説明

光ピックアップ装置

【課題】 不要光の光検出器への入射を防ぐことができ、正確な信号を検出することができる光ピックアップ装置を提供する。
【解決手段】 光源21と対物レンズ16との間の光経路上に、不要光A1,A2が通過する予め定める光経路を、前記光経路とは異なる光経路へ変換する光経路変換手段12が設けられる。光経路変換手段12は、光源21から出射されるレーザ光を通過させる開口部31が形成される板体32を備え、板体32のうち開口部31の開口壁33は、レーザ光が出射される方向に向かうにつれて光源21の光軸L1に近づくように傾斜するテーパ形状に形成されるテーパ部35を含む。光源21から出射されたレーザ光のうち不要光A1,A2は、テーパ部35によって反射され、不要光A1,A2が通過する予め定める光経路が、前記光経路とは異なる光経路へ変換される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光記録媒体に記録されている情報を読取る処理、および光記録媒体に情報を記録する処理の少なくともいずれか一方の処理をするときに好適に用いられる光ピックアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図6は、従来技術の光ピックアップ装置1の構成を示す図である。光ピックアップ装置1は、光源2、ビーム分割用回折格子3、ホログラム回折格子4、開口制限手段5、コリメートレンズ6、対物レンズ7および光検出器8を含んで構成される。光源2から出射されたレーザ光は、ビーム分割用回折格子3、ホログラム回折格子4および開口制限手段5を通過した後、コリメートレンズ6および対物レンズ7を通過して光ディスク状記録媒体(以下「光記録媒体」という)9の情報記録面に集光する。光記録媒体9の情報記録面で反射したレーザ光は、対物レンズ7、コリメートレンズ6および開口制限手段5を通過した後、ホログラム回折格子4によって回折されて光検出器8に入射し、信号が読取られる。
【0003】
光ピックアップ装置1では、開口制限手段5を設けることによって、光源2から出射されたレーザ光がコリメートレンズ6などの光学部品によって反射される反射光、ならびに光源2から出射されたレーザ光のうち、光記録媒体9の情報記録面に集光されないレーザ光が光検出器8に入射することを防ぐように構成されている。このような光ピックアップ装置1に類似する技術は、たとえば特許文献1,2に示されている。
【0004】
特許文献1の光ヘッド装置は、回折素子に開口制限手段を設けることによって、光源から出射された光ビームが集光光学系に達する前に回折素子に入射することによって生じる往路の回折光の発生量を低減するとともに、前記往路の回折光が光記録媒体で反射されて受光素子に入射することを防止するように構成される。
【0005】
特許文献2の光ピックアップは、たとえば2つの波長の異なるレーザビームの分離手段とレーザ/検出器集積ユニットとの間に開口制限手段を設けることによって、受光素子へ入射するフレアを除去するように構成される。
【0006】
前述の光ピックアップ装置1、特許文献1の光ヘッド装置および特許文献2の光ピックアップでは、開口制限手段を設けることによって、光源から出射されたレーザ光が開口制限手段の光源に臨む表面で反射される反射光が新たに発生し、この新たに発生した反射光が光検出器または受光素子に入射してノイズとして作用し、正確な信号を検出することができないという問題がある。この問題を解決するための技術は、たとえば特許文献3,4に示されている。
【0007】
特許文献3の光ピックアップ装置は、光検出器以外の方向へ不要光を導く曲面形状の不要光案内面が形成される遮光アパーチャを設けることによって、不要光を光検出器以外の方向へ導き、不要光が光検出器に入射することを防止するように構成される。
【0008】
特許文献4の光学ヘッドは、受発光一体素子を含む光学部品を設置する光学基台上で、受発光一体素子からの出射光路中に位置して、必要光束径と略等しい開口を有し、必要光束径以外の光を遮光する板金、ガラスまたは樹脂の透明薄板で構成されるアパーチャを備えることによって、光検出器の信号検出受光領域周辺の迷光を抑制あるいは阻止するように構成される。また受発光一体素子に、光入出射面に必要光束のみを透過させる開口域を設け、さらに前記開口域以外の領域に対して、反射防止膜の追加、梨地処理などの種々の反射防止、散乱反射または光吸収機能を設けることによって、前記信号検出受光領域周辺の迷光をより一層軽減するように構成される。
【0009】
【特許文献1】特開平10−208294号公報
【特許文献2】特開平11−344666号公報
【特許文献3】特開2005−216458号公報
【特許文献4】特開平11−25496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献3の光ピックアップ装置では、不要光案内面が形成される遮光アパーチャを設けることによって、不要光を光検出器以外の方向へ導くように構成されているけれども、対物レンズの有効径外でかつ比較的光強度が高い部分のレーザ光が、ホログラム回折格子および光検出器に入射することを防ぐことは困難であり、光記録媒体で反射された前記レーザ光が一旦ホログラム回折格子に入射すると、前記レーザ光は光検出器へ入射しやすくなる。これによって正確な信号を検出することができないという問題がある。
【0011】
また特許文献3の光ピックアップ装置では、開口制限手段と光源との位置決めを高精度に行う必要があるので、光ピックアップ装置の組立調整が困難である。したがって光ピックアップ装置の生産性を向上することが困難であるとともに、製造コストが増大するという問題がある。
【0012】
また特許文献4の光学ヘッドのように、受発光一体素子の開口域以外の領域に、反射防止膜の追加、梨地処理などの種々の反射防止、散乱反射または光吸収機能を設けた場合、反射光を低減することはできるけれども、完全に反射を抑制することはできないので、反射光が光検出器に入射し、正確な信号を検出することができないという問題がある。
【0013】
本発明の目的は、不要光の光検出器への入射を防ぐことができ、正確な信号を検出することができる光ピックアップ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、予め定める波長帯域のレーザ光を出射する光源を備え、光源から出射されたレーザ光を光記録媒体に照射することによって、光記録媒体に記録された情報を読取る処理および光記録媒体に情報を記録する処理の少なくともいずれか一方の処理を行う光ピックアップ装置であって、
光源から出射されたレーザ光を光記録媒体に集光させる集光手段と、
光源から出射され、光記録媒体で反射されたレーザ光を検出する光検出手段と、
光源と集光手段との間の光経路上に設けられ、光源から出射されたレーザ光のうち、光記録媒体に対する情報の読取りまたは記録に供されるべきレーザ光以外の不要光が通過する予め定める光経路を、前記光経路とは異なる光経路へ変換する光経路変換手段とを備え、
光経路変換手段は、光源から出射されるレーザ光を通過させる開口部が形成される板体を備え、
前記板体のうち開口部の開口壁は、レーザ光が出射される方向に向かうにつれて光源の光軸に近づくように傾斜するテーパ形状に形成されるテーパ部を含むことを特徴とする光ピックアップ装置である。
【0015】
また本発明は、板体のうち、テーパ部を光軸に垂直な仮想一平面で切断した部分が最小となる部分の寸法は、光源から出射されて開口壁に到達されたレーザ光を光軸に垂直な仮想一平面で切断した寸法よりも小さく形成されることを特徴とする。
【0016】
また本発明は、板体のうち、テーパ部を光軸に垂直な仮想一平面で切断した部分が最大となる部分の寸法は、光源から出射されたレーザ光を光軸に垂直でかつ前記最大となる部分を含む仮想一平面で切断した寸法よりも大きく形成されることを特徴とする。
【0017】
