説明

光ディスク

セッション情報を有するメモリチップ(60)が装着された光ディスク(2)を提供する。また、光ディスクから光情報を読み取るための光ディスクドライブ装置(1)であって、前記メモリチップからセッション情報を読み取ることができ(ステップ303)、光ディスクにアクセスする際にこの情報を用いうるようにした当該光ディスクドライブ装置(1)をも提供する。更に、光ディスク内に光情報を書き込むための光ディスクドライブ装置(1)であって、前記メモリチップからセッション情報を読み取ることができ(ステップ403)、光ディスクにアクセスする際にこの情報を用いうるようになっており、書き込み処理(ステップ406)を実行した後に、このメモリチップにセッション情報を記憶させることができる(ステップ407)当該光ディスクドライブ装置(1)をも提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光記憶ディスクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光記憶ディスクは、一般に知られているように、情報をデータパターンの形態で記憶させることができる記憶空間の少なくとも1つのトラックを、連続らせんの形態又は複数の同心円の形態で有している。光ディスクは、情報を製造中に記録する読み出し専用形式にすることができ、この場合、ユーザはその情報の読み出しのみが可能となる。光記憶ディスクは、ユーザが情報を記憶することができる書き込み可能形式にすることもできる。このような書き込み可能形式の光ディスクの1つがDVD(ディジタル多用途ディスク)であり、本発明は、特にDVDディスクに関するものである。そのため、以下では本発明をDVD形式のディスクに関して説明する。しかし、本発明の要旨は、他の形式の記録可能ディスクにも適用しうるため、以下の説明は、本発明の範囲をDVDディスクのみに限定するものでないことを理解されたい。
【0003】
光ディスクに情報を記憶させうるようにする、及び光ディスクから光データを読み出しうるようにする、一般の光ディスク、特にDVDディスクに関する技術は、広く知られているため、ここでこの技術について更に詳細に説明することは要しないものである。しかし、記憶位置がアドレスを有することを実現することは重要である。
【0004】
情報は、いくつかのセッションにおいてディスクに書き込まれる。各セッションは、1つ以上のトラックを有しうるもので、各トラックは、1つ以上の順次に書き込まれたブロックを有する。トラックは、トラック状態として表される「オープン」、「クローズド」又は「インビジブル」の状態を有しうる。
「クローズド」トラックとは、トラックの長さが既知であり、このトラックが、データで完全に満たされていることを意味する。
「オープン」トラックとは、トラックの長さは既知であるが、このトラックが、未だデータで完全に満たされていないことを意味する。
「インビジブル」トラックとは、トラックの長さが未だ分らないことを意味する。
【0005】
同様に、セッションも、セッション状態として表される「オープン」又は「クローズド」状態を有し得る。
「クローズド」セッションとは、セッションの長さが既知であり、このセッションの全てのトラックが「クローズド」状態にあることを意味する。
「オープン」セッションとは、セッションの長さが分っておらず、このセッションが1つ以上の「オープン」及び「インビジブル」トラックの双方又はいずれか一方を有することを意味する。
【0006】
各セッションは、「セッションリードイン」と称される部分(領域)から開始するものであり、この部分は、セッション状態と、このセッションにあるトラックのトラック状態の概要とに関する情報を含んでいる。
【0007】
ディスク全体には「ディスクリードイン」と称される部分があり、この部分は、複数セッションの情報、即ち全てのセッションのセッション状態に関する情報を含んでいる。しかし、このディスクリードイン部分は、トラック状態に関するいかなる情報も含んでいない。
【0008】
ディスクリードイン部分及びセッションリードイン部分におけるセッション状態及びトラック状態に関する情報は、ディスクの読み出し又は書き込みを行うディスクドライブ装置にとって重要なものである。これに関連して、ディスクの書き込み(及び読み出し)を行いうる「ライタ」と称されるディスクドライブ装置と、ディスクの読み出しのみを行いうる「リーダ」と称されるディスクドライブ装置との区別が重要になる。
