)等が挙げられる。
【0007】
上述した温度の乖離は、図6に示すように、光ディスクを装置(光ディスク装置)内に挿入してスピンアップ(光ディスクの再生や記録等が行えるようにする準備動作)が開始された直後において顕著に発生しやすい。図6において、横軸はスピンアップ開始からの経過時間であり、縦軸は温度である。また、図6において、実線は光ピックアップ周辺の実際の温度で、破線はサーミスタで検出される温度である。
【0008】
スピンアップ開始により、それまでに駆動していなかったLDDの駆動(半導体レーザの点灯)等が開始される。このために、LDD周辺の温度が急激に上昇し、LDD近傍に設けられることになるサーミスタで検出される温度も急激に上昇する。一方、光ピックアップ周辺の温度は、LDD近傍の温度だけではなく、光ピックアップ周りの平均的な温度を対象としており、これは比較的緩やかに上昇する。この結果、上述の温度乖離が生じる。
【0009】
このような温度乖離の対策として、例えば特許文献1に開示される技術を参考に、スピンアップ開始から所定期間、サーミスタで得られる温度情報を使用しないことも考えられる。しかしながら、このような構成では、サーミスタで得られる温度情報が使用可能となるまでの待機時間が長くなって、なかなか再生等が開始されないといった状況が発生することが懸念される。そして、そのような構成の光ディスク装置に対しては、ユーザが使い勝手が悪いとの印象を抱くことが懸念される。このため、他の対策が望まれる。
【0010】
以上の点に鑑みて、本発明の目的は、光ピックアップ周辺の温度を正確に検出して、適切な温度制御が可能な光ディスク装置を提供することである。特に、スピンアップ開始から、光ピックアップ周辺の温度を正確に検出できる技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明の光ディスク装置は、光ディスクに光を照射するとともに前記光ディスクで反射された反射光を受光する光ピックアップと、前記光ピックアップの周辺温度を検出するための温度センサと、前記温度センサから得られる温度情報に応じた温度制御処理を実行する温度制御処理部と、を備える光ディスク装置であって、前記温度センサで検出された温度情報が前記温度制御処理部に入力されるまでの間に、信号のフィルタリングを行うフィルタ部が設けられている構成(第1の構成)となっている。
【0012】
本構成によれば、フィルタ部の挿入により、温度センサで検出される温度が、光ピックアップ周辺の実際の温度から乖離することを防止して適切な温度を検出可能である。そして、これにより、温度制御処理部による温度制御動作を適切にできるために、記録や再生の品質を向上可能である。
【0013】
上記第1の構成の光ディスク装置において、前記温度センサから出力された信号をA/D変換するA/D変換部を備え、前記フィルタ部は、前記A/D変換部から出力されたデジタル信号が前記温度制御処理部に入力されるまでの間にフィルタリングを行う構成(第2の構成)とするのが好ましい。この構成では、フィルタ部がデジタルフィルタとなる。
【0014】
上記第1及び第2の構成の光ディスク装置において、前記フィルタ部は、所定の周波数以上の高周波成分をカットオフするローパスフィルタである構成(第3の構成)とするのが好ましい。
【0015】
上記第1から第3のいずれかの構成の光ディスク装置において、前記温度制御処理部は、前記温度センサから出力されて前記フィルタ部でフィルタリングが行われた後に入力された温度情報と、前記温度センサから出力されて前記フィルタ部でフィルタリングが行われることなく入力された温度情報と、を選択的に使用可能に設けられる構成(第4の構成)であるのが好ましい。これにより、より適切な温度制御処理が可能になる。
【0016】
上記第1から第4のいずれかの構成の光ディスク装置において、前記温度センサは、前記光ピックアップのベースに取り付けられる回路基板上に設けられるサーミスタである構成とするのが好ましい。本構成では、温度センサが回路基板上に設けられるLDD等の発熱部品の影響を受け易く、温度センサで検出される温度が、光ピックアップ周辺の実際の温度から乖離し易くなるが、フィルタ部を設けた効果によって適切な温度検出が可能である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、スピンアップ開始から光ピックアップ周辺の温度を正確に検出して、適切な温度制御が可能な光ディスク装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態の光ディスク装置の構成を示すブロック図
