説明

光ファイバ接続用ユニット、光ファイバ接続装置および光ファイバの接続方法

【課題】光ファイバケーブルの端末から引き出した光ファイバの破損を抑制し、光ファイバケーブルの取り扱い性を良好にすることができる光ファイバ接続用ユニット、光ファイバ接続装置および光ファイバの接続方法を提供する。
【解決手段】光ファイバケーブル24を把持するケーブル把持部材70と、光ファイバを突き合わせて半割りの素子31、32の間に挟み込んで把持固定することが可能なメカニカルスプライス30と、メカニカルスプライス30を保持するスプライスホルダ部60と、半割りの素子31、32の間に光ファイバを挿入できるように割り入れた介挿部材を有するスプライス用工具40、80と、ケーブル把持部材70を保持する把持部材保持部50とを備え、把持部材保持部50は、ケーブル把持部材を70、メカニカルスプライス30の長手方向に沿って移動可能に保持する、光ファイバ接続用ユニット10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ接続用ユニット、光ファイバ接続装置および光ファイバの接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ケーブル把持部材で把持された光ファイバケーブルの口出しされた光ファイバの端部同士を一定の方向に沿って互いに突き合わせた状態で接続する光ファイバ接続器であって、口出しされた光ファイバの端部を挟持する一対の挟持部材と、一対の挟持部材を弾性力によって挟むように加圧するバネ部材と、ケーブル把持部材を搭載してガイドするガイドと、ガイドに搭載されたケーブル把持部材を拘束する拘束カバーと、一対の挟持部材を離間した状態に保持する複数の挿入ユニットと、ケーブル把持部材がハウジング内に収容された場合にそのガイドをハウジングにロックさせるロック手段とを備える光ファイバ接続器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−145951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、光ファイバケーブルの端末から引き出した光ファイバの破損を抑制し、光ファイバケーブルの取り扱い性を良好にすることができる光ファイバ接続用ユニット、光ファイバ接続装置および光ファイバの接続方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、光ファイバケーブルを把持するケーブル把持部材と、前記光ファイバケーブルの端末から引き出される延出光ファイバを、他の光ファイバである挿入光ファイバと突き合わせて半割りの素子の間に挟み込んで把持固定することが可能なメカニカルスプライスと、前記メカニカルスプライスを保持するスプライスホルダ部と、前記メカニカルスプライスの長手方向の一端側で、前記半割りの素子の間に前記延出光ファイバを挿入できるように割り入れた第1介挿部材を有する第1スプライス用工具と、前記メカニカルスプライスの長手方向の他端側で、前記半割りの素子の間に前記挿入光ファイバを挿入できるように割り入れた第2介挿部材を有する第2スプライス用工具と、前記延出光ファイバの先端部が、前記メカニカルスプライスの長手方向の一端側から前記半割りの素子の間に挿入されている位置で、前記ケーブル把持部材を保持する把持部材保持部と、前記スプライスホルダ部および前記把持部材保持部を一体化するユニットベースと、を備え、前記把持部材保持部は、前記ケーブル把持部材を、前記メカニカルスプライスの長手方向に沿って移動可能に保持する、光ファイバ接続用ユニットを提供する。
【0006】
また、本発明は、前記スプライスホルダ部を、前記延出光ファイバに突き合わせる挿入光ファイバを把持したファイバホルダを保持する装置基部に形成されたレール部上で、前記ファイバホルダに接近する方向にスライド移動可能に案内されるスライダを備える、前記光ファイバ接続用ユニットを提供する。
また、本発明は、前記第1スプライス用工具は、前記ケーブル把持部材の前記メカニカルスプライスの長手方向に沿った移動を、前記メカニカルスプライスに対して所定の距離で停止させるスペーサを備え、前記第1介挿部材を前記メカニカルスプライスの前記半割りの素子の間から引き抜くことにより、前記延出光ファイバの先端部を前記半割りの素子の間に挟み込んで把持固定するとともに、前記ケーブル把持部材が前記メカニカルスプライスの長手方向の一端側にさらに近づくことにより、前記ケーブル把持部材と前記メカニカルスプライスの長手方向の一端側との間で、前記延出光ファイバにたわみ変形を形成することが可能である、前記光ファイバ接続用ユニットを提供する。
また、本発明は、前記スペーサは、把持部材保持部に設けられた位置決め突起と、スプライスホルダ部に設けられた位置決め凹部の間に形成されるスペーサ収容部に圧入されており、前記位置決め突起は、前記スペーサを、前記メカニカルスプライスの長手方向の一端側に向けて押圧する、弾性部材を有する、前記光ファイバ接続用ユニットを提供する。
【0007】
また、本発明は、前記把持部材保持部には、前記メカニカルスプライスの長手方向に垂直な方向の軸線を中心として回動することにより、前記ケーブル把持部材の後端部を保持してその後退を規制する規制位置と、前記ケーブル把持部材の後退を規制しない待機位置との間で回動可能なレバー部材を備える、前記光ファイバ接続用ユニットを提供する。
また、本発明は、前記レバー部材は、前記第1スプライス用工具に係止することにより、前記レバー部材を前記待機位置に保持する係止突起を有し、前記第1介挿部材を前記メカニカルスプライスの前記半割りの素子の間から引き抜くことにより、前記係止突起による係止が解除されて、前記レバー部材を前記規制位置に回動させることが可能になる、前記光ファイバ接続用ユニットを提供する。
【0008】
また、本発明は、前記第2スプライス用工具は、前記第2介挿部材を前記半割りの素子の間から引き抜くためのリング状の介挿部材駆動部と、前記スプライスホルダ部及び前記スライダとを抱え込んで保持する保持壁部とを備え、前記介挿部材駆動部に側圧を加えることにより、前記第2介挿部材を前記半割りの素子の間から引き抜くとともに、前記保持壁部の間を開いて、前記スライダを前記スプライスホルダ部から分離することができる、前記光ファイバ接続用ユニットを提供する。
また、本発明は、前記把持部材保持部は、前記ケーブル把持部材の前側に突出した嵌合部が挿入される、断面が略正方形の挿入穴を有し、前記ケーブル把持部材は、前記延出光ファイバの軸線方向を中心として90°異なる複数の向きで前記把持部材保持部に嵌合することが可能である、前記光ファイバ接続用ユニットを提供する。
【0009】
また、本発明は、光ファイバケーブルの端末に取り付けられる光ファイバ接続用ユニットと、前記端末から引き出された延出光ファイバに突き合わせる挿入光ファイバを把持したファイバホルダを保持する装置基部と、を備え、前記光ファイバ接続用ユニットは、光ファイバケーブルを把持するケーブル把持部材と、前記光ファイバケーブルの端末から引き出される延出光ファイバを、他の光ファイバである挿入光ファイバと突き合わせて半割りの素子の間に挟み込んで把持固定することが可能なメカニカルスプライスと、前記メカニカルスプライスを保持するスプライスホルダ部と、前記メカニカルスプライスの長手方向の一端側で、前記半割りの素子の間に前記延出光ファイバを挿入できるように割り入れた第1介挿部材を有する第1スプライス用工具と、前記メカニカルスプライスの長手方向の他端側で、前記半割りの素子の間に前記挿入光ファイバを挿入できるように割り入れた第2介挿部材を有する第2スプライス用工具と、前記延出光ファイバの先端部が、前記メカニカルスプライスの長手方向の一端側から前記半割りの素子の間に挿入されている位置で、前記ケーブル把持部材を保持する把持部材保持部と、前記スプライスホルダ部および前記把持部材保持部を一体化するユニットベースと、を備え、前記把持部材保持部は、前記ケーブル把持部材を、前記メカニカルスプライスの長手方向に沿って移動可能に保持しており、前記装置基部は、前記光ファイバ接続用ユニットまたは前記ファイバホルダを、互いに接近する方向にスライド移動させるレール部を備えている、光ファイバ接続装置を提供する。
【0010】
光ファイバケーブルを把持するケーブル把持部材と、前記光ファイバケーブルの端末から引き出される延出光ファイバを、他の光ファイバである挿入光ファイバと突き合わせて半割りの素子の間に挟み込んで把持固定することが可能なメカニカルスプライスと、前記メカニカルスプライスを保持するスプライスホルダ部と、前記メカニカルスプライスの長手方向の一端側で、前記半割りの素子の間に前記延出光ファイバを挿入できるように割り入れた第1介挿部材を有する第1スプライス用工具と、前記メカニカルスプライスの長手方向の他端側で、前記半割りの素子の間に前記挿入光ファイバを挿入できるように割り入れた第2介挿部材を有する第2スプライス用工具と、前記延出光ファイバの先端部が、前記メカニカルスプライスの長手方向の一端側から前記半割りの素子の間に挿入されている位置で、前記ケーブル把持部材を保持する把持部材保持部と、前記スプライスホルダ部および前記把持部材保持部を一体化するユニットベースと、を備え、前記把持部材保持部は、前記ケーブル把持部材を、前記メカニカルスプライスの長手方向に沿って移動可能に保持する、光ファイバ接続用ユニットを用い、前記光ファイバケーブルを保持した前記ケーブル把持部材を前記把持部材保持部に保持させ、前記延出光ファイバを、前記メカニカルスプライスの長手方向の一端側で、前記半割りの素子の間に挿入し、前記第1介挿部材を前記半割りの素子の間から引き抜いて、前記延出光ファイバを前記半割りの素子の間に挟み込んで把持固定する、光ファイバ接続用ユニットの組立方法を提供する。
【0011】
また、本発明は、光ファイバケーブルを把持するケーブル把持部材と、前記光ファイバケーブルの端末から引き出される延出光ファイバを、他の光ファイバである挿入光ファイバと突き合わせて半割りの素子の間に挟み込んで把持固定することが可能なメカニカルスプライスと、前記メカニカルスプライスを保持するスプライスホルダ部と、前記メカニカルスプライスの長手方向の一端側で、前記半割りの素子の間に前記延出光ファイバを挿入できるように割り入れた第1介挿部材を有する第1スプライス用工具と、前記メカニカルスプライスの長手方向の他端側で、前記半割りの素子の間に前記挿入光ファイバを挿入できるように割り入れた第2介挿部材を有する第2スプライス用工具と、前記延出光ファイバの先端部が、前記メカニカルスプライスの長手方向の一端側から前記半割りの素子の間に挿入されている位置で、前記ケーブル把持部材を保持する把持部材保持部と、前記スプライスホルダ部および前記把持部材保持部を一体化するユニットベースと、を備え、前記把持部材保持部は、前記ケーブル把持部材を、前記メカニカルスプライスの長手方向に沿って移動可能に保持する、光ファイバ接続用ユニットを用い、前記光ファイバケーブルを保持した前記ケーブル把持部材を前記把持部材保持部に保持させ、前記延出光ファイバを、前記メカニカルスプライスの長手方向の一端側で、前記半割りの素子の間に挿入し、前記第1介挿部材を前記半割りの素子の間から引き抜いて、前記延出光ファイバを前記半割りの素子の間に挟み込んで把持固定したのち、前記挿入光ファイバを前記メカニカルスプライスの長手方向の他端側から前記メカニカルスプライスの半割りの素子間に挿入して、その先端を前記延出光ファイバに突き当て、前記第2介挿部材を前記半割りの素子の間から引き抜いて、前記延出光ファイバと前記挿入光ファイバの突き合わせ部を前記半割りの素子の間に挟み込んで把持固定する、光ファイバの接続方法を提供する。
【0012】