【0009】
DVDディスクの記憶トラックの一部にユーザ情報が書き込まれている場合、このユーザ情報はアドレス情報及び位置情報を伴っており、このユーザ情報にアクセスしうるようになっている。リーダが特定のユーザ情報を見い出そうとする場合、このリーダは、この特定のユーザ情報のアドレスと、トラックやセクタのような位置情報とを知る必要がある。具体的には、このようなリーダは、セッションの開始アドレスを知る必要があり、またセッション状態を知る必要がある。この点に関して、ディスクリードイン部分におけるセッション情報は、リーダがアクセスすることのできない未書き込み領域により包囲されているため、リーダがこの情報を読み出すことができないという問題がある。従って、リーダは、各セッションリードイン部分におけるセッション情報を読み出すために、セッションからセッションへの飛び移り(セッションホッピング)を行う必要がある。ライタにはこれらの問題は存在しない。その理由は、ライタは、ディスクリードイン部分におけるセッション情報の概要を読み出すことができるためである。しかし、ライタが情報の書き込みを開始する命令を受けると、ライタは情報の書き込みをどこで開始するかを知る必要があり、このために最後のセッションの状態を知る必要がある。最後のセッションがクローズドセッションであれば、ディスクリードイン部分におけるセッション情報の概要があれば充分である。しかし、多くの場合において、最後のセッションはオープンセッションであり、この場合、ライタは各オープン又はインビジブルトラックの最後のアドレスを知る必要がある。これらのアドレスはどこにも示されていないため、ライタは、必要な情報を検出するためにトラックからトラックへの飛び移り(トラックホッピング)を行う必要がある。
【0010】
このようなホッピング処理には、1回の飛び移り当り1秒程度かかる場合がある。飛び移り操作が未書き込み領域で終わっている場合にはいつでも、DVDドライブは位置情報を全く得ることができず、書き込み領域を見い出すための修復処理を再度行う必要がある。このような修復処理には数秒かかる場合がある。換言すると、セッション情報を集めるためのセッションホッピング処理、又はトラック情報を集めるためのトラックホッピング処理の進行には、極めて長い時間がかかる場合がある。
【0011】
更に、このようなホッピング処理の間にアドレス情報を読み出し解釈する必要がある。ライタは、ウォブルの符号化からアドレス情報を読み出すことができるが、リーダは、書き込まれたデータに組み込まれているアドレス情報を読み出しうるにすぎない。読み出し処理中には誤りが発生するおそれがあり、処理が成功するか否かはフォーマットの信頼性に応じたものとなる。
【0012】
これらの問題の一部を解決する一つの可能性として、リーダ装置に、ウォブルのアドレス情報を読み出すためのOPU及びこれに関連する電気回路を設ける方法がある。しかし、これには比較的多くの費用がかかる。
【0013】
従って、本発明の主たる目的は、上述した問題を解決又は少なくとも緩和するための経済的な方法を提供することにある。
【発明の開示】
【0014】
上述した課題を解決するために、本発明は、セッション情報を有するメモリチップを光ディスク上に装着した当該光ディスクを提供する。
【0015】
また、本発明は、光ディスクから光情報を読み出すための光ディスクドライブ装置であって、前述したメモリチップからセッション情報を読み出して、光ディスクをアクセスする際にこの情報を用いることができる当該光ディスクドライブ装置を提供する。
【0016】
更に、本発明は、光ディスクに光情報を書き込むための光ディスクドライブ装置であって、前述したメモリチップからセッション情報を読み出し、光ディスクをアクセスする際にこの情報を用いることができ、且つ書き込み処理を行った後にこのメモリチップにセッション情報を記憶させることができる当該光ディスクドライブ装置を提供する。書き込まれたセッションのデータ保全を確実にするため、このようなメモリチップの読み出し及び書き込みを行うことができない従来技術のライタに対し、このようなメモリチップを有するディスクがアクセスし得ないようにしておくのが好ましい。このことは、ブック型バイトをウォブル内に適切な値で設定することにより達成することができる。
