光ファイバ及び光ファイバの加工方法
【課題】比較的簡単に、クラッドモード除去部を精度良く加工するとともに信頼性を向上させた光ファイバの加工方法を提供する。
【解決手段】ファイバ本体11をコア15を中心に周方向に回転させ、回転中のファイバ本体11のクラッド20に対してレーザを照射する。これにより、クラッド20の外周面にリング溝状のクラッドモード除去部21を形成する。そして、ファイバ本体11に対するレーザの照射位置をファイバ本体11の長手方向に変更してレーザを照射することで、ファイバ本体11の長手方向に間隔をあけて複数のクラッドモード除去部21を形成する。
【解決手段】ファイバ本体11をコア15を中心に周方向に回転させ、回転中のファイバ本体11のクラッド20に対してレーザを照射する。これにより、クラッド20の外周面にリング溝状のクラッドモード除去部21を形成する。そして、ファイバ本体11に対するレーザの照射位置をファイバ本体11の長手方向に変更してレーザを照射することで、ファイバ本体11の長手方向に間隔をあけて複数のクラッドモード除去部21を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ及び光ファイバの加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、光ファイバは、通信、計測等の用途に用いられる他にも、YAGレーザ等の高出力のレーザ光を用いて金属を溶接や切断する等、被加工物に対して各種の加工を行う際のレーザ光の伝送媒体として利用されている(例えば、特許文献1参照)。具体的に、この光ファイバは、光を伝送するガラス製のコアと、コアの外周面を覆うガラス製のクラッドと、コア及びクラッドを保護する樹脂層とを備えている。
【0003】
また、光ファイバの両端部には、光コネクタが取り付けられており、手作業又は簡易な工具を用いた作業のみでレーザ装置やその他の機器に対して接続できるようになっている。この光ファイバの両端部では、樹脂層にレーザ光が直接照射されてその照射位置において樹脂層が炭化したり発熱するのを防止するために、樹脂層の一部が除去されている。
【0004】
ところで、光ファイバにおいて、通常、コア内のみでレーザ光が伝送されるが、開口数(NA)の高い光を入射する場合や、レーザ光の一部がクラッド内に入射された場合には、クラッドと樹脂層との界面で光の反射が生じ、クラッドモードで光が伝送されてしまうおそれがある。クラッド外に漏出したレーザ光は、金属を加工できる程のエネルギーを有しているため、被加工物以外のものを加熱してしまい、光ファイバに接続している装置や光ファイバ自体が損傷するおそれがある。
【0005】
そこで、特許文献1には、光ファイバのクラッド表面をダイヤモンドパウダ又は化学エッチングで粗くすることでクラッドモード除去部を形成して、クラッドモードで伝送される光を逃がし、光コネクタに熱として吸収させるようにした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許登録第4575181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、クラッド表面が広範囲にわたって粗くなってしまうため、必要な箇所のみにクラッドモード除去部を加工することが困難である。また、微細な亀裂等の欠陥が生じるおそれがあり、機械的な強度が不足して信頼性が低下してしまう。さらに、加工に使用するダイヤモンドパウダや溶剤等を除去するために、拭き取り作業や洗浄作業、あるいは端末部の後加工が別途必要となり、作業効率が悪くなってしまう。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、比較的簡単に、クラッドモード除去部を精度良く加工するとともに信頼性を向上させた光ファイバの加工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
具体的に、本発明は、コアと、該コアの外周面を覆うクラッドとを有するファイバ本体に、クラッドモードで伝送される光を該クラッド外に散乱させるクラッドモード除去部を形成するための光ファイバの加工方法を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0010】
すなわち、第1の発明は、前記クラッドの外周面に溝状の前記クラッドモード除去部を形成する形成工程を備えたことを特徴とするものである。
【0011】
第1の発明では、クラッドの外周面に溝状のクラッドモード除去部が形成される。このようにすれば、レーザや機械加工等の加工方法を用いてクラッドモード除去部を形成することで、クラッドモード除去部の加工精度を向上させることができるとともに、微細な亀裂等の欠陥が生じることがなく信頼性が向上する。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、
前記形成工程では、前記クラッドに対してレーザを照射しながら、該クラッドに対するレーザの照射位置を該クラッドの周方向に相対的に変更することで、該クラッドの外周面にリング溝状の前記クラッドモード除去部を形成するようにしたことを特徴とするものである。
【0013】
第2の発明では、クラッドに対してレーザが照射されながら、クラッドに対するレーザの照射位置がクラッドの周方向に相対的に変更される。これにより、クラッドの外周面にリング溝状のクラッドモード除去部が形成される。
【0014】
このように、レーザの照射位置をクラッドの周方向に相対的に変更しながらレーザを照射することで、クラッドモード除去部の形状や寸法を制御することが容易となり、加工精度を向上させることができるとともに、微細な亀裂等の欠陥が生じることがなく信頼性が向上する。
【0015】
さらに、比較的簡単な加工方法でクラッドモード除去部を形成することができるから、コスト低減に有利となる。具体的に、従来のように、クラッド表面をダイヤモンドパウダ又は化学エッチングで粗くすることでクラッドモード除去部を形成する場合には、加工に使用するダイヤモンドパウダや溶剤等を除去するために、拭き取り作業や洗浄作業、あるいは端末部の後加工が別途必要となり、作業効率が悪くなってしまう。
【0016】
これに対し、本発明では、ダイヤモンドパウダ又は化学エッチング等の消耗品を用いる必要がなく、拭き取り作業や洗浄作業、あるいは端末部の後加工も必要ないため、コスト低減に有利となる。
【0017】
第3の発明は、第1の発明において、
前記形成工程では、前記クラッドに対してレーザを照射しながら、該クラッドに対するレーザの照射位置を該クラッドの周方向及び長手方向に相対的に変更することで、該クラッドの外周面に螺旋溝状の前記クラッドモード除去部を形成するようにしたことを特徴とするものである。
【0018】
第3の発明では、クラッドに対してレーザが照射されながら、クラッドに対するレーザの照射位置がクラッドの周方向及び長手方向に相対的に変更される。これにより、クラッドの外周面に螺旋溝状のクラッドモード除去部が形成される。
【0019】
このように、レーザの照射位置をクラッドの周方向及び長手方向に相対的に変更しながらレーザを照射することで、クラッドの外周面に螺旋溝状のクラッドモード除去部を容易に形成することができる。すなわち、クラッドモード除去部の形状を、様々なクラッドモード伝送に合わせて容易に加工することができる。
【0020】
第4の発明は、第2又は第3の発明において、
前記形成工程では、前記クラッドに対してレーザを断続的に照射することで、該クラッドの外周面に複数の溝状の前記クラッドモード除去部を形成するようにしたことを特徴とするものである。