また、本発明は、光ファイバケーブルの端末に取り付けられる光ファイバ接続用ユニットと、前記端末から引き出された延出光ファイバに突き合わせる挿入光ファイバを把持したファイバホルダを保持する装置基部と、を備え、前記光ファイバ接続用ユニットは、光ファイバケーブルを把持するケーブル把持部材と、前記光ファイバケーブルの端末から引き出される延出光ファイバを、他の光ファイバである挿入光ファイバと突き合わせて半割りの素子の間に挟み込んで把持固定することが可能なメカニカルスプライスと、前記メカニカルスプライスを保持するスプライスホルダ部と、前記メカニカルスプライスの長手方向の一端側で、前記半割りの素子の間に前記延出光ファイバを挿入できるように割り入れた第1介挿部材を有する第1スプライス用工具と、前記メカニカルスプライスの長手方向の他端側で、前記半割りの素子の間に前記挿入光ファイバを挿入できるように割り入れた第2介挿部材を有する第2スプライス用工具と、前記延出光ファイバの先端部が、前記メカニカルスプライスの長手方向の一端側から前記半割りの素子の間に挿入されている位置で、前記ケーブル把持部材を保持する把持部材保持部と、前記スプライスホルダ部および前記把持部材保持部を一体化するユニットベースと、を備え、前記把持部材保持部は、前記ケーブル把持部材を、前記メカニカルスプライスの長手方向に沿って移動可能に保持しており、前記装置基部は、前記光ファイバ接続用ユニットまたは前記ファイバホルダを、互いに接近する方向にスライド移動させるレール部を備えている、光ファイバ接続装置を用い、前記光ファイバケーブルを保持した前記ケーブル把持部材を前記把持部材保持部に保持させ、前記延出光ファイバを、前記メカニカルスプライスの長手方向の一端側で、前記半割りの素子の間に挿入し、前記第1介挿部材を前記半割りの素子の間から引き抜いて、前記延出光ファイバを前記半割りの素子の間に挟み込んで把持固定したのち、前記光ファイバ接続用ユニットまたは前記ファイバホルダを、前記レール部に沿って互いに接近する方向にスライド移動させることで、前記ファイバホルダに把持した前記挿入光ファイバを前記メカニカルスプライスの長手方向の他端側から前記メカニカルスプライスの半割りの素子間に挿入して、その先端を前記延出光ファイバに突き当て、前記第2介挿部材を前記半割りの素子の間から引き抜いて、前記延出光ファイバと前記挿入光ファイバの突き合わせ部を前記半割りの素子の間に挟み込んで把持固定する、光ファイバの接続方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、光ファイバケーブルの端末から引き出した光ファイバの破損を抑制し、光ファイバケーブルの取り扱い性を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態の光ファイバ接続用ユニットを示す斜視図である。
【図2】図1の光ファイバ接続用ユニットを示す分解斜視図である。
【図3】ケーブル把持部材の一例を示す斜視図である。
【図4】図3のケーブル把持部材の蓋体を開放した状態を示す斜視図である。
【図5】第1スプライス用工具の一例を示す斜視図である。
【図6】スライダの一例を示す斜視図である。
【図7】ケーブル把持部材を把持部材保持部に挿入する様子を示す斜視図である。
【図8】ケーブル把持部材を把持部材保持部に挿入した様子を示す斜視図である。
【図9】(a)〜(c)は、ケーブル把持部材を挿入した把持部材保持部の横断面図である。
【図10】第1スプライス用工具に設けたスペーサがケーブル把持部材の前進を停止した様子を示す側面図である。
【図11】レバー部材に設けた係止突起の一例を示す側面図である。
【図12】第1スプライス用工具をメカニカルスプライスの長手方向に沿って押圧する弾性突起の一例を示す斜視図である。
【図13】第1介挿部材をメカニカルスプライスの半割りの素子の間に割り入れた様子を示す断面図である。
【図14】第1介挿部材をメカニカルスプライスの半割りの素子の間から引き抜く様子を示す断面図である。
【図15】(a)第1スプライス用工具に設けたスペーサがケーブル把持部材の前進を停止した様子と、(b)ケーブル把持部材がさらに前進して延出光ファイバにたわみ変形が形成された様子を示す断面側面図である。
【図16】延出光ファイバを把持固定した光ファイバ接続用ユニットを示す斜視図である。
【図17】メカニカルスプライスの一例を示す斜視図である。
【図18】図17のメカニカルスプライスの構造を説明する分解斜視図である。
【図19】図17のメカニカルスプライスにおける光ファイバの挿入および把持状態を説明する断面図である。
【図20】第2介挿部材をメカニカルスプライスの半割りの素子の間に割り入れた様子を示す断面図である。
【図21】第2スプライス用工具における第2介挿部材の取り付け状態を示す断面図である。
【図22】第2介挿部材をメカニカルスプライスの半割りの素子の間から引き抜く様子を示す断面図である。
【図23】図16の光ファイバ接続用ユニットを備えた光ファイバ接続装置の一例を示す斜視図である。
【図24】図23の光ファイバ接続装置の基部本体を示す斜視図である。
【図25】ファイバホルダの一例を示す斜視図である。
【図26】図25のファイバホルダの動作を説明する斜視図である。
【図27】図23の光ファイバ接続装置の動作を説明する斜視図である。
【図28】光ファイバケーブルの一例の構造を示す斜視図である。
【図29】光ファイバケーブルに取り付けた光コネクタの一例を示す側面図である。
【図30】延出光ファイバと挿入光ファイバとの接続後の光ファイバ接続用ユニットの設置状態の一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、好適な実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1及び図2に示すように、光ファイバ接続用ユニット10は、光ファイバケーブル24を把持するケーブル把持部材70と、光ファイバケーブル24の端末から引き出される延出光ファイバ21を、他の光ファイバである挿入光ファイバ1(図19参照)と突き合わせて半割りの素子31、32の間に挟み込んで把持固定することが可能なメカニカルスプライス30と、メカニカルスプライス30を保持するスプライスホルダ部60と、延出光ファイバ21の先端部が、メカニカルスプライス30の長手方向の一端側から半割りの素子31、32の間に挿入されている位置で、ケーブル把持部材70を保持する把持部材保持部50と、スプライスホルダ部60および把持部材保持部50を一体化するユニットベース11とを備える。
【0016】
なお、光ファイバ接続用ユニット10については、図1および図23における上側を上、下側を下として説明する。
【0017】
図17〜19に示すように、メカニカルスプライス30は、細長板状のベース部材31と、該ベース部材31の長手方向に沿って配列設置した3つの蓋部材321、322、323によって構成される押さえ蓋32とを、断面コ字形あるいはC形(図示例では断面コ字形)で延在する細長形状のクランプばね33の内側に一括保持した構成になっている。
このメカニカルスプライス30は、ベース部材31(ベース側素子)と蓋部材321、322、323(蓋側素子)とからなる半割り把持部材34を有する。ベース部材31と蓋部材321、322、323とは、クランプばね33の弾性によって互いに閉じ合わせ方向に弾性付勢されている。以下、メカニカルスプライスを、スプライスとも言う。
【0018】
図19に示すように、延出光ファイバ21の端部は、スプライス30の細長形状の半割り把持部材34の長手方向片端から長手方向中央部まで挿入されている。
延出光ファイバ21のうち、半割り把持部材34を構成するベース部材31と押さえ蓋32との間に挿入された部分を、以下、挿入端部とも言う。
【0019】
本明細書では、スプライス30について、その長手方向において、延出光ファイバ21が延出されている側(図19の左側)を後、反対側(図19の右側)を前として説明する。延出光ファイバ21は、スプライス30の半割り把持部材34の後端から延出している。
【0020】
スプライス30の押さえ蓋32を構成する3つの蓋部材(蓋側素子)321、322、323のうち、最も後側に位置する符号321の蓋部材を、以下、後蓋部材、最も前側に位置する符号323の蓋部材を、以下、前蓋部材とも言う。また、後蓋部材321と前蓋部材323との間に位置する符号322の蓋部材を、以下、中蓋部材とも言う。
【0021】
図17〜図19に示すように、断面コ字状のクランプばね33は、1枚の金属板を成形したものであって、細長板状の背板部33aの両側から、該背板部33aの長手方向全長にわたって、背板部33aに垂直に側板部33bが張り出された構成になっている。スプライス30のベース部材31及び3つの蓋部材321、322、323は、その互いに対向する対向面31a、321a、322a、323aが、クランプばね33の一対の側板部33bの間隔方向に概ね垂直となる向きで一対の側板部33bの間に把持されている。一対の側板部33bの一方はベース部材31に当接し、他方の側板部33bは押さえ蓋32に当接する。
【0022】
延出光ファイバ21の挿入端部は、その先端の裸光ファイバ21aの部分がスプライス30のベース部材31と中蓋部材322との間に配置され、被覆21bを有する部分がスプライス30のベース部材31と後蓋部材321との間に配置されている。
スプライス30の前側からベース部材31と中蓋部材322との間に他の光ファイバ1を挿入することで、該光ファイバ1(以下、挿入光ファイバとも言う)の先端を延出光ファイバ21先端(挿入端部先端)に突き合わせ接続できる。また、スプライス30の半割りの素子の間、すなわちベース部材31(ベース側素子)と押さえ蓋32(蓋側素子)との間に、前記延出光ファイバ21と該光ファイバ21に突き当てた挿入光ファイバ1とを、前記クランプばね33の弾性によって把持固定できる。
【0023】
図28に示すように、光ファイバケーブル24は、例えば光ファイバ21を該光ファイバ21に縦添えした一対の線状の抗張力体26とともに樹脂被覆材25(以下、外被とも言う)中に埋め込んで一体化した構成の断面略長方形の光ファイバケーブルであり、光ドロップケーブル、光インドアケーブル等として用いられるものである。
光ファイバ21は光ファイバケーブル24の断面中央部に配置され、一対の抗張力体26は光ファイバ21から光ファイバケーブル24の断面長手方向両側に離隔した位置に配置されている。光ファイバ21は、例えば光ファイバ心線、光ファイバ素線といった被覆光ファイバである。
【0024】
延出光ファイバ21及び挿入光ファイバ1は光ファイバ心線、光ファイバ素線といった被覆付き光ファイバである。図示例では、延出光ファイバ21及び挿入光ファイバ1として、単心の光ファイバ心線を採用している。
延出光ファイバ21の挿入端部先端(前端)には、裸光ファイバ21aが口出しされている。スプライス30での延出光ファイバ21と挿入光ファイバ1との突き合わせ接続は、挿入光ファイバ1先端に口出しした裸光ファイバ1aと延出光ファイバ21の挿入端部先端の裸光ファイバ21aとの突き合わせによって実現される。
【0025】
図18、図19に示すように、スプライス30のベース部材31には、その長手方向全長にわたって、蓋部材321、322、323に対向する対向面31aが延在形成されている。このベース部材31の前記対向面31aの長手方向(延在方向)中央部には、延出光ファイバ21先端に口出しされた裸光ファイバ21aと挿入光ファイバ1先端に口出しされた裸光ファイバ1aとを突き合わせ接続(光接続)可能に互いに高精度に位置決め、調心するための調心溝31bが形成されている。この調心溝31bは、ベース部材31の長手方向に沿って延在形成されたV溝である。但し、調心溝31bとしてはV溝に限定されず、例えば断面半円状の溝や、U溝等も採用可能である。
【0026】
前記調心溝31bは、ベース部材31の前記対向面31aの中蓋部材322に対向する部分に形成されている。
ベース部材31の前記対向面31aの後蓋部材321に対向する部分及び前蓋部材323に対向する部分には、前記調心溝31bに比べて溝幅が大きい被覆部挿入溝31c、31dが形成されている。被覆部挿入溝31c、31dは、ベース部材31長手方向において前記調心溝31bの両側に、ベース部材31長手方向に沿って延在形成されている。
被覆部挿入溝31c、31dと調心溝31bとの間には、被覆部挿入溝31c、31dから調心溝31b側に行くにしたがって溝幅が小さくなるテーパ状のテーパ溝31e、31fが形成されている。各被覆部挿入溝31c、31dは、前記テーパ溝31e、31fを介して調心溝31bと連通されている。
図示例のスプライス30において、被覆部挿入溝31c、31dはV溝である(被覆部挿入溝31dについて図20参照)。但し、被覆部挿入溝31c、31dとしてはV溝に限定されず、例えば断面半円状の溝や、U溝等も採用可能である。
【0027】
延出光ファイバ21の挿入端部は、裸光ファイバ21a外周が被覆21bによって覆われた部分である被覆部を、後蓋部材321及びベース部材31の互いに対向する対向面31a、321aにそれぞれ形成された被覆部挿入溝31c、321bに挿入し、前記被覆部の端末から突出する裸光ファイバ21aを前記調心溝31bに挿入して、ベース部材31と押さえ蓋32との間に設けられている。
