光ピックアップ及びそれを搭載した光ディスク装置
【課題】小型で、光ディスクの高密度記録化や高倍速化に対応した光ピックアップ及び光ディスク装置を提供する。
【解決手段】ホルダ2がモータ6の駆動軸の回転によってレンズ1の光軸方向に駆動されるレンズ駆動装置101と、対物レンズ駆動装置102を有する光ピックアップにおいて、モータ6は対物レンズ駆動装置102とトラッキング方向に並列配置し、かつホルダ2はモータ6近傍の位置まで移動したとき対物レンズ駆動装置102の下部に存在する光ピックアップとした。
【解決手段】ホルダ2がモータ6の駆動軸の回転によってレンズ1の光軸方向に駆動されるレンズ駆動装置101と、対物レンズ駆動装置102を有する光ピックアップにおいて、モータ6は対物レンズ駆動装置102とトラッキング方向に並列配置し、かつホルダ2はモータ6近傍の位置まで移動したとき対物レンズ駆動装置102の下部に存在する光ピックアップとした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクの記録面上に記録された情報を読み出しまたは情報を記録する光ディスク装置において、光ピックアップに関し、さらにそれを備えた光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスク状の記録媒体上に情報を記録し、または記録された情報を読み出して再生する光ディスク装置は、光ディスク上に比較的大きな量の情報を記録でき、また、媒体も剛性が大きく取り扱いが容易なため、コンピュータの外部記録装置や映像音声の記録装置として用いられている。
【0003】
このような光ディスク装置において、発光素子からの光を集束あるいは発散させるレンズを光軸方向に駆動する機構がレンズ駆動装置である。一般にレンズ駆動装置は、レンズとレンズを保持するホルダを含む可動部と、この可動部を支持する支持部材と、モータなどの駆動部で構成される。モータなどの駆動部に駆動電流を印加することにより、可動部が駆動される。このレンズ駆動装置は、光ディスクの透明な保護層の厚さムラや多層記録ディスクの記録層間の移動で生じる球面収差を補正する装置もある。
【0004】
近年、光ディスクにおいて高密度化が進み、その方法として主に発光素子であるレーザの波長を短くするか対物レンズの開口を大きくすることによって対応を図っている。その高密度光ディスクにおいて、前記球面収差は、記録あるいは再生信号の劣化となるため、球面収差を補正する装置の必要性がある。大きな球面収差を補正するために、レンズ駆動装置のレンズ駆動幅を大きくとり、さらに対物レンズにも焦点距離の短いものを用いている。
【0005】
近年ではより小型で薄型の光ディスク装置の需要が高まってきており、そのため光ディスク装置内の各部品を限られたスペースに有効に配置することが必要とされている。特許文献1は、レンズ駆動装置と対物レンズ駆動装置がフォーカス方向に上下に光ディスク面法線方向に並んで位置するよう配置している。
【0006】
【特許文献1】特開2003−338069号公報(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来技術においては、収差補正幅向上のためにレンズ駆動装置のレンズ駆動幅を大きくする場合、対物レンズ駆動装置側にレンズ駆動幅を取れば光ディスク面内方向の装置面積を広げる必要はない。しかし、薄型の光ディスク装置に用いる際はその限りではなく、レンズ駆動装置の可動部の可動幅や駆動部のスペースを確保して配置する必要があるため、光ピックアップが厚くなってしまう。特に、近年では光ディスクの高密度記録化や高倍速化が進み、より精度よく、より高速にデータを読み取る必要があるため、レンズ駆動装置の可動部は従来より高速に、かつ広範囲に駆動されなければならない。特に、需要が高まってきている薄型の光ディスク装置に用いる際には、これらの機構を限られたスペースに従来より効率よく配置する必要性がある。
【0008】
本発明の目的は、小型で、光ディスクの高密度記録化や高倍速化に対応した光ピックアップ及び光ディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、光ディスクに略平行な方向に光軸を有するレンズと、前記レンズを保持するホルダと、前記ホルダを支持して、前記ホルダが前記レンズの光軸を法線ベクトルとする面の面内方向に変位するのを規制する第一のガイド軸と、前記ホルダが光ディスクの法線方向に変位するのを規制する第二のガイド軸と、前記ホルダを前記レンズの光軸方向に移動させるリードスクリュとを有するレンズ駆動装置を搭載した光ピックアップにおいて、前記レンズの光軸と光ディスクとの距離、及び前記第一のガイド軸の中心軸と光ディスクとの距離、及び前記第二のガイド軸の中心軸と光ディスクとの距離は、前記リードスクリュの中心軸と光ディスクとの距離よりも大きいことにより達成される。
【0010】
また上記目的は、光ディスクの法線方向に投影した平面上で、第一のガイド軸の中心軸と第二のガイド軸の中心軸はレンズの光軸の中心軸とリードスクリュの中心軸との間に配置されることにより達成される。
【0011】
また上記目的は、光ディスクの法線方向に投影した平面上で、第一のガイド軸の中心軸は第二のガイド軸の中心軸に対してリードスクリュの中心軸側に配置され、前記第二のガイド軸は前記第一のガイド軸に対してレンズの光軸の中心軸側に配置されることにより達成される。
【0012】
また上記目的は、対物レンズと、前記対物レンズをフォーカス方向とトラッキング方向に駆動する駆動機構を有する対物レンズ駆動装置と、請求項1から3のいずれかに記載のレンズ駆動装置とを搭載する光ピックアップにおいて、前記対物レンズ駆動装置の一部と、レンズまたはホルダの可動範囲の一部とがフォーカス方向に投影した平面上で重なることにより達成される。
【0013】
また上記目的は、レンズの外径と光ディスクとの距離の最小値、及びモータの外径と光ディスクとの距離の最小値は、対物レンズ駆動装置の外形と光ディスクとの距離の最大値よりも小さいことにより達成される。
【0014】