【0021】
第4の発明では、クラッドに対してレーザが断続的に照射される。これにより、クラッドの外周面に複数の溝状のクラッドモード除去部が形成される。このようにすれば、クラッドモード除去部の形状を、様々なクラッドモード伝送に合わせて容易に加工することができる。
【0022】
第5の発明は、コアと、該コアの外周面を覆うクラッドとを有するファイバ本体に、クラッドモードで伝送される光を該クラッド外に散乱させるクラッドモード除去部が形成された光ファイバを対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0023】
すなわち、第5の発明は、前記クラッドモード除去部は、前記クラッドの外周面に溝状に形成されていることを特徴とするものである。
【0024】
第5の発明では、クラッドの外周面に溝状のクラッドモード除去部が形成される。このようにすれば、レーザや機械加工等の加工方法を用いてクラッドモード除去部を形成することで、クラッドモード除去部の加工精度を向上させることができるとともに、微細な亀裂等の欠陥が生じることがなく信頼性が向上する。
【0025】
第6の発明は、第5の発明において、
前記クラッドモード除去部は、前記クラッドに対してレーザが照射されながら、該クラッドに対するレーザの照射位置が該クラッドの周方向に相対的に変更されることで、該クラッドの外周面にリング溝状に形成されていることを特徴とするものである。
【0026】
第6の発明では、クラッドに対してレーザが照射されながら、クラッドに対するレーザの照射位置がクラッドの周方向に相対的に変更される。これにより、クラッドの外周面にリング溝状のクラッドモード除去部が形成される。
【0027】
このような構成とすれば、クラッドモード除去部の形状や寸法を制御することが容易となり、加工精度を向上させることができるとともに、微細な亀裂等の欠陥が生じることがなく信頼性が向上する。
【0028】
第7の発明は、第5の発明において、
前記クラッドモード除去部は、前記クラッドに対してレーザが照射されながら、該クラッドに対するレーザの照射位置が該クラッドの周方向及び長手方向に相対的に変更されることで、該クラッドの外周面に螺旋溝状に形成されていることを特徴とするものである。
【0029】
第7の発明では、クラッドに対してレーザが照射されながら、クラッドに対するレーザの照射位置がクラッドの周方向及び長手方向に相対的に変更される。これにより、クラッドの外周面に螺旋溝状のクラッドモード除去部が形成される。このような構成とすれば、クラッドの外周面に螺旋溝状のクラッドモード除去部を容易に形成することができる。
【0030】
第8の発明は、第6又は第7の発明において、
前記クラッドモード除去部は、前記クラッドに対してレーザが断続的に照射されることで、該クラッドの外周面に溝状に複数形成されていることを特徴とするものである。
【0031】
第8の発明では、クラッドに対してレーザが断続的に照射される。これにより、クラッドの外周面に溝状のクラッドモード除去部が複数形成される。このような構成とすれば、クラッドモード除去部の形状を、様々なクラッドモード伝送に合わせて容易に加工することができる。
【0032】
第9の発明は、第5乃至第8の発明のうち何れか1つにおいて、
前記クラッドモード除去部は、前記光ファイバの両端部にそれぞれ形成され、
前記光ファイバの両端部には、前記クラッドモード除去部を覆うように光コネクタが取り付けられていることを特徴とするものである。
【0033】
第9の発明では、光ファイバの両端部には、クラッドモード除去部がそれぞれ形成される。そして、クラッドモード除去部を覆うように光コネクタが取り付けられる。
【0034】
このような構成とすれば、クラッドモード除去部を介してクラッド外に漏出したレーザ光を、光コネクタに熱として吸収することができ、光ファイバに接続している装置や光ファイバ自体等が損傷するのを防止できる。
【0035】
第10の発明は、第5乃至第9の発明のうち何れか1つにおいて、
前記クラッドモード除去部は、前記クラッド外に散乱する光を吸収するとともに放熱性能を有する光吸収放熱層で覆われていることを特徴とするものである。
【0036】
第10の発明では、クラッドモード除去部は、光吸収放熱層で覆われている。この光吸収放熱層は、クラッド外に散乱する光を吸収するとともに放熱性能を有している。
【0037】
このような構成とすれば、クラッドモード除去部を介してクラッド外に漏出したレーザ光を、光吸収放熱層で吸収し且つ放熱することができ、光ファイバに接続している装置や光ファイバ自体等が損傷するのを防止できる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、レーザの照射位置をクラッドの周方向に相対的に変更しながらレーザを照射することで、クラッドモード除去部の形状や寸法を制御することが容易となり、加工精度を向上させることができるとともに、微細な亀裂等の欠陥が生じることがなく信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態1に係る光ファイバの構成を示す側面図である。
【図2】光ファイバに対するレーザ照射器のレーザ照射位置を示す側面図である。
【図3】クラッドモード除去部を等間隔で形成した光ファイバの構成を示す側面図である。
【図4】クラッドモード除去部を周方向に間隔をあけて複数形成した光ファイバの構成を示す側面図である。
【図5】光吸収放熱層を有する光ファイバの構成を示す側面図である。
【図6】全長にわたってクラッドモード除去部を形成した光ファイバの構成を示す側面図である。
【図7】レーザ光の合成を行うコンバイナとしての光ファイバの構成を示す側面図である。
【図8】本変形例に係る光ファイバの構成を示す側面図である。
【図9】本変形例に係る光ファイバの別の構成を示す側面図である。
【図10】本実施形態2に係る光ファイバの構成を示す側面図である。
【図11】光ファイバに対するレーザ照射器のレーザ照射位置を示す側面図である。
【図12】本実施形態2に係る光ファイバの別の構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0041】
《実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係る光ファイバの構成を示す側面図である。この光ファイバ10は、機械加工分野におけるレーザ加工機において、レーザ光の伝送用導波路として用いられるものである。
【0042】
図1に示すように、光ファイバ10は、ファイバ中心をなすコア15と、コア15の外周面を覆うクラッド20と、クラッド20の外周面を覆う樹脂層25とを有するファイバ本体11で構成されている。コア15及びクラッド20は、それぞれ全体が石英ガラスから構成されている。
【0043】
前記光ファイバ10は、入射された光がコア15とクラッド20との界面で反射を繰り返しながらコア15内を伝送するように構成されている。コア15には、ゲルマニウム(Ge)がドープされており、クラッド20より屈折率が高くなっている。樹脂層25は、光ファイバ10の両端部において除去されている。ファイバ本体11の両端部には、金属製の光コネクタ35が取り付けられており、樹脂層25が除去されて露出したクラッド20を覆っている。
【0044】
