説明

光ファイバケーブル用補助チューブ

【課題】現状使用されている現場付けコネクタをそのまま使用し、外形寸法を小さくして細径化された光ファイバケーブルが取り付けられるよう外形整合と適正な把持力を保持する構造の光ファイバケーブル用補強チューブを提供する。
【解決手段】光ファイバケーブル3を外被把持部材19に設置するための環状の光ファイバケーブル用補助チューブ1であって、前記補助チューブ1は、前記光ファイバケーブル3を挿入したときに、前記光ファイバケーブル3に接触する第1の対向面を備えた第1の周壁13と、前記第1の対向面7と交差する方向に形成され、前記光ファイバケーブル3との間に、間隙が形成される第2の対向面9を備えた第2の周壁15とを備え、前記光ファイバケーブル3を挿入した前記補助チューブ1を前記外被把持部材19に設置したときに、前記第2の対向面9が内方向に変形されて前記光ファイバケーブル3に接触するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宅内配線、既設マンション配線用として用いられる光ファイバケーブルの外形寸法をより小さくする細形化に伴い、細形化した光ファイバケーブルを既存の光ファイバケーブル用コネクタの外被把持部材に設置するときに使用される補助チューブに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のFTTH(Fiber To The Home)では、宅内や既設マンション等に引き込まれる光ファイバケーブルに現場でコネクタ取付けが行えるよう現場付けコネクタが開発され、広く普及している。現場付けコネクタは、機器との光ファイバの接続構成部と外被把持部材を保持固定する保持機構部と前記外被把持部材とを有し、現場付けコネクタ本体には光ファイバの接続構成部と外被把持部材を保持固定する保持機構部を内蔵し、光ファイバケーブルを把持した外被把持部材を、現場付けコネクタ本体の外被把持部材を保持固定する保持機構部に収納し、現場でのコネクタ取付けをするものである。
【0003】
宅内や既設マンション等に引き込む際、配線経路には既にケーブル類が多く配線されており、追加配線できる隙間(空間)が小さく、従来使われている光ファイバケーブル外形では配線困難な場合が発生している。そこで、外形寸法をより小さくした細い光ファイバケーブルにすることで配線し易くすると、従来の光ファイバケーブルで設定された現場付けコネクタの外被把持部材に取付けることができなくなる。この問題を解決するために細形化した光ファイバケーブルにアダプタとして補助チューブを通すことにより、前記外被把持部材へ取付ける部分の外形をほぼ同じにし、従来と同じ様に現場付けコネクタを取付けできるものである。
【0004】
尚、現場付けコネクタ付け後のケーブルの取り扱い性も、従来と同様に光ファイバケーブルの外被把持部材の把持力は、一般的に1kg以上となるように構成設定された補助チューブである。
【0005】
ところで、特許文献1には、テーパ状部を備えて形成されている押圧部材を用いて、ワイヤーハーネスを把持固定するものが示されている。この方式では、ワイヤーハーネスの外径に係らず押圧部材のテーパ部でワイヤーハーネスを把持し、筐体内のコネクタやハンダ接続部のダメージを防止するものである。しかしながら、この方式では光ファイバケーブルの場合、張力が加わるとテーパによって光ファイバケーブル側面に過剰な側圧力が加わったり、テーパ構造のため把持位置が移動することなどが想定され光ファイバケーブルでは、伝送損失異常発生の原因となることが考えられる。
【0006】
したがって、特許文献1に記載の構成をそのまま光ファイバケーブルの場合に適用することはできないものである。
【特許文献1】特願2002−183206
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明においては、過剰な側圧力が加わったり、把持位置が移動することのない把持固定機能を有する構造として、既存の光ファイバケーブルの外形で適用されている一般的な外被把持部材で細径化した光ファイバケーブルへの過剰な側圧力が加わらず把持力が、例えば、1kg以上となるように従来より細形化された光ファイバケーブルでも従来の現場付けコネクタを容易に使用できる必要がある。
【0008】
