説明

光ファイバユニット及びそれを備えた光ファイバケーブル

【課題】光ファイバ心線をばらけさせることなく取り出して分岐作業を行うことが可能な光ファイバユニット及びそれを備えた光ファイバケーブルを提供する。
【解決手段】複数本の光ファイバ心線11の束の周囲を、2本のバンドル材12,13で束ねてなる光ファイバユニット10Aであって、バンドル材12,13同士が、交点Aにおいて間欠的に接着されている。バンドル材12,13は、何れも複数本の光ファイバ心線11の束の周囲に螺旋状に巻回され、バンドル材12,13のうちバンドル材13は、他のバンドル材12と逆方向の螺旋状に巻回され、逆方向に巻回されたバンドル材13が、他のバンドル材12と交差する交点で接着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数本の光ファイバ心線をバンドル材によって束ねた光ファイバユニット及びそれを備えた光ファイバケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
光ネットワークに用いられる光ファイバケーブルとして、複数本の光ファイバ心線をまとめてユニット化した1または複数の光ファイバユニットを収容部に収容したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような光ファイバケーブルに収容される光ファイバユニットには、複数本の光ファイバ心線の束の周囲に糸状またはテープ状のバンドル材を螺旋に巻回することにより一体化したもの(例えば、特許文献2,3参照)、または2本の糸状のバンドル材を、互いに逆方向の螺旋状に巻回することにより一体化したもの(例えば、特許文献4参照)などが知られている。また、複数本の光ファイバ心線の間に接着性の樹脂からなる樹脂結合部を備えることにより一体化したものも知られている(例えば、特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−302559号公報
【特許文献2】特開2007−10918号公報
【特許文献3】特開2007−10917号公報
【特許文献4】特開2007−10919号公報
【特許文献5】特開平10−160987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、光ファイバケーブルを用いた光ネットワークにおいて、光ファイバケーブル敷設中間部で1心または数心の光ファイバ心線を後分岐する際に、複数の光ファイバユニットの中から所望の光ファイバユニットを選択して取り出そうとすると、その光ファイバユニットのバンドル材が光ファイバ心線の束に対して滑ってしまうことがある。そして、このように光ファイバ心線の束に対してバンドル材が滑ると、束ねられた光ファイバ心線がばらけてしまい、分岐作業が困難となる場合があった。
【0006】
本発明の目的は、光ファイバ心線をばらけさせることなく取り出して円滑に分岐作業を行うことが可能な光ファイバユニット及びそれを備えた光ファイバケーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決することのできる本発明の光ファイバユニットは、複数本の光ファイバ心線の束の周囲を、少なくとも2本のバンドル材で束ねてなる光ファイバユニットであって、前記バンドル材同士が、間欠的に接着されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の光ファイバユニットにおいて、前記バンドル材は、何れも前記複数本の光ファイバ心線の束の周囲に螺旋状に巻回され、
前記バンドル材のうち少なくとも1本のバンドル材は、他のバンドル材と逆方向の螺旋状に巻回され、
前記逆方向に巻回されたバンドル材が、他のバンドル材と交差する交点で接着されていることが好ましい。
【0009】
本発明の光ファイバユニットにおいて、前記バンドル材のうち少なくとも1本のバンドル材は、前記光ファイバ心線の束の中心軸と略平行に配置され、
他のバンドル材は、前記光ファイバ心線の束の周囲に螺旋状に巻回され、
前記螺旋状に巻回されたバンドル材と、前記光ファイバ心線の束の中心軸と略平行に配置されたバンドル材とが、互いの交点で接着されていることが好ましい。
【0010】
本発明の光ファイバユニットにおいて、前記バンドル材のうち少なくとも1本のバンドル材は、前記光ファイバ心線の束の中心軸と略平行に配置され、
他のバンドル材は、前記光ファイバ心線の束の周囲にSZ状に巻き付けられ、
