説明

光ピックアップ装置、光ディスクドライブ装置、および加工方法

【課題】 FPCのばたつきを抑え、かつ、設計自由度を高くできる光ピックアップ装置、光ディスクドライブ装置、および加工方法を提供する。
【解決手段】 光ピックアップ部1とFPC2と係止シート3と係止相手部材とを備える光ピックアップ装置100において、FPC2を係止相手部材に係止させる係止シート3に、係止部材第1面D1と係止部材第2面D2とによる段差を形成し、基準状態のときに、係止部材第1面D1のうち第2方向B2において光ピックアップ部1に最も近接する部分と、FPCの配線基板第1面C1のうち第2方向B2において光ピックアップ部1に最も近接する部分とが、第2方向B2において同じ位置となるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ピックアップ装置、光ディスクドライブ装置、および加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクドライブ装置は、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)などの光ディスクにおける信号再生および信号記録のために、光ピックアップ装置を備えている。光ピックアップ装置は、光ピックアップ部と、該光ピックアップ部に接続されたフレキシブルプリント配線基板(以下、「FPC(Flexible Printed Circuit board)」と称する)とを含み、光ピックアップ部のシーク動作が可能な構成となっている。
【0003】
FPCは、光ピックアップ部のシーク動作に伴って移動、変形する。このとき、FPCに過剰な負荷が掛かるような望ましくない移動や変形など(以下、「FPCのばたつき」と称する)の発生を抑える必要がある。
【0004】
これに関して、特許文献1には、PET(ポリエチレンテレフタレート)シートなどの係止部材によって、FPCの端部を、底カバー板などの係止相手部材に係止させた光ピックアップ装置が記載されている。特許文献1によれば、係止部材によってFPCの端部を係止相手部材に係止させることで、FPCのばたつきを抑えることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−37686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の光ピックアップ装置では、FPCの光ピックアップ部から遠い側の面に係止部材が接着され、該係止部材のFPCが接着された面とは反対側の面に、係止相手部材が接着されている。したがって、特許文献1に記載の光ピックアップ装置では、FPCと係止部材との接続部において段差が生じる場合がある。
【0007】
FPCと係止部材との接続部に段差があると、光ピックアップ部のシーク動作のときに該段差での引っ掛かりが生じないように、FPCと係止部材との接続部を光ピックアップ部のシーク動作経路から離れた位置に設ける必要が生じ、その結果、該接続部の配置位置についての自由度が低くなってしまう。
【0008】
FPCと係止部材との接続部の配置位置についての自由度が低くなると、FPCのコネクタ部の配置の自由度や、FPCのコネクタ部と接続される回路の配置の自由度なども低くなってしまい、ひいては、光ピックアップ装置の設計自由度が低くなってしまう。光ピックアップ装置の設計自由度が低くなると、たとえば、光ディスクドライブ装置を小型化することが難しくなるなどの問題がある。
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するためのものであり、FPCのばたつきを抑え、かつ、設計自由度を高くできる光ピックアップ装置、光ディスクドライブ装置、および加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、第1方向に移動する光ピックアップ部と、
前記光ピックアップ部に一端部が接続されるフレキシブルプリント配線基板であって、前記第1方向に対して垂直な第2方向に、該フレキシブルプリント配線基板の他端部が前記光ピックアップ部から離間するように設けられるフレキシブルプリント配線基板と、
前記フレキシブルプリント配線基板の他端部における前記光ピックアップ部に対向する面である配線基板第1面とは反対側の面である配線基板第2面を係止させる係止部材であって、前記第2方向において段差が形成される係止部材と、
前記光ピックアップ部に対して前記第2方向に離間して設けられる係止相手部材であって、前記係止部材によって前記フレキシブルプリント配線基板の前記配線基板第2面が係止される係止相手部材とを備え、
