説明

光ディスク記録再生装置

【課題】記録再生信号と駆動信号との両方が供給される光ピックアップに漏洩ノイズを生じさせることがなく記録再生を行うことができる光ディスク記録再生装置を提供する。
【解決手段】少なくとも、光ディスクからの情報の記録再生を行う光ピックアップ5と光ピックアップ5を光ディスクの半径方向に移動させるフィード機構部8とが設けられた機構部と、機構部に対向配置され、フィード機構部8に制御信号を出力する制御部品が設けられた回路基板4と、を有し、機構部と回路基板4との間に、光ディスクからの情報の記録再生を行う記録再生信号用の配線パターンを有する第1フレキシブルケーブル17と、前記駆動部に制御信号を供給する配線パターンを有する第2フレキシブルケーブル18と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対物レンズを駆動する対物レンズ駆動系から光ディスクの記録再生を行う再生信号系への漏洩ノイズを低減する光ディスク記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ピックアップと駆動回路を有するベース基板とをフレキシブルケーブルにより接続した光ディスク記録再生装置が特許文献1に記載されている。
この特許文献1に記載されている光ディスク記録再生装置について、図4乃至図6を用いて説明する。
図4は、特許文献1に記載されている光ディスク記録再生装置を示す平面図である。
図5は、特許文献1に記載されている光ディスク記録再生装置の駆動部を示す斜視図である。
図6は、フレキシブルケーブルの構成を示す図である。
【0003】
図4に示すように、上カバー(図示せず)と下カバー20との間にターンテーブル21を回転自在に支持するトレー22が配置され、このトレー22の中央に光ディスクをクランプするクランプ機構23が形成されている。そして、ターンテーブル21の周囲には、光ディスクの直径よりも大きい形状のディスク収納部24が形成されている。ディスク収納部24の下方には、光ピックアップ5が光ディスク半径方向に移動可能に取り付けられている。この光ピックアップ5は、ディスク収納部24の凹部24Aに収納され、凹部24Aは、ピックアップカバー25で覆われている。
【0004】
更に、光ピックアップ機構26は、光ピックアップ5を光ディスクの半径方向に移動させる一対のガイド軸7、7と、光ピックアップ5を駆動するステッピングモータ12と、ステッピングモータ12の回転駆動力を光ピックアップ5に伝達する伝達機構27とから構成されている。光ピックアップ5の両側には、一対のガイド軸7、7に係合して光ピックアップ5の移動方向をガイドする軸受け部28〜30が設けられている。伝達機構27は、ステッピングモータ12の回転を減速するギヤ群31と、ギヤ群31を介して回転駆動されるリードスクリュー11とからなる。更に、光ピックアップ5は、リードスクリュー11の螺旋溝に係合する係合部32を有する。
【0005】
図5に示すように、ピックアップカバー25の下方には、光ピックアップ5をディスク半径方向へ移動可能に支持するピックアップユニット33が配置されている。ピックアップユニット33は、ターンテーブル21と、光ピックアップ5と、ガイドレールを平行に保持するサブベース34と、光ピックアップ5に接続されたフレキシブルケーブル35とを有する。
【0006】
図6に示すように、フレキシブルケーブル35は、幅広部36と、幅広部36の側方に延在する端部に設けられた端子37と、幅広部36より光ピックアップ5の移動方向に平行に延在する一対の延在部38、39と、一対の延在部38、39間に形成されたスリット40と、一対の延在部38、39の先端に設けられ光ピックアップ5に電気的に接続される端子41、42とを有する。一対の延在部38、39に形成された配線パターンは、スリット40を介して離間しているので、互いにノイズ漏洩の影響を受けないように設けられている。
【0007】
例えば、一方の延在部38には、記録再生信号系の配線パターンを形成し、他方の延在部39には、駆動信号系の配線パターンを形成することによりノイズ漏洩を防止している。また、一方の延在部38には、低周波信号が流れる配線パターンを形成し、他方の延在部39には、高周波信号が流れる配線パターンを形成して、ノイズ漏洩の防止と共に相互干渉を防止することもできる。
