説明

光ファイバ把持具

【課題】光ファイバ心線の損傷防止およびスロット単位で光ファイバ心線を接続する際の作業性の向上が図れる光ファイバ把持具を提供する。
【解決手段】光ファイバ把持具100は、光ファイバ固定部110と、光ファイバ把持具100を固定するための把持具固定部120と、光ファイバ固定部110と把持具固定部120とを連結して後者に対して前者を任意の姿勢に保持するための連結部130とを具備する。光ファイバ固定部110は、第1乃至第3の光ファイバ心線21〜23の第1乃至第3のシリコンチューブ51〜53が被せられた部分を把持して第1乃至第3の光ファイバ心線21〜23を固定するための第1乃至第3のスリット1121〜1123がスリット形成面に形成されたスポンジ部111と、スポンジ部111のスリット形成面以外の面を支持してスポンジ部111を支持するための支持部113とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ把持具に関し、特に、屋外などにおいて複数の光ファイバ心線の接続作業をする際に光ファイバ心線を保護するのに好適な光ファイバ把持具に関する。
【背景技術】
【0002】
通信事業者の局舎と一般ユーザ宅とを接続する光ファイバケーブルを架設する際には、通信事業者の局舎からの光ファイバケーブルから光ファイバ心線を取り出して、電柱などに設置されたドロップクロージャにおいてこの取り出した光ファイバ心線と一般ユーザ宅へ引き込む光ファイバ心線とを接続する作業が行われる。
【0003】
また、電柱などに設置されたクロージャにおいて幹線系光ファイバケーブルと支線系光ファイバケーブルとを接続する作業を行う際にも、幹線系光ファイバケーブルから光ファイバ心線をスロット単位で取り出して、取り出した光ファイバ心線と支線系光ファイバケーブルの光ファイバ心線とをスロット単位で接続する作業が行われる。
【0004】
従来、このような光ファイバ心線の接続作業は高所作業車を用いるか足場を構築して行っているので、多数の細くて長い光ファイバ心線を非常に狭い作業場所で取り扱う必要がある。そのため、作業員は、光ファイバ心線が不用意に絡まって光ファイバ心線に無理な力が加わらないように細心の注意を払いながら光ファイバ心線の接続作業を行っている。
【0005】
なお、本出願人は、下記の特許文献1において、狭い作業場所でも光ファイバ心線が風などで振れて損傷しないようにした光ケーブル心線振止め具を提案している。また、下記の特許文献2において、光ファイバ心線を所望の位置に所望の姿勢にて固定することにより、狭い作業場所でも光ファイバ心線にストレスを与えることなく接続作業が行えるようにした光ファイバ把持具を提案している。
【0006】
下記の特許文献3には、配線ケーブルに沿ったケーブル支持プレートに、配線ケーブル支持用の鋼撚り線からなる支持線に固定するハンガーと、ケーブルの二点を把持するケーブル把持部とを設け、ケーブル把持部に、配線ケーブルに圧接するように把持力60〜90kg好ましくは70〜80kgを持つ合成ゴムからなる弾性把持部材を取付片によって挟圧配備した構成のケーブル留め具が開示されている。このケーブル留め具では、架空での光ケーブル配線において、接続ケーブル余長収納をケーブルを巻き付けて行う場合に、作業に手数と時間が掛からず、配線工事に作業者によるバラツキが生じることなく、ケーブルを収めて取り付けられ、ケーブルおよび心線に損傷を与えることなく、引っ張り強度の保証を確実化して信号伝送特性を維持できるほか、接続余長の取扱い並びに配線工事の安全簡便化を図り、ケーブル接続余長の信頼性を高めている。
【特許文献1】特願2005−362761号
【特許文献2】特願2005−124294号
【特許文献3】特開2004−302418号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、光ファイバ心線の接続作業は、上述したように屋外での作業となりまた高所で行われることが多いため、風などの自然の影響や人的影響などによって光ファイバケーブルやクロージャなどが揺れて光ファイバ心線同士または光ファイバ心線と他の部材とが接触または衝突すると、剥き出しにされた光ファイバ心線が折れたり傷付いたりするという問題があった。
