説明

光ファイバジャイロスコープ

【課題】改良された共振器光ファイバジャイロ(RFOG)を提供すること。
【解決手段】一例のRFOG(100)は、対向伝搬レーザビームがファイバカプラ(110、112、114)によって行われる閉コイル共振器(102)を含む。信号は、他のファイバカプラを使用して、リング共振器から抽出される。ファイバカプラは、ファイバ接続のカプラ、自由空間ファイバ対ファイバ結合要素、または類似の結合デバイスであってよい。シリコン構造が、ジャイロの構成要素、またはただ結合要素だけを位置合わせするために使用可能である。共振器は、中空コア・ファイバを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ジャイロは、回転率、または軸の周りの角速度の変化を測定するために使用されている。
【背景技術】
【0002】
共振器光ファイバジャイロ(RFOG)においては、対向伝搬光ビームは、単色であり、多重巻きのコイル内を再循環し、複数回通過の場合、反射型デバイスなどの外部の再循環器を使用して、コイル内を再循環する。ビーム発生デバイスは、一般には、対向伝搬光ビームのそれぞれの周波数を変調し、かつ/または偏移させ、それにより、共振コイルの共振周波数は観測可能になる。コイル全体にわたるCW経路およびCCW経路のそれぞれについての共振周波数は、それぞれの光学経路内で連続的に再循環されるビームの建設的干渉に基づく。コイルの回転は、共振コイルのそれぞれの共振周波数に偏移をもたらし、回転によるコイルの共振周波数偏移を一致させるようにCWビーム周波数と、CCWビーム周波数とを調整することと関連付けられる周波数差が、回転率を示す。反射型ミラーが、対向伝搬光ビームをコイル内で再循環するために使用可能であるが、これにより、一般には、ミラーからコイルへの遷移時に発生する損失から信号対雑音比が抑えられる。
【0003】
したがって、ナビゲーションシステムのための十分な精度により回転率を測定することのできる光ファイバジャイロを提供することが望ましい。加えて、比較的小型のプラットホームにより集積化するための、および比較的安価に製造される高精度光ファイバジャイロを提供することが望ましい。所与のコイル直径に対して優れた性能を得るためのRFOGの鍵は、光がファイバ全体にわたって多数のトリップをもたらすようなファイバ対ファイバの結合損失の低いことである。図1に示されるこの分野の従来技術は、ファイバ対ファイバ結合を行うために、98%反射型ミラーを使用する。このアーキテクチャは、反射型ミラーコーティングが、複数の誘電体コーティングにより非常に精密に製造可能であるという利点を使用する一方、深刻な不利点、すなわち、2つのファイバ端部を互いに確実に位置合わせすることが困難であるという不利点に悩まされる。この設計の実装形態には、時間がかかり、費用もかかる能動的かつ手動での位置合わせが必要になる。
【0004】
別の結合設計は、図2に示されている。これは、同時係属中の2008年1月4日申請の米国特許出願第11/969,822号に記載されている実装形態である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願第11/969,822号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、改良された共振器光ファイバジャイロ(RFOG)を提供する。一例のRFOGは、対向伝搬レーザビームがファイバカプラによって行われる閉コイル共振器を含む。信号は、他のファイバカプラを使用して、リング共振器から抽出される。
【0007】
ファイバカプラは、ファイバ接続のカプラ、自由空間ファイバ対ファイバ結合要素であってよい。シリコン構造が、ジャイロの構成要素、またはただ結合要素だけを位置合わせするために使用可能である。
【0008】
本発明の好ましく、代替の実施形態は、以下の図面を参照して、詳細に後述される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一例の従来技術システムの概略図である。
【図2】同時係属中の出願において使用されるレンズ結合システムである。
【図3】本発明の実施形態により形成される一例のシステムの概略図である。
【図4】図2に示されるシステムを示す引き伸ばした図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図3は、一例の共振器光ファイバジャイロ(RFOG)20を示している。RFOG20は、反時計回り(CCW)光源30と、時計回り(CW)光源40と、センサ(例えば、CCWフォトダイオード50およびCWフォトダイオード60)とに光学的に結合されている閉コイル共振器24を含む。フォトダイオード50および60は、処理デバイス70とデータ連通している。処理デバイス70は、入力/出力デバイス80とデータ連通している。閉コイル共振器24は閉光学要素である、言い換えれば、共振器の自由端部は光学的に接合されているので、ファイバ・プラス・自由空間の光学設計と関連付けられる問題は回避される。一実施形態においては、閉コイル共振器24は、中空コア・フォトニックバンドギャップファイバ(PBF)である。
【0011】
