説明

光ピンセットを用いた試料の自動抽出および精製

【課題】高い精度で、大量の対象物の三次元処理を可能にするとともに、細胞のような対象物を長い距離にわたって移動させることができる、または分析の対象物を複数の角度から回転させることができる方法と装置とを提供する。
【解決手段】自動抽出および精製システムを利用した、法医学的試料を精製する装置および方法は、光ピンセットと、試料が導入される投入通路と、投入通路からの試料を収容する室と、試料の選択粒子が除去される収集通路と、試料の非選択粒子が除去される取出口とを含む。少なくとも1つのバッファ投入通路が設けられている。投入通路が、重力による室内への試料沈殿を可能にするようにしてもよい。別の構成において、前記システムは、光トラッピングシステムと、試料を導入する第1通路と、バッファを導入する第2通路とを含み、光ピンセットを使用して試料の選択粒子を第1通路から第2通路へ移動させる。選択粒子は精子であってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ピンセットを用いた試料の自動抽出および精製(純化)に関する。特に、本発明は、ホログラフィック光トラッピングを使用して、特に性的暴行事件の法医学的試料(すなわち、綿棒、布など)といった試料から精子を自動的に抽出および精製することに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、2004年12月10日に出願された米国仮特許出願番号60/635,164および2004年12月13日出願された米国仮特許出願番号60/634,980の優先権を主張し、これらの内容全体は引用によりここに組み込まれるものとする。
法医学的検査では一連の管理を保守するために集中管理を必要とする。さらに、法医学的DNA検査のような領域では、証拠を適切に処理することによりDNA試料の汚染を防ぐことができ、これにより、単離された細胞からDNAの効果的なPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)増幅を可能にするとともにSTR(縦列型反復配列)解析を可能にする。
【0003】
例えば強姦事件の場合、試料収集の性質のため、被害者のDNAを加害者のDNAから分離することが検査を行ううえで最重要である。被害者の上皮細胞は、検査の際、しばしば加害者の精子内部でDNAと混合しているDNAを含んでいるので、結果を混乱させることがある。現在のところ、上皮細胞から精子を分離する現行の広く使用されている技術は、ひとつ、または他の細胞タイプの膜を選択的に破壊して開け、次に、その細胞タイプからDNAを洗い出し、次に、第2の細胞タイプを溶解させて、そして、第2のDNA試料を収集するよう設計された一連の洗浄工程である。この技術の不正確さと、細胞および細胞/試料履歴における変動性のために、この溶解/洗浄技術は、被害者および加害者両方の混在した特徴を有するSTR結果を与えることになる。加害者が不明の場合、DNA/STRデータベースを、加害者を特定/識別するために使用する。このような場合、混在したSTR特徴は、データベースの使用および法医学データの(a)他の犯罪および(b)加害被疑者へのリンクを妨げることになる。
【特許文献1】米国特許第6,055,106号明細書
【特許文献2】米国特許第6,624,940号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、高い精度で、大量の対象物の三次元処理を可能にするとともに、細胞のような対象物を長い距離にわたって移動させることができる、または分析の対象物を複数の角度から回転させることができる方法と装置とが所望されている。さらに、画像および/またはビデオを撮影して試料処理の視覚的記録を保管することも望まれている。また、例えば、二次汚染の可能性を排除するとともに対象物に損傷を与えないで、上記操作を密閉室内で行うことができる方法と装置とを提供すると有利である。さらに、保管のためおよび後日可能性のあるさらなる分析のために、収集されたすべての物質を保存すると有利である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、遺伝子分析またはその他の法医学的応用のために、試料から精子を単離するに際し法医学的作業に実際的に使用することができる自動単離処理の中核として、光ピンセットの使用を確立するものである。特に、本発明は、光トラッピングまたはホログラフィック光トラッピング(HOT)を使用して、精子DNAの遺伝子構成を判定するために、精子、上皮細胞およびその他の物質を含む複合試料から精子の精製試料を単離するための自動装置に関する。
【0006】
特に、ホログラフィック光トラッピング(HOT)技術は、高速、大規模並列選別を行うことにより、法医学的試料の処理において大変革を起こして、自動的に精子および上皮細胞を分離することができる。
特に、HOTは、ホログラフィック的に単一のレーザビームを複数の光トラッピンプに分割し、各光トラップを三次元でコンピュータ制御する(したがって、位置決め可能および移動可能である)。HOTシステムはこれを、空間光変調器(しばしば、液晶装置)を使用して行い、ホログラムを符号化する。コンピュータインターフェースは所望のホログラフィックパターンを空間光変調器に書きこむ。次にレーザビームは空間光変調器に反射し、そして顕微鏡対物レンズに入射すると、トラップの所望のパターンに分割される。コンピュータで生成されたパターンは、すぐに更新されてレーザトラップの動画シーケンスを描くことができ、ユーザ定義の経路に沿って粒子を引き出す。ホログラフィック制御により、トラップ種類および特性を調節することができ、金属または吸収粒子のように粒子を操作することができる。最終結果は完全なマクロまたはナノレベルの操作システムであり、三次元における任意の経路に沿って、大量の細胞またはその他の粒子を同時に移動させる能力をユーザに対して提供するものである。CCDカメラおよび画像形成処理の付加により、高度な操作を自動的に行うことができるマシンビジョン(機械視覚)誘導システムを提供する。
【0007】
大きな光トラップアレイを生成することができるので、HOTを、標準材料ベースのフィルタよりはるかに大きな利点を備えた光フィルタを生成するために使用することができる。これらの光フィルタは、所望されない物質を一掃して、試料を精製または選別して所望の成分を提供することができる。HOTフィルタは決して詰まることはなく、逆圧を生成することもなく、細胞のような物質に損傷を与えないよう調整することができる。さらに、コンピュータ制御フィルタの汎用性により、広範囲な物質を選別することができる。
【0008】