上記特許文献1,2において本出願人が提案している光ケーブル心線振止め具および光ファイバ把持具は、このような問題を解決する手段として有効なものであるが、光ファイバ心線をスロット単位で接続する際の作業性を十分に考慮したものではない。上記特許文献3に開示されているケーブル留め具についても同様である。
【0008】
本発明の目的は、光ファイバ心線の損傷防止およびスロット単位で光ファイバ心線を接続する際の作業性の向上が図れる光ファイバ把持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の光ファイバ把持具は、複数の光ファイバ心線の接続作業をする際に用いられる光ファイバ把持具(100)であって、保護用チューブ(51〜53)が被せられた複数の光ファイバ心線(21〜23)を固定するための光ファイバ固定部(110)と、前記光ファイバ把持具を固定するための把持具固定部(120)と、前記光ファイバ固定部と前記把持具固定部とを連結して該把持具固定部に対して該光ファイバ固定部を任意の姿勢に保持するための連結部(130)とを具備し、前記光ファイバ固定部が、前記複数の光ファイバ心線の前記保護用チューブが被せられた部分を把持して該複数の光ファイバ心線を固定するためのスリット(1121〜1123)がスリット形成面に形成されたスポンジ部(111)と、該スポンジ部のスリット形成面以外の面を支持して該スポンジ部を支持するための支持部(113)とを備えることを特徴とする。
また、本発明の光ファイバ把持具は、複数の光ファイバ心線の接続作業をする際に用いられる光ファイバ把持具(200;300;400;500)であって、保護用チューブが被せられた複数の光ファイバ心線を固定するための光ファイバ固定部(210;310;410;510)と、前記光ファイバ把持具を固定するための把持具固定部(220;320;420;520)と、前記光ファイバ固定部と前記把持具固定部とを連結して該把持具固定部に対して該光ファイバ固定部を任意の姿勢に保持するための連結部(230;330;430;530)とを具備し、前記光ファイバ固定部が、前記複数の光ファイバ心線の前記保護用チューブが被せられた部分を把持して該複数の光ファイバ心線を固定するための縦スリット(214;314;414;514)および複数の横スリット(2121〜2128;3121〜3128;4121〜4128;5121〜5128)が形成されたスポンジ部(211;311;411;511)と、該スポンジ部を支持するための支持部(213;313;413;513)とを備え、前記縦スリットが、前記支持部によって支持されていない前記スポンジ部の開放面から該スポンジ部を2分割するように形成されており、前記複数の横スリットが、前記縦スリットに対して垂直に形成されていることを特徴とする。
ここで、前記スポンジ部に、前記複数の光ファイバ心線が含まれた光ファイバテープ心線のスロット番号および前記保護用チューブの色が前記スリットまたは前記複数の横スリットの各々の付近に記されていてもよい。
前記複数の横スリット(2121〜2128)が、前記縦スリット(214)によって分割された前記スポンジ部(211)の一方に形成されていてもよい。
前記複数の横スリット(3121〜3128)が、前記縦スリット(314)の両側に形成されていてもよい。
前記複数の横スリットが同じ長さで形成されていてもよい。
前記複数の横スリット(4121〜4128)が、前記縦スリット(414)に沿って順次長くまたは短くなるように形成されていてもよい。
作業用縦スリット(515)が、前記スポンジ部(511)の開放面から前記縦スリット(514)と平行に形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の光ファイバ把持具は、以下に示す効果を奏する。
(1)光ファイバ固定部のスポンジ部に形成されたスリットによって複数の光ファイバ心線の保護用チューブが被せられた部分を把持して複数の光ファイバ心線を固定することにより、光ファイバ心線が風などで振れて損傷しないようにすることができる。
(2)支持部によって支持されていないスポンジ部の開放面からスポンジ部を2分割する縦スリットに対して垂直に形成された複数の横スリットによって複数の光ファイバ心線の保護用チューブが被せられた部分を把持することにより、複数の光ファイバ心線がスポンジ部から外れることを完全に防止することができる。
