説明

光ファイバ型表面プラズモンセンサ及びそれを用いた測定装置

【課題】光ファイバの中途部に光透過部材が設けられた表面プラズモンセンサにおいて、より感度を向上させることができる表面プラズモンセンサと測定装置を提供する。
【解決手段】光ファイバ(20a,20b)の中途部に、伝送する光の一部の外界との相互作用させる光透過部材及びその外周表面における光透過部材中の光の反射により表面プラズモンを発生する金属膜を有するセンサ部SPが設けられ、クランプ14を有する固体治具13が光透過部材を挟む位置で光透過部材を含む光ファイバが所定の曲率半径の形状を形成するように光ファイバを固定し、さらに、光源が設けられて光ファイバの入射端に対してセンサ光を出射し、受光部が設けられて光透過部材を介して光ファイバの出射端から出射されるセンサ光を検出する構成となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバを用いて表面プラズモンを発生させ、この表面プラズモンを利用して測定対象を検出する光ファイバ型表面プラズモンセンサ、および、この光ファイバ型表面プラズモンセンサを用いた測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
測定対象の検出に表面プラズモン現象を利用した表面プラズモンセンサが知られている。
表面プラズモンセンサの一種として、クレッチマン型の表面プラズモンセンサが知られている。クレッチマン型表面プラズモンセンサは、ガラス製の平板に金属膜を設け、この金属膜を測定対象試料に接触させる構成になっている。そして、ガラスを介して金属膜に光を入射させると、金属膜に対する光の入射角と金属膜に接触している測定対象試料の屈折率とが所定の関係を満たすときに、表面プラズモン共鳴が発生して反射光の強度が低下する。したがって、反射光が減衰する入射角を検出することによって得られる測定対象試料の屈折率を、測定対象の測定に利用することができる。
【0003】
ところが、上述のクレッチマン型表面プラズモンセンサは、ガラス板に光を入射させて、反射光が減衰するときの入射角を調べる必要があるため、たとえば遠隔地におけるin situ測定(その場測定)は困難であり、小型化も難しい。
【0004】
一方で、特許文献1及び2に開示されているように、ヘテロコア型の光ファイバセンサが開発されており、上記のクレッチマン型表面プラズモンセンサの持つ問題に対応するため、光ファイバを用いた表面プラズモンセンサが開発され、例えば特許文献3及び4に開示されている。
特許文献3及び4においては、光ファイバの中途部または端部に、コア径が異なるヘテロコア部と呼ばれる部分を融着接合して設け、ヘテロコア部の表面に表面プラズモンを発生させるための金属膜を設けた構成が開示されている。
【特許文献1】国際公開97/48994号パンフレット
【特許文献2】特開2003−214906号公報
【特許文献3】特開2002−350335号公報
【特許文献4】特開2006−047018号公報
【非特許文献1】笠井,「表面プラズモン共鳴(SPR)を利用したバイオセンサー」蛋白質 核酸 酵素,Vol.37,No.15(1992年)p2977-2984
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献3及び4に記載のヘテロコア部をセンサとして用いた表面プラズモンセンサは、測定対象とする外界の特性を簡便に検出して測定可能であるが、さらなる感度の向上が求められていた。
【0006】
解決しようとする問題点は、ヘテロコア部をセンサとして用いた表面プラズモンセンサより感度を向上させることが困難であるという点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の光ファイバ型表面プラズモンセンサは、光ファイバと、前記光ファイバの中途部に設けられ、伝送する光の一部の外界との相互作用させる光透過部材と、前記光透過部材の外周表面に設けられ、前記外周表面における前記光透過部材中の光の反射により表面プラズモンを発生する金属膜と、前記光透過部材を含む前記光ファイバが所定の曲率半径の形状を形成するように、前記光透過部材を挟む位置で前記光ファイバを固定する固定部材とを有する。
【0008】
