光ピックアップ装置
【課題】波長の異なる複数のレーザダイオードで発生する熱を装置を大型化せずに放熱する。
【解決手段】第1波長のレーザ光を発生する第1レーザダイオードと第1レーザダイオードを内蔵する金属製の第1ホルダと、第2波長のレーザ光を発生する第2レーザダイオードと第2レーザダイオードを内蔵する金属製の第2ホルダと、第1光ディスクの信号記録層に第1レーザ光を集光させ第2光ディスクの信号記録層に第2レーザ光を集光させる対物レンズと、第1レーザ光と第2レーザ光を対物レンズに案内する光学素子と、第1及び第2ホルダが隣接するように第1及び第2ホルダ、対物レンズ、光学素子が収容される樹脂製のハウジングと、第1ホルダと第2ホルダとの間の第1間隙に充填され、第1レーザダイオードから発生する熱を第1ホルダから第2ホルダへ伝え、第2レーザダイオードから発生する熱を第2ホルダから第1ホルダへ伝える第1伝熱ゲルとを備える。
【解決手段】第1波長のレーザ光を発生する第1レーザダイオードと第1レーザダイオードを内蔵する金属製の第1ホルダと、第2波長のレーザ光を発生する第2レーザダイオードと第2レーザダイオードを内蔵する金属製の第2ホルダと、第1光ディスクの信号記録層に第1レーザ光を集光させ第2光ディスクの信号記録層に第2レーザ光を集光させる対物レンズと、第1レーザ光と第2レーザ光を対物レンズに案内する光学素子と、第1及び第2ホルダが隣接するように第1及び第2ホルダ、対物レンズ、光学素子が収容される樹脂製のハウジングと、第1ホルダと第2ホルダとの間の第1間隙に充填され、第1レーザダイオードから発生する熱を第1ホルダから第2ホルダへ伝え、第2レーザダイオードから発生する熱を第2ホルダから第1ホルダへ伝える第1伝熱ゲルとを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ピックアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、光ディスクの信号記録層にレーザ光を集光して、光ディスクに記録された情報を読み取る光ピックアップ装置が知られている(特許文献1)。この光ピックアップ装置は、例えば異なる規格の2種類の光ディスクに記憶された情報を読み取るために、第1波長の第1レーザ光を発生する第1レーザダイオードと、第1波長とは異なる第2波長の第2レーザ光を発生する第2レーザダイオードとを備えている。第1レーザダイオード及び第2レーザダイオードは夫々、例えば金属製の第1ホルダ及び第2ホルダに収容されている。第1ホルダ及び第2ホルダは夫々、第1レーザダイオード及び第2レーザダイオードがレーザ光を発生した際に生じる熱を放熱する機能を備えている。そこで、第1ホルダ及び第2ホルダは、互いの放熱の影響を受けないように、ハウジングの内部において、互いに離れた位置に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−34643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される光ピックアップ装置では、第1ホルダ及び第2ホルダは夫々、第1レーザダイオード及び第2レーザダイオードの熱を放熱するのに十分な体積を持っていることが望ましい。第1レーザダイオード及び第2レーザダイオードの熱を放熱する能力を十分に確保するために、第1ホルダ及び第2ホルダの体積を大きくすると、光ピックアップ装置が大型化することになる。一方、光ピックアップ装置を小型化する場合、第1ホルダ及び第2ホルダの体積を小さくする必要があり、第1ホルダ及び第2ホルダの放熱能力が不足する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した課題を解決する主たる本発明は、第1波長の第1レーザ光を発生する第1レーザダイオードと、前記第1レーザダイオードを内蔵する金属製の第1ホルダと、前記第1波長とは異なる第2波長の第2レーザ光を前記第1レーザ光とは相補的に発生する第2レーザダイオードと、前記第2レーザダイオードを内蔵する金属製の第2ホルダと、第1光ディスクの信号記録層に前記第1レーザ光を集光させるとともに、前記第1光ディスクの規格とは異なる規格の第2光ディスクの信号記録層に前記第2レーザ光を集光させる対物レンズと、前記第1レーザ光と前記第2レーザ光を前記対物レンズに案内する光学素子と、前記第1ホルダと前記第2ホルダが隣接するように、前記第1ホルダ、前記第2ホルダ、前記対物レンズ、前記光学素子が収容される樹脂製のハウジングと、前記第1ホルダと前記第2ホルダとの間の第1間隙に充填され、前記第1レーザダイオードから発生する熱を前記第1ホルダから前記第2ホルダへ伝えるとともに、前記第2レーザダイオードから発生する熱を前記第2ホルダから前記第1ホルダへ伝える第1伝熱ゲルと、を備えたことを特徴とする光ピックアップ装置である。
【0006】
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、レーザダイオードで発生する熱を放熱できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光ピックアップ装置の光学系の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る光ピックアップ装置の光学系の一部の構成を示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る光ピックアップ装置が用いられる光ディスク装置を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る光ピックアップ装置を示す分解斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態におけるハウジングの一部を拡大した図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る光ピックアップ装置を示す斜視図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る光ピックアップ装置の断面図である。
【図8】本発明のその他の実施形態に係る光ピックアップ装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
[第1実施形態]
===光ピックアップ装置の光学系===
図1は、本実施形態に係る光ピックアップ装置の光学系の構成を示す図である。図2は、本実施形態に係る光ピックアップ装置の光学系の一部の構成を示す図である。
【0011】
光ピックアップ装置100は、回転する光ディスクにレーザ光を照射し、光ディスクで反射されるレーザ光の戻り光を検出する装置である。光ピックアップ装置100は、例えば後述する光ディスク装置500等の情報記録再生装置に実装される。なお、光ピックアップ装置100によって情報の記録又は再生が行われる光ディスクは、例えばBD(Blu―ray Disc)規格の光ディスク(以下、「第1光ディスク5A」と称する)、DVD(Digital Versatile Disc)規格の光ディスク(以下、「第2光ディスク5B」と称する)、CD(Compact Disc)規格の光ディスク(以下、「第3光ディスク5C」と称する)等である。光ピックアップ装置100は、第2光ディスク5B、第3光ディスク5Cに照射される第1レーザ光の光路に沿った第1光学系と、第1光ディスク5Aに照射される第2レーザ光の光路に沿った第2光学系を有する。尚、第1光学系、第2光学系の詳細については後述する。
【0012】
===第1光学系===
以下、図1、図2を参照して、本実施形態における光ピックアップ装置の第1光学系について説明する。
【0013】
第1光学系は、DVD規格及びCD規格用の光学系であり、第1レーザ光源110、第1回折格子12、第1の1/2波長板13、ビームスプリッタ32、コリメートレンズ33、1/4波長板34、反射ミラー35、第1立ち上げミラー15、第1対物レンズ16(対物レンズ)、カップリングレンズ24、ハーフミラー36、検出レンズ37、光検出器38、フロントモニタダイオード31から構成される。尚、第1回折格子12、第1の1/2波長板13、ビームスプリッタ32、コリメートレンズ33、1/4波長板34、反射ミラー35、第1立ち上げミラー15が第1光学系を構成する光学素子(以下、「第1光学系の光学素子」と称する)に相当する。
【0014】
第1レーザ光源110は、第2光ディスク5Bに照射する赤色波長帯(645nm〜675nm)のうち例えば655nmの波長と、第3光ディスク5Cに照射する赤外波長帯(765nm〜805nm)のうち例えば785nmの波長の、異なる2波長の第1レーザ光を選択的に発生する。第1レーザ光源110は、例えば655nmの波長の第1レーザ光を発生する第1レーザダイオード11Aと、例えば785nmの波長の第1レーザ光を発生する第1レーザダイオード11Bとを、第1ホルダ17に内蔵して形成される。尚、第1ホルダ17の詳細については、後述する。
【0015】
第1回折格子12は、第1レーザ光源110で発生した第1レーザ光から、0次光、+1次回折光、−1次回折光を生成する。
【0016】
第1の1/2波長板13は、直線偏光光である第1レーザ光を例えばP偏光の直線偏光光に変換する。
【0017】
ビームスプリッタ32は、例えば、赤色波長帯及び赤外波長帯のP偏光のレーザ光を透過し、赤色波長帯及び赤外波長帯のP偏光以外のレーザ光を反射する。ビームスプリッタ32は、第1の1/2波長板13から入射する赤色波長帯又は赤外波長帯のP偏光の第1レーザ光を透過する。このとき、ビームスプリッタ32は、第1レーザ光の強度を調整するために、第1レーザ光の一部をフロントモニタダイオード31の方向に反射するものとする。尚、フロントモニタダイオード31は、ビームスプリッタ32から第1レーザ光の一部を入射して、第1レーザ光の強度を調整するための光学素子である。又、コリメートレンズ33から入射する第1レーザ光の戻り光は、例えば、第2光ディスク5B又は第3光ディスク5Cで反射してS偏光のレーザ光となっているので、ビームスプリッタ32は、第1レーザ光の戻り光を、カップリングレンズ24の方向に反射する。
【0018】
コリメートレンズ33は、ビームスプリッタ32から入射する第1レーザ光を平行光に変換する。
【0019】
1/4波長板34は、コリメートレンズ33から入射する第1レーザ光を、直線偏光光から円偏光光に変換する。又、1/4波長板34は、反射ミラー35から入射する第1レーザ光の戻り光を、円偏光光から直線偏光光に変換する。
【0020】
反射ミラー35は、1/4波長板34から入射する第1レーザ光を、第1立ち上げミラー15の方向に反射する。又、反射ミラー35は、第1立ち上げミラー15から入射する第1レーザ光の戻り光を1/4波長板34の方向に反射する。
【0021】
第1立ち上げミラー15は、反射ミラー35から入射する第1レーザ光を、第2光ディスク5B又は第3光ディスク5Cの記録面に垂直な方向に反射する。又、第1立ち上げミラー15は、第1対物レンズ16から入射する第1レーザ光の戻り光を、反射ミラー35の方向に反射する。
【0022】