また本発明は、開口壁は、テーパ部を光軸に垂直な仮想一平面で切断した部分が最小となる部分に臨む空間へ前記不要光を反射する機能を有することを特徴とする。
【0018】
また本発明は、波長帯域が異なるレーザ光を出射する2つ以上の光源を備えることを特徴とする。
【0019】
また本発明は、板体は、樹脂材料から成ることを特徴とする。
また本発明は、光源、および光源から出射されたレーザ光を回折する回折手段を含むレーザユニットと、
光ピックアップ装置本体の筐体とをさらに含み、
光経路変換手段は、レーザユニットまたは筐体と一体に構成されることを特徴とする。
【0020】
また本発明は、板体のうち、テーパ部を光軸に垂直な仮想一平面で切断した部分が最大となる部分の断面形状は、円形状、楕円形状および長孔形状のいずれか一つであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、光源と集光手段との間の光経路上には、光源から出射されたレーザ光のうち、光記録媒体に対する情報の読取りまたは記録の処理に供されるべきレーザ光以外の不要光が通過する予め定める光経路を、前記光経路とは異なる光経路へ変換する光経路変換手段が設けられる。光経路変換手段は、光源から出射されるレーザ光を通過させる開口部が形成される板体を備えている。板体のうち開口部の開口壁は、レーザ光が出射される方向に向かうにつれて光源の光軸に近づくように傾斜するテーパ形状に形成されるテーパ部を含む。
【0022】
したがって光源から出射され、光記録媒体に対する情報の読取りまたは記録の処理に供されるべきレーザ光以外の不要光は、光経路変換手段、具体的には板体のうち開口部の開口壁のテーパ部によって反射されて、不要光が通過する予め定める光経路が、前記光経路とは異なる光経路へ変換される。これによって不要光が、たとえば光記録媒体で反射されて、光検出手段に入射することを防止することができる。したがって光記録媒体で反射されたレーザ光を検出する光検出手段の検出結果に基づいて、正確な信号、たとえばフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号および情報信号を検出することができる。これによって光記録媒体に記録されている情報を正確に読取ることができ、また光記録媒体に情報を正確に記録することができる。
【0023】
また本発明によれば、板体のうち、テーパ部を光軸に垂直な仮想一平面で切断した部分が最小となる部分の寸法は、光源から出射されて開口壁に到達されたレーザ光を光軸に垂直な仮想一平面で切断した寸法よりも小さく形成される。これによって光源から出射されたレーザ光のうち、光記録媒体に対する情報の読取りまたは記録の処理に供されるべきレーザ光は板体の開口部をそのまま通過させ、前記レーザ光以外の不要光のみを、開口部の開口壁のテーパ部で反射させて、前記不要光が通過する予め定める光経路を、前記光経路とは異なる光経路へ確実に変換することができる。
【0024】
これによって不要光が、たとえば光記録媒体で反射されて、光検出手段に入射することを防止することができる。したがって光記録媒体で反射されたレーザ光を検出する光検出手段の検出結果に基づいて、正確な信号、たとえばフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号および情報信号を検出することができる。これによって光記録媒体に記録されている情報を正確に読取ることができ、また光記録媒体に情報を正確に記録することができる。
【0025】
また本発明によれば、板体のうち、テーパ部を光軸に垂直な仮想一平面で切断した部分が最大となる部分の寸法は、光源から出射されたレーザ光を光軸に垂直でかつ前記最大となる部分を含む仮想一平面で切断した寸法よりも大きく形成される。これによって光源から出射された全てのレーザ光を、板体の開口部に案内させることができ、光源から出射されたレーザ光のうち、光記録媒体に対する情報の読取りまたは記録の処理に供されるべきレーザ光は板体の開口部をそのまま通過させ、前記レーザ光以外の不要光のみを、開口部の開口壁のテーパ部で反射させて、前記不要光が通過する予め定める光経路を、前記光経路とは異なる光経路へ確実に変換することができる。
【0026】
これによって不要光が、たとえば光記録媒体で反射されて、光検出手段に入射することを防止することができる。したがって光記録媒体で反射されたレーザ光を検出する光検出手段の検出結果に基づいて、正確な信号、たとえばフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号および情報信号を検出することができる。これによって光記録媒体に記録されている情報を正確に読取ることができ、また光記録媒体に情報を正確に記録することができる。
【0027】
また本発明によれば、開口壁は、テーパ部を光軸に垂直な仮想一平面で切断した部分が最小となる部分に臨む空間へ、光源から出射されたレーザ光のうち、光記録媒体に対する情報の読取りまたは記録の処理に供されるべきレーザ光以外の不要光を反射する機能を有する。したがって光源から出射されたレーザ光のうち前記不要光は、板体の開口壁のテーパ部によって、前記テーパ部を光軸に垂直な仮想一平面で切断した部分が最小となる部分に臨む空間へ反射される。
【0028】
これによって不要光が、たとえば光記録媒体で反射されて、光検出手段に入射することを確実に防止することができる。したがって光記録媒体で反射されたレーザ光を検出する光検出手段の検出結果に基づいて、さらに正確な信号、たとえばフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号および情報信号を検出することができる。これによって光記録媒体に記録されている情報をさらに正確に読取ることができ、また光記録媒体に情報をさらに正確に記録することができる。
【0029】
また本発明によれば、波長帯域が異なるレーザ光を出射する2つ以上の光源が備えられる。2つ以上の光源が備えられる場合でも、各光源からそれぞれ出射されたレーザ光のうち、光記録媒体に対する情報の読取りまたは記録の処理に供されるべきレーザ光は板体の開口部をそのまま通過させ、前記レーザ光以外の不要光のみを、開口部の開口壁のテーパ部で反射させて、前記不要光が通過する予め定める光経路を、前記光経路とは異なる光経路へ確実に変換することができる。
【0030】
これによって各光源から出射されたレーザ光のうち不要光が、たとえば光記録媒体で反射されて、光検出手段に入射することを防止することができる。したがって各光源から出射され、光記録媒体で反射されたレーザ光を検出する光検出手段の検出結果に基づいて、正確な信号、たとえばフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号および情報信号を検出することができる。これによって光記録媒体に記録されている情報を正確に読取ることができ、また光記録媒体に情報を正確に記録することができる。
【0031】
また本発明によれば、板体は、樹脂材料によって実現することができる。したがって板体を金属材料によって実現する場合に比べて、光ピックアップ装置の軽量化を図ることができるとともに、光ピックアップ装置の製造コストの低減化を図ることができる。
【0032】
また本発明によれば、光経路変換手段は、光源、および光源から出射されたレーザ光を回折する回折手段を含むレーザユニット、または光ピックアップ装置本体の筐体と一体に構成される。これによって、光ピックアップ装置の製造時における光学部品の部品点数および組立て工程数が削減されるとともに、光軸調整などの光学的調整作業および組立作業も簡素化され、光ピックアップ装置の生産性を向上することができる。また光学部品の部品点数を削減することによって、光ピックアップ装置の小形化および軽量化を図ることができるとともに、光ピックアップ装置の製造コストを低減することができる。
【0033】