上記の本発明の光ファイバ型表面プラズモンセンサは、光ファイバの中途部に、伝送する光の一部の外界との相互作用させる光透過部材が設けられ、その外周表面に、外周表面における光透過部材中の光の反射により表面プラズモンを発生する金属膜が設けられ、固定部材が光透過部材を挟む位置で光透過部材を含む光ファイバが所定の曲率半径の形状を形成するように光ファイバを固定する構成となっている。
【0009】
上記の本発明の光ファイバ型表面プラズモンセンサは、好適には、前記光透過部材は、前記光ファイバのコア径と異なるコア径を有するヘテロコア部である。
あるいは好適には、前記光透過部材は、前記光ファイバのコアの屈折率あるいはクラッドの屈折率と同等の屈折率を持つ光透過部材である。
【0010】
上記の本発明の光ファイバ型表面プラズモンセンサは、好適には、前記曲率半径が3cm以上である。
また、好適には、前記光ファイバがマルチモード光ファイバである。
【0011】
上記の本発明の光ファイバ型表面プラズモンセンサは、好適には、前記光ファイバの一方の端部が2本に分岐して光の入射端及び出射端が設けられ、前記光ファイバの他方の端部に前記光ファイバを伝送する光を反射して前記光ファイバに戻す反射部が設けられている。
【0012】
また、本発明の測定装置は、光ファイバと、前記光ファイバの中途部に設けられ、伝送する光の一部の外界との相互作用させる光透過部材と、前記光透過部材の外周表面に設けられ、前記外周表面における前記光透過部材中の光の反射により表面プラズモンを発生する金属膜と、前記光透過部材を含む前記光ファイバが所定の曲率半径の形状を形成するように、前記光透過部材を挟む位置で前記光ファイバを固定する固定部材と、前記光ファイバの入射端に対してセンサ光を出射する光源と、前記光透過部材を介して前記光ファイバの出射端から出射される前記センサ光を検出する受光部とを有する。
【0013】
上記の本発明の測定装置は、光ファイバの中途部に、伝送する光の一部の外界との相互作用させる光透過部材が設けられ、その外周表面に、外周表面における光透過部材中の光の反射により表面プラズモンを発生する金属膜が設けられ、固体部材が光透過部材を挟む位置で光透過部材を含む光ファイバが所定の曲率半径の形状を形成するように光ファイバを固定し、さらに、光源が設けられて光ファイバの入射端に対してセンサ光を出射し、受光部が設けられて光透過部材を介して光ファイバの出射端から出射されるセンサ光を検出する構成となっている。
【0014】
上記の本発明の測定装置は、好適には、前記光透過部材は、前記光ファイバのコア径と異なるコア径を有するヘテロコア部である。
あるいは好適には、前記光透過部材は、前記光ファイバのコアの屈折率あるいはクラッドの屈折率と同等の屈折率を持つ光透過部材である。
【0015】
上記の本発明の測定装置は、好適には、前記曲率半径が3cm以上である。
また、好適には、前記光ファイバがマルチモード光ファイバである。
【0016】
上記の本発明の測定装置は、好適には、前記光ファイバの一方の端部が2本に分岐して前記入射端及び前記出射端が設けられ、前記光ファイバの他方の端部に前記光ファイバを伝送する光を反射して前記光ファイバに戻す反射部が設けられている。
【発明の効果】
【0017】
本発明の光ファイバ型表面プラズモンセンサは、光ファイバの中途部にヘテロコア部などの光透過部材が設けられた表面プラズモンセンサにおいて、光透過部材を含む光ファイバに所定の曲率半径が与えられて固定されており、より感度を向上させることができる。
【0018】
本発明の測定装置は、これを構成する光ファイバ型センサにおいて、光ファイバの中途部にヘテロコア部などの光透過部材が設けられた表面プラズモンセンサにおいて、光透過部材を含む光ファイバに所定の曲率半径が与えられて固定されており、より感度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明の光ファイバ型表面プラズモンセンサ及びそれを用いた測定装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0020】
第1実施形態
図1は本実施形態に係る光ファイバ型表面プラズモンセンサを用いた測定装置の模式構成図である。
例えば、光ファイバ(20a,20b)の中途部に、固定部材13a,13bからなる固定治具13に保持されたセンサ部SPが設けられている。