第1対物レンズ16は、第1立ち上げミラー15から入射した第1レーザ光を、第2光ディスク5B又は第3光ディスク5Cの記録面における信号記録層に集光する。
【0023】
第2光ディスク5B又は第3光ディスク5Cの信号記録層で反射した第1レーザ光の戻り光は、第1対物レンズ16によって平行光に変換された後、第1立ち上げミラー15、反射ミラー35を介して1/4波長板34に入射し、1/4波長板34によって円偏光光から直線偏光光に変換される。直線偏光光となった第1レーザ光の戻り光は、コリメートレンズ33、ビームスプリッタ32を介してカップリングレンズ24に入射する。
【0024】
カップリングレンズ24は、第1レーザ光の戻り光が光検出器38で受光できるように、ビームスプリッタ32から入射した第1レーザ光の戻り光の収束角を変換する。
【0025】
ハーフミラー36は、例えば、青色波長帯のS偏光のレーザ光を反射し、青色波長帯のS偏光以外のレーザ光を透過する。尚、青色波長帯の詳細については、後述する。カップリングレンズ24から入射する第1レーザ光の戻り光は、赤色波長帯又は赤外波長帯のS偏光のレーザ光で、ハーフミラー36は、カップリングレンズ24から入射する第1レーザ光の戻り光を透過する。
【0026】
検出レンズ37は、ハーフミラー36から入射される第1レーザ光の戻り光を、光検出器38に集光させるとともに、第1レーザ光の戻り光に非点収差を発生させてフォーカスエラー信号を生成する。尚、検出レンズ37の入射面側又は出射面側には、例えばシリンドリカル面、平面、凹曲面、又は凸曲面が形成されており、本実施例の場合、検出レンズ37は平行平板を非点収差の発生方向を考慮した所定方向に傾けて構成されている。
【0027】
光検出器38は、検出レンズ37から入射される第1レーザ光の戻り光を光電変換する。
【0028】
===第2光学系===
以下、図1、図2を参照して、本実施形態における光ピックアップ装置の第2光学系について説明する。
【0029】
第2光学系は、BD規格用の光学系であり、第2レーザ光源210、第2回折格子22、第2の1/2波長板23、ハーフミラー36、カップリングレンズ24、ビームスプリッタ32、コリメートレンズ33、1/4波長板34、反射ミラー35、第2立ち上げミラー25、第2対物レンズ26(対物レンズ)、検出レンズ37、光検出器38、フロントモニタダイオード31から構成される。尚、例えば、ハーフミラー36、カップリングレンズ24、ビームスプリッタ32、コリメートレンズ33、1/4波長板34、反射ミラー35、検出レンズ37、光検出器38、フロントモニタダイオード31は、第1光学系と第2光学系で共通に用いられることになる。尚、第2回折格子22、第2の1/2波長板23、ハーフミラー36、カップリングレンズ24、ビームスプリッタ32、コリメートレンズ33、1/4波長板34、反射ミラー35、第2立ち上げミラー25が第2光学系を構成する光学素子(以下、「第2光学系の光学素子」と称する)に相当する。
【0030】
第2レーザ光源210は、第1レーザ光源110が発生する第1レーザ光の波長とは異なる、第1光ディスク5Aに照射する青色波長帯(400nm〜420nm)のうち例えば405nmの波長の第2レーザ光を、第1レーザ光とは相補的に発生する。第2レーザ光源210は、例えば405nmの波長の第2レーザ光を発生する第2レーザダイオード21を、第2ホルダ27に内蔵して形成される。尚、第2ホルダ27の詳細については、後述する。
【0031】
第2回折格子22は、第2レーザ光源210で発生した第2レーザ光から、0次光、+1次回折光、−1次回折光を生成する。
【0032】
第2の1/2波長板23は、直線偏光光である第2レーザ光を例えばS偏光の直線偏光光に変換する。
【0033】
ハーフミラー36は、第2の1/2波長板23から入射する青色波長帯のS偏光の第2レーザ光を、カップリングレンズ24の方向に反射する。又、カップリングレンズ24から入射する第2レーザ光の戻り光は、例えば、第1光ディスク5Aで反射してP偏光のレーザ光となっているので、ハーフミラー36は、第2レーザ光の戻り光を透過する。
【0034】
カップリングレンズ24は、第2レーザ光が第1光ディスク5の信号記録層に集光されるように、ハーフミラー36から入射した第2レーザ光の発散角を変換する。又、カップリングレンズ24は、第2レーザ光の戻り光が光検出器38で受光できるように、ビームスプリッタ32から入射した第2レーザ光の戻り光の収束角を変換する。
【0035】
カップリングレンズ24から入射する第2レーザ光は、例えば、赤色波長帯及び赤外波長帯のP偏光以外の青色波長帯のS偏光のレーザ光なので、ビームスプリッタ32は、カップリングレンズ24から入射する第2レーザ光を、コリメートレンズ33の方向に反射する。このとき、ビームスプリッタ32は、第2レーザ光の強度を調整するために、第2レーザ光の一部を透過する。尚、フロントモニタダイオード31は、ビームスプリッタ32から第2レーザ光の一部を入射して、第2レーザ光の強度を調整するための光学素子である。又、コリメートレンズ33から入射する第2レーザ光の戻り光は、例えば、赤色波長帯及び赤外波長帯のP偏光以外の青色波長帯のP偏光のレーザ光なので、ビームスプリッタ32は、コリメートレンズ33から入射する第2レーザ光の戻り光を、カップリングレンズ24の方向に反射する。
【0036】
ビームスプリッタ32でコリメートレンズ33の方向に反射した第2レーザ光は、コリメートレンズ33によって平行光に変換された後、1/4波長板34によって直線偏光光から円偏光光に変換される。円偏光光となった第2レーザ光は、反射ミラー35によって第2立ち上げミラー25の方向に反射される。尚、第2レーザ光の光路における、反射ミラー35と第2立ち上げミラー25との間に配置された第1立ち上げミラー15は、赤色波長帯及び赤外波長帯のレーザ光を反射し、青色波長帯のレーザ光を透過するものとする。
【0037】
第2立ち上げミラー25は、反射ミラー35から入射する第2レーザ光を、第1光ディスク5Aの記録面に垂直な方向に反射する。又、第2立ち上げミラー25は、第2対物レンズ26から入射する第2レーザ光の戻り光を、反射ミラー35の方向に反射する。
【0038】
第2対物レンズ26は、第2立ち上げミラー25から入射した第2レーザ光を、第1光ディスク5Aの記録面における信号記録層に集光する。
【0039】
第1光ディスク5Aの信号記録層で反射した第2レーザ光の戻り光は、第2対物レンズ26によって平行光によって変換された後、第2立ち上げミラー25、反射ミラー35、を介して1/4波長板34に入射し、1/4波長板34によって円偏光光から直線偏光光に変換される。直線偏光光となった第2レーザ光の戻り光は、コリメートレンズ33、ビームスプリッタ32、カップリングレンズ24、ハーフミラー36を介して検出レンズ37に入射する。
【0040】
検出レンズ37は、ハーフミラー36から入射される第2レーザ光の戻り光を、光検出器38に集光させるとともに、第2レーザ光の戻り光に非点収差を発生させてフォーカスエラー信号を生成する。
【0041】
光検出器38は、検出レンズ37から入射される第2レーザ光の戻り光を光電変換する。
【0042】
===光ディスク装置===
以下、図3を参照して、本実施形態における光ピックアップ装置が用いられる光ディスク装置について説明する。図3は、本実施形態における光ピックアップ装置が用いられる光ディスク装置を示すブロック図である。
【0043】
光ディスク装置500は、スピンドルモータ502、モータ駆動回路503、光ピックアップ装置100、スレッド機構504、増幅回路505、復調回路506、フォーカス制御回路507、トラッキング制御回路508、チルト制御回路509、レーザドライバ510、変調回路511、システム制御装置512を有する。
【0044】
スピンドルモータ502は、回転軸501を軸に光ディスク5を回転させる。尚、第1光ディスク5A、第2光ディスク5B、第3光ディスク5Cのうち、スピンドルモータ502によって回転される光ディスクを、説明の便宜上、光ディスク5と称する。
【0045】
モータ駆動回路503は、システム制御装置512から送信させる制御信号に応じてスピンドルモータ502の回転を制御する。
【0046】
スレッド機構504は、例えばパルス駆動するステッピングモータを有し、システム制御装置512から送信される制御信号に応じて光ピックアップ装置100を光ディスク5の径方向(ラジアル方向)に移動させる。
【0047】
レーザドライバ510は、変調回路511から入力される信号に応じて第1レーザダイオード11A、11B、第2レーザダイオード21で夫々発生する第1レーザ光、第2レーザ光の出力を制御する。
【0048】
変調回路511は、システム制御装置512から入力される、光ディスク5に記録するデータを記録用のパルス信号に変調する。光ディスク5に記録するデータは、例えばシステム制御装置512を介してパーソナルコンピュータ等の外部装置(不図示)から随時供給されるものとする。
【0049】
増幅回路505は、光ピックアップ装置100の光検出器38から出力される電気信号に含まれるRF(Radio Frequency)信号を増幅し、復調回路506に出力する。
【0050】
復調回路506は、増幅回路505から入力されるRF信号を復調してシステム制御装置512に出力する。システム制御装置512は、復調回路506から入力される復調信号に基づくデータ信号を外部装置に出力する。
【0051】
フォーカス制御回路507、トラッキング制御回路508、チルト制御回路509は、光ピックアップ装置100の第1対物レンズ16、第2対物レンズ26の駆動制御を行う。
【0052】
===光ピックアップ装置===
以下、図1、図2、図4乃至図7を参照して、本実施形態における光ピックアップ装置について説明する。図4は、本実施形態における光ピックアップ装置を示す分解斜視図である。尚、スピンドルモータ502の回転軸501の中心軸が、説明の便宜上、一点鎖線で示される。第1の1/2波長板13、第2回折格子22、第2の1/2波長板23は見えない状態となっている。図5は、本実施形態におけるハウジングの一部を拡大した図である。尚、第1の1/2波長板13、第2回折格子22、第2の1/2波長板23は見えない状態となっている。図6は、本実施形態における、光ピックアップ装置を示す斜視図である。尚、スピンドルモータ502の回転軸501の中心軸が、説明の便宜上、一点鎖線で示される。第1ホルダ17、第2ホルダ27、第1伝熱ゲル90、第2伝熱ゲル91は、見えない状態となっているが、説明の便宜上、点線で示される。図7は、図6のA−A´の断面から他方方向へ向かって見た、光ピックアップ装置の断面図である。
【0053】
光ピックアップ装置100は、ハウジング50、カバー60、アクチュエータ70、レンズホルダ80、第1光学系の光学素子、第2光学系の光学素子、第1伝熱ゲル90、第2伝熱ゲル91を有する。尚、本実施形態において、Z軸は、光ディスク5を回転させるスピンドルモータ502の回転軸501の長手方向(垂直方向)に沿う軸であり、上側に向かう方向を+Z方向として、下側に向かう方向を−Z方向とする。Y軸は、光ディスク5の径方向(ラジアル方向)に光ピックアップ装置100が移動する方向に沿う軸であり、回転軸501から離れる方向(奥側)を+Y方向とし、回転軸501に近づく方向(手前側)を−Y方向とする。X軸は、ハウジング50の両側面に対して直交するタンジェンシャル方向に沿う軸であり、一方側の側面に向かう方向を−X方向とし、他方側の側面に向かう方向を+X方向とする。
