光ディスク駆動制御装置
【課題】コピー処理と他の読み出し処理との双方に起因する光ディスクへのアクセスを、ユーザが意識して操作を控えることなくスムーズに行う光ディスク駆動制御装置を提供する。
【解決手段】この装置は、メモリ(例えばメモリ15)、揮発性メモリ(例えばRAM16)、及び制御部(例えばCPU17)を備える。制御部は、光ディスク上のデータをメモリ15に記録するコピー処理の実行と、光ディスクに記録されたデータの伝送要求を受けたときにその対象となったデータを、メモリ15、光ディスクの順で検索して揮発性メモリに読み出して一時的に記録し、要求元に伝送する伝送処理の実行とを制御する。また、制御部は、光ディスクに記録されたデータのメモリ15へのコピーが完了するまでコピー処理の実行を要求し、且つ、コピー処理と伝送処理とが同時に要求されている場合、コピー処理より伝送処理を優先させて実行させる。
【解決手段】この装置は、メモリ(例えばメモリ15)、揮発性メモリ(例えばRAM16)、及び制御部(例えばCPU17)を備える。制御部は、光ディスク上のデータをメモリ15に記録するコピー処理の実行と、光ディスクに記録されたデータの伝送要求を受けたときにその対象となったデータを、メモリ15、光ディスクの順で検索して揮発性メモリに読み出して一時的に記録し、要求元に伝送する伝送処理の実行とを制御する。また、制御部は、光ディスクに記録されたデータのメモリ15へのコピーが完了するまでコピー処理の実行を要求し、且つ、コピー処理と伝送処理とが同時に要求されている場合、コピー処理より伝送処理を優先させて実行させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬型の光ディスクの駆動を制御する光ディスク駆動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc)等の可搬型の光ディスクは、HDD(Hard Disk Drive)等の通常固設される記録媒体に比べて単価が安い反面、アクセス速度が遅い問題がある。そのため、頻繁にランダムアクセスを伴うデータを扱う場合、HDD等の高速なアクセスが可能な記録媒体に光ディスク上の情報をコピーしてから使う方法などが一般的である。例えば、パソコンのOS(Operating System)をCDからHDDへインストールしてから使用すること、カーナビゲーションシステムの地図データをDVDからHDDへコピーして使用したり更新したりすることなどが、一般的に行われている。
【0003】
しかしながら、光ディスクから別の記録媒体へデータをコピーしながら、光ディスク上のデータにアクセスしようとする場合、コピー元の光ディスクへのアクセスが急激に増加するため、そのような操作自体を受け付けない設計になっているか、或いは、受け付けられる設計であったとしても、コピーの速度、読み出しの速度が大幅に低下し、トータルの処理時間が、コピー処理と読み出し処理とを別々に実施した場合に比べて多くなるといった問題がある。コピー速度や読み出し速度の大幅な低下は、主に、コピー処理と他の処理での読み出し処理とで光ディスク上の異なる場所にアクセス要求し、結果的に、光ディスクからデータを読み出すために用いる光ピックアップが頻繁に移動せざるを得なくなるために生じる。
【0004】
このような場面として、例えば、光ディスク内の映像データをバックアップしながら、同時に再生を行う場面が想定できるが、この場合、出力映像が途切れるなどの問題が発生してしまう。また、ブータブルディスクを用いてOSを起動する場合において、OSデータがRAM(Random Access Memory)領域に完全に読み出される前にアプリケーションの起動などの操作を行うといった場面も想定できるが、この場合、OSデータの読み出しとアプリケーションデータの読み出しが同時に発生してしまい、結果的に快適に使用できるまでにかかる時間が長くなってしまう。
【0005】
このように、光ディスク内のデータを別の記録媒体へコピーしている間は、光ディスクへのアクセスが伴う他の操作ができなかったり、他の操作ができたとしてもその応答が遅かったりするため、ユーザに不便を強いているのが現状であると言える。
【0006】
ユーザの中には、これらの問題の発生原因を経験上把握し、ディスクアクセス時には他のディスクアクセスが発生するような操作を行わないようにすることで問題の発生を回避しているが、根本的な解決とは言い難い。
【0007】
特許文献1には、電池で動作する記録媒体制御装置において、バッファメモリ内に残っているデータが再生データとして再利用可能かどうかを再利用判定部で判定し、再利用可能な場合は、光ディスクから再生データの再取得を行わず、バッファメモリ内に残っている再生データを再利用するよう制御する技術が開示されている。このような制御により、データ読み取りの際、ピックアップの移動量が大きく電流消費が増大する点を改善している。
【特許文献1】特開2005−293654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の技術を喩えコピー処理中の処理として適用したとしても、コピー中のデータの光ディスク上の記録場所とは異なる場所へのアクセスが要求されると、再利用不可能となって、光ピックアップが頻繁に移動することとなる。その結果、この移動処理により読み出し速度が大幅に低下してしまい、トータルの処理時間が、コピー処理と読み出し処理とを別々に実施した場合に比べて多くなり、より時間が掛かってしまう。
【0009】
本発明は、上述のような実状に鑑みてなされたものであり、コピー処理と他の読み出し処理との双方に起因する光ディスクへのアクセスを、ユーザが意識して操作を控えることなくスムーズに行うことが可能な光ディスク駆動制御装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、可搬型の光ディスクに記録されたデータの読み出しを制御する光ディスク駆動制御装置であって、前記光ディスクに記録されたデータのコピーを記録するためのメモリと、前記光ディスクから光ピックアップを介して読み出されたデータを一時的に記録するための揮発性メモリと、(a)前記光ディスク上のデータを前記メモリに記録するコピー処理の実行と、(b)前記光ディスクに記録されたデータの伝送要求を受けたときに該伝送要求の対象となったデータを要求元に伝送する伝送処理の実行と、を制御する制御部と、を備え、前記コピー処理は、前記光ディスクから前記光ピックアップによりデータを読み出し、読み出したデータを前記揮発性メモリに一時的に記録し、該データを前記揮発性メモリから前記メモリに移動する処理を含み、前記伝送処理は、前記光ディスクに記録されたデータの伝送要求を受けたときに、該伝送要求の対象となったデータを、前記メモリ、前記光ディスクの順で検索して前記揮発性メモリに読み出して一時的に記録し、前記要求元に伝送する処理とし、前記制御部は、前記光ディスクに記録されたデータの前記メモリへのコピーが完了するまで前記コピー処理の実行を要求し、且つ、前記コピー処理の実行と前記伝送処理の実行とが同時に要求されている場合、前記コピー処理より前記伝送処理を優先させて実行するよう制御することを特徴としたものである。
【0011】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記制御部は、前記コピー処理の実行と前記伝送処理の実行とが同時に要求されており、前記伝送処理の実行により前記光ディスクから前記光ピックアップより読み出したデータを前記揮発性メモリに一時的に記録して伝送する場合、伝送後も前記揮発性メモリ内のデータを保持するよう制御し、且つ、前記伝送処理が完了したとき、前記コピー処理として、前記伝送処理で伝送済みの前記揮発性メモリ内のデータを、前記メモリに移動する処理を行うよう制御することを特徴としたものである。
【0012】
第3の技術手段は、第2の技術手段において、前記制御部は、前記コピー処理として、前記伝送処理が完了後に前記伝送処理で伝送済みの前記揮発性メモリ内のデータを前記メモリに移動した後、前記伝送処理で前記光ディスクから読み出しを行った前記光ピックアップの位置又は該位置に最も近い未コピーのデータに対応する位置を開始点として、前記光ディスクから前記揮発性メモリにデータを読み出して一時的に記録し、該データを前記メモリに移動するよう制御することを特徴としたものである。
【0013】
第4の技術手段は、第3の技術手段において、前記制御部は、前記コピー処理の前記開始点からの開始を、前記伝送処理で前記光ディスクから読み出しを行った前記光ピックアップの位置と前記コピー処理の実行の要求が示す前記ピックアップの予定位置とが所定距離以上離間していた場合にのみ実行するよう制御し、離間していなかった場合には、前記予定位置から前記コピー処理を開始するよう制御することを特徴としたものである。
【0014】
第5の技術手段は、第2〜第4のいずれかの技術手段において、前記制御部は、前記コピー処理の実行と前記伝送処理の実行とが同時に要求されており、前記伝送処理が実行されている場合、前記揮発性メモリの記録可能残量が無くなったときに、前記伝送処理を中断して、前記伝送処理で伝送済みの前記揮発性メモリ内のデータを前記メモリに移動することで前記コピー処理を実行し、前記揮発性メモリの記録可能残量が所定量になるまで回復した段階で前記伝送処理を再開するよう制御することを特徴としたものである。
【0015】
第6の技術手段は、第1の技術手段において、前記制御部は、前記コピー処理の実行と前記伝送処理の実行とが同時に要求されており、前記伝送処理の実行により前記光ディスクから前記光ピックアップより読み出したデータを前記揮発性メモリに一時的に記録して伝送する場合、伝送後に前記揮発性メモリ内のデータを破棄するよう制御し、且つ、前記伝送処理が完了したとき、前記伝送処理で前記光ディスクから読み出しを行った前記光ピックアップの位置又は該位置に最も近い未コピーのデータに対応する位置を開始点として、前記光ディスクから前記揮発性メモリにデータを読み出して一時的に記録し、該データを前記メモリに移動するよう制御することを特徴としたものである。
【0016】
第7の技術手段は、第6の技術手段において、前記制御部は、前記コピー処理の前記開始点からの開始を、前記伝送処理で前記光ディスクから読み出しを行った前記光ピックアップの位置と前記コピー処理の実行の要求が示す前記ピックアップの予定位置とが所定距離以上離間していた場合にのみ実行するよう制御し、離間していなかった場合には、前記予定位置から前記コピー処理を開始するよう制御することを特徴としたものである。
【0017】
第8の技術手段は、第1〜第7のいずれかの技術手段において、前記コピー処理は、前記揮発性メモリに一時的に記録されたデータを前記メモリに移動する代わりにコピーする処理であり、前記伝送処理は、前記伝送要求を受けたときに、該伝送要求の対象となったデータを、前記揮発性メモリ、前記メモリ、前記光ディスクの順で検索して、前記揮発性メモリにある場合には前記揮発性メモリから前記要求元に伝送し、前記メモリ又は前記光ディスクにある場合には、前記揮発性メモリ内に前記コピー処理により記録されたデータを削除すると共に前記メモリ又は前記光ディスクから前記揮発性メモリに読み出して一時的に記録し、前記揮発性メモリから前記要求元に伝送することを特徴としたものである。
【0018】
第9の技術手段は、第2の技術手段において、前記コピー処理は、前記揮発性メモリに一時的に記録されたデータを前記メモリに移動する代わりにコピーする処理であり、前記制御部は、前記コピー処理の実行と前記伝送処理の実行とが同時に要求されており、前記伝送処理の実行により前記光ディスクから前記光ピックアップより読み出したデータを前記揮発性メモリに一時的に記録して伝送する場合、伝送後に前記揮発性メモリの記録可能残量が所定量を下回ったときのみ、前記揮発性メモリ内のデータを破棄するよう制御し、且つ、該破棄を伴う前記伝送処理が完了したとき、前記伝送処理で前記光ディスクから読み出しを行った前記光ピックアップの位置又は該位置に最も近い未コピーのデータに対応する位置を開始点として、前記光ディスクから前記揮発性メモリにデータを読み出して一時的に記録し、該データを前記メモリに移動又はコピーするよう制御することを特徴としたものである。
【0019】
第10の技術手段は、第1〜第9のいずれかの技術手段において、前記コピー処理の実行の要求は、前記光ディスクがマウントされたとき又は所定のユーザ操作を受け付けたときになされることを特徴としたものである。
【0020】
第11の技術手段は、第1〜第10のいずれかの技術手段において、前記光ディスクを回転させる装置及び前記光ピックアップを設けた光ディスク駆動装置を備えたことを特徴としたものである。
【0021】
第12の技術手段は、第1〜第10のいずれかの技術手段において、前記光ディスクを回転させる装置及び前記光ピックアップを設けた光ディスク駆動装置に、接続するための接続インターフェースを備えたことを特徴としたものである。
【0022】
第13の技術手段は、第1〜第12のいずれかの技術手段において、前記光ディスクに記録されたデータとして、前記要求元で実行させるためのオペレーティングシステムプログラムを含むことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、コピー処理と他の読み出し処理との双方に起因する光ディスクへのアクセスを、ユーザが意識して操作を控えることなくスムーズに行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係る光ディスク駆動制御装置の一構成例を示す図で、図中、10は光ディスク駆動制御装置、20はホスト機器である。光ディスク駆動制御装置10は、光ピックアップ11、高周波集積回路(RF IC)12、モータドライバ13、スピンドルモータ14、RAM16、CPU(Central Processing Unit)17、DSP(Digital Signal Processor)18、及びATA(AT Attachment)インターフェース(I/F)19を備える。
【0025】
光ディスク駆動制御装置10は、可搬型の光ディスク(以下、単に光ディスクと呼ぶ)からデータを読み出すことが可能に構成されている。ここで、光ディスクとはBD、DVD、CD等の光メディアを指し、その構造が多層であっても、読み出し専用/読み書き可能なものに限らず適用できる。なお、光ディスクとしては光磁気ディスクも適用できる。
【0026】
CPU17は、光ディスク駆動制御装置10の全体を制御する。図1の構成例では、CPU17は、RAM16に対するデータの読み書きの制御と、DSP18の制御とを行い、DSP18が他の構成要素の制御を行う。CPU17は、後述するフラッシュメモリ15の読み書きの制御も行う。
【0027】
ATA I/F19は、光ディスク駆動制御装置10とホスト機器20とを接続するためのインターフェースで、ホスト機器20から光ディスク上に記録されたデータの伝送要求を受け、データをホスト機器20に返す。この伝送要求は、CPU17がATA I/F19及びDSP18を介して受ける。以下、ホスト機器20から光ディスクに記録されたデータの伝送要求を受けたときに、伝送要求の対象となったデータを要求元(ホスト機器20)に伝送する処理を、伝送処理と呼ぶ。CPU17は、例えばCPU17の内部ROMに伝送処理の制御を行うための伝送処理プログラムを実行可能に格納しておき、伝送要求を受けたときにCPU17の内部RAMにその伝送処理プログラムを読み出して実行することで、伝送処理の実行制御が可能になる。
【0028】
ホスト機器20としては、例えばパーソナルコンピュータ(PC)が挙げられ、その場合、光ディスク駆動制御装置10はホスト機器20であるPCに外部接続されていることになる。勿論、ホスト機器20は、PC内部のメイン基板等であってもよく、その場合、PCには、ホスト機器20であるメイン基板に接続された状態で光ディスク駆動制御装置10が搭載されていることになる。ホスト機器20の他の例としては、例えば録画機器や再生機器、或いはそのメイン基板などが挙げられる。なお、ホスト機器20として録画機器や再生機器を採用した場合、光ディスク駆動制御装置10は機器の外部に接続されることになるが、機器内にも装置10と同等の或いは本発明の特徴を有さない別の光ディスク駆動制御装置を搭載することもできる。
