説明

光トランシーバ

【課題】光トランシーバを設置する位置が高さ方向に制約されている場合でも干渉せずに設置することができる光トランシーバを提供する。
【解決手段】光パッチコードに接続されるハウジングと、このハウジングを保持するトランシーバ本体とを有する光トランシーバにおいて、トランシーバ本体13とハウジング15とを二分割して構成すると共に両者を連結する連結機構16を設け、この連結機構16を、ハウジング15が、当該ハウジング15とトランシーバ本体13との共通した中心線に沿って正常な姿勢および正常な姿勢から180度反転した姿勢のいずれでもそれぞれ連結可能となるような構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光トランシーバに係り、さらに詳しくは、当該光トランシーバを高さ方向に制約のある場合でも配置することができる光トランシーバに関する。
【背景技術】
【0002】
本格的なブロードバンド、ユビキタス社会の到来をむかえ、基幹ネットワーク、加入者系ネットワークの情報トラフィック量は飛躍的に増加し、さまざまなアプリケーションに耐えうる大容量・高信頼の光通信システム、例えば、光トランシーバを使用した光通信装置の需要が急速に高まっている。
そして、需要の高まりに伴い、装置側ではより高密度に光トランシーバを実装することで多数の通信回線を確保するという方法が考えられている。例えば、装置側では高密度に光トランシーバを実装するために、光トランシーバを上下に並べて実装することなどが行われている。
【0003】
また、隣接するメインケース内にトランシーバが挿入され、光コネクタがそのトランシーバと係合された状態で、目的とする光トランシーバを、当該光トランシーバが装着されたケースから開放する脱着機構を備えた光トランシーバが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−317540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、光トランシーバは、内部にプリント基板やフレキシブル基板、および光モジュール等が実装されたトランシーバ本体と、光パッチコードを接続するハウジングとが一体物として形成されている。
【0006】
しかしながら、上記のようなトランシーバ本体とハウジングとが一体化した光トランシーバを上下に並べて実装する場合、例えば、光パッチコード挿入位置が光トランシーバの中心に来る場合、及び、光パッチコードを2ch共に挿入できるCompactSFPと言うような形態の場合、上下の光トランシーバの上面を向き合う構成にしてしまうと、ハウジングに挿入したコネクタ部が下段に挿入したものと上段に挿入したものでお互いに干渉してしまい、挿入が出来ないことがある。
【0007】
また、装置によっては光トランシーバの真上にフロントパネルが配置されているときなど、光トランシーバの使用時に装置側で高さ方向の制約条件が付く場合がある。この場合、光パッチコードのコネクタ部がフロントパネルに干渉して光トランシーバを設置できないと問題がある。その結果、設計変更を余儀なくされることにもなる。
【0008】
さらに、前記特許文献1の光トランシーバも、トランシーバ本体とハウジングとが一体化したものであり、特許文献1では、前述のように、目的とする光トランシーバを、当該光トランシーバが装着されたケースから開放する脱着機構を備えたものであるが、特許文献1の光トランシーバでも、前述した各問題点が生じている。
【0009】
本発明の目的は、上述した各課題を解決するために、光トランシーバを設置する位置が高さ方向に制約されている場合でも制約している装置等に干渉せずに設置することができる光トランシーバを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本願発明の光トランシーバは、光パッチコードに接続されるハウジングと、このハウジングを保持するトランシーバ本体とを有する光トランシーバにおいて、
前記トランシーバ本体とハウジングとを二分割して構成すると共に両者を連結する連結機構を設け、
前記連結機構を、前記ハウジングが、当該ハウジングと前記トランシーバ本体との共通した中心線に沿って正常な姿勢および180度反転した姿勢のいずれでもそれぞれ連結可能となるような構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本願発明の光トランシーバは以上のように構成されているので、光トランシーバを設置する位置が高さ方向に制約されている場合、ハウジングをトランシーバ本体に対して正常な姿勢および反転した姿勢のいずれかの姿勢にして取り付けることができる。その結果、光トランシーバを設置する位置が高さ方向に制約されている場合でも、制約している装置等に干渉せずに光トランシーバを実装できる。