また上記目的は、光ディスクに略平行な方向に光軸を有するレンズと、前記レンズを保持するホルダと、前記ホルダを支持して、前記ホルダが前記レンズの光軸を法線ベクトルとする面の面内方向に変位するのを規制する第一のガイド軸と、前記ホルダが光ディスクの法線方向に変位するを規制する第二のガイド軸と、前記ホルダを前記レンズの光軸方向に移動させるリードスクリュとを有するレンズ駆動装置を搭載した光ピックアップにおいて、前記対物レンズ駆動装置の一部と、レンズまたはホルダの可動範囲の一部とがフォーカス方向に投影した平面上で重なり、かつ前記リードスクリュの一部と、前記対物レンズ駆動装置の一部とがトラッキング方向に投影した平面上で重なることにより達成される。
【0015】
また上記目的は、フォーカス方向に投影した平面上で、前記レンズの光軸はトラッキング方向とフォーカシング方向の両方向に垂直な軸と平行でないことにより達成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、レンズ駆動装置と対物レンズ駆動装置を最小面積で配置することができ、レンズ駆動装置の小型薄型化が可能となる。このレンズ駆動装置を用いることによって、小型かつ薄型で、光ディスクの高密度化や高速記録再生化に対応した、安価な光ピックアップを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施例を図にしたがって説明する。
【実施例1】
【0018】
本発明の実施例1を図1から図6を用いて説明する。これらの図において、y軸は光ディスク113半径方向であるトラッキング方向、z軸は対物レンズ8の光軸方向であるフォーカス方向、x軸はy軸とz軸の両軸に垂直な方向を示す。
【0019】
図1は本発明のレンズ駆動装置101及び対物レンズ駆動装置102の構成を示す斜視図である。
図2は図1をレンズ1光軸方向から見たレンズ駆動装置101と対物レンズ駆動装置102の配置説明図である。
図3は図1をフォーカス方向から正の方向に見た図である。
図4は図1をトラッキング方向から正の方向に見たレンズ駆動装置101と対物レンズ駆動装置102の配置説明図である。
図5はレンズ駆動装置101をフォーカス方向から見た図である。
図6はレンズ駆動装置101をレンズ1光軸方向からみた図である。
【0020】
各図において、レンズ1はホルダ2に取り付けられている。ホルダ2は第一のガイド軸3と第二のガイド軸4に沿って、レンズ1の光軸方向(レンズの焦点方向)に移動可能な構造となっており、ナット7に弾性体を用いるなどして押さえつけられている。ナット7は、回転止め構造によってリードスクリュ5を介したモータ6が発生する回転力による回転をしないようになっている。モータ6にはおねじが形成されたリードスクリュ5が取り付けられ、モータ6が回転することでナット7に形成されためねじと、リードスクリュ5のおねじによるねじ込み力によりナット7がレンズ1の光軸方向に駆動され、ナット7に押さえつけられたホルダ2がナット7と同じ方向すなわちレンズ1の光軸方向に駆動される機構となっている。
【0021】
対物レンズ8はフォーカス方向に光軸を持ち、レンズ1の光軸と略垂直に交わるような位置に配置されており、対物レンズ保持部材10,磁石9a,9b,ヨーク11とともに対物レンズ駆動装置102を形成している。その際、ホルダ2の駆動機構はモータ6による駆動機構以外の磁気回路を利用したリニア駆動機構などとしてもよく、リードスクリュ5からホルダ2への駆動伝達機構はナット以外のラックギアなどとしてもよい。
【0022】
レーザ光射出手段からレンズ1の光軸方向に射出されレンズ1に対物レンズ8と反対側から入射したレーザ光は、レンズ1の光軸と対物レンズ8の光軸が交わる点においてレーザ反射手段によって対物レンズ8へ向かう方向に曲げられた後、対物レンズ8を通過し、光ディスク113の信号記録層に集光され、ビームスポットを形成する。その際、ホルダ2をモータ6の回転により適切な位置に駆動させることによって球面収差を補正するようになっている。
【0023】
図2はレンズ駆動装置101と対物レンズ駆動装置102をレンズ光軸方向から見た平面図であり、d1は光ディスク113からリードスクリュ5の中心軸までの距離、d2は光ディスク113からレンズ1の光軸までの距離、d3は光ディスク113から第二のガイド軸4の中心軸までの距離、d4は光ディスク113から第一のガイド軸3の中心軸までの距離、d5は光ディスク113から対物レンズ駆動装置102の外形上の点のうち最も光ディスクに遠い点までの距離、d6は光ディスク113からレンズ1外径上の点のうち最も光ディスクに近い点までの距離、d7は光ディスク113からモータ6外径上の点のうち最も光ディスクに近い点までの距離を示している。
【0024】
図2が示すように、レンズ1の光軸および第一のガイド軸3の中心軸と第二のガイド軸4の中心軸はフォーカス方向に見てリードスクリュ5の中心軸より光ディスク113から離れた位置に光軸が配置されている。すなわち距離d1より距離d2〜d4が大きくなっている。これによって、レンズ1より光ディスク113側に対物レンズ駆動装置102を配置できる空間をもつホルダ2を提供することができ、光ピックアップの小型化を図っている。
【0025】
また、図2において、レンズ1の外径上で最も光ディスク113に近い点は、対物レンズ駆動装置102の外形上の点のうち最も光ディスク113から遠い点よりも光ディスク113との距離が小さくなるようにレンズ駆動装置101が配置されている。すなわち距離d6は距離d5より小さくなっている。
【0026】
また、モータ6の外径上で最も光ディスク113に近い点は、ヨーク11の切り欠き部分を利用することにより、ホルダ2の可動域がヨーク11に接触しない範囲で対物レンズ駆動装置102とレンズ駆動装置101とのフォーカス方向の距離が小さくなるように配置されている。すなわち距離d7は距離d5より小さくなっている。これにより、モータ6の径が大きい場合でもホルダ2と対物レンズ駆動装置102の距離を小さくすることができ、薄型の光ピックアップを提供することができる。
【0027】
図3はレンズ駆動装置101と対物レンズ駆動装置102をフォーカス方向から見た平面図、図4はレンズ駆動装置101と対物レンズ駆動装置102をトラッキング方向から見た平面図である。図3が示すように、ホルダ2がモータ6近傍の位置まで駆動されたとき、レンズ1またはホルダ2の一部と対物レンズ駆動装置102の一部がフォーカス方向に並列するように配置されている。この配置により、レンズ駆動装置101を大型化することなくレンズ1の可動域を大きく確保することができる。すなわち、より大きな範囲の収差を補正できる構造となり、光ディスクの高密度化に対応したレンズ駆動装置となる。また大きな範囲の収差を補正できることにより、対物レンズ8の収差特性の仕様緩和が可能となるため安価な材料を選ぶことができ、低コストなレンズ駆動装置を提供できる。