【0029】
スピンドルモータ14は、図示しないディスク搭載台に搭載された光ディスクを持ち上げて回転させるためのモータであり、モータドライバ13は、その回転を制御する駆動回路である。モータドライバ13に対する回転の開始・停止や回転数の制御は、DSP18から行うことができる。例えば、CPU17が、ATA I/F19を経由したホスト機器20からの伝送要求があったときに、DSP18を経由してモータドライバ13に回転開始を指示し、伝送要求された対象のデータが伝送済みとなったときにモータドライバ13に回転停止を指示すればよい。
【0030】
光ピックアップ11は、レーザダイオード等の光源、レンズ、ビームスプリッタ、フォトダイオード等の検出部などから構成され、スピンドルモータ14によって回転している光ディスクに特定波長の光を照射してその反射光を検出して、RF IC12に出力する。光ピックアップ11のデータ読み出し位置(並びに、複数種類の光ディスクに対応する場合には上記特定波長の切替)などは、伝送要求された対象のデータに応じて、CPU17からDSP18を経由して制御される。この制御は、さらにRF IC12を経由して行ってもよい。
【0031】
RF IC12は、光ピックアップ11により取得した反射光から、光ディスクに凹凸などによって記録されているデータの信号を検出し、そのデータ信号をDSP18に出力する。上述した各構成要素11〜14(及びそれを制御するDSP18)は、光ディスク駆動装置(光ドライブ)の構成例である。
【0032】
DSP18は、このようにして光ピックアップ11から読み出されたデータ信号に対し、ノイズ処理やデータ読み出し位置に応じた補正等の各種信号処理を施して、RAM16に一時的に記録させる。このように、RAM16は、光ディスクから光ピックアップ11を介して読み出されたデータを一時的に記録(格納)するための揮発性メモリの一例である。RAM16の存在により、光ディスク、光ディスク駆動制御装置10、ホスト機器20との間の転送においてDMA(Direct Memory Access)転送を行うことが可能になる。
【0033】
RAM16に読み出されたデータは、CPU17からの制御により、DSP18、ATA I/F19を介して、ホスト機器20に適時伝送される。このようにして、ホスト機器20からの伝送要求の対象となったデータを、光ディスクから読み出しRAM16に一時的に記録し、ホスト機器20へ伝送することで、上述の伝送処理が実行できる。
【0034】
このように、光ディスク駆動制御装置10は光ディスクに記録されたデータの読み出しが可能になっており、その制御を行う制御部はCPU17及びDSP18で例示したものである。また、光ディスク駆動制御装置10は、その詳細を説明しないが光ディスクへのデータの書き込みも制御可能にしておくこと、つまり書き換え可能な光ディスクに対応させておくことが好ましい。書き込み対応の場合には、RAM16は、光ディスクから読み出されたデータに限らず、光ディスクに光ピックアップ11により書き込まれるデータも一時的に記録する。
【0035】
そして、本発明の主たる特徴の一つとして、光ディスク駆動制御装置10は不揮発性メモリ(以下、フラッシュメモリ15で例示)を備える。フラッシュメモリ15は、光ディスクに記録されたデータのコピー(コピーデータ)を記録するためのメモリであり、装置10内に据え置かれる。光ディスク上のデータをフラッシュメモリ15に記録する処理(以下、コピー処理と呼ぶ)は、CPU17等の制御部によってその実行が制御される。CPU17は、例えばCPU17の内部ROMにコピー処理の制御を行うためのコピー処理プログラムを実行可能に格納しておき、コピー処理を開始する要求(以下、コピー要求と呼ぶ)を受けたときにCPU17の内部RAMにそのコピー処理プログラムを読み出して実行することで、コピー処理の実行制御が可能になる。
【0036】
このようなコピー処理は、CPU17等の制御部による制御に基づき、上述した伝送処理と同様にしてまずRAM16上にコピー処理の対象のデータを記録した後、そのRAM16上のデータをフラッシュメモリ15に移動して記録することで、実行することができる。このような実行方法は、本発明におけるコピー処理の一方法である。つまり、コピー処理は、その処理方法の一つとして、光ディスクから光ピックアップ11によりデータを読み出し、読み出したデータをRAM16一時的に記録し、そのデータをRAM16からフラッシュメモリ15に移動する処理を含む。
【0037】
CPU17は、光ディスクに記録されたデータのフラッシュメモリ15へのコピーが完了するまでコピー処理の実行を要求する。このコピー要求は、光ディスクがマウントされたことを検出して開始してもよいが、ユーザが任意のタイミングで操作により指示し、その指示を検出した時点で開始してもよい。また、コピーの完了とは、予め定めた領域のデータのみのコピーの完了を指してもよい。つまり、コピー処理の対象はCPU17が予め定めた条件に基づき判断してもよい。光ディスクにはその光ディスク内のデータを管理する情報が記録された領域があるが、例えば、この領域のデータのコピーは上記コピー処理に含まなくてもよい。他の例としては、光ディスクがROM層とRE/RW層でなる多層構造や、同層でもROM領域がRE/RW領域と区別されている構造など、ROM領域とRE/RW領域とをもったハイブリッドディスクである場合には、ROM領域のデータだけコピー処理の対象とするなどしてもよい。
【0038】
このように光ディスク駆動制御装置10は、コピー処理が実行可能に構成されており、そのコピー処理の進捗によっては、伝送要求されたデータが既にコピー済みである場合が多くなる。また、光ディスク駆動制御装置10は、光ディスクに記録されたデータのフラッシュメモリ15へのコピーが完了するまでコピー処理が実行されるため、完了した時点では、完全で且つリムーバブルな仮想ハードディスクとしてユーザに見せかけることができる。
【0039】
従って、上述した伝送処理は、本発明においては光ディスク内のデータよりフラッシュメモリ15内のデータを優先的にRAM16に読み出して、伝送要求の対象となるデータを要求元に伝送するものとする。つまり、CPU17は、伝送要求を受けたときに、伝送要求の対象となったデータを、フラッシュメモリ15、光ディスクの順で検索してRAM16に読み出して一時的に記録し、要求元に伝送するような制御を行う。また、このようにRAM16は、フラッシュメモリ15に記録されたデータをホスト機器20に伝送する際にも、そのデータを一時的に記録する。
【0040】
ここで、上記検索は、フラッシュメモリ15にコピー済みのアドレスとコピー元である光ディスク上のアドレスとを関連付けて、フラッシュメモリ15に格納しておき、それらのアドレスと伝送要求時に指定されたアドレスとを比較することで、実行できる。また、異なる光ディスクが搭載されて読み出される場合もある。
【0041】
従って、CPU17は、コピー処理の実行時に、コピー処理がなされた光ディスクを特定するディスク特定情報と上述したアドレスのようなコピー済み領域を示すコピー済み情報とを、フラッシュメモリ15に記録しておくとよい。ディスク特定情報は、記録済みのディスク特定情報と異なる情報が光ディスクから得られた場合だけ上書きすればよく、上書きした場合にはコピー済み情報及びコピーデータそのものも削除すればよい。代替案として、光ディスクがアンマウントされたときに、ディスク特定情報、コピー済み情報、及びコピーデータそのものを削除してもよい。
【0042】
このようなディスク特定情報及びコピー済み情報により、伝送要求に対してフラッシュメモリ15からデータを読み出すことができるだけでなく、上述したコピーの完了の判定や、未コピー領域の判定及びその判定結果に基づくコピー要求の位置(コピー処理を開始する光ピックアップ11の位置)の判定も可能になる。
【0043】
そして、本発明の主たる特徴の一つとして、CPU17は、コピー処理の実行と伝送処理の実行とが同時に要求されている場合(いずれの要求が先であってもよい)、コピー処理より伝送処理を優先させて実行するよう制御する。
【0044】
上述のように、本発明に係る光ディスク駆動制御装置10は、コピー処理より他の読み出し処理(つまり、伝送処理)を優先させて実行しているため、コピー処理と伝送処理との双方に起因する光ディスクへのアクセスを、ユーザが意識して操作を控えることなくスムーズに行うことが可能になる。さらに、光ディスクからのデータ読み出し処理において、最も時間が掛かるのは光ピックアップ11の移動及びその制御である。しかし、本発明に係る光ディスク駆動制御装置10では、高速読み出し可能なフラッシュメモリ15等の不揮発性メモリを併用し、且つ、その不揮発性メモリにデータコピーが完了するまでコピー処理を行うため、伝送処理時に既に不揮発性メモリにコピー済みのデータであるケースが増え、結果的に、光ディスクからの読み出し頻度を抑えて光ピックアップが頻繁に移動することを防止し、スムーズでデータ読み出しを実現することができる。また、データ読み出しは、内部の不揮発性メモリからの読み出しの方が格段に早いため、高速に終えることができる。また、光ピックアップの移動が頻繁でなくなるため、本発明は省電力化にも貢献できる。
【0045】
図2は、図1の光ディスク駆動制御装置における処理例を説明するためのフロー図、図3は、図2におけるコピー処理の一例を説明するためのフロー図、図4は、図2における伝送処理の一例を説明するためのフロー図である。
【0046】
図2を参照しながら、CPU17がコピー処理中に伝送要求を受けた場合の処理の一例について説明する。例えば光ディスクがマウントされたとき、CPU17がコピー処理の開始を決定してコピー要求をコピー処理プログラムに渡し、コピー処理プログラムの実行により、光ディスク上のデータを順にRAM16に読み出してDSP18での処理後にフラッシュメモリ15に記録していく(ステップS1)。
【0047】
そして、CPU17は、コピーが完了しないうちにホスト機器20から伝送要求(つまり外部からのアクションとしてデータ読み出し要求)を受けたとき(ステップS2)、コピー処理プログラムにコピー処理の停止を指示してステップS1の処理を終わらせると共に、伝送処理プログラムにデータ読み出しの開始を指示する。この指示により、伝送処理プログラムが実行され、光ディスク上のデータを順にRAM16に読み出してDSP18での処理後に伝送要求元であるホスト機器20に渡していく(ステップS3)。ステップS3では、フラッシュメモリ15に伝送に必要なデータがある場合には、フラッシュメモリ15内のデータを優先してホスト機器20に渡していく。この場合には、コピー処理の停止を指示しなくても、RAM16を使用領域を分けて使いさえすればよい。なお、以下の説明では、簡便化のためDSP18による処理を省略する。
【0048】
そして、予め伝送要求に含まれる読み出し終了アドレスまでデータを伝送したとき(ステップS4)、コピー処理プログラムに読み出し開始・終了アドレスを通知する(ステップS5)と共に、伝送処理プログラム自身を終了させる。また、伝送要求に読み出し終了アドレスが含まれないような処理方法を採用する場合には、ステップS4のデータ読み出し終了は、ホスト機器20からの終了要求をCPU17が受け、そのときのアドレスを読み出し終了アドレスとして読み出し開始アドレスと共にステップS5で通知すればよい。
【0049】
ステップS6でのコピー処理は、光ピックアップ11の位置の移動を少なくする方法を採用する。このような位置の移動を少なくするための好適な例として、可能な限りRAM16内のデータを破棄しないようにする処理が適用できる。より具体的には、CPU17は、コピー要求と伝送要求とが同時に要求されている場合で、伝送処理の実行により光ディスクから光ピックアップ11より読み出したデータをRAM16に一時的に記録して伝送する場合、伝送後もRAM16内のデータを保持するよう制御する。なお、コピー要求と伝送要求とが同時に要求されている場合とは、コピー要求、伝送要求のいずれが先に受け付けられていてもよい(以下同様)。
【0050】
そして、CPU17は、伝送処理が完了したとき、コピー処理として、伝送処理で伝送済みのRAM16内のデータを、フラッシュメモリ15に移動する処理を行うよう制御する。このとき、上述した読み出し開始・終了アドレスの情報も、コピー済み情報として記録する。RAM16内のデータをフラッシュメモリ15に移動しているだけであるため、光ピックアップ11を移動させる必要性はない。
【0051】
このように伝送処理の完了時にその伝送したデータをそのままフラッシュメモリ15にコピーすることで、ユーザはホスト機器20から必要に応じてデータにアクセスしようとするだけで、一度でもユーザがアクセスしようとしたデータが全てフラッシュメモリ15に記録されるため、ユーザが知らぬ間にフラッシュメモリ15へのコピーも完了してしまうことができる。
【0052】
また、ステップS6において、RAM16内のデータ(光ディスク上のデータのコピーデータ)を全てフラッシュメモリ15へ記録してしまった後も、コピー処理は引き続き実行される。このとき、ステップS3の伝送処理の終了時点での光ピックアップ11の位置から、コピー処理を再開すればよく、CPU17は、通知された読み出し終了アドレスからの読み出し及びフラッシュメモリ15へのコピーを指示すればよい。なお、引き続き実行するのではなく、RAM16内のデータを記録してしまった時点でコピー処理を中断するような処理を採用してもよい。
【0053】
なお、この例では、伝送要求がRAM16の容量を超えない範囲でなされることを前提として説明している。従って、ホスト機器20において超えるような伝送要求が必要な場合にはホスト機器20が分けて伝送要求を行うことが好ましいが、容量を超えることを許容し、RAM16内のデータのコピー処理に要する多少の応答時間を犠牲にしてCPU17側で伝送要求を分けるようにしてもよい。
【0054】
伝送要求がRAM16の容量を超えることを許容する場合の別の処理方法として、RAM16のデータを適時破棄して、要求元への伝送を継続し、伝送が終了した時点でのRAM16内のデータだけ保持するような方法も採用できる。
【0055】
より具体的には、CPU17は、コピー処理の実行と伝送処理の実行とが同時に要求されており、且つ伝送処理が実行されている場合、RAM16の記録可能残量が無くなったときに、伝送処理を中断して、伝送処理で伝送済みのRAM16内のデータをフラッシュメモリ15に移動することでコピー処理を先に実行する制御を行えばよい。ホスト機器20に対しては、CPUが例えばRAM16の容量がフルになった時点でその容量を破棄するまでは「次のデータを受け入れる」といった応答を返さないようにしておけばよい。そして、CPU17は、RAM16の記録可能残量が所定量になるまで(又はRAM16がコピー済み情報やディスク特定情報を残して空になるまで)回復した段階で伝送処理を再開するよう制御すればよい。
【0056】
この方法では、伝送後のRAM16内のデータをフラッシュメモリ15へ記録しているにも拘わらず、上述した「コピー処理に要する多少の応答時間」の犠牲は無くて済む。なお、RAM16の記録可能残量が無くなったときについて説明したが、同時要求後、伝送要求がキャンセルされたときも同様に、伝送を中断しキャンセル時点でのデータを保持しておき、フラッシュメモリ15に記録すればよい。
【0057】
また、ステップS6のコピー処理中に再度、伝送要求を受けた場合には(ステップS7)、ステップS3〜S6と同様の処理を繰り返せばよい(ステップS8〜S11)。そして、コピー処理が完了した時点で、コピー処理プログラムを終了すればよい。
【0058】
図3を参照しながら、図2のような処理を可能にするコピー処理の一例を説明する。コピー処理は、CPU17が、まずコピー要求に含まれる指定アドレスがコピー済みか否かをフラッシュメモリ15内のコピー済み情報に基づき判定し(ステップS21)、コピー済みでない場合には、光ディスクの指定アドレスからデータをRAM16に読み出し(ステップS22)、それをフラッシュメモリ15の指定アドレス(これもコピー要求に含ませておけばよい)に書き出す(ステップS23)。これにより光ディスク内のデータがフラッシュメモリ15にコピーされる。