そして、延出光ファイバ21の挿入端部は、前記被覆部が、後蓋部材321とベース部材31との間に、クランプばね33の弾性によって把持固定されている。
【0028】
後蓋部材321の被覆部挿入溝31cは、後蓋部材321の対向面321aにおける、ベース部材31の被覆部挿入溝31cに対応する位置に形成されている。また、後蓋部材321及びベース部材31の被覆部挿入溝31c、321bは、延出光ファイバ21の被覆部外径に鑑みて、後蓋部材321とベース部材31との間に延出光ファイバ21の被覆部をしっかりと把持固定できるように、その深さが調整されている。すなわち、後蓋部材321及びベース部材31の被覆部挿入溝31c、321bは、その深さの合計が延出光ファイバ21の被覆部外径よりも小さくなるように、それぞれの深さが調整されている。
【0029】
図18、図19に示すように、調心溝31bの前側に形成された被覆部挿入溝31dには、挿入光ファイバ1の裸光ファイバ1a外周が被覆1bによって覆われた部分である被覆部が挿入される。
また、図示例のスプライス30は、前蓋部材323の対向面323aにも、ベース部材31の被覆部挿入溝31dに対応する位置に、挿入光ファイバ1の被覆部が挿入される被覆部挿入溝323bが形成されている。挿入光ファイバ1は、その先端に、予め裸光ファイバ1aを口出しした状態で、スプライス30前側から被覆部挿入溝31d、323bに挿入される。
【0030】
図5に示すように、第1スプライス用工具40は介挿部材41を2つ有している。
2つの介挿部材41は、一方(図中符号41Aを付記する)が、スプライス30の中蓋部材322の後端部とベース部材31との間に介挿され、他方(図中符号41Bを付記する)が後蓋部材321とベース部材31との間に介挿されている。スプライス30の中蓋部材322とベース部材31との間、及び後蓋部材321とベース部材31との間は、前記介挿部材41A、41Bによってクランプばね33の弾性に抗して開放されている。
なお、スプライス30の中蓋部材322の後端部とベース部材31との間に介挿された介挿部材41Aを、以下、第1介挿部材41A、後蓋部材321とベース部材31との間に介挿された介挿部材41Bを、以下、第2介挿部材41Bとも言う。
第1スプライス用工具40の詳細については、後述する。
【0031】
図21に示すように、第2スプライス用工具80は介挿部材81を2つ有している。
2つの介挿部材81は、一方(図中符号81Aを付記する)が、スプライス30の中蓋部材322の前端部とベース部材31との間に介挿され、他方(図中符号81Bを付記する)が前蓋部材323とベース部材31との間に介挿されている。スプライス30の中蓋部材322とベース部材31との間、及び前蓋部材323とベース部材31との間は、前記介挿部材81A、81Bによってクランプばね33の弾性に抗して開放されている。
なお、スプライス30の中蓋部材322の前端部とベース部材31との間に介挿された介挿部材81Aを、以下、第1介挿部材81A、前蓋部材323とベース部材31との間に介挿された介挿部材81Bを、以下、第2介挿部材81Bとも言う。
第2スプライス用工具80の詳細については、後述する。
【0032】
図19に示すように、前蓋部材323とベース部材31との間は、スプライス30前側から、被覆部挿入溝31d、323bに挿入光ファイバ1の被覆部を楽に挿入できる程度に離隔(開放)されている。中蓋部材322前端部とベース部材31との間は、挿入光ファイバ1先端に口出しされた裸光ファイバ1aを調心溝31bに楽に挿入できる程度に離隔(開放)されている。図19中、被覆部挿入溝31d、323bからなる光ファイバ1の収容スペースに、符号FSを付記する。
【0033】
図示例の第2スプライス用工具80の介挿部材81は、スプライス30のベース部材31と押さえ蓋32との間に、板状に形成された先端部81aを割り込ませている。
前蓋部材323とベース部材31との間、及び中蓋部材322前端部とベース部材31との間の開放量は、介挿部材81の板状の先端部81aの厚み寸法によって設定される。
第1介挿部材81Aによって開放された、中蓋部材322前端部とベース部材31との間の離隔距離は、裸光ファイバ21a、1aが調心溝31bと中蓋部材322の対向面322aとの間から離脱しない範囲に設定される。
第2介挿部材81Bによって開放された、前蓋部材323とベース部材31との間の離隔距離は、挿入光ファイバ1(その被覆部)が被覆部挿入溝31d、323bの間から離脱しない範囲に設定される。
【0034】
なお、介挿部材としては、スプライス30のベース部材31と押さえ蓋32との間に割り込ませる先端部(介挿片部)が板状になっているものに限定されない。
介挿部材の介挿片部としては、例えばシート状のもの、ロッド状のもの等も採用可能である。
【0035】
図20に例示した介挿部材81の介挿部材本体83は、介挿片部として、板状の先端部81aを有する。以下、介挿部材本体83の板状の先端部81aを介挿片部とも言う。
介挿部材本体83の介挿片部81a以外の部分は、該介挿片部81aに比べて板厚(厚み寸法)が大きい板状に形成されている。
また、介挿部材81の板状の介挿片部81aは、その先端が先細りのテーパ状に形成されている。この介挿部材81は、スプライス30の半割り把持部材34から抜き去った後に、その介挿片部81aを、ベース部材31と押さえ蓋32との間に押し込んで割り込ませる(介挿部材付きスプライスを組み立てる)ことが可能である。
また、光ファイバ接続用ユニット10は、スプライス30から介挿部材を取り外した状態で現場に供給し、現場にて、スプライス30の中蓋部材322とベース部材31との間、及び前蓋部材323とベース部材31との間にそれぞれ介挿部材の介挿片部を割り込ませて介挿部材付きスプライスを組み立てても良い。
【0036】
前蓋部材323及びベース部材31の被覆部挿入溝31d、323bは、前蓋部材323とベース部材31との間から介挿部材81Bを抜き去ったときに、前蓋部材323とベース部材31との間に挿入光ファイバ1の被覆部をしっかりと把持固定できるように、挿入光ファイバ1の被覆部外径に鑑みてその深さが調整されている。すなわち、前蓋部材323及びベース部材31の被覆部挿入溝31d、323bは、その深さの合計が挿入光ファイバ1の被覆部外径よりも小さくなるように、それぞれの深さが調整されている。
【0037】
図示例のスプライス30において、後蓋部材321、前蓋部材323の被覆部挿入溝321b、323bはV溝である(前蓋部材323の被覆部挿入溝323bについて図20参照)。但し、被覆部挿入溝321b、323bとしてはV溝に限定されず、例えば断面半円状の溝や、U溝等も採用可能である。
また、被覆部挿入溝は、必ずしも、後蓋部材321及びベース部材31の互いに対向する部分の両方に形成する必要はない。スプライスとしては、後蓋部材321及びベース部材31の互いに対向する部分の片方に被覆部挿入溝を形成した構成も採用可能である。
このことは、前蓋部材323及びベース部材31の互いに対向する部分についても同様であり、スプライスとしては、前蓋部材323及びベース部材31の互いに対向する部分の片方に被覆部挿入溝を形成した構成も採用可能である。
【0038】
図17に示すように、スプライス30の半割り把持部材34における、前記クランプばね33の背板部33aとは反対側(以下、開放側)に露出する側面には、前記介挿部材81を挿入するための介挿部材挿入穴35が開口されている。図18に示すように、この介挿部材挿入穴35は、ベース部材31及び3つの蓋部材321、322、323の対向面31a、321a、322a、323aの互いに対応する位置に形成された介挿部材挿入溝31g、321c、322c、323cによって、ベース部材31と蓋部材321、322、323との間に確保されている。
なお、介挿部材挿入穴35は、半割り把持部材34の開放側から、調心溝31b、被覆部挿入溝31c、31d、321b、323bに達しない深さで形成される。
また、介挿部材挿入穴35としては、ベース部材31及び蓋部材321、322、323の片方のみに形成した介挿部材挿入溝によって確保した構成も採用可能である。
【0039】
図17に示すように、図示例のスプライス30において、前記介挿部材挿入穴35は、中蓋部材322の後端部及び前端部に対応する2箇所と、後蓋部材321及び前蓋部材323のベース部材31長手方向に沿う前後方向中央部に対応する位置の、計4箇所に形成されている。介挿部材81A、81Bは、4箇所の介挿部材挿入穴35のうち、中蓋部材322の前端部に対応する位置に形成された介挿部材挿入穴35(図17中、符号35aを付記する)、前蓋部材323の前後方向中央部に対応する位置に形成された介挿部材挿入穴35(図17中、符号35bを付記する)とに挿入されている。
【0040】
図19に示すように、中蓋部材322のベース部材31の調心溝31bに対面する部分には、平坦な対向面322aが形成されている。中蓋部材322は、該中蓋部材322とベース部材31との間に介挿されている第1介挿部材81Aを抜き去ったときに、クランプばね33の弾性によって、延出光ファイバ21先端の裸光ファイバ21aと、該裸光ファイバ21a先端に突き当てた挿入光ファイバ1の裸光ファイバ1aとを対向面322aで押圧して、調心溝31bに押さえ込むことができる。
【0041】
図18、図19に示すように、クランプばね33の一対の側板部33bは、それぞれ、スプライス30の押さえ蓋32の3つの蓋部材321、322、323に対応する3つの部分に分かれている。押さえ蓋32に当接する側板部33b(図18、図19において上側の側板部33b)は、後蓋部材321と中蓋部材322との境界、及び中蓋部材322と前蓋部材323との境界に対応する位置にそれぞれ形成されたスリット状の切り込み部33dによって、3つの蓋部材321、322、323に対応する3つの部分に分断されている。ベース部材31に当接する側板部33bは、蓋部材321、322、323に当接する側板部33bの切り込み部33dに対応する位置に形成された切り込み部33dによって、3つの蓋部材321、322、323に対応する3つの部分に分断されている。
【0042】
クランプばね33は、後蓋部材321とベース部材31とを保持する第1クランプばね部331と、中蓋部材322とベース部材31とを保持する第2クランプばね部332と、前蓋部材323とベース部材31とを保持する第3クランプばね部333とを有する。第1〜3クランプばね部331〜333は、互いに独立したクランプばねとして機能する。
なお、図18、図19等において、第1クランプばね部331の一対の側板部に符号331b、第2クランプばね部332の一対の側板部に符号332b、第3クランプばね部333の一対の側板部に符号333bを付記する。
【0043】
スプライス30は、3つのクランプばね部に対応する3つのクランプ部を有する。
すなわち、このスプライス30は、第1クランプばね部331の内側に後蓋部材321とベース部材31とを保持した第1クランプ部と、第2クランプばね部332の内側に中蓋部材322とベース部材31とを保持した第2クランプ部と、第3クランプばね部333の側に前蓋部材323とベース部材31とを保持した第3クランプ部とを有する。
3つのクランプ部は、それぞれ、個々のクランプ部に対応するクランプばね部の弾性によって、半割りの素子(ベース部材31(ベース側素子)と蓋部材(蓋側素子))の間に光ファイバを把持固定できる。
【0044】
スプライス30の第1クランプ部は、第1クランプばね部331の弾性によって、後蓋部材321とベース部材31との間に延出光ファイバ21の被覆部を把持固定することができる。このスプライス30は、例えば中蓋部材322を該中蓋部材322とベース部材31との間への介挿部材の挿脱によって開閉(すなわち第2クランプ部の開閉)しても、第1クランプ部の延出光ファイバ21の把持固定状態は安定に維持される。また、介挿部材の挿脱による第3クランプ部の開閉も、第1クランプ部の延出光ファイバ21の把持固定状態に何等影響を与えない。
【0045】
スプライス30は、半割りの素子31,32の間に介挿部材41、81を割り入れて取り付けたスプライス用工具40、80を有している。
第1スプライス用工具40は、スプライス30の長手方向の一端側で、半割りの素子31、32の間に延出光ファイバ21を挿入できるように割り入れた第1介挿部材41を有する。第2スプライス用工具80は、スプライス30の長手方向の他端側で、半割りの素子31、32の間に挿入光ファイバ1を挿入できるように割り入れた第2介挿部材81を有する。