(3)複数の光ファイバ心線が含まれた光ファイバテープ心線のスロット番号および保護用チューブの色をスポンジ部のスリットまたは複数の横スリットの各々の付近に記すことにより、作業員はスロット番号および保護用チューブの色を容易に確認することができるので、スロット単位で光ファイバ心線を接続する際の作業性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
上記の目的を、複数の光ファイバ心線の保護用チューブが被せられた部分を把持して複数の光ファイバ心線を固定するためのスリットが形成されたスポンジ部とスポンジ部を支持するための支持部とを備えた光ファイバ固定部を具備することにより実現した。
【実施例1】
【0012】
以下、本発明の光ファイバ把持具の実施例について、図面を参照して説明する。
本発明の第1の実施例による光ファイバ把持具100は、図1に示すように、光ファイバ固定部110と、把持具固定部120と、連結部130とを具備する。
【0013】
光ファイバ固定部110は、たとえば光ファイバケーブルから取り出された光ファイバ心線をスロット単位で把持して固定するためのものであり、スポンジ部111と支持部113とを備える。
ここで、スポンジ部111は直方体の形状を有し、スポンジ部111の一側面(以下、「スリット形成面」と称する。)には、光ファイバ心線をスロット単位で把持するための第1乃至第3のスリット1121〜1123が、所定の間隔で形成されている。
支持部113は、スポンジ部111のスリット形成面以外の3つの側面を支持することによってスポンジ部111を支持するためのものである。なお、スポンジ部111のこの3つの側面は、接着剤などによって支持部113に取り付けられている。
【0014】
把持具固定部120は、光ファイバケーブルやクロージャ内の心線収容トレー固定金具などを把持して光ファイバ把持具100を固定するためのものであり、クリップ状の部材からなる。すなわち、把持具固定部120は、第1および第2の挟持部1211,1212と支点122とを備え、支点122を中心として第1および第2の挟持部1211,1212をはさみ状に動かして光ファイバケーブルや心線収容トレー固定金具などを第1および第2の挟持部1211,1212によって挟んで光ファイバ把持具100を固定するように構成されている。
また、滑り易い金属部分などにも光ファイバ把持具100を固定することができるように、第1および第2の挟持部1211,1212の光ファイバケーブルや心線収容トレー固定金具などを挟む部分には第1および第2の滑止め部材1231,1232がそれぞれ取り付けられている。
【0015】
連結部130は、光ファイバ固定部110と把持具固定部120とを連結するためのものであり、たとえばアルミニウム線などの金属の線材からなる。また、連結部130の一端は光ファイバ固定部110の支持部112に固定されており、連結部13の他端は把持具固定部120の支点122に固定されている。さらに、連結部130は、光ファイバ固定部110と把持具固定部120とを任意の姿勢に保持することができるように、折曲げが自在でかつ折り曲げた角度を保持できる構成となっている。
【0016】
次に、光ファイバ把持具100の使用方法について、光ファイバケーブル1から取り出した第1乃至第3の光ファイバ心線21〜23を固定する場合を例として、図2を参照して説明する。
【0017】
作業員は、光ファイバ把持具100の把持具固定部120の支点122を中心として第1および第2の挟持部1211,1212をはさみ状に動かして、光ファイバケーブル1を第1および第2の挟持部1211,1212によって挟むことにより、光ファイバ把持具100を固定する。続いて、作業員は、光ファイバ固定部110のスポンジ部111のスリット形成面が上を向くように連結部130を折り曲げるとともに光ファイバ固定部110を動かす。なお、以下では、スポンジ部111のスリット形成面と垂直な方向を「縦方向」または「上下方向」とし、スポンジ部111のスリット形成面に沿った方向を「横方向」または「左右方向」とする。
【0018】