前記係止部材の前記段差は、前記第1方向において前記フレキシブルプリント配線基板の前記一端部と前記他端部とが最も近接する状態のときに、前記係止部材の前記光ピックアップ部に対向する面である係止部材第1面のうち前記第2方向において前記光ピックアップ部に最も近接する部分と、前記配線基板第1面のうち前記第2方向において前記光ピックアップ部に最も近接する部分とが、前記第2方向において同じ位置となるように形成されることを特徴とする光ピックアップ装置である。
【0011】
また本発明は、前記フレキシブルプリント配線基板は、前記配線基板第1面が平面となるように設けられ、
前記係止部材は、前記係止部材第1面が前記配線基板第1面を含む仮想平面上の平面となるように設けられることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記フレキシブルプリント配線基板は、
前記仮想平面に平行な第3方向であって前記フレキシブルプリント配線基板の他端部から前記係止部材に向かう方向である第3方向において、前記配線基板第1面の該第3方向における終端である第1終端が、前記配線基板第2面の該第3方向における終端である第2終端よりも、前記係止部材側となるように設けられ、かつ、
前記第1終端から前記第2終端に向かって退避する側部が設けられることを特徴とする。
【0013】
また本発明は、前記フレキシブルプリント配線基板は、該フレキシブルプリント配線基板の前記側部における前記係止部材に対向する面が、平面となるように設けられることを特徴とする。
【0014】
また本発明は、前記光ピックアップ装置と、該光ピックアップ装置を取り囲む筐体とを備え、
前記係止相手部材は、前記筐体の一部分であることを特徴とする光ディスクドライブ装置である。
【0015】
また本発明は、前記光ピックアップ装置に用いられる係止部材の段差を形成する加工方法であって、
フレキシブルプリント配線基板の一の端部の一方側の面に、平板状の係止部材を固定する固定工程と、
フレキシブルプリント配線基板および該フレキシブルプリント配線基板に固定された係止部材を、該フレキシブルプリント配線基板の前記一方側の面とは反対側の面が下になるように、平らな載置台上に載置する載置工程と、
前記載置台上に載置された係止部材のうち、少なくともフレキシブルプリント配線基板とは重なっていない部分を、押付部材の平面部分によって、加熱しながら前記載置台に押し付ける押付工程とを有することを特徴とする加工方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、係止部材によってフレキシブルプリント配線基板(FPC)の他端部を係止相手部材に係止させることにより、光ピックアップ部のシーク動作に伴うFPCのばたつきを抑えることができる。また、本発明では、第1方向においてFPCの一端部と他端部とが最も近接する状態において、光ピックアップ部とFPCの他端部および係止部材とが離間し、かつ、係止部材の最も高い位置の部分とFPCの他端部の最も高い位置の部分とが同じ高さであるので、シーク動作に伴ってFPCが移動、変形しても、光ピックアップ部と、FPCと係止部材との接続部とが引っ掛からない。したがって、FPCと係止部材との接続部を任意の位置に配置できるので、設計自由度を高くできる。
【0017】
また本発明によれば、係止部材の係止部材第1面は、FPCの配線基板第1面を含む仮想平面上の平面となるように形成されている。これによって、第2方向において、光ピックアップ部と、FPCと係止部材との接続部とをより近接させても、引っ掛かりが生じなくなるので、光ピックアップ装置をより小型化できる。
【0018】
また本発明によれば、FPCは第1終端から第2終端に向かって退避する側部が設けられ、該側部は、好ましくは、係止部材に対向する面が平面となるように形成される。これによって、FPCと係止部材との接続部において、FPCと係止部材との間の隙間が小さくなり、光ピックアップ部が引っ掛かる可能性をより小さくできる。
【0019】
また本発明によれば、上記光ピックアップ装置を備えることにより、FPCのばたつきを抑え、かつ、設計自由度を高くできる光ディスクドライブ装置を提供できる。
【0020】
また本発明によれば、固定工程、載置工程、および押付工程という簡単な工程で、本発明に係る係止部材の段差を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】光ディスクドライブ装置200を示す模式図である。
【図2】シーク動作に伴うFPC2の移動および変形の様子を示す図である。
【図3】係止シート3について説明するための図である。
【図4】光ディスクドライブ装置300について説明するための図である。
【図5】加工方法を説明するための図である。
【図6】押付工程のより好ましい形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の実施形態である光ピックアップ装置100を備える光ディスクドライブ装置200について説明する。図1は、後述する底板7から後述する光ピックアップ部1に向かう方向において見たときの光ディスクドライブ装置200を示す模式図である。光ディスクドライブ装置200は、光ピックアップ部1、フレキシブルプリント配線基板(以下、「FPC(Flexible Printed Circuit board)」と称する)2、係止シート3、駆動部4、主軸5、副軸6、および底板7を含む。光ディスクドライブ装置200は、光ディスクに対して情報の記録または再生を行う装置である。