【図2】本実施形態の光ピックアップの外観構成を示す概略平面図
【図3】本実施形態の光ディスク装置が備える温度情報処理部の構成を示すブロック図
【図4】本実施形態の光ディスク装置が備える温度情報処理部に含まれるフィルタ部で行われるフィルタ処理ブロック
【図5】本実施形態の光ディスク装置が備える温度情報処理部に含まれるフィルタ部で行われるフィルタ処理ブロックの他の構成を示す図
【図6】スピンアップ開始直後において、サーミスタで検出される温度が、光ピックアップ周辺の実際の温度と乖離する状態を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の光ディスク装置の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図1は、本実施形態の光ディスク装置1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、光ディスク装置1はスピンドルモータ10を有する。このスピンドルモータ10は、その出力軸が光ディスクDを着脱自在に保持するターンテーブル(図示せず)に連結されている。このため、スピンドルモータ10を駆動させることによって、ターンテーブルに保持された光ディスクDが回転される。このスピンドルモータ10の駆動制御は、スピンドルモータ駆動部12(ドライバ)によって行われる。
【0021】
また、光ディスク装置1は、光ディスクDに光を照射するとともに光ディスクDで反射される光を受光する光ピックアップ20を有する。この光ピックアップ20は、光ディスクDに記録される情報を読み取ったり、光ディスクDに情報を書き込んだりするための装置である。図2は、本実施形態の光ピックアップ20の外観構成を示す概略平面図である。なお、図2に示される光ピックアップ20で光ディスクDの情報の読み取り等を行う場合、光ディスクDは紙面手前側に配置されることになる。
【0022】
光ピックアップ20は、情報の読み取りや書き込みを行う上で必要となる各種の部材が搭載されるベース201(本発明のベースの一例)を有する。光ピックアップ20は、ベース201が光ディスク装置1内に配置される2本のガイドシャフトGSに摺動可能に支持されることで、光ディスクの半径方向(ラジアル方向)に移動可能とされる。そして、これにより、光ピックアップ20は、回転する光ディスクDの所望のアドレスにアクセスして情報の読み取りや書き込みを行うことが可能になる。
【0023】
なお、ガイドシャフトGSによるベース201の支持は、ベース201の左右の端部に設けられる軸受け部201a、201bを使用して行われる。
【0024】
ベース201に搭載される各種の部材には、光ディスクDに光を照射するための半導体レーザ(光源)202、203、光ディスクDからの戻り光(反射光)を受光して光電変換を行う光検出器204、半導体レーザから出射されたレーザ光を光ディスクDに照射するとともに光ディスクDからの戻り光を光検出器204へと導くための各種の光学部材等が含まれる。
【0025】
光学部材には、対物レンズ205、206やコリメートレンズ(ベース201内に内蔵されており、図2には図示されない)が含まれる。対物レンズ205、206は、半導体レーザ202、203から出射された光を光ディスクDの情報記録面RSに集光するためのレンズである。対物レンズ205、206は、ベース10内に埋め込まれるようにして取り付けられるアクチュエータ210に搭載され、フォーカス方向(光ディスクDに接離する方向;図2において紙面に垂直な方向)やトラッキング方向(ラジアル方向に平行な方向;図2において上下方向)への移動が可能となっている。
【0026】
アクチュエータ210は、対物レンズ205、206を保持するレンズホルダ210aを有し、レンズホルダ210aをワイヤ210bで揺動可能に支持する構成のものである。そして、コイル及び磁石を利用して発生させた力でレンズホルダ210a(すなわち対物レンズ205、206)を動かすものである。このようなタイプのアクチュエータは公知であるので、ここでは、その構成に関する詳細な説明は省略する。
【0027】