前記ファイバ本体11の両端部において露出したクラッド20の外周面には、周方向に延びるリング溝状のクラッドモード除去部21が形成されている。このクラッドモード除去部21は、クラッド20内を伝送する光をファイバ本体11外に逃がすためのものであり、ファイバ本体11の長手方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0045】
<光ファイバの加工方法>
次に、光ファイバ10のクラッド20にクラッドモード除去部21を形成するための加工方法について説明する。図2は、光ファイバに対するレーザ照射器のレーザ照射位置を示す側面図である。
【0046】
図2に示すように、まず、ファイバ本体11の両端部の樹脂層25を除去して、クラッド20を露出させる。次に、露出させたクラッド20が上向きとなるように、ファイバ本体11を回転テーブル(図示省略)に設置する。ファイバ本体11よりも図2で右方には、クラッド20の外周面に向かって加工用のレーザ光を照射するレーザ照射器40が配置されている。
【0047】
次に、前記回転テーブルを回転させることで、ファイバ本体11をコア15を中心に周方向に回転させる。そして、回転中のファイバ本体11のクラッド20に対して、レーザ照射器40からレーザ光を一定時間照射する。これにより、クラッド20の外周面には、周方向に延びるリング溝状のクラッドモード除去部21が形成される。なお、このときのレーザ照射では、図2の最上段のクラッドモード除去部21が形成されたものとする。
【0048】
そして、最上段のクラッドモード除去部21を形成した後、レーザ照射器40のレーザ照射位置を、ファイバ本体11の長手方向の下方に所定の間隔をあけた位置に変更する。そして、変更後のレーザ照射位置のクラッド20に対して、レーザ照射器40からレーザ光を一定時間照射する。これにより、ファイバ本体11の長手方向に間隔をあけて次のクラッドモード除去部21を形成する。
【0049】
このような手順を繰り返すことにより、ファイバ本体11の両端部のクラッド20に対して、複数のクラッドモード除去部21を形成する。その後、ファイバ本体11の両端部に光コネクタ35を取り付ける。この光コネクタ35により、レーザ装置やその他の機器に対して容易に接続することができるとともに、クラッドモード除去部21を保護することができる。さらに、クラッドモード除去部21を介してクラッド20外に漏出したレーザ光を、光コネクタ35に熱として吸収することができ、光ファイバ10に接続している装置や光ファイバ10自体等が損傷するのを防止できる。
【0050】
このように、本実施形態1に係る光ファイバ10の加工方法によれば、ファイバ本体11を回転させながらレーザ光を照射することで、クラッドモード除去部21の形状や寸法を制御することが容易となり、加工精度を向上させることができるとともに、微細な亀裂等の欠陥が生じることがなく信頼性が向上する。
【0051】
さらに、比較的簡単な加工方法でクラッドモード除去部21を形成することができるから、コスト低減に有利となる。具体的に、従来のように、クラッド20表面をダイヤモンドパウダ又は化学エッチングで粗くすることでクラッドモード除去部21を形成する場合には、加工に使用するダイヤモンドパウダや溶剤等を除去するために、拭き取り作業や洗浄作業、あるいは端末部の後加工が別途必要となり、作業効率が悪くなってしまう。
【0052】
これに対し、本発明では、ダイヤモンドパウダ又は化学エッチング等の消耗品を用いる必要がなく、拭き取り作業や洗浄作業、あるいは端末部の後加工も必要ないため、コスト低減に有利となる。
【0053】
また、クラッドモードで伝送されるレーザ光を除去することができるから、この光ファイバ10を、例えば計測用ファイバや医療用ファイバとして用いた場合には、ノイズを低減する上で有利となる。
【0054】
なお、本実施形態1では、レーザ照射器40のレーザ照射位置を変更することで、クラッド20に対するレーザ光の照射位置をずらすようにしたが、この形態に限定するものではなく、例えば、回転テーブルを所定のピッチで上方向に順次移動させることで、クラッド20とレーザ照射器40との相対位置を変更するようにしてもよい。また、レーザ照射器40を所定のピッチで下方向に順次移動させるようにしてもよい。
【0055】
さらに、本実施形態1では、回転テーブルによりファイバ本体11を回転させることで、レーザの照射位置を周方向に変更するようにしたが、ファイバ本体11を固定しておき、レーザ照射器40をファイバ本体11を中心に公転させながらレーザを照射することで、レーザの照射位置を周方向に変更するようにしてもよい。
【0056】
なお、図1では、クラッド20の長手方向にランダムな間隔でクラッドモード除去部21を形成するようにしたが、例えば、図3に示すように、クラッド20の長手方向に等間隔でクラッドモード除去部21を形成するようにしてもよい。
【0057】
また、本実施形態1では、クラッド20の外周面に、周方向に連続的に延びるリング溝状のクラッドモード除去部21を形成するようにしたが、例えば、クラッドモード除去部21を形成する際に、レーザ照射器40からクラッド20に対して断続的にレーザを照射することで、図4に示すように、周方向に間隔をあけて複数の溝状のクラッドモード除去部21を形成するようにしてもよい。
【0058】
また、本実施形態1では、クラッドモード除去部21を露出させたままであるが、図5に示すように、クラッドモード除去部21が形成されたクラッド20を覆うように、光吸収放熱層38を設けるようにしてもよい。具体的に、光吸収放熱層38は、金属、ガラス、有機物等で構成され、クラッドモード除去部21からファイバ本体11外に漏出するレーザ光を吸収するとともに、漏出したレーザ光により生じる熱を放熱するものである。
【0059】
このような構成とすれば、クラッドモード除去部21を介してクラッド20外に漏出したレーザ光を、光吸収放熱層38で吸収し且つ放熱することができ、光ファイバ10に接続している装置や光ファイバ10自体等が損傷するのを防止できる。
【0060】
また、本実施形態1では、ファイバ本体11の両端部のみにクラッドモード除去部21を形成するようにしたが、この形態に限定するものではなく、例えば、図6に示すように、ファイバ本体11の全長にわたってクラッドモード除去部21を形成するようにしてもよい。
【0061】
また、図7に示すように、レーザ光の入射側に2つのコア15を有し、出射側に向かう途中で2つのコア15を合流させてレーザ光の合成を行うコンバイナとしての光ファイバ10に対しても同様にクラッドモード除去部21を形成してもよい。
【0062】
《変形例》
図8は、本変形例に係る光ファイバの構成を示す側面図である。図8に示すように、この光ファイバ10は、ファイバ中心をなすコア15と、コア15の外周面を覆うクラッド20と、クラッド20の外周面を覆うサポート層30と、サポート層30の外周面を覆う樹脂層25とを有するファイバ本体11で構成されている。コア15、クラッド20、及びサポート層30は、それぞれ全体が石英ガラスから構成されている。樹脂層25は、光ファイバ10の両端部において除去されている。
【0063】
前記ファイバ本体11の両端部において露出したサポート層30の外周面には、周方向に延びるリング溝状のクラッドモード除去部21が形成されている。このクラッドモード除去部21は、クラッド20内を伝送する光をファイバ本体11外に逃がすためのものであり、ファイバ本体11の長手方向に間隔をあけて複数形成されている。なお、前記ファイバ本体11に対してクラッドモード除去部21を形成する加工方法は、前記実施形態1と同様であるため、その説明を省略する。
【0064】