その後、作業員は、光ファイバケーブル1を切断して光ファイバテープ心線を取り出したのち、取り出した光ファイバテープ心線の外被を剥ぎ取って第1の光ファイバ心線21を剥き出しにする。なお、光ファイバテープ心線はスロット単位となっており、1スロットの光ファイバテープ心線には第1の光ファイバ心線21が4心だけ通されている。
【0019】
その後、作業員は、剥き出しにした第1の光ファイバ心線21に第1のシリコンチューブ51を被せたのち、第1の光ファイバ心線21の第1のシリコンチューブ51が被せられた部分をスポンジ部111に形成された第1のスリット1121に押し込む。続いて、作業員は、同様の作業を繰り返すことにより、第2の光ファイバ心線22の第2のシリコンチューブ52が被せられた部分を第2のスリット1122に押し込んだのち、第3の光ファイバ心線23の第3のシリコンチューブ53が被せられた部分を第3のスリット1123に押し込む。
【0020】
これにより、第1乃至第3の光ファイバ心線21〜23は第1乃至第3のスリット1121〜1123によって把持されて固定されるため、第1乃至第3の光ファイバ心線21〜23が風などで振れて損傷されることを防止することができる。
【実施例2】
【0021】
次に、本発明の第2の実施例による光ファイバ把持具200について、図3を参照して説明する。
本実施例による光ファイバ把持具200は、以下に示す点で上述した第1の実施例による光ファイバ把持具100と異なる。
(1)光ファイバ固定部210のスポンジ部211には、図3に示すように、第1乃至第8の横スリット2121〜2128と縦スリット214とが形成されている。ここで、縦スリット214は、スポンジ部211の支持部213によって支持されていない側面(以下、「開放面」と称する。)の中央からスポンジ部211を2分割するように形成されている。なお、以下では、スポンジ部211の開放面と垂直な方向を「縦方向」または「上下方向」とし、スポンジ部211の開放面に沿った方向を「横方向」または「左右方向」とする。
また、第1乃至第8の横スリット2121〜2128は、長さが等しく、縦スリット214によって分割されたスポンジ部211の一方(以下、「左側」とする。)に、縦スリット214から縦スリット214に対して垂直に形成されている。
(2)光ファイバテープ心線のスロット番号“1”からスロット番号“8”と光ファイバテープ心線のスロット番号ごとに予め決められているシリコンチューブ(保護用チューブ)の色を示す表示(青、黄、赤、緑、紫、茶、橙および黒)とが、縦スリット214によって分割されたスポンジ部211の他方(以下、「右側」とする。)にかつ第1乃至第8の横スリット2121〜2128と横方向に並べられて記されている。ここで、スロット番号“1”からスロット番号“8”は、上から下に向かってスロット番号“1”からスロット番号“8”の順番で記されている。また、シリコンチューブの色を示す表示は、スロット番号“1”からスロット番号“8”の右隣りに記されている。
【0022】
次に、光ファイバ把持具200の使用方法について、光ファイバケーブル(不図示)から取り出した第1乃至第8の光ファイバテープ心線(不図示)にそれぞれ含まれている光ファイバ心線(不図示)を固定する場合を例として説明する。なお、第1乃至第8の光ファイバテープ心線にはスロット番号“1”からスロット番号“8”がそれぞれ記されているものとする。また、第1乃至第8の光ファイバテープ心線には光ファイバ心線が8心ずつ含まれているものとする。
【0023】
作業員は、光ファイバ把持具200の把持具固定部220の支点222を中心として第1および第2の挟持部2211,2212をはさみ状に動かして、光ファイバケーブルを第1および第2の挟持部2211,2212によって挟む。続いて、作業員は、光ファイバ固定部210のスポンジ部211の開放面が上を向くように連結部230を折り曲げるとともに光ファイバ固定部210を動かす。
【0024】
その後、作業員は、光ファイバケーブルを切断して第1乃至第8の光ファイバテープ心線を取り出したのち、取り出した第1乃至第8の光ファイバテープ心線を1本ずつ光ファイバ固定部210によって固定する。このとき、作業員は、スロット番号順に第1乃至第8の光ファイバテープ心線を光ファイバ固定部210によって固定する必要はなく、たとえば、最初にスロット番号が“3”である第3の光ファイバテープ心線を光ファイバ固定部210によって固定する場合には、第3の光ファイバテープ心線を光ファイバ固定部210のスポンジ部211に形成された縦スリット214に押し込んだのち、右横にスロット番号“3”が記された第3の横スリット2123に押し込む。