コリメートレンズ(不図示)は、半導体レーザ202、203と対物レンズ205、206との間の光路中に配置され、光軸方向に移動可能に設けられる。このようにコリメートレンズを移動可能とするのは、対物レンズ205、206に入射する光の収束・発散度合いを調整して、球面収差の影響を適切に抑制できるようにするためである。
【0028】
なお、光ピックアップ20においては、半導体レーザや対物レンズの数が複数(2つずつ)となっているが、これは複数の光ディスク(例えば、BD、DVD及びCD)を互換可能とするためである。また、光ピックアップ20においては、複数の光学部材(コリメートレンズ含む)や光検出器204が、半導体レーザ202が使用される場合と半導体レーザ203が使用される場合とで共用される構成となっている。
【0029】
図1に戻って、光ピックアップ駆動部21は、半導体レーザ202、203の駆動を制御するLDDを含む。このLDDは、光ピックアップ20のベース201の裏面側(光ディスクDに対向する面の反対側)に取り付けられる回路基板207(図2参照)上に設けられる。光ピックアップ駆動部21は、その他、アクチュエータ210やコリメートレンズを光軸方向に移動する機構等の駆動制御を行うための駆動回路も備える。
【0030】
また、信号生成部22は、光検出器204から出力される電気信号を演算処理して、再生RF信号、フォーカスエラー(FE)信号、トラッキングエラー(TE)信号等を生成し、制御部50に出力する。
【0031】
光ピックアップ移動機構30は、光ピックアップ20をラジアル方向に移動可能とする機構である。この光ピックアップ移動機構30は、特に限定されるものではないが、例えばリードスクリュと、リードスクリュに係合してリードスクリュの回転を直線方向の動きに変換するティース部材(係合部材)を用いて実現できる。ティース部材は、光ピックアップ20のベース201に固定される。光ピックアップ移動機構30の駆動制御は、移動機構駆動部31(ドライバ)によって行われる。
【0032】
温度センサ40は、光ピックアップ20のベース201に取り付けられる回路基板207上に配設されるサーミスタである。
【0033】
制御部50は、例えばマイクロコンピュータによって構成され、光ディスク装置1を構成する各部が実行すべき動作に応じて適宜制御処理を実行したり、また、制御に必要となる演算処理を実行したりする。制御部50は、ROM61(Read Only Memory)及びRAM62(Random Access Memory)を含む記憶部60を備える。ROM61には、制御部50が各種処理を行う上で必要となる各種のパラメータや動作プラグラムが記憶されている。RAM62はワーク領域として用いられ、また、各種情報の格納領域とされる。
【0034】
制御部50に含まれる再生処理部51は、信号生成部22で生成された再生RF信号の復号化処理を行ない、インターフェース70を介して外部に再生データの出力を行う。また、制御部50に含まれる記録処理部52は、インターフェース70を介して外部から入力されたデータを符号化する処理を行う。制御部50は、符号化処理されたデータに基づいて光ピックアップ20に関する制御指令を各部に出力する。この指令に基づいて光ピックアップ20が動作されて、光ディスクDに情報の書き込み(記録)が行われる。
【0035】
制御部50に含まれるサーボ処理部53は、フォーカスサーボ制御を行うためにFE信号に基づいてフォーカスドライブ信号を生成したり、トラッキングサーボ制御を行うためにTE信号に基づいてトラッキングドライブ信号を生成したりする。制御部50は、得られたフォーカスドライブ信号及びトラッキングドライブ信号に基づいてアクチュエータ210の制御指令を出す。これにより、アクチュエータ210が動作されてサーボ制御が行われる。この際、制御部50は光ピックアップ移動機構30の制御も適宜行う。
【0036】
制御部50に含まれる温度情報処理部54は、温度センサ(サーミスタ)40から出力される信号を適宜処理して、温度制御処理部55に温度情報を与える。この温度情報処理部54の詳細は後述する。
【0037】
制御部50に含まれる温度制御処理部55は、温度情報処理部54から与えられた温度データ(温度情報)に応じた温度制御処理を実行する。この温度制御処理には、例えば、温度データに基づいてアクチュエータ210を駆動して対物レンズ205、206のチルト量を変化させる処理が含まれてよい。また、この温度制御処理には、温度データに基づいてコリメートレンズを駆動させる機構を制御してコリメートレンズの光軸方向の位置を変化させる処理が含まれてよい。また、この温度制御処理には、温度データに基づいて半導体レーザ202、203のレーザパワーの目標レベルを変更させる処理が含まれてもよい。