【0023】
光ディスクドライブ装置200の一部である光ピックアップ装置100は、光ピックアップ部1と、一端部2cが光ピックアップ部1に接続されるFPC2と、段差を有する係止シート3と、係止シート3を介してFPC2の他端部2aが係止される部材である係止相手部材とを含む。本実施形態では、係止相手部材は底板7である。本発明の他の実施形態として、係止部材は、たとえば、FPC2に接続される図示しない回路基板であってもよい。
【0024】
底板7は、光ピックアップ装置100を取り囲む筐体の一部であり、矩形平板状の部材である。底板7は、その主面に垂直な方向において光ピックアップ部1から離間するように設けられる。駆動部4は、光ディスクを回転させるためのスピンドルモータ4aを含む。駆動部4には、主軸5および副軸6が固定される。主軸5および副軸6は、底板7の長手方向である第1方向B1に延びるように設けられる。また、主軸5および副軸6は、底板7の主面に対して平行に延びるように設けられる。
【0025】
光ピックアップ部1は、対物レンズ1a、ならびに、図示しない受光素子、発光素子、およびアクチュエータを含む。対物レンズ1aは、その焦点が光ディスクの記録面上となるように設けられる。発光素子は、対物レンズ1aを経由して、光ディスクの記録面に所定の波長の光を照射する。受光素子は、光ディスクの記録面で反射され、対物レンズ1aを経由した光を受けて、その光量を検出する。アクチュエータは、光ピックアップ部1のシーク動作を可能にする。シーク動作とは、対物レンズ1aが光ディスクの所定の位置に対向するように、主軸5および副軸6に沿って、光ピックアップ部1全体を第1方向B1に移動させる動作である。このシーク動作において、光ピックアップ部1は、光ディスクの半径方向に移動することになる。
【0026】
FPC2は、電気信号の伝送のための配線板であり、可撓性を有している。FPC2は、たとえば、ポリイミドなどの樹脂材料からなるフィルム上に、電子回路を構成する銅箔が接着されて形成される。FPC2の一端部2cは、光ピックアップ部1に電気的に接続される。また、FPC2は、その他端部2a側にコネクタ部2bを有しており、コネクタ部2bには、図示しない回路基板が電気的に接続される。回路基板には、光ピックアップ部1との間で記録信号および再生信号を入出力する信号処理回路などの各種制御回路が搭載される。
【0027】
FPC2は、底板7の主面および第1方向B1に垂直な方向である第2方向B2に離れた位置から見たときに、その一部が折り重なるように変形した状態で、光ピックアップ部1および図示しない回路基板に接続されている。たとえば、FPC2は、図1に示すように、一端部2cの幅が狭く、かつ、他端部2aの幅が広く形成されるL字状のFPCであり、第1方向B1のうちの一方向に向けて一端部2cから延在し、底板7側に折り返し、そして、第1方向B1のうちの他方向に向けて延在するように設けられている。したがって、FPC2の他端部2aは、第2方向B2において、FPC2の一端部2cおよび光ピックアップ部1よりも、底板7側になる。
【0028】
なお、本実施形態ではFPC2はL字状であるけれども、FPC2の形状、大きさ、色などは、適宜変更可能である。たとえば、FPC2がL字状ではなく、J字状であってもよい。
【0029】
このようなFPC2は、光ピックアップ部1のシーク動作に伴って、移動、変形する。図2は、シーク動作に伴うFPC2の移動および変形の様子を示す図である。図2(a)は、図1のA−Aを切断面線とする光ディスクドライブ装置200の断面図である。なお、図2(a)において、光ピックアップ部1および駆動部4は、切断せずに示している。図2(a)に示す状態は、光ピックアップ部1が駆動部4に最も近接している状態であるとともに、第1方向B1において、FPC2の一端部2cと他端部2aとが最も近接している状態である。
【0030】
図2(b)は、光ピックアップ部1が駆動部4から最も離間している状態を示している。光ピックアップ部1は、シーク動作において、図2(a)に示す位置から、図2(b)に示す位置まで、任意の位置に移動することができる。
【0031】
このように構成される光ディスクドライブ装置200では、駆動部4のスピンドルモータ4aにより光ディスクが回転するとともに、光ピックアップ部1のシーク動作が行われる。シーク動作によって所定の位置に移動した光ピックアップ部1は、対物レンズ1aを介して、発光素子および受光素子により、情報の記録または再生を行う。
【0032】