【0059】
そして、CPU17は、コピー要求の対象となった全てのデータのコピーが完了したか否かを判定し(ステップS24)、完了していた場合には処理を終了する。一方、完了していなかった場合には、伝送処理(つまり、コピー処理以外でのデータ読み出し処理)から通知された読み出し開始・終了アドレスを確認する(ステップS25)。ステップS25では、確認後、その通知アドレスがあった場合には次のコピー対象の指定アドレスとし、通知アドレスが無かった場合には最初のコピー要求に含まれる次の指定アドレスをそのまま次のコピー対象の指定アドレスにしておく。
【0060】
図4を参照しながら、図2のような処理(特にステップS3〜S5の処理)を可能にする伝送処理の一例を説明する。伝送処理は、CPU17が伝送要求を受けることで開始される。CPU17がこの伝送要求で指定されたアドレスのデータがコピー済みか否かをフラッシュメモリ15内のコピー済み情報に基づき判定する(ステップS31)。コピー済みであれば、CPU17は、フラッシュメモリ15からそのデータをRAM16に読み出してホスト機器20に伝送し(ステップS32)、最終読み出しアドレス(及び読み出し開始アドレス)をコピー処理プログラムに通知し(ステップS33)、処理を終了する。一方、コピー済みでなければ、CPU17は、コピー処理を停止し(ステップS34)、伝送要求で指定されたアドレスのデータを光ディスクからRAM16に読み出してホスト機器20に伝送して(ステップS35)、処理を終了する。
【0061】
次に、図5〜図7を参照して、図1の光ディスク駆動制御装置において伝送処理とコピー処理とを実行したときの、光ディスク上の読み出し位置とフラッシュメモリのコピー済み領域との関係を説明する。ここでは、伝送要求に基づく伝送処理をタスクA、コピー要求に基づくコピー処理をタスクBとし、上述したようにタスクA,Bが同時に要求されている場合を想定する。タスクA,Bは優先順位をもっており、この場合、タスクA>タスクBである。
【0062】
仮に、図5に示すように、タスクAが読み出すデータが光ディスク内領域40の途中からで、タスクBが読み出しを指定したデータが光ディスク内領域40の先頭であったとする。この場合、タスクAを優先し、タスクAで要求されたデータの開始位置P1に光ピックアップの位置を移動させ、そのデータ(図5中、色付き領域)が光ディスクからRAM16に読み出されてホスト機器20に伝送される。そして、このときRAM16に読み出したデータは従来では伝送後に破棄されるが、破棄する前にタスクBのコピー用データとして使用し、図6で示すようにフラッシュメモリ15内の領域30に記録される。なお、領域30では分かり易くするために、コピー済みの領域の位置を図5の色付き領域と合わせているが、実際のアドレスは互いに対応させなくても、関連付けさえ行っておけばよい。
【0063】
次にタスクAに余裕が出た時点(例えば、RAM16の記録可能残量が無くなった時点や、タスクAが停止又は一時停止された時点)で、タスクBの処理を行う。このとき、最初にタスクBが要求していた読み出し位置(この例では光ディスクの先頭位置)に光ピックアップ11の位置を移動し(位置P2に移動し)、データを読み出してフラッシュメモリ15にコピーする。
【0064】
次にタスクAが、引き続きデータの読み出し要求をしてきたとき、図7のように、そのデータがフラッシュメモリ15内の領域30に既にコピー済みである場合には、そのデータをRAM16に読み出してホスト機器20に伝送する。これより、コピー済みのデータに関してはディスクアクセスが不要となり、光ピックアップ11の移動要求も軽減することができるため、結果としてタスクAの読み出し(リアルタイム性が求められることが多いデータ読み出し)を阻害することなく、タスクBのコピー処理も引き続き実行できる。ここで実行されるコピー処理は、図7に示すように、フラッシュメモリ15内領域30でコピー済みの領域に続く領域の開始点に相当する光ディスク内領域40の位置P3に、光ピックアップ11を移動させることで実行できる。
【0065】
このように、光ディスクの伝送要求とコピー要求が同時になされている場合に、伝送要求に従ってアクセスしたデータを同時にコピーしておくことで、同じ場所へのアクセスがあった場合、コピー先にアクセスすることでコピー元のアクセスを減らすことができる。これにより、光ピックアップ11が頻繁に移動しないようにする。つまり、光ディスクの読み出しを可能な限り光ピックアップ11の位置を変えないようにすることでスムーズなデータ読み出しが実現できる。
【0066】
また、CPU17自身が、ホスト機器20から伝送要求を受けたときに、ホスト機器20とは独立して、このようなコピー処理と伝送処理との制御(タスク制御)を行うことを前提としたが、このようなタスク制御は、光ディスク駆動制御装置10を接続したホスト機器20のOSが行い、CPU17に指示してもよい。以下に説明する例での制御についても同様である。
【0067】
図8は、図1の光ディスク駆動制御装置において伝送処理後にコピー処理を実行する場合の光ディスク上の読み出し位置を説明するための図である。図6の例では、伝送されたデータのコピー後、最初にタスクBが要求していた読み出し位置P2に光ピックアップ11の位置を移動させて、フラッシュメモリ15へのデータコピーを継続したが、この継続時のコピー処理は、図8に示すように、光ピックアップ11の位置を伝送が終了した位置P4から開始することが好ましい。
【0068】
より具体的には、CPU17が、コピー処理として、伝送処理が完了後に伝送処理で伝送済みのRAM16内のデータをフラッシュメモリ15に移動した後、伝送処理で光ディスクから読み出しを行った光ピックアップ11の位置又はその位置に最も近い未コピーのデータに対応する位置を開始点(図8でいう位置P4)として、光ディスクからRAM16にデータを読み出して一時的に記録するよう制御する。ここでの光ピックアップ11の位置は、図2のステップS5での通知アドレスと対応しており、その通知アドレスから得ることができる。さらに、CPU17が、そのデータをフラッシュメモリ15に移動するよう制御する。このように、タスクAからタスクBへ処理を切り替える際に、光ピックアップ11の位置又は最も近い未コピー位置から開始することで、さらに光ピックアップ11の移動を軽減することができる。また、この処理においても、上述した伝送処理の中断に関する処理は適用できる。
【0069】
また、このような制御を行う際に、CPU17は、コピー処理の上記開始点からの開始を、伝送処理で光ディスクから読み出しを行った光ピックアップ11の位置(図8でいう位置P4)とコピー処理の実行の要求が示すピックアップの予定位置(図6でいう位置P2)とが所定距離以上離間していた場合にのみ実行するよう制御してもよい。一方、離間していなかった場合には、上記予定位置からコピー処理を開始するよう制御するとよい。このように、タスクAからタスクBへ処理を切り替える際に、光ピックアップ11の位置が大きく異なる場合は、光ピックアップ11の現在位置から続けてタスクBのコピーを行うことで、コピー済みデータが光ディスクの領域を虫食い状態にすることを防ぐことができる。
【0070】
また、RAM16内のデータを破棄しないような処理として、伝送処理後のRAM16内のデータのみを考慮した例を説明したが、コピー処理後のRAM16内のデータも可能な限り破棄しないようにすることで、伝送要求によってコピー処理直後のデータをRAM16から読み出すことも可能になる。
【0071】
より具体的には、CPU17が、コピー処理として、RAM16に一時的に記録されたデータを(RAM16の記録可能残量が無くなったり伝送処理で使用する容量を除いて無くなったりしない限り)フラッシュメモリ15に移動する代わりにコピーする処理を採用するとよい。移動の代わりにコピーすることは、RAM16にデータを保持したままにしておくことを意味する。
【0072】
そして、CPU17が、伝送処理として、伝送要求を受けたときに、その伝送要求の対象となったデータを、RAM16、フラッシュメモリ15、光ディスクの順で検索すればよい。検索の結果、RAM16にある場合にはRAM16から要求元に伝送し、フラッシュメモリ15又は光ディスクにある場合には、RAM16内にコピー処理により記録されたデータを削除すると共にフラッシュメモリ15又は光ディスクからRAM16に読み出して一時的に記録し、RAM16から要求元に伝送すればよい。つまり、この伝送処理では、フラッシュメモリ15にコピー処理によって記録されたデータより、RAM16にコピー処理時に一時的に記録されたデータを、優先的に読み出して、データ伝送を行う。
【0073】
以上、図2〜図8を参照してCPU17がコピー処理中に伝送要求を受けた場合の処理を中心に説明したが、逆に伝送処理中にコピー要求が生じた場合にはコピー処理を待機させておけばよいだけである。
【0074】
次に、光ピックアップ11の位置の移動を少なくするための他の例を説明する。このような例として、伝送後のRAM16内のデータを常に破棄してまでも、コピー処理より伝送処理を優先して行う処理を適用することもできる。この例は、図8で説明した例において、伝送後のRAM16内のデータを常に破棄するように変更したものである。
【0075】
より具体的には、CPU17が、コピー要求と伝送要求とが同時に要求された状態で、伝送処理の実行により光ディスクから光ピックアップ11より読み出したデータをRAM16に一時的に記録して伝送する場合、伝送後にRAM16内のデータを破棄するよう制御する。さらに、CPU17は、その伝送処理が完了したとき、伝送処理で光ディスクから読み出しを行った光ピックアップ11の位置(図8でいう位置P4)又はその位置に最も近い未コピーのデータに対応する位置を開始点として、光ディスクからRAM16にデータを読み出して一時的に記録し、そのデータをフラッシュメモリ15に移動するよう制御する。このような制御では、伝送したデータはRAM16から破棄されるため、伝送要求するデータの量とRAM16の容量とを考慮しなくても済む。
【0076】
また、このような制御においても、コピー処理としてRAM16に一時的に記録されたデータを保持したままにし、伝送処理としてその伝送要求の対象となったデータをRAM16、フラッシュメモリ15、光ディスクの順で検索する処理を採用する例を適用することができる。また、このような制御においても、図8での説明と同様に、CPU17は、コピー処理の開始点からの開始を、伝送処理で光ディスクから読み出しを行った光ピックアップ11の位置とコピー処理の実行の要求が示すピックアップの予定位置とが所定距離以上離間していた場合にのみ実行するよう制御し、離間していなかった場合には、上記予定位置からコピー処理を開始するよう制御してもよい。
【0077】
また、伝送後のRAM16内のデータを常に破棄するようにした例を示したが、RAM16の記録可能残量が所定量を下回ったとき(例えば記録可能残量が無くなったとき)のみ破棄するようにしてもよい。
【0078】
より具体的には、CPU17が、コピー要求と伝送要求とが同時に要求された状態で、伝送処理の実行により光ディスクから光ピックアップ11より読み出したデータをRAM16に一時的に記録して伝送する場合、伝送後にRAM16の記録可能残量が所定量を下回らなかったときには、図2のステップS6で説明したような処理を実行すればよい。つまり、このような場合、CPU17が、伝送後にRAM16の記録可能残量が所定量を下回らなかったときには、伝送後もRAM16内のデータを保持するよう制御する。そして、CPU17は、伝送処理が完了したとき、コピー処理として、伝送処理で伝送済みのRAM16内のデータを、フラッシュメモリ15にコピーする処理を行うよう制御すればよい。また、伝送処理では、その伝送要求の対象となったデータをRAM16、フラッシュメモリ15、光ディスクの順で検索する処理を採用する例を適用することができる。
【0079】
上記コピー処理がRAM16内のデータを移動ではなくコピーする処理であるため記録可能残量が足らなくなることがある。従って、伝送後にRAM16の記録可能残量が所定量を下回ったときには、CPU17が、RAM16内のデータを破棄するよう制御する。そして、このような破棄を実行した場合、CPU17は、その伝送処理が完了したとき、伝送処理で光ディスクから読み出しを行った光ピックアップ11の位置(図8でいう位置P4)又はその位置に最も近い未コピーのデータに対応する位置を開始点として、光ディスクからRAM16にデータを読み出して一時的に記録し、そのデータをフラッシュメモリ15に移動又はコピーするよう制御する。
【0080】
また、このようなRAM16に記録可能残量が所定量あるか否かによって処理を異ならせる制御においても、図8での説明と同様に、CPU17は、コピー処理の開始点からの開始を、伝送処理で光ディスクから読み出しを行った光ピックアップ11の位置とコピー処理の実行の要求が示すピックアップの予定位置とが所定距離以上離間していた場合にのみ実行するよう制御し、離間していなかった場合には、上記予定位置からコピー処理を開始するよう制御してもよい。
【0081】
次に、光ディスクに記録されたデータについて説明する。光ディスクに記録されたデータとして、要求元(つまりホスト機器20)で実行させるためのオペレーティングシステム(OS)プログラムを含むようにすることで、光ディスクからのホスト機器20の起動が可能になる。ホスト機器20がPC又はそのメイン基板の場合で、且つ光ディスクとしてBDを用いる場合には、UDFフォーマットでOSのプログラムを記録しておけばよい。OSプログラムを記録した光ディスク(つまりブータブル光ディスク)は、セキュリティ上、シンクライアントPCなどでOSを用途に応じて切り替えたい場合などに、非常に有用となる。同時に、光ディスクに特殊なキーを埋め込んでおき、OS以外のデータを光ディスクからコピーできないようにしておくこともできる。
【0082】
また、光ディスクにOSを記録する場合、次に例示するように、多層構造にすることが好ましい。まず、L0層(1層目)は、BD−REとし、OS上で稼働するアプリケーションソフトやそのデータなど、ユーザデータの保存エリアを設けておき、さらにその保存エリア内を管理するための管理データ(例えば保存エリア内のデータのアドレス等)を格納するエリアも設けておく。L1層(2層目)も、BD−REとし、OSを含むOS起動パーティションのデータを保存しておく。L2層(3層目)は、BD−ROMとし、OSのオリジナルイメージやディスク認識に必要な管理情報などを保存しておく。そして、本発明の光ディスク駆動制御装置のような、フラッシュメモリ15付きであるハイブリッドドライブ以外では、例えば、L2層(3層目)を見えない構造にしておくなどしてもよい。これにより、オリジナルが本発明の装置以外でコピーされることを防ぐことができる。また、この例では、光ディスクの2層目にはオリジナルデータ(出荷時のデータ)が記録され、1層目にはユーザがアプリケーションの追加などを行った状態のデータが保存されている。ユーザが利用時に2層目から各種データを読み出すか、ユーザが任意に手を加えた状態(1層目+2層目)で読み出すかは、利用開始時にユーザが選択可能にしておけばよい。
【0083】
勿論、光ディスクに記録されたデータとしては、映像・音声ファイルや音声ファイル、文書ファイルなどであってもよいが、何度も再生や開封のためにアクセスするようなファイルを光ディスクに記録しておくことで、本発明の効果がより得られる。例えば編集前の撮影ファイルが記録された光ディスクの場合、光ディスク駆動制御装置10を書き込み対応としておけば、フラッシュメモリ15上で編集し、それを再度、光ディスクに戻すこともできる。
【0084】
以上、図1〜図8を参照し、本発明についてフラッシュメモリ15等の不揮発性メモリを備えることを前提として説明したが、この不揮発性メモリの代わりに、同程度の容量の揮発性メモリを適用することもできる。光ディスク駆動制御装置10の電源がオフされるまでリフレッシュしておけば、電源がオフされる度にコピーデータが消えてしまうが、電源オフまでの間に限って同様の効果が得られる。例えばシンクライアントPCにおいてセキュリティ上このような使用方法をする場合には有益である。