また集光手段に対する光源の位置などの調整を行った後でも、各光源から出射され、光記録媒体で反射されたレーザ光を検出する光検出手段の検出結果に基づいて、正確な信号、たとえばフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号および情報信号を検出することができる。これによって光記録媒体に記録されている情報を正確に読取ることができ、また光記録媒体に情報を正確に記録することができる。
【0034】
また本発明によれば、板体のうち、テーパ部を光軸に垂直な仮想一平面で切断した部分が最大となる部分の断面形状は、円形状、楕円形状および長孔形状のいずれか一つによって実現することができる。したがって前記断面形状を、光源から出射されるレーザ光の放射角に応じて、円形状、楕円形状および長孔形状のいずれかの形状にすることによって、光源から出射されたレーザ光のうち不要光のみを、開口部の開口壁のテーパ部で反射させて、前記不要光が通過する予め定める光経路を、前記光経路とは異なる光経路へ確実に変換させることができる。
【0035】
これによって各光源から出射されたレーザ光のうち不要光が、たとえば光記録媒体で反射されて、光検出手段に入射することを防止することができ、光記録媒体で反射されたレーザ光を検出する光検出手段の検出結果に基づいて、正確な信号、たとえばフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号および情報信号を検出することができる。これによって光記録媒体に記録されている情報を正確に読取ることができ、また光記録媒体に情報を正確に記録することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下に、本発明を実施するための複数の形態について説明する。以下の説明において、先行して説明している事項に対応する部分については同一の参照符を付し、重複する説明を省略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している部分と同様とする。
【0037】
図1は、本発明の実施の一形態である光ピックアップ装置10の構成を示す図である。図2は、光経路変換手段12を拡大して示す断面図である。光ピックアップ装置10は、コンパクトディスク(Compact Disk;略称:CD)およびディジタルバーサタイルディスク(Digital Versatile Disk;略称:DVD)などの光ディスク状記録媒体(以下、単に「光記録媒体」という)28に対してレーザ光を照射することによって、光記録媒体28に記録されている情報を読取る処理および光記録媒体28に情報を記録する処理の少なくともいずれか一方の処理をする。光記録媒体28は、たとえばCD、CD−R(Compact
Disk-Recordable)、CD−RW(Compact Disk-Rewritable)、DVD、DVD−R(
Digital Versatile Disk-Recordable)およびDVD−RAM(Digital Versatile
Disk-Random Access Memory)である。
【0038】
光ピックアップ装置10は、レーザユニット11、光経路変換手段12、プリズム13、コリメートレンズ14、1/4波長板15、対物レンズ16および光検出器17を含んで構成される。レーザユニット11は、光源21、ステム22、リード電極23、キャップ24および光学基板25を含む。光学基板25は、ビーム分割用回折格子26を含む。
【0039】
光源21は、たとえば半導体レーザ素子によって実現される。CD−RおよびCD−R/RWなどの光記録媒体28に記録されている情報の読取りまたは前記光記録媒体28に対する情報の記録を行うときには、光源21として、予め定める波長帯域がたとえば780nmの赤外波長のレーザ光を出射する半導体レーザ素子(以下「CD用半導体レーザ素子」という場合がある)が用いられる。またDVD−RおよびDVD−RAMなどの光記録媒体28に記録されている情報の読取りまたは前記光記録媒体28に対する情報の記録を行うときには、光源21として、予め定める波長帯域がたとえば650nmの赤色波長のレーザ光を出射する半導体レーザ素子(以下「DVD用半導体レーザ素子」という場合がある)が用いられる。ここで光源21の光軸L1方向に平行な方向をX軸方向とし、図1および図2では、X軸方向を「X」と表記する。
【0040】
光源21は、板状に形成されるステム22の厚み方向の一表面部、換言すればステム22のX軸方向一方側の表面部に設けられる不図示のヒートシンクの厚み方向の一表面部に配設される。リード電極23は、ステム22の厚み方向の他表面部、換言すればステム22のX軸方向他方側の表面部から、ステム22の厚み方向他方であるX軸方向他方に突出して設けられ、光源21と電気的に接続される。このリード電極23を介して光源21に駆動電圧および駆動電流が供給され、光源21から予め定める波長帯域のレーザ光が出射される。
【0041】
キャップ24は、光源21と外部との物理的接触を避けるために光源21を封止する封止部材であり、ステム22の厚み方向の一表面部、換言すればステム22のX軸方向一方側の表面部に装着される。これによって光源21は、ステム22およびキャップ24によって密封される。キャップ24の前記光軸L1に垂直な一表面部には、直方体状に形成される光学基板25が載置される。光学基板25の厚み方向の他表面部、換言すれば光学基板25のX軸方向他方側の表面部には、ビーム分割用回折格子26が形成される。ビーム分割用回折格子26は、入射されるレーザ光を、回折させることによって1つのメインビームである透過光(以下「0次光」という場合がある)と、2つのサブビームである±1次回折光とに分割する。
【0042】
光経路変換手段12は、光源21を備えるレーザユニット11と、後述する対物レンズ16との間の光経路上、さらに詳細に述べるとレーザユニット11と、後述するプリズム13との間の光経路上に配設される。光経路変換手段12は、光源21から出射されたレーザ光のうち、不要光が通過する予め定める光経路を、前記光経路とは異なる光経路へ変換する手段である。ここで、不要光とは、対物レンズ16に有効に入射するレーザ光の直径寸法を表す有効径の半径方向外周側のレーザ光(以下「有効径外のレーザ光」という場合がある)であって、光記録媒体28に対する情報の読取りまたは記録の処理に供されるべきレーザ光以外のレーザ光をいう。
【0043】
光経路変換手段12は、光ピックアップ装置本体を保持する筐体に相当するスライドベース29と一体に構成される。光経路変換手段12は、ポリカーボネート(略称:PC)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(略称:ABS)樹脂およびポリフェニレンサルファイド(略称:PPS)樹脂、液晶ポリマー樹脂(略称:LCP)などの樹脂材料によって実現される。
【0044】
光経路変換手段12は、X軸方向両方に開放し、光源21から出射されるレーザ光を通過させる開口部31が形成される板体32を備える。板体32のうち開口部31の開口壁33は、光源21の光軸L1方向に平行、換言すればX軸方向に平行に形成される平坦部34と、レーザ光が出射される方向であるX軸方向一方に向かうにつれて光源21の光軸L1に近づくように傾斜するテーパ形状に形成されるテーパ部35とを含む。
【0045】
本実施の形態では、平坦部34の長さ寸法h1は、0.3mm程度に選ばれ、テーパ部35を斜辺とする仮想直角三角形のX軸方向に平行な高さ寸法h2は、1.5mm程度に選ばれる。
【0046】
板体32のうち、テーパ部35を光軸L1方向に平行な方向であるX軸方向に垂直な仮想一平面で切断した部分が最小となる部分37の寸法d1は、光源21から出射されて開口壁33に到達されたレーザ光をX軸方向に垂直な仮想一平面で切断した寸法d2よりも小さく形成される。本実施の形態の前記寸法d1は、直径1mm程度に選ばれ、前記寸法d2は、直径1.4mm程度に選ばれる。