また、例えば、光ファイバ20aの光入射端に、白色光源などのセンサ光を出射する光源11が設けられ、光ファイバ20bの光出射端に光出射端から出射されるセンサ光を検出するフォトダイオードやパワーメータなどの受光部を備えたスペクトラムアナライザ12が設けられている。
固定治具13に保持されたセンサ部SPは測定対象液体Lに浸漬され、このときのセンサ光の測定によって測定対象液体Lの屈折率、種類や濃度などが測定される。
【0021】
図2(a)は、本実施形態に係る光ファイバ型表面プラズモンセンサのセンサ部SP近傍の斜視図であり、図2(b)はセンサ部SP近傍の長手方向の断面図である。
例えば、本実施形態の測定装置に用いられる光ファイバ型表面プラズモンセンサは、コア径50μmのマルチモードファイバである一方の光ファイバ20aと他方の光ファイバ20bの間に、センサ部SPが設けられた構成である。
センサ部SPは、例えば、伝送する光の一部の外界との相互作用させる光透過部材であるヘテロコア部3と、ヘテロコア部3の外周表面に設けられ、ヘテロコア部3の外周表面における光透過部材中の光の反射により表面プラズモンを発生する金属膜50とを有する。
【0022】
例えば、光ファイバ(20a,20b)は、コア21と、その外周部に設けられたクラッド22とを有し、ヘテロコア部3は、光ファイバ(20a,20b)のコア径と異なるコア径を有するコア31と、その外周部に設けられたクラッド32とを有する。
また、例えば、ヘテロコア部3におけるコア31の径blは、光ファイバ(20a,20b)のコア21の径alより小さく、例えばal=50μm、bl=3μmである。また、ヘテロコア部3の長さclは、1mm〜数cmである。
センサ部SPを構成するヘテロコア部3と光ファイバ(20a,20b)は、例えば、長手方向に直交する界面4でコア同士が接合するようにほぼ同軸に、例えば汎用化されている放電による融着などにより、接合されている。
【0023】
光ファイバ(20a,20b)およびヘテロコア部3としては、例えば、シングルモード光ファイバおよびマルチモード光ファイバのいずれをも使用可能であり、これらを組み合わせて使用してもよい。
【0024】
本実施形態に係るセンサ部SPのヘテロコア部3は、表面側を被覆するように金属膜50が形成されている。
金属膜50としては、例えば、ヘテロコア部3の外側表面に蒸着によりクロム(Cr)膜を形成し、このクロム膜上に蒸着により金(Au)の膜を形成した、クロム膜と金膜の積層膜として金属膜50を形成する。クロム膜の膜厚は例えば数nm程度であり、金膜の膜厚は例えば数10nm程度である。
【0025】
詳細には後述するように、ヘテロコア部3の内部における光がヘテロコア部3と金属膜50との境界において反射することにより、表面プラズモンが発生する。
例えば、銀(Ag)やアルミニウム(Al)等の他の金属を用いて金属膜50を形成してもよい。
【0026】
図3(a)及び(b)は、固定治具13に保持されたセンサ部SP近傍の光ファイバ(20a,20b)の構成を示す模式図である。
図3(a)に示すように、例えば、固定治具13を構成する固定部材(13a,13b)は、光ファイバを固定するクランプ14が設けられている。
例えば、図3(b)に示すように、固定部材(13a、13b)の相対的位置が可変となっていて、クランプ14間の距離が変更できるように構成されている。
ここで、光透過部材(ヘテロコア部3)を含むセンサ部SPを挟む位置で、光透過部材(ヘテロコア部3)を含む光ファイバ(20a,20b)が所定の曲率半径Rの形状を形成するように、固定治具13を構成するクランプ14が光ファイバ(20a,20b)を固定する構成となっている。
【0027】
上記の曲率半径は、好ましくは3cm以上である。3cm以下とすると光ファイバの物理的強度のために破損するおそれがある。上限は特になく、3cm以上の範囲で好ましく設定できる。
【0028】
図4(a)及び(b)は、光透過部材(ヘテロコア部)を有するセンサ部SPを含む光ファイバ(20a,20b)の部分が所定の曲率半径Rの形状を形成するように、クランプ14が光ファイバ(20a,20b)を保持する構成を説明する模式図である。
【0029】
例えば、図4(a)に示すように、一方のクランプ14によって光ファイバ20aを保持するとき、光ファイバに応力を全く印加しないときに光ファイバが延伸する方向から15°程度角度をつけた方向に、他方のクランプ14で光ファイバ20bを保持する。