前記SZ状に巻き付けられたバンドル材と、前記光ファイバ心線の束の中心軸と略平行に配置されたバンドル材とが、互いの交点で接着されていることが好ましい。
【0011】
本発明の光ファイバユニットにおいて、前記バンドル材は、何れも前記複数本の光ファイバ心線の束の周囲にSZ状に巻き付けられ、
前記バンドル材のうち少なくとも1本のバンドル材は、他のバンドル材と逆方向のSZ状に巻き付けられ、
前記逆方向に巻き付けられたバンドル材が、他のバンドル材と交差する交点で接着されていることが好ましい。
【0012】
本発明の光ファイバケーブルは、上記本発明の何れかの光ファイバユニットを複数本束ねてなるケーブルコアの外周が外被で覆われていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数本の光ファイバ心線を束ねるバンドル材同士を間欠的に接着させることで、中間後分岐時に所望のユニットをつまみ上げる際、バンドル材のずれを防止することができる。これにより、光ファイバ心線をばらけさせることなく取り出して分岐作業を行うことができ、中間後分岐作業の容易化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光ファイバユニットの構造を説明する斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る光ファイバユニットの製造装置の概略構成図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る光ファイバユニットの構造を説明する斜視図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る光ファイバユニットの製造装置の概略構成図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る光ファイバユニットの構造を説明する斜視図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る光ファイバユニットの製造装置の概略構成図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係る光ファイバユニットの構造を説明する斜視図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係る光ファイバユニットの製造装置の概略構成図である。
【図9】本発明の光ファイバケーブルの一実施形態であるスロットレス型の光ファイバケーブルの断面図である。
【図10】本発明の光ファイバケーブルの一実施形態であるスロット型の光ファイバケーブルの断面図である。
【図11】光ファイバケーブルにおける中間後分岐作業を示す光ファイバケーブルの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る光ファイバユニット及びそれを備えた光ファイバケーブルの実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
【0016】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態に係る光ファイバユニットについて説明する。
図1に示すように、第1実施形態に係る光ファイバユニット10Aは、複数本(本実施形態では7本)の光ファイバ心線11を有している。これらの光ファイバ心線11は、コアとクラッドとからなるガラスファイバの周囲を合成樹脂からなる外被によって被覆したものである。
【0017】
光ファイバユニット10Aは、中心の光ファイバ心線11の周囲に、6本の光ファイバ心線11が配置されて一束とされており、この複数本の光ファイバ心線11の束の周囲に、2本の線状のバンドル材12,13が螺旋状に巻回され、これらのバンドル材12,13によって複数本の光ファイバ心線11が束ねられている。これらのバンドル材12,13としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)糸、木綿糸、ポリエステル糸、ポリエチレンテレフタレート(PET)テープ、延伸ポリエチレン(PE)テープ糸を用いるのが好適である。
【0018】
これらのバンドル材12,13は、その螺旋の方向がそれぞれ逆方向とされたクロスバインドで巻回されており、光ファイバ心線11の束の周囲における互いの交点Aが、接着剤によって接着固定されている。接着剤としては、光ファイバ心線11の外被に接着せず、バンドル材12,13だけに選択的に接着する紫外線硬化性樹脂が用いられている。
【0019】