【0028】
また、図4が示すようにモータ6の一部と対物レンズ駆動装置102の一部がトラッキング方向に投影した平面状で重なって位置するように配置されている。これにより、薄型の光ディスクドライブに使用される光ピックアップのように空間が限られる場合においても、レンズ1より光ディスク113側に対物レンズ駆動装置102を配置できる空間を確保しつつより大きなモータ2を使用することができ、大きなトルクを確保できるので、高速でホルダ2を駆動させることができる小型の光ピックアップを提供できる。そのため、収差補正を高速で行うことができ、高速記録再生化に対応した光ピックアップとなっている。
【0029】
さらに、リードスクリュ3とナット7がねじ込み力によりかみ込みを起こした場合も、モータ6による大きいトルクのために脱出しやすい機構となっている。
【0030】
図5はレンズ駆動装置101をフォーカス方向に投影した平面図である。ホルダ2の軸受け部とリードスクリュ5には隙間があるため、ホルダ2の直進性を確保するため第一のガイド軸3が設けられている。図5が示すように、駆動時にホルダ2と第一のガイド軸3との摩擦などによりホルダ2が受ける第一のモーメント21が大きい場合、ホルダ2の駆動が妨げられる問題があるので、極力リードスクリュ5中心軸に近い位置に第一のガイド軸3を配置することによって、モーメント21の中心からの距離Lを小さくできる。すなわち第一のモーメント21が小さくなりホルダ2が第一のガイド軸3に沿ってスムーズに駆動できる構造になっている。
【0031】
図6はレンズ駆動装置101をレンズ1光軸方向に投影した平面図である。図5が示すように、第二のガイド軸4は外部からの振動などによって第一のガイド軸3回りに発生する第二のモーメント22が原因であるホルダ2の回転によるレンズ1のぶれを防いでいる。したがって、第二のガイド軸4がレンズ1に近い位置に配置されるほど第二のガイド軸4がレンズ1のぶれを防ぐ精度が向上する。これにより、ホルダ2駆動時の直進性低下や振動による制御不安定を少なくし、良好な収差補正を行えるレンズ駆動装置を提供することができる。
【実施例2】
【0032】
次に本発明の他の実施例について図7から図9に示す。これらの図において、y軸は光ディスク113半径方向であるトラッキング方向、z軸は対物レンズ8の光軸方向であるフォーカス方向、x軸はy軸とz軸の両軸に垂直な方向を示す。
【0033】
図7は、本実施例におけるレンズ駆動装置101および対物レンズ駆動装置102の配置を表した斜視図である。
図8及び図9は本実施例におけるレンズ駆動装置101および対物レンズ駆動装置102の配置についてフォーカス方向に投影して示した平面図である。
【0034】
図7に示すように、多種の光ディスクに対応するため対物レンズ駆動装置102に収差補正が必要な第一の対物レンズ8aと収差補正の必要のない第二の対物レンズ8bがトラッキング方向に並んで搭載されている場合がある。光ピックアップ111の光ディスク113に対するトラッキング方向の駆動範囲を小さくするため、第一の対物レンズ8aと第二の対物レンズ8bのトラッキング方向間隔は小さいほうがよい。
【0035】
その際、図8に示すように対物レンズ8aへ向かう第一のレーザ光31の光路と対物レンズ8bへ向かう第二のレーザ光32の光路が平行であると、ホルダ2の一部が第二のレーザ光32を妨げてしまう。そこで図9のように第一のレーザ光31の光路が第二のレーザ光32の光路に対して角度を持つように、つまりレンズ1の光軸がトラッキング方向とフォーカシング方向の両方向に垂直な軸と平行にならないようにレンズ駆動装置101を配置することによって、ホルダ2が破線で示すような対物レンズ駆動装置102近傍の位置に移動してもホルダ2の駆動範囲内では第二のレーザ光32とホルダ2が重ならないような構造にすることができる。このことによって、光ピックアップ111の光ディスク113に対するトラッキング方向の駆動範囲が小さい、小型化に適した光ピックアップを提供することができる。
【実施例3】
【0036】
次に本発明のレンズ駆動装置101を光ピックアップ111に搭載した実施例について、図10を用いて説明する。これらの図において、y軸は光ディスク113半径方向であるトラッキング方向、z軸は対物レンズ8の光軸方向であるフォーカス方向、x軸はy軸とz軸の両軸に垂直な方向を示す。なお、ここでは前記第一の実施例に示したレンズ駆動装置101を用いる例を示すが、他の実施例に示したレンズ駆動装置を用いた場合でも光ピックアップ111を同様に構成できる。
【0037】
図10は、本実施例における光ピックアップを概略的に示した斜視図である。
図10に示すように、レンズ駆動装置101は光ピックアップ111内に搭載される。発光素子103から射出された光は、レンズ1を通過した後対物レンズ8により光ディスク113の記録面に集光される。このように本発明のレンズ駆動装置を用いることで、データの高密度と高速記録再生に適した小型薄型化可能な光ピックアップ111となる。
【実施例4】
【0038】
次に本発明のレンズ駆動装置を搭載した光ピックアップ111を使用した光ディスク装置112の実施例について、図11を用いて説明する。なお、ここでは前記第一の実施例に示した光ピックアップ111を用いる例を示すが、他の実施例に示した光ピックアップ111を用いた場合でも光ディスク装置112を同様に構成できる。
【0039】
図11は、本実施例における光ディスク装置の構成を示した図である。
光ディスク装置112は、光ディスク113を回転させるスピンドルモータ114と、光ピックアップ111と、光ピックアップ111を光ディスク113の半径方向に移動させる送り機構と、それらを制御するコントローラ115を備えている。コントローラ115にはスピンドルモータ114の回転制御回路116が接続しており、スピンドルモータ114に取り付けられた光ディスク113の回転制御が行われる。
【0040】