【0025】
第1乃至第8の光ファイバテープ心線を第1乃至第8の横スリット2121〜2128にそれぞれ押し込むと、作業員は、第1乃至第8の光ファイバテープ心線の外被を剥ぎ取って8心の光ファイバ心線を剥き出しにしたのち、剥き出しにした8心の光ファイバ心線にシリコンチューブを被せるために、まずスポンジ部211の第1の横スリット2121に押し込まれている第1の光ファイバテープ心線を光ファイバ固定部210から取り出す。このとき、作業員は、スポンジ部211の第1の横スリット2121の右横に記されているスロット番号“1”を確認することによって、第1の光ファイバテープ心線を確実に取り出すことができるとともに、スポンジ部211のスロット番号“1”の右横に記されているシリコンチューブの色“青”を確認することにより、取り出した第1の光ファイバテープ心線の外被を剥ぎ取って剥き出しにした8心の光ファイバ心線に青色のシリコンチューブを確実に被せることができる。これにより、作業員がスロット番号とシリコンチューブの色との対応表を見ながら行っていた従来のやり方に比べて作業性を向上させることができる。
【0026】
その後、作業員は、第1の光ファイバテープ心線から剥き出しにされた8心の光ファイバ心線の青色のシリコンチューブが被せられた部分をスポンジ部211の縦スリット214に押し込んだのち、右横にスロット番号“1”が記された第1の横スリット2121に押し込む。続いて、作業員は、第2乃至第8の光ファイバテープ心線について順番に同様の作業を繰り返す。
【0027】
これにより、第1乃至第8の光ファイバテープ心線からそれぞれ剥き出しにされた各8心の光ファイバ心線は第1乃至第8の横スリット2121〜2128によって固定されるため、各8心の光ファイバ心線が風などで振れて損傷されることを防止することができる。また、各8心の光ファイバ心線はスポンジ部211の右側で蓋をされた状態で固定されるため、各8心の光ファイバ心線がスポンジ部211から外れることを完全に防止することができる。
【実施例3】
【0028】
次に、本発明の第3の実施例による光ファイバ把持具300について、図4を参照して説明する。
本実施例による光ファイバ把持具300は、以下に示す点で上述した第2の実施例による光ファイバ把持具200と異なる。
(1)第1乃至第8の横スリット3121〜3128が縦スリット314の両側(左右)に4本ずつ形成されている。すなわち、第1乃至第4のスリット3121〜3124は縦スリット314の左側に形成されており、第5乃至第8のスリット3125〜312は、縦スリット314の右側に第1乃至第4のスリット3121〜3124と横方向にそれぞれ並べられて形成されている。これにより、図3に示した光ファイバ固定部210よりも光ファイバ固定部310のサイズを小さくすることができる。
(2)スロット番号“1”からスロット番号“8”およびシリコンチューブの色を示す表示が第1乃至第8の横スリット3121〜3128の上に記されている。
【0029】
光ファイバ把持具300の使用方法については、上述した第2の実施例による光ファイバ把持具200と同様であるので、詳しい説明は省略する。
【実施例4】
【0030】
次に、本発明の第4の実施例による光ファイバ把持具400について、図5を参照して説明する。
本実施例による光ファイバ把持具400は、第1乃至第8の横スリット4121〜4128の長さが第1乃至第8の横スリット4121〜4128の順番で短くされている点で、上述した第2の実施例による光ファイバ把持具200と異なる。
【0031】
これにより、第1乃至第8の光ファイバテープ心線からそれぞれ剥き出しにされた各8心の光ファイバ心線を縦スリット414に押し込んだのちに第1乃至第8の横スリット4121〜4128の先端までそれぞれ押し込むことにより、各8心の光ファイバ心線を横方向に並べて(すなわち、横方向に重なり合うことなく)固定することができる。
【0032】