なお、本変形例では、サポート層30にのみクラッドモード除去部21を形成するようにしたが、例えば、クラッドモード除去部21を形成する際に、レーザ照射器40によるレーザ照射時間を長くするか、又はレーザ出力を高めることで、図9に示すように、クラッドモード除去部21の溝深さを、サポート層30からクラッド20に至るまで深く形成してもよい。
【0065】
《実施形態2》
図10は、本発明の実施形態2に係る光ファイバの構成を示す側面図である。前記実施形態1との違いは、クラッドモード除去部21を螺旋溝状に形成するようにした点であるため、以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付し、相違点についてのみ説明する。
【0066】
図10に示すように、ファイバ本体11の両端部において露出されたクラッド20の外周面には、クラッド20の外周面を螺旋溝状に延びるクラッドモード除去部21が形成されている。
【0067】
<光ファイバの加工方法>
次に、光ファイバ10のクラッド20にクラッドモード除去部21を形成するための加工方法について説明する。図11は、光ファイバに対するレーザ照射器のレーザ照射位置を示す側面図である。
【0068】
図11に示すように、まず、ファイバ本体11の両端部の樹脂層25を除去して、クラッド20を露出させる。次に、露出させたクラッド20が上向きとなるように、ファイバ本体11を回転テーブルに設置する。この回転テーブルは、設置されたファイバ本体11をコア15を中心に周方向に回転させる回転動作と、ファイバ本体11を長手方向に上下動させる移動動作とを行うことができるようになっている。ファイバ本体11よりも図11で右方には、クラッド20の外周面に向かって加工用のレーザ光を照射するレーザ照射器40が配置されている。
【0069】
次に、前記回転テーブルを回転させることで、ファイバ本体11をコア15を中心に周方向に回転させる。そして、回転中のファイバ本体11のクラッド20の上端部近傍に対して、レーザ照射器40からレーザ光を照射する。そして、レーザ照射器40によりレーザ光を照射しながら回転テーブルを上方向に移動させていくことで、レーザの照射位置をクラッド20の上端部から下方に向かって変更させていく。これにより、クラッド20の外周面には、螺旋溝状に延びるクラッドモード除去部21が形成される。
【0070】
なお、本実施形態2では、クラッド20の外周面に螺旋溝状のクラッドモード除去部21を形成するようにしたが、例えば、図12に示すように、網目状のクラッドモード除去部21を形成するようにしてもよい。この網目状のクラッドモード除去部21は、螺旋溝状のクラッドモード除去部21を形成した後、ファイバ本体11を逆回転させて同様のレーザ照射を行うことにより形成することができる。
【0071】
なお、本実施形態2では、回転テーブルを上方向に移動させることで、クラッド20に対するレーザの照射位置を相対的に変更するようにしたが、この形態に限定するものではなく、レーザ照射器40を下方向に移動させることで、クラッド20に対するレーザの照射位置を相対的に変更するようにしてもよい。
【0072】
《その他の実施形態》
前記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0073】
前記光コネクタ35内に外気を取り込んで強制的に又は自然に冷却する空冷機構や、クラッドモード除去部21の周囲に水を流通させて冷却する水冷機構により、クラッドモード除去部21を冷却する冷却手段を設けるようにしてもよい。これにより、クラッドモード除去部21から漏出したレーザ光による発熱を抑えることができる。
【0074】
また、前記クラッドモード除去部21の近傍に、クラッドモード除去部21から外部に漏出するレーザ光を検出する光センサを設け、光センサの検出結果に基づいて、レーザ光源の出力を制御するようにしてもよい。
【0075】
すなわち、クラッドモード除去部21から漏出するレーザ光の光量が通常動作時に比べて多くなっていることを光センサで検出した場合には、直ちにレーザ光源の出力を停止するように制御することで、クラッドモード除去部21から漏出するレーザ光によって異常に発熱するのを抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上説明したように、本発明は、比較的簡単な方法で、クラッドモード除去部を精度良く加工するとともに信頼性を向上させることができるという実用性の高い効果が得られることから、きわめて有用で産業上の利用可能性は高い。
【符号の説明】
【0077】
10 光ファイバ
11 ファイバ本体
15 コア
20 クラッド
21 クラッドモード除去部
35 光コネクタ
38 光吸収放熱層
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ及び光ファイバの加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、光ファイバは、通信、計測等の用途に用いられる他にも、YAGレーザ等の高出力のレーザ光を用いて金属を溶接や切断する等、被加工物に対して各種の加工を行う際のレーザ光の伝送媒体として利用されている(例えば、特許文献1参照)。具体的に、この光ファイバは、光を伝送するガラス製のコアと、コアの外周面を覆うガラス製のクラッドと、コア及びクラッドを保護する樹脂層とを備えている。
【0003】
また、光ファイバの両端部には、光コネクタが取り付けられており、手作業又は簡易な工具を用いた作業のみでレーザ装置やその他の機器に対して接続できるようになっている。この光ファイバの両端部では、樹脂層にレーザ光が直接照射されてその照射位置において樹脂層が炭化したり発熱するのを防止するために、樹脂層の一部が除去されている。
【0004】
ところで、光ファイバにおいて、通常、コア内のみでレーザ光が伝送されるが、開口数(NA)の高い光を入射する場合や、レーザ光の一部がクラッド内に入射された場合には、クラッドと樹脂層との界面で光の反射が生じ、クラッドモードで光が伝送されてしまうおそれがある。クラッド外に漏出したレーザ光は、金属を加工できる程のエネルギーを有しているため、被加工物以外のものを加熱してしまい、光ファイバに接続している装置や光ファイバ自体が損傷するおそれがある。
【0005】
そこで、特許文献1には、光ファイバのクラッド表面をダイヤモンドパウダ又は化学エッチングで粗くすることでクラッドモード除去部を形成して、クラッドモードで伝送される光を逃がし、光コネクタに熱として吸収させるようにした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許登録第4575181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、クラッド表面が広範囲にわたって粗くなってしまうため、必要な箇所のみにクラッドモード除去部を加工することが困難である。また、微細な亀裂等の欠陥が生じるおそれがあり、機械的な強度が不足して信頼性が低下してしまう。さらに、加工に使用するダイヤモンドパウダや溶剤等を除去するために、拭き取り作業や洗浄作業、あるいは端末部の後加工が別途必要となり、作業効率が悪くなってしまう。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、比較的簡単に、クラッドモード除去部を精度良く加工するとともに信頼性を向上させた光ファイバの加工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