また、コントローラ115には光ピックアップ111の送り制御回路117が接続しており、光ピックアップ111を光ディスク113の半径方向に移動させる送り制御が行われる。光ピックアップ111で検出された各種信号118は、サーボ信号検出回路119と再生信号検出回路120に送られ、サーボ信号検出回路119によりフォーカスエラー信号やトラックエラー信号が生成され、コントローラ115からの指令と合わせてアクチュエータ駆動回路からの信号により対物レンズ8の位置制御が行われる。また、再生信号検出回路120により算出された再生信号がコントローラ115に送られ、コントローラ115に接続されたレンズ駆動装置駆動回路122によって再生信号を最適化するような位置にレンズ駆動装置101の可動部が移動される。その後、再生信号検出回路により、光ディスク113上に記録された情報が再生される。
【0041】
このように本発明の光ピックアップ111を搭載することによって、データの高速記録再生と高密度記録再生に適した高性能な光ディスク装置112を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第一実施例におけるレンズ駆動装置及び対物レンズ駆動装置を示す図である。
【図2】本発明の第一実施例におけるレンズ駆動装置及び対物レンズ駆動装置をレンズ光軸方向から見た平面図である。
【図3】本発明の第一実施例におけるレンズ駆動装置及び対物レンズ駆動装置をフォーカス方向から見た平面図である。
【図4】本発明の第一実施例におけるレンズ駆動装置および対物レンズ駆動装置をトラッキング方向から見た平面図である。
【図5】本発明の第一実施例におけるレンズ駆動装置をフォーカス方向から見た平面図である。
【図6】本発明の第一実施例におけるレンズ駆動装置をレンズ光軸方向から見た平面図である。
【図7】本発明の第二実施例におけるレンズ駆動装置及び対物レンズ駆動装置を表す図である。
【図8】本発明の第二実施例における課題を説明するための駆動装置と対物レンズ駆動装置の配置を示す図である。
【図9】本発明の第二実施例におけるレンズ駆動装置と対物レンズ駆動装置の配置を示す図である。
【図10】本発明のレンズ駆動装置を用いた光ピックアップを示す図である。
【図11】本発明のレンズ駆動装置を用いた光ディスク装置の信号処理の流れを示す図である。
【符号の説明】
【0043】
1 レンズ
2 ホルダ
3 第一のガイド軸
4 第二のガイド軸
5 リードスクリュ
6 モータ
7 ナット
8 対物レンズ
9a,9b 磁石
10 対物レンズ保持部材
11 ヨーク
21 第一のモーメント
22 第二のモーメント
31 第一のレーザ光
32 第二のレーザ光
101 レンズ駆動装置
102 対物レンズ駆動装置
111 光ピックアップ
112 光ディスク装置
113 光ディスク
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクの記録面上に記録された情報を読み出しまたは情報を記録する光ディスク装置において、光ピックアップに関し、さらにそれを備えた光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスク状の記録媒体上に情報を記録し、または記録された情報を読み出して再生する光ディスク装置は、光ディスク上に比較的大きな量の情報を記録でき、また、媒体も剛性が大きく取り扱いが容易なため、コンピュータの外部記録装置や映像音声の記録装置として用いられている。
【0003】
このような光ディスク装置において、発光素子からの光を集束あるいは発散させるレンズを光軸方向に駆動する機構がレンズ駆動装置である。一般にレンズ駆動装置は、レンズとレンズを保持するホルダを含む可動部と、この可動部を支持する支持部材と、モータなどの駆動部で構成される。モータなどの駆動部に駆動電流を印加することにより、可動部が駆動される。このレンズ駆動装置は、光ディスクの透明な保護層の厚さムラや多層記録ディスクの記録層間の移動で生じる球面収差を補正する装置もある。
【0004】
近年、光ディスクにおいて高密度化が進み、その方法として主に発光素子であるレーザの波長を短くするか対物レンズの開口を大きくすることによって対応を図っている。その高密度光ディスクにおいて、前記球面収差は、記録あるいは再生信号の劣化となるため、球面収差を補正する装置の必要性がある。大きな球面収差を補正するために、レンズ駆動装置のレンズ駆動幅を大きくとり、さらに対物レンズにも焦点距離の短いものを用いている。
【0005】
近年ではより小型で薄型の光ディスク装置の需要が高まってきており、そのため光ディスク装置内の各部品を限られたスペースに有効に配置することが必要とされている。特許文献1は、レンズ駆動装置と対物レンズ駆動装置がフォーカス方向に上下に光ディスク面法線方向に並んで位置するよう配置している。
【0006】
【特許文献1】特開2003−338069号公報(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来技術においては、収差補正幅向上のためにレンズ駆動装置のレンズ駆動幅を大きくする場合、対物レンズ駆動装置側にレンズ駆動幅を取れば光ディスク面内方向の装置面積を広げる必要はない。しかし、薄型の光ディスク装置に用いる際はその限りではなく、レンズ駆動装置の可動部の可動幅や駆動部のスペースを確保して配置する必要があるため、光ピックアップが厚くなってしまう。特に、近年では光ディスクの高密度記録化や高倍速化が進み、より精度よく、より高速にデータを読み取る必要があるため、レンズ駆動装置の可動部は従来より高速に、かつ広範囲に駆動されなければならない。特に、需要が高まってきている薄型の光ディスク装置に用いる際には、これらの機構を限られたスペースに従来より効率よく配置する必要性がある。
【0008】
本発明の目的は、小型で、光ディスクの高密度記録化や高倍速化に対応した光ピックアップ及び光ディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、光ディスクに略平行な方向に光軸を有するレンズと、前記レンズを保持するホルダと、前記ホルダを支持して、前記ホルダが前記レンズの光軸を法線ベクトルとする面の面内方向に変位するのを規制する第一のガイド軸と、前記ホルダが光ディスクの法線方向に変位するのを規制する第二のガイド軸と、前記ホルダを前記レンズの光軸方向に移動させるリードスクリュとを有するレンズ駆動装置を搭載した光ピックアップにおいて、前記レンズの光軸と光ディスクとの距離、及び前記第一のガイド軸の中心軸と光ディスクとの距離、及び前記第二のガイド軸の中心軸と光ディスクとの距離は、前記リードスクリュの中心軸と光ディスクとの距離よりも大きいことにより達成される。