【0038】
図3は、本実施形態の光ディスク装置1が備える温度情報処理部54の構成を示すブロック図である。図3に示すように、温度情報処理部54は、A/D変換部541と、温度換算部542と、フィルタ部543と、を備える。
【0039】
A/D変換部541は、温度センサ(サーミスタ)40から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。温度換算部542は、A/D変換部541から出力されたデジタル信号(電圧値)を予め用意された換算テーブルにしたがって温度データに変換する。温度換算部542は、得られた温度データ信号をフィルタ部543に出力するとともに温度制御処理部55にも出力する。
【0040】
フィルタ部543は、温度換算部542から出力される温度データ信号のフィルタリングを行う。フィルタ部543は、フィルタリングが行われた後の温度データ信号を温度制御処理部55に出力する。すなわち、温度制御処理部55には、温度換算部542から出力されてフィルタリングが行われた後に入力される温度情報と、温度換算部542から出力されてフィルタリングが行われることなく入力される温度情報と、が入力されることになる。このように2つの温度情報が温度制御処理部55に入力される理由については、後述する。
【0041】
図4は、本実施形態の光ディスク装置1が備える温度情報処理部54に含まれるフィルタ部543で行われるフィルタ処理ブロックである。図4に示す第1の乗算部543aは、入力を(1−a)倍して出力する。加算部543bは2つの入力信号の和を出力する。遅延部541cは1周期だけ信号を遅延する。第2の乗算部543bは、入力をa倍して出力する。この構成は、公知の如く、所定の周波数以上の高周波成分をカットオフする1次ローパスフィルタ(LPF)である。
【0042】
光ディスク装置1では、LDD等の発熱部品が搭載される回路基板207上にサーミスタ40を配設しているために、スピンアップ直後においてサーミスタ40の検出温度が光ピックアップ20周辺の実際の温度より高くなってしまう(上述の図6参照)。この点、1次LPFとして機能するフィルタ部543を設けたことにより、サーミスタ40の検出温度と光ピックアップ20周辺の実際の温度との差異を吸収することができる。なお、例えば、フィルタ部543のカットオフ周波数を0.001Hzとすることで、上述した差異の吸収を適切に行えることが実験的に得られている。
【0043】
ところで、上述のように、光ディスク装置1では温度制御処理部55にフィルタリングが行われたデータと、フィルタリングが行われていないデータとの2つの温度データ(温度情報)が入力されるようになっている。これは、温度制御処理部55が、2つの温度データを選択的に使用できるようにするためである。
【0044】
例えばスピンアップ開始から十分時間が経過した後においては、サーミスタ40で検出される温度は、光ピックアップ20周辺の実際の温度に対してほとんどずれを生じない(図6参照)。このために、例えばスピンアップ開始から十分時間が経過した後においては、サーミスタ40から出力される信号をフィルタリングしない方が、好ましい温度情報を与える場合がある。その他、温度制御処理の内容によっては、発熱部品からの熱の影響を受けたサーミスタ40からの温度データを使用して温度制御処理を行った方がよい場合もあり得る。このため、本実施形態のように、温度制御処理部55が、2つの温度データを選択的に使用可能とする構成が好ましい。
【0045】
以上のように、本実施形態の光ディスク装置1では、スピンアップ開始直後においても、光ピックアップ周辺の温度を正確に検出できる。このために、光ディスク装置1では温度制御処理の精度向上が期待でき、結果として、光ディスク装置1の記録や再生品質の向上が期待できる。
【0046】
以上に示した実施形態は本発明の一例であり、本発明の適用範囲は、以上に示した実施形態の構成に限定されるものではない。
【0047】