本発明は、従来よりも細形化された光ファイバケーブルにより、容易に宅内や既設マンション等に引き込みすることができるようになり、既存で使われている現場付けコネクタの外被把持部材をそのまま使用して、従来よりも細形化された光ファイバケーブルが取り付けられるよう外形の整合と適正な把持力を保持することができるようになることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、光ファイバケーブルを外被把持部材に設置するための環状の光ファイバケーブル用補助チューブであって、
前記補助チューブは、前記光ファイバケーブルを挿入したときに、前記光ファイバケーブルに接触する第1の対向面を備えた第1の周壁と、前記第1の対向面と交差する方向に形成され、前記光ファイバケーブルとの間に、間隙が形成される第2の対向面を備えた第2の周壁とを備え、
前記光ファイバケーブルを挿入した前記補助チューブを前記外被把持部材に設置したときに、前記第2の対向面が内方向に変形されて前記光ファイバケーブルに接触するように構成されている光ファイバケーブル用補助チューブである。
【0010】
また、前記光ファイバケーブル用補助チューブにおいて、
前記第2の対向面に対応した外周に突起が設けられている光ファイバケーブル用補助チューブである。
【0011】
また、前記光ファイバケーブル用補助チューブにおいて、前記第1の周壁の肉厚が、前記第2の周壁よりも厚くなっている光ファイバケーブル用補助チューブである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、従来よりも外形寸法を小さくして細形化された光ファイバケーブルに光ファイバケーブル用補助チューブを使用して、容易に宅内や既設マンション等に引き込まれ、既存で使われている現場付けコネクタをそのまま使用することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る光ファイバケーブル用補助チューブ1の概略構成を示す断面図であり、図2は、本発明の実施形態に係る光ファイバケーブル用補助チューブ1の概略設置状態を示す斜視図である。
【0014】
図1、2に示すように断面形状がほぼ矩形で環状の光ファイバケーブル用補助チューブ1は、従来よりも外形寸法を小さくして細形化された断面形状が矩形状の光ファイバケーブル3を挿入したときに、この光ファイバケーブル3に内面が接触する第1の対向面7を備え、前記補助チューブ1の第1の対向面7を備えた第1の周壁13を備えている。
【0015】
また、前記第1の対向面7と交差する方向に形成された第2の対向面9を備え、前記補助チューブ1の第2の対向面9を備えた第2の周壁15を備えることによって断面形状がほぼ矩形状に形成されている。尚、前記第1の周壁13の肉厚は、前記第2の周壁15よりも厚く形成されている。換言すれば、第2の周壁15は、第1の周壁13に比較して弾性変形し易いように、第1の周壁13よりも薄く形成してある。
【0016】
前記補助チューブ1は前記第1、2の周壁13、15を備えることによって内周面が環状(例えば、光ファイバケーブル3の外形の形状に対応した矩形状の環状)に構成されている。上記構成の補助チューブ1内に断面形状が矩形の光ファイバケーブル3を挿入したとき、前記第1の対向面7が光ファイバケーブル3の側面に接触して光ファイバケーブル3が保持され位置決めされるようになっている。すなわち、図1において、光ファイバケーブル3に備えた光ファイバ心線5が左右方向の中心に位置するように左右方向への移動が規制される。また、前記第2の対向面9と光ファイバケーブル3との間には、それぞれ間隙17が形成されている。また、補助チューブ1への光ファイバケーブル3の挿入性は、前記第2の対向面9と光ファイバケーブル3との間に、それぞれ間隙17が形成されることにより、前記第1の対向面7と前記第2の対向面9の両面が接触する構成より接触面を少なくし摩擦力を小さくすることで補助チューブ1に光ファイバケーブル3を挿入し易くなるよう構成されている。尚、前記補助チューブは、難燃オレフィン系樹脂で構成されている。
【0017】
ところで、既存の一般的な外被把持部材19に、外形の細い光ファイバケーブル3の端部に前記補助チューブ1を取り付けた状態において設置したときに、図3に示すように、前記第2の対向面9が内方向に弾性変形されて前記光ファイバケーブル3に両側から接触するように構成されている。すなわち、前記第2の周壁15の外側面には、外被把持部材19の本体枠19aによって押圧される突起11が設けられている。また、前記第2の周壁15が薄肉になっていることにより内方向に弾性変形し易いように構成されている。この突起11は、前記補助チューブ1における第2の周壁15の中央に設けられており、突起11の形状は、補助チューブ1の長手方向に直交する断面で見たとき、等脚台形形状となっている。そして、長手方向に連続した構成となっている。尚、この突起11は複数並列された構成であっても、また、不連続であってもよい。尚、この前記補助チューブ1の材質は、光ファイバケーブル3の外被と同じ樹脂を用いてもよい。