具体的に、本発明は、コアと、該コアの外周面を覆うクラッドとを有するファイバ本体に、クラッドモードで伝送される光を該クラッド外に散乱させるクラッドモード除去部を形成するための光ファイバの加工方法を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0010】
すなわち、第1の発明は、前記クラッドの外周面に溝状の前記クラッドモード除去部を形成する形成工程を備えたことを特徴とするものである。
【0011】
第1の発明では、クラッドの外周面に溝状のクラッドモード除去部が形成される。このようにすれば、レーザや機械加工等の加工方法を用いてクラッドモード除去部を形成することで、クラッドモード除去部の加工精度を向上させることができるとともに、微細な亀裂等の欠陥が生じることがなく信頼性が向上する。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、
前記形成工程では、前記クラッドに対してレーザを照射しながら、該クラッドに対するレーザの照射位置を該クラッドの周方向に相対的に変更することで、該クラッドの外周面にリング溝状の前記クラッドモード除去部を形成するようにしたことを特徴とするものである。
【0013】
第2の発明では、クラッドに対してレーザが照射されながら、クラッドに対するレーザの照射位置がクラッドの周方向に相対的に変更される。これにより、クラッドの外周面にリング溝状のクラッドモード除去部が形成される。
【0014】
このように、レーザの照射位置をクラッドの周方向に相対的に変更しながらレーザを照射することで、クラッドモード除去部の形状や寸法を制御することが容易となり、加工精度を向上させることができるとともに、微細な亀裂等の欠陥が生じることがなく信頼性が向上する。
【0015】
さらに、比較的簡単な加工方法でクラッドモード除去部を形成することができるから、コスト低減に有利となる。具体的に、従来のように、クラッド表面をダイヤモンドパウダ又は化学エッチングで粗くすることでクラッドモード除去部を形成する場合には、加工に使用するダイヤモンドパウダや溶剤等を除去するために、拭き取り作業や洗浄作業、あるいは端末部の後加工が別途必要となり、作業効率が悪くなってしまう。
【0016】
これに対し、本発明では、ダイヤモンドパウダ又は化学エッチング等の消耗品を用いる必要がなく、拭き取り作業や洗浄作業、あるいは端末部の後加工も必要ないため、コスト低減に有利となる。
【0017】
第3の発明は、第1の発明において、
前記形成工程では、前記クラッドに対してレーザを照射しながら、該クラッドに対するレーザの照射位置を該クラッドの周方向及び長手方向に相対的に変更することで、該クラッドの外周面に螺旋溝状の前記クラッドモード除去部を形成するようにしたことを特徴とするものである。
【0018】
第3の発明では、クラッドに対してレーザが照射されながら、クラッドに対するレーザの照射位置がクラッドの周方向及び長手方向に相対的に変更される。これにより、クラッドの外周面に螺旋溝状のクラッドモード除去部が形成される。
【0019】
このように、レーザの照射位置をクラッドの周方向及び長手方向に相対的に変更しながらレーザを照射することで、クラッドの外周面に螺旋溝状のクラッドモード除去部を容易に形成することができる。すなわち、クラッドモード除去部の形状を、様々なクラッドモード伝送に合わせて容易に加工することができる。
【0020】
第4の発明は、第2又は第3の発明において、
前記形成工程では、前記クラッドに対してレーザを断続的に照射することで、該クラッドの外周面に複数の溝状の前記クラッドモード除去部を形成するようにしたことを特徴とするものである。
【0021】
第4の発明では、クラッドに対してレーザが断続的に照射される。これにより、クラッドの外周面に複数の溝状のクラッドモード除去部が形成される。このようにすれば、クラッドモード除去部の形状を、様々なクラッドモード伝送に合わせて容易に加工することができる。
【0022】
第5の発明は、コアと、該コアの外周面を覆うクラッドとを有するファイバ本体に、クラッドモードで伝送される光を該クラッド外に散乱させるクラッドモード除去部が形成された光ファイバを対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0023】
すなわち、第5の発明は、前記クラッドモード除去部は、前記クラッドの外周面に溝状に形成されていることを特徴とするものである。
【0024】
第5の発明では、クラッドの外周面に溝状のクラッドモード除去部が形成される。このようにすれば、レーザや機械加工等の加工方法を用いてクラッドモード除去部を形成することで、クラッドモード除去部の加工精度を向上させることができるとともに、微細な亀裂等の欠陥が生じることがなく信頼性が向上する。
【0025】
第6の発明は、第5の発明において、
前記クラッドモード除去部は、前記クラッドに対してレーザが照射されながら、該クラッドに対するレーザの照射位置が該クラッドの周方向に相対的に変更されることで、該クラッドの外周面にリング溝状に形成されていることを特徴とするものである。
【0026】
第6の発明では、クラッドに対してレーザが照射されながら、クラッドに対するレーザの照射位置がクラッドの周方向に相対的に変更される。これにより、クラッドの外周面にリング溝状のクラッドモード除去部が形成される。
【0027】
このような構成とすれば、クラッドモード除去部の形状や寸法を制御することが容易となり、加工精度を向上させることができるとともに、微細な亀裂等の欠陥が生じることがなく信頼性が向上する。
【0028】
第7の発明は、第5の発明において、
前記クラッドモード除去部は、前記クラッドに対してレーザが照射されながら、該クラッドに対するレーザの照射位置が該クラッドの周方向及び長手方向に相対的に変更されることで、該クラッドの外周面に螺旋溝状に形成されていることを特徴とするものである。
【0029】
第7の発明では、クラッドに対してレーザが照射されながら、クラッドに対するレーザの照射位置がクラッドの周方向及び長手方向に相対的に変更される。これにより、クラッドの外周面に螺旋溝状のクラッドモード除去部が形成される。このような構成とすれば、クラッドの外周面に螺旋溝状のクラッドモード除去部を容易に形成することができる。
【0030】
第8の発明は、第6又は第7の発明において、
前記クラッドモード除去部は、前記クラッドに対してレーザが断続的に照射されることで、該クラッドの外周面に溝状に複数形成されていることを特徴とするものである。
【0031】
第8の発明では、クラッドに対してレーザが断続的に照射される。これにより、クラッドの外周面に溝状のクラッドモード除去部が複数形成される。このような構成とすれば、クラッドモード除去部の形状を、様々なクラッドモード伝送に合わせて容易に加工することができる。
【0032】
第9の発明は、第5乃至第8の発明のうち何れか1つにおいて、
前記クラッドモード除去部は、前記光ファイバの両端部にそれぞれ形成され、
前記光ファイバの両端部には、前記クラッドモード除去部を覆うように光コネクタが取り付けられていることを特徴とするものである。
【0033】
第9の発明では、光ファイバの両端部には、クラッドモード除去部がそれぞれ形成される。そして、クラッドモード除去部を覆うように光コネクタが取り付けられる。
【0034】
このような構成とすれば、クラッドモード除去部を介してクラッド外に漏出したレーザ光を、光コネクタに熱として吸収することができ、光ファイバに接続している装置や光ファイバ自体等が損傷するのを防止できる。
【0035】
第10の発明は、第5乃至第9の発明のうち何れか1つにおいて、