【0017】
本発明の上述の及びその他の観点、特徴及び利点を、図面を参照して以下に更に説明する。図面中、同一の参照符号は、同一の又は同様の部分を示す。
図1は、代表的にはDVDである光ディスク2上に情報を記憶させ、又は光ディスク2から情報を読み出すのに適した光ディスクドライブ装置1を線図的に示している。この光ディスクドライブ装置1は、光ディスク2を回転させるために、回転軸線5を規定するフレーム(簡単化のために図示せず)に固定されたモータ4を有する。光ディスク2を収容し且つ保持するために、光ディスクドライブ装置1に、ターンテーブル又はクランピングハブ6を設けることができ、スピンドルモータ4の場合には、ターンテーブル又はクランピングハブ6は、モータ4の回転軸7上に装着される。
【0018】
光ディスク2は2つの主要面2B及び2Tを有する。以下、第1主要面2Bを底面と、第2主要面2Tを頂面とも称する。
【0019】
更に、光ディスクドライブ装置1は、光ビームにより光ディスク2のトラック(図示せず)を走査するための光学系30を有する。より具体的に言えば、この光学系30は、代表的にはレーザダイオードのようなレーザである光ビーム発生手段31を有し、この手段は、光ビーム32aを発生するようになっており、この光ビーム32aは、ビームスプリッタ33及び対物レンズ34を通過するようになっている。この対物レンズ34は、光ビーム32bを光ディスク2上の焦点Fに集束させる。この光ビーム32bは、光ディスク2で反射されて(反射光ビーム32c)、対物レンズ34及びビームスプリッタ33を通過し(ビーム32d)、光検出器35に到達する。
【0020】
図1では、光学系30が光ディスク2の底面2B側に示されているため、簡単化のために焦点Fは光ディスク2の底面2B上に示してあることに注意されたい。実際のところ、焦点Fは、当業者にとって明らかなように、光ディスク2のやや深い位置にある記録層(図示せず)上に存在している。
【0021】
光ディスクドライブ装置1は更に、アクチュエータ系40を有し、このアクチュエータ系40は、対物レンズ34が所望のトラックまで移動し、そのトラックを正確に追随するようにする。詳細には、光ディスクドライブ装置1は、対物レンズ34を光ディスク2に対して径方向に移動させる径方向アクチュエータ41を有する。この径方向アクチュエータ自体は既知のものであり、また本発明はこのような径方向アクチュエータの設計及び機能に関するものではないため、ここで径方向アクチュエータの設計及び機能についての詳細な説明は要しない。
【0022】
光ビーム32bを光ディスク2の所望の位置に正確に集束させるのを達成且つ維持するために、対物レンズ34は軸線方向に移動可能に装着されており、光ディスクドライブ装置1は、更に、この対物レンズ34を光ディスク2に対して軸線方向に移動させる焦点アクチュエータ42を有する。軸線方向に移動させる焦点アクチュエータ自体は既知のものであり、またこのような焦点アクチュエータの設計及び動作は本発明の主題ではないため、ここで焦点アクチュエータの設計及び動作についての詳細な説明は要しない。
【0023】
対物レンズを装置のフレームに対して支持する支持手段と、対物レンズを軸線方向及び径方向に移動させる移動手段とは、これら自体一般に既知のものであることに注意されたい。このような支持手段及び移動手段の設計及び動作は、本発明の主題ではないため、これらの手段の設計及び動作についての詳細な説明は要しない。対物レンズをピボット運動させる手段についても同様である。
更に、径方向アクチュエータ41及び焦点アクチュエータ42は、1つの一体化したアクチュエータとして構成しうることに注意されたい。
【0024】
ディスクドライブ装置1は更に、制御回路90を具えており、この制御回路90は、モータ4の制御入力端に接続された第1出力端92と、径方向アクチュエータ41の制御入力端に接続された第2出力端93と、焦点アクチュエータ42の制御入力端に接続された第3出力端94とを有する。この制御回路90は、モータ4を制御するための制御信号SCMを第1出力端92において発生し、径方向アクチュエータ41を制御するための制御信号SCRを第2出力端93において発生し、焦点アクチュエータ42を制御するための制御信号SCFを第3出力端94において発生するよう設計されている。