このように、HOTシステムはレーザおよびホログラフィという2つの強力な技術を組み合わせて、高精度で、大量の対象物の三次元操作を可能にする。細胞のような試料は、広範囲な距離を移動させることができ、または、種々の角度から分析するために回転させることができる。レーザビームを使用して対象物を効果的に空中浮揚させるので、操作を密閉室内で行うことができて、二次汚染を最少化または排除することができる。さらに、光による生物または無生物の操作は極めて穏やかであるので、粒子に対する損傷についての懸念を最小限に抑える。また、ホログラフィックレーザ操作システムは、ユーザ対話方式で使用することもでき、または、実質的に無制限の操作タスク組み合わせにプログラムされていてもよい。
【0009】
ここに記載の発明は、法医学的試料の非汚染導入を可能にし、光トラッピングまたはホログラフィック光トラッピングを用いて、試料を抽出用容器内へ導入し、汚染を制限するためにその容器を閉鎖する、装置および方法である。
さらに、本発明は、試料の処理についての視覚的記録を可能にする。さらに、本発明は、試料の内容を示す統計的記録の生成を可能にする。
【0010】
このように、本装置は一般的に、光トラッピングおよびホログラフィック光トラッピングを使用して、精子以外の多くの種類の法医学的証拠の処理において広範囲に応用される。
本発明に係る一実施形態において、光ピンセットを使用する自動抽出および精製システムにおいて法医学的試料を精製する方法および装置は、光トラッピングシステムと、投入通路であって、この投入通路を介して試料が導入される投入通路と、投入通路からの試料を収容する室と、収集通路であって、この収集通路を介して試料の選択粒子が除去される収集通路と、取出口であって、この取出口を介して試料の非選択粒子が除去される取出口とを含む。
【0011】
一実施形態において、少なくとも1つのバッファ投入通路が設けられ、それを介して、バッファがシステム内へ導入される。
さらに別の実施形態において、選択粒子がそれを乗り越えて取出口へ移動する障壁が設けられている。
さらに別の実施形態において、取出口は少なくとも1つの取出通路である。
【0012】
さらに別の実施形態において、投入通路は、重力により室内へ試料を沈殿させることができる。
さらに別の実施形態において、バッファ投入通路から室内へのバッファの流れおよび投入通路から室内への試料の流れは、連続的または間欠的である。
さらに別の実施形態において、室の下面は、固着防止被覆処理されて、試料が該面に固着するのを防止している。
【0013】
さらに別の実施形態において、パージ流を供給して非選択粒子を取出口を介して除去するとともに、パージ流を利用して室を洗浄する。
本発明に係るさらに別の実施形態において、光ピンセットを使用して法医学的試料を精製する自動抽出および精製装置は、光トラッピングシステムと、第1領域であって、この第1領域を介して試料が導入される第1通路と、第2領域であって、この第2領域を介してバッファが導入される第2通路とを含み、光ピンセットを使用して、試料の選択粒子を第1通路から第2通路へ移動させる。1つの実施形態において、障壁が第1通路を第2通路から分離する。固着防止被覆を、第1通路と第2通路との壁部に塗布する。
【0014】
すべての実施形態において、窓部が設けられており、この窓部を介して画像形成および光ピンセット処理が行われる。画像形成カメラは試料の画像を形成し、コンピュータによって制御される。
さらに別の実施形態において、選択粒子は精子であり、たとえば取り外し可能なガラス瓶のような分離密閉した容器内に収集される。
【0015】
さらに別の実施形態において、少なくとも通路は移動可能なステージ上に設けられている。
さらに別の実施形態において、画像形成カメラを使用して粒子を画像形成することは自動化されている。
さらに別の実施形態において、光ピンセットはホログラフィック光トラッピングを利用するが、非ホログラフィック光トラッピングを利用してもよい。
【0016】
さらに別の実施形態において、記録は自動的に生成されて選択粒子についての情報を提供する。
さらに別の実施形態において、試料の処理に関する視覚的記録をコンピュータにより保持することができる。
このように、本発明に係る特徴の概略を説明してきたが、これは、以下の詳細な説明をよりよく理解するため、および、当業技術に対する本貢献をよりよく理解するためになされたものである。以下に説明されるとともに添付の特許請求の範囲の主題を構成する、本発明に係る付加的な特徴が存在することはもちろんのことである。
【0017】
これに関し、本発明に係る少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明はその適用に際し、以下の説明または図面に示す構造の詳細および構成要素の構成に限定されるものではないということが理解されるべきである。本発明に係る方法および装置は、その他の実施形態でも可能であり、そして、種々の形態で実施が可能である。さらに、本明細書および以下に含まれる発明の要約において使用する語法および専門用語は、説明のために使用されたものであり、限定的なものとみなされるべきものではない。
【0018】
このように、当業者は、本開示の根拠となった概念を、本発明のいくつかの目的を実行するために、他の構造、方法、およびシステムを設計するための基礎として容易に利用することができる、ということを理解するであろう。したがって、特許請求の範囲は、本発明に係る方法および装置の精神および範囲から逸脱しない範囲において、これらの等価の構造体を含むものとして理解されることが重要である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、光トラッピングまたはホログラフィック光トラッピングを使用する自動抽出および精製システムに関するものであり、このシステムは、遺伝子分析およびPCR/STR処理を損なうおそれのある汚染または損傷を最少に抑えながら、法医学的試料を正確かつ三次元形式で処理するために使用されるものである。
本発明のシステムは、法医学的試料において精子を他の物質(例えば上皮細胞または異物破片など)から分離するために使用される。しかしながら、当業者であれば、本システムは細胞の何らかの個体群を、別の、例えば、それらの配列されたDNAを有する個体と他の個体との間の何らかの区別を有する細胞から分離するために使用してもよい、ということを理解するであろう。
【0020】
本発明に係る一実施形態において、精子細胞自動アイソレータ(隔離器)100のHOT光ピンセット構造体が図1に示されている。HOT光ピンセット構造体はたとえば、いずれもグリエその他による上記特許文献1および2により開示されており、それらは、ここに引用により組み込まれている。
レーザ101は、光ファイバー102を介して、ホログラフィック光トラッピング部103と、2色性ミラー104と、対物レンズ105とを経由して、スライドガラス106へレーザ光110を供給する。顕微鏡107はスライドガラス106に対して照射する。CCDカメラ109は、例えば、光トラップ112のアレイであるスライドガラス106上に画像を記録する。HOTシステム100はコンピュータ111によりコンピュータ制御されている。
【0021】