【0047】
板体32のうち開口部31の開口壁33は、テーパ部35をX軸方向に垂直な仮想一平面で切断した部分が最小となる部分37に臨む空間へ、不要光を反射する機能を有する。
【0048】
板体32のうち、テーパ部35をX軸方向に垂直な仮想一平面で切断した部分が最大となる部分38の寸法d3は、光源21から出射されたレーザ光をX軸方向に垂直でかつ前記最大となる部分38を含む仮想一平面で切断した寸法d4よりも大きく形成される。光源21から出射されたレーザ光は、図1および図2において二点鎖線で示している。本実施の形態の前記寸法d3は、直径2mm程度に選ばれ、前記寸法d4は直径1.2mm程度に選ばれる。
【0049】
本実施の形態において、テーパ部35のテーパの度合は、前記寸法d3と前記寸法d1との差を前記高さ寸法h2で除算、つまり(d3−d1)/h2の演算をすることによって求めることができる。本実施の形態では、テーパの度合が0.67程度になるように、前記高さ寸法h2、前記寸法d1および前記寸法d3をそれぞれ規定している。テーパの度合は、好ましくは0.6以上0.8未満程度の範囲に選ばれる。
【0050】
板体32のうち、テーパ部35をX軸方向に垂直な仮想一平面で切断した部分が最大となる部分38の断面形状は、円形状、楕円形状および長孔形状のうちいずれかになるように形成される。
【0051】
本実施の形態では、光経路変換手段12の開口壁33に、テーパ部35以外に平坦部34を設けている。これによって、テーパ部35を光軸L1方向に平行な方向であるX軸方向に垂直な仮想一平面で切断した部分が最小となる部分37の寸法d1と、テーパ部35のテーパの度合とを個別に設定することができ、光経路変換手段12を製造するとき、金型などでの寸法追い込みが容易にできる。これによって光経路変換手段12の歩留まりを向上することができる。
【0052】
プリズム13は、光源21から出射されたレーザ光に対して反射率が0%、透過率が100%となる。また光記録媒体28で反射されたレーザ光は、後述の1/4波長板15の効果によって偏光方向が変換されて、プリズム13に対して反射率が100%、透過率が0%となる。プリズム13は、このような反射率および透過率の特性を有する反射膜が、光軸L1に対して45度傾斜した斜面上に設けられた偏光プリズムである。したがってプリズム13は、光源21から出射されたレーザ光を100%透過し、また光記録媒体28で反射されたレーザ光を100%反射する。
【0053】
コリメートレンズ14は、光源21から出射され、光経路変換手段12およびプリズム13を通過したレーザ光を、平行光に変換する。1/4波長板(以下「λ/4板」という場合がある)15は、直線偏光の光が入射されると円偏光の光に変換して出射し、円偏光の光が入射されると直線偏光の光に変換して出射する。集光手段である対物レンズ16は、λ/4板15を通過したレーザ光を光記録媒体28の情報記録面に集光させる。本実施の形態では、プリズム13、コリメートレンズ14、λ/4板15および対物レンズ16が、この順に、光経路変換手段12と光記録媒体28との間の光経路上に配設される。
【0054】
光検出手段である光検出器17は、光記録媒体28の記録層に平行な方向であるとともに、記録領域であるトラックを走査する方向であるラジアル方向に平行な方向で、かつ前記光軸L1に垂直な方向に延びる軸線上に、プリズム13と間隔をあけて配設される。光検出器17は、光源21から出射され、光記録媒体28の情報記録面で反射されて前述のプリズム13によって反射されて入射したレーザ光を、受光した光量に応じて電気信号に変換し、電気信号に基づいてフォーカス誤差信号(略称:FES)、トラッキング誤差信号(略称:TES)および光記録媒体28の情報信号(略称:RF)を検出する。光検出器17は、たとえばフォトダイオードによって実現される。
【0055】
ステム22に設けられているリード電極23を介して、光源21に駆動電圧および駆動電流が供給されると、光源21から予め定める波長帯域のレーザ光が出射される。光源21から出射されたレーザ光は、光学基板25のビーム分割用回折格子26に入射する。ビーム分割用回折格子26に入射したレーザ光は、1つのメインビームと2つのサブビームとに分割される。以下の説明では、メインビームと各サブビームとを総称する場合、単に「レーザ光」という。
【0056】
ビーム分割用回折格子26を通過したレーザ光のうち、有効径外のレーザ光であって、光記録媒体28に対する情報の読取りまたは記録の処理に供されるべきレーザ光以外の不要光A1,A2は、光経路変換手段12の板体32のうち開口部31の開口壁33に形成されるテーパ部35によって、前記テーパ部35を光軸L1に垂直な仮想一平面で切断した部分が最小となる部分37に臨む空間へ反射される。このように光経路変換手段12によって、前記不要光A1,A2が通過する予め定める光経路が、前記光経路とは異なる光経路へ変換される。
【0057】
ここで、前記不要光A1,A2が通過する予め定める光経路とは、光記録媒体28に対する情報の読取りまたは記録の処理に供されるべきレーザ光が光記録媒体28に導かれる光経路であって、プリズム13、コリメートレンズ14、λ/4板15および対物レンズ16が配設される光経路をいう。したがって不要光A1,A2は、プリズム13、コリメートレンズ14、λ/4板15および対物レンズ16には入射しないので、光記録媒体28にも集光されない。換言すれば、ビーム分割用回折格子26を通過したレーザ光のうち、光記録媒体28に対する情報の読取りまたは記録の処理に供されるべきレーザ光のみが、光経路変換手段12の開口部31を通過してプリズム13、コリメートレンズ14、λ/4板15および対物レンズ16に入射することになる。
【0058】
光経路変換手段12の開口部31を通過してプリズム13に入射したレーザ光は、プリズム13を100%透過し、コリメートレンズ14に入射して平行光にされる。コリメートレンズ14によって平行光にされたレーザ光は、λ/4板15に入射する。光源21であるCD用半導体レーザ素子またはDVD用半導体レーザ素子から出射されたレーザ光は、直線偏光のレーザ光であり、この直線偏光のレーザ光がλ/4板15に入射すると円偏光のレーザ光に変換される。
【0059】
円偏光のレーザ光は、対物レンズ16を通過して、光記録媒体28の情報記録面に集光する。光記録媒体28の情報記録面で反射されたレーザ光は、対物レンズ16を通過した後、再度λ/4板15を通過することによって、元のレーザ光と偏光方向が直交する方向の直線偏光に変換される。この直線偏光のレーザ光は、コリメートレンズ14を通過した後、プリズム13によって、前記ラジアル方向に平行な方向に100%反射される。プリズム13によって反射されたレーザ光は、光検出器17の所定の受光領域に入射する。
【0060】
前述のように本実施の形態によれば、光源21と対物レンズ16との間の光経路上、さらに詳細に述べると、レーザユニット11とプリズム13との間の光経路上には、光源21から出射されたレーザ光のうち、有効径外のレーザ光であって、光記録媒体28に対する情報の読取りまたは記録の処理に供されるべきレーザ光以外のレーザ光である不要光が通過する予め定める光経路を、前記光経路とは異なる光経路へ変換する光経路変換手段12が設けられる。光経路変換手段12は、光源21から出射されるレーザ光を通過させる開口部31が形成される板体32を備えている。板体32のうち開口部31の開口壁33は、レーザ光が出射される方向であるX軸方向一方に向かうにつれて光源21の光軸L1に近づくように傾斜するテーパ形状に形成されるテーパ部35を含む。
【0061】