【0025】
この制御回路90は更に、光検出器35から読み取り信号SRを受信するための読み取り信号入力端91と、レーザ31に接続されレーザ31の動作を制御するデータ出力端97とを有する。
【0026】
従って、当業者にとって明らかであり、当該技術分野において既知であるように、この制御回路90は、モータ4、レーザ31、アクチュエータ41及び42を適切に制御すると共に、光検出器35からの読み取り信号SRを適切に処理することにより、光ディスク2から光情報を読み取ることができる。また、制御回路90は更に、モータ4、レーザ31、アクチュエータ41及び42を適切に制御することにより光ディスク2に光情報を書き込むことができる。
【0027】
図2は、光ディスク2のトラック50を連続的な細条として示す。トラック50は、情報が書き込まれたトラック部51を有し、これらトラック部は、括弧内の番号により個々に表したセッションとしても示してある。トラック50の非書き込み部、即ちブランクのトラック部は、参照番号52で示してある。順次のセッション51(i)及び51(i+1)は、ブランクのトラック部52により分離されていることが分る。トラック50の開始時には、セッション情報、即ちセッション51の長さ及び位置に関する情報を有するリードイン領域53を示してある。
【0028】
図3及び4を参照して、本発明による光ディスクドライブ1の動作を説明する。
この光ディスクドライブ1は、従来技術のディスク、即ちいかなるメモリチップも含まないディスクに対処しうる。このようなディスクに対処するために、制御回路90は、光ディスクへのアクセス前及びアクセス後の少なくとも一方において、リードイン領域53のセッション情報の参照及び更新の双方又はいずれか一方を行うように設計されている。
【0029】
より具体的には、制御回路90が、特定の情報を読み取れというユーザ命令を受けると[ステップ301]、この制御回路90は、リードイン領域53内のセッション情報を参照してセッションの配置を見出し[ステップ313]、必要な情報がどの位置にあるかを判断し[ステップ314]、その後この位置に飛び移る[ステップ315]。
【0030】
一方、制御回路90が、特定の情報を書き込めというユーザ命令を受けると[ステップ401]、この制御回路90は、リードイン領域53内のセッション情報を参照してセッションの配置を見い出し[ステップ413]、書き込み処理を行いうる空きトラック部を判断し[ステップ414]、このトラック部の開始位置に飛び移る[ステップ415]。その後、制御回路90が、新たなセッションに情報を書き込む[ステップ416]。制御回路90がこの新たなセッションへの書き込みを完了した後に、制御回路90は、更新されたセッション情報をリードイン領域内に書き込む[ステップ417]。セッション情報は、セッションへの書き込みを完了した直後に更新することもできるし、又は光ディスクドライブから光ディスクを取出す際、即ち場合に応じて複数のセッションへの書き込みを完了した後に更新することもできる。このような処理は当業者にとって既知であるため、ここではその詳細な説明は要しない。
【0031】
本発明の重要な観点によれば、光ディスク2は、この光ディスク2上又は光ディスク素材内に固着したメモリチップ60を具える。このメモリチップ60は、光ディスク2の底面2Bに装着することができるが、図2に示されるように、光ディスク2の頂面2T、即ち光学系30の側とは反対の側に装着するのが好ましい。このメモリチップ60は、光ディスク2の外周部の近くに装着することができるが、図2に示されるように回転軸線5の近くに装着するのが好ましい。
【0032】
このメモリチップ60と通信するために、光ディスクドライブ1は、制御回路90の入力/出力ポート98に接続したチップリーダ/ライタ装置61を有する。このチップリーダ/ライタ装置61は、好ましくはチップと接触することなく、代表的にはRF伝送により、チップ60に信号を送り、又はチップ60から信号を受けるようになっている。制御回路90は、このチップリーダ/ライタ装置61を介して、チップ60内に情報を記憶させ、又はチップから情報を読み取ることができる。
【0033】