前記クラッドモード除去部は、前記クラッド外に散乱する光を吸収するとともに放熱性能を有する光吸収放熱層で覆われていることを特徴とするものである。
【0036】
第10の発明では、クラッドモード除去部は、光吸収放熱層で覆われている。この光吸収放熱層は、クラッド外に散乱する光を吸収するとともに放熱性能を有している。
【0037】
このような構成とすれば、クラッドモード除去部を介してクラッド外に漏出したレーザ光を、光吸収放熱層で吸収し且つ放熱することができ、光ファイバに接続している装置や光ファイバ自体等が損傷するのを防止できる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、レーザの照射位置をクラッドの周方向に相対的に変更しながらレーザを照射することで、クラッドモード除去部の形状や寸法を制御することが容易となり、加工精度を向上させることができるとともに、微細な亀裂等の欠陥が生じることがなく信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態1に係る光ファイバの構成を示す側面図である。
【図2】光ファイバに対するレーザ照射器のレーザ照射位置を示す側面図である。
【図3】クラッドモード除去部を等間隔で形成した光ファイバの構成を示す側面図である。
【図4】クラッドモード除去部を周方向に間隔をあけて複数形成した光ファイバの構成を示す側面図である。
【図5】光吸収放熱層を有する光ファイバの構成を示す側面図である。
【図6】全長にわたってクラッドモード除去部を形成した光ファイバの構成を示す側面図である。
【図7】レーザ光の合成を行うコンバイナとしての光ファイバの構成を示す側面図である。
【図8】本変形例に係る光ファイバの構成を示す側面図である。
【図9】本変形例に係る光ファイバの別の構成を示す側面図である。
【図10】本実施形態2に係る光ファイバの構成を示す側面図である。
【図11】光ファイバに対するレーザ照射器のレーザ照射位置を示す側面図である。
【図12】本実施形態2に係る光ファイバの別の構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0041】
《実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係る光ファイバの構成を示す側面図である。この光ファイバ10は、機械加工分野におけるレーザ加工機において、レーザ光の伝送用導波路として用いられるものである。
【0042】
図1に示すように、光ファイバ10は、ファイバ中心をなすコア15と、コア15の外周面を覆うクラッド20と、クラッド20の外周面を覆う樹脂層25とを有するファイバ本体11で構成されている。コア15及びクラッド20は、それぞれ全体が石英ガラスから構成されている。
【0043】
前記光ファイバ10は、入射された光がコア15とクラッド20との界面で反射を繰り返しながらコア15内を伝送するように構成されている。コア15には、ゲルマニウム(Ge)がドープされており、クラッド20より屈折率が高くなっている。樹脂層25は、光ファイバ10の両端部において除去されている。ファイバ本体11の両端部には、金属製の光コネクタ35が取り付けられており、樹脂層25が除去されて露出したクラッド20を覆っている。
【0044】
前記ファイバ本体11の両端部において露出したクラッド20の外周面には、周方向に延びるリング溝状のクラッドモード除去部21が形成されている。このクラッドモード除去部21は、クラッド20内を伝送する光をファイバ本体11外に逃がすためのものであり、ファイバ本体11の長手方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0045】
<光ファイバの加工方法>
次に、光ファイバ10のクラッド20にクラッドモード除去部21を形成するための加工方法について説明する。図2は、光ファイバに対するレーザ照射器のレーザ照射位置を示す側面図である。
【0046】
図2に示すように、まず、ファイバ本体11の両端部の樹脂層25を除去して、クラッド20を露出させる。次に、露出させたクラッド20が上向きとなるように、ファイバ本体11を回転テーブル(図示省略)に設置する。ファイバ本体11よりも図2で右方には、クラッド20の外周面に向かって加工用のレーザ光を照射するレーザ照射器40が配置されている。
【0047】
次に、前記回転テーブルを回転させることで、ファイバ本体11をコア15を中心に周方向に回転させる。そして、回転中のファイバ本体11のクラッド20に対して、レーザ照射器40からレーザ光を一定時間照射する。これにより、クラッド20の外周面には、周方向に延びるリング溝状のクラッドモード除去部21が形成される。なお、このときのレーザ照射では、図2の最上段のクラッドモード除去部21が形成されたものとする。
【0048】
そして、最上段のクラッドモード除去部21を形成した後、レーザ照射器40のレーザ照射位置を、ファイバ本体11の長手方向の下方に所定の間隔をあけた位置に変更する。そして、変更後のレーザ照射位置のクラッド20に対して、レーザ照射器40からレーザ光を一定時間照射する。これにより、ファイバ本体11の長手方向に間隔をあけて次のクラッドモード除去部21を形成する。
【0049】
このような手順を繰り返すことにより、ファイバ本体11の両端部のクラッド20に対して、複数のクラッドモード除去部21を形成する。その後、ファイバ本体11の両端部に光コネクタ35を取り付ける。この光コネクタ35により、レーザ装置やその他の機器に対して容易に接続することができるとともに、クラッドモード除去部21を保護することができる。さらに、クラッドモード除去部21を介してクラッド20外に漏出したレーザ光を、光コネクタ35に熱として吸収することができ、光ファイバ10に接続している装置や光ファイバ10自体等が損傷するのを防止できる。
【0050】
このように、本実施形態1に係る光ファイバ10の加工方法によれば、ファイバ本体11を回転させながらレーザ光を照射することで、クラッドモード除去部21の形状や寸法を制御することが容易となり、加工精度を向上させることができるとともに、微細な亀裂等の欠陥が生じることがなく信頼性が向上する。
【0051】
さらに、比較的簡単な加工方法でクラッドモード除去部21を形成することができるから、コスト低減に有利となる。具体的に、従来のように、クラッド20表面をダイヤモンドパウダ又は化学エッチングで粗くすることでクラッドモード除去部21を形成する場合には、加工に使用するダイヤモンドパウダや溶剤等を除去するために、拭き取り作業や洗浄作業、あるいは端末部の後加工が別途必要となり、作業効率が悪くなってしまう。
【0052】
これに対し、本発明では、ダイヤモンドパウダ又は化学エッチング等の消耗品を用いる必要がなく、拭き取り作業や洗浄作業、あるいは端末部の後加工も必要ないため、コスト低減に有利となる。
【0053】
また、クラッドモードで伝送されるレーザ光を除去することができるから、この光ファイバ10を、例えば計測用ファイバや医療用ファイバとして用いた場合には、ノイズを低減する上で有利となる。
【0054】
なお、本実施形態1では、レーザ照射器40のレーザ照射位置を変更することで、クラッド20に対するレーザ光の照射位置をずらすようにしたが、この形態に限定するものではなく、例えば、回転テーブルを所定のピッチで上方向に順次移動させることで、クラッド20とレーザ照射器40との相対位置を変更するようにしてもよい。また、レーザ照射器40を所定のピッチで下方向に順次移動させるようにしてもよい。