【特許文献1】特開2003−91943号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、光ピックアップ5は、記録再生を行うために用いられる半導体レーザ、光ディスクからの反射光を受光する光検出器(図示せず)、対物レンズを駆動する対物レンズ駆動機構(図示せず)を備えているので、これらの構成部にも記録再生信号と駆動信号との両方を供給する必要がある。このため、特許文献1に記載されている光ディスク記録再生装置のように、記録再生信号系と駆動信号系とに分けて配線パターンを形成することができない。このため、光ピックアップ5に漏洩ノイズが生じて記録再生信号の品質を損なわれるといった問題を生じていた。
【0009】
フレキシブルケーブル35を用いて、上記した構成部に信号を供給しようとした場合には、フレキシブルケーブル35から出力される記録再生信号と駆動信号とを光ピックアップ5に供給する段階でより分ける必要があるため、光ピックアップ5とフレキシブルケーブル35との間に複雑化したインターフェースが必要となり、更に部品点数を増やす結果を生じてしまう。
【0010】
そこで、本発明は、前述の課題に鑑みて提案されるものであって、記録再生信号と駆動信号との両方が供給される光ピックアップに漏洩ノイズを生じず、記録再生信号の品質を損なうことがなく記録再生を行うことができる光ディスク記録再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、少なくとも、光ディスクからの情報の記録再生を行う光ピックアップと前記光ピックアップを前記光ディスクの半径方向に移動させるフィード機構部とが設けられた機構部と、前記機構部に対向配置され、前記フィード機構部に制御信号を出力する制御部品が設けられた回路基板と、を有する光ディスク記録再生装置において、前記機構部と前記回路基板との間に、前記光ディスクからの情報の記録再生を行う記録再生信号用の配線パターンを有する第1フレキシブルケーブルと、前記フィード機構部に制御信号を供給する配線パターンを有する第2フレキシブルケーブルと、を備えたことを特徴とする光ディスク記録再生装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、機構部と回路基板との間に、光ディスクからの情報の記録再生を行う記録再生信号用の配線パターンを有する第1フレキシブルケーブルと、フィード機構部に制御信号を供給する配線パターンを有する第2フレキシブルケーブルと、を備えているので、漏洩ノイズを生じず、記録再生信号の品質を損なうことがなく記録再生を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る光ディスク記録再生装置の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る光ディスク記録再生装置を示す斜視図である。図3は、フロントエンド基板を示す斜視図である。図3は、駆動部を示す斜視図である。
従来と同一構成には同一符号を付す。
【実施例】
【0014】
本発明の実施例に係る光ディスク記録再生装置は、従来の光ディスク記録再生装置におけるフレキシブルケーブル35を記録再生信号系用の第1フレキシブルケーブル17と駆動信号系用の第2フレキシブルケーブル18とからなるようにしたものであり、これ以外は同様である。
【0015】
以下、具体的に説明する。
図1に示すように、光ディスク記録再生装置は、トラバースメカ部1とこのトラバースメカ部1に対向して配置されたフロントエンド基板4とから構成されている。トラバースメカ部1は、中央部に開口部を有するベース2と、このベース2の四隅に図示しないローディングメカに固定するインシュレータ3、3、3、3とから構成されている。
更に、図2に示すように、ベース2には、光ディスクの記録再生を行う光ピックアップ5と、スピンドルモータ6と、光ピックアップ5を光ディスクの半径方向に移動させる一対のガイド軸7、7と、フィード機構部8とが固定されている。光ピックアップ5とフィード機構部8とで機構部を構成している。
【0016】
光ピックアップ5は、図示しないレーザ光を出射する半導体レーザと、このレーザ光を光ディスクに集光させる対物レンズ9と、この対物レンズ9をトラッキング方向とフォーカシング方向に駆動する対物レンズ駆動機構10と、光ディスクからの反射光を受光する図示しない光検出器とを備えている。
【0017】