【0010】
また上記目的は、光ディスクの法線方向に投影した平面上で、第一のガイド軸の中心軸と第二のガイド軸の中心軸はレンズの光軸の中心軸とリードスクリュの中心軸との間に配置されることにより達成される。
【0011】
また上記目的は、光ディスクの法線方向に投影した平面上で、第一のガイド軸の中心軸は第二のガイド軸の中心軸に対してリードスクリュの中心軸側に配置され、前記第二のガイド軸は前記第一のガイド軸に対してレンズの光軸の中心軸側に配置されることにより達成される。
【0012】
また上記目的は、対物レンズと、前記対物レンズをフォーカス方向とトラッキング方向に駆動する駆動機構を有する対物レンズ駆動装置と、請求項1から3のいずれかに記載のレンズ駆動装置とを搭載する光ピックアップにおいて、前記対物レンズ駆動装置の一部と、レンズまたはホルダの可動範囲の一部とがフォーカス方向に投影した平面上で重なることにより達成される。
【0013】
また上記目的は、レンズの外径と光ディスクとの距離の最小値、及びモータの外径と光ディスクとの距離の最小値は、対物レンズ駆動装置の外形と光ディスクとの距離の最大値よりも小さいことにより達成される。
【0014】
また上記目的は、光ディスクに略平行な方向に光軸を有するレンズと、前記レンズを保持するホルダと、前記ホルダを支持して、前記ホルダが前記レンズの光軸を法線ベクトルとする面の面内方向に変位するのを規制する第一のガイド軸と、前記ホルダが光ディスクの法線方向に変位するを規制する第二のガイド軸と、前記ホルダを前記レンズの光軸方向に移動させるリードスクリュとを有するレンズ駆動装置を搭載した光ピックアップにおいて、前記対物レンズ駆動装置の一部と、レンズまたはホルダの可動範囲の一部とがフォーカス方向に投影した平面上で重なり、かつ前記リードスクリュの一部と、前記対物レンズ駆動装置の一部とがトラッキング方向に投影した平面上で重なることにより達成される。
【0015】
また上記目的は、フォーカス方向に投影した平面上で、前記レンズの光軸はトラッキング方向とフォーカシング方向の両方向に垂直な軸と平行でないことにより達成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、レンズ駆動装置と対物レンズ駆動装置を最小面積で配置することができ、レンズ駆動装置の小型薄型化が可能となる。このレンズ駆動装置を用いることによって、小型かつ薄型で、光ディスクの高密度化や高速記録再生化に対応した、安価な光ピックアップを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施例を図にしたがって説明する。
【実施例1】
【0018】
本発明の実施例1を図1から図6を用いて説明する。これらの図において、y軸は光ディスク113半径方向であるトラッキング方向、z軸は対物レンズ8の光軸方向であるフォーカス方向、x軸はy軸とz軸の両軸に垂直な方向を示す。
【0019】
図1は本発明のレンズ駆動装置101及び対物レンズ駆動装置102の構成を示す斜視図である。
図2は図1をレンズ1光軸方向から見たレンズ駆動装置101と対物レンズ駆動装置102の配置説明図である。
図3は図1をフォーカス方向から正の方向に見た図である。
図4は図1をトラッキング方向から正の方向に見たレンズ駆動装置101と対物レンズ駆動装置102の配置説明図である。
図5はレンズ駆動装置101をフォーカス方向から見た図である。
図6はレンズ駆動装置101をレンズ1光軸方向からみた図である。
【0020】
各図において、レンズ1はホルダ2に取り付けられている。ホルダ2は第一のガイド軸3と第二のガイド軸4に沿って、レンズ1の光軸方向(レンズの焦点方向)に移動可能な構造となっており、ナット7に弾性体を用いるなどして押さえつけられている。ナット7は、回転止め構造によってリードスクリュ5を介したモータ6が発生する回転力による回転をしないようになっている。モータ6にはおねじが形成されたリードスクリュ5が取り付けられ、モータ6が回転することでナット7に形成されためねじと、リードスクリュ5のおねじによるねじ込み力によりナット7がレンズ1の光軸方向に駆動され、ナット7に押さえつけられたホルダ2がナット7と同じ方向すなわちレンズ1の光軸方向に駆動される機構となっている。
【0021】
対物レンズ8はフォーカス方向に光軸を持ち、レンズ1の光軸と略垂直に交わるような位置に配置されており、対物レンズ保持部材10,磁石9a,9b,ヨーク11とともに対物レンズ駆動装置102を形成している。その際、ホルダ2の駆動機構はモータ6による駆動機構以外の磁気回路を利用したリニア駆動機構などとしてもよく、リードスクリュ5からホルダ2への駆動伝達機構はナット以外のラックギアなどとしてもよい。
【0022】
レーザ光射出手段からレンズ1の光軸方向に射出されレンズ1に対物レンズ8と反対側から入射したレーザ光は、レンズ1の光軸と対物レンズ8の光軸が交わる点においてレーザ反射手段によって対物レンズ8へ向かう方向に曲げられた後、対物レンズ8を通過し、光ディスク113の信号記録層に集光され、ビームスポットを形成する。その際、ホルダ2をモータ6の回転により適切な位置に駆動させることによって球面収差を補正するようになっている。
【0023】
図2はレンズ駆動装置101と対物レンズ駆動装置102をレンズ光軸方向から見た平面図であり、d1は光ディスク113からリードスクリュ5の中心軸までの距離、d2は光ディスク113からレンズ1の光軸までの距離、d3は光ディスク113から第二のガイド軸4の中心軸までの距離、d4は光ディスク113から第一のガイド軸3の中心軸までの距離、d5は光ディスク113から対物レンズ駆動装置102の外形上の点のうち最も光ディスクに遠い点までの距離、d6は光ディスク113からレンズ1外径上の点のうち最も光ディスクに近い点までの距離、d7は光ディスク113からモータ6外径上の点のうち最も光ディスクに近い点までの距離を示している。
【0024】