図2は、本発明に係る自動精子細胞選別装置200の一実施形態を示し、これは、図1のHOT100を使用して精子細胞を単離するために使用される。
さらに詳しくは、ビーム拡大レーザ201は、ビーム215を空間光変調器202(または、非HOTシステムの場合はモータ制御付きミラー)へ出射して、2色性ミラー203(または、画像形成を可能にする偏光ビームスプリッター)へ送り、該2色性ミラー203は、レーザビーム215を対物レンズ204を介して窓部205へ反射させ、窓部205で試料を観察することができる。画像形成カメラ206は窓部205へ向けられている。フィルタ207は、レーザ光が画像形成カメラ206へ到達して画像形成カメラ206を圧倒し、観察対象の試料の適切な画像形成を損なうことを、防いでいる。画像形成カメラ206はマシンビジョンを備えたコンピュータ制御部208に接続されている。コンピュータ制御部208はまた、空間光変調器202も制御する。
【0022】
本発明に係る一実施形態において、落射蛍光照明部209は、フィルタ210を介してビームを別の2色性ミラー211、すなわちビームスプリッターへ供給する。落射蛍光を行うと、細胞の蛍光画像形成および、場合によっては、細胞の特異(具体)的標識化もマシンビジョンと組み合わせて使用することができ、これにより、試料の成分/対象物をより簡単またはより容易に識別することができる。
【0023】
対物レンズ204上にあるシステム200の構成要素は、顕微鏡107の自動化された移動可能ステージ上にある。対物レンズ204と同じレベルまたはその下にある対物レンズ204、2色性ミラー203、コンピュータ制御部206、HOTピンセットシステム100、カメラ206などは、移動可能ステージ上にはない。
本発明の自動抽出および精製システムの一実施例において、法医学的試料212(例えば、乾燥したおよび時間が経過した精子および上皮細胞が付着した綿棒であって、水分補給されて元に戻されたもの)は、管213内の流れに導入される。法医学的試料212は、例えば、初期レベルの液体(無菌バッファー)を有する漏斗内部に入れることができる。または、例えば、法医学的試料212は、溶液が取入口に導入されたまたは膜や他の開口部を介して注入されたプラスチックカートリッジ内の流路内へ入れることができる。
【0024】
精子を含む混合溶液は、重力によって、試料212の固体部分を室(チャンバ)216の底部内へ沈殿させる。沈殿試料212は、室216の底面205に到達するが、この室216は窓部205をも有しており、この窓部を介して画像形成および光ピンセット処理が行われる。画像形成カメラ206は、顕微鏡107からの明視野照明、落射照明209(蛍光または非蛍光)、またはその他の照明によって、窓部205を介して観察を行う。
【0025】
画像形成により試料212の精子を識別し、そして、HOT100によって生成された光トラップにより、精子を室216(HOT100により観察するための窓を含む)から、例えば障壁(バリア)217を越えて、出力管218内へと移動させる。一度出力管218内部へ入ると、抽出された精子はガラス瓶219内で沈殿させられる。1つの実施形態において、ガラス瓶219は、クランプ機構220から無菌スナップ−オフ式接続部を介して取り外すことができる。
【0026】
したがって、試料212は精製されて所望の精子となり、そして、室216の底部へ沈殿した非選択物質は、例えば、パージ流により収集されて、将来ありうる分析に備えることができる。
図3に示すように、本発明の自動抽出および精製システム300の別の実施形態において、HOTシステム100は図1および図2に示すものと類似しており、同一参照符号は図2に示す同一要素を示す。
【0027】
しかしながら、本実施形態において、わずかに異なる構造と方法とを使用して自動選別が行われる。例えば、本実施形態において、室301内への2つの投入部であるバッファ投入通路301と試料投入通路302とがある。バッファは、バッファ投入通路301内へ供給され、比較的狭い管すなわち首部304を介して、貯留/抽出領域すなわち室303、および収集通路306内へ流入する。バッファは、試料投入通路302を介して導入される試料と接触する。
【0028】
1つまたは複数の光ピンセットは、室303の混合物内部で問題の対象物(すなわち、精子)を操作し(HOT100を使用して観察するための窓305を介して画像形成される)、そして、所望の対象物を収集通路306内の「搬出領域」へ移動させてもよい。対象物は、室303内へ入ってこなかったバッファとともに収集通路306を介して収集および移動される。選択されなかった他の物質を含む溶液は、出力通路307を介して室303から搬出され、将来に備えて保存される。
【0029】
首部304を介するバッファ通路301,306からの流れにより、室303から収集通路306内への物質の意図しない移動が抑制される。
室303内への流れは、連続的であるように設定してもよいし、間欠的、すなわち起動/停止モードに設定することもできる。室303の下面は、固着防止被覆材で処理して、試料が室303の下面に固着するのを防止することができる。
【0030】
本発明に係るさらに別の実施形態において、図4は自動抽出および精製システム400の別の選別部を示している。システム400はシステム300と類似しているが、投入溶液が管401に入り、重力により室402の底部へ沈殿する点が異なっている。3つの投入通路403,404,405はすべてバッファ溶液用に使用され、そして、室402内部で試料と混合される。投入通路403〜405からの緩慢な交差流れは、洗浄出力部406を介して小さな粒子を洗い流し、そして、大きな粒子は室402の底部へ落下する。選択された対象物は、収集出力部407を介して、光トラッピングにより出口流内へ押し上げられる。非選択物質は底部付近に残り、出力部408を介して流出する。
【0031】
本発明に係るさらに別の実施形態において、図5は、自動抽出および精製システム500の別の選別部を示す。システム500はシステム300,400と類似しているが、バッファは室501,503から投入されることと、試料は室502を介して投入される点が異なっている。バッファは、室501から通路504を介して室508へ流入するとともに、室503からも室510へ流入する。室502から投入された試料は、より大きな開口された交差領域、すなわち室505へ流入する。通路504,507のバッファから室505内へ弱い逆流がある。
【0032】
室505において試料は画像形成されている間、光ピンセットは試料を所望部分と非所望部分とに分離する。例えば、レイプキット(性犯罪捜査採集用セット)からの法医学的試料において、精子を分離して通路504を介して室508へ搬出することができるとともに、上皮細胞を通路507を介して室510へ搬出することができる。非選択かつ非選別の出力物は通路506を介して室509へ搬出することができる。室508〜510における出力物は、さらなる分析のために保存することができる。
【0033】