これにより、例えば数10cm程度の曲率半径の形状まで対応できる。
【0030】
また、上記のように角度をつけてクランプで光ファイバを保持し、さらにクランプ14間の距離dをΔd分狭めることで、さらに曲率半径を小さくすることができる。dとΔdの大きさにもよるが、上記のようにクランプ14間の距離を狭めることで、例えば3cm程度の曲率半径の形状まで対応できる。
【0031】
上記の光ファイバ(20a,20b)の中途部にヘテロコア型のセンサ部SPが接合されてなる構成において、ヘテロコア部3におけるコア31の径blと光ファイバ(20a,20b)のコア21の径alとが界面4で異なっており、このコア径の差に起因して、図2(a)に示すように、光の一部のヘテロコア部3のクラッド32へのリークWが発生する。
【0032】
ここで、光ファイバ20aのコア21内においては、センサ光は光ファイバの通常の性質から複数のモードが形成された光として伝わる。光ファイバ20aによって伝送される光のモードは、コア21とクラッド22との境界における光の反射角として模式的にとらえることも可能である。光のモードを反射角ととらえた場合には、光ファイバ20aにおける光の反射角は、非常に多くの離散的な角度であると考えることができる。
【0033】
多様なモードである光は、上記のようなリークWによって界面4を通過してヘテロコア部3のクラッド32に入射するときに、モードの規定が解除されてモードが崩される。
言い換えれば、ヘテロコア部3内においては、クラッド32と金属膜50との境界において光が様々な反射角度で伝わるようになる。これは、光がヘテロコア部3へ入射するときに、モード形態を決定付ける様々な条件(コア径・屈折率・屈折率分布)が変化することと、モード形成の一つの要因であるファイバ長がヘテロコア部3の長さでは不十分であること、に起因すると考えられる。
従って、あるモードに規定されていた光がヘテロコア部3に入射すると、そのモードの規定が解除されてモードが崩され、様々な反射角度で反射する、モードが崩された光となってクラッド32内にリークする。
【0034】
このとき、リークした光はヘテロコア部3のクラッド32と金属膜50との境界において反射する。このとき、エバネッセント相互作用と呼ばれる現象により、クラッド32内の光と金属膜50との間において相互作用が発生し、光損失としてスペクトル上に変化が現れ、反射率が変化し、大部分の場合には、光の反射率が低下して反射光の強度が減少する。
【0035】
上記の反射率の変化は、金属膜50が存在することによって、表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance:SPR)と呼ばれる現象により光のエネルギーが表面プラズモン共鳴波SPWを作り出すために奪われ、失われるので、反射率の変化をより大きくすることができ、光の強度変化の測定を容易化することができる。表面プラズモン共鳴現象については、例えば、非特許文献1等の文献を参照されたい。
【0036】
クラッド32内の光の反射率は、金属膜50に接している物質の屈折率、光吸収率に応じて変化する。従って、ヘテロコア部3において反射した光の強度を測定することによって、センサ部SPの外界に存在する物質の屈折率、光吸収率等の特性を知ることができ、これによってセンサ部SPが浸漬されている測定対象液体Lの種類や濃度を測定することができる。
【0037】
上記のセンサ部SPにおいて、コア21とコア31の径の組み合わせによっては、リークWが大きくなり、伝送するセンサ光のロスも大きくなり、一方、リークWが小さくなれば、ロスも小さくなる。
ヘテロコア型のセンサ部において、リークWの大きさ、即ちセンサ光のロス量は、センサ部近傍の光ファイバの屈曲の変化により鋭敏に変化する。
従って、本実施形態の光ファイバ型表面プラズモンセンサと、それを用いた測定装置では、センサ部を挟む位置で光ファイバが所定の曲率半径Rの形状を形成するように構成され、リーク量を増やす方向に調整して表面プラズモン現象による測定感度が高められる。
【0038】
本実施形態の光ファイバ型表面プラズモンセンサと、それを用いた測定装置では、光ファイバの中途部にヘテロコア部などの光透過部材が設けられた表面プラズモンセンサにおいて、光透過部材を含む光ファイバに所定の曲率半径が与えられて固定されており、より感度を向上させることができる。