【0085】
このような揮発性メモリを搭載した形態において、より好ましい構成例を図9を参照して説明する。図9は、本発明の他の実施形態に係るデータ管理装置の一構成例を示す図で、図中、10aは光ディスク駆動制御装置、20はホスト機器である。
【0086】
図1では、光ディスク駆動制御装置10にフラッシュメモリ15等の不揮発性メモリを搭載した例を示したが、図9の光ディスク駆動制御装置10aは、不揮発性メモリの代わりに揮発性メモリ(RAM15aで例示)を備えるものとする。そして、光ディスク駆動制御装置10aは、RAM15aに電源を供給するためのバッテリ15bを搭載している。これにより、外部からの電源供給が途絶えた場合にもバッテリ15bから電源を供給することができるため、コピーデータをバッテリ15bの電源が続く限り保持することができる。
【0087】
図10は、本発明の他の実施形態に係る光ディスク駆動制御装置の一構成例を示す図で、図中、60は光ディスク駆動制御装置、50は光ドライブ、20はホスト機器である。図1では、光ディスク駆動制御装置10に光ドライブを備えた例を挙げたが、図10の光ディスク駆動制御装置60は、光ドライブ50を外部接続可能に構成している。
【0088】
この光ドライブ50は、図1の構成例で言うところの光ピックアップ11、RF IC12、モータドライバ13、及びスピンドルモータ14で構成すればよい。そして、RF IC12及びモータドライバ13への制御及びデータのやり取りを行うために、光ディスク駆動制御装置60は、ATAPI I/F61を備えている。ATAPI I/F61は、光ドライブ50に接続するためのインターフェースの一例である。
【0089】
光ディスク駆動制御装置60は、図1の構成例と同様に、フラッシュメモリ15、RAM16、CPU17、DSP18、及びATA I/F19を備えており、図1の構成例(及び図2〜図8)で説明した処理と同様の処理が実行可能となっている。つまり、光ディスク駆動制御装置60でも、図1の構成例と同様に、コピー処理と伝送処理との双方に起因する光ディスクへのアクセスを、ユーザが意識して操作を控えることなくスムーズに行うことが可能になる。さらに、図10の構成例は、ATAPI I/F61を介して接続可能な光ドライブ50としては、従来の光ドライブを適用することができ汎用性があるため、非常に有益となる。また、図10の構成例において、フラッシュメモリ15の代わりに揮発性メモリを搭載した構成や、さらに図9のようなバッテリ15bまで搭載した構成にしてもよい。
【0090】
また、図1、図9、図10のいずれの構成例においても、ディスクから意図的に直接データを読み出すことについて触れていないが、上述した様々な形態の光ディスク駆動制御装置は、ディスクから直接データを読み出すような制御も実行可能に構成してもよい。その場合、ATA I/F19だけでなく、例えばホスト機器20と接続するためのATAPI I/Fを設けておき、データを直接ディスクから読み出す場合には、ホスト機器20がATAPI I/Fを介して伝送要求を出せばよい。
【0091】
最後に、上述した光ディスクが多層構造をもつ場合のデータ読み出し順序について、図11〜図13を参照して補足説明する。図11は、多層のBDにおけるデータ読み出し順序を説明するための図、図12は、多層のハイブリッド型BDにおけるデータ読み出し順序を説明するための図、図13は、多層のハイブリッド型BDにおけるデータ読み出し順序を説明するための図である。
【0092】
図11で例示する光ディスクは、2層構造のBDであり、各層同じ記録形態(ROM/RE/RW等のいずれか)とする。この場合、光ピックアップ11は、1層目71では内周部(この例ではアドレス0x0)から順に外周方向に向かって外周部(同0x10000)まで読み出し、2層目72では折り返して外周部(同0x10001)から内周方向に向かって内周部(同0x20000)まで読み出すように移動する。このように層の切り替わりで折り返す方式を「オポジット」と呼び、一方で、内周に戻る方式を「パラレル」と呼ぶ。DVDの場合にはオポジット方式とパラレル方式の双方採用されている。但し、記録型のDVDはオポジット方式が採用されている。
【0093】
また、光ディスクのアドレスは、その読み出し方式に依存するため、図11のようにオポジット方式の場合には2層目72からは外周からスタートすることとなり(アドレスの例は上述したとおり)、一方、パラレル方式の場合には2層目は内周に戻ってアドレスがカウントアップされることとなる。そして、光ディスクへのアクセスは、アドレス(アドレス番号)と読み出しサイズが用いられる。
【0094】
図12で例示する光ディスクは、3層構造のBDであり、1層81及び2層82がRE層、3層83がROM層とする。この場合、光ピックアップ11は、1層目81では内周部から順に外周方向に向かって外周部まで読み出し、2層目82では折り返して外周部から内周方向に向かって内周部まで読み出し、3層目83ではまた折り返して1層目と同じ方向に読み出すように移動する。図13で例示する光ディスクは、2層構造のBDであり、1層91がRE層、2層92がROM層とする。この場合、光ピックアップ11は、1層目91では内周部から順に外周方向に向かって外周部まで読み出し、2層目92では内周部に戻り内周部から外周方向に向かって外周部まで読み出すように移動する。
【0095】
このように、図12及び図13の光ディスクは、異なるタイプの層に変わった時は内周から再スタートする方式、且つ同タイプの層はオポジット方式として規定した例である。また、図12及び図13のような光ディスクのアドレスも、図11で説明したのと同様に、光ディスクの読み出し方式に依存して決定でき、決定したアドレスによって管理される。なお、アドレスは、層の切り替え関係なく、読み出し順に0から順に加算すればよい。仮にROM層とRE層でアドレスをそれぞれ0から割り振った場合、そのディスクに対し、標準的なATAPIコマンドでアクセスすることができなくなるため、コマンドの変更が必要となる。
【0096】
図11〜図13で説明したような読み出し順序に限らず、本発明で用いる光ディスクへのアクセス専用のコマンド、例えばハイブリッド型BDを用いる場合、ハイブリッド型BDへのアクセス専用のコマンドを新たに設けてもよい。このコマンドを決めることで、アドレスも設定することができ、そのアドレスに基づくデータ読み出しが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の一実施形態に係る光ディスク駆動制御装置の一構成例を示す図である。
【図2】図1の光ディスク駆動制御装置における処理例を説明するためのフロー図である。
【図3】図2におけるコピー処理の一例を説明するためのフロー図である。
【図4】図2における伝送処理の一例を説明するためのフロー図である。
【図5】図1の光ディスク駆動制御装置において伝送処理とコピー処理とを実行したときの、光ディスク上の読み出し位置とフラッシュメモリのコピー済み領域との関係を説明するための図である。
【図6】図1の光ディスク駆動制御装置において伝送処理とコピー処理とを実行したときの、光ディスク上の読み出し位置とフラッシュメモリのコピー済み領域との関係を説明するための図である。
【図7】図1の光ディスク駆動制御装置において伝送処理とコピー処理とを実行したときの、光ディスク上の読み出し位置とフラッシュメモリのコピー済み領域との関係を説明するための図である。
【図8】図1の光ディスク駆動制御装置において伝送処理後にコピー処理を実行する場合の光ディスク上の読み出し位置を説明するための図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る光ディスク駆動制御装置の一構成例を示す図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る光ディスク駆動制御装置の一構成例を示す図である。
【図11】多層のBDにおけるデータ読み出し順序を説明するための図である。
【図12】多層のハイブリッド型BDにおけるデータ読み出し順序を説明するための図である。
【図13】多層のハイブリッド型BDにおけるデータ読み出し順序を説明するための図である。
【符号の説明】
【0098】
10,60…光ディスク駆動制御装置、11…光ピックアップ、12…RF IC、13…モータドライバ、14…スピンドルモータ、15…フラッシュメモリ、16…RAM、17…CPU、18…DSP、20…ホスト機器、50…光ドライブ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬型の光ディスクの駆動を制御する光ディスク駆動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc)等の可搬型の光ディスクは、HDD(Hard Disk Drive)等の通常固設される記録媒体に比べて単価が安い反面、アクセス速度が遅い問題がある。そのため、頻繁にランダムアクセスを伴うデータを扱う場合、HDD等の高速なアクセスが可能な記録媒体に光ディスク上の情報をコピーしてから使う方法などが一般的である。例えば、パソコンのOS(Operating System)をCDからHDDへインストールしてから使用すること、カーナビゲーションシステムの地図データをDVDからHDDへコピーして使用したり更新したりすることなどが、一般的に行われている。
【0003】
しかしながら、光ディスクから別の記録媒体へデータをコピーしながら、光ディスク上のデータにアクセスしようとする場合、コピー元の光ディスクへのアクセスが急激に増加するため、そのような操作自体を受け付けない設計になっているか、或いは、受け付けられる設計であったとしても、コピーの速度、読み出しの速度が大幅に低下し、トータルの処理時間が、コピー処理と読み出し処理とを別々に実施した場合に比べて多くなるといった問題がある。コピー速度や読み出し速度の大幅な低下は、主に、コピー処理と他の処理での読み出し処理とで光ディスク上の異なる場所にアクセス要求し、結果的に、光ディスクからデータを読み出すために用いる光ピックアップが頻繁に移動せざるを得なくなるために生じる。
【0004】
このような場面として、例えば、光ディスク内の映像データをバックアップしながら、同時に再生を行う場面が想定できるが、この場合、出力映像が途切れるなどの問題が発生してしまう。また、ブータブルディスクを用いてOSを起動する場合において、OSデータがRAM(Random Access Memory)領域に完全に読み出される前にアプリケーションの起動などの操作を行うといった場面も想定できるが、この場合、OSデータの読み出しとアプリケーションデータの読み出しが同時に発生してしまい、結果的に快適に使用できるまでにかかる時間が長くなってしまう。
【0005】
このように、光ディスク内のデータを別の記録媒体へコピーしている間は、光ディスクへのアクセスが伴う他の操作ができなかったり、他の操作ができたとしてもその応答が遅かったりするため、ユーザに不便を強いているのが現状であると言える。
【0006】
ユーザの中には、これらの問題の発生原因を経験上把握し、ディスクアクセス時には他のディスクアクセスが発生するような操作を行わないようにすることで問題の発生を回避しているが、根本的な解決とは言い難い。
【0007】
特許文献1には、電池で動作する記録媒体制御装置において、バッファメモリ内に残っているデータが再生データとして再利用可能かどうかを再利用判定部で判定し、再利用可能な場合は、光ディスクから再生データの再取得を行わず、バッファメモリ内に残っている再生データを再利用するよう制御する技術が開示されている。このような制御により、データ読み取りの際、ピックアップの移動量が大きく電流消費が増大する点を改善している。
【特許文献1】特開2005−293654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の技術を喩えコピー処理中の処理として適用したとしても、コピー中のデータの光ディスク上の記録場所とは異なる場所へのアクセスが要求されると、再利用不可能となって、光ピックアップが頻繁に移動することとなる。その結果、この移動処理により読み出し速度が大幅に低下してしまい、トータルの処理時間が、コピー処理と読み出し処理とを別々に実施した場合に比べて多くなり、より時間が掛かってしまう。
【0009】
本発明は、上述のような実状に鑑みてなされたものであり、コピー処理と他の読み出し処理との双方に起因する光ディスクへのアクセスを、ユーザが意識して操作を控えることなくスムーズに行うことが可能な光ディスク駆動制御装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、可搬型の光ディスクに記録されたデータの読み出しを制御する光ディスク駆動制御装置であって、前記光ディスクに記録されたデータのコピーを記録するためのメモリと、前記光ディスクから光ピックアップを介して読み出されたデータを一時的に記録するための揮発性メモリと、(a)前記光ディスク上のデータを前記メモリに記録するコピー処理の実行と、(b)前記光ディスクに記録されたデータの伝送要求を受けたときに該伝送要求の対象となったデータを要求元に伝送する伝送処理の実行と、を制御する制御部と、を備え、前記コピー処理は、前記光ディスクから前記光ピックアップによりデータを読み出し、読み出したデータを前記揮発性メモリに一時的に記録し、該データを前記揮発性メモリから前記メモリに移動する処理を含み、前記伝送処理は、前記光ディスクに記録されたデータの伝送要求を受けたときに、該伝送要求の対象となったデータを、前記メモリ、前記光ディスクの順で検索して前記揮発性メモリに読み出して一時的に記録し、前記要求元に伝送する処理とし、前記制御部は、前記光ディスクに記録されたデータの前記メモリへのコピーが完了するまで前記コピー処理の実行を要求し、且つ、前記コピー処理の実行と前記伝送処理の実行とが同時に要求されている場合、前記コピー処理より前記伝送処理を優先させて実行するよう制御することを特徴としたものである。
【0011】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記制御部は、前記コピー処理の実行と前記伝送処理の実行とが同時に要求されており、前記伝送処理の実行により前記光ディスクから前記光ピックアップより読み出したデータを前記揮発性メモリに一時的に記録して伝送する場合、伝送後も前記揮発性メモリ内のデータを保持するよう制御し、且つ、前記伝送処理が完了したとき、前記コピー処理として、前記伝送処理で伝送済みの前記揮発性メモリ内のデータを、前記メモリに移動する処理を行うよう制御することを特徴としたものである。
【0012】
第3の技術手段は、第2の技術手段において、前記制御部は、前記コピー処理として、前記伝送処理が完了後に前記伝送処理で伝送済みの前記揮発性メモリ内のデータを前記メモリに移動した後、前記伝送処理で前記光ディスクから読み出しを行った前記光ピックアップの位置又は該位置に最も近い未コピーのデータに対応する位置を開始点として、前記光ディスクから前記揮発性メモリにデータを読み出して一時的に記録し、該データを前記メモリに移動するよう制御することを特徴としたものである。
【0013】
第4の技術手段は、第3の技術手段において、前記制御部は、前記コピー処理の前記開始点からの開始を、前記伝送処理で前記光ディスクから読み出しを行った前記光ピックアップの位置と前記コピー処理の実行の要求が示す前記ピックアップの予定位置とが所定距離以上離間していた場合にのみ実行するよう制御し、離間していなかった場合には、前記予定位置から前記コピー処理を開始するよう制御することを特徴としたものである。
【0014】
第5の技術手段は、第2〜第4のいずれかの技術手段において、前記制御部は、前記コピー処理の実行と前記伝送処理の実行とが同時に要求されており、前記伝送処理が実行されている場合、前記揮発性メモリの記録可能残量が無くなったときに、前記伝送処理を中断して、前記伝送処理で伝送済みの前記揮発性メモリ内のデータを前記メモリに移動することで前記コピー処理を実行し、前記揮発性メモリの記録可能残量が所定量になるまで回復した段階で前記伝送処理を再開するよう制御することを特徴としたものである。