【0054】
ハウジング50は、前述した第1光学系の光学素子、第2光学系の光学素子、第1ホルダ17、第2ホルダ27、アクチュエータ70を収容するための樹脂製の容器である。尚、第1ホルダ17、第2ホルダ27の詳細については後述する。ハウジング50は、ハウジング50の内部に第1光学系の光学素子、第2光学系の光学素子、第1ホルダ17、第2ホルダ27、第1対物レンズ16、第2対物レンズ26を例えば上側から配置して収容するための開口201が形成される。ハウジング50の手前側は、例えば、スピンドルモータを回避するように所定の曲率をもって抉られた形状を呈する。ハウジング50の両側面には、ガイド部材53、54A、54Bが設けられる。ガイド部材53、54A、54Bは、光ディスク5のラジアル方向に沿って光ピックアップ装置100を移動させるための、一対のガイド軸に対して、光ピックアップ装置100を取り付けるための部材である。ガイド部材53は、例えば、ハウジング50の一方側の側面に設けられる。ガイド部材54A、54Bは、例えば、ハウジング50の他方側の側面に設けられる。開口201には、第1光学系の光学素子、第2光学系の光学素子、第1ホルダ17、第2ホルダ27、第1対物レンズ16、第2対物レンズ26が、図1及び図2を参照して説明したような位置関係となるように配置される。尚、第1レーザダイオード11A、11B、第2レーザダイオード21をハウジング50に配置する構成の詳細については後述する。
【0055】
レンズホルダ80は、第1対物レンズ16、第2対物レンズ26を夫々、第1立ち上げミラー15、第2立ち上げミラー25夫々の上側に配置するように、第1対物レンズ16、第2対物レンズ26が設けられる。レンズホルダ80は、レンズホルダ80の両側に配置される複数のサスペンションワイヤ71によってフォーカス方向(Z軸方向)、トラッキング方向(Y軸方向)及びチルト方向に変位可能にアクチュエータフレームに取り付けられる。アクチュエータ70は、光ディスク5に照射されるレーザ光を光ディスク5の信号記録層に合焦させ、光ディスク5の信号トラックに追従させ、光ディスク5の信号記録層に対して垂直になるように、第1対物レンズ16、第2対物レンズ26をフォーカス方向(z軸方向)、トラッキング方向(y軸方向)及びチルト方向に駆動する装置である。アクチュエータ70、レンズホルダ80は、ハウジング50の開口201における、例えば、回転軸501の中心軸から奥側に向かって見て左側の領域に配置される。尚、レンズホルダ80は、レンズホルダ80を開口201に配置した際、第1対物レンズ16、第2対物レンズ26夫々が、第1立ち上げミラー15、第2立ち上げミラー25夫々の上側に配置されるように、下側に開口した形状を呈するものとする。
【0056】
ここで、第1レーザダイオード11A、11Bは、同一パッケージに複数のレーザダイオードが収納されるマルチレーザユニットの第1レーザ光源110により構成され、この第1レーザ光源110はパッケージが合成樹脂である、いわゆるフレームタイプのレーザ光源である。そして、前記第1レーザ光源110は第1ホルダ17に内蔵された状態でハウジング50に収容される。一方、第2レーザダイオード21は、第2レーザ光源210により構成され、金属性の円筒形パッケージに収納される、いわゆるCANタイプのレーザ光源である。前記第2レーザ光源210は第2ホルダ27に内蔵された状態でハウジング50に収容される。尚、第1レーザダイオード11A、11Bのうち、選択されて第1レーザ光を発生するレーザダイオードを、説明の便宜上、第1レーザダイオード11と称する。第1ホルダ17は、第1レーザダイオード11が第1レーザ光を発生した際に第1レーザダイオード11で発生する熱を放熱する機能を有する、亜鉛、アルミニウム、あるいはそれらの合金により構成される金属製の固定部材である。第2ホルダ27は、第1ホルダ17と同様に、第2レーザダイオード21が第2レーザ光を発生した際に第2レーザダイオード21で発生する熱を放熱する機能を有する、亜鉛、アルミニウム、あるいはそれらの合金により構成される金属製の固定部材である。尚、第1ホルダ17、第2ホルダ27の放熱能力は、主に、第1ホルダ17の体積、第2ホルダ27の体積に基づいて定まることになる。第1ホルダ17の体積、第2ホルダ27の体積の詳細については後述する。
【0057】
第1ホルダ17、第2ホルダ27は、ハウジング50の開口201における、例えば、回転軸501の中心軸から奥側に向かって見て右側の領域に配置される。第1ホルダ17、第2ホルダ27は、相互に隣接するように、開口201に配置される。第1ホルダ17は、例えば、第1ホルダ17の回転軸501側の側面がハウジング50における所定の曲率をもって抉られた部分に沿うように、開口201に配置される。第2ホルダ27は、例えば、第2ホルダ27における回転軸501側の側面の一部が第1ホルダ17における回転軸501側の側面とは反対側の側面の一部と対向した状態で、ハウジング50の開口201に配置される。第1ホルダ17と第2ホルダ27は、第1ホルダ17と第2ホルダ27との間に隙間ができるように、ラジアル方向において隣接する。その際、第1及び第2光学系の光路は、十分に確保された状態となる。尚、第1ホルダ17と第2ホルダ27との間の隙間が、第1間隙に相当する。
【0058】
第1伝熱ゲル90は、例えば、主成分であるシリコンに対して、アルミ、鉄等の金属粒子を混入したゲルである。第1伝熱ゲル90は、第1レーザダイオード11で発生する熱を第1ホルダ17から第2ホルダ27へ伝えるとともに、第2レーザダイオード21で発生する熱を第2ホルダ27から第1ホルダ17へ伝えるために、第1間隙に充填される。第1伝熱ゲル90は、第1間隙に充填した際、充填した領域以外の領域に広がらないような粘性を有するものとする。尚、熱の伝わりの詳細については、後述する。
【0059】
カバー60は、ハウジング50の開口201をハウジング50の上側から塞ぐための、例えばステンレスなどの金属製の平板である。カバー60は、開口201における、例えばアクチュエータ70、レンズホルダ80が配置される領域以外を塞ぐように、ハウジング50の上面における、アクチュエータ70、レンズホルダ80が配置される領域以外に沿った形状を呈する。カバー60は、開口201をハウジング50の上側から塞いだ状態で、ハウジング50の縁に、例えば、接着剤(不図示)、ビス(不図示)等によって取り付けられる。ここで、第1ホルダ17及び第2ホルダ27は、例えば、ハウジング50の底面を基準として、第1ホルダ17の高さH1及び第2ホルダ27の高さH2が、ハウジング50の縁の高さH3よりも低くなるように、開口201に配置されているものとする。よって、カバー60によってハウジング50の開口201を塞いだ場合、カバー60と第1ホルダ17との間、カバー60と第2ホルダ27との間には、隙間95ができることになる。この隙間95が、第2間隙に相当する。カバー60における例えば第2ホルダ27と対向する位置に孔61が設けられる。尚、孔61の詳細については、後述する。
【0060】
第2伝熱ゲル91は、例えば、第1伝熱ゲル90と同様に、主成分であるシリコンに対して、アルミ、鉄等の金属粒子を混入したゲルである。第2伝熱ゲル91は、第1レーザダイオード11又は第2レーザダイオード21のうち一方で発生した熱を、第1ホルダ17及び第2ホルダ27の少なくとも一方からカバー60に伝えるために、隙間95に充填される。第2伝熱ゲル91は、カバー60が取り付けられたハウジング50の隙間95に対して、カバー60に設けられた孔61から充填されるものとする。第2伝熱ゲル91は、隙間95に充填した際、充填した領域以外の領域に広がらないような粘性を有するものとする。尚、熱の伝わりの詳細については、後述する。
【0061】
===第1ホルダ及び第2ホルダの体積、放熱===
以下、図1、図2、図4乃至図7を参照して、第1ホルダ17の体積、第2ホルダ27の体積、第1レーザダイオード11及び第2レーザダイオード21の放熱について説明する。
【0062】
第1レーザダイオード11は、前述した通り、第1レーザ光を発生する際、発熱する。これは、例えば、第1レーザダイオード11で第1レーザ光を発生するときに、第1レーザダイオード11に供給される電流によって熱が発生するものである。尚、第2レーザダイオード21でも、第1レーザダイオード11と同様に、第2レーザ光を発生する際、熱が発生する。光ピックアップ装置100では、第1レーザダイオード11又は第2レーザダイオード21で発生する熱によって、第1レーザダイオード11又は第2レーザダイオード21が劣化するのを防止するために、放熱を行う必要がある。前述した通り、第1レーザダイオード11及び第2レーザダイオード21は夫々、相補的に、第1レーザ光及び第2レーザ光を発生して発熱する。第1ホルダ17と第2ホルダ27の総体積は、第1レーザダイオード11で発生する熱を、第1レーザダイオード11の劣化が抑えられる程度放熱できるとともに、第2レーザダイオード21で発生する熱を、第2レーザダイオード21の劣化が抑えられる程度放熱できる体積(以下、「レーザダイオードの劣化を抑えられる体積」と称する)とされる。尚、上記の総体積は、例えば実験等によって定められるものとする。
【0063】
よって、例えば、第1レーザダイオード11が第1レーザ光を発生した際、第1レーザダイオード11で発生する熱は、第1レーザダイオード11から第1ホルダ17に伝わり放熱される。第1ホルダ17の放熱により発生する熱は、第1伝熱ゲル90を介して、第1ホルダ17から第2ホルダ27へ伝わり放熱される。第2ホルダ27の放熱により発生する熱は、第2伝熱ゲル91を介して、カバー60に伝わり放熱される。一方、例えば、第2レーザダイオード21が第2レーザ光を発生した際、第2レーザダイオード21で発生する熱は、第2レーザダイオード21から第2ホルダ27へ伝わり放熱される。第2ホルダ27の放熱により発生する熱は、第1伝熱ゲル90を介して、第2ホルダ27から第1ホルダ17に伝わって放熱されると共に、第2伝熱ゲル91を介して、第2ホルダ27からカバー60に伝わり放熱される。
【0064】
前述したように、第1レーザダイオード11は、例えば655nmの波長の第1レーザ光を発生する。第1レーザダイオード11は、金属製の第1ホルダ17に内蔵される。第2レーザダイオード21は、例えば第1レーザ光の波長とは異なる405nmの波長の第2レーザ光を、第1レーザ光とは相補的に発生する。第2レーザダイオード21は、金属製の第2ホルダ27に内蔵される。第1対物レンズ16は、第2光ディスク5A又は第3光ディスク5Cの信号記録層に第1レーザ光を集光させる。第2対物レンズ26は、第1光ディスク5Aの信号記録層に第2レーザ光を集光させる。第1光学系の光学素子及び第2光学系の光学素子は夫々、第1レーザ光及び第2レーザ光を夫々、第1対物レンズ16及び第2対物レンズ26に案内する。第1ホルダ17、第2ホルダ27、第1対物レンズ16、第2対物レンズ26、第1光学系の光学素子及び第2光学系の光学素子は樹脂製のハウジング50に収容される。第1ホルダ17と第2ホルダ27は、ハウジング50内で隣接する。第1ホルダ17と第2ホルダ27との間の第1間隙には、第1伝熱ゲル90が充填される。第1レーザダイオード11から発生する熱は、第1ホルダ17から第2ホルダ27へ伝わり、第2レーザダイオード21から発生する熱は、第2ホルダ27から第1ホルダ17へ伝わる。よって、第1レーザダイオード11で発生する熱、第2レーザダイオード21で発生する熱を、第1ホルダ17及び第2ホルダ27に放熱できる。又、ハウジング50が樹脂製であり成型が容易なので、コンパクトな光ピックアップ装置100を提供できる。又、ハウジング50が樹脂製なので、光ピックアップ装置100の軽量化を図ることができる。