【0039】
(実施例)
コア径alが約50μmのマルチモード光ファイバ(大崎電気社製)を用いた光ファイバ(20a,20b)に、コア径blが約3μmのシングルモード光ファイバ(Newport社製,F-SA)を用いたヘテロコア部3を接合し、金属膜としてクロム/金膜を成膜した。
【0040】
図5は、上記の光ファイバ型表面プラズモンセンサを用いた測定装置において、センサを純水(屈折率1.333)に浸漬したときのセンサ光のロス(dB)を、空気に対する差分として測定し、分光したスペクトルである。このとき、センサ部近傍の光ファイバの曲率半径を徐々に変化させて測定した。
具体的には、図4(a)に示す構成において、クランプ間距離dを初期値の90mmから70mmまで、1mmずつ狭めていったときのスペクトルを重ねて示した図である。
【0041】
クランプ間距離を狭めるに従って、即ち、センサ部近傍の光ファイバの曲率半径が小さくなるほど、ロスのスペクトルのピークが高くなり、感度が高くなってきていることがわかった。
また、センサ部近傍の光ファイバの曲率半径が小さくなるほど、スペクトルのピークが長波長側にシフトしていることがわかった。これによって、曲率半径の変化とロススペクトルを組み合わせることで、詳細な解析を行うことが可能である。
また、センサ光として単一の波長の光を用いた場合でも、曲率半径の変化を組み合わせることで、詳細な解析を行うことが可能である。
【0042】
第2実施形態
センサ部SPとしては、第1実施形態に記載の構成以外の構成を採用することも可能である。
図6(a)及び(b)は、本実施形態に係る光ファイバ型表面プラズモンセンサのセンサ部SP近傍の長手方向の断面図である。
図6(a)では、センサ部SPを構成する光透過部材であるヘテロコア部3のコア31の径blが、光ファイバ(20a,20b)のコア21の径alよりも大きな構成となっている。上記のヘテロコア部3の外周表面に、金属膜50が形成されている。
図6(b)では、センサ部SPとして、光ファイバ(20a,20b)のコア21の屈折率あるいはクラッド22の屈折率と同等の屈折率を持つ材料からなる、ヘテロコア部ではない光透過部材30が光ファイバ(20a,20b)の中途部に接合されてなる構成となっている。上記の光透過部材30の外周表面に、金属膜50が形成されている。
【0043】
上記以外の構成は、実質的に第1実施形態と同様である。
本実施形態の光ファイバ型表面プラズモンセンサと、それを用いた測定装置では、光ファイバの中途部にヘテロコア部などの光透過部材が設けられた表面プラズモンセンサにおいて、光透過部材を含む光ファイバに所定の曲率半径が与えられて固定されており、より感度を向上させることができる。
【0044】
第3実施形態
図7は、本実施形態に係る光ファイバ型表面プラズモンセンサを用いた測定装置の構成を示す模式図である。
例えば、光ファイバ(20a,20b)の中途部に、固定部材13a,13bからなる固定治具13に保持されたセンサ部SPが設けられている。
光ファイバ20aには、光カプラ16において光ファイバ20cを分岐する構成であり、光ファイバ20bの端部には銀を蒸着して形成された反射部(鏡)15が設けられ、光ファイバ20a端部が光入射端、光ファイバ20c端部が光出射端となる。
光ファイバ20aの光入射端に光源11が設けられ、光ファイバ20cの光出射端にスペクトラムアナライザ12が設けられている。
【0045】
上記以外の構成は、実質的に第1実施形態と同様である。
本実施形態の光ファイバ型表面プラズモンセンサを用いた測定装置では、光ファイバの中途部にヘテロコア部などの光透過部材が設けられた表面プラズモンセンサにおいて、光透過部材を含む光ファイバに所定の曲率半径が与えられて固定されており、より感度を向上させることができる。
【0046】
特に、反射部で反射した光は、再びセンサ部SPを通過するため、一方向に通過させただけの光と比較してより多くの相互干渉の情報を含んだ光が測定されることとなる。
【0047】
第4実施形態
図8は、本実施形態に係る光ファイバ型表面プラズモンセンサを用いた測定装置の構成を示す模式図である。
例えば、光ファイバ(20a,20b)の中途部に、固定部材13a,13bからなる固定治具13に保持されたセンサ部SPが設けられている。