したがって光源21から出射されたレーザ光のうち不要光A1,A2は、光経路変換手段12、具体的には板体32のうち開口部31の開口壁33のテーパ部35によって反射され、不要光A1,A2が通過する予め定める光経路が、前記光経路とは異なる光経路へ変換される。これによって不要光A1,A2が、たとえば光記録媒体28で反射されて、光検出器17に入射することを防止することができる。
【0062】
また本実施の形態によれば、板体32のうち、テーパ部35を光軸L1に平行な方向であるX軸方向に垂直な仮想一平面で切断した部分が最小となる部分37の寸法d1は、光源21から出射されて開口壁33に到達されたレーザ光をX軸方向に垂直な仮想一平面で切断した寸法d2よりも小さく形成される。これによって光源21から出射されたレーザ光のうち、光記録媒体28に対する情報の読取りまたは記録の処理に供されるべきレーザ光は板体32の開口部31をそのまま通過させ、前記レーザ光以外の不要光A1,A2のみを、開口部31の開口壁33のテーパ部35で反射させて、前記不要光A1,A2が通過する予め定める光経路を、前記光経路とは異なる光経路へ確実に変換することができる。これによって不要光A1,A2が、たとえば光記録媒体28で反射されて、光検出器17に入射することを防止することができる。
【0063】
また本実施の形態によれば、板体32のうち、テーパ部35をX軸方向に垂直な仮想一平面で切断した部分が最大となる部分38の寸法d3は、光源21から出射されたレーザ光をX軸方向に垂直でかつ前記最大となる部分38を含む仮想一平面で切断した寸法d4よりも大きく形成される。これによって光源21から出射された全てのレーザ光を、板体32の開口部31に案内させることができ、光源21から出射されたレーザ光のうち、光記録媒体28に対する情報の読取りまたは記録の処理に供されるべきレーザ光は、板体32の開口部31をそのまま通過させ、前記レーザ光以外の不要光A1,A2のみを、開口部31の開口壁33のテーパ部35で反射させて、前記不要光A1,A2が通過する予め定める光経路を、前記光経路とは異なる光経路へ確実に変換することができる。これによって不要光A1,A2が、たとえば光記録媒体28で反射されて、光検出器17に入射することを防止することができる。
【0064】
また本実施の形態によれば、板体32のうち開口部31の開口壁33は、テーパ部35をX軸方向に垂直な仮想一平面で切断した部分が最小となる部分37に臨む空間へ、不要光A1,A2を反射する機能を有する。したがって光源21から出射されたレーザ光のうち不要光A1,A2は、板体32の開口壁33のテーパ部35によって、前記テーパ部35をX軸方向に垂直な仮想一平面で切断した部分が最小となる部分37に臨む空間へ反射される。これによって不要光A1,A2が、たとえば光記録媒体28で反射されて、光検出器17に入射することを確実に防止することができる。
【0065】
また本実施の形態によれば、板体32のうち、テーパ部35をX軸方向に垂直な仮想一平面で切断した部分が最大となる部分38の断面形状は、円形状、楕円形状および長孔形状のいずれか一つによって実現することができる。したがって前記断面形状を、光源21から出射されるレーザ光の放射角に応じて、円形状、楕円形状および長孔形状のいずれか一つの形状にすることによって、光源21から出射されたレーザ光のうち不要光A1,A2のみを、開口部31の開口壁33のテーパ部35で反射させて、前記不要光A1,A2が通過する予め定める光経路を、前記光経路とは異なる光経路へ確実に変換させることができる。これによって光源21から出射されたレーザ光のうち不要光A1,A2が、たとえば光記録媒体28で反射されて、光検出器17に入射することを確実に防止することができる。
【0066】
また本実施の形態によれば、波長帯域が異なるレーザ光を出射する2つの光源21、具体的には、予め定める波長帯域がたとえば780nmの赤外波長のレーザ光を出射するCD用半導体レーザ素子と、予め定める波長帯域がたとえば650nmの赤色波長のレーザ光を出射するDVD用半導体レーザ素子とが備えられる。
【0067】
本実施の形態のように光源21として、CD用半導体レーザ素子およびDVD用半導体レーザ素子が備えられる場合でも、各半導体レーザ素子からそれぞれ出射されたレーザ光のうち、光記録媒体28に対する情報の読取りまたは記録の処理に供されるべきレーザ光は、板体32の開口部31をそのまま通過させ、前記レーザ光以外の不要光A1,A2のみを、開口部31の開口壁33のテーパ部35で反射させて、前記不要光A1,A2が通過する予め定める光経路を、前記光経路とは異なる光経路へ確実に変換することができる。これによって各光源から出射されたレーザ光のうち不要光A1,A2が、たとえば光記録媒体28で反射されて、光検出器17に入射することを防止することができる。
【0068】
前述のように不要光A1,A2が、たとえば光記録媒体28で反射されて、光検出器17に入射することを防止することができるので、光記録媒体28で反射されたレーザ光を検出する光検出器17の検出結果に基づいて、正確な信号、たとえばフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号および情報信号を検出することができる。これによって光記録媒体28に記録されている情報を正確に読取ることができ、また光記録媒体28に情報を正確に記録することができる。
【0069】
また本実施の形態によれば、前述のように開口部31の開口壁33におけるテーパ部35のテーパ形状を規定することによって、光検出器17に不要光A1,A2が入射することを防止することができるので、開口制限手段と光源との位置決め精度を高精度に行う必要がある前記従来技術に比べて、光ピックアップ装置10の構造を簡単化できる。したがって、前記従来技術に比べて、光ピックアップ装置10を製造するサイクルタイムを短縮することが可能となる。これによって光ピックアップ装置10の量産化を図ることが可能となる。
【0070】
また本実施の形態によれば、板体32は、樹脂材料によって実現される。したがって板体32を金属材料によって実現する場合に比べて、光ピックアップ装置10の軽量化を図ることができるとともに、光ピックアップ装置10の製造コストの低減化を図ることができる。
【0071】
また本実施の形態によれば、光経路変換手段12は、光ピックアップ装置本体を保持する筐体に相当するスライドベース29と一体に構成される。これによって、光ピックアップ装置10の製造時における光学部品の部品点数および組立て工程数が削減されるとともに、光軸調整などの光学的調整作業および組立作業も簡素化され、光ピックアップ装置10の生産性を向上することができる。また光学部品の部品点数を削減することによって、光ピックアップ装置10の小形化および軽量化を図ることができるとともに、光ピックアップ装置10の製造コストを低減することができる。
【0072】
また対物レンズ16に対する光源21の位置などの調整を行った後でも、光源21である各半導体レーザ素子から出射され、光記録媒体28で反射されたレーザ光を検出する光検出器17の検出結果に基づいて、正確な信号、たとえばフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号および情報信号を検出することができる。これによって光記録媒体28に記録されている情報を正確に読取ることができ、また光記録媒体28に情報を正確に記録することができる。
【0073】
図3は、本発明の実施の他の形態である光ピックアップ装置40の構成を示す図である。図4は、図3の光ピックアップ装置40のビーム分割用回折格子26で分割され、光記録媒体28に集光される0次光46および±1次回折光47,48を示す図である。図5は、光ピックアップ装置40の構成を簡略化して示す斜視図である。本実施の形態の光ピックアップ装置40は、図1に示す実施の形態の光ピックアップ装置40と構成が類似しているので、異なる部分についてのみ説明し、図1に示す実施の形態と対応する部分には同一の参照符を付し、重複を避けるため、共通する説明は省略する。図3〜図5では、X軸方向を「X」と表記する。