メモリチップを製造したり、物理的接触を必要とすることなくメモリチップ内に情報を書き込んだり、物理的接触を必要とすることなくメモリチップから情報を読み取ったりする技術自体は、既知であることに注意されたい。本発明は、このような技術に関連するものではなく、更に本発明を実施する際に既存の技術を使用しうることから、ここでこの技術について詳細に説明することは要しない。
【0034】
本発明の他の重要な観点によれば、メモリチップ60がセッション情報を有している。
光ディスクドライブ1は、メモリチップ60を具えるディスクを扱う場合、リードイン領域53内のセッション情報の参照及び更新の双方又はいずれか一方を行うか、或いはメモリチップ60内のセッション情報の参照及び更新の双方又はいずれか一方を行うかを選択する。特に、本発明によれば、光ディスクへのアクセス前及びアクセス後の少なくとも一方において、リードイン領域に関して上述したのと同様にして、メモリチップ60内のセッション情報の参照及び更新の双方又はいずれか一方を行うように制御回路90を設計する。
【0035】
より具体的には、制御回路90が、特定の情報を読み取れというユーザ命令を受けると[ステップ301]、この制御回路90は、メモリチップ60内のセッション情報を参照してセッションの配置を見い出し[ステップ303]、必要な情報がどの位置で見い出されるかを判断し[ステップ304]、その後この位置に飛び移る[ステップ305]。
【0036】
制御回路90は、ステップ301からステップ303に直ちに進むようにすることができる。また、制御回路90が、何らかの理由でリードイン領域の読み取りを行うことができない場合にのみ、制御回路90がステップ301からステップ303に進み、それ以外の場合には制御回路90がステップ313に進むようにすることもできる。
【0037】
或いは又、図3に示すように、まず、制御回路90が、セッション情報を有するメモリチップを光ディスク2が具えているか否かをチェックするようにすることもでき[ステップ302]、メモリチップを具える場合には、制御回路90が、リードイン領域を参照することを試みることなく、代わりにメモリチップ60を参照するようにすることができる。このステップ302において、制御回路90が、光ディスク2はこのようなメモリチップ60を具えていないことを見い出した場合には、リードイン領域53を参照するステップに進む[ステップ313〜315]。
【0038】
一方、制御回路90が、特定の情報を書き込めというユーザ命令を受けると[ステップ401]、この制御回路90は、メモリチップ60内のセッション情報を参照してセッションの配置を見い出し[ステップ403]、書き込み処理を行いうる空きトラック部を判断し[ステップ404]、このトラック部の開始位置に飛び移る[ステップ405]。その後、制御回路90が、新しいセッションに情報を書き込む[ステップ406]。制御回路90が新しいセッションへの書き込みを完了した後に、制御回路90は、更新されたセッション情報をメモリチップ60内に書き込む[ステップ407]。セッション情報は、セッションへの書き込みを完了した直後に更新することもできるし、又はディスクドライブからディスクを取出す際、即ち場合に応じて複数のセッションに書き込みを完了した後に更新することもできる。この点に関して、この操作は、リードイン領域にセッション情報を書き込む場合の従来技術の処理と同様のものであるため、ここでのこの処理のより詳細な説明は要しない。
【0039】
制御回路90は、ステップ401からステップ403に直ちに進むことができる。また、制御回路90が、何らかの理由でリードイン領域の読み取りを行うことができない場合にのみ、この制御回路90がステップ401からステップ403に進むようにし、それ以外の場合にはステップ413に進むようにすることもできる。
【0040】
或いは又、図4に示すように、まず、制御回路90が、セッション情報を有するメモリチップを光ディスク2が具えているか否かをチェックするようにすることもでき[ステップ402]、メモリチップを具える場合には、書き込み処理を行う前に、制御回路90が、リードイン領域を参照することを試みることなく、代わりにメモリチップ60を参照するようにすることができる。このステップ402において、制御回路90が、このようなメモリチップ60を光ディスク2が具えていないということを見い出した判断した場合には、この制御回路はリードイン領域53を参照するステップに進む[ステップ413〜417]。書き込み処理の後に、制御回路90が、メモリチップ60内にのみ更新されたセッション情報を書き込むようにすることができる[ステップ407]。しかし、制御回路90は、更新されたセッション情報を、メモリチップ60内に書き込むだけでなく[ステップ407]、図4の点線で示すようにリードイン領域53内にも書き込むようにするのが好ましい[ステップ417]。