【0065】
又、第1ホルダ17と第2ホルダ27の総体積は、第1レーザダイオード11と第2レーザダイオード21の夫々の発熱量に応じて定まる。よって、例えば、第1ホルダ17と第2ホルダ27の総体積が、レーザダイオードの劣化を抑えられる体積に定められた場合、第1レーザダイオード11で発生する熱、第2レーザダイオード21で発生する熱を確実に放熱して、第1レーザダイオード11、第2レーザダイオード21の劣化を防止できる。又、第1レーザダイオード11で発生する熱を放熱するときも、第2レーザダイオード21で発生する熱を放熱するときも、第1ホルダ17及び第2ホルダ27に放熱できるので、第1ホルダ17及び第2ホルダ27の体積を小さくして、コンパクトな光ピックアップ装置100を提供できる。
【0066】
又、第1ホルダ17、第2ホルダ27、第1対物レンズ16、第2対物レンズ26、第1光学系の光学素子及び第2光学系の光学素子が露出するハウジング50の開口201の少なくとも一部は、金属製のカバー60によって塞がれる。その際、例えば、カバー60と第1ホルダ17との間、カバー60と第2ホルダ27との間には、隙間95ができる。例えば、カバー60と第2ホルダ27との間の隙間95に、第2伝熱ゲル91が充填される。よって、例えば第2ホルダ27の熱がカバー60に放熱される。よって、第1レーザダイオード11で発生する熱、第2レーザダイオード21で発生する熱の放熱能力が高い光ピックアップ装置100を提供できる。
【0067】
又、カバー60における例えば第2ホルダ27と対向する位置に孔61が設けられる。よって、例えば、ハウジング50の開口201をカバー60によって塞いだ後、カバー60と第2ホルダ27との間の隙間95に対して、カバー60の孔61から第2伝熱ゲル91を充填できる。よって、カバー60における、隙間95に第2伝熱ゲル91を確実に充填できる位置に、孔61を設けることによって、第2伝熱ゲル91を孔61から隙間95に確実に充填できる。従って、第1レーザダイオード11で発生する熱、第2レーザダイオード21で発生する熱を確実に放熱することができる。
【0068】
又、第1ホルダ17と第2ホルダ27は、ラジアル方向に沿ってハウジング50に配置される。よって、例えば、ラジアル方向における、光ピックアップ装置100が一対のガイド軸に案内されて移動する方向に沿って、第1ホルダ17と第2ホルダ27を配置した場合、例えばハウジング50の両側面に対して直交する方向の幅を短くできるので、コンパクトな光ピックアップ装置100を提供できる。
【0069】
又、第1ホルダ17と第2ホルダ27は、ラジアル方向において一部の面同士が対向するように、ハウジング50に配置される。第1ホルダ17と第2ホルダ27の一部の面同士が対向していれば、第1伝熱ゲル90を介して、第1ホルダ17と第2ホルダ27との間で相互に熱を伝えることができる。よって、第1ホルダ17における第2ホルダ27と対向する面の全面と、第2ホルダ27における第1ホルダ17と対向する面の全面とを対向させる必要がないので、ハウジング50に対する光学素子の配置等の光ピックアップ装置100の設計の自由度を向上して、コンパクトな光ピックアップ装置100を提供できる。
【0070】
[その他の実施形態]
第1実施形態においては、第1ホルダ17の高さH1及び第2ホルダ27の高さH2が、ハウジング50の底面を基準として、ハウジング50の縁の高さH3よりも低くなるように、第1ホルダ17及び第2ホルダ27をハウジング50に配置し、カバー60を平板形状とした場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、第1ホルダ17の高さH1及び第2ホルダ27の高さH2が、ハウジング50Aの底面を基準として、ハウジング50Aの縁の高さH31と同様又は高くなるように、第1ホルダ17及び第2ホルダ27をハウジング50Aに配置し、カバー60Aを、第1ホルダ17、第2ホルダ27を上側から覆う形状としてもよい。以下、図8を参照して、第1ホルダ17の高さH1及び第2ホルダ27の高さH2が、ハウジング50Aの底面を基準として、ハウジング50Aの縁の高さH31と同様又は高くなるように、第1ホルダ17及び第2ホルダ27をハウジング50Aに配置し、カバー60Aを、第1ホルダ17、第2ホルダ27を上側から覆う形状とした場合について説明する。図8は、本実施形態における光ピックアップ装置の断面図である。尚、図7に示される構成と同様な構成については、同様な符号を付し、その説明は省略する。第1ホルダ17及び第2ホルダ27は、第1ホルダ17の高さH1及び第2ホルダ27の高さH2が、ハウジング50Aの底面を基準として、ハウジング50Aの縁の高さH31と同様又は高くなるように、ハウジング50Aに配置される。カバー60Aは、第1ホルダ17、第2ホルダ27を上側から覆う形状を呈する金属製のカバーである。尚、カバー60Aにおける第1ホルダ17、第2ホルダ27を覆う部分の高さH61は、ハウジング50Aの底面を基準として、第1ホルダ17の高さH1及び第2ホルダ27の高さH2よりも高いものとする。又、カバー60Aにおける第1ホルダ17、第2ホルダ27を覆う部分以外の部分の高さH62は、ハウジング50Aの底面を基準として、第1ホルダ17の高さH1及び第2ホルダ27の高さH2と同一又は低いものとする。又、光検出器38Aの高さH38は、第2ホルダ27を覆う部分以外の部分の高さH62よりも、ハウジング50Aの底面を基準として低いものとする。
【0071】
カバー60Aによってハウジング50Aの開口を塞いだ場合、カバー60Aと第1ホルダ17との間、カバー60Aと第2ホルダ27との間には、隙間95Aができることになる。カバー60Aにおける例えば第2ホルダ27と対向する位置に設けられた孔61aから隙間95Aに、第2伝熱ゲル91Aが充填される。よって、第1レーザダイオード11又は第2レーザダイオード21で発生する熱は、第1ホルダ及び第2ホルダから第2伝熱ゲル91Aを介してカバー60Aに放熱される。ハウジング50Aの縁の高さH31は、ハウジング50Aの底面を基準として、第1ホルダ17の高さH1及び第2ホルダ27の高さH2と一又は低く、且つ、カバー60Aにおける第1ホルダ17、第2ホルダ27を覆う部分以外の部分の高さH62は、ハウジング50Aの底面を基準として、第1ホルダ17の高さH1及び第2ホルダ27の高さH2と同様又は低いので、コンパクトな光ピックアップ装置を提供できる。
【0072】
尚、第1実施形態、その他の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0073】
第1実施形態においては、第2伝熱ゲル91を孔61から隙間95Aに充填する構成について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、カバー60に孔61を設けずに、第2伝熱ゲル91が隙間95Aに充填されるように、第2伝熱ゲル91を第1ホルダ17及び第2ホルダ27の上面に盛った後、ハウジング50にカバー60を取り付けてもよい。その場合、第1ホルダ17及び第2ホルダ27とカバー60との間の隙間95に対して、十分な量の第2伝熱ゲル91を充填できるので、第1レーザダイオード11で発生する熱、第2レーザダイオード21で発生する熱の放熱能力の高い光ピックアップ装置100を提供できる。又、光ピックアップ装置100を製造する際、カバー60に対して孔61を設ける必要が無いので、製造工程を減らして、光ピックアップ装置100の製造コストを低減できる。
【符号の説明】
【0074】
5 光ディスク
5A 第1光ディスク
5B 第2光ディスク
5C 第3光ディスク
11、11A、11B 第1レーザダイオード
12 第1回折格子
13 第1の1/2波長板
15 第1立ち上げミラー
16 第1対物レンズ
17 第1ホルダ
21 第2レーザダイオード
22 第2回折格子
23 第2の1/2波長板
24 カップリングレンズ
25 第2立ち上げミラー
26 第2対物レンズ
27 第2ホルダ
31 フロントモニタダイオード
32 ビームスプリッタ
33 コリメートレンズ
34 1/4波長板
35 反射ミラー
36 ハーフミラー
37 検出レンズ
38、38A 光検出器
50、50A ハウジング
60、60A カバー
61、61A 孔
80 レンズホルダ
90 第1伝熱ゲル
91、91A 第2伝熱ゲル
95、95A 隙間
100 光ピックアップ装置
110 第1レーザ光源
201 開口
210 第2レーザ光源
500 光ディスク装置
501 回転軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ピックアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、光ディスクの信号記録層にレーザ光を集光して、光ディスクに記録された情報を読み取る光ピックアップ装置が知られている(特許文献1)。この光ピックアップ装置は、例えば異なる規格の2種類の光ディスクに記憶された情報を読み取るために、第1波長の第1レーザ光を発生する第1レーザダイオードと、第1波長とは異なる第2波長の第2レーザ光を発生する第2レーザダイオードとを備えている。第1レーザダイオード及び第2レーザダイオードは夫々、例えば金属製の第1ホルダ及び第2ホルダに収容されている。第1ホルダ及び第2ホルダは夫々、第1レーザダイオード及び第2レーザダイオードがレーザ光を発生した際に生じる熱を放熱する機能を備えている。そこで、第1ホルダ及び第2ホルダは、互いの放熱の影響を受けないように、ハウジングの内部において、互いに離れた位置に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−34643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される光ピックアップ装置では、第1ホルダ及び第2ホルダは夫々、第1レーザダイオード及び第2レーザダイオードの熱を放熱するのに十分な体積を持っていることが望ましい。第1レーザダイオード及び第2レーザダイオードの熱を放熱する能力を十分に確保するために、第1ホルダ及び第2ホルダの体積を大きくすると、光ピックアップ装置が大型化することになる。一方、光ピックアップ装置を小型化する場合、第1ホルダ及び第2ホルダの体積を小さくする必要があり、第1ホルダ及び第2ホルダの放熱能力が不足する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した課題を解決する主たる本発明は、第1波長の第1レーザ光を発生する第1レーザダイオードと、前記第1レーザダイオードを内蔵する金属製の第1ホルダと、前記第1波長とは異なる第2波長の第2レーザ光を前記第1レーザ光とは相補的に発生する第2レーザダイオードと、前記第2レーザダイオードを内蔵する金属製の第2ホルダと、第1光ディスクの信号記録層に前記第1レーザ光を集光させるとともに、前記第1光ディスクの規格とは異なる規格の第2光ディスクの信号記録層に前記第2レーザ光を集光させる対物レンズと、前記第1レーザ光と前記第2レーザ光を前記対物レンズに案内する光学素子と、前記第1ホルダと前記第2ホルダが隣接するように、前記第1ホルダ、前記第2ホルダ、前記対物レンズ、前記光学素子が収容される樹脂製のハウジングと、前記第1ホルダと前記第2ホルダとの間の第1間隙に充填され、前記第1レーザダイオードから発生する熱を前記第1ホルダから前記第2ホルダへ伝えるとともに、前記第2レーザダイオードから発生する熱を前記第2ホルダから前記第1ホルダへ伝える第1伝熱ゲルと、を備えたことを特徴とする光ピックアップ装置である。