また、新規装置の開発についても、高さ方向に関しての制約に関わりなく光トランシーバを実装することができるので、より柔軟に設計することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る光トランシーバの一実施形態を表し、トランシーバ本体とハウジングとが分割された状態を示す全体分解斜視図である。
【図2】前記実施形態の光トランシーバを示す全体側面図である。
【図3】前記実施形態の光トランシーバを構成するトランシーバ本体とハウジングとを連結する連結機構を表し、図3(A)はトランシーバ本体とハウジングとが離れた状態、図3(B)はトランシーバ本体とハウジングとが連結する直前の状態、図3(C)はトランシーバ本体とハウジングとが連結した状態をそれぞれ示す。
【図4】前記実施形態の光トランシーバをメインケースに固定された状態から抜き出す状態を示す側面図である。
【図5】図4のV−V線に沿った平面図である。
【図6】前記実施形態の光トランシーバをメインケースから取り外す際に使用するトランシーバ取外し用治具を示す全体斜視図である。
【図7】前記実施形態の光トランシーバに光パッチコードを装着する直前の状態を示す側面図である。
【図8】前記実施形態の光トランシーバに光パッチコードが装着された状態でハウジングが正常な姿勢を示す側面図である。
【図9】前記実施形態の光トランシーバに光パッチコードが装着された状態でハウジングが正常な姿勢から反転した姿勢を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図1〜図9を参照して本発明に係る光トランシーバの一実施形態を説明する。
【0014】
本実施形態の光トランシーバとしては、例えばSFP(Small Form-factor Pluggabe)トランシーバが適用されている。
【0015】
図1に示すように、光トランシーバ10には、光パッチコード14(図7,8等参照)が装備されるようになっている。
本実施形態の光トランシーバ10は、トランシーバ本体13とハウジング15とに二分割して構成され、これらのトランシーバ本体13とハウジング15とは連結機構16により連結される構成となっている。
そして、トランシーバ本体13に対して、ハウジング15が、図1,2等に示すように、トランシーバ本体13とハウジング15との共通の中心線CLに沿った正常な姿勢と、その姿勢から180度反転した、図9に示すような反転姿勢との2種類の姿勢で連結可能となっている。
なお、図1において、斜め左下側を前方、斜め右上側を後方とし、斜め上側を上方、斜め下側を下方とする。
【0016】
トランシーバ本体13は、例えば薄型鋼板により直方体の筒状に形成されている。ただし、合成樹脂製としてもよい。このようなトランシーバ本体13の内部には、光モジュール11およびプリント配線基板12等が装備されている。
【0017】
また、ハウジング15もトランシーバ本体13と同様に、例えば薄型鋼板あるいは合成樹脂により形成されており、トランシーバ本体13の長手方向に沿った仕切り部により仕切られて2つの開口部15A,15Aが形成されている。そして、ハウジング15には、その開口部15Aから挿通されて前記光パッチコード14(図4参照)が装備されるようになっている。
【0018】
図1に示すように、前記プリント配線基板12には、電気回路および電気回路部品(図略)が実装され、この電気回路に前記光モジュール11が接続されている。
【0019】
ここで、電気回路と光モジュール11との接続方法については、フレキシブル基板や、リード線など、光モジュール11とプリント配線基板12とを接続可能な方法であればどのような方法であってもよい。
【0020】
また、光モジュール11は、発光素子としてレーザダイオード、受光素子としてフォトダイオード、光ファイバとの軸あわせに使用されるフェルールなどを備えた光学部品であり、例えば、TOSA(Transmitter Optical SubAssembly)や、ROSA(Receiver Optical SubAssembly)や、BOSA(Bi-directional Optical Sub Assembly)等が挙げられる。
【0021】
光モジュール11とプリント配線基板12とは、前述のようにトランシーバ本体13内に装備されている。
そして、トランシーバ本体13とハウジング15とを前記連結機構16により連結、固定し、これにより前記SFPトランシーバ10が構成される。
【0022】
前記連結機構16は、前述したように、ハウジング15をトランシーバ本体13に対して正常な姿勢(図1,2等参照)、または反転した姿勢(図9等参照)で連結できるように構成されている。
連結機構16は、トランシーバ本体13の幅方向両側面にそれぞれ形成された係合部17と、ハウジング15の幅方向両側面にそれぞれ形成されると共に前記係合部17と係合する係合穴18とで構成されている。
【0023】