光ファイバ把持具400の使用方法については、上述した第2の実施例による光ファイバ把持具200と同様であるので、詳しい説明は省略する。
【0033】
なお、第1乃至第8の横スリット4121〜4128の長さは、第1乃至第8の横スリット4121〜4128の順番で短くなるようにしたが、第1乃至第8の横スリット4121〜4128の順番で長くなるようにしてもよい。
【実施例5】
【0034】
次に、本発明の第5の実施例による光ファイバ把持具500について、図6を参照して説明する。
本実施例による光ファイバ把持具500は、縦スリット514によって分割されたスポンジ部511の右側(すなわち、スポンジ部511の第1乃至第8の横スリット5121〜5128が形成されていない方)に、作業用縦スリット515がスポンジ部511の開放面から縦スリット514と平行に形成されている点で、上述した第2の実施例による光ファイバ把持具200と異なる。ここで、作業用縦スリット515の長さは、第1乃至第8の横スリット5121〜5128の長さと同じ程度でよい。
【0035】
これにより、第1乃至第8の光ファイバテープ心線からそれぞれ剥き出しにされた各8心の光ファイバ心線のシリコンチューブが被せられた部分を第1乃至第8の横スリット5121〜5128にそれぞれ押し込んで把持して固定したのちに、スロット番号順に8心の光ファイバ心線を光ファイバ把持具500から取り出して1心ずつ他の光ファイバケーブルの光ファイバ心線と接続する際に、取り出した8心の光ファイバ心線のシリコンチューブが被せられた部分を作業用縦スリット515に押し込んで把持して固定することにより、接続する光ファイバ心線以外の7心の光ファイバ心線がこの接続作業中に風などで振れて損傷されることを防止することができる。
【0036】
光ファイバ把持具400の使用方法については、取り出した8心の光ファイバ心線のシリコンチューブが被せられた部分を作業用縦スリット515に押し込んで把持して固定すること以外は上述した第2の実施例による光ファイバ把持具200と同様であるので、詳しい説明は省略する。
【0037】
なお、作業用縦スリット515をスポンジ部511の右側に形成したが、スポンジ部511の左側(すなわち、スポンジ部511の第1乃至第8の横スリット5121〜5128が形成されている方)に形成してもよい。また、作業用縦スリット515の数は2本以上であってもよい。
【0038】
以上の説明では、スポンジ部111,211,311,411,511の形状を直方体としたが、それ以外の形状であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1の実施例による光ファイバ把持具100の構成を示す図である。
【図2】図1に示した光ファイバ把持具100の使用方法を説明するための図である。
【図3】本発明の第2の実施例による光ファイバ把持具200の構成を示す図である。
【図4】本発明の第3の実施例による光ファイバ把持具300の構成を示す図である。
【図5】本発明の第4の実施例による光ファイバ把持具400の構成を示す図である。
【図6】本発明の第5の実施例による光ファイバ把持具500の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0040】
1 光ファイバケーブル
1〜23 第1乃至第3の光ファイバ心線
1〜53 第1乃至第3のシリコンチューブ
100,200,300,400,500 光ファイバ把持具
110,210,310,410,510 光ファイバ固定部
111,211,311,411,511 スポンジ部
1121〜1123 第1乃至第3のスリット
113,213,313,413,513 支持部
120,220,320,420,520 把持具固定部
1211,1212,2211,2212,3211,3212,4211,4212,5211,5212 第1および第2の挟持部
122,222,322,422,522 支点
1231,1232,2231,2232,3231,3232,4231,4232,5231,5232 第1および第2の滑止め部材
130,230,330,430,530 連結部
2121〜2128,3121〜3128,4121〜4128,5121〜5128 第1乃至第8の横スリット