【0018】
前記外被把持部材19に設置する際には、図3(a)、(b)のように光ファイバケーブル3を挿入した補助チューブ1を外被把持部材19の本体枠19aに第1の周壁13が先行するように押し込むことにより第2の周壁15が内方向へ弾性変形し、前記補助チューブ1の前記突起11と前記第1の対向面7と前記第2の対向面9の各面の交差部分や、前記等脚台形形状の前記突起11の上底と下底を結ぶ直線が前記外周と交差する部分には応力集中が生じるため、交差部分を円弧状等に面取りすることにより、設置時に前記交差部分で前記補助チューブ1が裂けてしまうことをより防止できる。
【0019】
前述のように、外被把持部材19に光ファイバケーブル3を設置すると、補助チューブ1の突起11が押圧され、第2の対向面9が光ファイバケーブル3に上下両側から接触し押圧するので、光ファイバ心線5は上下方向の中心に位置することになる。
【0020】
本実施例に係る光ファイバケーブル用補助チューブ1を使用することにより従来の光ファイバケーブル3と同様に細形化された光ファイバケーブル3を、既存で使われている現場付けコネクタにそのまま使用できると共に、従来の光ファイバケーブルにも従来通りに取り付けられ、施工環境の状況によって使い分けすることができる。
【0021】
ところで、本発明は、前述したごとき実施形態に限るものではなく、適宜の変更を行うことにより、その他の態様でも実施可能である。すなわち、補助チューブ1と光ファイバケーブル3との隙間17は、矩形状の長辺側に生じる構成としたが、短辺側に生じる構成とすることも可能である。また、補助チューブ1の第1の対向面7に、光ファイバケーブル3を保持する保持溝を形成することも可能である。すなわち、種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】光ファイバケーブル用補助チューブの概略構造を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る光ファイバケーブル用補助チューブの概略設置状態を示す斜視図である。
【図3】光ファイバケーブル用補助チューブに光ファイバケーブルを挿入した状態で、外被把持部材に設置した際の補助チューブ変形状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1・・・光ファイバケーブル用補助チューブ
3・・・光ファイバケーブル
5・・・光ファイバ心線
7・・・第1の対向面(規制面)
9・・・第2の対向面
11・・・突起
13・・・第1の対向壁部
15・・・第2の対向壁部
17・・・間隙
19・・・外被把持部材
19a・・・本体枠
19b・・・蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバケーブルを外被把持部材に設置するための環状の光ファイバケーブル用補助チューブであって、
前記補助チューブは、前記光ファイバケーブルを挿入したときに、前記光ファイバケーブルに接触する第1の対向面を備えた第1の周壁と、前記第1の対向面と交差する方向に形成され、前記光ファイバケーブルとの間に、間隙が形成される第2の対向面を備えた第2の周壁とを備え、
前記光ファイバケーブルを挿入した前記補助チューブを前記外被把持部材に設置したときに、前記第2の対向面が内方向に変形されて前記光ファイバケーブルに接触するように構成されていることを特徴とする光ファイバケーブル用補助チューブ。
【請求項2】
請求項1に記載の光ファイバケーブル用補助チューブにおいて、
前記第2の対向面に対応した外周に突起が設けられていることを特徴とする光ファイバケーブル用補助チューブ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光ファイバケーブル用補助チューブにおいて、前記第1の周壁の肉厚が、前記第2の周壁よりも厚くなっていることを特徴とする光ファイバケーブル用補助チューブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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