【0006】
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、レーザダイオードで発生する熱を放熱できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光ピックアップ装置の光学系の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る光ピックアップ装置の光学系の一部の構成を示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る光ピックアップ装置が用いられる光ディスク装置を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る光ピックアップ装置を示す分解斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態におけるハウジングの一部を拡大した図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る光ピックアップ装置を示す斜視図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る光ピックアップ装置の断面図である。
【図8】本発明のその他の実施形態に係る光ピックアップ装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
[第1実施形態]
===光ピックアップ装置の光学系===
図1は、本実施形態に係る光ピックアップ装置の光学系の構成を示す図である。図2は、本実施形態に係る光ピックアップ装置の光学系の一部の構成を示す図である。
【0011】
光ピックアップ装置100は、回転する光ディスクにレーザ光を照射し、光ディスクで反射されるレーザ光の戻り光を検出する装置である。光ピックアップ装置100は、例えば後述する光ディスク装置500等の情報記録再生装置に実装される。なお、光ピックアップ装置100によって情報の記録又は再生が行われる光ディスクは、例えばBD(Blu―ray Disc)規格の光ディスク(以下、「第1光ディスク5A」と称する)、DVD(Digital Versatile Disc)規格の光ディスク(以下、「第2光ディスク5B」と称する)、CD(Compact Disc)規格の光ディスク(以下、「第3光ディスク5C」と称する)等である。光ピックアップ装置100は、第2光ディスク5B、第3光ディスク5Cに照射される第1レーザ光の光路に沿った第1光学系と、第1光ディスク5Aに照射される第2レーザ光の光路に沿った第2光学系を有する。尚、第1光学系、第2光学系の詳細については後述する。
【0012】
===第1光学系===
以下、図1、図2を参照して、本実施形態における光ピックアップ装置の第1光学系について説明する。
【0013】
第1光学系は、DVD規格及びCD規格用の光学系であり、第1レーザ光源110、第1回折格子12、第1の1/2波長板13、ビームスプリッタ32、コリメートレンズ33、1/4波長板34、反射ミラー35、第1立ち上げミラー15、第1対物レンズ16(対物レンズ)、カップリングレンズ24、ハーフミラー36、検出レンズ37、光検出器38、フロントモニタダイオード31から構成される。尚、第1回折格子12、第1の1/2波長板13、ビームスプリッタ32、コリメートレンズ33、1/4波長板34、反射ミラー35、第1立ち上げミラー15が第1光学系を構成する光学素子(以下、「第1光学系の光学素子」と称する)に相当する。
【0014】
第1レーザ光源110は、第2光ディスク5Bに照射する赤色波長帯(645nm〜675nm)のうち例えば655nmの波長と、第3光ディスク5Cに照射する赤外波長帯(765nm〜805nm)のうち例えば785nmの波長の、異なる2波長の第1レーザ光を選択的に発生する。第1レーザ光源110は、例えば655nmの波長の第1レーザ光を発生する第1レーザダイオード11Aと、例えば785nmの波長の第1レーザ光を発生する第1レーザダイオード11Bとを、第1ホルダ17に内蔵して形成される。尚、第1ホルダ17の詳細については、後述する。
【0015】
第1回折格子12は、第1レーザ光源110で発生した第1レーザ光から、0次光、+1次回折光、−1次回折光を生成する。
【0016】
第1の1/2波長板13は、直線偏光光である第1レーザ光を例えばP偏光の直線偏光光に変換する。
【0017】
ビームスプリッタ32は、例えば、赤色波長帯及び赤外波長帯のP偏光のレーザ光を透過し、赤色波長帯及び赤外波長帯のP偏光以外のレーザ光を反射する。ビームスプリッタ32は、第1の1/2波長板13から入射する赤色波長帯又は赤外波長帯のP偏光の第1レーザ光を透過する。このとき、ビームスプリッタ32は、第1レーザ光の強度を調整するために、第1レーザ光の一部をフロントモニタダイオード31の方向に反射するものとする。尚、フロントモニタダイオード31は、ビームスプリッタ32から第1レーザ光の一部を入射して、第1レーザ光の強度を調整するための光学素子である。又、コリメートレンズ33から入射する第1レーザ光の戻り光は、例えば、第2光ディスク5B又は第3光ディスク5Cで反射してS偏光のレーザ光となっているので、ビームスプリッタ32は、第1レーザ光の戻り光を、カップリングレンズ24の方向に反射する。
【0018】
コリメートレンズ33は、ビームスプリッタ32から入射する第1レーザ光を平行光に変換する。
【0019】
1/4波長板34は、コリメートレンズ33から入射する第1レーザ光を、直線偏光光から円偏光光に変換する。又、1/4波長板34は、反射ミラー35から入射する第1レーザ光の戻り光を、円偏光光から直線偏光光に変換する。
【0020】
反射ミラー35は、1/4波長板34から入射する第1レーザ光を、第1立ち上げミラー15の方向に反射する。又、反射ミラー35は、第1立ち上げミラー15から入射する第1レーザ光の戻り光を1/4波長板34の方向に反射する。
【0021】
第1立ち上げミラー15は、反射ミラー35から入射する第1レーザ光を、第2光ディスク5B又は第3光ディスク5Cの記録面に垂直な方向に反射する。又、第1立ち上げミラー15は、第1対物レンズ16から入射する第1レーザ光の戻り光を、反射ミラー35の方向に反射する。
【0022】
第1対物レンズ16は、第1立ち上げミラー15から入射した第1レーザ光を、第2光ディスク5B又は第3光ディスク5Cの記録面における信号記録層に集光する。
【0023】
第2光ディスク5B又は第3光ディスク5Cの信号記録層で反射した第1レーザ光の戻り光は、第1対物レンズ16によって平行光に変換された後、第1立ち上げミラー15、反射ミラー35を介して1/4波長板34に入射し、1/4波長板34によって円偏光光から直線偏光光に変換される。直線偏光光となった第1レーザ光の戻り光は、コリメートレンズ33、ビームスプリッタ32を介してカップリングレンズ24に入射する。
【0024】
カップリングレンズ24は、第1レーザ光の戻り光が光検出器38で受光できるように、ビームスプリッタ32から入射した第1レーザ光の戻り光の収束角を変換する。
【0025】
ハーフミラー36は、例えば、青色波長帯のS偏光のレーザ光を反射し、青色波長帯のS偏光以外のレーザ光を透過する。尚、青色波長帯の詳細については、後述する。カップリングレンズ24から入射する第1レーザ光の戻り光は、赤色波長帯又は赤外波長帯のS偏光のレーザ光で、ハーフミラー36は、カップリングレンズ24から入射する第1レーザ光の戻り光を透過する。
【0026】
検出レンズ37は、ハーフミラー36から入射される第1レーザ光の戻り光を、光検出器38に集光させるとともに、第1レーザ光の戻り光に非点収差を発生させてフォーカスエラー信号を生成する。尚、検出レンズ37の入射面側又は出射面側には、例えばシリンドリカル面、平面、凹曲面、又は凸曲面が形成されており、本実施例の場合、検出レンズ37は平行平板を非点収差の発生方向を考慮した所定方向に傾けて構成されている。
【0027】
光検出器38は、検出レンズ37から入射される第1レーザ光の戻り光を光電変換する。
【0028】
===第2光学系===
以下、図1、図2を参照して、本実施形態における光ピックアップ装置の第2光学系について説明する。
【0029】
第2光学系は、BD規格用の光学系であり、第2レーザ光源210、第2回折格子22、第2の1/2波長板23、ハーフミラー36、カップリングレンズ24、ビームスプリッタ32、コリメートレンズ33、1/4波長板34、反射ミラー35、第2立ち上げミラー25、第2対物レンズ26(対物レンズ)、検出レンズ37、光検出器38、フロントモニタダイオード31から構成される。尚、例えば、ハーフミラー36、カップリングレンズ24、ビームスプリッタ32、コリメートレンズ33、1/4波長板34、反射ミラー35、検出レンズ37、光検出器38、フロントモニタダイオード31は、第1光学系と第2光学系で共通に用いられることになる。尚、第2回折格子22、第2の1/2波長板23、ハーフミラー36、カップリングレンズ24、ビームスプリッタ32、コリメートレンズ33、1/4波長板34、反射ミラー35、第2立ち上げミラー25が第2光学系を構成する光学素子(以下、「第2光学系の光学素子」と称する)に相当する。
【0030】
第2レーザ光源210は、第1レーザ光源110が発生する第1レーザ光の波長とは異なる、第1光ディスク5Aに照射する青色波長帯(400nm〜420nm)のうち例えば405nmの波長の第2レーザ光を、第1レーザ光とは相補的に発生する。第2レーザ光源210は、例えば405nmの波長の第2レーザ光を発生する第2レーザダイオード21を、第2ホルダ27に内蔵して形成される。尚、第2ホルダ27の詳細については、後述する。
【0031】
第2回折格子22は、第2レーザ光源210で発生した第2レーザ光から、0次光、+1次回折光、−1次回折光を生成する。
【0032】
第2の1/2波長板23は、直線偏光光である第2レーザ光を例えばS偏光の直線偏光光に変換する。
【0033】