【0046】
図5、図13及び図14に示すように、第1スプライス用工具40は、スプライス30のベース部材31と押さえ蓋32との間に先端部(介挿片部41a)を割り込ませた2つの介挿部材41と、この介挿部材41が取り付けられた介挿部材駆動部42とを有する。
介挿部材駆動部42は、介挿部材41を支持する介挿部材支持部43と、その両側に配置された一対の介挿部材操作部44、44を有する。介挿部材支持部43と介挿部材操作部44の間は、介挿部材支持部43の長手方向に沿って間隙45を有するが、該長手方向の一端側(図5の右上)の基部46において介挿部材操作部44の端部が介挿部材支持部43側に屈曲し、介挿部材支持部43と連結されている。基部46と介挿部材支持部43との間には薄肉状のヒンジ部47を有する。このヒンジ部47は、介挿部材支持部43に介挿部材41が設けられた介挿部材形成面43fの側(スプライス30に対向する側)が凹んでおり、基部46を支点として介挿部材支持部43がスプライス30から遠ざかる方向に回動することができる。
【0047】
2つの介挿部材41A、41Bは、介挿部材支持部43にその軸線(中心軸線Q)方向に互いに離隔させて取り付けられている。
なお、第1スプライス用工具40について、介挿部材支持部43の軸線方向を、以下、前後方向として説明する。介挿部材41は、その板状の厚み方向が、介挿部材支持部43の前後方向に垂直の向きで取り付けられている。
【0048】
そして、第1スプライス用工具40は、介挿部材41の介挿部材支持部43外側に突出させた先端部41aを、スプライス30のベース部材31と押さえ蓋32との間に割り込ませて、スプライス30に取り付けられている。このスプライス用工具40は、その前後方向をスプライス30の前後方向に揃えて設けられている。
介挿部材41は、スプライス30のクランプばね33の弾性によって、ベース部材31と押さえ蓋32との間に比較的強い力で把持されている。
介挿部材支持部43は、介挿部材形成面43fの反対側に突設された押圧用突起48を有する。図10に示すように、押圧用突起48、48は各介挿部材41、41の反対側で対応する位置にそれぞれ形成されており、押圧用突起48を押圧することで介挿部材41をスプライス30のベース部材31と押さえ蓋32との間に割り込ませるのが容易になる。
【0049】
図5及び図13に示すように、介挿部材支持部43の介挿部材操作部44に対向する側面43aには、介挿部材支持部43の幅(図13の左右方向)がスプライス30から遠ざかるほど広くなる斜面43bが形成されている。また、介挿部材操作部44の介挿部材支持部43に対向する側面44aには、介挿部材操作部44の幅(図13の左右方向)がスプライス30から遠ざかるほど狭くなる斜面44bを有する突起部44cが形成されている。
この第1スプライス用工具40は、介挿部材支持部43の軸線(中心軸線Q)方向に垂直の断面において、介挿部材41を介して両側(図13の左右方向を、以下、スプライス用工具40の左右方向として説明する)に位置する部分を押圧(側圧Pを与える)して互いに接近させることで、図14に示すように、介挿部材操作部44の斜面44bが介挿部材支持部43の斜面43bに接触して、これらの斜面の法線方向に押圧力が加わる。介挿部材支持部43の両側の斜面44bに加わる押圧力が合成されることにより、介挿部材支持部43がスプライス30から遠ざかる方向へと変形させ、介挿部材41を、スプライス30(詳細には半割り把持部材34)から抜き去ることができる。
このとき介挿部材支持部43は、上述したように基部46を支点として回動することにより、基部46から遠い側にある第1介挿部材41Aは、基部46に近い側にある第2介挿部材41Bよりも先にスプライス30からの距離を増大する。このスプライス用工具40は、第2クランプ部からの第1介挿部材41Aの抜き去りを、第1クランプ部からの第2介挿部材41Bの抜き去りに先行して行う、時差抜き去りを実現できる。
介挿部材駆動部42に側圧Pを与えてその左右両側部分を互いに接近させ、介挿部材41をスプライス30から抜き去る作業は、例えば、作業者が片手の手指で介挿部材駆動部42を握って行うことができる。
【0050】
図20、図21に示すように、第2スプライス用工具80は、スプライス30のベース部材31と押さえ蓋32との間に先端部(介挿片部81a)を割り込ませた2つの介挿部材81と、この介挿部材81が取り付けられたスリーブ状の介挿部材駆動部82とを有する。
前記介挿部材81は、介挿部材駆動部82に形成された切欠部82aに通して、介挿部材駆動部82外側に突出させた板状の介挿部材本体83を有する。この介挿部材81の前記介挿片部81aは、前記切欠部82aを介して介挿部材駆動部82外側に突出させた前記介挿部材本体83の先端部を構成する。
前記第2スプライス用工具80は、前記介挿部材81の介挿片部81aとは反対側の基端側を、介挿部材駆動部82において前記切欠部82aが形成された壁部である受圧壁部86に対面する係止壁部85に取り付けた構成になっている。
【0051】
前記受圧壁部86は、前記切欠部82aが形成された平板状の板状主壁部86aに、介挿部材駆動部82外側に向かって突出する当接用突壁部86bを突設した構成になっている。
前記受圧壁部86の当接用突壁部86bは、介挿部材駆動部82の前後方向に沿って延在する前記板状主壁部86aの延在方向中央部に、該板状主壁部86aの延在方向(前後方向)に垂直に突設されたリブ状の突壁である。また、この当接用突壁部86bは、介挿部材駆動部82において受圧壁部86(詳細には板状主壁部86a)と係止壁部85(詳細には後述の板状主壁部85a)との間を繋ぐ両側の駆動部側壁部88の間隔方向である左右方向(図20左右方向)に延在形成されている。
【0052】
前記切欠部82aは、受圧壁部86の板状主壁部86aに、その前後方向両端から、前後方向に沿う細長に延在形成されている。受圧壁部86の当接用突壁部86bは、介挿部材駆動部82の前後方向において、前後の切欠部82aの間に位置する。
第2スプライス用工具80の2つの介挿部材81は、その介挿部材本体83を、前記当接用突壁86aを介して前後の切欠部82aに通して設けられている。
【0053】
介挿部材81の介挿部材本体83は、介挿片部81aとは反対側の基端側に、係止壁部85に、前記受圧壁部86側から当接される当接壁部83aを有する。
図示例の第2スプライス用工具80の介挿部材駆動部82の係止壁部85は、受圧壁部86の板状主壁部86aに平行に形成された板状主壁部85aに、該板状主壁部85aから受圧壁部86に向かって突出する突壁部85bを突設した構成になっている。
介挿部材81の当接壁部83aは、係止壁部85の突壁部85b突端の端面に受圧壁部86側から当接可能になっている。
【0054】
また、介挿部材81は、前記介挿部材本体83の基端部(当接壁部83a)から、前記介挿片部81aとは反対の側(介挿部材81の基端側)へ延出させた係合片84を有する。そして、この介挿部材81は、前記係合片84を、前記係止壁部85を貫通する貫通孔85cに通し、前記係止壁部85外側(受圧壁部86とは反対の側)に突出させた係合片84先端部(延出端部)の側面に突設してある係合爪84aを、前記係止壁部85に係合可能に配置して、前記介挿部材駆動部82に取り付けている。
【0055】
図示例の第2スプライス用工具80の介挿部材駆動部82の係止壁部85の貫通孔85cは、その一端が突壁部85b突端の端面に開口している。貫通孔85cの他端は、係止壁部85に板状主壁部85a外面(介挿部材駆動部82内側とは反対側の面)から窪んで形成された凹部85d内に開口している。前記凹部85dは、前記貫通孔85cの他端を拡張した穴状に形成されている。介挿部材81の係合片84の係合爪84aは、前記貫通孔85cの他端と凹部85dとの境界の段差面85eから介挿部材駆動部82外側方向に突出された係合片84の先端部側面に突設されている。この係合爪84aは、受圧壁部86とは反対の側から前記段差面85eに係合可能となっている。
【0056】
図示例の介挿部材81は、前記係合片84の係合爪84aと前記当接壁部83aとの間に、前記係止壁部85の前記貫通孔85cの長さ(軸線方向寸法)に比べて若干長い離隔距離を確保してある。したがって、この介挿部材81は、前記係止壁部85に対して前記貫通孔85cの軸線方向に若干の可動範囲を確保して、介挿部材駆動部82(詳細には係止壁部85)に取り付けられている。
【0057】
なお、スプライス用工具としては、介挿部材81の係合片84の係合爪84aと当接壁部83aとの間の離隔距離を係止壁部85の貫通孔85cの長さに揃えて、介挿部材81を介挿部材駆動部82(詳細には係止壁部85)に取り付けた構成も採用である。この構成の場合、介挿部材81は、係合片84の係合爪84aと当接壁部83aとの間に係止壁部85を挟み込んで、介挿部材駆動部82(詳細には係止壁部85)に対して前記貫通孔85cの軸線方向への変位を規制した状態で取り付けられる。
【0058】
2つの介挿部材81A、81Bは、介挿部材駆動部82にその軸線(中心軸線Q)方向に互いに離隔させて取り付けられている。
なお、第2スプライス用工具80について、介挿部材駆動部82の軸線方向を、以下、前後方向として説明する。介挿部材81は、その板状の介挿部材本体83の厚み方向が、介挿部材駆動部82の前後方向に垂直の向きで介挿部材駆動部82に取り付けられている。
【0059】
そして、第2スプライス用工具80は、介挿部材81の前記介挿部材本体83の介挿部材駆動部82外側に突出させた先端部を、スプライス30のベース部材31と押さえ蓋32との間に割り込ませて、スプライス30に取り付けられている。この第2スプライス用工具80は、その前後方向をスプライス30の前後方向に揃えて設けられている。
介挿部材本体83は、スプライス30のクランプばね33の弾性によって、ベース部材31と押さえ蓋32との間に比較的強い力で把持されている。
【0060】
図20に示すように、スプライス30の半割り把持部材34は、クランプばね33からその開放側(背板部33aとは反対側)に突出されている。第2スプライス用工具80は、前記受圧壁部86の当接用突壁部86bをスプライス30の半割り把持部材34に当接させてスプライス30に取り付けられている。
【0061】
この第2スプライス用工具80は、介挿部材駆動部82の軸線(中心軸線Q)方向に垂直の断面において、前記介挿部材81を介して両側(図20において左右両側。図20における左右方向を、以下、第2スプライス用工具80の左右方向として説明する)に位置する部分を押圧(側圧Pを与える)して互いに接近させることで、介挿部材駆動部82の前記受圧壁部86と前記係止壁部85との間の離隔距離が増大する。その結果、この第2スプライス用工具80は、介挿部材81を、スプライス30(詳細には半割り把持部材34)から抜き去ることができる。
介挿部材駆動部82に側圧Pを与えてその左右両側部分を互いに接近させ、介挿部材81をスプライス30から抜き去る作業は、例えば、作業者が片手の手指で介挿部材駆動部82を握って行うことができる。
【0062】
また、この第2スプライス用工具80は、前記受圧壁部86の前記切欠部82aを介して両側、すなわち、前記切欠部82aに前記受圧壁部86に垂直の向きで通されている介挿部材本体83を介して両側(図20において左右両側)から前記介挿部材本体83と平行の向きで、介挿部材駆動部82外側に突出された一対の係合壁部(保持壁部)87を有する。
そして、この第2スプライス用工具80は、前記一対の係合壁部87の突端部から、該一対の係合壁部87の互いに対面する内面側に突出された突爪87aを、スライダ120の側壁部122の下端に係合させてスライダ120に取り付けられる。第2スプライス用工具80は、係合壁部87をスライダ120に係合させることで、スライダ120に対する位置ずれが生じにくくなる。
【0063】
但し、この第2スプライス用工具80は、介挿部材駆動部82にその左右両側から側圧Pを与えて、介挿部材81をスプライス30から抜き去る作業を行うとき、介挿部材駆動部82の前記受圧壁部86と前記係止壁部85との間の離隔距離が最大となった後も、前記側圧Pによる介挿部材駆動部82の変形を継続することで、一対の係合壁部87のスライダ120に対する係合を解除できる。
一対の係合壁部87のスライダ120に対する係合、及び係合解除については、後で説明する。
【0064】