【0055】
さらに、本実施形態1では、回転テーブルによりファイバ本体11を回転させることで、レーザの照射位置を周方向に変更するようにしたが、ファイバ本体11を固定しておき、レーザ照射器40をファイバ本体11を中心に公転させながらレーザを照射することで、レーザの照射位置を周方向に変更するようにしてもよい。
【0056】
なお、図1では、クラッド20の長手方向にランダムな間隔でクラッドモード除去部21を形成するようにしたが、例えば、図3に示すように、クラッド20の長手方向に等間隔でクラッドモード除去部21を形成するようにしてもよい。
【0057】
また、本実施形態1では、クラッド20の外周面に、周方向に連続的に延びるリング溝状のクラッドモード除去部21を形成するようにしたが、例えば、クラッドモード除去部21を形成する際に、レーザ照射器40からクラッド20に対して断続的にレーザを照射することで、図4に示すように、周方向に間隔をあけて複数の溝状のクラッドモード除去部21を形成するようにしてもよい。
【0058】
また、本実施形態1では、クラッドモード除去部21を露出させたままであるが、図5に示すように、クラッドモード除去部21が形成されたクラッド20を覆うように、光吸収放熱層38を設けるようにしてもよい。具体的に、光吸収放熱層38は、金属、ガラス、有機物等で構成され、クラッドモード除去部21からファイバ本体11外に漏出するレーザ光を吸収するとともに、漏出したレーザ光により生じる熱を放熱するものである。
【0059】
このような構成とすれば、クラッドモード除去部21を介してクラッド20外に漏出したレーザ光を、光吸収放熱層38で吸収し且つ放熱することができ、光ファイバ10に接続している装置や光ファイバ10自体等が損傷するのを防止できる。
【0060】
また、本実施形態1では、ファイバ本体11の両端部のみにクラッドモード除去部21を形成するようにしたが、この形態に限定するものではなく、例えば、図6に示すように、ファイバ本体11の全長にわたってクラッドモード除去部21を形成するようにしてもよい。
【0061】
また、図7に示すように、レーザ光の入射側に2つのコア15を有し、出射側に向かう途中で2つのコア15を合流させてレーザ光の合成を行うコンバイナとしての光ファイバ10に対しても同様にクラッドモード除去部21を形成してもよい。
【0062】
《変形例》
図8は、本変形例に係る光ファイバの構成を示す側面図である。図8に示すように、この光ファイバ10は、ファイバ中心をなすコア15と、コア15の外周面を覆うクラッド20と、クラッド20の外周面を覆うサポート層30と、サポート層30の外周面を覆う樹脂層25とを有するファイバ本体11で構成されている。コア15、クラッド20、及びサポート層30は、それぞれ全体が石英ガラスから構成されている。樹脂層25は、光ファイバ10の両端部において除去されている。
【0063】
前記ファイバ本体11の両端部において露出したサポート層30の外周面には、周方向に延びるリング溝状のクラッドモード除去部21が形成されている。このクラッドモード除去部21は、クラッド20内を伝送する光をファイバ本体11外に逃がすためのものであり、ファイバ本体11の長手方向に間隔をあけて複数形成されている。なお、前記ファイバ本体11に対してクラッドモード除去部21を形成する加工方法は、前記実施形態1と同様であるため、その説明を省略する。
【0064】
なお、本変形例では、サポート層30にのみクラッドモード除去部21を形成するようにしたが、例えば、クラッドモード除去部21を形成する際に、レーザ照射器40によるレーザ照射時間を長くするか、又はレーザ出力を高めることで、図9に示すように、クラッドモード除去部21の溝深さを、サポート層30からクラッド20に至るまで深く形成してもよい。
【0065】
《実施形態2》
図10は、本発明の実施形態2に係る光ファイバの構成を示す側面図である。前記実施形態1との違いは、クラッドモード除去部21を螺旋溝状に形成するようにした点であるため、以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付し、相違点についてのみ説明する。
【0066】
図10に示すように、ファイバ本体11の両端部において露出されたクラッド20の外周面には、クラッド20の外周面を螺旋溝状に延びるクラッドモード除去部21が形成されている。
【0067】
<光ファイバの加工方法>
次に、光ファイバ10のクラッド20にクラッドモード除去部21を形成するための加工方法について説明する。図11は、光ファイバに対するレーザ照射器のレーザ照射位置を示す側面図である。
【0068】
図11に示すように、まず、ファイバ本体11の両端部の樹脂層25を除去して、クラッド20を露出させる。次に、露出させたクラッド20が上向きとなるように、ファイバ本体11を回転テーブルに設置する。この回転テーブルは、設置されたファイバ本体11をコア15を中心に周方向に回転させる回転動作と、ファイバ本体11を長手方向に上下動させる移動動作とを行うことができるようになっている。ファイバ本体11よりも図11で右方には、クラッド20の外周面に向かって加工用のレーザ光を照射するレーザ照射器40が配置されている。
【0069】
次に、前記回転テーブルを回転させることで、ファイバ本体11をコア15を中心に周方向に回転させる。そして、回転中のファイバ本体11のクラッド20の上端部近傍に対して、レーザ照射器40からレーザ光を照射する。そして、レーザ照射器40によりレーザ光を照射しながら回転テーブルを上方向に移動させていくことで、レーザの照射位置をクラッド20の上端部から下方に向かって変更させていく。これにより、クラッド20の外周面には、螺旋溝状に延びるクラッドモード除去部21が形成される。
【0070】
なお、本実施形態2では、クラッド20の外周面に螺旋溝状のクラッドモード除去部21を形成するようにしたが、例えば、図12に示すように、網目状のクラッドモード除去部21を形成するようにしてもよい。この網目状のクラッドモード除去部21は、螺旋溝状のクラッドモード除去部21を形成した後、ファイバ本体11を逆回転させて同様のレーザ照射を行うことにより形成することができる。
【0071】
なお、本実施形態2では、回転テーブルを上方向に移動させることで、クラッド20に対するレーザの照射位置を相対的に変更するようにしたが、この形態に限定するものではなく、レーザ照射器40を下方向に移動させることで、クラッド20に対するレーザの照射位置を相対的に変更するようにしてもよい。
【0072】
《その他の実施形態》
前記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0073】
前記光コネクタ35内に外気を取り込んで強制的に又は自然に冷却する空冷機構や、クラッドモード除去部21の周囲に水を流通させて冷却する水冷機構により、クラッドモード除去部21を冷却する冷却手段を設けるようにしてもよい。これにより、クラッドモード除去部21から漏出したレーザ光による発熱を抑えることができる。
【0074】
また、前記クラッドモード除去部21の近傍に、クラッドモード除去部21から外部に漏出するレーザ光を検出する光センサを設け、光センサの検出結果に基づいて、レーザ光源の出力を制御するようにしてもよい。
【0075】