各係合部17は、図3に示すように、それぞれ、トランシーバ本体13の一端部(ハウジング15側)からハウジング15側に延出した板状の延出部17Aと、この延出部17Aの先端に形成され一部が内側に鋭角(断面レ状)に折り曲げられたやじり状の鍵部17Bとで形成されている。
【0024】
また、係合穴18は、上述のようにハウジング15の幅方向両側面に形成されると共に係合部17の鍵部17Bが挿入される長方形形状の穴に形成されている。
【0025】
ここで、図2に基づいて、係合部17と係合穴18との寸法関係を説明する。
係合部17の延出部17Aの幅寸法がwのとき、トランシーバ本体13の下面から延出部17Aの下端面までの高さ寸法、およびトランシーバ本体13の上面から延出部17Aの上端面までの高さ寸法がtとなっている。
【0026】
これに対して、ハウジング15の係合穴18の幅寸法はWに形成されており、ハウジング15の下面から係合穴18の下端面までの高さ寸法はTに形成されている。
係合穴18の幅寸法Wは、延出部17Aの幅寸法wより所定寸法大きな寸法に設定されており、延出部17Aの鍵部17Bが余裕をもって嵌まり込めるようになっている。
また、ハウジング15の下面から係合穴18の下端面までの高さ寸法Tは、上記高さ寸法tより大きな寸法に設定されており、延出部17Aが係合穴18の幅方向略中央部に位置するようになっている。
【0027】
ハウジング15とトランシーバ本体13との高さ方向の寸法が上記のように設定されていることから、ハウジング15を、図2等に示す正常な姿勢から反転して、図9に示すように反転した姿勢としたとき、トランシーバ本体13の上面から延出部17Aの上端面までの高さ寸法tに対して、ハウジング15の下面から係合穴18の下端面までの高さ寸法Tが対応するので、ハウジング15を反転しても、トランシーバ本体13に連結することができる。
【0028】
次に、連結機構16により、トランシーバ本体13とハウジング15とが連結される状態を説明する。
図3(A)はトランシーバ本体13とハウジング15とが離れた状態であり、この状態から、例えばハウジング15を矢印S方向に移動させる。すると、ハウジング15の先端面が係合部17の鍵部17Bの傾斜面と当接し、さらに前進することにより係合部17の延出部17Aおよび鍵部17Bが図3(B)に示すように、トランシーバ本体13の側面側の外方に拡げられる。
【0029】
図3(B)の状態からハウジング15を矢印S方向にさらに移動させると、上記鍵部17Bの先端が係合穴18に挿入され、これにより、図3(C)に示すように、係合部17の鍵部17Bと係合穴18とが係合し、その結果、トランシーバ本体13とハウジング15とが連結されることになる。
【0030】
トランシーバ本体13とハウジング15との連結を解除、つまりハウジング15をトランシーバ本体13から切り離すには、例えばハウジング15の内側から、図示しない取外し治具により鍵部17Bの先端をトランシーバ本体13の側面側の外方に向けて押圧して、鍵部17Bと係合穴18との係合を外し、その状態で、ハウジング15を上記矢印S方向と逆方向に引っ張り出すことにより行われる。
【0031】
図1、図2等に示すように、トランシーバ本体13の底面13Cでハウジング15側の前面部には、トランシーバ本体13の幅方向に間隔をあけて2つの固定解除穴13Aが形成されている。これらの固定解除穴13Aは、トランシーバ本体13の長手方向に沿って長い四角形状に形成され底面13Cを貫通している。
【0032】
また、トランシーバ本体13の底面13Cには、ケース固定用の1つの突起部13Bが設けられている。この突起部13Bは略四角錐状に形成されており、図2に示すように、略四角錐状の底面部に該当する面がトランシーバ本体13の底面13Cに直交すると共に斜面の一面をトランシーバ本体13の底面13Cに当接させて固着されている。この突起部13Bは、前記2つの固定解除穴13A,13Aの略中間位置に、かつ固定解除穴13A,13Aからトランシーバ本体13の長手方向の奥側寄りに形成されている。
【0033】
突起部13Bは、図4に示すように、光トランシーバ10をメインケース20に装着し、固定するために、メインケース20にあけられた固定用穴20Aに挿入されるようになっている。
すなわち、メインケース20の底面20Cには略四角形形状の貫通穴が形成され、この貫通穴が上記固定用穴20Aを構成しており、光トランシーバ10のトランシーバ本体13がメインケース20内に挿入され、突起部13Bが固定用穴20Aに嵌り込んだとき、光トランシーバ10がメインケース20に固定されるようになっている。
なお、図4では、前記光モジュール11およびプリント配線基板12等は省略されている。
【0034】
また、メインケース20の底面20Cにおいて固定用穴20Aの前面部(ハウジング15側)には、図6,7に示すように、一部が平面形状で凸状に突出したベロ部20Bが形成されている。そして、このベロ部20Bは、メインケース20に光トランシーバ10を取り付け、取り外す際に利用されるものである。