図2に示すように、光ファイバ接続用ユニット10のユニットベース11は、スプライス30を脱着可能に保持するスプライスホルダ部60と、光ファイバケーブル24端末24aの外被25を脱着可能に把持するケーブル把持部材70が保持される把持部材保持部50を有する。
ユニットベース11は、例えば平面視略長方形状とすることができる。
【0065】
図2および図13に示すように、スプライスホルダ部60は、ユニットベース11の一部である基体部61と、基体部61の一側縁に立設された一側突壁部62と、基体部61の他側縁に立設された他側突壁部63と、前端部の両側に設けられた一対の前側突壁部64と、後端部の両側に設けられた一対の後側突壁部65とを有する。
突壁部62〜65は、基体部61の上面側に突出して形成されている。
スプライスホルダ部60は、スプライス30を、一側突壁部62と他側突壁部63の間に確保されたスプライス収納空間67に収納してスプライス30を保持する。
【0066】
一側突壁部62の内面には内面側に突出する係止爪62cが形成されている。同様に、他側突壁部63の内面には内面側に突出する係止爪63cが形成されている。これら係止爪62c、63cによってスプライス30の浮き上がりを規制できる。
スプライス30は、スプライス収納空間67内に押し込むことによって係止爪62c、63cの下側に入り込んで、上方への浮き上がりが規制される。
【0067】
前側突壁部64と後側突壁部65との離隔距離は、スプライス30の長手方向寸法に応じて設定されており、スプライス30は、前側突壁部64と後側突壁部65によって基体部61に対する前後方向の位置ずれが規制される。
【0068】
スプライス30は、介挿部材がスプライス30から抜き去られると、クランプばね33の一対の側板部33b間の離隔距離が縮小するため、スプライス30は、スプライスホルダ部60からの取り出しが容易となる。
このため、スプライスホルダ部60は、スプライス30を脱着可能に保持できる。
なお、一側突壁部62および他側突壁部63の係止爪62c、63cによるスプライス30の係止の解除は、例えば、作業者が手指で一側突壁部62および他側突壁部63を互いに離れる方向に弾性変形させることによっても行うことができる。
【0069】
図17〜図19に示すように、スプライス30について、ベース部材31の対向面31aに垂直の方向を、以下、幅方向とも言う。
スプライス30の半割り把持部材34の前端係合突部(前端張出部31j、323d)の両側の係合面31k、323eは前端係合突部の幅方向両側に位置し、後端係合突部(後端張出部31h、321d)の両側の係合面31i、321eは後側係合突部の幅方向両側に位置する。また、クランプばね33の両側の側板部33bは、半割り把持部材34を介して、その幅方向両側に配置されている。
【0070】
スプライス30のベース部材31のクランプばね33の側板部33bが当接される背面からの、後端張出部31h及び前端張出部31jの突出寸法は、クランプばね33の側板部33bの板厚よりも若干大きくしてある。また、後蓋部材321のクランプばね33の側板部33bが当接される背面からの後端張出部321dの突出寸法、及び、前蓋部材323のクランプばね33の側板部33bが当接される背面からの前端張出部323dの突出寸法も、クランプばね33の側板部33bの板厚に比べて若干大きくしてある。
【0071】
板状の中蓋部材322の厚み、すなわち中蓋部材322の対向面322aとクランプばね33の側板部33bが当接される背面との間の距離と、後蓋部材321の後端張出部321d以外の板状部の厚みと、前蓋部材323の前端張出部323d以外の板状部の厚みとは、互いに同じに揃えられている。
【0072】
図18、図19に示すように、スプライス30の半割り把持部材34の前端には、前蓋部材323及びベース部材31に、それぞれ、その前端面から後側に行くにしたがって先細りのテーパ状に形成された凹所からなるテーパ状開口部34aが開口している。このテーパ状開口部34aの後端(奥端)は被覆部挿入溝323b、31dと連通している。
【0073】
また、前側突壁部64の間には、スプライスホルダ部60の前側から、該スプライスホルダ部60に保持したスプライス30の被覆部挿入溝323b、31dへ挿入する挿入光ファイバ1を、スプライス30前端に開口する前記テーパ状開口部34aに円滑に導くファイバ導入凹部66が確保されている。ファイバ導入凹部66は、その前側から後側に行くにしたがって溝幅が縮小していくテーパ状に形成された溝である。
前側からスプライス30に挿入される挿入光ファイバ1は、スプライスホルダ部60に保持されたスプライス30に、ファイバ導入凹部66を通して導くことができる。
【0074】
図18、図19に示すように、スプライス30の半割り把持部材34の後端には、後蓋部材321及びベース部材31に、それぞれ、その後端面から前側に行くにしたがって先細りのテーパ状に形成された凹所からなるテーパ状開口部34bが開口している。このテーパ状開口部34bの前端(奥端)は被覆部挿入溝321b、31cと連通している。
図2に示すように、後側突壁部65には、その前側から、ベース部材31後端におけるテーパ状開口部34bの周囲の口縁部が当接される。
【0075】
図3および図4に示すように、ケーブル把持部材70は、光ファイバケーブル24を嵌め込むケーブル嵌合溝71aが形成された断面コ字形の把持ベース71と、前記把持ベース71のケーブル嵌合溝71aの溝幅方向両側の側壁部71b、71cの一方に枢着された押さえ蓋72とを有する。
【0076】
ケーブル把持部材70は、図15に示すように、把持ベース71の一対の側壁部71b、71cの互いに対向する面に複数突設した把持用突起71fを、ケーブル嵌合溝71aに嵌め込まれた光ファイバケーブル24の外被25に食い込ませて、一対の側壁部71b、71cの間に光ファイバケーブル24を把持固定できる。把持ベース71は、底壁部71dの片面側に一対の側壁部71b、71cが突設され、これらの間にケーブル嵌合溝71aが確保された断面コ字形の部材である(図7参照)。ケーブル嵌合溝71aの溝幅方向は、該ケーブル嵌合溝71aを介して向かい合う両側の側壁部71b、71cの間隔方向を指す。図示例のケーブル把持部材70の把持用突起71fは、ケーブル嵌合溝71aの深さ方向に延在する断面三角形状の突条とされている。
【0077】
ケーブル把持部材70は、押さえ蓋72が側壁部71cから離隔する開放状態にて把持ベース71を光ファイバケーブル24端末に外嵌めして固定した後、押さえ蓋72を把持ベース71の側壁部71b、71c上端部間におけるケーブル嵌合溝71aの開口部を閉じる閉位置に回動し、該押さえ蓋72を側壁部71cに係止して、光ファイバケーブル24端末に取り付けられる。
【0078】
図示例のケーブル把持部材70はプラスチック製の一体成形品である。押さえ蓋72は、一対の側壁部71b、71cの一方(第1側壁部71b)の突端に、ヒンジ部として機能する薄肉部73を介して繋がっている。この押さえ蓋72は、薄肉部73によって、ケーブル嵌合溝71aの延在方向に沿う軸線を以て、把持ベース71の第1側壁部71bに対して回転可能に枢着されている。なお、把持ベース71の一対の側壁部71b、71cの他方を第2側壁部71cとも言う。
【0079】
図示例のケーブル把持部材70の押さえ蓋72はL字板状に形成されている。この押さえ蓋72は、薄肉部73を介して把持ベース71の第1側壁部71bに枢着されている天板部72aと、天板部72aの薄肉部73とは反対側の端部から天板部72aに垂直に形成された係止板部72bとを有する。この押さえ蓋72は、天板部72aを把持ベース71の一対の側壁部71b、71cの突端に当接してケーブル嵌合溝71aの開口部を閉じる閉じ位置に配置したときに、係止板部72bを把持ベース71の第2側壁部71cのケーブル嵌合溝71aとは反対側の外面に重ね合わせることができる。そして、押さえ蓋72は、係止板部72bに形成されている係止用窓孔72cに、把持ベース71の第2側壁部71c外面に突設されている係止用爪71eを入り込ませることで把持ベース71に係止され、把持ベース71に対する閉じ状態を安定維持できる。
【0080】
光ファイバケーブル24の端末24aをケーブル嵌合溝71aに嵌め込むと、把持ベース71の一対の側壁部71b、71cのケーブル嵌合溝71aに臨む面(内面)にそれぞれ複数突設されている把持用突起71fが光ファイバケーブル24の外被25の側面に当接し、一対の側壁部71b、71cの間に光ファイバケーブル24の端末24aが把持固定される。
また、上述のように、第2側壁部71c外面の係止爪71eによってL字板状の蓋体72を係止して閉じ合わせ状態を維持することで、ケーブル嵌合溝71aからの光ファイバケーブル24の離脱を確実に防ぐことができ、ケーブル把持部材70の光ファイバケーブル24の端末24aに対する固定状態を安定に保つことができる。
ケーブル把持部材70は、蓋体72を開放してケーブル嵌合溝71aから光ファイバケーブル24を取り出すことによって、光ファイバケーブル24から取り外すことができる。すなわち、ケーブル把持部材70は光ファイバケーブル24に対し脱着可能である。
ケーブル把持部材70は、プラスチック製の一体成形品であることが好ましい。
【0081】
図示例のケーブル把持部材70は、把持ベース71のケーブル嵌合溝71aの延在方向に沿う前後方向の片端から突出する前側突出部75を有している。前側突出部75に形成された光ファイバ保持溝74には、延出光ファイバ21を載せることができる。
また、図2及び図7に示すように、ユニットベース11の一端には、ケーブル把持部材70を保持する把持部材保持部50が設けられている。
【0082】
図7に示すように、把持部材保持部50は、ケーブル把持部材70の前側突出部75を嵌合できる挿入穴51を有する。図8に示すように、前側突出部75を挿入穴51に挿入することで、ケーブル把持部材70の前側突出部75を嵌合させ、把持部材保持部50に保持させることができる。
把持部材保持部50とスプライスホルダ部60の間には、ケーブル把持部材70の前側突出部75から突出する延出光ファイバ21の先端を、スプライス30のテーパ状開口部34bに向けて案内する光ファイバ案内部13が設けられている。これにより、ケーブル把持部材70を把持部材保持部50に挿入するときに、延出光ファイバ21の先端が把持部材保持部50の内部で目視しにくくなっても、確実にスプライス30のテーパ状開口部34bへと案内することができる。
光ファイバ案内部13は、テーパ状開口部34bの中心部に向けて傾斜する斜面13aと、上方に開口したU字溝13bとを有し、斜面13aの上端がU字溝13bの下端13cの高さと一致している。U字溝13bの下端13cの高さは、スプライス30の半割り把持部材34において光ファイバを挿入する溝の高さとほぼ一致している。なお、図示例では、光ファイバ案内部13は、スプライスホルダ部60の後側突壁部65と一体に形成され、U字溝13bがスプライス30のテーパ状開口部34bに近接して配置されている。
【0083】
図9に示すように、ケーブル把持部材70の前側突出部75は、断面の外形が略正方形である。これと嵌合できるように、把持部材保持部50の挿入穴51も、断面が略正方形である。これにより、図9に示すように、ケーブル把持部材70は、光ファイバ(詳しくは延出光ファイバ21)の軸線方向を中心として90°異なる複数の向きで把持部材保持部50に嵌合することが可能である。前側突出部75の外面が、少なくとも4箇所で挿入穴51の4つの内面にそれぞれ面接触する部分を含むことにより、上下または左右方向のがたつきや小さい角度(例えば数°未満)のぐらつきを抑制するとともに、90°異なる複数の向きで安定的に嵌合させることが可能になる。また、いずれの向きにおいても、ケーブル把持部材70を把持部材保持部50に向けて真っ直ぐ移動させることにより、前側突出部75を挿入穴51に嵌合させることができる。
挿入穴51に対して嵌合部となる前側突出部75の断面形状は、当該断面形状が、正方形に内接する形状であれば、その辺部および/または隅部に、1以上の切欠きや面取りを有していてもよい。例えば図9(a)及び図9(b)は、同一のケーブル把持部材70を把持部材保持部50に挿入したもので、図9(a)では前側突出部75の底部75dが左側を向いているのに対し、図9(b)では前側突出部75の底部75dが下側を向いている。
【0084】