室505は洗い流して、新しい試料を充填することができる。
本発明のさらに別の実施形態において、図6Aは、HOT100を使用する自動抽出および精製システム600の別の選別部を示す。システム600の選別部は、筐体601内に例えばバッファ投入通路602,603のような複数の領域、すなわち流通通路と、試料溶液投入通路604とを有している。障壁605は筐体601の中央部に延びて、流れを603,604に分離している。
【0034】
603,604内での流れは、間隔をあけた領域、すなわち通路により相互に分離されるか、または流れを分離する障壁608(図6C参照)を有していてもよい。本発明に係る一つの実施形態において、流れは筐体601の壁部からも隔離されている。これにより、流れ同士が付着したり偶発的に混合するのを防止している。物質は、溶液投入通路604からバッファ通路603へ光学的にピンセット処理することができる。
【0035】
収集物質は、収集出力部607(図6B参照)から回収され、そして、非選択物質は出力部606にて出力される。バッファは出力部605で収集される。
すべての実施形態において、明視野および/または蛍光顕微鏡法を用いて精子細胞を識別することができる。つぎに、精子を光ピンセット処理により分離領域内に移動させて、純粋試料として抽出することができる。
【0036】
法医学性的強姦事件における精子分離に加えて、本発明では、光ピンセットを、単に精子のみならず、被害者からの細胞の純粋試料を分離するために使用することができる。
さらに、本発明では、試料処理を視覚的に記録することが可能である。
さらに、本発明では、各単離試料および/または初期試料の内容を示す統計的記録を作成することが可能である。例えば、試料出力1における収集された精子数と、試料出力2における収集された上皮細胞数とを分析することができるとともに、投入溶液における各細胞または対象物の数/濃度の推定値を作成することができる。
【0037】
操作については、上記すべての実施形態において、試料から所望の物質を選別する際に含まれる工程は類似している。
工程100において、試料212は依頼者から入手される。例えば依頼者がレイプ被害者である場合、レイプキットを使用して試料212を入手するが、試料212は精子細胞、上皮細胞および汚染物質を含むことになる。
【0038】
工程101において、試料212は、無菌の容器/包装物(すなわち、レイプキット)内に載置される。試料212は容器内に一旦固定される。
工程102において、容器は特別な取付け具、すなわちシステム200,300内に載置される。システム200,300は、上述するとともに図2および図3に示すように、さらに、図4〜図6の実施形態に示すように、試料212が沈殿している流体手段またはバッファ流213,301を備えた少なくとも1つの試料投入通路213,302と、試料212がHOT100により分離される室216,303と、所望の抽出物質用の出力通路218,306と、非選択物質を(室216または出力通路307から)除去する手段と、を含む。
【0039】
工程103において、密閉容器における試料212は、容器から試料212を搬出して管213または通路302などにおける流体手段またはバッファ流内部へ導入することにより、システム200,300内へ導入される。
1つの実施形態において、システム200,300へまず、流体バッファ容器301から流体を供給してもよい。
【0040】
さらに、試料は、システム200,300内へ導入される前に、試料212を有する容器にバッファ流を通すことにより水分補給され、その後に、試料212が投入通路内へ入るようにしてもよい。
工程104において、試料212の抽出/分離システム200,300への流動が開始されて、室216,303へ入る。この流動は重力により駆動されてもよいし、または、ポンプ駆動されてもよく、流れの調整や駆動のために種々の手段を使用してもよい。
【0041】
工程105において、室216,303、すなわち検出領域には、試料212がその内部にある状態で、流体が充填される。
工程106において、観察用窓部を含む室216,303、すなわち検出領域は、基本マシンビジョンシステムであるCCDカメラ109,206に取り付けられた顕微鏡107を介して、画像形成される。
【0042】
工程107において、検出領域(すなわち、室216,303)は所望の対象物(すなわち、精子)についてスキャンされる。
工程108において、所望の対象物(すなわち、精子,精子頭部、または関連粒子)を、画像処理を使用して識別する。
工程109において、光トラッピングまたはホログラフィック光トラッピングを使用して、所望の対象物(すなわち、精子か他のすべてのDNA含有物質か)を収集領域219,306へ移動させる。1つの実施形態において、この収集領域219,306は、清浄なバッファ流を導入することにより形成されている(すなわち、収集通路306)。
【0043】
さらに詳しくは、HOT100を使用した試料212からの精子抽出に関しては、例えば、2つの精子を、複数の上皮細胞の中から識別し、そして、精子を光ピンセットを使用して上皮細胞の右側に移動させる。次に、すべての精子が収集領域に単離されて集められる(濃縮される)まで、より多くの精子を画像形成するとともに、上皮細胞および周囲溶液から単離する。
【0044】
本発明に係る別の実施形態において、「精子を押し上げる」と表現する場合、複数の精子が同時に、光ピンセットを使用して、顕微鏡107のカバーガラスの下面の上に押し上げられることであり、複数の精子がHOT100により三次元で操作できるということを示している。精子尾部は、下方に落下し視界から外れる傾向にあるので、画像形成する場合、部分的にしか焦点が合わないことになる。光ピンセットの正確な位置は、ソフトウエアのインターフェースにおいて示すことができる(すなわち、赤いターゲットとして)。
【0045】
工程110において、光ピンセットを使用して収集された精子は、流体バッファ流を介して、収集通路218,306内へ、そして、分離密閉された容器(すなわち、219)内へ移動される。次に、汚染物質を確実に取り込まないような方法で、容器をシステム200,300から分離することができる(すなわち、クランプ機構220の無菌スナップ−オン式接続部を使用して取り外される)。
【0046】
別の工程111において、光ピンセットを使用して、精子収集領域216,306をスキャンして汚染物質を除去してもよい。汚染物質は光ピンセットを使用して、出力通路307を介して除去してもよいし、パージ流によってシステム200から取除いてもよい。
さらに別の工程112において、顕微鏡ステージ106を自動的にスキャンし、そして、検出領域216をパージ流で清浄に一掃することができる。
【0047】
さらに別の工程113において、室216,303を、光ピンセットマシンビジョンシステム206で、汚染物質に関してスキャンすることができる。汚染物質は、ホログラフィックピンセット処理によりシステム200,300から除去してもよい。