図4は、光カプラ110、112および114を含む図3の共振器24を示している。光カプラ110は、CCW光源30(Ein_CCW)によって生成される光が、共振器24内に反時計回りの方向で導入されることを可能にする。光カプラ112は、CW光源40(Ein_CW)によって生成される光が、共振器24によって受け取られることを可能にし、したがって、共振器24の中に、時計回りの方向で光信号を生成する。光カプラ114は、共振器24内のCWおよびCCW光が、共振器24から出ること、およびフォトダイオード50、60それぞれによって受け取られることを可能にする。
【0012】
光カプラ110、112、114の例は、ファイバ接続光カプラと、非常に短い自由空間ファイバ対ファイバ結合要素とを含むことが可能である。結合要素は、数ミクロンの間隔を提供する。
【0013】
中空コア・ファイバ共振器24の端部は、いくつかの異なるやり方のいずれかで、接合されている。例えば、光学的に適合するエポキシが、端部を一緒に接着させるために使用される。別の例では、端部は、マイクロマシン化されたシリコン構造において位置合わせされる。シリコン構造は、ファイバコイルの端部を受け、一緒に接続し、レーザ溶接し、かつ/または光ファイバコネクタを使用するためのサイズに作られた精密にエッチングされているv型溝を含むことが可能である。共振器24の端部はまた、間隙が、ファイバ端部の間に存在することを可能にするやり方でも接着可能である。
【0014】
一実施形態においては、カプラは、共振器24と、光源30、40またはセンサ50、60に接続されているファイバリードとの間でエバネセント結合を可能にする非ミラー/ビームスプリッタ入力/出力光カプラである。エバネセント結合は、共振器24の端部(すなわち、ファイバループの切断部)と、ファイバリードとの間に形成される間隙に、または間隙の近傍に、生じることが可能である。この実施形態においては、上述のように、共振器24の端部を一緒に結合する必要はない。
【0015】
別の実施形態においては、エバネセント結合は、共振器24がファイバリードに隣接して位置付けられる場合に生じる。これは、共振器24および/またはファイバリードのクラッドの一部分を取り除き、部分的に露出したファイバを互いに極めて接近して配置することによって、達成可能である。クラッドの厚さのかなりの割合が、この結合を達成するために取り除かれる。
【0016】
一実施形態においては、共振器24は、あらかじめ製造された構造を持つシリコンチップ/基板内に集積化される。チップは、共振器24ならびにカプラ110、112および114を正確に受けるように形成される。これにより、構成要素を位置合わせする精度が向上することになり、したがって、RFOGの位置合わせ誤差を抑え、感度を向上させる。
【0017】
独占的な所有権または特権がその中で主張されている本発明の実施形態は、以下のように定義される。
【符号の説明】
【0018】
20 共振器光ファイバジャイロ(RFOG)
30 CCW光源
40 CW光源
50 CCWフォトダイオード
60 CWフォトダイオード
70 処理デバイス
80 入力/出力デバイス
100 改良された共振器光ファイバジャイロ(RFOG)
102 閉ループ・フォトニックバンドギャップファイバ(PBF)共振器
110 光カプラ
112 光カプラ
114 光カプラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2の光通信デバイスを有する少なくとも1つの光源(30、40)と、
閉ループ・フォトニックバンドギャップファイバ(PBF)共振器(102)と、
関連付けられる第2の光通信デバイスを有する第1および第2のセンサ(50、60)と、
前記第1および第2のセンサとデータ連通している処理デバイス(70)と、
前記少なくとも1つの光源から前記共振器に、または前記共振器から前記第1および第2のセンサに、光を光学的に結合するように構成されている少なくとも1つの光カプラ(110、112、114)と
を備えるジャイロデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のデバイスにおいて、
前記少なくとも1つの光カプラが、前記共振器と前記光通信デバイスとの間でエバネセント結合を行い、前記少なくとも1つの光源が、前記共振器内に反時計回りの方向で結合される光信号と、前記共振器内に時計回りの方向で結合される光信号とを生成し、前記第1のセンサが、前記共振器の中に前記反時計回りで回転する光信号と関連付けられる光信号を受け取り、前記第2のセンサが、前記共振器の中に前記時計回りで回転する光信号と関連付けられる光信号を受け取る、デバイス。
【請求項3】
請求項1に記載のデバイスにおいて、
前記共振器が、互いに光学的に結合されている少なくとも2つの端部をさらに備え、前記デバイスの前記構成要素の少なくとも一部を支持するように構成されているシリコン構造をさらに備え、前記シリコン構造が、前記共振器の少なくとも前記端部を受けるための溝を含み、前記共振器が、中空コア・ファイバを含み、前記シリコン構造が、前記第1および第2の光通信デバイスのうちの一方から所定の距離に前記共振器を位置付けるように構成されている構成要素を含み、前記共振器が、中空コア・ファイバを含み、前記デバイスが、ジャイロスコープ、化学センサまたは放射線センサのうちの1つである、デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−32520(P2010−32520A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−173020(P2009−173020)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】