前側突出部75は、ケーブル把持部材70が図9(a)及び図9(b)のいずれの配置であるとしても、光ファイバ保持溝74が上向きに開口するように断面がL字形となっている。これは、図示例の把持部材保持部50がその内部の様子を目視で確認できるための覗き窓52(図8参照)を上側に有するためである。仮に前側突出部75の底部75dが覗き窓52の側を向いたとしても、光ファイバ接続用ユニット10の機能に悪影響をもたらすものではないが、延出光ファイバ21を前側突出部75の光ファイバ保持溝74の上に載せて作業をすることにより、光ファイバ保持溝74が下向きに開口する状況を抑制することができる。
図示例の第1スプライス用工具40は、基部46から介挿部材支持部43の一部に渡り、覗き窓52と連続する切欠部40aを有する(図1、図7等参照)。これにより、把持部材保持部50の内部の延出光ファイバ21の状態が見やすくなる。
なお、図9(a)及び図9(b)には、光ファイバ保持溝74が2通りの向きで上向きに開口する配置が可能な構成を示したが、図9(c)に示すように、光ファイバ保持溝74が上向きに開口する配置が1通りのみであっても差し支えない。
【0085】
図示例のケーブル把持部材70は、図28に示すように、外被25の断面形状が平形の光ファイバケーブル24に適用されるため、図9(a)及び図9(b)に示すように光ファイバの長手方向を中心軸線とした回転角度が90°異なる、2通りの向きで光ファイバ接続用ユニット10に取り付け可能であることが好ましい。つまり、平形の光ファイバケーブル24の場合、外被25はその長辺方向(図28の上下方向)よりもその短辺方向(図28の左右方向)に曲がりやすい。図示例の場合、図9(a)に相当する図8のようにケーブル把持部材70を取り付けると、光ファイバ接続用ユニット10の長手方向に対して光ファイバケーブル24を上下方向に曲げやすい構成となる。また、図9(b)のようにケーブル把持部材70を取り付けると、光ファイバ接続用ユニット10の長手方向に対して光ファイバケーブル24を左右方向に曲げやすい構成となる。光ファイバ接続用ユニット10を成端箱などの狭い空間に収容する際、光ファイバケーブル24を上下方向または左右方向のいずれかを選択して曲げることができるので、光ファイバケーブル24の取り回し(収容)が容易になる。
【0086】
図示例の把持部材保持部50は、ケーブル把持部材70(詳しくはその前側突出部75)を長手方向に同一形状の断面を有する挿入穴51に挿入、嵌合するものであるため、ケーブル把持部材70をスプライス30の長手方向に沿って移動可能に保持することができる。
【0087】
なお、改変例として、把持部材保持部50が、ケーブル把持部材70を載せてスライド可能に設けられる板状のガイド部材(図示せず)を有することもできる。この種のガイド部材は、把持部材保持部50の挿入穴51の端面51aから突出することで、ケーブル把持部材70を受け入れ、ガイド部材がケーブル把持部材70とともに前進することで、把持部材保持部50の内部へと収容されることができる。この場合、ケーブル把持部材70が挿入穴51に嵌合される部分を有しなくても、ガイド部材が把持部材保持部50に形成される溝状のガイド部材収容部(図示せず)に嵌合および収容されることで、ぐらつきのないスライド移動が実現できる。
【0088】
図5及び図10に示すように、第1スプライス用工具40は、ケーブル把持部材70のスプライス30の長手方向に沿った移動を、スプライス30に対して所定の距離で停止させるスペーサ49を備える。図示例では、スペーサ49は第1スプライス用工具40の基部46から突出した突起部として構成されている。このため、図7から図8に示すようにケーブル把持部材70を把持部材保持部50に挿入すると、前側突出部75の先端面75aがスペーサ49に当接し、図10及び図15(a)に示すように、ケーブル把持部材70の前進を停止させることができる。このとき、スプライス30は、その長手方向の一端側に延出光ファイバ21が挿入されるのみで、長手方向の他端側への挿入光ファイバ1がまだ挿入されていない状態である。
【0089】
スペーサ49を有することにより、延出光ファイバ21の先端がスプライス30の長手方向のほぼ中央の位置でケーブル把持部材70の前進を停止させることができる。把持部材保持部50は、スペーサ49を除去した後には、ケーブル把持部材70をさらに前進させることが可能な隙間S、Sを有する。
図15(b)に示すように、第1スプライス用工具40を取り外すと、ケーブル把持部材70がスプライス30の長手方向の一端側にさらに近づけることができる。具体的には、図15に示すように、ケーブル把持部材70のストッパ部70aが把持部材保持部50の挿入穴51の周囲の端面51aに当接することで、ケーブル把持部材70の前進が停止する。
上述したように、第1スプライス用工具40の取り外しは、延出光ファイバ21の先端部を挿入光ファイバ1の先端部と突き合わせた後、第1スプライス用工具40の介挿部材41をスプライス30の半割りの素子31、32の間から引き抜くことにより、延出光ファイバ21の先端部を半割りの素子31、32の間に挟み込んで把持固定する際に行われる。
延出光ファイバ21の先端部を挿入光ファイバ1と突き合わせ、外被25をケーブル把持部材70に把持固定した状態で、ケーブル把持部材70をスプライス30の長手方向の一端側にさらに近づけることにより、図15(b)に示すように、ケーブル把持部材70とスプライス30の長手方向の一端側との間で、延出光ファイバ21にたわみ変形Tを形成することが可能である。これにより、延出光ファイバ21を半割りの素子31、32の間に挟み込んで把持固定する際に、挿入光ファイバ1との突き合わせを維持するために十分な押圧力(突当て力)を延出光ファイバ21に付与することができる。
【0090】
スペーサ49を適切な位置に位置決めするため、図示例では、把持部材保持部50側に設けられた位置決め突起53と、スプライスホルダ部60側に設けられた位置決め凹部14の間のスペーサ収容部15にスペーサ49を圧入することにより、スペーサ49を確実に位置決めすることができる。具体的には、図15(b)に示す位置決め突起53と位置決め凹部14の間のスペーサ収容部15の寸法Kが、スペーサ49の寸法Kよりも若干小さくされている。
把持部材保持部50には、スペーサ49を、スプライス30の長手方向の一端側に向けて押圧する、弾性部材54を有する。具体的には図12及び図15に示すように、位置決め突起53の前面に設けられた弾性突起54である。この弾性部材54は、スペーサ収容部15にスペーサ49を圧入する際に弾性的に収縮し、スペーサ49を受け入れる寸法を確保する。また、図示例の第1スプライス用工具40は、スペーサ49がスペーサ収容部15に収容される箇所でのみユニットベース11と連結されており、それ以外の部分では第1スプライス用工具40がユニットベース11と連結されていない。このため、介挿部材41を半割りの素子31、32の間から引き抜くと共に、スペーサ49をスペーサ収容部15から引き抜くと、第1スプライス用工具40がユニットベース11から分離される。
スペーサ49は、第1スプライス用工具40のうち、把持固定の際に動きのある介挿部材41や介挿部材駆動部42の部分を避けて、基部46の部分に設けられている。これにより、把持固定のため介挿部材41を駆動する際にスペーサ49の圧入状態への影響を抑制することができる。
【0091】
図1、図8、図11、図15等に示すように、図示例の光ファイバ接続用ユニット10は、スプライス30の長手方向(図11の左右方向)に垂直な方向の軸線Xを中心として回動することにより、ケーブル把持部材70の後端部70bを保持してその後退を規制する規制位置150A(図11の実線で示す位置)と、ケーブル把持部材70の後退を規制しない待機位置150B(図11の鎖線で示す位置)との間で回動可能なレバー部材150を備える。
このレバー部材150は、把持部材保持部50に保持されたケーブル把持部材70に被せるカバー板151と、その両側に細長形状の回動アーム152、152が互いに平行に設けられた構成である。一対の回動アーム152は、把持部材保持部50の両側部に突設された回転軸55が挿入される軸受穴152aを有する。回転軸55を軸受穴152aに挿入すると、レバー部材150が把持部材保持部50に対してその左右方向の回転軸線Xを以て回動可能に枢着される。
なお、ここでは軸受穴152aは回動アーム152を肉厚方向に貫通する貫通穴であるが、有底の穴でもよい。また、枢着部の具体的構造は特に限定されず、軸受穴を把持部材保持部50に、回転軸突起を回動アーム152に形成する等の構成も採用可能である。
【0092】
図11に示すように、回転軸55を中心にしてレバー部材150を回動させることで、把持部材保持部50に保持されたケーブル把持部材70にカバー板151を被せることができる(図15(b)参照)。このときの把持部材保持部50に対するレバー部材150の位置(図11の実線部)を被せ位置とも言う。
図7に示すようにケーブル把持部材70を把持部材保持部50に挿入する前においては、レバー部材150は、ケーブル把持部材70を把持部材保持部50に挿入しやすいように開いている。このときの把持部材保持部50に対するレバー部材150の位置(図11の鎖線部)を開き位置とも言う。図示例では、ケーブル把持部材70を把持部材保持部50に挿入した後も、延出光ファイバ21と挿入光ファイバ1の突き合わせ接続が完了するまではケーブル把持部材70の操作が可能であるよう、レバー部材150を開き位置に維持している。
【0093】
レバー部材150は、図11及び図12に示すように、第1スプライス用工具40に係止する係止突起153を有する。これにより、レバー部材150が待機位置(開き位置)150Bから規制位置(被せ位置)150Aに移行するのを規制し、レバー部材150を前記待機位置150Bに保持することができる。
図示例では、第1スプライス用工具40の介挿部材41をスプライス30の半割りの素子31、32の間から引き抜くことにより、係止突起153による係止が解除されて、レバー部材150を規制位置150Aに回動させることが可能になる。これにより、スプライス30に挿入光ファイバ1を挿入して延出光ファイバ21との突き合わせ作業をするまでの間、レバー部材150が規制位置(被せ位置)150Aに移行するのを確実に規制することができる。
係止突起153は、第1スプライス用工具40のうち、把持固定の際に動きのある介挿部材41や介挿部材駆動部42の部分を避けて、基部46の部分に係止している。これにより、把持固定のため介挿部材41を駆動する際にレバー部材150の保持状態への影響を抑制することができる。
【0094】
図7、図8等に示すように、レバー部材150は、被せ位置に配置したときに、後端側に突設されている後退規制片154を、ケーブル把持部材70の後側に配置することができる。
図15(b)に示すように、後退規制片154をケーブル把持部材70の後側に配置することにより、ユニットベース11に対するケーブル把持部材70の後退を規制することができる。ケーブル把持部材70の後側から突出する光ファイバケーブル24は、後退規制片154の間の切欠部155に配置されるので、後退規制片154を光ファイバケーブル24の左右両側に設け、ケーブル把持部材70の後端部のより広い範囲を覆うことができる。
レバー部材150の回動アーム152には、把持部材保持部50の外面50aに突出された係合突起50bに係合する係合穴152bを有する。係合突起50bを係合穴152bに係合させることにより、把持部材保持部50に対してレバー部材150を被せ位置に維持することができる。
レバー部材150を被せ位置に配置することにより、ユニットベース11に対するケーブル把持部材70の後退を規制する引き留め作業を行うことができる。これにより、ケーブル把持部材70とユニットベース11が一体化された状態が維持される。
【0095】
ユニットベース11は、把持部材保持部50及びスプライスホルダ部60を含めて、一体に形成することが好ましい。例えば、ユニットベース11はプラスチック製の一体成形品とすることができる。
【0096】
なお、外被把持部は、図示例の構成に限定されない。外被把持部としては、例えば、係止板部72bを省略し、天板部72aに、把持ベース71の第2側壁部71cの突端に係合する係合部を設けた構造の押さえ蓋も採用可能である。また、外被把持部としては、把持ベースのみからなる構成も採用可能である。また、外被把持部としては、プラスチック製の一体成形品に限定されず、複数部材によって組み立てた構成のものも採用可能である。
外被把持部は、例えば光ファイバケーブル24端末外周に接着剤による接着固定、熱溶着などによって固定する部材などであっても良い。