本発明に係る1つの実施形態における追加の工程において、ソフトウエアプログラムが記録を自動的にコンパイルし、そして、(画像形成処理を使用した)この記録は、例えば、抽出精子の精子数と関連動作パターンについてのフィードバックとともに出力される。
【0048】
本発明に係るさらに別の実施形態において、上記工程は、ホログラフィック光トラップまたは非ホログラフィック(シングル)光トラップを使用して行ってもよい。
本発明に係るさらに別の実施形態において、1つまたは複数の工程を組み合わせてもよい。
本発明に係る別の実施形態において、非回折限定トラップを使用して、問題の粒子だけをピンセット処理する、すなわち、トラップの大きさを粒子の大きさに整合させて所望ターゲットの優先的ピンセット処理を行うようにしてもよい。
【0049】
本発明に係る別の実施形態において、光にピンセットを使用して消費電力と必要コストとを低減してもよい。
本発明に係る別の実施形態において、トラップは、ステージが可動状態である場合は固定状態でよく、または、ステージが固定状態の場合は可動状態であってよい。ステージをスキャンする、または、ステージを移動させることは、精子を位置決めする、および/または、移動させる工程の一部となる。
【0050】
本発明に係る別の実施形態において、トラップは、ホログラフィック的に移動させてもよく、または、別の実施形態においてはミラーとともに移動させてもよい。
本発明に係る別の実施形態において、光トラップは点滅して、所望しない物質を離す(場合によっては、トラップを用いて落下させ、所望しない物質を残す)。これにより、所望の対象物を再捕獲しながら、例えば相対的に小さな大きさといった異なる特性を持った対象物をトラップから離すことができる。
【0051】
本発明に係る別の実施形態において、運動性かつ拡散性の物質および細胞は、例えば、図2の実施形態において説明したように、逆流または重力を使用して、出力(収集)通路からはずされる。
本発明に係る別の実施形態において、運動性細胞は、紫外線光(すなわち、パルス状UVレーザビーム)により、または試料への化学薬品添加により死滅させられ、たとえ存在していてもそれらが分離処理に干渉することはない。
【0052】
本発明に係る別の実施形態において、付着防止のために、バッファ領域に壁を設ける被覆を使用するか、または層流を使用する。被覆は、表面に化学溶液を噴霧するか、または図6Aに示すよう化学溶液を通路に流すことによって塗布されたポリマー被覆を含んでいる。
本発明に係る別の実施形態において、システム内の流れは、静的(ステージは移動するが流体は不動のまま、動的(ステージは不動であるが流れは移動する)、または、バッチフロー(流入、停止、流入、停止)にすることができる。例えば、試料が試料領域にあるとき、流れはすべての投入通路を通るよう駆動され、停止されてもよい。次に、細胞は光ピンセット処理により必要に応じて選別されてもよく、そして、流れは再開されて選別された物質を出力通路へ流し出すとともに、試料領域に選別対象の新しい溶液を再補充してもよい。
【0053】
バッチ処理において、試料の一部分をシステム200,300内に導入し、その試料部分について処理動作を行って、所望物質を(光ピンセット処理によって)分離し、そして、試料の別の部分をシステム200,300へ導入する。これにより、システム200,300それ自体が保持できる量よりも多い量の試料をシステム200,300へ導入することが可能となり、そして、所望の数の出力細胞を得る前に、分析する必要のある試料の量を低減することができる。
【0054】
本発明に係るさらに別の実施形態において、精子の分離は、流れの切替を使用して行う。この実施形態において、流れの切替は、バッファ溶液と、投入溶液と、バッファ溶液とをそれぞれ管内部へ移動させる3つの投入通路において行われ、この管において試料検査が、レーザで光学的にまたは他の方法で行われる。
例えば、管の顕微鏡領域における光トラッピングにより、精子を法医学的試料から分離し、そして、精子を収集出力通路へ移動させる。制御流を収集出力通路から別の出力通路へすばやく切り替えることにより、非選択細胞などを他の出力通路から除去することができる。
【0055】
切替は、機械的アクチュエータ、膜、容量方式、加熱、発熱、気泡発泡、またはその他の技術を使用して行ってもよい。出力収集通路と出力通路(これらは顕微鏡検査領域と比較すると大きい)において、小さな時間依存性流量変化により、出力間で対象物が方向づけられる。
本発明に係る別の実施形態において、光トラッピングの代わりに流れを使用して粒子を方向づけることができる。
【0056】
本発明に係るさらに別の実施形態において、精子は、対象物および対象物特性を画像処理する種々の顕微鏡技術を使用して識別することができる。この技術としては、明視野イメージングを使用する画像処理、DIC(微分干渉コントラスト)、位相コントラスト、スペクトル画像解析落射照明明視野法、蛍光画像処理、分極光法;分光法;光散乱法、例えば、非対称光散乱プロフィールの追跡、および、非結像光学プロービング(光トラップに対する対象物の反応が記録される、例えば、光のパターンに反応してその端部に精子が整列する)などがある。
【0057】
本発明は、色々な種類の細胞を分離することに使用してもよい。例えば、異なる細胞種類は、1つの識別形態であってもよい。別の識別形態は、細胞種類の性差であってもよい。例えば、DNAのHoescht染色を、DNA分類のために使用してもよく、そして、DNA量の差を測定して男性細胞または女性細胞を固定してもよい。さらに、例えば蛍光マーカのような他のマーカを使用して細胞を識別してもよい。
【0058】
例えば、細胞が3人の人間を表しているとする。これは2人の加害者の精子であるかもしれない。または、これは被害者および加害者に関連する繊維片であるかもしれないし、その繊維片に接触した、おそらく技術者か警察官といった任意の第三者の繊維片であるかもしれない。あるものは動物の細胞であるかもしれない。細胞種類を識別するとともに細胞を複数の純粋画分へ分画することに役立つある種の蛍光標識付けまたはその他の技術を使用することは有益であろう。
【0059】
HOTの選別および操作能力に加えて、HOTレーザはそれ自体、粒子プローブとして使用することができる。レーザは細胞特性または粒子の物性を識別するのに使用することができる。光透過性、光吸収性、光反射性、質量、大きさ、形状、屈折率、膜特性および可塑性などの対象物間の差異は、光トラップおよび光パターンで相互作用させると、対象物の動きおよび形状に差異をもたらす。これにより、トラップにおける対象物の挙動を利用して、異なる特性で対象物を識別することができる。
【0060】
さらに、本発明のシステム200,300は、画像処理/選択工程および場合によっては流れ制御さえ行うユーザとのユーザ対話方式で使用することができ、または、マシンビジョンを使用して、操作タスクの実質的に無制限な組み合わせをプログラムすることができる。後者の場合、コンピュータは、問題の細胞を視覚的に識別することができるとともにHOTトラップ移動シーケンスを計算して所望の対象物を試料から除去することができる。システムのパラメータを注意深く調整して問題の特定対象物を操作すると、画像形成に基づくトラップ動作により、ユーザ対話の必要性がなくなる。