例えば、以上に示した実施形態では、フィルタ部543が温度換算部542から出力される信号をフィルタリングする構成とした。しかし、本発明は、この構成に限定されるものではない。例えば、A/D変換部541から出力された信号をフィルタ部でフィルタリングする構成としても構わない。また、場合によっては、A/D変換部541に入力される前の信号をフィルタリングする構成としても構わない。この場合には、フィルタ部は、プログラムソフトによって構成されるものではなく、抵抗とコンデンサとを用いて構成されることになる。
【0048】
また、以上に示した実施形態のフィルタ部543の構成(フィルタ処理ブロック)は例示にすぎない。例えば、フィルタ部は、1次LPFの構成(図4に示す構成)を複数並列に並べた構成であっても構わない。また、フィルタ部の処理ブロックは、図5に示すような、複数(N個)の乗算部と、複数(N−1個)の遅延部と、加算部と、を備える、いわゆる移動平均の処理ブロック等でもよい。なお、図5におけるNは適宜決定すればよい。
【0049】
また、以上に示した実施形態では、温度制御処理部55に、フィルタリングが行われたデータと、フィルタリングが行われていないデータとの2つの温度データ(温度情報)が入力される構成とした。しかし、本発明は、この構成に限定されるものではない。すなわち、温度制御処理部55において2つの温度情報が選択的に使用可能な構成であればよく、切換部によって2つの温度情報を切り換えて温度制御処理部55に入力する構成としても構わない。また、場合によっては、フィルタリングが行われていないデータは、温度制御処理部55に入力されない構成としても構わない。
【0050】
また、以上においては、複数種類の光ディスクに対応すべく、光ディスク装置1に、半導体レーザや対物レンズが複数備えられる構成としたが、これらは1つずつの構成(この場合には、1種類の光ディスクに対応する場合と複数種類の光ディスクに対応する場合との両方の場合が想定される)でも勿論構わない。
【0051】
また、以上に示した実施形態では、光ディスク装置が再生及び記録が可能である構成としたが、いずれか一方のみを行う光ディスク装置にも本発明は適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の光ディスク装置は、例えばBDレコーダやBDプレーヤ等の好適である。
【符号の説明】
【0053】
1 光ディスク装置
20 光ピックアップ
40 温度センサ
55 温度制御処理部
201 ベース
207 回路基板
541 A/D変換部
543 フィルタ部
D 光ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクに光を照射するとともに前記光ディスクで反射された反射光を受光する光ピックアップと、
前記光ピックアップの周辺温度を検出するための温度センサと、
前記温度センサから得られる温度情報に応じた温度制御処理を実行する温度制御処理部と、
を備える光ディスク装置であって、
前記温度センサで検出された温度情報が前記温度制御処理部に入力されるまでの間に、信号のフィルタリングを行うフィルタ部が設けられていることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
前記温度センサから出力された信号をA/D変換するA/D変換部を備え、
前記フィルタ部は、前記A/D変換部から出力されたデジタル信号が前記温度制御処理部に入力されるまでの間にフィルタリングを行うことを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記フィルタ部は、所定の周波数以上の高周波成分をカットオフするローパスフィルタであることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記温度制御処理部は、前記温度センサから出力されて前記フィルタ部でフィルタリングが行われた後に入力された温度情報と、前記温度センサから出力されて前記フィルタ部でフィルタリングが行われることなく入力された温度情報と、を選択的に使用可能に設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光ディスク装置。
【請求項5】
前記温度センサは、前記光ピックアップのベースに取り付けられる回路基板上に設けられるサーミスタであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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