【0097】
改変例の外被把持部は、蓋体を備えておらず、ケーブル嵌合溝71aを介して両側の側壁部71b、71cが底壁部71d上に互いに並行に突設された把持ベースからなる。側壁部71b、71cの突端には、内方に突出して光ファイバケーブル24の上方移動を規制することによって光ファイバケーブル24が外れるのを防ぐ、外れ防止突起が形成されている。
この構成の外被把持部は、蓋体がないため構造が簡単であり、光ファイバケーブル24をケーブル嵌合溝71aに嵌め込む操作が容易である。また、構造が簡単であるため製造が容易であり、低コスト化を図ることもできる。
【0098】
次に、図16に示すように延出光ファイバ21がスプライス30の一端側に把持固定された光ファイバ接続用ユニット20およびその組立方法について説明する。
図7および図8に示すように、光ファイバケーブル24を把持したケーブル把持部材70を把持部材保持部50に挿入し、図10に示すように、スプライス30の一端側に延出光ファイバ21を挿入する。
次いで、図13および図14に示すように、第1スプライス用工具40の介挿部材駆動部42に左右両側から側圧Pを与えて、スプライス30から介挿部材41A、41Bを抜き去ると、第1クランプ部が、クランプばね33(詳細には第1クランプばね部331)の弾性によって、ベース部31と後蓋部材321との間に、延出光ファイバ21の被覆部を把持固定する。
【0099】
図5に示すように、図示例のスプライス用工具40は、上述のように基部46を支点として介挿部材支持部43が回動することにより、基部46から遠い側にある第1介挿部材41Aは、基部46に近い側にある第2介挿部材41Bよりも先にスプライス30からの距離を増大する。これにより、第2クランプ部からの第1介挿部材41Aの抜き去りを、第1クランプ部からの第2介挿部材41Bの抜き去りに先行して行う、時差抜き去りを実現できる。
【0100】
また、図示例では、図15に示すように、第1スプライス用工具40を取り外すときにスペーサ49によるケーブル把持部材70の前進が規制から解除され、ケーブル把持部材70の前進が可能になる。
第1スプライス用工具40の介挿部材41をスプライス30の半割りの素子31、32の間から引き抜き、延出光ファイバ21の先端部を半割りの素子31、32の間に挟み込んで把持固定する際に、ケーブル把持部材70をスプライス30の長手方向の一端側にさらに近づけることにより、図15(b)に示すように、ケーブル把持部材70とスプライス30の長手方向の一端側との間で、延出光ファイバ21の被覆21bを有する部分にたわみ変形Tを形成することができる。
【0101】
図示例においては、第1スプライス用工具40を取り外してスペーサ49によるケーブル把持部材70の前進が規制から解除された後、作業者がケーブル把持部材70を前進させる作業を忘れたとしても、レバー部材150を退避位置から規制位置に回動させるときに、後退規制片154の斜面154a(図8、図15(b)参照)がケーブル把持部材70の後端部70bに当接して、ケーブル把持部材70に前進する押圧力を付与することができる。これにより、ケーブル把持部材70とスプライス30の間で、延出光ファイバ21の被覆21bを有する部分にたわみ変形Tを確実に形成することができる。
なお、図示例では、延出光ファイバ21をスプライス30で把持固定した後にたわみ変形Tが形成されるため、たわみ変形Tによる弾性力が延出光ファイバ21の先端の裸光ファイバ21aまで作用しなくなる。しかし、光ファイバ1、21同士の突き当て力は、ファイバホルダ90とスプライス30の間で挿入光ファイバ1にたわみ変形を形成することで確保することができる。
【0102】
このたわみ変形Tは、延出光ファイバ21の半割り把持部材34への挿入端部がスプライス30に把持固定されるとともに、外被25を把持するケーブル把持部材70がレバー部材150に保持されることにより、保護される。このようなたわみ変形Tが形成されることにより、外被25と延出光ファイバ21の間で線膨張率の違いと環境温度の変化により、延出光ファイバ21が外被25の中へと引き込まれる方向に力が生じたとしても、延出光ファイバ21に過度なテンションが作用するのを抑制し、光ファイバの損傷を防ぐことができる。
【0103】
また、ファイバホルダ90とスプライス30の間で挿入光ファイバ1に適切なたわみ変形が形成されるためには、スプライス30に先に挿入される延出光ファイバ21の先端の位置が重要である。両光ファイバ1、21の長さは、両光ファイバ1、21の先端同士の突き合わせがスプライス30の長手方向の中央で起こるよう設定される。先に挿入される延出光ファイバ21の先端の位置がスプライス30の長手方向の中央に達しないと、挿入光ファイバ1との突き合わせが不完全になるおそれがある。逆に、先に挿入される延出光ファイバ21の先端の位置がスプライス30の長手方向の中央を越えると、挿入光ファイバ1を突き合わせたときに挿入光ファイバ1に形成されるたわみ変形が過度に大きくなるおそれがある。
スペーサ49により延出光ファイバ21の先端の位置をスプライス30の長手方向の中央に合わせることができるので、光ファイバの接続作業を確実に実施することができる。
【0104】
ケーブル把持部材70の後端部70bを保持してその後退を規制するレバー部材150が、第1スプライス用工具40に係止する係止突起153を有することにより、スプライス30による延出光ファイバ21の把持固定がなされる前に、レバー部材150を待機位置に保持することができる。これにより、挿入光ファイバ1の挿入および把持固定の作業が完了する前に誤って第1スプライス用工具40を取り外してしまうのを防ぐことができる。
【0105】
図示例の光ファイバ接続用ユニット20は、図1の光ファイバ接続用ユニット10の使用に際し、挿入光ファイバ1をスプライス30に挿入する前の工程として、光ファイバケーブル24の前記延出光ファイバ21をスプライス30の一端側に挿入し、第1スプライス用工具40を取り外して前記延出光ファイバ21をスプライス30の一端側で把持固定し、かつ、光ファイバケーブル24の外被25を把持したケーブル把持部材70を、把持部材保持部50に固定する。これにより、光ファイバケーブル24の端末から引き出した光ファイバ1の破損を抑制し、挿入光ファイバ1をスプライス30に挿入及び把持固定する作業における光ファイバケーブル24の取り扱い性を良好にすることができる。
【0106】
延出光ファイバ21がスプライス30の一端側に把持固定された光ファイバ接続用ユニット20は、ファイバ導入凹部66からスプライス30の他端側に挿入光ファイバ1を挿入したのち、第2スプライス用工具80を取り外して挿入光ファイバ1をスプライス30の他端側に把持固定することで、延出光ファイバ21と挿入光ファイバ1との光接続が実現される。
【0107】
図29に示すように、スプライス30の長手方向片端から延出させた部分の光ファイバ21、光ファイバケーブル24および光コネクタ22をコネクタ付きピグテイル23ということがある。すなわち、図16に示す光ファイバ接続用ユニット20において、延出光ファイバ21がスプライス30の一端側に把持固定されたスプライス30は、コネクタ付きピグテイル23がスプライス30から延出した構成である。
このとき、スプライス30は、その半割り把持部材34に介挿部材81を割り入れて取り付けた第2スプライス用工具80を有している。
【0108】
スプライス30の前蓋部材323とベース部材31との間、及び前蓋部材323とベース部材31との間は、前記介挿部材81A、81Bによってクランプばね33の弾性に抗して開放されているとともに、後蓋部材321とベース部材31との間、及び中蓋部材322の後端部とベース部材31との間には、介挿部材は介挿されていない。このため、中蓋部材322は、延出光ファイバ21が把持固定された後側(図19の左側)から、介挿部材81が介挿された前側(図19の右側)に行くにしたがって、ベース部材31からの距離が増大するように、ベース部材31に対して傾斜している。延出光ファイバ21の挿入端部先端に口出しされている裸光ファイバ21aは、ベース部材31長手方向に沿う細長板状の中蓋部材322の後端部とベース部材31との間では把持固定されているが、中蓋部材322の後端部から前側の部分とベース部材31との間では把持固定されていない。
【0109】
図23に示す光ファイバ接続装置100は、図16に示すように光ファイバケーブル24の一方の端末24aに取り付けられた光ファイバ接続用ユニット20と、端末24aから引き出された延出光ファイバ21に突き合わせる挿入光ファイバ1を把持したファイバホルダ90を保持する装置基部110と、を備えている。
【0110】
図23および図24に示すように、光ファイバ接続装置100の装置基部110は、挿入光ファイバ1を把持したファイバホルダ90を保持するものであって、概略トレイ状の基部本体130と、基部本体130上にスライド移動可能に設置されるスライダ120とを有する。
基部本体130は、主部131と、主部131から一方向に延出する第1レール部132と、主部131から第1レール部132とは反対の方向に延出する第2レール部142とを有する。
主部131には、スライダ120を係止する弾性係止片136と、ファイバホルダ90を係止する弾性係止片146とが形成されている。
【0111】
第1レール部132は、スライダ120をスライド移動させるスライド面133が形成された台部134の両側縁に、それぞれスライダ120を案内する案内壁部135、135が突設された概略構成になっている。
一対の案内壁部135は、第1レール部132の形成方向(前後方向)に延在して形成され、スライド面133上に載置されたスライダ120の基板部121の両側縁部121aが当接することによって、スライダ120を幅方向に位置決めできる。
【0112】
弾性係止片136は、主部131の幅方向両側に突設された張出部138からスライド面133側に突出する湾曲板部136aの先端に、スライダ120の係止用突起127が入り込む係合用凹所136cが形成された板状の係合片部136bを突設した構成になっている。
湾曲板部136aは、第1レール部132前後方向に沿う軸線を以て湾曲する円弧板状に形成されている。この湾曲板部136aの突端は第1レール部132から主部131にかけて形成されたスライド面133よりも上方に位置する。
係合片部136bは、湾曲板部136aの突端から内方に向けてスライド面133上に張り出されている。
【0113】
係合片部136bの係合用凹所136cは、該係合片部136bの前後中央部に、該係合片部136bの突端から窪む切り欠き状に形成されている。
弾性係止片136は、係合用凹所136cにスライダ120の係止用突起127が入り込んで該係止用突起127と係合したときに、第1レール部132に対するスライダ120の前後方向の移動を規制できる。
この状態では、弾性係止片136が、湾曲板部136aの弾性によってスライダ120を挟み込み、スライダ120を安定に保持する。
弾性係止片136は、第1レール部132に沿って前進させたスライダ120に係合してその後退を規制するスプライス係止機構として機能する。
【0114】
第1レール部132の両側縁には、側壁部137、137が立設されている。
側壁部137は、第1レール部132の長さ方向の一部範囲に形成され、側壁部137の下部内面には、スライダ120の浮き上がりを規制する溝部137aが形成されている。溝部137aは、第1レール部132の形成方向(前後方向)に沿って形成され、基板部121の両側縁部121aが入り込むことによって、スライダ120の浮き上がりを規制できる。
【0115】
第2レール部142は、ファイバホルダ90をスライド移動させるスライド面143が形成された台部144の両側縁に、ファイバホルダ90を案内する一対の案内壁部145を突設した概略構成になっている。
一対の案内壁部145は、第2レール部142の形成方向(前後方向)に延在して形成され、スライド面143上に載置されたファイバホルダ90の両側縁に当接してファイバホルダ90を幅方向に位置決めできる。
【0116】
弾性係止片146は、主部141の幅方向両側に突設された張出部148からスライド面143側に突出する湾曲板部146aの先端に、ファイバホルダ90の係止用突起98が入り込む係合用凹所146cが形成された板状の係合片部146bを突設した構成になっている。
湾曲板部146aは、第2レール部142前後方向に沿う軸線を以て湾曲する円弧板状に形成されている。この湾曲板部146aの突端は第2レール部142から主部141にかけて形成されたスライド面143よりも上方に位置する。