【0041】
本発明は上述した実施例に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で、種々の変型及び変更を行いうること当業者にとって明らかである。
【0042】
例えば、メモリチップが、セッション情報以外の追加情報を有するようにすることができる。
また、セッション情報を、メモリチップにのみ記憶させ、リードイン領域には記憶させないようにしうる。この場合、制御回路90は、メモリチップ60のみを参照し、リードイン領域を参照しないことになる。
【0043】
メモリチップ60内に記憶させる情報は、リードイン領域内に記憶させる情報と同じものにすることができる。しかし、本発明によれば、メモリチップ60内にはより多くの情報を記憶させることができる。例えば、メモリチップ60内にトラック状態の情報を記憶(更新)させることができる。また、メモリチップ60内に解凍(デアイス)テーブルを記憶させるのも極めて有利である。この場合、書き込み可能(追記型、即ちR−型の)ディスクへの書き込み処理は、もはや順次書き込み式に限定されるものでなく、ランダム書き込みアクセス式を利用しうるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、光ディスクドライブ装置を示す線図である。
【図2】図2は、DVDのトラック上のセッション配置を示す線図である。
【図3】図3は、本発明による光ディスクドライブ装置の読み取り処理を線図的に示す流れ図である。
【図4】図4は、本発明による光ディスクドライブ装置の書き込み処理を線図的に示す流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセッションに情報を光学的に記憶させるのに適した光ディスクであって、セッション情報を記憶させたメモリチップを有する光ディスク。
【請求項2】
請求項1に記載の光ディスクにおいて、
この光ディスクは、情報を記憶させるための少なくとも1つのトラックを有しており、このトラックのリードイン領域にも、セッション情報が記録されている光ディスク。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光ディスクから光情報を読み取るための光ディスクドライブ装置であって、この光ディスクドライブ装置は、前記メモリチップからセッション情報を読み取り、光ディスクをアクセスする際にこの情報を用いるようになっている光ディスクドライブ装置。
【請求項4】
請求項3に記載の光ディスクドライブ装置であって、光ディスクドライブ装置は、
光ディスクを収容し、回転させる手段と、
制御回路によって制御され、光ビームを用いて光ディスクのトラックを走査して、このトラックから情報を読み取るための光学系及びアクチュエータ系と、
前記制御回路の入力/出力ポートに接続されており、光ディスクの前記メモリチップと通信するようになっているチップリーダ/ライタ装置と
を有し、前記制御回路が、読み取り命令に応じて、前記メモリチップからセッション情報を読み取るようになっている光ディスクドライブ装置。
【請求項5】
請求項4に記載の光ディスクドライブ装置であって、
この光ディスクドライブ装置は、
特定の情報片を読み取れとのユーザ命令を受ける第1ステップと、
メモリチップ内のセッション情報を参照する第2ステップと、
必要な情報がどの位置で見い出されるかを判断する第3ステップと、
この第3ステップにおいて判断された位置に飛び移る第4ステップと
を有する情報読み取り方法を実行するようになっている光ディスクドライブ装置。
【請求項6】
請求項5に記載の光ディスクドライブ装置であって、
この光ディスクドライブ装置は、
前記第1ステップの後に、まず、セッション情報を有するメモリチップを光ディスクが具えているか否かをチェックし、