光ファイバ20aの光入射端に、レーザダイオードまたは発光ダイオードなどのセンサ光を出射する光源11aが設けられ、光ファイバ20bの光出射端に光出射端から出射されるセンサ光を検出する光マルチメータ12aが設けられている。
レーザダイオードまたは発光ダイオードは単一波長の光を発光するので、受光部には分光しないで光強度をモニタできる光マルチメータを用いることができる。
【0048】
上記以外の構成は、実質的に第1実施形態と同様である。
本実施形態の光ファイバ型表面プラズモンセンサを用いた測定装置では、光ファイバの中途部にヘテロコア部などの光透過部材が設けられた表面プラズモンセンサにおいて、光透過部材を含む光ファイバに所定の曲率半径が与えられて固定されており、より感度を向上させることができる。
【0049】
第5実施形態
図9は、本実施形態に係る光ファイバ型表面プラズモンセンサを用いた測定装置の構成を示す模式図である。
例えば、光ファイバ(20a,20b)の中途部に、固定部材13a,13bからなる固定治具13に保持されたセンサ部SPが設けられている。
光ファイバ20aには、光カプラ16において光ファイバ20cを分岐する構成であり、光ファイバ20bの端部には銀を蒸着して形成された反射部(鏡)15が設けられ、光ファイバ20a端部が光入射端、光ファイバ20c端部が光出射端となる。
光ファイバ20aの光入射端に、レーザダイオードまたは発光ダイオードなどのセンサ光を出射する光源11aが設けられ、光ファイバ20cの光出射端に光出射端から出射されるセンサ光を検出する光マルチメータ12aが設けられている。
レーザダイオードまたは発光ダイオードは単一波長の光を発光するので、受光部には分光しないで光強度をモニタできる光マルチメータを用いることができる。
【0050】
上記以外の構成は、実質的に第1実施形態と同様である。
本実施形態の光ファイバ型表面プラズモンセンサを用いた測定装置では、光ファイバの中途部にヘテロコア部などの光透過部材が設けられた表面プラズモンセンサにおいて、光透過部材を含む光ファイバに所定の曲率半径が与えられて固定されており、より感度を向上させることができる。
【0051】
特に、反射部で反射した光は、再びセンサ部SPを通過するため、一方向に通過させただけの光と比較してより多くの相互干渉の情報を含んだ光が測定されることとなる。
【0052】
本発明は上記の説明に限定されない。
例えば、用いる光源や受光部などは、上述のものに限らず、種々のものを使用できる。
光ファイバはマルチモードファイバでもシングルモードファイバでも使用できる。クランプなどの固定部材も、光ファイバに好ましい曲率の形状を付与できるように適宜使用できる。
また、測定の対象としては液体に限らず、例えば、金属膜の外周などに、外部の検出対象物と選択的に反応して当該反応に応じた変化をセンサ部にもたらす検出薬を固定化した層を設けることなどにより、気体やタンパク質などの測定にも適用できる。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の光ファイバ型表面プラズモンセンサは、測定対象液体などの屈折率などを測定する装置のヘッドとして適用できる。
本発明の測定装置は、測定対象液体などの屈折率などを測定する装置として適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は本発明の第1実施形態に係る光ファイバ型表面プラズモンセンサを用いた測定装置の模式構成図である。
【図2】図2(a)は本発明の第1実施形態に係る光ファイバ型表面プラズモンセンサのセンサ部近傍の斜視図であり、図2(b)はセンサ部近傍の長手方向の断面図である。
【図3】図3(a)及び(b)は本発明の第1実施形態に係る光ファイバ型表面プラズモンセンサの固定治具に保持されたセンサ部近傍の光ファイバの構成を示す模式図である。
【図4】図4(a)及び(b)は本発明の第1実施形態のセンサ部を含む光ファイバの部分が所定の曲率半径の形状を形成するように、クランプが光ファイバを保持する構成を説明する模式図である。
【図5】図5は、実施例において光ファイバ型表面プラズモンセンサを用いた測定装置でセンサを純水に浸漬したときのセンサ光のロス(dB)を、空気に対する差分として測定し、分光したスペクトルである。
【図6】図6(a)及び(b)は本発明の第2実施形態に係る光ファイバ型表面プラズモンセンサのセンサ部SP近傍の長手方向の断面図である。