また、バンドル材12,13の螺旋のピッチPは、80mm以上200mm以下の範囲とするのが、ユニット識別性、分岐作業性ともに良好であり、約150mmとするのが好ましい。バンドル材12,13の螺旋のピッチPが短すぎると、光ファイバユニット10Aの中から所望の光ファイバ心線11を取り出す際に、光ファイバ心線11の曲りが生じやすく、光伝送ロス増の原因となる。また、バンドル材12,13の螺旋のピッチPが長すぎると、光ファイバユニット10Aの中の光ファイバ心線11の一体性が弱くなり、複数の光ファイバユニット10Aの中から所望の光ファイバユニットを選び出す際のユニット識別性が悪くなる。
【0020】
次に、上記の光ファイバユニット10Aを製造する場合について説明する。
図2に示すように、光ファイバユニット10Aを製造する製造装置20Aは、二つのバンドル材巻回装置21,22を備えている。これらのバンドル材巻回装置21,22には、サプライリール29からそれぞれ繰り出されて一束にまとめられた光ファイバ心線11の束が順に送り込まれる。
そして、この光ファイバ心線11の束に対して、まず、上流側のバンドル材巻回装置21によってバンドル材12を一方向へ螺旋状に巻回(例えばS巻き)する。
【0021】
次に、光ファイバ心線11の束に対して、下流側のバンドル材巻回装置22によってバンドル材13を、バンドル材12とは逆方向の他方向へ螺旋状に巻回(例えばZ巻き)する。
【0022】
このバンドル材巻回装置22には、接着剤塗布装置23が設けられており、この接着剤塗布装置23によって光ファイバ心線11の束へ巻回するバンドル材13に連続的に接着剤を塗布する。
【0023】
その後、バンドル材12,13が巻回された光ファイバ心線11の束を、バンドル材巻回装置22の下流側に設けられた紫外線照射炉からなる接着剤硬化装置24へ送り込んで接着剤を硬化させ、巻取りボビン25に巻き取る。
【0024】
このようにすると、複数本の光ファイバ心線11の束の周囲に2本のバンドル材12,13が互いに逆方向へ螺旋状に巻回され、それぞれのバンドル材12,13の交点Aが接着剤によって間欠的に接着固定された光ファイバユニット10Aが得られる。
【0025】
なお、バンドル材13に塗布する接着剤として、バンドル材12,13同士は接着させるが、光ファイバ心線11の外被には接着剤しない接着剤を用いることで、バンドル材12,13同士だけを、その交点Aにおいて接着させることができる。
【0026】
以上説明したように、第1実施形態に係る光ファイバユニット10Aによれば、複数本の光ファイバ心線11を束ねるバンドル材12,13同士を間欠的に接着させることで、中間後分岐時に所望のユニットをつまみ上げる際、バンドル材12,13のずれを防止することができる。
【0027】
特に、2本のバンドル材12,13を互いに逆方向へ螺旋状に巻回させ、その交点Aを接着させたので、これらのバンドル材12,13によって複数本の光ファイバ心線11を長手方向へわたってバランス良く保持して一束化を保つことができる。
【0028】
また、常に2本のバンドル材12,13が見えるので、極めて良好なユニット識別性を確保することができる。しかも、2本のバンドル材12,13が、ともに螺旋状に巻かれているので、交点Aにおける接着部分を外しても光ファイバ心線11がまとまった状態に維持される。したがって、束ねた光ファイバ心線11がばらけるような不具合をなくすことができ、ユニットの取り出し作業を容易に行うことができる。
【0029】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る光ファイバユニットについて説明する。
なお、第1実施形態と同一構成部分は、同一符号を付して説明を省略する。
図3に示すように、第2実施形態に係る光ファイバユニット10Bは、複数本(本実施形態では7本)の光ファイバ心線11の束に対して、1本のバンドル材12を螺旋状に巻回し、もう1本のバンドル材13を、光ファイバ心線11の束の中心軸と略平行に長手方向へ直線状に縦添えしている。また、この光ファイバユニット10Bの場合も、バンドル材12,13の交点Aを接着剤で接着固定している。
【0030】
バンドル材12の螺旋のピッチPとしては、40mm以上150mm以下とするのが好ましく、この範囲のピッチPとすることにより、ユニット識別性、分岐作業性をともに良好にすることができる。
【0031】
図4に示すように、この光ファイバユニット10Bを製造する製造装置20Bでは、下流側のバンドル材巻回装置22に代えて、バンドル材繰り出し装置26を備えている。
【0032】