【0061】
上述したように、本発明は、HOT技術の使用により広範囲な法医学的応用に影響を及ぼすものである。特に、本発明は、性的暴行事件のSTR PCRテストのために精子細胞の自動収集を可能にする。システムが生成するホログラフィックトラップの数は膨大であるので、光は完全なフィルタとして作用することができ、大きさ、形状または他の特性に基づき対象物を分離する。マシンビジョンを使用して、分離するべき細胞を選択するが、受動フィルタリングもまた選択肢の一つである。
【0062】
法医学的試料の光ピンセット処理は、精子細胞を被害者の上皮細胞から分離して、DNA鑑定用に分離室内へ導入することができるということを意味している。密閉室を含めて、処理は完全に自動化されており、これにより、二次汚染を最小限にするかまたは存在しないようにする。さらに、抽出試料の純粋性および処理の信頼性が主要な利点として挙げられる。さらに、画像形成またはビデオにより記録を保持できることは、抽出または精製試料を将来の分析に備えて保存できることとともに、大きな利点である。
【0063】
本発明の上述した実施形態は単に、本発明の原理を明瞭に理解するために記載された実施可能な例に過ぎないことは強調されるべきである。本発明の精神および原理から逸脱することなく、本発明の上記実施形態に対して種々の変更および改変を行ってもよい。このような変更および改変はすべて、本発明の範囲内に含まれるとともに下記の特許請求の範囲により保護されるべきものである。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係る一実施形態の典型的なHOTシステムの図を示す。
【図2】本発明に係る一実施形態の、図1のHOTと組み合わせる自動細胞選別装置である自動ホログラフィックレーザ抽出および精製システムの図を示す。
【図3】本発明の別の実施形態に係る自動ホログラフィックレーザ抽出および精製システムの図を示す。
【図4】自動レーザ抽出および精製システムの選別部の別の実施形態の図を示す。
【図5】自動レーザ抽出および精製システムの選別部のさらに別の実施形態の図を示す。
【図6A】自動レーザ抽出および精製システムの選別部のさらに別の実施形態の端部の斜視図を示す。
【図6B】図6Aの実施形態の端面図を示す。
【図6C】図6Aの実施形態の断面図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ピンセットを使用する自動抽出および精製システムにおいて法医学的試料を精製する方法であって、
流体とともに法医学的試料を投入通路へ導入することと、
前記投入通路を介して室の内部へ前記試料を流動させることと、
光ピンセットを使用して、前記室の内部において前記試料の選択粒子を分離することと、
前記分離された選択粒子を収集通路を介して排出することと、
前記非選択粒子を取出口を介して排出することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記流体はバッファである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記投入通路には、まず前記バッファが供給される請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記バッファは、別の投入通路に導入される請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記試料は、前記投入通路内へ導入される前に、バッファによって水分補給される請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記試料は、重力により前記室の底部へ沈殿させられる請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記流体は、前記室へポンプで注入される請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記室は、マシンビジョンシステムにより画像形成するための窓部を含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記試料の前記選択粒子について、前記室をスキャンすることをさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記マシンビジョンシステムを使用して、画像処理により前記選択粒子を固定することをさらに含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記精子は、表面上に押し上げられるとともに三次元的に操作される請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記選択粒子は、分離され密閉された容器内に収集される請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記容器は、無菌スナップ−オフ式接続部を介して取り外される請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記取出口を介して光ピンセットを使用して前記非選択粒子を排出することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項15】
パージ流を供給して前記非選択粒子を前記取出口を介して排出することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項16】
パージ流を使用して前記室を洗浄することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記マシンビジョンシステムを使用する粒子画像形成は、自動的に行われ、視覚的記録を保持することができる請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記光ピンセットはホログラフィック光トラッピングを利用する請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記光ピンセットは非ホログラフィック光トラッピングを利用する請求項1に記載の方法。
【請求項20】
記録は自動的に生成されて前記選択粒子に関する情報を提供する請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記光トラッピングシステムにより生成された非回折限界的光トラップを使用して、前記選択粒子のみにピンセット処理を行うことができる請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記光ピンセットは、白色光光ピンセットである請求項1に記載の方法。