図2が示すように、レンズ1の光軸および第一のガイド軸3の中心軸と第二のガイド軸4の中心軸はフォーカス方向に見てリードスクリュ5の中心軸より光ディスク113から離れた位置に光軸が配置されている。すなわち距離d1より距離d2〜d4が大きくなっている。これによって、レンズ1より光ディスク113側に対物レンズ駆動装置102を配置できる空間をもつホルダ2を提供することができ、光ピックアップの小型化を図っている。
【0025】
また、図2において、レンズ1の外径上で最も光ディスク113に近い点は、対物レンズ駆動装置102の外形上の点のうち最も光ディスク113から遠い点よりも光ディスク113との距離が小さくなるようにレンズ駆動装置101が配置されている。すなわち距離d6は距離d5より小さくなっている。
【0026】
また、モータ6の外径上で最も光ディスク113に近い点は、ヨーク11の切り欠き部分を利用することにより、ホルダ2の可動域がヨーク11に接触しない範囲で対物レンズ駆動装置102とレンズ駆動装置101とのフォーカス方向の距離が小さくなるように配置されている。すなわち距離d7は距離d5より小さくなっている。これにより、モータ6の径が大きい場合でもホルダ2と対物レンズ駆動装置102の距離を小さくすることができ、薄型の光ピックアップを提供することができる。
【0027】
図3はレンズ駆動装置101と対物レンズ駆動装置102をフォーカス方向から見た平面図、図4はレンズ駆動装置101と対物レンズ駆動装置102をトラッキング方向から見た平面図である。図3が示すように、ホルダ2がモータ6近傍の位置まで駆動されたとき、レンズ1またはホルダ2の一部と対物レンズ駆動装置102の一部がフォーカス方向に並列するように配置されている。この配置により、レンズ駆動装置101を大型化することなくレンズ1の可動域を大きく確保することができる。すなわち、より大きな範囲の収差を補正できる構造となり、光ディスクの高密度化に対応したレンズ駆動装置となる。また大きな範囲の収差を補正できることにより、対物レンズ8の収差特性の仕様緩和が可能となるため安価な材料を選ぶことができ、低コストなレンズ駆動装置を提供できる。
【0028】
また、図4が示すようにモータ6の一部と対物レンズ駆動装置102の一部がトラッキング方向に投影した平面状で重なって位置するように配置されている。これにより、薄型の光ディスクドライブに使用される光ピックアップのように空間が限られる場合においても、レンズ1より光ディスク113側に対物レンズ駆動装置102を配置できる空間を確保しつつより大きなモータ2を使用することができ、大きなトルクを確保できるので、高速でホルダ2を駆動させることができる小型の光ピックアップを提供できる。そのため、収差補正を高速で行うことができ、高速記録再生化に対応した光ピックアップとなっている。
【0029】
さらに、リードスクリュ3とナット7がねじ込み力によりかみ込みを起こした場合も、モータ6による大きいトルクのために脱出しやすい機構となっている。
【0030】
図5はレンズ駆動装置101をフォーカス方向に投影した平面図である。ホルダ2の軸受け部とリードスクリュ5には隙間があるため、ホルダ2の直進性を確保するため第一のガイド軸3が設けられている。図5が示すように、駆動時にホルダ2と第一のガイド軸3との摩擦などによりホルダ2が受ける第一のモーメント21が大きい場合、ホルダ2の駆動が妨げられる問題があるので、極力リードスクリュ5中心軸に近い位置に第一のガイド軸3を配置することによって、モーメント21の中心からの距離Lを小さくできる。すなわち第一のモーメント21が小さくなりホルダ2が第一のガイド軸3に沿ってスムーズに駆動できる構造になっている。
【0031】
図6はレンズ駆動装置101をレンズ1光軸方向に投影した平面図である。図5が示すように、第二のガイド軸4は外部からの振動などによって第一のガイド軸3回りに発生する第二のモーメント22が原因であるホルダ2の回転によるレンズ1のぶれを防いでいる。したがって、第二のガイド軸4がレンズ1に近い位置に配置されるほど第二のガイド軸4がレンズ1のぶれを防ぐ精度が向上する。これにより、ホルダ2駆動時の直進性低下や振動による制御不安定を少なくし、良好な収差補正を行えるレンズ駆動装置を提供することができる。
【実施例2】
【0032】
次に本発明の他の実施例について図7から図9に示す。これらの図において、y軸は光ディスク113半径方向であるトラッキング方向、z軸は対物レンズ8の光軸方向であるフォーカス方向、x軸はy軸とz軸の両軸に垂直な方向を示す。
【0033】
図7は、本実施例におけるレンズ駆動装置101および対物レンズ駆動装置102の配置を表した斜視図である。
図8及び図9は本実施例におけるレンズ駆動装置101および対物レンズ駆動装置102の配置についてフォーカス方向に投影して示した平面図である。
【0034】
図7に示すように、多種の光ディスクに対応するため対物レンズ駆動装置102に収差補正が必要な第一の対物レンズ8aと収差補正の必要のない第二の対物レンズ8bがトラッキング方向に並んで搭載されている場合がある。光ピックアップ111の光ディスク113に対するトラッキング方向の駆動範囲を小さくするため、第一の対物レンズ8aと第二の対物レンズ8bのトラッキング方向間隔は小さいほうがよい。
【0035】
その際、図8に示すように対物レンズ8aへ向かう第一のレーザ光31の光路と対物レンズ8bへ向かう第二のレーザ光32の光路が平行であると、ホルダ2の一部が第二のレーザ光32を妨げてしまう。そこで図9のように第一のレーザ光31の光路が第二のレーザ光32の光路に対して角度を持つように、つまりレンズ1の光軸がトラッキング方向とフォーカシング方向の両方向に垂直な軸と平行にならないようにレンズ駆動装置101を配置することによって、ホルダ2が破線で示すような対物レンズ駆動装置102近傍の位置に移動してもホルダ2の駆動範囲内では第二のレーザ光32とホルダ2が重ならないような構造にすることができる。このことによって、光ピックアップ111の光ディスク113に対するトラッキング方向の駆動範囲が小さい、小型化に適した光ピックアップを提供することができる。
【実施例3】
【0036】