このチェックの結果、この光ディスクが、セッション情報を有するメモリチップを具えることが分った場合には、前記第2、第3及び第4ステップに進むようになっている光ディスクドライブ装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の光ディスクに光情報を書き込むための光ディスクドライブ装置であって、この光ディスクドライブ装置は、前記メモリチップからセッション情報を読み取り、光ディスクをアクセスする際にこの情報を用いうるようになっており、書き込み処理を実行した後に、前記メモリチップにセッション情報を記憶させるようになっている光ディスクドライブ装置。
【請求項8】
請求項7に記載の光ディスクドライブ装置であって、この光ディスクドライブ装置は、
光ディスクを収容し、回転させる手段と、
制御回路によって制御され、光ビームを用いて光ディスクのトラックを走査して、このトラックに情報を書き込むか、又はこのトラックから情報を読み取るための光学系及びアクチュエータ系と、
前記制御回路の入力/出力ポートに結合されており、光ディスクの前記メモリチップと通信するようになっているチップリーダ/ライタ装置と
を有し、前記制御回路が、書き込み命令に応じて、前記メモリチップにセッション情報を書き込むか、又は読み取り命令に応じて、前記メモリチップからセッション情報を読み取るようになっている光ディスクドライブ装置。
【請求項9】
請求項8に記載の光ディスクドライブ装置であって、
この光ディスクドライブ装置は、
特定の情報片を書き込めというユーザ命令を受ける第1ステップと、
メモリチップ内のセッション情報を参照する第2ステップと、
書き込み処理を行いうる空きトラック部分を判断する第3ステップと、
この第3ステップにおいて判断されたトラック部分の開始位置に飛び移る第4ステップと、
新たなセッションに情報を書き込む第5ステップと、
この新たなセッションへの書き込み処理が完了した後に、前記メモリチップ内に、更新されたセッション情報を書き込む第6ステップと
を有する情報書き込み方法を実行するようになっている光ディスクドライブ装置。
【請求項10】
請求項9に記載の光ディスクドライブ装置であって、
この光ディスクドライブ装置は、
前記第1のステップの後に、まず、セッション情報を有するメモリチップを光ディスクが具えているか否かをチェックし、
このチェックの結果、この光ディスクが、セッション情報を有するメモリチップを具えることが分った場合には、前記第2〜第6ステップに進むようになっている光ディスクドライブ装置。
【請求項11】
請求項7に記載の光ディスクドライブ装置において、
記録可能な光ディスクに対してランダム書き込み処理を行いうる光ディスクドライブ装置。
【請求項12】
比較的低速でアクセスする記憶媒体と、比較的高速でアクセスする記憶媒体とを有する記憶装置であって、この比較的高速でアクセスする記憶媒体が、前記比較的低速でアクセスする記憶媒体内に記憶されたデータに関するフォーマット情報及び状態情報の双方又はいずれか一方を有する記憶装置。
【請求項13】
請求項12に記載の記憶装置から情報を読み取るための読み取り装置であって、この読み取り装置は、前記比較的高速でアクセスする記憶媒体から情報を読み取り、この情報を、前記比較的低速でアクセスする記憶媒体をアクセスする際に使用するようになっている読み取り装置。
【請求項14】
請求項12に記載の記憶装置に情報を書き込むための書き込む装置であって、この書き込み装置は、前記比較的高速でアクセスする記憶媒体から情報を読み取り、この情報を、前記比較的低速でアクセスする記憶媒体にアクセスする際に使用し、更に、前記比較的低速でアクセスする記憶媒体に対する書き込み処理を実行した後に、前記比較的高速でアクセスする記憶媒体に情報を記憶させるようになっている書き込み装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−503676(P2007−503676A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530835(P2006−530835)
【出願日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【国際出願番号】PCT/IB2004/050673
【国際公開番号】WO2004/104996
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】