説明

光ファイバーテープ

【課題】容易、確実に、安価に出来る低スキューの光ファイバーテープを実現する。
【解決手段】複数の光ファイバーを具備する光ファイバーテープにおいて、複数の光ファイバーを集合して形成された原光ファイバーテープと、この原光ファイバーテープを形成する光ファイバーの屈折率が変化調節されて所定のスキューに調節されるスキュー調節手段と、を具備したことを特徴とする光ファイバーテープである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバーテープに関するものである。
更に詳述すれば、容易、確実に、安価に出来る低スキューの光ファイバーテープに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図4は従来より一般に使用されている従来例の要部構成説明図である。
図において、低スキューの光ファイバーテープ1は、複数の光ファイバー素線1aを横一列に並べ、接着剤2等で固定して作製されている。
この場合は、4本の光ファイバー素線1aが使用されている。
また、低スキューが必要とされるモジュール、機器、システムは、出来るだけスキューの小さな光ファイバーを組み合わせて構成されている。
【0003】
低スキューの光ファイバーテープ1を得るためには、
光ファイバーテープ1の製作の前段階であるプリフォームが均一の屈折率であることが必要である。
また、多数ファイバを一列に並べた時の長さの精度が高いことが必要である。例えば、ファイバー長さ1mに付き、数100um程度の精度が必要とされる。
【0004】
また、作製時に、屈折率変化を生じる歪みを加えないことが必要とされる。
これらの難しさから、精度を求める場合、例えば、ファイバ長さ1mにつき、100um以内の精度では、アセンブリの最終段階で研磨工程を入れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−295569号公報
【特許文献2】特表2005−513540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような装置においては、低スキューの光ファイバーテープ1を得るためには、以下の問題点がある。
前段階であるプリフォームが均一の屈折率であることが必要。
多数ファイバを一列に並べた時の長さの精度、例えば、ファイバ長さ1mにつき、数100um程度の精度が必要。
【0007】
作製時に屈折率変化を生じる歪みを加えないことが必要。
これらの難しさから、精度を求める場合、例えば、ファイバ長さ1mに付き、100um以内の精度では、アセンブリの最終段階で研磨工程を入れている。即ち、研磨工程が必要になる。
これでは、容易、確実に、安価な低スキューの光ファイバーテープ1は得られない。
【0008】
本発明の目的は、上記の課題を解決するもので、容易、確実に、安価に出来る低スキューの光ファイバーテープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を達成するために、本発明では、請求項1の光ファイバーテープにおいては、
複数の光ファイバーを具備する光ファイバーテープにおいて、複数の光ファイバーを集合して形成された原光ファイバーテープと、この原光ファイバーテープを形成する光ファイバーの屈折率が変化調節されて所定のスキューに調節されるスキュー調節手段と、を具備したことを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項2の光ファイバーテープにおいては、請求項1記載の光ファイバーテープにおいて、
前記スキュー調節手段は、紫外線の照射強度の調節手段が使用されたことを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項3の光ファイバーテープにおいては、請求項1記載の光ファイバーテープにおいて、
前記スキュー調節手段は、前記光ファイバーへのイオン注入強度の調節手段が使用されたことを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項4の光ファイバーテープにおいては、請求項1記載の光ファイバーテープにおいて、
前記スキュー調節手段は、前記光ファイバーへの歪の印加強度の調節手段が使用されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1によれば、次のような効果がある。
光ファイバーテープ形成後に、スキュー調節手段12により、屈折率を調節することで、容易、確実に低スキューのファイバを作製できる光ファイバーテープが得られる。
また、モジュール、機器、システム、構成後にスキューを自在に調節可出来る光ファイバーテープが得られる。
【0014】
本発明の請求項2によれば、次のような効果がある。
スキュー調節手段は、紫外線の照射強度の調節手段が使用されたので、紫外線の光源さえ用意できれば良く、容易、確実、安価な光ファイバーテープが得られる。
【0015】
本発明の請求項3によれば、次のような効果がある。
スキュー調節手段は、光ファイバーへのイオン注入強度の調節手段が使用されたので、半導体プロセスが利用できて、精度が良好な、低スキューの光ファイバーテープが得られる。
【0016】
本発明の請求項4によれば、次のような効果がある。