上述したように、FPC2は、光ピックアップ部1のシーク動作に伴って、移動、変形する。本発明では、光ピックアップ部1のシーク動作のときに、FPC2のばたつきが生じないように、係止シート3によって、FPC2の他端部2aを底板7に係止させている。
【0033】
図3は、係止シート3について説明するための図であり、図2(a)の一部を拡大して示す図である。係止シート3は、FPC2よりも柔らかい樹脂材料、たとえば、PETなどから形成されるシートである。係止シート3は、その一部が、合成樹脂などの接着剤9によって、FPC2の他端部2aにおける底板7側の面である配線基板第2面C2に固定される。配線基板第2面C2は、FPC2の他端部2aにおける光ピックアップ部1に対向する面である配線基板第1面C1とは反対側の面である。また、係止シート3において、FPC2が固定される面を、係止部材第2面D2と称する。
【0034】
また、係止シート3は、第1方向B1のうちFPC2の他端部2aから係止シート3に向かう方向の下流側の端部において、係止シート3の光ピックアップ部1に対向する面である係止部材第1面D1とは反対側の面が、合成樹脂などの接着剤8によって、底板7に固定される。
【0035】
係止シート3は、第2方向B2における段差が形成されたシートである。係止シート3の段差は、第1方向B1においてFPC2の一端部2cと他端部2aとが最も近接する状態(以下、「基準状態」と称する)のとき、たとえば、図2(a)に示す状態のときに、係止シート3の係止部材第1面D1のうち第2方向B2において光ピックアップ部1に最も近接する部分と、FPC2の配線基板第1面C1のうち第2方向B2において光ピックアップ部1に最も近接する部分とが、第2方向B2において同じ位置となるように形成される。すなわち、第2方向B2を、底板7を最下方とする高さ方向としたとき、係止シート3の最も高い位置の部分と、FPC2の他端部2aの最も高い位置の部分とは、同じ高さとなる。
【0036】
係止シート3には、上記のように、係止部材第1面D1と係止部材第2面D2とによる段差が形成されている。そして、係止部材第1面D1と係止部材第2面D2とは、係止シート3の傾斜部3aの傾斜面D3によって、接続されている。
【0037】
さらに本実施形態では、FPC2の配線基板第1面C1および係止シート3の係止部材第1面D1は、底板7に平行な平面となっている。したがって、係止シート3の係止部材第1面D1は、FPC2の配線基板第1面C1を含む仮想平面K1上の平面となるように形成されている。
【0038】
このような係止シート3によってFPC2の他端部2aを底板7に係止させることにより、FPC2のばたつきが抑えられ、FPC2および周辺の部品の損傷を防ぐことができる。これによって、光ディスクドライブ装置200の安定な動作を確保することができる。
【0039】
また、光ディスクドライブ装置200は、上記基準状態において、光ピックアップ部1とFPC2の他端部2aおよび係止シート3とが離間し、かつ、係止シート3の最も高い位置の部分とFPC2の他端部2aの最も高い位置の部分とが同じ高さであるので、シーク動作に伴ってFPC2が移動、変形しても、光ピックアップ部1と、FPC2と係止シート3との接続部とが引っ掛からない。したがって、FPC2と係止シート3との接続部を任意の位置に配置できるので、設計自由度の高い光ディスクドライブ装置200を提供できる。
【0040】
さらに、本実施形態では、係止シート3は、材料および厚さを適宜選択することで、FPC2よりも柔らかくなるように形成される。これによって、図2(b)に示すように、光ピックアップ部1が駆動部4から離間する方向に移動するとき、係止シート3は段差が小さくなるような変形をして、FPC2に係る負荷を減少させることができる。
【0041】
また、本実施形態では、係止シート3の係止部材第1面D1は、FPC2の配線基板第1面C1を含む仮想平面K1上の平面となるように形成されている。これによって、第2方向において、光ピックアップ部1と、FPC2と係止シート3との接続部とをより近接させても、引っ掛かりが生じなくなるので、光ディスクドライブ装置200をより小型化できる。また、光ピックアップ部1のシーク動作のときに予期しないような振動などがあっても、引っ掛かることがない。
【0042】
次に、本発明の他の実施形態である光ディスクドライブ装置300について説明する。図4は、光ディスクドライブ装置300について説明するための図である。光ディスクドライブ装置300は、FPC2に代えてFPC32が用いられること以外は、光ディスクドライブ装置200と同一の構成であるので、FPC32以外の部材の説明は省略する。また、FPC32は、係止シート3によって底板7に係止される他端部32aの形状がFPC2の他端部2aの形状と異なること以外は、FPC2と同一の構成であるので、他端部32a以外の部分の説明は省略する。
【0043】