この製造装置20Bでは、バンドル材巻回装置21で光ファイバ心線11の束の周囲にバンドル材12を螺旋状に巻き回し、その後、バンドル材繰り出し装置26からバンドル材13を繰り出して光ファイバ心線11の束に縦添えする。その際、バンドル材繰り出し装置26に設けられた接着剤塗布装置23によってバンドル材13に連続的に接着剤を塗布する。そして、バンドル材13を縦添えした後に接着剤硬化装置24で接着剤を硬化させ、巻取りボビン25に巻き取る。
【0033】
この第2実施形態に係る光ファイバユニット10Bの場合も、複数本の光ファイバ心線11を束ねるバンドル材12,13同士を間欠的に接着させることで、中間後分岐時に所望のユニットをつまみ上げる際、バンドル材12,13のずれを防止することができる。これにより、束ねた光ファイバ心線11がばらけるようなことがなく、ユニットを確実に識別でき、また、取り出し作業を容易に行うことができる。
【0034】
特に、1本のバンドル材13を長手方向へ直線状に縦添えすることにより巻き付けが簡略化されているので、製造時における手間を低減させることができる。また、バンドル材13を縦添えしたことにより、接着剤の塗布の容易化により製造性を向上させることができる。
【0035】
また、バンドル材13を供給する装置として、バンドル材巻回装置に代えて構造が簡略的なバンドル材繰り出し装置を用いることができる。これにより、製造の容易化及び設備費の削減による製造コストの低減を図ることができる。
【0036】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る光ファイバユニットについて説明する。
なお、第1,第2実施形態と同一構成部分は、同一符号を付して説明を省略する。
図5に示すように、第3実施形態に係る光ファイバユニット10Cは、複数本(本実施形態では7本)の光ファイバ心線11の束に対して、1本のバンドル材12を、光ファイバ心線11の束の中心軸と略平行に長手方向へ直線状に縦添えし、もう1本のバンドル材13を巻き付けている。ここで、バンドル材13は、その巻き付け方向を定期的に反転させた、いわゆるSZ状に巻き付けられている。そして、この光ファイバユニット10Cの場合、バンドル材13が巻き付け方向の反転箇所においてバンドル材12に交差(または重複)し、このバンドル材12,13の交点Aを接着剤で接着固定している。
【0037】
バンドル材13の巻き付けピッチPとしては、40mm以上150mm以下とするのが好ましく、この範囲のピッチPとすることにより、ユニット識別性、分岐作業性をともに良好にすることができる。
【0038】
図6に示すように、この光ファイバユニット10Cを製造する製造装置20Cでは、二つのバンドル材繰り出し装置26,27を備えている。
【0039】
この製造装置20Bでは、上流側のバンドル材繰り出し装置26から光ファイバ心線11の束にバンドル材12を縦添えし、その後、下流側のバンドル材繰り出し装置27からバンドル材13を繰り出す。その際、バンドル材繰り出し装置26に設けられた接着剤塗布装置23によってバンドル材12に連続的に接着剤を塗布する。また、バンドル材繰り出し装置27から繰り出されたバンドル材13を、揺動装置28によって揺動させることにより、光ファイバ心線11の束に対してバンドル材13を、SZ状に巻き付ける。そして、バンドル材13を巻き付けた後、すぐに接着剤硬化装置24で接着剤を硬化させ、巻取りボビン25に巻き取る。
【0040】
なお、この第3実施形態では、接着剤としてホットメルト接着剤を用い、接着剤硬化装置24として、ホットメルト接着剤を冷却して硬化させる空冷装置を用いる。
【0041】
この第3実施形態に係る光ファイバユニット10Cの場合も、複数本の光ファイバ心線11を束ねるバンドル材12,13同士を間欠的に接着させることで、中間後分岐時に所望のユニットをつまみ上げる際、バンドル材12,13のずれを防止することができる。これにより、束ねた光ファイバ心線11がばらけるようなことがなく、ユニットを確実に識別でき、また、取り出し作業を容易に行うことができる。
【0042】
特に、1本のバンドル材12を長手方向へ直線状に縦添えすることにより巻き付けが簡略化されているので、製造時における手間を低減させることができる。また、バンドル材12を縦添えしたことにより、接着剤の塗布の容易化により製造性を向上させることができる。
【0043】
また、それぞれのバンドル材12,13を供給する装置として、バンドル材巻回装置に代えて構造が簡略的なバンドル材繰り出し装置を用いることができ、製造の容易化及び設備費の削減による製造コストの低減を図ることができる。