なお、図7では、前記光モジュール11およびプリント配線基板12等は省略されている。
【0035】
すなわち、図4に示すように、メインケース20に装着された光トランシーバ10を取り外す場合、まず、トランシーバ本体13の底面20Cに形成されている2つの固定解除穴13Aに専用のトランシーバ取外し治具25の先端部25Aを差込むと共に、その先端部25Aでメインケース20の上記ベロ部20Bを下方に押圧する(図4の仮想線で示す)。
【0036】
ベロ部20Bが押されてトランシーバ本体13の突起部13Bと固定用穴20Aとの係合が外れたとき、トランシーバ本体13を手前に引き出せば当該トランシーバ本体13をメインケース20から取り外すことができる。
【0037】
上記のようにメインケース20に装着された光トランシーバ10を取り外す場合に対して、光トランシーバ10をメインケース20に装着する場合は、光トランシーバ10のトランシーバ本体13をメインケース20に挿入し、押し込んで行く。
トランシーバ本体13の突起部13Bがメインケース20の入り口に差し掛かると、突起部13Bの傾斜面が上記ベロ部20Bを下方に押しながら移動する。そして、さらに移動すると、突起部13Bの傾斜面の先端部がメインケース20の固定解除穴13Aに嵌り込み、光トランシーバ10がメインケース20に固定される。
【0038】
次に、図6に基づいて、前記トランシーバ取外し治具25を説明する。
トランシーバ取外し治具25は平面コ字状に形成され、対向する2本のバー部25A,25Aの先端に、一方向に突出した嘴状の突起部25Bが形成されている。
【0039】
そして、このトランシーバ取外し治具25によるメインケース20からの光トランシーバ10の取り外しは、トランシーバ取外し治具25をハウジング15の開口部15Aから挿入し、トランシーバ取外し治具25の突起部25Bをメインケース20の固定解除穴13Aに引っ掛け、持ち手を上に持ち上げることでメインケース20のベロ部20Bを押し込み、トランシーバ本体13の突起部13Bと固定用穴20Aとの係合を外して、光トランシーバ10を矢印B方向に引き抜くことで、メインケース20から光トランシーバ10を取り外すことができる。
【0040】
本実施形態では、前述のように、ハウジング15を、図1,2等に示す正常な姿勢と、その姿勢から180度反転させた図9に示すような反転姿勢とにすることができる。
【0041】
すなわち、前述のように、光トランシーバ10を、高さ方向に制約のある環境で使用しなければならない場合がある。
例えば、図8に仮想線で示すように、光トランシーバ10の直上に所定のフロントパネル50が配置されている場合、図1,2等に示すような正常な姿勢では、光トランシーバ10に装備されたレセクタプル部14Aがフロントパネル50に干渉するために、光トランシーバ10をメインケース20に装着することができない。
そこで、使用者はハウジング15を取り外し、180度回転させて図9に示すように、メインケース20に再度固定することで高さ方向の向きを変え、つまり、上述のように反転姿勢とすることでパッチコード14を容易に挿入できる。その結果、フロントパネル50との干渉を防ぐことが可能となる。
なお、図8,9では、前記光モジュール11およびプリント配線基板12等は省略されている。
【0042】
以上のような構成の一実施形態の光トランシーバ10によれば、次のような効果が得られる。
(1)光トランシーバ10を設置する位置が高さ方向に制約されている場合でも、ハウジング15を正常な姿勢または反転した姿勢にして取り付けることができるので、高さ方向を制約する装置等に干渉せずに光トランシーバ10を実装できる。その結果、より高密度に光トランシーバ10を実装することで多数の通信回線を確保することができる。
【0043】
(2)新規装置の開発についても、高さ方向に関しての制約に関わりなく光トランシーバ10を実装することができるので、より柔軟に設計することが可能となる。
【0044】
(3)連結機構16が、トランシーバ本体13の幅方向両側面にそれぞれ形成された係合部17と、ハウジング15の幅方向両側面にそれぞれ形成された係合穴18とで構成され、例えばハウジング15をトランシーバ本体13側にスライドさせると、ハウジング15の係合穴18に係合部17の鍵部17Bが嵌まり込み、両者13,15が連結されるようになっているので、連結機構16の構成が簡単であり、作業も容易である。
【0045】
(4)トランシーバ本体13の底面13Cにケース固定用の1つの突起部13Bが設けられており、トランシーバ本体13をメインケース20に挿入し、スライドさせることで、突起部13Bがメインケース20にあけられた固定用穴20Aに嵌まり込み、トランシーバ本体13つまり光トランシーバ10がメインケース20に固定される。突起部13Bは固定用穴20Aに嵌まり込んだ後は、メインケース20のベロ部20Bを押し広げない限りトランシーバ本体13を取り出すことができない形状なので、光トランシーバ10をメインケース20に確実に固定することができる。