FPC32は、他端部32aにおいて光ピックアップ部1に対向する面である配線基板第1面E1が、底板7の主面に平行な平面となるように設けられている。そして、FPC32は、配線基板第1面E1を含む仮想平面K2上に、係止シート3の係止部材第1面D1があるように設けられている。
【0044】
また、FPC32は、第3方向B3において、第1終端F1が第2終端F2よりも係止シート3側となるように設けられ、かつ、第1終端F1から第2終端F2に向かって退避する側部32dが形成される。ここで、第3方向B3は、仮想平面K2に平行な方向であって、FPC32の他端部32aから係止シート3に向かう方向である。また、第1終端F1は、FPC32の配線基板第1面E1の第3方向B3における終端である。また、第2終端F2は、FPC32の配線基板第1面E1とは反対側の面である配線基板第2面E2の、第3方向B3における終端である。
【0045】
FPC32が上記のように構成されるとき、FPC32の側部32dと係止シート3の傾斜部3aとが近接する。これによって、FPC32と係止シート3との接続部において、FPC32と係止シート3との間の隙間が小さくなる。その結果、FPC32と係止シート3との間の隙間に予期しない異物が挟まる可能性が小さくなるので、光ピックアップ部1が異物に引っ掛かる可能性を小さくできる。
【0046】
さらに本実施形態では、FPC32の側部32dにおける係止シート3に対向する面が平面となっている。そして、この側部32dの平面部分が、係止シート3の傾斜部3aの傾斜面D3と重なっている。これによって、FPC32と係止シート3との間の隙間がより小さくなり、異物が挟まる可能性をより小さくできる。なお、FPC32の側部32dにおける係止シート3に対向する面が、平面ではなく、たとえば、階段状であったとしても、FPC32と係止シート3との間の隙間を小さくする効果は発揮される。
【0047】
次に、光ディスクドライブ装置200,300における係止シート3の段差を形成する加工方法について説明する。図5は、加工方法を説明するための図である。本発明に係る加工方法は、図5(a)に示す固定工程と、図5(b)に示す載置工程と、図5(c)に示す押付工程とを含む。
【0048】
固定工程は、FPC10の一の端部10aの一方側の面10bに、平板状のPETシート20を、合成樹脂などの接着剤によって固定する工程である。FPC10は、光ディスクドライブ装置200,300におけるFPC2,32に用いられるFPCであり、該FPC10の他の端部には、光ピックアップ部1が接続される。また、PETシート20は、光ディスクドライブ装置200,300における係止シート3に用いられる。
【0049】
載置工程は、FPC10およびFPC10に固定されたPETシート20を、FPC10の端部10aにおける一方側の面10bとは反対側の面10cが下になるように、平らな載置台30上に載置する工程である。載置台30は、支持部30bの上にクッション部30aが形成されたものであり、クッション部30aの表面は平らに形成されている。
【0050】
押付工程は、載置台30のクッション部30a上に載置されたPETシート20のうち、少なくともFPC10とは重なっていない部分20bを、押付部材40の平面部分40aによって、加熱しながら載置台30に押し付ける工程である。押し付けのときには、FPC10は図示しない固定部材によって動かないように固定され、PETシート20の押し付けられる部分20bは160℃程度に加熱される。押付部材40の平面部分40aは、200℃程度の温度に耐えることができ、熱伝導率の高い材料から形成されていれば、大きさ、色などは適宜選択できる。
【0051】
このような固定工程、載置工程、および押付工程によって、FPC10の端部10aの面10cと、PETシート20の一部分20bにおける押付部材40が当接した面とは反対側の面20aとが同じ高さの平面となるように、PETシート20に段差が形成される。PETシート20の面20aは、光ディスクドライブ装置200,300において、係止部材第1面D1となる。段差が形成されたPETシート20を用いることで、容易に、本発明に係る光ディスクドライブ装置200,300を製造できる。
【0052】
上記押付工程では、載置台30のクッション部30a上に載置されたPETシート20のうち、FPC10と重なっている部分の少なくとも一部を載置台30に押し付けることが好ましい。図6は、押付工程のより好ましい形態を示す図である。図6(a)は、押し付ける前の状態を示しており、図6(b)は押し付けている状態を示している。図6に示す押付工程では、載置台30のクッション部30a上に載置されたPETシート20のうち、FPC10とは重なっていない部分20bを載置台30に押し付けるとともに、FPC10と重なっている部分20cの一部を載置台30に押し付けている。これによって、PETシート20においてFPC10と重なっている部分20dが、図6の紙面に向かって左右方向に伸び、その結果、FPC10とPETシート20との該左右方向における隙間が小さくなる。したがって、左右方向において、PETシート20におけるFPC10の端部10aの面10cと同じ高さの面20aを、FPC10により近接させて形成することができる。このような図6に示す押付工程を含む加工方法では、上記固定工程において、FPC20よりも厚さが大きいPETシート20が用いられる。