【請求項23】
ホログラフィック光トラッピングシステムは、その構成部材を装着するステージとともに使用され、前記ステージは移動可能である請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記ホログラフィック光トラッピングシステムにより生成される光トラップは、点滅して前記非選択粒子を離す請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記試料は複数の生物学的細胞を含み、少なくとも1つの生物学的細胞は、紫外線、および前記試料への化学薬品添加のいずれかにより死滅させられる請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記投入通路、前記室、前記収集通路、および前記取出口の壁部を被覆して固着を防止することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記システムを通る流れは、静的、動的、およびバッチフローのいずれかである請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記試料の選択粒子および非選択粒子への分離は、流れの切替えを使用して行われる請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記ホログラフィック光トラッピングシステムのレーザは、粒子プローブとして使用することができる請求項18に記載の方法。
【請求項30】
光ピンセットを使用する自動抽出および精製システムにおいて法医学的試料を精製する方法であって、
法医学的試料を第1領域内へ導入することと、
バッファを第2領域内へ導入することと、
光ピンセットを使用して前記試料の選択粒子を前記第1領域から前記第2領域へ移動させることと
を含む、方法。
【請求項31】
障壁が前記第1領域を前記第2領域から分離する請求項30に記載の方法。
【請求項32】
マシンビジョンシステムを使用して画像処理することにより、前記選択粒子を固定することをさらに含む請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記マシンビジョンシステムを使用する前記粒子の画像形成は自動化されており、視覚的記録を保持することができる請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記光ピンセットはホログラフィック光トラッピングを利用する請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記光ピンセットは非ホログラフィック光トラッピングを利用する請求項30に記載の方法。
【請求項36】
記録は自動的に生成されて、前記選択粒子に関する情報を提供する請求項30に記載の方法。
【請求項37】
前記光トラッピングシステムにより生成された非回折限界的光トラップを使用して、前記選択粒子のみをピンセット処理することができる請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記光ピンセットは、白色光光ピンセットである請求項30に記載の方法。
【請求項39】
ホログラフィック光トラッピングシステムは、その構成部材を装着するステージとともに使用され、前記ステージは移動可能である請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記ホログラフィック光トラッピングシステムにより生成される光トラップは、点滅して前記非選択粒子を離す請求項34に記載の方法。
【請求項41】
前記非選択粒子は、紫外線、および前記試料への化学薬品添加のいずれかにより死滅させられる請求項34に記載の方法。
【請求項42】
前記第1領域および前記第2領域の壁部を被覆して固着を防止することをさらに含む請求項30に記載の方法。
【請求項43】
前記ホログラフィック光トラッピングシステムのレーザは、粒子プローブとして使用することができる請求項30に記載の方法。
【請求項44】
光ピンセットを使用して法医学的試料を精製する自動抽出および精製装置であって、
光トラッピングシステムと、
投入通路であって、この投入通路を介して試料が導入される投入通路と、
前記投入通路からの前記試料を収容する室と、
収集通路であって、この収集通路を介して前記試料の選択粒子が排出される収集通路と、
取出口であって、この取出口を介して、前記試料の非選択粒子が排出される取出口と
を含む、装置。
【請求項45】
前記投入通路へ至る漏斗をさらに含む請求項44に記載の装置。
【請求項46】
前記投入通路はカートリッジ内に設けられている請求項44に記載の装置。
【請求項47】
窓部であって、この窓部を介して画像形成および光ピンセット処理が行われる窓部をさらに含む請求項44に記載の装置。
【請求項48】
前記光トラッピングシステムは、前記試料の画像を形成する画像形成カメラを含む請求項44に記載の装置。
【請求項49】
落射照明部をさらに含む請求項44に記載の装置。
【請求項50】
前記光トラッピングシステムは顕微鏡を含む請求項44に記載の装置。
【請求項51】
障壁であって、この障壁を乗り越えて前記選択粒子が移動される障壁をさらに含む請求項44に記載の装置。
【請求項52】
少なくとも1つのバッファ投入通路をさらに含む請求項44に記載の装置。
【請求項53】
前記選択粒子収集のための取り外し可能なガラス瓶をさらに含む請求項44に記載の装置。
【請求項54】
前記画像形成カメラを制御するコンピュータをさらに含む請求項48に記載の装置。
【請求項55】
少なくとも、前記室と、前記投入通路と、および前記収集通路とが設けられている移動可能なステージをさらに含む請求項44に記載の装置。
【請求項56】
前記取出口は、少なくとも1つの取出通路である請求項52に記載の装置。
【請求項57】
前記投入通路が、重力による前記室の内部への前記試料の沈殿を可能にする請求項56に記載の装置。
【請求項58】
前記バッファ投入通路からの前記室内へのバッファの流れ、および前記投入通路からの前記室内への前記試料の流れは、連続的および間欠的のいずれかである請求項52に記載の装置。
【請求項59】
前記室の下面は、固着防止被覆処理されて固着を防止する請求項44に記載の装置。
【請求項60】
前記投入通路は、まずバッファが供給される請求項44に記載の装置。
【請求項61】
前記試料は、前記投入通路内へ導入される前に、バッファによって水分補給される請求項44記載の装置。
【請求項62】
前記バッファは、前記室へポンプで注入される請求項58に記載の装置。
【請求項63】
前記選択粒子は、分離され密閉された容器内に収集される請求項44に記載の装置。
【請求項64】
前記容器は、無菌スナップ−オフ式接続部を介して取り外される請求項63に記載の装置。