【0015】
第6の技術手段は、第1の技術手段において、前記制御部は、前記コピー処理の実行と前記伝送処理の実行とが同時に要求されており、前記伝送処理の実行により前記光ディスクから前記光ピックアップより読み出したデータを前記揮発性メモリに一時的に記録して伝送する場合、伝送後に前記揮発性メモリ内のデータを破棄するよう制御し、且つ、前記伝送処理が完了したとき、前記伝送処理で前記光ディスクから読み出しを行った前記光ピックアップの位置又は該位置に最も近い未コピーのデータに対応する位置を開始点として、前記光ディスクから前記揮発性メモリにデータを読み出して一時的に記録し、該データを前記メモリに移動するよう制御することを特徴としたものである。
【0016】
第7の技術手段は、第6の技術手段において、前記制御部は、前記コピー処理の前記開始点からの開始を、前記伝送処理で前記光ディスクから読み出しを行った前記光ピックアップの位置と前記コピー処理の実行の要求が示す前記ピックアップの予定位置とが所定距離以上離間していた場合にのみ実行するよう制御し、離間していなかった場合には、前記予定位置から前記コピー処理を開始するよう制御することを特徴としたものである。
【0017】
第8の技術手段は、第1〜第7のいずれかの技術手段において、前記コピー処理は、前記揮発性メモリに一時的に記録されたデータを前記メモリに移動する代わりにコピーする処理であり、前記伝送処理は、前記伝送要求を受けたときに、該伝送要求の対象となったデータを、前記揮発性メモリ、前記メモリ、前記光ディスクの順で検索して、前記揮発性メモリにある場合には前記揮発性メモリから前記要求元に伝送し、前記メモリ又は前記光ディスクにある場合には、前記揮発性メモリ内に前記コピー処理により記録されたデータを削除すると共に前記メモリ又は前記光ディスクから前記揮発性メモリに読み出して一時的に記録し、前記揮発性メモリから前記要求元に伝送することを特徴としたものである。
【0018】
第9の技術手段は、第2の技術手段において、前記コピー処理は、前記揮発性メモリに一時的に記録されたデータを前記メモリに移動する代わりにコピーする処理であり、前記制御部は、前記コピー処理の実行と前記伝送処理の実行とが同時に要求されており、前記伝送処理の実行により前記光ディスクから前記光ピックアップより読み出したデータを前記揮発性メモリに一時的に記録して伝送する場合、伝送後に前記揮発性メモリの記録可能残量が所定量を下回ったときのみ、前記揮発性メモリ内のデータを破棄するよう制御し、且つ、該破棄を伴う前記伝送処理が完了したとき、前記伝送処理で前記光ディスクから読み出しを行った前記光ピックアップの位置又は該位置に最も近い未コピーのデータに対応する位置を開始点として、前記光ディスクから前記揮発性メモリにデータを読み出して一時的に記録し、該データを前記メモリに移動又はコピーするよう制御することを特徴としたものである。
【0019】
第10の技術手段は、第1〜第9のいずれかの技術手段において、前記コピー処理の実行の要求は、前記光ディスクがマウントされたとき又は所定のユーザ操作を受け付けたときになされることを特徴としたものである。
【0020】
第11の技術手段は、第1〜第10のいずれかの技術手段において、前記光ディスクを回転させる装置及び前記光ピックアップを設けた光ディスク駆動装置を備えたことを特徴としたものである。
【0021】
第12の技術手段は、第1〜第10のいずれかの技術手段において、前記光ディスクを回転させる装置及び前記光ピックアップを設けた光ディスク駆動装置に、接続するための接続インターフェースを備えたことを特徴としたものである。
【0022】
第13の技術手段は、第1〜第12のいずれかの技術手段において、前記光ディスクに記録されたデータとして、前記要求元で実行させるためのオペレーティングシステムプログラムを含むことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、コピー処理と他の読み出し処理との双方に起因する光ディスクへのアクセスを、ユーザが意識して操作を控えることなくスムーズに行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係る光ディスク駆動制御装置の一構成例を示す図で、図中、10は光ディスク駆動制御装置、20はホスト機器である。光ディスク駆動制御装置10は、光ピックアップ11、高周波集積回路(RF IC)12、モータドライバ13、スピンドルモータ14、RAM16、CPU(Central Processing Unit)17、DSP(Digital Signal Processor)18、及びATA(AT Attachment)インターフェース(I/F)19を備える。
【0025】
光ディスク駆動制御装置10は、可搬型の光ディスク(以下、単に光ディスクと呼ぶ)からデータを読み出すことが可能に構成されている。ここで、光ディスクとはBD、DVD、CD等の光メディアを指し、その構造が多層であっても、読み出し専用/読み書き可能なものに限らず適用できる。なお、光ディスクとしては光磁気ディスクも適用できる。
【0026】
CPU17は、光ディスク駆動制御装置10の全体を制御する。図1の構成例では、CPU17は、RAM16に対するデータの読み書きの制御と、DSP18の制御とを行い、DSP18が他の構成要素の制御を行う。CPU17は、後述するフラッシュメモリ15の読み書きの制御も行う。
【0027】
ATA I/F19は、光ディスク駆動制御装置10とホスト機器20とを接続するためのインターフェースで、ホスト機器20から光ディスク上に記録されたデータの伝送要求を受け、データをホスト機器20に返す。この伝送要求は、CPU17がATA I/F19及びDSP18を介して受ける。以下、ホスト機器20から光ディスクに記録されたデータの伝送要求を受けたときに、伝送要求の対象となったデータを要求元(ホスト機器20)に伝送する処理を、伝送処理と呼ぶ。CPU17は、例えばCPU17の内部ROMに伝送処理の制御を行うための伝送処理プログラムを実行可能に格納しておき、伝送要求を受けたときにCPU17の内部RAMにその伝送処理プログラムを読み出して実行することで、伝送処理の実行制御が可能になる。
【0028】
ホスト機器20としては、例えばパーソナルコンピュータ(PC)が挙げられ、その場合、光ディスク駆動制御装置10はホスト機器20であるPCに外部接続されていることになる。勿論、ホスト機器20は、PC内部のメイン基板等であってもよく、その場合、PCには、ホスト機器20であるメイン基板に接続された状態で光ディスク駆動制御装置10が搭載されていることになる。ホスト機器20の他の例としては、例えば録画機器や再生機器、或いはそのメイン基板などが挙げられる。なお、ホスト機器20として録画機器や再生機器を採用した場合、光ディスク駆動制御装置10は機器の外部に接続されることになるが、機器内にも装置10と同等の或いは本発明の特徴を有さない別の光ディスク駆動制御装置を搭載することもできる。
【0029】
スピンドルモータ14は、図示しないディスク搭載台に搭載された光ディスクを持ち上げて回転させるためのモータであり、モータドライバ13は、その回転を制御する駆動回路である。モータドライバ13に対する回転の開始・停止や回転数の制御は、DSP18から行うことができる。例えば、CPU17が、ATA I/F19を経由したホスト機器20からの伝送要求があったときに、DSP18を経由してモータドライバ13に回転開始を指示し、伝送要求された対象のデータが伝送済みとなったときにモータドライバ13に回転停止を指示すればよい。
【0030】
光ピックアップ11は、レーザダイオード等の光源、レンズ、ビームスプリッタ、フォトダイオード等の検出部などから構成され、スピンドルモータ14によって回転している光ディスクに特定波長の光を照射してその反射光を検出して、RF IC12に出力する。光ピックアップ11のデータ読み出し位置(並びに、複数種類の光ディスクに対応する場合には上記特定波長の切替)などは、伝送要求された対象のデータに応じて、CPU17からDSP18を経由して制御される。この制御は、さらにRF IC12を経由して行ってもよい。
【0031】
RF IC12は、光ピックアップ11により取得した反射光から、光ディスクに凹凸などによって記録されているデータの信号を検出し、そのデータ信号をDSP18に出力する。上述した各構成要素11〜14(及びそれを制御するDSP18)は、光ディスク駆動装置(光ドライブ)の構成例である。
【0032】
DSP18は、このようにして光ピックアップ11から読み出されたデータ信号に対し、ノイズ処理やデータ読み出し位置に応じた補正等の各種信号処理を施して、RAM16に一時的に記録させる。このように、RAM16は、光ディスクから光ピックアップ11を介して読み出されたデータを一時的に記録(格納)するための揮発性メモリの一例である。RAM16の存在により、光ディスク、光ディスク駆動制御装置10、ホスト機器20との間の転送においてDMA(Direct Memory Access)転送を行うことが可能になる。
【0033】
RAM16に読み出されたデータは、CPU17からの制御により、DSP18、ATA I/F19を介して、ホスト機器20に適時伝送される。このようにして、ホスト機器20からの伝送要求の対象となったデータを、光ディスクから読み出しRAM16に一時的に記録し、ホスト機器20へ伝送することで、上述の伝送処理が実行できる。
【0034】
このように、光ディスク駆動制御装置10は光ディスクに記録されたデータの読み出しが可能になっており、その制御を行う制御部はCPU17及びDSP18で例示したものである。また、光ディスク駆動制御装置10は、その詳細を説明しないが光ディスクへのデータの書き込みも制御可能にしておくこと、つまり書き換え可能な光ディスクに対応させておくことが好ましい。書き込み対応の場合には、RAM16は、光ディスクから読み出されたデータに限らず、光ディスクに光ピックアップ11により書き込まれるデータも一時的に記録する。
【0035】
そして、本発明の主たる特徴の一つとして、光ディスク駆動制御装置10は不揮発性メモリ(以下、フラッシュメモリ15で例示)を備える。フラッシュメモリ15は、光ディスクに記録されたデータのコピー(コピーデータ)を記録するためのメモリであり、装置10内に据え置かれる。光ディスク上のデータをフラッシュメモリ15に記録する処理(以下、コピー処理と呼ぶ)は、CPU17等の制御部によってその実行が制御される。CPU17は、例えばCPU17の内部ROMにコピー処理の制御を行うためのコピー処理プログラムを実行可能に格納しておき、コピー処理を開始する要求(以下、コピー要求と呼ぶ)を受けたときにCPU17の内部RAMにそのコピー処理プログラムを読み出して実行することで、コピー処理の実行制御が可能になる。
【0036】
このようなコピー処理は、CPU17等の制御部による制御に基づき、上述した伝送処理と同様にしてまずRAM16上にコピー処理の対象のデータを記録した後、そのRAM16上のデータをフラッシュメモリ15に移動して記録することで、実行することができる。このような実行方法は、本発明におけるコピー処理の一方法である。つまり、コピー処理は、その処理方法の一つとして、光ディスクから光ピックアップ11によりデータを読み出し、読み出したデータをRAM16一時的に記録し、そのデータをRAM16からフラッシュメモリ15に移動する処理を含む。
【0037】
CPU17は、光ディスクに記録されたデータのフラッシュメモリ15へのコピーが完了するまでコピー処理の実行を要求する。このコピー要求は、光ディスクがマウントされたことを検出して開始してもよいが、ユーザが任意のタイミングで操作により指示し、その指示を検出した時点で開始してもよい。また、コピーの完了とは、予め定めた領域のデータのみのコピーの完了を指してもよい。つまり、コピー処理の対象はCPU17が予め定めた条件に基づき判断してもよい。光ディスクにはその光ディスク内のデータを管理する情報が記録された領域があるが、例えば、この領域のデータのコピーは上記コピー処理に含まなくてもよい。他の例としては、光ディスクがROM層とRE/RW層でなる多層構造や、同層でもROM領域がRE/RW領域と区別されている構造など、ROM領域とRE/RW領域とをもったハイブリッドディスクである場合には、ROM領域のデータだけコピー処理の対象とするなどしてもよい。
【0038】
このように光ディスク駆動制御装置10は、コピー処理が実行可能に構成されており、そのコピー処理の進捗によっては、伝送要求されたデータが既にコピー済みである場合が多くなる。また、光ディスク駆動制御装置10は、光ディスクに記録されたデータのフラッシュメモリ15へのコピーが完了するまでコピー処理が実行されるため、完了した時点では、完全で且つリムーバブルな仮想ハードディスクとしてユーザに見せかけることができる。
【0039】
従って、上述した伝送処理は、本発明においては光ディスク内のデータよりフラッシュメモリ15内のデータを優先的にRAM16に読み出して、伝送要求の対象となるデータを要求元に伝送するものとする。つまり、CPU17は、伝送要求を受けたときに、伝送要求の対象となったデータを、フラッシュメモリ15、光ディスクの順で検索してRAM16に読み出して一時的に記録し、要求元に伝送するような制御を行う。また、このようにRAM16は、フラッシュメモリ15に記録されたデータをホスト機器20に伝送する際にも、そのデータを一時的に記録する。
【0040】
ここで、上記検索は、フラッシュメモリ15にコピー済みのアドレスとコピー元である光ディスク上のアドレスとを関連付けて、フラッシュメモリ15に格納しておき、それらのアドレスと伝送要求時に指定されたアドレスとを比較することで、実行できる。また、異なる光ディスクが搭載されて読み出される場合もある。
【0041】
従って、CPU17は、コピー処理の実行時に、コピー処理がなされた光ディスクを特定するディスク特定情報と上述したアドレスのようなコピー済み領域を示すコピー済み情報とを、フラッシュメモリ15に記録しておくとよい。ディスク特定情報は、記録済みのディスク特定情報と異なる情報が光ディスクから得られた場合だけ上書きすればよく、上書きした場合にはコピー済み情報及びコピーデータそのものも削除すればよい。代替案として、光ディスクがアンマウントされたときに、ディスク特定情報、コピー済み情報、及びコピーデータそのものを削除してもよい。
【0042】
このようなディスク特定情報及びコピー済み情報により、伝送要求に対してフラッシュメモリ15からデータを読み出すことができるだけでなく、上述したコピーの完了の判定や、未コピー領域の判定及びその判定結果に基づくコピー要求の位置(コピー処理を開始する光ピックアップ11の位置)の判定も可能になる。
【0043】
そして、本発明の主たる特徴の一つとして、CPU17は、コピー処理の実行と伝送処理の実行とが同時に要求されている場合(いずれの要求が先であってもよい)、コピー処理より伝送処理を優先させて実行するよう制御する。
【0044】
上述のように、本発明に係る光ディスク駆動制御装置10は、コピー処理より他の読み出し処理(つまり、伝送処理)を優先させて実行しているため、コピー処理と伝送処理との双方に起因する光ディスクへのアクセスを、ユーザが意識して操作を控えることなくスムーズに行うことが可能になる。さらに、光ディスクからのデータ読み出し処理において、最も時間が掛かるのは光ピックアップ11の移動及びその制御である。しかし、本発明に係る光ディスク駆動制御装置10では、高速読み出し可能なフラッシュメモリ15等の不揮発性メモリを併用し、且つ、その不揮発性メモリにデータコピーが完了するまでコピー処理を行うため、伝送処理時に既に不揮発性メモリにコピー済みのデータであるケースが増え、結果的に、光ディスクからの読み出し頻度を抑えて光ピックアップが頻繁に移動することを防止し、スムーズでデータ読み出しを実現することができる。また、データ読み出しは、内部の不揮発性メモリからの読み出しの方が格段に早いため、高速に終えることができる。また、光ピックアップの移動が頻繁でなくなるため、本発明は省電力化にも貢献できる。