フィード機構部8は、長手方向に螺旋状の溝が切られたリードスクリュー11と、このリードスクリュー11を回転させるステッピングモータ12とを備えている(図1)。リードスクリュー11と一対のガイド軸7、7との間には、リードスクリュー11の回転を一対のガイド軸7、7に伝達する図示しない伝達部が設けられている。
【0018】
図3に示すように、フロントエンド基板4上には、スピンドルモータ6、ステッピングモータ12、フォーカス及びトラッキングアクチュエータを駆動するドライブ回路を1つのチップにユニット化したIC13と、3つのコネクタ14、15、16とが固定されている。このIC13としては、ローム(株)が販売しているBD7905BFSを用いることができる。IC13は、各コネクタ14、15、16からの距離が最小となるように配置することが望ましい。実際には、フロントエンド基板4上には、IC13以外の電子部品が搭載される。
【0019】
コネクタ14には、光ピックアップ5に接続された第1フレキシブルケーブル17が接続されている。コネクタ15には、光ピックアップ5とステッピングモータ12とに共通に接続された第2フレキシブルケーブル18が接続されている。コネクタ16には、スピンドルモータ6に接続された第3フレキシブルケーブル19が接続されている(図1、2)。
【0020】
第1フレキシブルケーブル17には、光ディスクの記録再生信号用としての配線パターンが形成され、第2フレキシブルケーブル18には、対物レンズ駆動機構10、ステッピングモータ12、トラッキングやフォーカスアクチュエータの駆動信号用としての配線パターンが形成されている。
以上のように、光ピックアップ5に第1フレキシブルケーブル17を介して記録再生信号が供給され、第2フレキシブルケーブル18を介して駆動信号が供給されるようにしているので、記録再生信号と駆動信号が干渉して記録再生信号の品質を損ねることがなく、光ディスクの記録再生を行うことができる。
【0021】
なお、光ピックアップ5内に青色レーザを用いた光ピックアップに搭載される球面収差補正用のステッピングモータ、複数の対物レンズを持つ対物レンズ切り替え機構のアクチュエータ(圧電素子、DCモータ、ステッピングモータ)の駆動信号を第2フレキシブルケーブル18内に取り込み、1つのフレキシブルケーブルで行うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る光ディスク記録再生装置を示す斜視図である。
【図2】フロントエンド基板を示す斜視図である。
【図3】駆動部を示す斜視図である。
【図4】特許文献1に記載されている光ディスク記録再生装置を示す平面図である。
【図5】特許文献1に記載されている光ディスク記録再生装置の駆動部を示す斜視図である。
【図6】フレキシブルケーブルの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0023】
1…トラバースメカ部、2…ベース、3…インシュレータ、4…フロントエンド基板(回路基板)、5…光ピックアップ、6…スピンドルモータ、7…ガイド軸、8…フィード機構部、9…対物レンズ、10…対物レンズ駆動機構、11…リードスクリュー、12…ステッピングモータ、13…IC、14、15、16…コネクタ、17…第1フレキシブルケーブル、18…第2フレキシブルケーブル、19…第3フレキシブルケーブル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、光ディスクからの情報の記録再生を行う光ピックアップと前記光ピックアップを前記光ディスクの半径方向に移動させるフィード機構部とが設けられた機構部と、前記機構部に対向配置され、前記フィード機構部に制御信号を出力する制御部品が設けられた回路基板と、を有する光ディスク記録再生装置において、
前記機構部と前記回路基板との間に、前記光ディスクからの情報の記録再生を行う記録再生信号用の配線パターンを有する第1フレキシブルケーブルと、前記フィード機構部に制御信号を供給する配線パターンを有する第2フレキシブルケーブルと、を備えたことを特徴とする光ディスク記録再生装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−122788(P2007−122788A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−310921(P2005−310921)
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】