次に本発明のレンズ駆動装置101を光ピックアップ111に搭載した実施例について、図10を用いて説明する。これらの図において、y軸は光ディスク113半径方向であるトラッキング方向、z軸は対物レンズ8の光軸方向であるフォーカス方向、x軸はy軸とz軸の両軸に垂直な方向を示す。なお、ここでは前記第一の実施例に示したレンズ駆動装置101を用いる例を示すが、他の実施例に示したレンズ駆動装置を用いた場合でも光ピックアップ111を同様に構成できる。
【0037】
図10は、本実施例における光ピックアップを概略的に示した斜視図である。
図10に示すように、レンズ駆動装置101は光ピックアップ111内に搭載される。発光素子103から射出された光は、レンズ1を通過した後対物レンズ8により光ディスク113の記録面に集光される。このように本発明のレンズ駆動装置を用いることで、データの高密度と高速記録再生に適した小型薄型化可能な光ピックアップ111となる。
【実施例4】
【0038】
次に本発明のレンズ駆動装置を搭載した光ピックアップ111を使用した光ディスク装置112の実施例について、図11を用いて説明する。なお、ここでは前記第一の実施例に示した光ピックアップ111を用いる例を示すが、他の実施例に示した光ピックアップ111を用いた場合でも光ディスク装置112を同様に構成できる。
【0039】
図11は、本実施例における光ディスク装置の構成を示した図である。
光ディスク装置112は、光ディスク113を回転させるスピンドルモータ114と、光ピックアップ111と、光ピックアップ111を光ディスク113の半径方向に移動させる送り機構と、それらを制御するコントローラ115を備えている。コントローラ115にはスピンドルモータ114の回転制御回路116が接続しており、スピンドルモータ114に取り付けられた光ディスク113の回転制御が行われる。
【0040】
また、コントローラ115には光ピックアップ111の送り制御回路117が接続しており、光ピックアップ111を光ディスク113の半径方向に移動させる送り制御が行われる。光ピックアップ111で検出された各種信号118は、サーボ信号検出回路119と再生信号検出回路120に送られ、サーボ信号検出回路119によりフォーカスエラー信号やトラックエラー信号が生成され、コントローラ115からの指令と合わせてアクチュエータ駆動回路からの信号により対物レンズ8の位置制御が行われる。また、再生信号検出回路120により算出された再生信号がコントローラ115に送られ、コントローラ115に接続されたレンズ駆動装置駆動回路122によって再生信号を最適化するような位置にレンズ駆動装置101の可動部が移動される。その後、再生信号検出回路により、光ディスク113上に記録された情報が再生される。
【0041】
このように本発明の光ピックアップ111を搭載することによって、データの高速記録再生と高密度記録再生に適した高性能な光ディスク装置112を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第一実施例におけるレンズ駆動装置及び対物レンズ駆動装置を示す図である。
【図2】本発明の第一実施例におけるレンズ駆動装置及び対物レンズ駆動装置をレンズ光軸方向から見た平面図である。
【図3】本発明の第一実施例におけるレンズ駆動装置及び対物レンズ駆動装置をフォーカス方向から見た平面図である。
【図4】本発明の第一実施例におけるレンズ駆動装置および対物レンズ駆動装置をトラッキング方向から見た平面図である。
【図5】本発明の第一実施例におけるレンズ駆動装置をフォーカス方向から見た平面図である。
【図6】本発明の第一実施例におけるレンズ駆動装置をレンズ光軸方向から見た平面図である。
【図7】本発明の第二実施例におけるレンズ駆動装置及び対物レンズ駆動装置を表す図である。
【図8】本発明の第二実施例における課題を説明するための駆動装置と対物レンズ駆動装置の配置を示す図である。
【図9】本発明の第二実施例におけるレンズ駆動装置と対物レンズ駆動装置の配置を示す図である。
【図10】本発明のレンズ駆動装置を用いた光ピックアップを示す図である。
【図11】本発明のレンズ駆動装置を用いた光ディスク装置の信号処理の流れを示す図である。
【符号の説明】
【0043】
1 レンズ
2 ホルダ
3 第一のガイド軸
4 第二のガイド軸
5 リードスクリュ
6 モータ
7 ナット
8 対物レンズ
9a,9b 磁石
10 対物レンズ保持部材
11 ヨーク
21 第一のモーメント
22 第二のモーメント
31 第一のレーザ光
32 第二のレーザ光
101 レンズ駆動装置
102 対物レンズ駆動装置
111 光ピックアップ
112 光ディスク装置
113 光ディスク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクに略平行な方向に光軸を有するレンズと、前記レンズを保持するホルダと、前記ホルダを支持して、前記ホルダが前記レンズの光軸を法線ベクトルとする面の面内方向に変位するのを規制する第一のガイド軸と、前記ホルダが光ディスクの法線方向に変位するのを規制する第二のガイド軸と、前記ホルダを前記レンズの光軸方向に移動させるリードスクリュとを有するレンズ駆動装置を搭載した光ピックアップにおいて、
前記レンズの光軸と光ディスクとの距離、及び前記第一のガイド軸の中心軸と光ディスクとの距離、及び前記第二のガイド軸の中心軸と光ディスクとの距離は、前記リードスクリュの中心軸と光ディスクとの距離よりも大きいことを特徴とする光ピックアップ。
【請求項2】
請求項1記載の光ピックアップにおいて、
光ディスクの法線方向に投影した平面上で、第一のガイド軸の中心軸と第二のガイド軸の中心軸はレンズの光軸の中心軸とリードスクリュの中心軸との間に配置されることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項3】
請求項2記載の光ピックアップにおいて、
光ディスクの法線方向に投影した平面上で、第一のガイド軸の中心軸は第二のガイド軸の中心軸に対してリードスクリュの中心軸側に配置され、前記第二のガイド軸は前記第一のガイド軸に対してレンズの光軸の中心軸側に配置されることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項4】
対物レンズと、前記対物レンズをフォーカス方向とトラッキング方向に駆動する駆動機構を有する対物レンズ駆動装置と、請求項1から3のいずれかに記載のレンズ駆動装置とを搭載する光ピックアップにおいて、