スキュー調節手段は、光ファイバーへの歪の印加強度の調節手段が使用されたので、機械が使用できて、より正確に歪の印加が出来、確実に低スキューのファイバを作製できる光ファイバーテープが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例の要部構成説明図である。
【図2】図1の動作説明図である。
【図3】図1の動作説明図である。
【図4】従来より一般に使用されている従来例の要部構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下本発明を図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例の要部構成説明図、図2、図3は図1の動作説明図である。
図において、図4と同一記号の構成は同一機能を表す。
以下、図4との相違部分のみ説明する。
【0019】
図1において、光ファイバーテープ11は、複数の光ファイバー111を集合して形成後それぞれの光ファイバーの屈折率が変化調節されて所定のスキューに調節されている。
この場合は、4本の光ファイバー111(NO1,NO2,NO3,NO4)が集合されている。
【0020】
具体的には、図2に、4芯テープファイバのスキューをゼロにする例を示す。
光ファイバー111には、一般的にファイバーグレーティング作製に使用されるもの(紫外光露光感度を高めるためにゲルマニュウムGeや錫Snを添加)を用いる。
あらかじめ長さのわかっている4分岐の光ファイバー111を用意してスキューを合わせたいファイバと接続する。
【0021】
接続にはコネクタを用いても、融着を用いても構わない。簡単のため、4分岐の光ファイバー111のスキューはゼロと仮定する。
4本の光ファイバー111長をリフレクトメータAで測定し、長さを合わせたい光ファイバー111を選ぶ。
【0022】
紫外光照射手段12による、紫外光照射では屈折率が高くなる(光路長は長くなる)ので、図2の例では、ファイバNO1、NO2、NO3、を選び、コア部分に紫外光Bを照射する。
なお、Cは光コネクタ、Dは1×4カプラである。
【0023】
図3に示す如く、リフレクトメータAでファイバ長を測定しながら、紫外光の照射強度(パワー、時間)を調整し、所定のスキュー以内になったところで終了とする。図3の例ではスキューゼロを目指して調整するので、反射ピークが一本に重なっている。
【0024】
この結果、
光ファイバーテープ11形成後に、スキュー調節手段12により、屈折率を調節することで、容易、確実に低スキューのファイバを作製できる光ファイバーテープ11が得られる。
また、モジュール、機器、システム、構成後にスキューを自在に調節可出来る光ファイバーテープが得られる。
【0025】
スキュー調節手段は、紫外線の照射強度の調節手段が使用されたので、紫外線の光源Bさえ用意できれば良いので、容易、確実、安価な光ファイバーテープ11が得られる。
【0026】
なお、光ファイバーテープ11を含む光モジュールを組み合わせた機器のスキューを調整することも出来る。
また、前述の実施例においては、スキューゼロを目標としているが、これに限ることはなく、決められた所定のスキューに合わせることもできる。
【0027】
また、前述の実施例においては、紫外線照射で屈折率を調整したが、これに限ることはなく、例えば、イオン注入や、歪みの印可であっても良く、要するに、光ファイバー111を切断調節するのではなく、光ファイバー111の一部の屈折率を変化させることで、スキューが調節できるものであれば良い。
【0028】
スキュー調節手段12は、光ファイバー111へのイオン注入強度の調節手段が使用されれば、半導体プロセスが利用できて、精度が良好な、低スキューの光ファイバーテープが得られる。
【0029】
スキュー調節手段12は、光ファイバー111への歪の印加強度の調節手段が使用されれば、機械が使用できて、より正確に歪の印加が出来、確実に低スキューのファイバを作製できる光ファイバーテープが得られる。
【0030】
なお、以上の説明は、本発明の説明および例示を目的として特定の好適な実施例を示したに過ぎない。
したがって本発明は、上記実施例に限定されることなく、その本質から逸脱しない範囲で更に多くの変更、変形をも含むものである。
【符号の説明】
【0031】
1 光ファイバーテープ
1a 光ファイバー素線
2 接着剤
11 光ファイバーテープ
111 光ファイバー
12 スキュー調節手段
C 光コネクタ
D 1×4カプラ
A リフレクトメータ
B 紫外光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光ファイバーを具備する光ファイバーテープにおいて、
複数の光ファイバーを集合して形成された原光ファイバーテープと、
この原光ファイバーテープを形成する光ファイバーの屈折率が変化調節されて所定のスキューに調節されるスキュー調節手段と、
を具備したことを特徴とする光ファイバーテープ。
【請求項2】
前記スキュー調節手段は、紫外線の照射強度の調節手段が使用されたこと
を特徴とする請求項1記載の光ファイバーテープ。
【請求項3】
前記スキュー調節手段は、前記光ファイバーへのイオン注入強度の調節手段が使用されたこと
を特徴とする請求項1記載の光ファイバーテープ。
【請求項4】
前記スキュー調節手段は、前記光ファイバーへの歪の印加強度の調節手段が使用されたこと
を特徴とする請求項1記載の光ファイバーテープ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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