ハーフミラー36は、第2の1/2波長板23から入射する青色波長帯のS偏光の第2レーザ光を、カップリングレンズ24の方向に反射する。又、カップリングレンズ24から入射する第2レーザ光の戻り光は、例えば、第1光ディスク5Aで反射してP偏光のレーザ光となっているので、ハーフミラー36は、第2レーザ光の戻り光を透過する。
【0034】
カップリングレンズ24は、第2レーザ光が第1光ディスク5の信号記録層に集光されるように、ハーフミラー36から入射した第2レーザ光の発散角を変換する。又、カップリングレンズ24は、第2レーザ光の戻り光が光検出器38で受光できるように、ビームスプリッタ32から入射した第2レーザ光の戻り光の収束角を変換する。
【0035】
カップリングレンズ24から入射する第2レーザ光は、例えば、赤色波長帯及び赤外波長帯のP偏光以外の青色波長帯のS偏光のレーザ光なので、ビームスプリッタ32は、カップリングレンズ24から入射する第2レーザ光を、コリメートレンズ33の方向に反射する。このとき、ビームスプリッタ32は、第2レーザ光の強度を調整するために、第2レーザ光の一部を透過する。尚、フロントモニタダイオード31は、ビームスプリッタ32から第2レーザ光の一部を入射して、第2レーザ光の強度を調整するための光学素子である。又、コリメートレンズ33から入射する第2レーザ光の戻り光は、例えば、赤色波長帯及び赤外波長帯のP偏光以外の青色波長帯のP偏光のレーザ光なので、ビームスプリッタ32は、コリメートレンズ33から入射する第2レーザ光の戻り光を、カップリングレンズ24の方向に反射する。
【0036】
ビームスプリッタ32でコリメートレンズ33の方向に反射した第2レーザ光は、コリメートレンズ33によって平行光に変換された後、1/4波長板34によって直線偏光光から円偏光光に変換される。円偏光光となった第2レーザ光は、反射ミラー35によって第2立ち上げミラー25の方向に反射される。尚、第2レーザ光の光路における、反射ミラー35と第2立ち上げミラー25との間に配置された第1立ち上げミラー15は、赤色波長帯及び赤外波長帯のレーザ光を反射し、青色波長帯のレーザ光を透過するものとする。
【0037】
第2立ち上げミラー25は、反射ミラー35から入射する第2レーザ光を、第1光ディスク5Aの記録面に垂直な方向に反射する。又、第2立ち上げミラー25は、第2対物レンズ26から入射する第2レーザ光の戻り光を、反射ミラー35の方向に反射する。
【0038】
第2対物レンズ26は、第2立ち上げミラー25から入射した第2レーザ光を、第1光ディスク5Aの記録面における信号記録層に集光する。
【0039】
第1光ディスク5Aの信号記録層で反射した第2レーザ光の戻り光は、第2対物レンズ26によって平行光によって変換された後、第2立ち上げミラー25、反射ミラー35、を介して1/4波長板34に入射し、1/4波長板34によって円偏光光から直線偏光光に変換される。直線偏光光となった第2レーザ光の戻り光は、コリメートレンズ33、ビームスプリッタ32、カップリングレンズ24、ハーフミラー36を介して検出レンズ37に入射する。
【0040】
検出レンズ37は、ハーフミラー36から入射される第2レーザ光の戻り光を、光検出器38に集光させるとともに、第2レーザ光の戻り光に非点収差を発生させてフォーカスエラー信号を生成する。
【0041】
光検出器38は、検出レンズ37から入射される第2レーザ光の戻り光を光電変換する。
【0042】
===光ディスク装置===
以下、図3を参照して、本実施形態における光ピックアップ装置が用いられる光ディスク装置について説明する。図3は、本実施形態における光ピックアップ装置が用いられる光ディスク装置を示すブロック図である。
【0043】
光ディスク装置500は、スピンドルモータ502、モータ駆動回路503、光ピックアップ装置100、スレッド機構504、増幅回路505、復調回路506、フォーカス制御回路507、トラッキング制御回路508、チルト制御回路509、レーザドライバ510、変調回路511、システム制御装置512を有する。
【0044】
スピンドルモータ502は、回転軸501を軸に光ディスク5を回転させる。尚、第1光ディスク5A、第2光ディスク5B、第3光ディスク5Cのうち、スピンドルモータ502によって回転される光ディスクを、説明の便宜上、光ディスク5と称する。
【0045】
モータ駆動回路503は、システム制御装置512から送信させる制御信号に応じてスピンドルモータ502の回転を制御する。
【0046】
スレッド機構504は、例えばパルス駆動するステッピングモータを有し、システム制御装置512から送信される制御信号に応じて光ピックアップ装置100を光ディスク5の径方向(ラジアル方向)に移動させる。
【0047】
レーザドライバ510は、変調回路511から入力される信号に応じて第1レーザダイオード11A、11B、第2レーザダイオード21で夫々発生する第1レーザ光、第2レーザ光の出力を制御する。
【0048】
変調回路511は、システム制御装置512から入力される、光ディスク5に記録するデータを記録用のパルス信号に変調する。光ディスク5に記録するデータは、例えばシステム制御装置512を介してパーソナルコンピュータ等の外部装置(不図示)から随時供給されるものとする。
【0049】
増幅回路505は、光ピックアップ装置100の光検出器38から出力される電気信号に含まれるRF(Radio Frequency)信号を増幅し、復調回路506に出力する。
【0050】
復調回路506は、増幅回路505から入力されるRF信号を復調してシステム制御装置512に出力する。システム制御装置512は、復調回路506から入力される復調信号に基づくデータ信号を外部装置に出力する。
【0051】
フォーカス制御回路507、トラッキング制御回路508、チルト制御回路509は、光ピックアップ装置100の第1対物レンズ16、第2対物レンズ26の駆動制御を行う。
【0052】
===光ピックアップ装置===
以下、図1、図2、図4乃至図7を参照して、本実施形態における光ピックアップ装置について説明する。図4は、本実施形態における光ピックアップ装置を示す分解斜視図である。尚、スピンドルモータ502の回転軸501の中心軸が、説明の便宜上、一点鎖線で示される。第1の1/2波長板13、第2回折格子22、第2の1/2波長板23は見えない状態となっている。図5は、本実施形態におけるハウジングの一部を拡大した図である。尚、第1の1/2波長板13、第2回折格子22、第2の1/2波長板23は見えない状態となっている。図6は、本実施形態における、光ピックアップ装置を示す斜視図である。尚、スピンドルモータ502の回転軸501の中心軸が、説明の便宜上、一点鎖線で示される。第1ホルダ17、第2ホルダ27、第1伝熱ゲル90、第2伝熱ゲル91は、見えない状態となっているが、説明の便宜上、点線で示される。図7は、図6のA−A´の断面から他方方向へ向かって見た、光ピックアップ装置の断面図である。
【0053】
光ピックアップ装置100は、ハウジング50、カバー60、アクチュエータ70、レンズホルダ80、第1光学系の光学素子、第2光学系の光学素子、第1伝熱ゲル90、第2伝熱ゲル91を有する。尚、本実施形態において、Z軸は、光ディスク5を回転させるスピンドルモータ502の回転軸501の長手方向(垂直方向)に沿う軸であり、上側に向かう方向を+Z方向として、下側に向かう方向を−Z方向とする。Y軸は、光ディスク5の径方向(ラジアル方向)に光ピックアップ装置100が移動する方向に沿う軸であり、回転軸501から離れる方向(奥側)を+Y方向とし、回転軸501に近づく方向(手前側)を−Y方向とする。X軸は、ハウジング50の両側面に対して直交するタンジェンシャル方向に沿う軸であり、一方側の側面に向かう方向を−X方向とし、他方側の側面に向かう方向を+X方向とする。
【0054】
ハウジング50は、前述した第1光学系の光学素子、第2光学系の光学素子、第1ホルダ17、第2ホルダ27、アクチュエータ70を収容するための樹脂製の容器である。尚、第1ホルダ17、第2ホルダ27の詳細については後述する。ハウジング50は、ハウジング50の内部に第1光学系の光学素子、第2光学系の光学素子、第1ホルダ17、第2ホルダ27、第1対物レンズ16、第2対物レンズ26を例えば上側から配置して収容するための開口201が形成される。ハウジング50の手前側は、例えば、スピンドルモータを回避するように所定の曲率をもって抉られた形状を呈する。ハウジング50の両側面には、ガイド部材53、54A、54Bが設けられる。ガイド部材53、54A、54Bは、光ディスク5のラジアル方向に沿って光ピックアップ装置100を移動させるための、一対のガイド軸に対して、光ピックアップ装置100を取り付けるための部材である。ガイド部材53は、例えば、ハウジング50の一方側の側面に設けられる。ガイド部材54A、54Bは、例えば、ハウジング50の他方側の側面に設けられる。開口201には、第1光学系の光学素子、第2光学系の光学素子、第1ホルダ17、第2ホルダ27、第1対物レンズ16、第2対物レンズ26が、図1及び図2を参照して説明したような位置関係となるように配置される。尚、第1レーザダイオード11A、11B、第2レーザダイオード21をハウジング50に配置する構成の詳細については後述する。
【0055】
レンズホルダ80は、第1対物レンズ16、第2対物レンズ26を夫々、第1立ち上げミラー15、第2立ち上げミラー25夫々の上側に配置するように、第1対物レンズ16、第2対物レンズ26が設けられる。レンズホルダ80は、レンズホルダ80の両側に配置される複数のサスペンションワイヤ71によってフォーカス方向(Z軸方向)、トラッキング方向(Y軸方向)及びチルト方向に変位可能にアクチュエータフレームに取り付けられる。アクチュエータ70は、光ディスク5に照射されるレーザ光を光ディスク5の信号記録層に合焦させ、光ディスク5の信号トラックに追従させ、光ディスク5の信号記録層に対して垂直になるように、第1対物レンズ16、第2対物レンズ26をフォーカス方向(z軸方向)、トラッキング方向(y軸方向)及びチルト方向に駆動する装置である。アクチュエータ70、レンズホルダ80は、ハウジング50の開口201における、例えば、回転軸501の中心軸から奥側に向かって見て左側の領域に配置される。尚、レンズホルダ80は、レンズホルダ80を開口201に配置した際、第1対物レンズ16、第2対物レンズ26夫々が、第1立ち上げミラー15、第2立ち上げミラー25夫々の上側に配置されるように、下側に開口した形状を呈するものとする。
【0056】
ここで、第1レーザダイオード11A、11Bは、同一パッケージに複数のレーザダイオードが収納されるマルチレーザユニットの第1レーザ光源110により構成され、この第1レーザ光源110はパッケージが合成樹脂である、いわゆるフレームタイプのレーザ光源である。そして、前記第1レーザ光源110は第1ホルダ17に内蔵された状態でハウジング50に収容される。一方、第2レーザダイオード21は、第2レーザ光源210により構成され、金属性の円筒形パッケージに収納される、いわゆるCANタイプのレーザ光源である。前記第2レーザ光源210は第2ホルダ27に内蔵された状態でハウジング50に収容される。尚、第1レーザダイオード11A、11Bのうち、選択されて第1レーザ光を発生するレーザダイオードを、説明の便宜上、第1レーザダイオード11と称する。第1ホルダ17は、第1レーザダイオード11が第1レーザ光を発生した際に第1レーザダイオード11で発生する熱を放熱する機能を有する、亜鉛、アルミニウム、あるいはそれらの合金により構成される金属製の固定部材である。第2ホルダ27は、第1ホルダ17と同様に、第2レーザダイオード21が第2レーザ光を発生した際に第2レーザダイオード21で発生する熱を放熱する機能を有する、亜鉛、アルミニウム、あるいはそれらの合金により構成される金属製の固定部材である。尚、第1ホルダ17、第2ホルダ27の放熱能力は、主に、第1ホルダ17の体積、第2ホルダ27の体積に基づいて定まることになる。第1ホルダ17の体積、第2ホルダ27の体積の詳細については後述する。