【0074】
光ピックアップ装置40は、レーザユニット41、光経路変換手段12、コリメートレンズ14および対物レンズ16を含んで構成される。本実施の形態のレーザユニット41は、光源21、光検出器17、ステム22、リード電極23、キャップ24および光学基板42を含む。光学基板42は、ビーム分割用回折格子26およびホログラム回折格子43を含む。
【0075】
キャップ24は、光源21および光検出器17と外部との物理的接触を避けるために、光源21および光検出器17を封止する封止部材であり、ステム22の厚み方向一表面部、換言すればステム22のX軸方向一方側の表面部に装着される。これによって、光源21および光検出器17は、ステム22およびキャップ24によって密封される。リード電極23は、ステム22の厚み方向の他表面部、換言すればステム22のX軸方向他方側の表面部から、ステム22の厚み方向他方であるX軸方向他方に突出して設けられ、光源21および光検出器17と電気的に接続される。
【0076】
光学基板42の厚み方向の他表面部、換言すれば光学基板42のX軸方向他方側の表面部には、ビーム分割用回折格子26が形成され、光学基板42の厚み方向の一表面部、換言すれば光学基板42のX軸方向一方側の表面部には、ホログラム回折格子43が形成される。ホログラム回折格子43は、図5に示すように、X軸方向一方から見て略円形状に形成される。ホログラム回折格子43は、入射されるレーザ光を回折させる回折特性を有する。ホログラム回折格子43は、このような回折特性を用いて、光源21から出射され、光記録媒体28の情報記録面で反射されて入射したレーザ光を、所定の光検出器17の方向へ回折させる。
【0077】
さらに述べると、ホログラム回折格子43は、2つのホログラムパターン領域を有する。各ホログラムパターン領域は、X軸方向一方から見て半円形状である。各ホログラムパターン領域におけるホログラムパターンの溝の幅、ピッチおよび深さはそれぞれ異なるように、換言すれば所定の回折効率が得られるように規定される。これによって本実施の形態では、各ホログラムパターン領域で回折されたレーザ光を、光検出器17の予め定める受光領域に入射させるようにしている。
【0078】
光検出器17は、光源21から出射され、光記録媒体28の情報記録面で反射されてホログラム回折格子43によって回折されて入射したレーザ光を、受光した光量に応じて電気信号に変換し、電気信号に基づいてFES、TESおよびRFを検出する。
【0079】
光検出器17は、長方形平板状に形成される。光検出器17において、光軸L1と、光記録媒体28で反射されたレーザ光がホログラム回折格子43によって回折された後の光軸L2とを含む平面に平行な方向をA方向とし、A方向に垂直な方向をB方向とする。A方向、B方向およびX軸方向は、互いに直交する3次元の直交座標系を構成する。光検出器17は、前記A方向に平行な方向でかつ光軸L1に垂直な方向に、光源21と隣接して、ホログラム回折格子43によって回折される回折光の光経路上に配設される。
【0080】
光検出器17は、A方向およびB方向に平行な辺を有する長方形状の受光領域、本実施の形態では5つの受光領域D1,D2,D3,D4,D5を有する。光検出器17は、A方向に延びる領域区分線によってB方向に大略的に3つの領域に分けられる。前記3つの領域のうち、B方向一端部寄りの領域は第4受光領域D4となり、B方向他端部寄りの領域は第5受光領域D5となる。
【0081】
前記3つの領域のうちの真中の領域は、B方向に延びる領域区分線によって2つの領域に分けられる。前記2つの領域のうち、光源21寄りのA方向一方の領域は、第3受光領域D3となる。前記2つの領域のうち、第3受光領域D3に隣接するA方向他方の領域は、A方向に延びる領域区分線によってさらに2つの領域に分けられる。A方向に延びる領域区分線によって分けられて形成される2つの領域のうち、第4受光領域D4に隣接する領域は、第1受光領域D1となり、第5受光領域D5に隣接する領域は、第2受光領域D2となる。
【0082】
本実施の形態の光経路変換手段12は、レーザユニット41と対物レンズ16との間の光経路上、さらに詳細に述べるとレーザユニット41とコリメートレンズ14との間の光経路上に配設される。
【0083】
ステム22に設けられているリード電極23を介して、光源21に駆動電圧および駆動電流が供給されると、光源21から予め定める波長帯域のレーザ光が出射される。光源21から出射されたレーザ光は、光学基板42のビーム分割用回折格子26に入射する。ビーム分割用回折格子26に入射したレーザ光は、1つのメインビームである0次光46と、2つのサブビームである+1次回折光47および−1次回折光48とに分割される。以下の説明では、+1次回折光47および−1次回折光48を「±1次回折光47,48」という場合がある。
【0084】
ビーム分割用回折格子26を通過した0次光46および±1次回折光47,48は、ホログラム回折格子43の各ホログラムパターン領域に入射する。各ホログラムパターン領域に入射した0次光46および±1次回折光47,48は、所定の回折方向に回折される。
【0085】
本実施の形態では、ホログラム回折格子43を通過した0次光46および±1次回折光47,48が光経路変換手段12の開口部31を通過するときに、前記0次光46および±1次回折光47,48が欠けることなく全て通過することができるように、板体32のうち、テーパ部35を光軸L1方向に平行な方向であるX軸方向に垂直な仮想一平面で切断した部分が最小となる部分37の寸法d1と、光源21から出射されたレーザ光をX軸方向に垂直で、かつテーパ部35をX軸方向に垂直な仮想一平面で切断した部分が最大となる部分38を含む仮想一平面で切断した寸法d4とを規定している。
【0086】
本実施の形態の前記寸法d1は、直径1mm程度に選ばれ、前記寸法d4は、直径1.2mm程度に選ばれる。
【0087】
これによって光源21から出射されたレーザ光のうち、有効径外のレーザ光であって、光記録媒体28に対する情報の読取りまたは記録の処理に供されるべきレーザ光以外の不要光A3,A4は、光経路変換手段12の板体32のうち開口部31の開口壁33に形成されるテーパ部35によって、前記テーパ部35を光軸L1に垂直な仮想一平面で切断した部分が最小となる部分37に臨む空間へ反射される。
【0088】
このように光経路変換手段12によって、前記不要光A3,A4が通過する予め定める光経路が、前記光経路とは異なる光経路へ変換される。ここで、前記不要光A3,A4が通過する予め定める光経路とは、光記録媒体28に対する情報の読取りまたは記録の処理に供されるべきレーザ光が光記録媒体28に導かれる光経路であって、コリメートレンズ14および対物レンズ16が配設される光経路をいう。
【0089】
したがって不要光A3,A4は、コリメートレンズ14および対物レンズ16には入射しないので、光記録媒体28にも集光されない。換言すれば、ホログラム回折格子43を通過したレーザ光のうち、光記録媒体28に対する情報の読取りまたは記録の処理に供されるべきレーザ光のみが、光経路変換手段12の開口部31を通過してコリメートレンズ14および対物レンズ16に入射することになる。
【0090】
光経路変換手段12の開口部31を通過した0次光46および±1次回折光47,48は、コリメートレンズ14に入射して平行光にされる。コリメートレンズ14によって平行光にされた0次光46および±1次回折光47,48は、対物レンズ16を通過して、光記録媒体28の情報記録面に集光する。光記録媒体28の情報記録面で反射された0次光46および±1次回折光47,48は、対物レンズ16およびコリメートレンズ14を通過した後に平行光となり、光経路変換手段12の開口部31を通過して光学基板42のホログラム回折格子43に入射する。
【0091】