【0045】
図2は、図1の光ディスク駆動制御装置における処理例を説明するためのフロー図、図3は、図2におけるコピー処理の一例を説明するためのフロー図、図4は、図2における伝送処理の一例を説明するためのフロー図である。
【0046】
図2を参照しながら、CPU17がコピー処理中に伝送要求を受けた場合の処理の一例について説明する。例えば光ディスクがマウントされたとき、CPU17がコピー処理の開始を決定してコピー要求をコピー処理プログラムに渡し、コピー処理プログラムの実行により、光ディスク上のデータを順にRAM16に読み出してDSP18での処理後にフラッシュメモリ15に記録していく(ステップS1)。
【0047】
そして、CPU17は、コピーが完了しないうちにホスト機器20から伝送要求(つまり外部からのアクションとしてデータ読み出し要求)を受けたとき(ステップS2)、コピー処理プログラムにコピー処理の停止を指示してステップS1の処理を終わらせると共に、伝送処理プログラムにデータ読み出しの開始を指示する。この指示により、伝送処理プログラムが実行され、光ディスク上のデータを順にRAM16に読み出してDSP18での処理後に伝送要求元であるホスト機器20に渡していく(ステップS3)。ステップS3では、フラッシュメモリ15に伝送に必要なデータがある場合には、フラッシュメモリ15内のデータを優先してホスト機器20に渡していく。この場合には、コピー処理の停止を指示しなくても、RAM16を使用領域を分けて使いさえすればよい。なお、以下の説明では、簡便化のためDSP18による処理を省略する。
【0048】
そして、予め伝送要求に含まれる読み出し終了アドレスまでデータを伝送したとき(ステップS4)、コピー処理プログラムに読み出し開始・終了アドレスを通知する(ステップS5)と共に、伝送処理プログラム自身を終了させる。また、伝送要求に読み出し終了アドレスが含まれないような処理方法を採用する場合には、ステップS4のデータ読み出し終了は、ホスト機器20からの終了要求をCPU17が受け、そのときのアドレスを読み出し終了アドレスとして読み出し開始アドレスと共にステップS5で通知すればよい。
【0049】
ステップS6でのコピー処理は、光ピックアップ11の位置の移動を少なくする方法を採用する。このような位置の移動を少なくするための好適な例として、可能な限りRAM16内のデータを破棄しないようにする処理が適用できる。より具体的には、CPU17は、コピー要求と伝送要求とが同時に要求されている場合で、伝送処理の実行により光ディスクから光ピックアップ11より読み出したデータをRAM16に一時的に記録して伝送する場合、伝送後もRAM16内のデータを保持するよう制御する。なお、コピー要求と伝送要求とが同時に要求されている場合とは、コピー要求、伝送要求のいずれが先に受け付けられていてもよい(以下同様)。
【0050】
そして、CPU17は、伝送処理が完了したとき、コピー処理として、伝送処理で伝送済みのRAM16内のデータを、フラッシュメモリ15に移動する処理を行うよう制御する。このとき、上述した読み出し開始・終了アドレスの情報も、コピー済み情報として記録する。RAM16内のデータをフラッシュメモリ15に移動しているだけであるため、光ピックアップ11を移動させる必要性はない。
【0051】
このように伝送処理の完了時にその伝送したデータをそのままフラッシュメモリ15にコピーすることで、ユーザはホスト機器20から必要に応じてデータにアクセスしようとするだけで、一度でもユーザがアクセスしようとしたデータが全てフラッシュメモリ15に記録されるため、ユーザが知らぬ間にフラッシュメモリ15へのコピーも完了してしまうことができる。
【0052】
また、ステップS6において、RAM16内のデータ(光ディスク上のデータのコピーデータ)を全てフラッシュメモリ15へ記録してしまった後も、コピー処理は引き続き実行される。このとき、ステップS3の伝送処理の終了時点での光ピックアップ11の位置から、コピー処理を再開すればよく、CPU17は、通知された読み出し終了アドレスからの読み出し及びフラッシュメモリ15へのコピーを指示すればよい。なお、引き続き実行するのではなく、RAM16内のデータを記録してしまった時点でコピー処理を中断するような処理を採用してもよい。
【0053】
なお、この例では、伝送要求がRAM16の容量を超えない範囲でなされることを前提として説明している。従って、ホスト機器20において超えるような伝送要求が必要な場合にはホスト機器20が分けて伝送要求を行うことが好ましいが、容量を超えることを許容し、RAM16内のデータのコピー処理に要する多少の応答時間を犠牲にしてCPU17側で伝送要求を分けるようにしてもよい。
【0054】
伝送要求がRAM16の容量を超えることを許容する場合の別の処理方法として、RAM16のデータを適時破棄して、要求元への伝送を継続し、伝送が終了した時点でのRAM16内のデータだけ保持するような方法も採用できる。
【0055】
より具体的には、CPU17は、コピー処理の実行と伝送処理の実行とが同時に要求されており、且つ伝送処理が実行されている場合、RAM16の記録可能残量が無くなったときに、伝送処理を中断して、伝送処理で伝送済みのRAM16内のデータをフラッシュメモリ15に移動することでコピー処理を先に実行する制御を行えばよい。ホスト機器20に対しては、CPUが例えばRAM16の容量がフルになった時点でその容量を破棄するまでは「次のデータを受け入れる」といった応答を返さないようにしておけばよい。そして、CPU17は、RAM16の記録可能残量が所定量になるまで(又はRAM16がコピー済み情報やディスク特定情報を残して空になるまで)回復した段階で伝送処理を再開するよう制御すればよい。
【0056】
この方法では、伝送後のRAM16内のデータをフラッシュメモリ15へ記録しているにも拘わらず、上述した「コピー処理に要する多少の応答時間」の犠牲は無くて済む。なお、RAM16の記録可能残量が無くなったときについて説明したが、同時要求後、伝送要求がキャンセルされたときも同様に、伝送を中断しキャンセル時点でのデータを保持しておき、フラッシュメモリ15に記録すればよい。
【0057】
また、ステップS6のコピー処理中に再度、伝送要求を受けた場合には(ステップS7)、ステップS3〜S6と同様の処理を繰り返せばよい(ステップS8〜S11)。そして、コピー処理が完了した時点で、コピー処理プログラムを終了すればよい。
【0058】
図3を参照しながら、図2のような処理を可能にするコピー処理の一例を説明する。コピー処理は、CPU17が、まずコピー要求に含まれる指定アドレスがコピー済みか否かをフラッシュメモリ15内のコピー済み情報に基づき判定し(ステップS21)、コピー済みでない場合には、光ディスクの指定アドレスからデータをRAM16に読み出し(ステップS22)、それをフラッシュメモリ15の指定アドレス(これもコピー要求に含ませておけばよい)に書き出す(ステップS23)。これにより光ディスク内のデータがフラッシュメモリ15にコピーされる。
【0059】
そして、CPU17は、コピー要求の対象となった全てのデータのコピーが完了したか否かを判定し(ステップS24)、完了していた場合には処理を終了する。一方、完了していなかった場合には、伝送処理(つまり、コピー処理以外でのデータ読み出し処理)から通知された読み出し開始・終了アドレスを確認する(ステップS25)。ステップS25では、確認後、その通知アドレスがあった場合には次のコピー対象の指定アドレスとし、通知アドレスが無かった場合には最初のコピー要求に含まれる次の指定アドレスをそのまま次のコピー対象の指定アドレスにしておく。
【0060】
図4を参照しながら、図2のような処理(特にステップS3〜S5の処理)を可能にする伝送処理の一例を説明する。伝送処理は、CPU17が伝送要求を受けることで開始される。CPU17がこの伝送要求で指定されたアドレスのデータがコピー済みか否かをフラッシュメモリ15内のコピー済み情報に基づき判定する(ステップS31)。コピー済みであれば、CPU17は、フラッシュメモリ15からそのデータをRAM16に読み出してホスト機器20に伝送し(ステップS32)、最終読み出しアドレス(及び読み出し開始アドレス)をコピー処理プログラムに通知し(ステップS33)、処理を終了する。一方、コピー済みでなければ、CPU17は、コピー処理を停止し(ステップS34)、伝送要求で指定されたアドレスのデータを光ディスクからRAM16に読み出してホスト機器20に伝送して(ステップS35)、処理を終了する。
【0061】
次に、図5〜図7を参照して、図1の光ディスク駆動制御装置において伝送処理とコピー処理とを実行したときの、光ディスク上の読み出し位置とフラッシュメモリのコピー済み領域との関係を説明する。ここでは、伝送要求に基づく伝送処理をタスクA、コピー要求に基づくコピー処理をタスクBとし、上述したようにタスクA,Bが同時に要求されている場合を想定する。タスクA,Bは優先順位をもっており、この場合、タスクA>タスクBである。
【0062】
仮に、図5に示すように、タスクAが読み出すデータが光ディスク内領域40の途中からで、タスクBが読み出しを指定したデータが光ディスク内領域40の先頭であったとする。この場合、タスクAを優先し、タスクAで要求されたデータの開始位置P1に光ピックアップの位置を移動させ、そのデータ(図5中、色付き領域)が光ディスクからRAM16に読み出されてホスト機器20に伝送される。そして、このときRAM16に読み出したデータは従来では伝送後に破棄されるが、破棄する前にタスクBのコピー用データとして使用し、図6で示すようにフラッシュメモリ15内の領域30に記録される。なお、領域30では分かり易くするために、コピー済みの領域の位置を図5の色付き領域と合わせているが、実際のアドレスは互いに対応させなくても、関連付けさえ行っておけばよい。
【0063】
次にタスクAに余裕が出た時点(例えば、RAM16の記録可能残量が無くなった時点や、タスクAが停止又は一時停止された時点)で、タスクBの処理を行う。このとき、最初にタスクBが要求していた読み出し位置(この例では光ディスクの先頭位置)に光ピックアップ11の位置を移動し(位置P2に移動し)、データを読み出してフラッシュメモリ15にコピーする。
【0064】
次にタスクAが、引き続きデータの読み出し要求をしてきたとき、図7のように、そのデータがフラッシュメモリ15内の領域30に既にコピー済みである場合には、そのデータをRAM16に読み出してホスト機器20に伝送する。これより、コピー済みのデータに関してはディスクアクセスが不要となり、光ピックアップ11の移動要求も軽減することができるため、結果としてタスクAの読み出し(リアルタイム性が求められることが多いデータ読み出し)を阻害することなく、タスクBのコピー処理も引き続き実行できる。ここで実行されるコピー処理は、図7に示すように、フラッシュメモリ15内領域30でコピー済みの領域に続く領域の開始点に相当する光ディスク内領域40の位置P3に、光ピックアップ11を移動させることで実行できる。
【0065】
このように、光ディスクの伝送要求とコピー要求が同時になされている場合に、伝送要求に従ってアクセスしたデータを同時にコピーしておくことで、同じ場所へのアクセスがあった場合、コピー先にアクセスすることでコピー元のアクセスを減らすことができる。これにより、光ピックアップ11が頻繁に移動しないようにする。つまり、光ディスクの読み出しを可能な限り光ピックアップ11の位置を変えないようにすることでスムーズなデータ読み出しが実現できる。
【0066】
また、CPU17自身が、ホスト機器20から伝送要求を受けたときに、ホスト機器20とは独立して、このようなコピー処理と伝送処理との制御(タスク制御)を行うことを前提としたが、このようなタスク制御は、光ディスク駆動制御装置10を接続したホスト機器20のOSが行い、CPU17に指示してもよい。以下に説明する例での制御についても同様である。
【0067】
図8は、図1の光ディスク駆動制御装置において伝送処理後にコピー処理を実行する場合の光ディスク上の読み出し位置を説明するための図である。図6の例では、伝送されたデータのコピー後、最初にタスクBが要求していた読み出し位置P2に光ピックアップ11の位置を移動させて、フラッシュメモリ15へのデータコピーを継続したが、この継続時のコピー処理は、図8に示すように、光ピックアップ11の位置を伝送が終了した位置P4から開始することが好ましい。
【0068】
より具体的には、CPU17が、コピー処理として、伝送処理が完了後に伝送処理で伝送済みのRAM16内のデータをフラッシュメモリ15に移動した後、伝送処理で光ディスクから読み出しを行った光ピックアップ11の位置又はその位置に最も近い未コピーのデータに対応する位置を開始点(図8でいう位置P4)として、光ディスクからRAM16にデータを読み出して一時的に記録するよう制御する。ここでの光ピックアップ11の位置は、図2のステップS5での通知アドレスと対応しており、その通知アドレスから得ることができる。さらに、CPU17が、そのデータをフラッシュメモリ15に移動するよう制御する。このように、タスクAからタスクBへ処理を切り替える際に、光ピックアップ11の位置又は最も近い未コピー位置から開始することで、さらに光ピックアップ11の移動を軽減することができる。また、この処理においても、上述した伝送処理の中断に関する処理は適用できる。
【0069】
また、このような制御を行う際に、CPU17は、コピー処理の上記開始点からの開始を、伝送処理で光ディスクから読み出しを行った光ピックアップ11の位置(図8でいう位置P4)とコピー処理の実行の要求が示すピックアップの予定位置(図6でいう位置P2)とが所定距離以上離間していた場合にのみ実行するよう制御してもよい。一方、離間していなかった場合には、上記予定位置からコピー処理を開始するよう制御するとよい。このように、タスクAからタスクBへ処理を切り替える際に、光ピックアップ11の位置が大きく異なる場合は、光ピックアップ11の現在位置から続けてタスクBのコピーを行うことで、コピー済みデータが光ディスクの領域を虫食い状態にすることを防ぐことができる。
【0070】
また、RAM16内のデータを破棄しないような処理として、伝送処理後のRAM16内のデータのみを考慮した例を説明したが、コピー処理後のRAM16内のデータも可能な限り破棄しないようにすることで、伝送要求によってコピー処理直後のデータをRAM16から読み出すことも可能になる。
【0071】
より具体的には、CPU17が、コピー処理として、RAM16に一時的に記録されたデータを(RAM16の記録可能残量が無くなったり伝送処理で使用する容量を除いて無くなったりしない限り)フラッシュメモリ15に移動する代わりにコピーする処理を採用するとよい。移動の代わりにコピーすることは、RAM16にデータを保持したままにしておくことを意味する。
【0072】
そして、CPU17が、伝送処理として、伝送要求を受けたときに、その伝送要求の対象となったデータを、RAM16、フラッシュメモリ15、光ディスクの順で検索すればよい。検索の結果、RAM16にある場合にはRAM16から要求元に伝送し、フラッシュメモリ15又は光ディスクにある場合には、RAM16内にコピー処理により記録されたデータを削除すると共にフラッシュメモリ15又は光ディスクからRAM16に読み出して一時的に記録し、RAM16から要求元に伝送すればよい。つまり、この伝送処理では、フラッシュメモリ15にコピー処理によって記録されたデータより、RAM16にコピー処理時に一時的に記録されたデータを、優先的に読み出して、データ伝送を行う。
【0073】
以上、図2〜図8を参照してCPU17がコピー処理中に伝送要求を受けた場合の処理を中心に説明したが、逆に伝送処理中にコピー要求が生じた場合にはコピー処理を待機させておけばよいだけである。
【0074】