【請求項65】
パージ流を供給して、前記非選択粒子を前記取出口を介して除去する請求項44に記載の装置。
【請求項66】
パージ流を使用して前記室を洗浄する請求項44に記載の装置。
【請求項67】
前記画像形成カメラを使用する前記粒子の画像形成は、自動化されている請求項54に記載の装置。
【請求項68】
前記光ピンセットはホログラフィック光トラッピングを利用する請求項44に記載の装置。
【請求項69】
前記光ピンセットは非ホログラフィック光トラッピングを利用する請求項44に記載の装置。
【請求項70】
記録が自動的に生成されて、前記選択粒子に関する情報を提供する請求項54に記載の装置。
【請求項71】
前記光トラッピングシステムにより生成される非回折限界的光トラップを使用して、前記選択粒子のみにピンセット処理を行うことができる請求項69に記載の装置。
【請求項72】
前記光ピンセットは、白色光光ピンセットである請求項44に記載の装置。
【請求項73】
前記ホログラフィック光トラッピングシステムにより生成された光トラップは、点滅して前記非選択粒子を離す請求項68に記載の装置。
【請求項74】
前記試料は複数の生物学的細胞を含み、少なくとも1つの生物学的細胞は、紫外線、および前記試料への化学薬品添加のいずれかにより死滅させられる請求項44に記載の装置。
【請求項75】
前記システムを通る流れは、静的、動的、およびバッチフローのいずれかである請求項44に記載の装置。
【請求項76】
前記試料の前記選択粒子および前記非選択粒子への分離は、流れの切替えを使用して行われる請求項44に記載の装置。
【請求項77】
前記ホログラフィック光トラッピングシステムのレーザは、粒子プローブとして使用することができる請求項68に記載の装置。
【請求項78】
視覚的記録を、前記コンピュータにより保持することができる請求項54に記載の装置。
【請求項79】
光ピンセットを使用して法医学的試料を精製するための自動抽出および精製装置であって、
光トラッピングシステムと、
第1領域であって、この第1領域を介して試料が導入される第1領域と、
第2領域であって、この第2領域を介してバッファが導入される第2領域と、
を含み、
光ピンセットを使用して前記試料の選択粒子を前記第1領域から前記第2領域へ移動させる、装置。
【請求項80】
前記第1領域を前記第2領域から分離する障壁をさらに含む請求項79に記載の装置。
【請求項81】
前記第1領域および前記第2領域の壁部に塗布された固着防止被覆をさらに含む請求項79に記載の装置。
【請求項82】
窓部であって、この窓部を介して画像形成および光ピンセット処理を行う窓部をさらに含む請求項79に記載の装置。
【請求項83】
前記光トラッピングシステムは、前記試料の画像を形成する画像形成カメラを含む請求項79に記載の装置。
【請求項84】
落射照明部をさらに含む請求項79に記載の装置。
【請求項85】
前記光トラッピングシステムは顕微鏡を含む請求項79に記載の装置。
【請求項86】
前記画像形成カメラを制御するコンピュータをさらに含む請求項83に記載の装置。
【請求項87】
少なくとも前記第1通路および前記第2通路が設けられている移動可能なステージをさらに含む請求項79に記載の装置。
【請求項88】
前記第1領域および前記第2領域には、まずバッファが供給される請求項79に記載の装置。
【請求項89】
前記試料は、前記第1通路内へ導入される前に、バッファによって水分補給される請求項79に記載の装置。
【請求項90】
バッファを投入するための第3領域をさらに含む請求項80に記載の装置。
【請求項91】
前記選択粒子は、分離され密閉された容器内に収集される請求項79に記載の装置。
【請求項92】
前記画像形成カメラを使用する前記粒子の画像形成は自動化されている請求項86に記載の装置。
【請求項93】
前記光ピンセットはホログラフィック光トラッピングを利用する請求項79に記載の装置。
【請求項94】
前記光ピンセットは非ホログラフィック光トラッピングを利用する請求項79に記載の装置。
【請求項95】
記録が自動的に生成されて、前記選択粒子についての情報を提供する請求項86に記載の装置。
【請求項96】
前記光トラッピングシステムにより生成された非回折限界的光トラップを使用して、前記選択粒子のみにピンセット処理を行うことができる請求項94に記載の装置。
【請求項97】
前記光ピンセットは、白色光光ピンセットである請求項79に記載の装置。
【請求項98】
前記ホログラフィック光トラッピングシステムにより生成された光トラップは、点滅して前記非選択粒子を離す請求項93に記載の装置。
【請求項99】
前記試料は複数の生物学的細胞を含み、少なくとも1つの生物学的細胞は、紫外線、および前記試料への化学薬品添加のいずれかにより死滅させられる請求項79に記載の装置。
【請求項100】
前記ホログラフィック光トラッピングシステムのレーザは、粒子プローブとして使用することができる請求項93に記載の装置。
【請求項101】
視覚的記録は前記コンピュータにより保持することができる請求項86に記載の装置。
【請求項102】
前記選択粒子は、精子細胞および上皮細胞の少なくとも1つである請求項44に記載の装置。
【請求項103】
前記選択粒子は、精子細胞および上皮細胞の少なくとも1つである請求項79に記載の装置。
【請求項104】
前記選択粒子は、精子細胞および上皮細胞の少なくとも1つである請求項1に記載の方法。
【請求項105】
前記選択粒子は、精子細胞および上皮細胞の少なくとも1つである請求項30に記載の方法。
【請求項106】
前記取出口は、前記選択粒子のそれぞれに向けられた複数の取出通路を含む請求項44に記載の装置。
【請求項107】
前記取出口は、前記選択粒子のそれぞれに向けられた複数の取出通路を含む請求項1に記載の方法。
【請求項108】
前記システムはユーザ制御される請求項18に記載の方法。
【請求項109】
前記システムはユーザ制御される請求項34に記載の方法。
【請求項110】
前記システムはユーザ制御される請求項68に記載の装置。
【請求項111】
前記システムはユーザ制御される請求項93に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【公表番号】特表2008−530981(P2008−530981A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−545705(P2007−545705)
【出願日】平成17年12月12日(2005.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2005/044880
【国際公開番号】WO2006/063335
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(503419767)アリックス インコーポレイテッド (13)
【Fターム(参考)】