【0057】
第1ホルダ17、第2ホルダ27は、ハウジング50の開口201における、例えば、回転軸501の中心軸から奥側に向かって見て右側の領域に配置される。第1ホルダ17、第2ホルダ27は、相互に隣接するように、開口201に配置される。第1ホルダ17は、例えば、第1ホルダ17の回転軸501側の側面がハウジング50における所定の曲率をもって抉られた部分に沿うように、開口201に配置される。第2ホルダ27は、例えば、第2ホルダ27における回転軸501側の側面の一部が第1ホルダ17における回転軸501側の側面とは反対側の側面の一部と対向した状態で、ハウジング50の開口201に配置される。第1ホルダ17と第2ホルダ27は、第1ホルダ17と第2ホルダ27との間に隙間ができるように、ラジアル方向において隣接する。その際、第1及び第2光学系の光路は、十分に確保された状態となる。尚、第1ホルダ17と第2ホルダ27との間の隙間が、第1間隙に相当する。
【0058】
第1伝熱ゲル90は、例えば、主成分であるシリコンに対して、アルミ、鉄等の金属粒子を混入したゲルである。第1伝熱ゲル90は、第1レーザダイオード11で発生する熱を第1ホルダ17から第2ホルダ27へ伝えるとともに、第2レーザダイオード21で発生する熱を第2ホルダ27から第1ホルダ17へ伝えるために、第1間隙に充填される。第1伝熱ゲル90は、第1間隙に充填した際、充填した領域以外の領域に広がらないような粘性を有するものとする。尚、熱の伝わりの詳細については、後述する。
【0059】
カバー60は、ハウジング50の開口201をハウジング50の上側から塞ぐための、例えばステンレスなどの金属製の平板である。カバー60は、開口201における、例えばアクチュエータ70、レンズホルダ80が配置される領域以外を塞ぐように、ハウジング50の上面における、アクチュエータ70、レンズホルダ80が配置される領域以外に沿った形状を呈する。カバー60は、開口201をハウジング50の上側から塞いだ状態で、ハウジング50の縁に、例えば、接着剤(不図示)、ビス(不図示)等によって取り付けられる。ここで、第1ホルダ17及び第2ホルダ27は、例えば、ハウジング50の底面を基準として、第1ホルダ17の高さH1及び第2ホルダ27の高さH2が、ハウジング50の縁の高さH3よりも低くなるように、開口201に配置されているものとする。よって、カバー60によってハウジング50の開口201を塞いだ場合、カバー60と第1ホルダ17との間、カバー60と第2ホルダ27との間には、隙間95ができることになる。この隙間95が、第2間隙に相当する。カバー60における例えば第2ホルダ27と対向する位置に孔61が設けられる。尚、孔61の詳細については、後述する。
【0060】
第2伝熱ゲル91は、例えば、第1伝熱ゲル90と同様に、主成分であるシリコンに対して、アルミ、鉄等の金属粒子を混入したゲルである。第2伝熱ゲル91は、第1レーザダイオード11又は第2レーザダイオード21のうち一方で発生した熱を、第1ホルダ17及び第2ホルダ27の少なくとも一方からカバー60に伝えるために、隙間95に充填される。第2伝熱ゲル91は、カバー60が取り付けられたハウジング50の隙間95に対して、カバー60に設けられた孔61から充填されるものとする。第2伝熱ゲル91は、隙間95に充填した際、充填した領域以外の領域に広がらないような粘性を有するものとする。尚、熱の伝わりの詳細については、後述する。
【0061】
===第1ホルダ及び第2ホルダの体積、放熱===
以下、図1、図2、図4乃至図7を参照して、第1ホルダ17の体積、第2ホルダ27の体積、第1レーザダイオード11及び第2レーザダイオード21の放熱について説明する。
【0062】
第1レーザダイオード11は、前述した通り、第1レーザ光を発生する際、発熱する。これは、例えば、第1レーザダイオード11で第1レーザ光を発生するときに、第1レーザダイオード11に供給される電流によって熱が発生するものである。尚、第2レーザダイオード21でも、第1レーザダイオード11と同様に、第2レーザ光を発生する際、熱が発生する。光ピックアップ装置100では、第1レーザダイオード11又は第2レーザダイオード21で発生する熱によって、第1レーザダイオード11又は第2レーザダイオード21が劣化するのを防止するために、放熱を行う必要がある。前述した通り、第1レーザダイオード11及び第2レーザダイオード21は夫々、相補的に、第1レーザ光及び第2レーザ光を発生して発熱する。第1ホルダ17と第2ホルダ27の総体積は、第1レーザダイオード11で発生する熱を、第1レーザダイオード11の劣化が抑えられる程度放熱できるとともに、第2レーザダイオード21で発生する熱を、第2レーザダイオード21の劣化が抑えられる程度放熱できる体積(以下、「レーザダイオードの劣化を抑えられる体積」と称する)とされる。尚、上記の総体積は、例えば実験等によって定められるものとする。
【0063】
よって、例えば、第1レーザダイオード11が第1レーザ光を発生した際、第1レーザダイオード11で発生する熱は、第1レーザダイオード11から第1ホルダ17に伝わり放熱される。第1ホルダ17の放熱により発生する熱は、第1伝熱ゲル90を介して、第1ホルダ17から第2ホルダ27へ伝わり放熱される。第2ホルダ27の放熱により発生する熱は、第2伝熱ゲル91を介して、カバー60に伝わり放熱される。一方、例えば、第2レーザダイオード21が第2レーザ光を発生した際、第2レーザダイオード21で発生する熱は、第2レーザダイオード21から第2ホルダ27へ伝わり放熱される。第2ホルダ27の放熱により発生する熱は、第1伝熱ゲル90を介して、第2ホルダ27から第1ホルダ17に伝わって放熱されると共に、第2伝熱ゲル91を介して、第2ホルダ27からカバー60に伝わり放熱される。
【0064】
前述したように、第1レーザダイオード11は、例えば655nmの波長の第1レーザ光を発生する。第1レーザダイオード11は、金属製の第1ホルダ17に内蔵される。第2レーザダイオード21は、例えば第1レーザ光の波長とは異なる405nmの波長の第2レーザ光を、第1レーザ光とは相補的に発生する。第2レーザダイオード21は、金属製の第2ホルダ27に内蔵される。第1対物レンズ16は、第2光ディスク5A又は第3光ディスク5Cの信号記録層に第1レーザ光を集光させる。第2対物レンズ26は、第1光ディスク5Aの信号記録層に第2レーザ光を集光させる。第1光学系の光学素子及び第2光学系の光学素子は夫々、第1レーザ光及び第2レーザ光を夫々、第1対物レンズ16及び第2対物レンズ26に案内する。第1ホルダ17、第2ホルダ27、第1対物レンズ16、第2対物レンズ26、第1光学系の光学素子及び第2光学系の光学素子は樹脂製のハウジング50に収容される。第1ホルダ17と第2ホルダ27は、ハウジング50内で隣接する。第1ホルダ17と第2ホルダ27との間の第1間隙には、第1伝熱ゲル90が充填される。第1レーザダイオード11から発生する熱は、第1ホルダ17から第2ホルダ27へ伝わり、第2レーザダイオード21から発生する熱は、第2ホルダ27から第1ホルダ17へ伝わる。よって、第1レーザダイオード11で発生する熱、第2レーザダイオード21で発生する熱を、第1ホルダ17及び第2ホルダ27に放熱できる。又、ハウジング50が樹脂製であり成型が容易なので、コンパクトな光ピックアップ装置100を提供できる。又、ハウジング50が樹脂製なので、光ピックアップ装置100の軽量化を図ることができる。
【0065】
又、第1ホルダ17と第2ホルダ27の総体積は、第1レーザダイオード11と第2レーザダイオード21の夫々の発熱量に応じて定まる。よって、例えば、第1ホルダ17と第2ホルダ27の総体積が、レーザダイオードの劣化を抑えられる体積に定められた場合、第1レーザダイオード11で発生する熱、第2レーザダイオード21で発生する熱を確実に放熱して、第1レーザダイオード11、第2レーザダイオード21の劣化を防止できる。又、第1レーザダイオード11で発生する熱を放熱するときも、第2レーザダイオード21で発生する熱を放熱するときも、第1ホルダ17及び第2ホルダ27に放熱できるので、第1ホルダ17及び第2ホルダ27の体積を小さくして、コンパクトな光ピックアップ装置100を提供できる。
【0066】
又、第1ホルダ17、第2ホルダ27、第1対物レンズ16、第2対物レンズ26、第1光学系の光学素子及び第2光学系の光学素子が露出するハウジング50の開口201の少なくとも一部は、金属製のカバー60によって塞がれる。その際、例えば、カバー60と第1ホルダ17との間、カバー60と第2ホルダ27との間には、隙間95ができる。例えば、カバー60と第2ホルダ27との間の隙間95に、第2伝熱ゲル91が充填される。よって、例えば第2ホルダ27の熱がカバー60に放熱される。よって、第1レーザダイオード11で発生する熱、第2レーザダイオード21で発生する熱の放熱能力が高い光ピックアップ装置100を提供できる。
【0067】
又、カバー60における例えば第2ホルダ27と対向する位置に孔61が設けられる。よって、例えば、ハウジング50の開口201をカバー60によって塞いだ後、カバー60と第2ホルダ27との間の隙間95に対して、カバー60の孔61から第2伝熱ゲル91を充填できる。よって、カバー60における、隙間95に第2伝熱ゲル91を確実に充填できる位置に、孔61を設けることによって、第2伝熱ゲル91を孔61から隙間95に確実に充填できる。従って、第1レーザダイオード11で発生する熱、第2レーザダイオード21で発生する熱を確実に放熱することができる。
【0068】
又、第1ホルダ17と第2ホルダ27は、ラジアル方向に沿ってハウジング50に配置される。よって、例えば、ラジアル方向における、光ピックアップ装置100が一対のガイド軸に案内されて移動する方向に沿って、第1ホルダ17と第2ホルダ27を配置した場合、例えばハウジング50の両側面に対して直交する方向の幅を短くできるので、コンパクトな光ピックアップ装置100を提供できる。
【0069】
又、第1ホルダ17と第2ホルダ27は、ラジアル方向において一部の面同士が対向するように、ハウジング50に配置される。第1ホルダ17と第2ホルダ27の一部の面同士が対向していれば、第1伝熱ゲル90を介して、第1ホルダ17と第2ホルダ27との間で相互に熱を伝えることができる。よって、第1ホルダ17における第2ホルダ27と対向する面の全面と、第2ホルダ27における第1ホルダ17と対向する面の全面とを対向させる必要がないので、ハウジング50に対する光学素子の配置等の光ピックアップ装置100の設計の自由度を向上して、コンパクトな光ピックアップ装置100を提供できる。