ホログラム回折格子43に入射した0次光46は、ホログラム回折格子43の各ホログラムパターン領域によって半円形状の2つのレーザ光に分割される。分割された一方のレーザ光は、光検出器17の第1受光領域D1と第2受光領域D2とに分ける領域区分線上に入射し、分割された他方のレーザ光は、光検出器17の第3受光領域D3に入射する。
【0092】
ホログラム回折格子43に入射した+1次回折光47は、ホログラム回折格子43の各ホログラムパターン領域によって半円形状の2つのレーザ光に分割される。2つに分割されたレーザ光は、いずれも光検出器17の同一の受光領域、本実施の形態では第5受光領域D5に入射する。
【0093】
ホログラム回折格子43に入射した−1次回折光48は、ホログラム回折格子43の各ホログラムパターン領域によって半円形状の2つのレーザ光に分割される。2つに分割されたレーザ光は、いずれも光検出器17の同一の受光領域、本実施の形態では第4受光領域D4に入射する。
【0094】
光検出器17の各受光領域D1〜D5から出力される信号をそれぞれS(D1),S(D2),S(D3),S(D4),S(D5)とすると、FES、TESおよびRFは、以下の式(1)、式(2)および式(3)によって検出される。
FES=S(D1)−S(D2) …(1)
TES=S(D4)−S(D5) …(2)
RF=S(D1)+S(D2)+S(D3) …(3)
【0095】
前述のように本実施の形態によれば、光源21と対物レンズ16との間の光経路上、さらに詳細に述べると、レーザユニット41とコリメートレンズ14との間の光経路上には、光源21から出射されたレーザ光のうち、有効径外のレーザ光であって、光記録媒体28に対する情報の読取りまたは記録の処理に供されるべきレーザ光以外のレーザ光である不要光が通過する予め定める光経路を、前記光経路とは異なる光経路へ変換する光経路変換手段12が設けられる。
【0096】
したがって光源21から出射されたレーザ光のうち不要光A3,A4は、光経路変換手段12、具体的には板体32のうち開口部31の開口壁33のテーパ部35によって反射され、不要光A3,A4が通過する予め定める光経路が、前記光経路とは異なる光経路へ変換される。これによって不要光A3,A4が、たとえば光記録媒体28で反射されて、光検出器17に入射することを防止することができる。
【0097】
また本実施の形態によれば、板体32のうち、テーパ部35を光軸L1に平行な方向であるX軸方向に垂直な仮想一平面で切断した部分が最小となる部分37の寸法d1は、光源21から出射されて開口壁33に到達されたレーザ光をX軸方向に垂直な仮想一平面で切断した寸法d2よりも小さく形成される。これによって光源21から出射されたレーザ光のうち、光記録媒体28に対する情報の読取りまたは記録の処理に供されるべきレーザ光は板体32の開口部31をそのまま通過させ、前記レーザ光以外の不要光A3,A4のみを、開口部31の開口壁33のテーパ部35で反射させて、前記不要光A3,A4が通過する予め定める光経路を、前記光経路とは異なる光経路へ確実に変換することができる。これによって不要光A3,A4が、たとえば光記録媒体28で反射されて、光検出器17に入射することを防止することができる。
【0098】
また本実施の形態によれば、板体32のうち、テーパ部35をX軸方向に垂直な仮想一平面で切断した部分が最大となる部分38の寸法d3は、光源21から出射されたレーザ光をX軸方向に垂直でかつ前記最大となる部分38を含む仮想一平面で切断した寸法d4よりも大きく形成される。これによって光源21から出射された全てのレーザ光を、板体32の開口部31に案内させることができ、光源21から出射されたレーザ光のうち、光記録媒体28に対する情報の読取りまたは記録の処理に供されるべきレーザ光は、板体32の開口部31をそのまま通過させ、前記レーザ光以外の不要光A3,A4のみを、開口部31の開口壁33のテーパ部35で反射させて、前記不要光A3,A4が通過する予め定める光経路を、前記光経路とは異なる光経路へ確実に変換することができる。これによって不要光A3,A4が、たとえば光記録媒体28で反射されて、光検出器17に入射することを防止することができる。
【0099】
また本実施の形態によれば、板体32のうち開口部31の開口壁33は、テーパ部35をX軸方向に垂直な仮想一平面で切断した部分が最小となる部分37に臨む空間へ、不要光A3,A4を反射する機能を有する。したがって光源21から出射されたレーザ光のうち不要光A3,A4は、板体32の開口壁33のテーパ部35によって、前記テーパ部35をX軸方向に垂直な仮想一平面で切断した部分が最小となる部分37に臨む空間へ反射される。これによって不要光A3,A4が、たとえば光記録媒体28で反射されて、光検出器17に入射することを確実に防止することができる。
【0100】
また本実施の形態によれば、板体32のうち、テーパ部35をX軸方向に垂直な仮想一平面で切断した部分が最大となる部分38の断面形状は、円形状、楕円形状および長孔形状のいずれか一つによって実現することができる。したがって前記断面形状を、光源21から出射されるレーザ光の放射角に応じて、円形状、楕円形状および長孔形状のいずれか一つの形状にすることによって、光源21から出射されたレーザ光のうち不要光A3,A4のみを、開口部31の開口壁33のテーパ部35で反射させて、前記不要光A3,A4が通過する予め定める光経路を、前記光経路とは異なる光経路へ確実に変換させることができる。これによって光源21から出射されたレーザ光のうち不要光A3,A4が、たとえば光記録媒体28で反射されて、光検出器17に入射することを確実に防止することができる。
【0101】
また本実施の形態によれば、波長帯域が異なるレーザ光を出射する2つ以上の光源21、具体的には、予め定める波長帯域がたとえば780nmの赤外波長のレーザ光を出射するCD用半導体レーザ素子と、予め定める波長帯域がたとえば650nmの赤色波長のレーザ光を出射するDVD用半導体レーザ素子とが備えられる。
【0102】
本実施の形態のように光源21として、CD用半導体レーザ素子およびDVD用半導体レーザ素子が備えられる場合でも、各半導体レーザ素子からそれぞれ出射されたレーザ光のうち、光記録媒体28に対する情報の読取りまたは記録の処理に供されるべきレーザ光は、板体32の開口部31をそのまま通過させ、前記レーザ光以外の不要光A3,A4のみを、開口部31の開口壁33のテーパ部35で反射させて、前記不要光A3,A4が通過する予め定める光経路を、前記光経路とは異なる光経路へ確実に変換することができる。これによって各光源から出射されたレーザ光のうち不要光A3,A4が、たとえば光記録媒体28で反射されて、光検出器17に入射することを防止することができる。
【0103】
前述のように不要光A3,A4が、たとえば光記録媒体28で反射されて、光検出器17に入射することを防止することができるので、光記録媒体28で反射されたレーザ光を検出する光検出器17の検出結果に基づいて、正確な信号、たとえばフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号および情報信号を検出することができる。これによって光記録媒体28に記録されている情報を正確に読取ることができ、また光記録媒体28に情報を正確に記録することができる。
【0104】
また本実施の形態によれば、前述のように開口部31の開口壁33におけるテーパ部35のテーパ形状を規定することによって、光検出器17に不要光A3,A4が入射することを防止することができるので、開口制限手段と光源との位置決め精度を高精度に行う必要がある前記従来技術に比べて、光ピックアップ装置40の構造を簡単化できる。したがって、前記従来技術に比べて、光ピックアップ装置40を製造するサイクルタイムを短縮することが可能となる。これによって光ピックアップ装置40の量産化を図ることが可能となる。
【0105】