すなわち、クラッドモード除去部21から漏出するレーザ光の光量が通常動作時に比べて多くなっていることを光センサで検出した場合には、直ちにレーザ光源の出力を停止するように制御することで、クラッドモード除去部21から漏出するレーザ光によって異常に発熱するのを抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上説明したように、本発明は、比較的簡単な方法で、クラッドモード除去部を精度良く加工するとともに信頼性を向上させることができるという実用性の高い効果が得られることから、きわめて有用で産業上の利用可能性は高い。
【符号の説明】
【0077】
10 光ファイバ
11 ファイバ本体
15 コア
20 クラッド
21 クラッドモード除去部
35 光コネクタ
38 光吸収放熱層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアと、該コアの外周面を覆うクラッドとを有するファイバ本体に、クラッドモードで伝送される光を該クラッド外に散乱させるクラッドモード除去部を形成するための光ファイバの加工方法であって、
前記クラッドの外周面に溝状の前記クラッドモード除去部を形成する形成工程を備えたことを特徴とする光ファイバの加工方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記形成工程では、前記クラッドに対してレーザを照射しながら、該クラッドに対するレーザの照射位置を該クラッドの周方向に相対的に変更することで、該クラッドの外周面にリング溝状の前記クラッドモード除去部を形成するようにしたことを特徴とする光ファイバの加工方法。
【請求項3】
請求項1において、
前記形成工程では、前記クラッドに対してレーザを照射しながら、該クラッドに対するレーザの照射位置を該クラッドの周方向及び長手方向に相対的に変更することで、該クラッドの外周面に螺旋溝状の前記クラッドモード除去部を形成するようにしたことを特徴とする光ファイバの加工方法。
【請求項4】
請求項2又は3において、
前記形成工程では、前記クラッドに対してレーザを断続的に照射することで、該クラッドの外周面に複数の溝状の前記クラッドモード除去部を形成するようにしたことを特徴とする光ファイバの加工方法。
【請求項5】
コアと、該コアの外周面を覆うクラッドとを有するファイバ本体に、クラッドモードで伝送される光を該クラッド外に散乱させるクラッドモード除去部が形成された光ファイバであって、
前記クラッドモード除去部は、前記クラッドの外周面に溝状に形成されていることを特徴とする光ファイバ。
【請求項6】
請求項5において、
前記クラッドモード除去部は、前記クラッドに対してレーザが照射されながら、該クラッドに対するレーザの照射位置が該クラッドの周方向に相対的に変更されることで、該クラッドの外周面にリング溝状に形成されていることを特徴とする光ファイバ。
【請求項7】
請求項5において、
前記クラッドモード除去部は、前記クラッドに対してレーザが照射されながら、該クラッドに対するレーザの照射位置が該クラッドの周方向及び長手方向に相対的に変更されることで、該クラッドの外周面に螺旋溝状に形成されていることを特徴とする光ファイバ。
【請求項8】
請求項6又は7において、
前記クラッドモード除去部は、前記クラッドに対してレーザが断続的に照射されることで、該クラッドの外周面に溝状に複数形成されていることを特徴とする光ファイバ。
【請求項9】
請求項5乃至8のうち何れか1つにおいて、
前記クラッドモード除去部は、前記光ファイバの両端部にそれぞれ形成され、
前記光ファイバの両端部には、前記クラッドモード除去部を覆うように光コネクタが取り付けられていることを特徴とする光ファイバ。
【請求項10】
請求項5乃至9のうち何れか1つにおいて、
前記クラッドモード除去部は、前記クラッド外に散乱する光を吸収するとともに放熱性能を有する光吸収放熱層で覆われていることを特徴とする光ファイバ。
【請求項1】
コアと、該コアの外周面を覆うクラッドとを有するファイバ本体に、クラッドモードで伝送される光を該クラッド外に散乱させるクラッドモード除去部を形成するための光ファイバの加工方法であって、
前記クラッドの外周面に溝状の前記クラッドモード除去部を形成する形成工程を備えたことを特徴とする光ファイバの加工方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記形成工程では、前記クラッドに対してレーザを照射しながら、該クラッドに対するレーザの照射位置を該クラッドの周方向に相対的に変更することで、該クラッドの外周面にリング溝状の前記クラッドモード除去部を形成するようにしたことを特徴とする光ファイバの加工方法。
【請求項3】
請求項1において、
前記形成工程では、前記クラッドに対してレーザを照射しながら、該クラッドに対するレーザの照射位置を該クラッドの周方向及び長手方向に相対的に変更することで、該クラッドの外周面に螺旋溝状の前記クラッドモード除去部を形成するようにしたことを特徴とする光ファイバの加工方法。
【請求項4】
請求項2又は3において、
前記形成工程では、前記クラッドに対してレーザを断続的に照射することで、該クラッドの外周面に複数の溝状の前記クラッドモード除去部を形成するようにしたことを特徴とする光ファイバの加工方法。
【請求項5】
コアと、該コアの外周面を覆うクラッドとを有するファイバ本体に、クラッドモードで伝送される光を該クラッド外に散乱させるクラッドモード除去部が形成された光ファイバであって、
前記クラッドモード除去部は、前記クラッドの外周面に溝状に形成されていることを特徴とする光ファイバ。
【請求項6】
請求項5において、
前記クラッドモード除去部は、前記クラッドに対してレーザが照射されながら、該クラッドに対するレーザの照射位置が該クラッドの周方向に相対的に変更されることで、該クラッドの外周面にリング溝状に形成されていることを特徴とする光ファイバ。
【請求項7】
請求項5において、
前記クラッドモード除去部は、前記クラッドに対してレーザが照射されながら、該クラッドに対するレーザの照射位置が該クラッドの周方向及び長手方向に相対的に変更されることで、該クラッドの外周面に螺旋溝状に形成されていることを特徴とする光ファイバ。
【請求項8】
請求項6又は7において、
前記クラッドモード除去部は、前記クラッドに対してレーザが断続的に照射されることで、該クラッドの外周面に溝状に複数形成されていることを特徴とする光ファイバ。
【請求項9】
請求項5乃至8のうち何れか1つにおいて、
前記クラッドモード除去部は、前記光ファイバの両端部にそれぞれ形成され、
前記光ファイバの両端部には、前記クラッドモード除去部を覆うように光コネクタが取り付けられていることを特徴とする光ファイバ。
【請求項10】
請求項5乃至9のうち何れか1つにおいて、
前記クラッドモード除去部は、前記クラッド外に散乱する光を吸収するとともに放熱性能を有する光吸収放熱層で覆われていることを特徴とする光ファイバ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−118208(P2011−118208A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276301(P2009−276301)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000003263)三菱電線工業株式会社 (734)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000003263)三菱電線工業株式会社 (734)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]