214,314,414,514 縦スリット
515 作業用縦スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光ファイバ心線の接続作業をする際に用いられる光ファイバ把持具(100)であって、
保護用チューブ(51〜53)が被せられた複数の光ファイバ心線(21〜23)を固定するための光ファイバ固定部(110)と、
前記光ファイバ把持具を固定するための把持具固定部(120)と、
前記光ファイバ固定部と前記把持具固定部とを連結して該把持具固定部に対して該光ファイバ固定部を任意の姿勢に保持するための連結部(130)とを具備し、
前記光ファイバ固定部が、
前記複数の光ファイバ心線の前記保護用チューブが被せられた部分を把持して該複数の光ファイバ心線を固定するためのスリット(1121〜1123)がスリット形成面に形成されたスポンジ部(111)と、
該スポンジ部のスリット形成面以外の面を支持して該スポンジ部を支持するための支持部(113)とを備える、
ことを特徴とする、光ファイバ把持具。
【請求項2】
複数の光ファイバ心線の接続作業をする際に用いられる光ファイバ把持具(200;300;400;500)であって、
保護用チューブが被せられた複数の光ファイバ心線を固定するための光ファイバ固定部(210;310;410;510)と、
前記光ファイバ把持具を固定するための把持具固定部(220;320;420;520)と、
前記光ファイバ固定部と前記把持具固定部とを連結して該把持具固定部に対して該光ファイバ固定部を任意の姿勢に保持するための連結部(230;330;430;530)とを具備し、
前記光ファイバ固定部が、
前記複数の光ファイバ心線の前記保護用チューブが被せられた部分を把持して該複数の光ファイバ心線を固定するための縦スリット(214;314;414;514)および複数の横スリット(2121〜2128;3121〜3128;4121〜4128;5121〜5128)が形成されたスポンジ部(211;311;411;511)と、
該スポンジ部を支持するための支持部(213;313;413;513)とを備え、
前記縦スリットが、前記支持部によって支持されていない前記スポンジ部の開放面から該スポンジ部を2分割するように形成されており、
前記複数の横スリットが、前記縦スリットに対して垂直に形成されている、
ことを特徴とする、光ファイバ把持具。
【請求項3】
前記スポンジ部に、前記複数の光ファイバ心線が含まれた光ファイバテープ心線のスロット番号および前記保護用チューブの色が前記スリットまたは前記複数の横スリットの各々の付近に記されていることを特徴とする、請求項1または2記載の光ファイバ把持具。
【請求項4】
前記複数の横スリット(2121〜2128)が、前記縦スリット(214)によって分割された前記スポンジ部(211)の一方に形成されていることを特徴とする、請求項2または3記載の光ファイバ把持具。
【請求項5】
前記複数の横スリット(3121〜3128)が、前記縦スリット(314)の両側に形成されていることを特徴とする、請求項2または3記載の光ファイバ把持具。
【請求項6】
前記複数の横スリットが同じ長さで形成されていることを特徴とする、請求項4または5記載の光ファイバ把持具。
【請求項7】
前記複数の横スリット(4121〜4128)が、前記縦スリット(414)に沿って順次長くまたは短くなるように形成されていることを特徴とする、請求項4または5記載の光ファイバ把持具。
【請求項8】
作業用縦スリット(515)が、前記スポンジ部(511)の開放面から前記縦スリット(514)と平行に形成されていることを特徴とする、請求項2乃至7いずれかに記載の光ファイバ把持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−102386(P2008−102386A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−285779(P2006−285779)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(503320061)株式会社エネルギア・コミュニケーションズ (92)
【Fターム(参考)】