次に、光ピックアップ11の位置の移動を少なくするための他の例を説明する。このような例として、伝送後のRAM16内のデータを常に破棄してまでも、コピー処理より伝送処理を優先して行う処理を適用することもできる。この例は、図8で説明した例において、伝送後のRAM16内のデータを常に破棄するように変更したものである。
【0075】
より具体的には、CPU17が、コピー要求と伝送要求とが同時に要求された状態で、伝送処理の実行により光ディスクから光ピックアップ11より読み出したデータをRAM16に一時的に記録して伝送する場合、伝送後にRAM16内のデータを破棄するよう制御する。さらに、CPU17は、その伝送処理が完了したとき、伝送処理で光ディスクから読み出しを行った光ピックアップ11の位置(図8でいう位置P4)又はその位置に最も近い未コピーのデータに対応する位置を開始点として、光ディスクからRAM16にデータを読み出して一時的に記録し、そのデータをフラッシュメモリ15に移動するよう制御する。このような制御では、伝送したデータはRAM16から破棄されるため、伝送要求するデータの量とRAM16の容量とを考慮しなくても済む。
【0076】
また、このような制御においても、コピー処理としてRAM16に一時的に記録されたデータを保持したままにし、伝送処理としてその伝送要求の対象となったデータをRAM16、フラッシュメモリ15、光ディスクの順で検索する処理を採用する例を適用することができる。また、このような制御においても、図8での説明と同様に、CPU17は、コピー処理の開始点からの開始を、伝送処理で光ディスクから読み出しを行った光ピックアップ11の位置とコピー処理の実行の要求が示すピックアップの予定位置とが所定距離以上離間していた場合にのみ実行するよう制御し、離間していなかった場合には、上記予定位置からコピー処理を開始するよう制御してもよい。
【0077】
また、伝送後のRAM16内のデータを常に破棄するようにした例を示したが、RAM16の記録可能残量が所定量を下回ったとき(例えば記録可能残量が無くなったとき)のみ破棄するようにしてもよい。
【0078】
より具体的には、CPU17が、コピー要求と伝送要求とが同時に要求された状態で、伝送処理の実行により光ディスクから光ピックアップ11より読み出したデータをRAM16に一時的に記録して伝送する場合、伝送後にRAM16の記録可能残量が所定量を下回らなかったときには、図2のステップS6で説明したような処理を実行すればよい。つまり、このような場合、CPU17が、伝送後にRAM16の記録可能残量が所定量を下回らなかったときには、伝送後もRAM16内のデータを保持するよう制御する。そして、CPU17は、伝送処理が完了したとき、コピー処理として、伝送処理で伝送済みのRAM16内のデータを、フラッシュメモリ15にコピーする処理を行うよう制御すればよい。また、伝送処理では、その伝送要求の対象となったデータをRAM16、フラッシュメモリ15、光ディスクの順で検索する処理を採用する例を適用することができる。
【0079】
上記コピー処理がRAM16内のデータを移動ではなくコピーする処理であるため記録可能残量が足らなくなることがある。従って、伝送後にRAM16の記録可能残量が所定量を下回ったときには、CPU17が、RAM16内のデータを破棄するよう制御する。そして、このような破棄を実行した場合、CPU17は、その伝送処理が完了したとき、伝送処理で光ディスクから読み出しを行った光ピックアップ11の位置(図8でいう位置P4)又はその位置に最も近い未コピーのデータに対応する位置を開始点として、光ディスクからRAM16にデータを読み出して一時的に記録し、そのデータをフラッシュメモリ15に移動又はコピーするよう制御する。
【0080】
また、このようなRAM16に記録可能残量が所定量あるか否かによって処理を異ならせる制御においても、図8での説明と同様に、CPU17は、コピー処理の開始点からの開始を、伝送処理で光ディスクから読み出しを行った光ピックアップ11の位置とコピー処理の実行の要求が示すピックアップの予定位置とが所定距離以上離間していた場合にのみ実行するよう制御し、離間していなかった場合には、上記予定位置からコピー処理を開始するよう制御してもよい。
【0081】
次に、光ディスクに記録されたデータについて説明する。光ディスクに記録されたデータとして、要求元(つまりホスト機器20)で実行させるためのオペレーティングシステム(OS)プログラムを含むようにすることで、光ディスクからのホスト機器20の起動が可能になる。ホスト機器20がPC又はそのメイン基板の場合で、且つ光ディスクとしてBDを用いる場合には、UDFフォーマットでOSのプログラムを記録しておけばよい。OSプログラムを記録した光ディスク(つまりブータブル光ディスク)は、セキュリティ上、シンクライアントPCなどでOSを用途に応じて切り替えたい場合などに、非常に有用となる。同時に、光ディスクに特殊なキーを埋め込んでおき、OS以外のデータを光ディスクからコピーできないようにしておくこともできる。
【0082】
また、光ディスクにOSを記録する場合、次に例示するように、多層構造にすることが好ましい。まず、L0層(1層目)は、BD−REとし、OS上で稼働するアプリケーションソフトやそのデータなど、ユーザデータの保存エリアを設けておき、さらにその保存エリア内を管理するための管理データ(例えば保存エリア内のデータのアドレス等)を格納するエリアも設けておく。L1層(2層目)も、BD−REとし、OSを含むOS起動パーティションのデータを保存しておく。L2層(3層目)は、BD−ROMとし、OSのオリジナルイメージやディスク認識に必要な管理情報などを保存しておく。そして、本発明の光ディスク駆動制御装置のような、フラッシュメモリ15付きであるハイブリッドドライブ以外では、例えば、L2層(3層目)を見えない構造にしておくなどしてもよい。これにより、オリジナルが本発明の装置以外でコピーされることを防ぐことができる。また、この例では、光ディスクの2層目にはオリジナルデータ(出荷時のデータ)が記録され、1層目にはユーザがアプリケーションの追加などを行った状態のデータが保存されている。ユーザが利用時に2層目から各種データを読み出すか、ユーザが任意に手を加えた状態(1層目+2層目)で読み出すかは、利用開始時にユーザが選択可能にしておけばよい。
【0083】
勿論、光ディスクに記録されたデータとしては、映像・音声ファイルや音声ファイル、文書ファイルなどであってもよいが、何度も再生や開封のためにアクセスするようなファイルを光ディスクに記録しておくことで、本発明の効果がより得られる。例えば編集前の撮影ファイルが記録された光ディスクの場合、光ディスク駆動制御装置10を書き込み対応としておけば、フラッシュメモリ15上で編集し、それを再度、光ディスクに戻すこともできる。
【0084】
以上、図1〜図8を参照し、本発明についてフラッシュメモリ15等の不揮発性メモリを備えることを前提として説明したが、この不揮発性メモリの代わりに、同程度の容量の揮発性メモリを適用することもできる。光ディスク駆動制御装置10の電源がオフされるまでリフレッシュしておけば、電源がオフされる度にコピーデータが消えてしまうが、電源オフまでの間に限って同様の効果が得られる。例えばシンクライアントPCにおいてセキュリティ上このような使用方法をする場合には有益である。
【0085】
このような揮発性メモリを搭載した形態において、より好ましい構成例を図9を参照して説明する。図9は、本発明の他の実施形態に係るデータ管理装置の一構成例を示す図で、図中、10aは光ディスク駆動制御装置、20はホスト機器である。
【0086】
図1では、光ディスク駆動制御装置10にフラッシュメモリ15等の不揮発性メモリを搭載した例を示したが、図9の光ディスク駆動制御装置10aは、不揮発性メモリの代わりに揮発性メモリ(RAM15aで例示)を備えるものとする。そして、光ディスク駆動制御装置10aは、RAM15aに電源を供給するためのバッテリ15bを搭載している。これにより、外部からの電源供給が途絶えた場合にもバッテリ15bから電源を供給することができるため、コピーデータをバッテリ15bの電源が続く限り保持することができる。
【0087】
図10は、本発明の他の実施形態に係る光ディスク駆動制御装置の一構成例を示す図で、図中、60は光ディスク駆動制御装置、50は光ドライブ、20はホスト機器である。図1では、光ディスク駆動制御装置10に光ドライブを備えた例を挙げたが、図10の光ディスク駆動制御装置60は、光ドライブ50を外部接続可能に構成している。
【0088】
この光ドライブ50は、図1の構成例で言うところの光ピックアップ11、RF IC12、モータドライバ13、及びスピンドルモータ14で構成すればよい。そして、RF IC12及びモータドライバ13への制御及びデータのやり取りを行うために、光ディスク駆動制御装置60は、ATAPI I/F61を備えている。ATAPI I/F61は、光ドライブ50に接続するためのインターフェースの一例である。
【0089】
光ディスク駆動制御装置60は、図1の構成例と同様に、フラッシュメモリ15、RAM16、CPU17、DSP18、及びATA I/F19を備えており、図1の構成例(及び図2〜図8)で説明した処理と同様の処理が実行可能となっている。つまり、光ディスク駆動制御装置60でも、図1の構成例と同様に、コピー処理と伝送処理との双方に起因する光ディスクへのアクセスを、ユーザが意識して操作を控えることなくスムーズに行うことが可能になる。さらに、図10の構成例は、ATAPI I/F61を介して接続可能な光ドライブ50としては、従来の光ドライブを適用することができ汎用性があるため、非常に有益となる。また、図10の構成例において、フラッシュメモリ15の代わりに揮発性メモリを搭載した構成や、さらに図9のようなバッテリ15bまで搭載した構成にしてもよい。
【0090】
また、図1、図9、図10のいずれの構成例においても、ディスクから意図的に直接データを読み出すことについて触れていないが、上述した様々な形態の光ディスク駆動制御装置は、ディスクから直接データを読み出すような制御も実行可能に構成してもよい。その場合、ATA I/F19だけでなく、例えばホスト機器20と接続するためのATAPI I/Fを設けておき、データを直接ディスクから読み出す場合には、ホスト機器20がATAPI I/Fを介して伝送要求を出せばよい。
【0091】
最後に、上述した光ディスクが多層構造をもつ場合のデータ読み出し順序について、図11〜図13を参照して補足説明する。図11は、多層のBDにおけるデータ読み出し順序を説明するための図、図12は、多層のハイブリッド型BDにおけるデータ読み出し順序を説明するための図、図13は、多層のハイブリッド型BDにおけるデータ読み出し順序を説明するための図である。
【0092】
図11で例示する光ディスクは、2層構造のBDであり、各層同じ記録形態(ROM/RE/RW等のいずれか)とする。この場合、光ピックアップ11は、1層目71では内周部(この例ではアドレス0x0)から順に外周方向に向かって外周部(同0x10000)まで読み出し、2層目72では折り返して外周部(同0x10001)から内周方向に向かって内周部(同0x20000)まで読み出すように移動する。このように層の切り替わりで折り返す方式を「オポジット」と呼び、一方で、内周に戻る方式を「パラレル」と呼ぶ。DVDの場合にはオポジット方式とパラレル方式の双方採用されている。但し、記録型のDVDはオポジット方式が採用されている。
【0093】
また、光ディスクのアドレスは、その読み出し方式に依存するため、図11のようにオポジット方式の場合には2層目72からは外周からスタートすることとなり(アドレスの例は上述したとおり)、一方、パラレル方式の場合には2層目は内周に戻ってアドレスがカウントアップされることとなる。そして、光ディスクへのアクセスは、アドレス(アドレス番号)と読み出しサイズが用いられる。
【0094】
図12で例示する光ディスクは、3層構造のBDであり、1層81及び2層82がRE層、3層83がROM層とする。この場合、光ピックアップ11は、1層目81では内周部から順に外周方向に向かって外周部まで読み出し、2層目82では折り返して外周部から内周方向に向かって内周部まで読み出し、3層目83ではまた折り返して1層目と同じ方向に読み出すように移動する。図13で例示する光ディスクは、2層構造のBDであり、1層91がRE層、2層92がROM層とする。この場合、光ピックアップ11は、1層目91では内周部から順に外周方向に向かって外周部まで読み出し、2層目92では内周部に戻り内周部から外周方向に向かって外周部まで読み出すように移動する。
【0095】
このように、図12及び図13の光ディスクは、異なるタイプの層に変わった時は内周から再スタートする方式、且つ同タイプの層はオポジット方式として規定した例である。また、図12及び図13のような光ディスクのアドレスも、図11で説明したのと同様に、光ディスクの読み出し方式に依存して決定でき、決定したアドレスによって管理される。なお、アドレスは、層の切り替え関係なく、読み出し順に0から順に加算すればよい。仮にROM層とRE層でアドレスをそれぞれ0から割り振った場合、そのディスクに対し、標準的なATAPIコマンドでアクセスすることができなくなるため、コマンドの変更が必要となる。
【0096】
図11〜図13で説明したような読み出し順序に限らず、本発明で用いる光ディスクへのアクセス専用のコマンド、例えばハイブリッド型BDを用いる場合、ハイブリッド型BDへのアクセス専用のコマンドを新たに設けてもよい。このコマンドを決めることで、アドレスも設定することができ、そのアドレスに基づくデータ読み出しが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の一実施形態に係る光ディスク駆動制御装置の一構成例を示す図である。
【図2】図1の光ディスク駆動制御装置における処理例を説明するためのフロー図である。
【図3】図2におけるコピー処理の一例を説明するためのフロー図である。
【図4】図2における伝送処理の一例を説明するためのフロー図である。
【図5】図1の光ディスク駆動制御装置において伝送処理とコピー処理とを実行したときの、光ディスク上の読み出し位置とフラッシュメモリのコピー済み領域との関係を説明するための図である。
【図6】図1の光ディスク駆動制御装置において伝送処理とコピー処理とを実行したときの、光ディスク上の読み出し位置とフラッシュメモリのコピー済み領域との関係を説明するための図である。
【図7】図1の光ディスク駆動制御装置において伝送処理とコピー処理とを実行したときの、光ディスク上の読み出し位置とフラッシュメモリのコピー済み領域との関係を説明するための図である。
【図8】図1の光ディスク駆動制御装置において伝送処理後にコピー処理を実行する場合の光ディスク上の読み出し位置を説明するための図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る光ディスク駆動制御装置の一構成例を示す図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る光ディスク駆動制御装置の一構成例を示す図である。
【図11】多層のBDにおけるデータ読み出し順序を説明するための図である。
【図12】多層のハイブリッド型BDにおけるデータ読み出し順序を説明するための図である。
【図13】多層のハイブリッド型BDにおけるデータ読み出し順序を説明するための図である。
【符号の説明】
【0098】
10,60…光ディスク駆動制御装置、11…光ピックアップ、12…RF IC、13…モータドライバ、14…スピンドルモータ、15…フラッシュメモリ、16…RAM、17…CPU、18…DSP、20…ホスト機器、50…光ドライブ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可搬型の光ディスクに記録されたデータの読み出しを制御する光ディスク駆動制御装置であって、
前記光ディスクに記録されたデータのコピーを記録するためのメモリと、
前記光ディスクから光ピックアップを介して読み出されたデータを一時的に記録するための揮発性メモリと、