また本実施の形態によれば、図1に示す実施の形態と同様に、板体32を樹脂材料によって実現することによって、板体32を金属材料によって実現する場合に比べて、光ピックアップ装置40の軽量化を図ることができるとともに、光ピックアップ装置40の製造コストの低減化を図ることができる。
【0106】
また本実施の形態によれば、図1に示す実施の形態と同様に、光経路変換手段12は、光ピックアップ装置本体を保持する筐体に相当するスライドベース29と一体に構成される。これによって、光ピックアップ装置40の製造時における光学部品の部品点数および組立て工程数が削減されるとともに、光軸調整などの光学的調整作業および組立作業も簡素化され、光ピックアップ装置40の生産性を向上することができる。また光学部品の部品点数を削減することによって、光ピックアップ装置40の小形化および軽量化を図ることができるとともに、光ピックアップ装置40の製造コストを低減することができる。
【0107】
また対物レンズ16に対する光源21の位置などの調整を行った後でも、光源21である各半導体レーザ素子から出射され、光記録媒体28で反射されたレーザ光を検出する光検出器17の検出結果に基づいて、正確な信号、たとえばフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号および情報信号を検出することができる。これによって光記録媒体28に記録されている情報を正確に読取ることができ、また光記録媒体28に情報を正確に記録することができる。
【0108】
前述の各実施の形態は、本発明の例示に過ぎず、発明の範囲内において構成を変更することができる。たとえば前述の各実施の形態では、光経路変換手段12が、光ピックアップ装置本体を保持する筐体に相当するスライドベース29と一体に構成される場合について説明したが、このような構成に限定されない。本発明の他の実施の形態では、光経路変換手段12が、光源21と、ステム22と、リード電極23と、キャップ24と、ビーム分割用回折格子26を備える光学基板42とを含むレーザユニット41と一体に構成されてもよい。このように構成される場合であっても、前述の図1および図3に示す実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0109】
また前述の各実施の形態では、波長帯域が異なるレーザ光を出射する光源21を2つ、具体的にはCD用半導体レーザ素子およびDVD用半導体レーザ素子を備える光ピックアップ装置10,40の構成について説明したが、本発明の他の実施の形態では2つ以上の光源、たとえば3つの光源を備えて構成されてもよい。3つの光源としては、CD用半導体レーザ素子およびDVD用半導体レーザ素子に加えて、予め定める波長帯域がたとえば405nmの青色波長のレーザ光を出射する半導体レーザ素子が用いられてもよい。
【0110】
また前述の図1に示す実施の形態では、ビーム分割用回折格子26が、キャップ24に載置される光学基板25の厚み方向の他表面部に形成され、レーザユニット11として、光源21、ステム22、リード電極23およびキャップ24と一体に構成されているけれども、このような構成に限らない。本発明の他の実施の形態では、ビーム分割用回折格子26が、キャップ24とは別体に、キャップ24と光経路変換手段12との間の光経路上に配設されてもよい。
【0111】
また前述の図1に示す実施の形態では、プリズム13、コリメートレンズ14、λ/4板15が、この順に、光経路変換手段12と対物レンズ16との間の光経路上に配設されているけれども、λ/4板15は、プリズム13とコリメートレンズ14との間の光経路上に配設されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の実施の一形態である光ピックアップ装置10の構成を示す図である。
【図2】光経路変換手段12を拡大して示す断面図である。
【図3】本発明の実施の他の形態である光ピックアップ装置40の構成を示す図である。
【図4】図3の光ピックアップ装置40のビーム分割用回折格子26で分割され、光記録媒体28に集光される0次光46および±1次回折光47,48を示す図である。
【図5】光ピックアップ装置40の構成を簡略化して示す斜視図である。
【図6】従来技術の光ピックアップ装置1の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0113】
10,40 光ピックアップ装置
11,41 レーザユニット
12 光経路変換手段
16 対物レンズ
17 光検出器
21 光源
26 ビーム分割用回折格子
28 光記録媒体
29 スライドベース
31 開口部
32 板体
33 開口壁
35 テーパ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定める波長帯域のレーザ光を出射する光源を備え、光源から出射されたレーザ光を光記録媒体に照射することによって、光記録媒体に記録された情報を読取る処理および光記録媒体に情報を記録する処理の少なくともいずれか一方の処理を行う光ピックアップ装置であって、
光源から出射されたレーザ光を光記録媒体に集光させる集光手段と、
光源から出射され、光記録媒体で反射されたレーザ光を検出する光検出手段と、
光源と集光手段との間の光経路上に設けられ、光源から出射されたレーザ光のうち、光記録媒体に対する情報の読取りまたは記録に供されるべきレーザ光以外の不要光が通過する予め定める光経路を、前記光経路とは異なる光経路へ変換する光経路変換手段とを備え、
光経路変換手段は、光源から出射されるレーザ光を通過させる開口部が形成される板体を備え、
前記板体のうち開口部の開口壁は、レーザ光が出射される方向に向かうにつれて光源の光軸に近づくように傾斜するテーパ形状に形成されるテーパ部を含むことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項2】
板体のうち、テーパ部を光軸に垂直な仮想一平面で切断した部分が最小となる部分の寸法は、光源から出射されて開口壁に到達されたレーザ光を光軸に垂直な仮想一平面で切断した寸法よりも小さく形成されることを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
【請求項3】
板体のうち、テーパ部を光軸に垂直な仮想一平面で切断した部分が最大となる部分の寸法は、光源から出射されたレーザ光を光軸に垂直でかつ前記最大となる部分を含む仮想一平面で切断した寸法よりも大きく形成されることを特徴とする請求項1または2記載の光ピックアップ装置。
【請求項4】
開口壁は、テーパ部を光軸に垂直な仮想一平面で切断した部分が最小となる部分に臨む空間へ前記不要光を反射する機能を有することを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
【請求項5】
波長帯域が異なるレーザ光を出射する2つ以上の光源を備えることを特徴とする請求項2または3記載の光ピックアップ装置。
【請求項6】
板体は、樹脂材料から成ることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
【請求項7】
光源、および光源から出射されたレーザ光を回折する回折手段を含むレーザユニットと、
光ピックアップ装置本体の筐体とをさらに含み、
光経路変換手段は、レーザユニットまたは筐体と一体に構成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
【請求項8】
板体のうち、テーパ部を光軸に垂直な仮想一平面で切断した部分が最大となる部分の断面形状は、円形状、楕円形状および長孔形状のいずれか一つであることを特徴とする請求項3〜7のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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