前記対物レンズ駆動装置の一部と、レンズまたはホルダの可動範囲の一部とがフォーカス方向に投影した平面上で重なることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項5】
請求項4に記載の光ピックアップにおいて、
レンズの外径と光ディスクとの距離の最小値、及びモータの外径と光ディスクとの距離の最小値は、対物レンズ駆動装置の外形と光ディスクとの距離の最大値よりも小さいことを特徴とする光ピックアップ。
【請求項6】
光ディスクに略平行な方向に光軸を有するレンズと、前記レンズを保持するホルダと、前記ホルダを支持して、前記ホルダが前記レンズの光軸を法線ベクトルとする面の面内方向に変位するのを規制する第一のガイド軸と、前記ホルダが光ディスクの法線方向に変位するを規制する第二のガイド軸と、前記ホルダを前記レンズの光軸方向に移動させるリードスクリュとを有するレンズ駆動装置を搭載した光ピックアップにおいて、
前記対物レンズ駆動装置の一部と、レンズまたはホルダの可動範囲の一部とがフォーカス方向に投影した平面上で重なり、かつ前記リードスクリュの一部と、前記対物レンズ駆動装置の一部とがトラッキング方向に投影した平面上で重なることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項7】
請求項5または請求項6のいずれかに記載の光ピックアップにおいて、
フォーカス方向に投影した平面上で、前記レンズの光軸はトラッキング方向とフォーカシング方向の両方向に垂直な軸と平行でないことを特徴とする光ピックアップ。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の光ピックアップを搭載したことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項1】
光ディスクに略平行な方向に光軸を有するレンズと、前記レンズを保持するホルダと、前記ホルダを支持して、前記ホルダが前記レンズの光軸を法線ベクトルとする面の面内方向に変位するのを規制する第一のガイド軸と、前記ホルダが光ディスクの法線方向に変位するのを規制する第二のガイド軸と、前記ホルダを前記レンズの光軸方向に移動させるリードスクリュとを有するレンズ駆動装置を搭載した光ピックアップにおいて、
前記レンズの光軸と光ディスクとの距離、及び前記第一のガイド軸の中心軸と光ディスクとの距離、及び前記第二のガイド軸の中心軸と光ディスクとの距離は、前記リードスクリュの中心軸と光ディスクとの距離よりも大きいことを特徴とする光ピックアップ。
【請求項2】
請求項1記載の光ピックアップにおいて、
光ディスクの法線方向に投影した平面上で、第一のガイド軸の中心軸と第二のガイド軸の中心軸はレンズの光軸の中心軸とリードスクリュの中心軸との間に配置されることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項3】
請求項2記載の光ピックアップにおいて、
光ディスクの法線方向に投影した平面上で、第一のガイド軸の中心軸は第二のガイド軸の中心軸に対してリードスクリュの中心軸側に配置され、前記第二のガイド軸は前記第一のガイド軸に対してレンズの光軸の中心軸側に配置されることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項4】
対物レンズと、前記対物レンズをフォーカス方向とトラッキング方向に駆動する駆動機構を有する対物レンズ駆動装置と、請求項1から3のいずれかに記載のレンズ駆動装置とを搭載する光ピックアップにおいて、
前記対物レンズ駆動装置の一部と、レンズまたはホルダの可動範囲の一部とがフォーカス方向に投影した平面上で重なることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項5】
請求項4に記載の光ピックアップにおいて、
レンズの外径と光ディスクとの距離の最小値、及びモータの外径と光ディスクとの距離の最小値は、対物レンズ駆動装置の外形と光ディスクとの距離の最大値よりも小さいことを特徴とする光ピックアップ。
【請求項6】
光ディスクに略平行な方向に光軸を有するレンズと、前記レンズを保持するホルダと、前記ホルダを支持して、前記ホルダが前記レンズの光軸を法線ベクトルとする面の面内方向に変位するのを規制する第一のガイド軸と、前記ホルダが光ディスクの法線方向に変位するを規制する第二のガイド軸と、前記ホルダを前記レンズの光軸方向に移動させるリードスクリュとを有するレンズ駆動装置を搭載した光ピックアップにおいて、
前記対物レンズ駆動装置の一部と、レンズまたはホルダの可動範囲の一部とがフォーカス方向に投影した平面上で重なり、かつ前記リードスクリュの一部と、前記対物レンズ駆動装置の一部とがトラッキング方向に投影した平面上で重なることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項7】
請求項5または請求項6のいずれかに記載の光ピックアップにおいて、
フォーカス方向に投影した平面上で、前記レンズの光軸はトラッキング方向とフォーカシング方向の両方向に垂直な軸と平行でないことを特徴とする光ピックアップ。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の光ピックアップを搭載したことを特徴とする光ディスク装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−73226(P2010−73226A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−235853(P2008−235853)
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【出願人】(000153535)株式会社日立メディアエレクトロニクス (452)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【出願人】(000153535)株式会社日立メディアエレクトロニクス (452)
【Fターム(参考)】
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