(a)前記光ディスク上のデータを前記メモリに記録するコピー処理の実行と、(b)前記光ディスクに記録されたデータの伝送要求を受けたときに該伝送要求の対象となったデータを要求元に伝送する伝送処理の実行と、を制御する制御部と、を備え、
前記コピー処理は、前記光ディスクから前記光ピックアップによりデータを読み出し、読み出したデータを前記揮発性メモリに一時的に記録し、該データを前記揮発性メモリから前記メモリに移動する処理を含み、
前記伝送処理は、前記光ディスクに記録されたデータの伝送要求を受けたときに、該伝送要求の対象となったデータを、前記メモリ、前記光ディスクの順で検索して前記揮発性メモリに読み出して一時的に記録し、前記要求元に伝送する処理とし、
前記制御部は、前記光ディスクに記録されたデータの前記メモリへのコピーが完了するまで前記コピー処理の実行を要求し、且つ、前記コピー処理の実行と前記伝送処理の実行とが同時に要求されている場合、前記コピー処理より前記伝送処理を優先させて実行するよう制御することを特徴とする光ディスク駆動制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記コピー処理の実行と前記伝送処理の実行とが同時に要求されており、前記伝送処理の実行により前記光ディスクから前記光ピックアップより読み出したデータを前記揮発性メモリに一時的に記録して伝送する場合、伝送後も前記揮発性メモリ内のデータを保持するよう制御し、且つ、前記伝送処理が完了したとき、前記コピー処理として、前記伝送処理で伝送済みの前記揮発性メモリ内のデータを、前記メモリに移動する処理を行うよう制御することを特徴とする請求項1に記載の光ディスク駆動制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記コピー処理として、前記伝送処理が完了後に前記伝送処理で伝送済みの前記揮発性メモリ内のデータを前記メモリに移動した後、前記伝送処理で前記光ディスクから読み出しを行った前記光ピックアップの位置又は該位置に最も近い未コピーのデータに対応する位置を開始点として、前記光ディスクから前記揮発性メモリにデータを読み出して一時的に記録し、該データを前記メモリに移動するよう制御することを特徴とする請求項2に記載の光ディスク駆動制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記コピー処理の前記開始点からの開始を、前記伝送処理で前記光ディスクから読み出しを行った前記光ピックアップの位置と前記コピー処理の実行の要求が示す前記ピックアップの予定位置とが所定距離以上離間していた場合にのみ実行するよう制御し、離間していなかった場合には、前記予定位置から前記コピー処理を開始するよう制御することを特徴とする請求項3に記載の光ディスク駆動制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記コピー処理の実行と前記伝送処理の実行とが同時に要求されており、前記伝送処理が実行されている場合、前記揮発性メモリの記録可能残量が無くなったときに、前記伝送処理を中断して、前記伝送処理で伝送済みの前記揮発性メモリ内のデータを前記メモリに移動することで前記コピー処理を実行し、前記揮発性メモリの記録可能残量が所定量になるまで回復した段階で前記伝送処理を再開するよう制御することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の光ディスク駆動制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記コピー処理の実行と前記伝送処理の実行とが同時に要求されており、前記伝送処理の実行により前記光ディスクから前記光ピックアップより読み出したデータを前記揮発性メモリに一時的に記録して伝送する場合、伝送後に前記揮発性メモリ内のデータを破棄するよう制御し、且つ、前記伝送処理が完了したとき、前記伝送処理で前記光ディスクから読み出しを行った前記光ピックアップの位置又は該位置に最も近い未コピーのデータに対応する位置を開始点として、前記光ディスクから前記揮発性メモリにデータを読み出して一時的に記録し、該データを前記メモリに移動するよう制御することを特徴とする請求項1に記載の光ディスク駆動制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記コピー処理の前記開始点からの開始を、前記伝送処理で前記光ディスクから読み出しを行った前記光ピックアップの位置と前記コピー処理の実行の要求が示す前記ピックアップの予定位置とが所定距離以上離間していた場合にのみ実行するよう制御し、離間していなかった場合には、前記予定位置から前記コピー処理を開始するよう制御することを特徴とする請求項6に記載の光ディスク駆動制御装置。
【請求項8】
前記コピー処理は、前記揮発性メモリに一時的に記録されたデータを前記メモリに移動する代わりにコピーする処理であり、前記伝送処理は、前記伝送要求を受けたときに、該伝送要求の対象となったデータを、前記揮発性メモリ、前記メモリ、前記光ディスクの順で検索して、前記揮発性メモリにある場合には前記揮発性メモリから前記要求元に伝送し、前記メモリ又は前記光ディスクにある場合には、前記揮発性メモリ内に前記コピー処理により記録されたデータを削除すると共に前記メモリ又は前記光ディスクから前記揮発性メモリに読み出して一時的に記録し、前記揮発性メモリから前記要求元に伝送することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の光ディスク駆動制御装置。
【請求項9】
前記コピー処理は、前記揮発性メモリに一時的に記録されたデータを前記メモリに移動する代わりにコピーする処理であり、
前記制御部は、前記コピー処理の実行と前記伝送処理の実行とが同時に要求されており、前記伝送処理の実行により前記光ディスクから前記光ピックアップより読み出したデータを前記揮発性メモリに一時的に記録して伝送する場合、伝送後に前記揮発性メモリの記録可能残量が所定量を下回ったときのみ、前記揮発性メモリ内のデータを破棄するよう制御し、且つ、該破棄を伴う前記伝送処理が完了したとき、前記伝送処理で前記光ディスクから読み出しを行った前記光ピックアップの位置又は該位置に最も近い未コピーのデータに対応する位置を開始点として、前記光ディスクから前記揮発性メモリにデータを読み出して一時的に記録し、該データを前記メモリに移動又はコピーするよう制御することを特徴とする請求項2に記載の光ディスク駆動制御装置。
【請求項10】
前記コピー処理の実行の要求は、前記光ディスクがマウントされたとき又は所定のユーザ操作を受け付けたときになされることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の光ディスク駆動制御装置。
【請求項11】
前記光ディスクを回転させる装置及び前記光ピックアップを設けた光ディスク駆動装置を備えたことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の光ディスク駆動制御装置。
【請求項12】
前記光ディスクを回転させる装置及び前記光ピックアップを設けた光ディスク駆動装置に、接続するための接続インターフェースを備えたことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の光ディスク駆動制御装置。
【請求項13】
前記光ディスクに記録されたデータとして、前記要求元で実行させるためのオペレーティングシステムプログラムを含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の光ディスク駆動制御装置。
【請求項1】
可搬型の光ディスクに記録されたデータの読み出しを制御する光ディスク駆動制御装置であって、
前記光ディスクに記録されたデータのコピーを記録するためのメモリと、
前記光ディスクから光ピックアップを介して読み出されたデータを一時的に記録するための揮発性メモリと、
(a)前記光ディスク上のデータを前記メモリに記録するコピー処理の実行と、(b)前記光ディスクに記録されたデータの伝送要求を受けたときに該伝送要求の対象となったデータを要求元に伝送する伝送処理の実行と、を制御する制御部と、を備え、
前記コピー処理は、前記光ディスクから前記光ピックアップによりデータを読み出し、読み出したデータを前記揮発性メモリに一時的に記録し、該データを前記揮発性メモリから前記メモリに移動する処理を含み、
前記伝送処理は、前記光ディスクに記録されたデータの伝送要求を受けたときに、該伝送要求の対象となったデータを、前記メモリ、前記光ディスクの順で検索して前記揮発性メモリに読み出して一時的に記録し、前記要求元に伝送する処理とし、
前記制御部は、前記光ディスクに記録されたデータの前記メモリへのコピーが完了するまで前記コピー処理の実行を要求し、且つ、前記コピー処理の実行と前記伝送処理の実行とが同時に要求されている場合、前記コピー処理より前記伝送処理を優先させて実行するよう制御することを特徴とする光ディスク駆動制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記コピー処理の実行と前記伝送処理の実行とが同時に要求されており、前記伝送処理の実行により前記光ディスクから前記光ピックアップより読み出したデータを前記揮発性メモリに一時的に記録して伝送する場合、伝送後も前記揮発性メモリ内のデータを保持するよう制御し、且つ、前記伝送処理が完了したとき、前記コピー処理として、前記伝送処理で伝送済みの前記揮発性メモリ内のデータを、前記メモリに移動する処理を行うよう制御することを特徴とする請求項1に記載の光ディスク駆動制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記コピー処理として、前記伝送処理が完了後に前記伝送処理で伝送済みの前記揮発性メモリ内のデータを前記メモリに移動した後、前記伝送処理で前記光ディスクから読み出しを行った前記光ピックアップの位置又は該位置に最も近い未コピーのデータに対応する位置を開始点として、前記光ディスクから前記揮発性メモリにデータを読み出して一時的に記録し、該データを前記メモリに移動するよう制御することを特徴とする請求項2に記載の光ディスク駆動制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記コピー処理の前記開始点からの開始を、前記伝送処理で前記光ディスクから読み出しを行った前記光ピックアップの位置と前記コピー処理の実行の要求が示す前記ピックアップの予定位置とが所定距離以上離間していた場合にのみ実行するよう制御し、離間していなかった場合には、前記予定位置から前記コピー処理を開始するよう制御することを特徴とする請求項3に記載の光ディスク駆動制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記コピー処理の実行と前記伝送処理の実行とが同時に要求されており、前記伝送処理が実行されている場合、前記揮発性メモリの記録可能残量が無くなったときに、前記伝送処理を中断して、前記伝送処理で伝送済みの前記揮発性メモリ内のデータを前記メモリに移動することで前記コピー処理を実行し、前記揮発性メモリの記録可能残量が所定量になるまで回復した段階で前記伝送処理を再開するよう制御することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の光ディスク駆動制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記コピー処理の実行と前記伝送処理の実行とが同時に要求されており、前記伝送処理の実行により前記光ディスクから前記光ピックアップより読み出したデータを前記揮発性メモリに一時的に記録して伝送する場合、伝送後に前記揮発性メモリ内のデータを破棄するよう制御し、且つ、前記伝送処理が完了したとき、前記伝送処理で前記光ディスクから読み出しを行った前記光ピックアップの位置又は該位置に最も近い未コピーのデータに対応する位置を開始点として、前記光ディスクから前記揮発性メモリにデータを読み出して一時的に記録し、該データを前記メモリに移動するよう制御することを特徴とする請求項1に記載の光ディスク駆動制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記コピー処理の前記開始点からの開始を、前記伝送処理で前記光ディスクから読み出しを行った前記光ピックアップの位置と前記コピー処理の実行の要求が示す前記ピックアップの予定位置とが所定距離以上離間していた場合にのみ実行するよう制御し、離間していなかった場合には、前記予定位置から前記コピー処理を開始するよう制御することを特徴とする請求項6に記載の光ディスク駆動制御装置。
【請求項8】
前記コピー処理は、前記揮発性メモリに一時的に記録されたデータを前記メモリに移動する代わりにコピーする処理であり、前記伝送処理は、前記伝送要求を受けたときに、該伝送要求の対象となったデータを、前記揮発性メモリ、前記メモリ、前記光ディスクの順で検索して、前記揮発性メモリにある場合には前記揮発性メモリから前記要求元に伝送し、前記メモリ又は前記光ディスクにある場合には、前記揮発性メモリ内に前記コピー処理により記録されたデータを削除すると共に前記メモリ又は前記光ディスクから前記揮発性メモリに読み出して一時的に記録し、前記揮発性メモリから前記要求元に伝送することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の光ディスク駆動制御装置。
【請求項9】
前記コピー処理は、前記揮発性メモリに一時的に記録されたデータを前記メモリに移動する代わりにコピーする処理であり、
前記制御部は、前記コピー処理の実行と前記伝送処理の実行とが同時に要求されており、前記伝送処理の実行により前記光ディスクから前記光ピックアップより読み出したデータを前記揮発性メモリに一時的に記録して伝送する場合、伝送後に前記揮発性メモリの記録可能残量が所定量を下回ったときのみ、前記揮発性メモリ内のデータを破棄するよう制御し、且つ、該破棄を伴う前記伝送処理が完了したとき、前記伝送処理で前記光ディスクから読み出しを行った前記光ピックアップの位置又は該位置に最も近い未コピーのデータに対応する位置を開始点として、前記光ディスクから前記揮発性メモリにデータを読み出して一時的に記録し、該データを前記メモリに移動又はコピーするよう制御することを特徴とする請求項2に記載の光ディスク駆動制御装置。
【請求項10】
前記コピー処理の実行の要求は、前記光ディスクがマウントされたとき又は所定のユーザ操作を受け付けたときになされることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の光ディスク駆動制御装置。
【請求項11】
前記光ディスクを回転させる装置及び前記光ピックアップを設けた光ディスク駆動装置を備えたことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の光ディスク駆動制御装置。
【請求項12】
前記光ディスクを回転させる装置及び前記光ピックアップを設けた光ディスク駆動装置に、接続するための接続インターフェースを備えたことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の光ディスク駆動制御装置。
【請求項13】
前記光ディスクに記録されたデータとして、前記要求元で実行させるためのオペレーティングシステムプログラムを含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の光ディスク駆動制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−79969(P2010−79969A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−245633(P2008−245633)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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