【図7】図7は本発明の第3実施形態に係る光ファイバ型表面プラズモンセンサを用いた測定装置の構成を示す模式図である。
【図8】図8は本発明の第3実施形態に係る光ファイバ型表面プラズモンセンサを用いた測定装置の構成を示す模式図である。
【図9】図9は本発明の第3実施形態に係る光ファイバ型表面プラズモンセンサを用いた測定装置の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【0055】
3…ヘテロコア部
4…界面
10…光ファイバ
11,11a…光源
12…受光部
12a…光マルチメータ
13…固定治具
13a,13b…固定部材
14…クランプ
15…反射部
16…光カプラ
20a,20b…光ファイバ
21,31…コア
22,32…クラッド
30…光透過部材
50…金属膜
SP…センサ部
W…リーク
L…測定対象液体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバと、
前記光ファイバの中途部に設けられ、伝送する光の一部の外界との相互作用させる光透過部材と、
前記光透過部材の外周表面に設けられ、前記外周表面における前記光透過部材中の光の反射により表面プラズモンを発生する金属膜と、
前記光透過部材を含む前記光ファイバが所定の曲率半径の形状を形成するように、前記光透過部材を挟む位置で前記光ファイバを固定する固定部材と
を有する光ファイバ型表面プラズモンセンサ。
【請求項2】
前記光透過部材は、前記光ファイバのコア径と異なるコア径を有するヘテロコア部である
請求項1に記載の光ファイバ型表面プラズモンセンサ。
【請求項3】
前記光透過部材は、前記光ファイバのコアの屈折率あるいはクラッドの屈折率と同等の屈折率を持つ光透過部材である
請求項1に記載の光ファイバ型表面プラズモンセンサ。
【請求項4】
前記曲率半径が3cm以上である
請求項1に記載の光ファイバ型表面プラズモンセンサ。
【請求項5】
前記光ファイバがマルチモード光ファイバである
請求項1に記載の光ファイバ型表面プラズモンセンサ。
【請求項6】
前記光ファイバの一方の端部が2本に分岐して光の入射端及び出射端が設けられ、
前記光ファイバの他方の端部に前記光ファイバを伝送する光を反射して前記光ファイバに戻す反射部が設けられている
請求項1に記載の光ファイバ型表面プラズモンセンサ。
【請求項7】
光ファイバと、
前記光ファイバの中途部に設けられ、伝送する光の一部の外界との相互作用させる光透過部材と、
前記光透過部材の外周表面に設けられ、前記外周表面における前記光透過部材中の光の反射により表面プラズモンを発生する金属膜と、
前記光透過部材を含む前記光ファイバが所定の曲率半径の形状を形成するように、前記光透過部材を挟む位置で前記光ファイバを固定する固定部材と、
前記光ファイバの入射端に対してセンサ光を出射する光源と、
前記光透過部材を介して前記光ファイバの出射端から出射される前記センサ光を検出する受光部と
を有する測定装置。
【請求項8】
前記光透過部材は、前記光ファイバのコア径と異なるコア径を有するヘテロコア部である
請求項7に記載の測定装置。
【請求項9】
前記光透過部材は、前記光ファイバのコアの屈折率あるいはクラッドの屈折率と同等の屈折率を持つ光透過部材である
請求項7に記載の測定装置。
【請求項10】
前記曲率半径が3cm以上である
請求項7に記載の測定装置。
【請求項11】
前記光ファイバがマルチモード光ファイバである
請求項7に記載の測定装置。
【請求項12】
前記光ファイバの一方の端部が2本に分岐して前記入射端及び前記出射端が設けられ、
前記光ファイバの他方の端部に前記光ファイバを伝送する光を反射して前記光ファイバに戻す反射部が設けられている
請求項7に記載の測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−232947(P2008−232947A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−75417(P2007−75417)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(598123138)学校法人 創価大学 (49)
【出願人】(800000080)タマティーエルオー株式会社 (255)
【Fターム(参考)】