【0046】
(5)ハウジング15をトランシーバ本体13に対して、正常な姿勢と180度反転させた反転姿勢とにできるので、光トランシーバ10の直上に所定のフロントパネル50が配置されており、正常な姿勢では、光トランシーバ10に装備されたレセクタプル部14Aがフロントパネル50に干渉し、光トランシーバ10をメインケース20に装着することができないような設置条件の場合でも、ハウジング15を取り外し、180度反転させ、メインケース20に再度固定することで高さ方向の向きを変えることでパッチコード14を容易に挿入でき、フロントパネル50との干渉を防ぐことができる。その結果、そのつど設計変更などせずにすみ、柔軟な取り扱いが可能となる。
【0047】
以上、上記実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細については、当業者が理解し得るさまざまな変更を加えることができる。また、本発明には、上記実施形態の構成の一部又は全部を相互に適宜組み合わせたものも含まれる。
【0048】
例えば、前記実施形態では、SFPトランシーバを例に挙げたが、SFFトランシーバでもこの構造を適用してもよい。同様にCompactSFF、CompactSFPトランシーバでもこの構造を適用してもよい。
【0049】
また、前記実施形態では、トランシーバ取外し治具25を、二股状、つまり平面コ字状に形成されると共に、対向する2本のバー部25A,25Aの先端に嘴状の突起部25Bを有する形状に形成したが、これに限らない。例えば、一芯SFPに使用するために棒状のものを使用してもよい。
【0050】
さらに、前記実施形態では、トランシーバ本体13の突起部13Bの形状を略四角錐状に形成して用いたが、これに限らず、所定厚さの板材を直角三角形状に形成した突起部を用いてもよい。このような形状にすれば、製作が容易である。
【0051】
また、前記実施形態では、連結機構16は、トランシーバ本体13の幅方向両側面にそれぞれ形成された係合部17と、ハウジング15の幅方向両側面にそれぞれ形成されると共に前記係合部17と係合する係合穴18とで構成されている。これに限らず、市販されているパッチン錠をトランシーバ本体13とハウジング15の両者間に架けわたして設け、そのパッチン錠を連結機構として用いてもよい。
【0052】
(付記1)
光パッチコードに接続されるハウジングと、このハウジングを保持するトランシーバ本体とを有する光トランシーバにおいて、
前記トランシーバ本体とハウジングとを二分割して構成すると共に両者を連結する連結機構を設け、
前記連結機構を、前記ハウジングが当該ハウジングと前記トランシーバ本体との共通した中心線に沿って正常な姿勢および180度反転した姿勢のいずれでもそれぞれ連結可能な構成としたことを特徴とする光トランシーバ。
【0053】
(付記2)
付記1に記載の光トランシーバにおいて、
前記連結機構を、前記トランシーバ本体とハウジングとの分割面領域で当該トランシーバ本体とハウジングとのそれぞれの幅方向の両側面にわたって設けたことを特徴とする光トランシーバ。
【0054】
(付記3)
付記2に記載の光トランシーバにおいて、
前記連結機構を、前記トランシーバ本体の幅方向両側面に設けた係合部と、この係合部に対応して前記ハウジングの幅方向両側面に設けられた係合穴とで構成したことを特徴とする光トランシーバ。
【0055】
(付記4)
付記3記載の光トランシーバにおいて、
前記係合部を、前記トランシーバ本体の一端部から前記ハウジング側に延出した延出部と、この延出部の先端に形成され一部が内側に折り曲げられかつ前記係合穴に係合する鍵部とで構成したことを特徴とする光トランシーバ。
【0056】
(付記5)
付記1ないし付記4のいずれか一つに記載の光トランシーバにおいて、
前記トランシーバ本体の底面部に当該底面部から外方に突出した固定用突起部を設け、
この固定用突起部を光トランシーバ装着用のメインケースに形成されたトランシーバ固定用穴に係合させることで前記ハウジングを備えたトランシーバ本体を前記メインケースに固定可能としたことを特徴とする光トランシーバ。
【0057】
(付記6)
付記5に記載の光トランシーバにおいて、
前記固定用突起部を、その断面形状が三角形となるように形成し当該三角形の一辺を前記底面部に直交させると共に前記三角形の斜辺を前記分割面から離れる方向に向くように配置したことを特徴とする光トランシーバ。
【0058】
(付記7)
付記5または付記6に記載の光トランシーバにおいて、
前記トランシーバ本体の底面の前記分割面側で当該トランシーバ本体の幅方向に間隔をあけて形成された2つのトランシーバ取り出し用貫通穴を設け、