【0053】
なお、上記加工方法では、係止シート3の材料としてPETシート20を用いたけれども、PETシート20以外を用いてもよい。また、載置台30は、押付工程において伝わる熱に耐えうる材料から形成されていれば、大きさ、色などは適宜選択できる。
【符号の説明】
【0054】
1 光ピックアップ部
2,10,32 フレキシブルプリント配線基板(FPC)
3 係止シート
4 駆動部
5 主軸
6 副軸
7 底板
20 PETシート
30 載置台
40 押付部材
100 光ピックアップ装置
200,300 光ディスクドライブ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に移動する光ピックアップ部と、
前記光ピックアップ部に一端部が接続されるフレキシブルプリント配線基板であって、前記第1方向に対して垂直な第2方向に、該フレキシブルプリント配線基板の他端部が前記光ピックアップ部から離間するように設けられるフレキシブルプリント配線基板と、
前記フレキシブルプリント配線基板の他端部における前記光ピックアップ部に対向する面である配線基板第1面とは反対側の面である配線基板第2面を係止させる係止部材であって、前記第2方向において段差が形成される係止部材と、
前記光ピックアップ部に対して前記第2方向に離間して設けられる係止相手部材であって、前記係止部材によって前記フレキシブルプリント配線基板の前記配線基板第2面が係止される係止相手部材とを備え、
前記係止部材の前記段差は、前記第1方向において前記フレキシブルプリント配線基板の前記一端部と前記他端部とが最も近接する状態のときに、前記係止部材の前記光ピックアップ部に対向する面である係止部材第1面のうち前記第2方向において前記光ピックアップ部に最も近接する部分と、前記配線基板第1面のうち前記第2方向において前記光ピックアップ部に最も近接する部分とが、前記第2方向において同じ位置となるように形成されることを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項2】
前記フレキシブルプリント配線基板は、前記配線基板第1面が平面となるように設けられ、
前記係止部材は、前記係止部材第1面が前記配線基板第1面を含む仮想平面上の平面となるように設けられることを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。
【請求項3】
前記フレキシブルプリント配線基板は、
前記仮想平面に平行な第3方向であって前記フレキシブルプリント配線基板の他端部から前記係止部材に向かう方向である第3方向において、前記配線基板第1面の該第3方向における終端である第1終端が、前記配線基板第2面の該第3方向における終端である第2終端よりも、前記係止部材側となるように設けられ、かつ、
前記第1終端から前記第2終端に向かって退避する側部が設けられることを特徴とする請求項2に記載の光ピックアップ装置。
【請求項4】
前記フレキシブルプリント配線基板は、該フレキシブルプリント配線基板の前記側部における前記係止部材に対向する面が、平面となるように設けられることを特徴とする請求項3に記載の光ピックアップ装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置と、該光ピックアップ装置を取り囲む筐体とを備え、
前記係止相手部材は、前記筐体の一部分であることを特徴とする光ディスクドライブ装置。
【請求項6】
請求項1に記載の光ピックアップ装置に用いられる係止部材の段差を形成する加工方法であって、
フレキシブルプリント配線基板の一の端部の一方側の面に、平板状の係止部材を固定する固定工程と、
フレキシブルプリント配線基板および該フレキシブルプリント配線基板に固定された係止部材を、該フレキシブルプリント配線基板の前記一方側の面とは反対側の面が下になるように、平らな載置台上に載置する載置工程と、
前記載置台上に載置された係止部材のうち、少なくともフレキシブルプリント配線基板とは重なっていない部分を、押付部材の平面部分によって、加熱しながら前記載置台に押し付ける押付工程とを有することを特徴とする加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−3829(P2012−3829A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140958(P2010−140958)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】