【0044】
しかも、もう1本のバンドル材13がSZ状に巻き付けられ、その巻き付け方向の反転箇所においてバンドル材12に接着剤で接着固定されているので、バンドル材12,13の接着箇所を外すことにより、光ファイバ心線11を容易にばらけさせることができ、任意の1本の光ファイバ心線11を容易に取り出すことができる。
【0045】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る光ファイバユニットについて説明する。
なお、第1から3実施形態と同一構成部分は、同一符号を付して説明を省略する。
図7に示すように、第4実施形態に係る光ファイバユニット10Dは、複数本(本実施形態では7本)の光ファイバ心線11の束に対して、2本のバンドル材12,13を、SZ状に巻き付けている。
【0046】
そして、この光ファイバユニット10Dの場合、それぞれのバンドル材12,13は、巻き付け方向の反転箇所において互いに交差し、このバンドル材12,13の交点Aを接着剤で接着固定している。
【0047】
それぞれのバンドル材12,13の巻き付けピッチPとしては、80mm以上200mm以下とするのが好ましく、この範囲のピッチPとすることにより、ユニット識別性、分岐作業性をともに良好にすることができる。
【0048】
図8に示すように、この光ファイバユニット10Dを製造する製造装置20Dでは、二つのバンドル材繰り出し装置26,27を備え、これらのバンドル材繰り出し装置26,27が光ファイバ心線11の束を挟んだ対向位置に配置されている。
【0049】
この製造装置20Dでは、それぞれのバンドル材繰り出し装置26,27から光ファイバ心線11の束にバンドル材12,13を繰り出す。その際、バンドル材繰り出し装置26に設けられた接着剤塗布装置23によってバンドル材12に連続的に接着剤を塗布する。また、これらのバンドル材繰り出し装置26,27から繰り出されたバンドル材12,13を、揺動装置28によって互いに逆方向へ揺動させることにより、光ファイバ心線11の束に対してバンドル材12,13をSZ状に巻き付ける。そして、バンドル材12,13を巻き付けた後、すぐに接着剤硬化装置24で接着剤を硬化させ、巻取りボビン25に巻き取る。
【0050】
なお、この第4実施形態の場合も、接着剤としてホットメルト接着剤を用い、接着剤硬化装置24として、ホットメルト接着剤を冷却して硬化させる空冷装置を用いる。
【0051】
この第4実施形態に係る光ファイバユニット10Dの場合も、複数本の光ファイバ心線11を束ねるバンドル材12,13同士を間欠的に接着させることで、中間後分岐時に所望のユニットをつまみ上げる際、バンドル材12,13のずれを防止することができる。これにより、束ねた光ファイバ心線11がばらけるようなことがなく、ユニットを確実に識別でき、また、取り出し作業の容易化を図ることができる。
【0052】
また、それぞれのバンドル材12,13を供給する装置として、バンドル材巻回装置に代えて構造が簡略的なバンドル材繰り出し装置を用いることができ、製造の容易化及び設備費の削減による製造コストの低減を図ることができる。
【0053】
また、常に2本のバンドル材12,13が見えるので、極めて良好なユニット識別性を確保することができる。しかも、2本のバンドル材12,13がSZ状に巻き付けられ、その巻き付け方向の反転箇所においてバンドル材12,13が互いに接着剤で接着固定されているので、バンドル材12,13の接着箇所を外すことにより、光ファイバ心線11を容易にばらけさせることができ、任意の1本の光ファイバ心線11を容易に取り出すことができる。
【0054】
次に、上記の光ファイバユニット10A〜10Dの少なくとも何れかを備えた本実施形態に係る光ファイバケーブルについて説明する。
図9に示すように、本実施形態に係る光ファイバケーブル30は、前述した光ファイバユニット10A〜10Dの何れか1つまたは複数を複数群に配置したケーブルコア31を、緩衝層32を介してパイプ状のシース33内に収容したスロットレス型の光ファイバケーブルである。
【0055】
シース33の内部には、ケーブルコア31を挟んで上下にテンションメンバ34が設けられている。また、例えば、複数本の鋼線を撚って形成されている支持線35aを有する支持部35を、連結部36を介してシース33に連結して使用することができる。
【0056】