これらのトランシーバ取り出し用貫通穴を利用して前記メインケースに装着された光トランシーバを取り外すトランシーバ取外し治具を備え、
このトランシーバ取外し治具を、前記トランシーバ取り出し用貫通穴に挿通しかつ前記メインケースの底面の一部を押圧して前記固定用突起部と前記メインケースとの係合を解除する二股部を有する形状に形成したことを特徴とする光トランシーバ。
内部に光モジュールおよびプリント配線基板が収容されたトランシーバ本体と、
このトランシーバ本体の長さ方向の一端部に着脱可能に取り付けられると共に光パッチコードが挿通可能となったハウジングとを備えて構成し、
前記トランシーバ本体とハウジングとにわたって当該トランシーバ本体とハウジングを係脱自在とする係合部を設けたことを特徴とする光トランシーバ。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本願発明は、ハウジングを通常の姿勢または反転した姿勢でトランシーバ本体に連結して光トランシーバを構成する際に利用できる。
【符号の説明】
【0060】
10 光トランシーバ
11 光モジュール
12 プリント配線基板
13 トランシーバ本体
13A 固定解除穴
13B 突起部
14 光パッチコード
15 ハウジング
16 連結機構
17 係合部
17A 延出部
17B 鍵部
18 係合穴
20 メインケース
20A 固定用穴
20B ベロ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光パッチコードに接続されるハウジングと、このハウジングを保持するトランシーバ本体とを有する光トランシーバにおいて、
前記トランシーバ本体とハウジングとを二分割して構成すると共に両者を連結する連結機構を設け、
前記連結機構を、前記ハウジングが、当該ハウジングと前記トランシーバ本体との共通した中心線に沿って正常な姿勢およびその正常な姿勢から180度反転した姿勢のいずれでもそれぞれ連結可能となるような構成としたことを特徴とする光トランシーバ。
【請求項2】
請求項1に記載の光トランシーバにおいて、
前記連結機構を、前記トランシーバ本体とハウジングとの分割面領域で当該トランシーバ本体とハウジングとのそれぞれの幅方向の両側面にわたって設けたことを特徴とする光トランシーバ。
【請求項3】
請求項2に記載の光トランシーバにおいて、
前記連結機構を、前記トランシーバ本体の幅方向両側面に設けた係合部と、この係合部に対応して前記ハウジングの幅方向両側面に設けられた係合穴とで構成したことを特徴とする光トランシーバ。
【請求項4】
請求項3に記載の光トランシーバにおいて、
前記係合部を、前記トランシーバ本体の一端部から前記ハウジング側に延出した延出部と、この延出部の先端に形成され一部が内側に折り曲げられかつ前記係合穴に係合する鍵部とで構成したことを特徴とする光トランシーバ。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一つに記載の光トランシーバにおいて、
前記トランシーバ本体の底面部に当該底面部から外方に突出した固定用突起部を設け、
この固定用突起部を光トランシーバ装着用のメインケースに形成されたトランシーバ固定用穴に係合させることで前記ハウジングを備えたトランシーバ本体を前記メインケースに固定可能としたことを特徴とする光トランシーバ。
【請求項6】
請求項5に記載の光トランシーバにおいて、
前記固定用突起部を、その断面形状が三角形となるように形成し当該三角形の一辺を前記底面部に直交させると共に前記三角形の斜辺を前記分割面から離れる方向に向くように配置したことを特徴とする光トランシーバ。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の光トランシーバにおいて、
前記トランシーバ本体の底面の前記分割面側で当該トランシーバ本体の幅方向に間隔をあけて形成された2つのトランシーバ取り出し用貫通穴を設け、
これらのトランシーバ取り出し用貫通穴を利用して前記メインケースに装着された光トランシーバを取り外すトランシーバ取外し治具を備え、
このトランシーバ取外し治具を、前記トランシーバ取り出し用貫通穴に挿通しかつ前記メインケースの底面の一部を押圧して前記固定用突起部と前記メインケースとの係合を解除する二股部を有する形状に形成したことを特徴とする光トランシーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−45059(P2013−45059A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184741(P2011−184741)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】