【0070】
[その他の実施形態]
第1実施形態においては、第1ホルダ17の高さH1及び第2ホルダ27の高さH2が、ハウジング50の底面を基準として、ハウジング50の縁の高さH3よりも低くなるように、第1ホルダ17及び第2ホルダ27をハウジング50に配置し、カバー60を平板形状とした場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、第1ホルダ17の高さH1及び第2ホルダ27の高さH2が、ハウジング50Aの底面を基準として、ハウジング50Aの縁の高さH31と同様又は高くなるように、第1ホルダ17及び第2ホルダ27をハウジング50Aに配置し、カバー60Aを、第1ホルダ17、第2ホルダ27を上側から覆う形状としてもよい。以下、図8を参照して、第1ホルダ17の高さH1及び第2ホルダ27の高さH2が、ハウジング50Aの底面を基準として、ハウジング50Aの縁の高さH31と同様又は高くなるように、第1ホルダ17及び第2ホルダ27をハウジング50Aに配置し、カバー60Aを、第1ホルダ17、第2ホルダ27を上側から覆う形状とした場合について説明する。図8は、本実施形態における光ピックアップ装置の断面図である。尚、図7に示される構成と同様な構成については、同様な符号を付し、その説明は省略する。第1ホルダ17及び第2ホルダ27は、第1ホルダ17の高さH1及び第2ホルダ27の高さH2が、ハウジング50Aの底面を基準として、ハウジング50Aの縁の高さH31と同様又は高くなるように、ハウジング50Aに配置される。カバー60Aは、第1ホルダ17、第2ホルダ27を上側から覆う形状を呈する金属製のカバーである。尚、カバー60Aにおける第1ホルダ17、第2ホルダ27を覆う部分の高さH61は、ハウジング50Aの底面を基準として、第1ホルダ17の高さH1及び第2ホルダ27の高さH2よりも高いものとする。又、カバー60Aにおける第1ホルダ17、第2ホルダ27を覆う部分以外の部分の高さH62は、ハウジング50Aの底面を基準として、第1ホルダ17の高さH1及び第2ホルダ27の高さH2と同一又は低いものとする。又、光検出器38Aの高さH38は、第2ホルダ27を覆う部分以外の部分の高さH62よりも、ハウジング50Aの底面を基準として低いものとする。
【0071】
カバー60Aによってハウジング50Aの開口を塞いだ場合、カバー60Aと第1ホルダ17との間、カバー60Aと第2ホルダ27との間には、隙間95Aができることになる。カバー60Aにおける例えば第2ホルダ27と対向する位置に設けられた孔61aから隙間95Aに、第2伝熱ゲル91Aが充填される。よって、第1レーザダイオード11又は第2レーザダイオード21で発生する熱は、第1ホルダ及び第2ホルダから第2伝熱ゲル91Aを介してカバー60Aに放熱される。ハウジング50Aの縁の高さH31は、ハウジング50Aの底面を基準として、第1ホルダ17の高さH1及び第2ホルダ27の高さH2と一又は低く、且つ、カバー60Aにおける第1ホルダ17、第2ホルダ27を覆う部分以外の部分の高さH62は、ハウジング50Aの底面を基準として、第1ホルダ17の高さH1及び第2ホルダ27の高さH2と同様又は低いので、コンパクトな光ピックアップ装置を提供できる。
【0072】
尚、第1実施形態、その他の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0073】
第1実施形態においては、第2伝熱ゲル91を孔61から隙間95Aに充填する構成について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、カバー60に孔61を設けずに、第2伝熱ゲル91が隙間95Aに充填されるように、第2伝熱ゲル91を第1ホルダ17及び第2ホルダ27の上面に盛った後、ハウジング50にカバー60を取り付けてもよい。その場合、第1ホルダ17及び第2ホルダ27とカバー60との間の隙間95に対して、十分な量の第2伝熱ゲル91を充填できるので、第1レーザダイオード11で発生する熱、第2レーザダイオード21で発生する熱の放熱能力の高い光ピックアップ装置100を提供できる。又、光ピックアップ装置100を製造する際、カバー60に対して孔61を設ける必要が無いので、製造工程を減らして、光ピックアップ装置100の製造コストを低減できる。
【符号の説明】
【0074】
5 光ディスク
5A 第1光ディスク
5B 第2光ディスク
5C 第3光ディスク
11、11A、11B 第1レーザダイオード
12 第1回折格子
13 第1の1/2波長板
15 第1立ち上げミラー
16 第1対物レンズ
17 第1ホルダ
21 第2レーザダイオード
22 第2回折格子
23 第2の1/2波長板
24 カップリングレンズ
25 第2立ち上げミラー
26 第2対物レンズ
27 第2ホルダ
31 フロントモニタダイオード
32 ビームスプリッタ
33 コリメートレンズ
34 1/4波長板
35 反射ミラー
36 ハーフミラー
37 検出レンズ
38、38A 光検出器
50、50A ハウジング
60、60A カバー
61、61A 孔
80 レンズホルダ
90 第1伝熱ゲル
91、91A 第2伝熱ゲル
95、95A 隙間
100 光ピックアップ装置
110 第1レーザ光源
201 開口
210 第2レーザ光源
500 光ディスク装置
501 回転軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1波長の第1レーザ光を発生する第1レーザダイオードと、
前記第1レーザダイオードを内蔵する金属製の第1ホルダと、
前記第1波長とは異なる第2波長の第2レーザ光を前記第1レーザ光とは相補的に発生する第2レーザダイオードと、
前記第2レーザダイオードを内蔵する金属製の第2ホルダと、
第1光ディスクの信号記録層に前記第1レーザ光を集光させるとともに、前記第1光ディスクの規格とは異なる規格の第2光ディスクの信号記録層に前記第2レーザ光を集光させる対物レンズと、
前記第1レーザ光と前記第2レーザ光を前記対物レンズに案内する光学素子と、
前記第1ホルダと前記第2ホルダが隣接するように、前記第1ホルダ、前記第2ホルダ、前記対物レンズ、前記光学素子が収容される樹脂製のハウジングと、
前記第1ホルダと前記第2ホルダとの間の第1間隙に充填され、前記第1レーザダイオードから発生する熱を前記第1ホルダから前記第2ホルダへ伝えるとともに、前記第2レーザダイオードから発生する熱を前記第2ホルダから前記第1ホルダへ伝える第1伝熱ゲルと、
を備えたことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項2】
前記第1ホルダと前記第2ホルダの総体積は、前記第1レーザダイオードと前記第2レーザダイオードの夫々の発熱量に応じて定まる
ことを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。
【請求項3】
前記第1ホルダ、前記第2ホルダ、前記対物レンズ、前記光学素子が露出する前記ハウジングの開口を塞いだ状態において、前記第1ホルダ及び前記第2ホルダの少なくとも一方との間に第2間隙を生じる金属製のカバーと、
前記第2間隙に充填され、前記第1ホルダ及び前記第2ホルダの少なくとも一方から発生する熱を前記カバーに伝える第2伝熱ゲルと、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。
【請求項4】
前記カバーは、前記第2間隙を生じる領域に孔が形成され、
前記カバーが前記開口を塞いだ後、前記第2伝熱ゲルは前記孔を通して充填される
ことを特徴とする請求項3に記載の光ピックアップ装置。
【請求項5】
前記第1ホルダと前記第2ホルダは、ラジアル方向において隣接して配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。
【請求項6】
前記第1ホルダと前記第2ホルダは、ラジアル方向において一部の面同士が対向する
ことを特徴とする請求項5に記載の光ピックアップ装置。
【請求項1】
第1波長の第1レーザ光を発生する第1レーザダイオードと、
前記第1レーザダイオードを内蔵する金属製の第1ホルダと、
前記第1波長とは異なる第2波長の第2レーザ光を前記第1レーザ光とは相補的に発生する第2レーザダイオードと、
前記第2レーザダイオードを内蔵する金属製の第2ホルダと、
第1光ディスクの信号記録層に前記第1レーザ光を集光させるとともに、前記第1光ディスクの規格とは異なる規格の第2光ディスクの信号記録層に前記第2レーザ光を集光させる対物レンズと、
前記第1レーザ光と前記第2レーザ光を前記対物レンズに案内する光学素子と、
前記第1ホルダと前記第2ホルダが隣接するように、前記第1ホルダ、前記第2ホルダ、前記対物レンズ、前記光学素子が収容される樹脂製のハウジングと、
前記第1ホルダと前記第2ホルダとの間の第1間隙に充填され、前記第1レーザダイオードから発生する熱を前記第1ホルダから前記第2ホルダへ伝えるとともに、前記第2レーザダイオードから発生する熱を前記第2ホルダから前記第1ホルダへ伝える第1伝熱ゲルと、
を備えたことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項2】
前記第1ホルダと前記第2ホルダの総体積は、前記第1レーザダイオードと前記第2レーザダイオードの夫々の発熱量に応じて定まる
ことを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。
【請求項3】
前記第1ホルダ、前記第2ホルダ、前記対物レンズ、前記光学素子が露出する前記ハウジングの開口を塞いだ状態において、前記第1ホルダ及び前記第2ホルダの少なくとも一方との間に第2間隙を生じる金属製のカバーと、
前記第2間隙に充填され、前記第1ホルダ及び前記第2ホルダの少なくとも一方から発生する熱を前記カバーに伝える第2伝熱ゲルと、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。
【請求項4】
前記カバーは、前記第2間隙を生じる領域に孔が形成され、
前記カバーが前記開口を塞いだ後、前記第2伝熱ゲルは前記孔を通して充填される
ことを特徴とする請求項3に記載の光ピックアップ装置。
【請求項5】
前記第1ホルダと前記第2ホルダは、ラジアル方向において隣接して配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。
【請求項6】
前記第1ホルダと前記第2ホルダは、ラジアル方向において一部の面同士が対向する
ことを特徴とする請求項5に記載の光ピックアップ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2013−58293(P2013−58293A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197474(P2011−197474)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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