また、図10に示すものは、他の構造の光ファイバケーブル40である。この光ファイバケーブル40は、前述した光ファイバユニット10A〜10Dの何れかを、軸中心に抗張力体であるテンションメンバ41を有するスロットロッド42の表面に形成したスロット溝43に収容したスロット型の光ファイバケーブルである。そして、この光ファイバケーブル40では、光ファイバユニット10A〜10Dを束ねて収容するスロット溝43を有するケーブルコア42からなるケーブルコア48の外面が、シース44で被覆されている。
【0057】
なお、光ファイバケーブル30と同様に、支持線45aを有する支持部45を、連結部46を介してシース44に連結して使用することができる。また、この例は、スロット溝43が5本設けられ、それぞれのスロット溝43に光ファイバユニット10A〜10Dが5個収容可能とされている。なお、スロット溝43および光ファイバユニット10A〜10Dの数はこれに限るものではない。また、所定のスロット溝43が特定できるように、スロットロッド42の外周面には、識別用のマーク47が付されている。
【0058】
上記の光ファイバケーブル30,40は、その敷設中間部で1心または数心の光ファイバ心線11を後分岐する場合がある。
図11に示すように、中間後分岐作業を行う場合、分岐部分では、光ファイバケーブル30,40の中間部分の約500mmのシース33,44、緩衝層32またはスロットロッド42を除去して光ファイバユニット10A〜10Dを露出させた状態で、所定のユニットを取り出す。そして、この所定のユニットから分岐させる所定の光ファイバ心線11を引き出す。
【0059】
その際、光ファイバケーブル30,40は、ユニット識別性に優れ、また、ユニットの取り出し作業の容易化が図られた光ファイバユニット10A〜10Dを備えているので、極めて円滑かつ容易に、所定のユニットを識別して取り出すことができる。つまり、中間後分岐作業性に優れた光ファイバケーブルとすることができる。
【符号の説明】
【0060】
10A〜10D:光ファイバユニット、11:光ファイバ心線、12,13:バンドル材、30,40:光ファイバケーブル、31,48:ケーブルコア、33,44:シース(外被)、A:交点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の光ファイバ心線の束の周囲を、少なくとも2本のバンドル材で束ねてなる光ファイバユニットであって、
前記バンドル材同士が、間欠的に接着されていることを特徴とする光ファイバユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の光ファイバユニットであって、
前記バンドル材は、何れも前記複数本の光ファイバ心線の束の周囲に螺旋状に巻回され、
前記バンドル材のうち少なくとも1本のバンドル材は、他のバンドル材と逆方向の螺旋状に巻回され、
前記逆方向に巻回されたバンドル材が、他のバンドル材と交差する交点で接着されていることを特徴とする光ファイバユニット。
【請求項3】
請求項1に記載の光ファイバユニットであって、
前記バンドル材のうち少なくとも1本のバンドル材は、前記光ファイバ心線の束の中心軸と略平行に配置され、
他のバンドル材は、前記光ファイバ心線の束の周囲に螺旋状に巻回され、
前記螺旋状に巻回されたバンドル材と、前記光ファイバ心線の束の中心軸と略平行に配置されたバンドル材とが、互いの交点で接着されていることを特徴とする光ファイバユニット。
【請求項4】
請求項1に記載の光ファイバユニットであって、
前記バンドル材のうち少なくとも1本のバンドル材は、前記光ファイバ心線の束の中心軸と略平行に配置され、
他のバンドル材は、前記光ファイバ心線の束の周囲にSZ状に巻き付けられ、
前記SZ状に巻き付けられたバンドル材と、前記光ファイバ心線の束の中心軸と略平行に配置されたバンドル材とが、互いの交点で接着されていることを特徴とする光ファイバユニット。
【請求項5】
請求項1に記載の光ファイバユニットであって、
前記バンドル材は、何れも前記複数本の光ファイバ心線の束の周囲にSZ状に巻き付けられ、
前記バンドル材のうち少なくとも1本のバンドル材は、他のバンドル材と逆方向のSZ状に巻き付けられ、
前記逆方向に巻き付けられたバンドル材が、他のバンドル材と交差する交点で接着されていることを特徴とする光ファイバユニット。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項に記載の光ファイバユニットを複数本束ねてなるケーブルコアの外周が外被で覆われていることを特徴とする光ファイバケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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