係合片部146bは、湾曲板部146aの突端から内方に向けてスライド面143上に張り出されている。
【0117】
係合片部146bの係合用凹所146cは、該係合片部146bの前後中央部に、該係合片部146bの突端から窪む切り欠き状に形成されている。
弾性係止片146は、係合用凹所146cにファイバホルダ90の係止用突起98が入り込んで該係止用突起98と係合したときに、第2レール部142に対するファイバホルダ90の前後方向の移動を規制できる。
この状態では、弾性係止片146が、湾曲板部146aの弾性によってファイバホルダ90を挟み込み、ファイバホルダ90を安定に保持する。
弾性係止片146は、第2レール部142に沿って前進させたファイバホルダ90に係合してその後退を規制するスプライス係止機構として機能する。
【0118】
図23および図6に示すように、スライダ120は、一対の基板部121と、その内縁部にそれぞれ立設された一対の側壁部122と、これら側壁部122間に形成された底壁部123とを有する。
スライダ120は、光ファイバ接続用ユニット20を側壁部122間に確保されたユニット収納空間126に収納して光ファイバ接続用ユニット10を保持するユニット保持部材として機能する。
スライダ120と、これに保持された光ファイバ接続用ユニット10とは、第1レール部132上でスライド移動可能な移動ユニットを構成している(図1、図23、図27を参照)。
【0119】
側壁部122の外面には、前後に間隔をおいて一対の位置決め突部124A、124Bが形成されている。位置決め突部124A、124B間には、第2スプライス用工具80の係合壁部87が配置され、位置決め突部124A、124Bは、係合壁部87の前後方向の位置を規定する。
側壁部122の外側面には、位置決め突部124Aより前方の位置に、基部本体130の弾性係止片136の係合用凹所136cに係合する係止用突起127が外側方に突出して形成されている。係止用突起127の平面視形状は、突端から基端側に行くにしたがって前後寸法が増すテーパ状(例えば三角形状、図6参照)であることが好ましい。
基板部121には、係合壁部87が挿入される長孔125が形成されている。
【0120】
図20に示すように、第2スプライス用工具80は、一対の係合壁部87を長孔125に挿入させ、係合壁部87の突端部の突爪87aを側壁部122の下端に係合させて、スプライスホルダ部60およびスライダ120に取り付けられる。
第2スプライス用工具80がスプライスホルダ部60およびスライダ120に取り付けられることによって、スプライスホルダ部60はスライダ120に対して前後方向の移動が規制され、位置決めされた状態となる。
【0121】
図2に示すように、スプライスホルダ部60の両突壁部62、63は、スライダ120の両側壁部122の内面に形成された位置決め突部128A、128Bと係合する係合凹部68A、68Bを有する。図示例では、係合凹部68A、68Bは、突壁部62、63の厚み全体が除去された切欠部であるが、特にこれに限定されるものではなく、突壁部62、63の外面から厚みが減らされた有底の凹部でもよい。
【0122】
図25および図26に示すように、光ファイバホルダ90は、光ファイバを保持するホルダであり、ベース部91と、ヒンジ部91aでベース部91に対し回動自在に結合された蓋体92とを有し、ベース部91上の挿入光ファイバ1を、蓋体92によってベース部91に押さえ込んで把持固定できる。
ベース部91の上面91bには、挿入光ファイバ1を収容する位置決め凹部93aを有する第1保持壁部93と、位置決め凹部94aを有する第2保持壁部94と、一対の位置決め突起95とが形成されている。
第2保持壁部94は第1保持壁部93の前方に、第1保持壁部93から離間して形成され、位置決め突起95は第2保持壁部94の前方に、第2保持壁部94から離間して形成されている。
ベース部91の上面には、位置決め凹部93aから位置決め凹部94aを経て一対の位置決め突起95間を通る直線状の位置決め溝96が形成されている。位置決め溝96は、挿入光ファイバ1を位置決めする溝部であって、例えば断面略V字形、断面略U字形、断面半円形などとすることができる。
ベース部91の外側面には、基部本体130の弾性係止片146の係合用凹所146cに係合する係止用突起98が外側方に突出して形成されている(図23および図26を参照)。係止用突起98の平面視形状は、突端から基端側に行くにしたがって前後寸法が増すテーパ状(例えば三角形状)であることが好ましい。
【0123】
図26に示すように、蓋体92をベース部91の上面91bに被せた状態(閉状態)では、蓋体92は保持壁部93、94の間に配置される。
蓋体92のヒンジ部91aが設けられた基端部92aとは反対の端部である先端部92b側に形成された係止突起92cは、ベース部91に形成された係止凹部(図示略)に係脱自在に嵌合できる。
ベース部91の上面91bに被せた状態(閉状態)で、係止突起92cをベース部91の係止凹部(図示略)に係合させることで、挿入光ファイバ1をベース部91に押さえ込んで把持固定できる。
【0124】
図29に示すように、光コネクタ22としては、例えばコネクタ本体22aと、光ファイバケーブル24をコネクタ本体22aに引き留める引留機構22bとを備えた構成を有するものが使用できる。
コネクタ本体22aは、光フェルール22c(以下、単にフェルール22cいう)を収容するハウジング22dと、ハウジング22dの外側に装着されたつまみ22eとを備えている。
ハウジング22d内には、例えばフェルール22cの内蔵光ファイバと、光ファイバケーブル24から引き出された光ファイバを突き合わせ接続などにより接続する接続機構(図示略)が設けられている。
引留機構22fは、本体部(図示略)と、光ファイバケーブル24の端末24bを把持するケーブル把持具(図示略)と、このケーブル把持具を引き留める引留カバー22gとを備えている。
コネクタ本体22aには、例えばSC形光コネクタ(JIS C 5973参照)、LC形光コネクタ(ルーセント社商標)、MU形光コネクタ(JIS C 5983参照)、SC2形光コネクタ(SC形光コネクタからつまみを省いた構造)等の構造を採用できる。
【0125】
次に、光ファイバ接続装置100を用いて延出光ファイバ21と挿入光ファイバ1とを接続(光接続)する作業(光ファイバ接続方法)について説明する。
【0126】
図25および図26に示すように、挿入光ファイバ1は、ベース部91の位置決め溝96内に配置し、蓋体92によってベース部91に押さえ込んで把持固定する。挿入光ファイバ1は、所定の前方への突出長を確保してファイバホルダ90に固定する。
図23に示すように、挿入光ファイバ1は、ファイバホルダ90から前方へ突出させた部分の先端部の被覆を除去して裸光ファイバ1aを口出しした状態で、光ファイバ接続用ユニット20のスプライスホルダ部60に保持したスプライス30への挿入、延出光ファイバ21に対する突き合わせ接続に用いる。
挿入光ファイバ1のファイバホルダ90からの突出長は、スプライス30内の延出光ファイバ21の裸光ファイバ21aまでの距離よりも若干長くすることにより、挿入光ファイバ1に形成されるたわみの弾性によって、裸光ファイバ1a、21a同士の突き当て力を確保して裸光ファイバ1a、21a同士を突き合わせ接続できる。
【0127】
ファイバホルダ90を基部本体130の第2レール部142のスライド面143に載置し、係止用突起98を弾性係止片146の係合用凹所146cに係合させる。これによって、ファイバホルダ90は、弾性係止片146によって挟み込まれて安定に保持された状態でスライド面143上に位置決めされる。
【0128】
図23に示すように、光ファイバ接続用ユニット20およびこれを収容したスライダ120を、基部本体130の第1レール部132のスライド面133上に載置する。スライダ120は、基板部121の両側縁部121aを第1レール部132の幅方向両側の案内壁部135に当接させることによって、幅方向位置が定められる。
第1レール部132上のスライダ120をファイバホルダ90に向かって前進させる。
【0129】
光ファイバ接続用ユニット20およびスライダ120の移動過程では、基板部121の両側縁部121aが側壁部137の内面に形成された溝部137aに入り込むことによってスライダ120の浮き上がりが規制されるため、挿入光ファイバ1に対する正確な位置決めが可能となる。
【0130】
光ファイバ接続用ユニット20の前進によって、挿入光ファイバ1は、スプライスホルダ部60前端に開口するファイバ導入凹部66を介してスプライス30の被覆部挿入溝31d、323bに挿入することができる。
挿入光ファイバ1先端に口出しされた裸光ファイバ1aは、被覆部挿入溝31d、323bを介して調心溝31bに挿入して、延出光ファイバ21の裸光ファイバ21a先端に突き当てる(突き合わせ接続する)ことができる。
【0131】
図27に示すように、光ファイバ接続用ユニット20およびスライダ120をさらに前進させ、係止用突起127を弾性係止片136の係合用凹所136cに係合させる。これによって、ファイバホルダ90は、弾性係止片146によって挟み込まれて安定に保持された状態でスライド面143上に位置決めされる。この光ファイバ接続用ユニット20およびスライダ120の位置を前進限界位置という。
光ファイバ接続用ユニット20が前進限界位置に到達したときには、スプライス30の調心溝31bに挿入された裸光ファイバ1aは延出光ファイバ21の裸光ファイバ21a先端に突き当てられ、被覆部挿入溝31d、323bに被覆部が挿入された状態となる。
挿入光ファイバ1にはたわみが形成され、その弾性によって、裸光ファイバ1a、21a同士の突き当て力を確保して裸光ファイバ1a、21a同士を突き合わせ接続できる。
【0132】
次いで、図20に示すように、第2スプライス用工具80の介挿部材駆動部82に左右両側から側圧Pを与えて、スプライス30から介挿部材81A、81Bを抜き去る。
スプライス30から介挿部材81A、81Bを抜き去ると、スプライス30の第2クランプ部が、クランプばね33(詳細には第2クランプばね部332)の弾性によって、ベース部31と中蓋部材322との間に、裸光ファイバ1a、21aを突き合わせ状態を保ったまま把持固定する。また、第3クランプ部が、クランプばね33(詳細には第3クランプばね部333)の弾性によって、ベース部31と前蓋部材323との間に、挿入光ファイバ1の被覆部を把持固定する。これにより、スプライス30にて、延出光ファイバ21と挿入光ファイバ1とを突き合わせ接続(光接続)する作業が完了する。
接続作業が完了した延出光ファイバ21と挿入光ファイバ1とは、スプライス30の半割り把持部材34に把持固定される結果、裸光ファイバ1a、21a同士の突き合わせ状態を安定に維持できる。
【0133】
既述のように、第2スプライス用工具80は、介挿部材駆動部82を左右からの側圧Pによって変形させ、介挿部材駆動部82の受圧壁部86と係止壁部85との間の離隔距離を増大させることで、スプライス30から介挿部材81A、81Bを抜き去ることができる。
図20に示すように、この第2スプライス用工具80の介挿部材駆動部82の、受圧壁部86と係止壁部85との間を繋ぐ左右両側の駆動部側壁部88は、介挿部材駆動部82の周方向に並んだ3つの板部88aが薄肉部88bを介して繋がった構成になっている。また、駆動部側壁部88と受圧壁部86との間、駆動部側壁部88と係止壁部85との間も薄肉部88bを介して繋がっている。
なお、係止壁部85、受圧壁部86、駆動部側壁部88の各板部88aは、スリーブ状の介挿部材駆動部82においてその軸線方向に延在する細長板状に形成されている。
【0134】
介挿部材駆動部82を変形させる側圧Pは、左右両側の駆動部側壁部88のうち、介挿部材駆動部82の中心軸線Qを介して左右両側への張り出しが最大の部位、すなわち、駆動部側壁部88を構成する3つの板部88aのうち、介挿部材駆動部82周方向において両端の板部88aの間の中央の板部88aに作用させる。以下、この中央の板部88aを押圧用板部とも言う。また、この押圧用板部に図中符号88cを付記する。
介挿部材駆動部82は、その左右両側から、左右の押圧用板部88cに側圧Pを作用させて、左右の押圧用板部88c間の離隔距離を縮めることで、薄肉部88bをヒンジ部として変形し、受圧壁部86と係止壁部85との間の離隔距離が増大する。
【0135】
また、図22に示すように、介挿部材駆動部82は、左右から側圧Pを作用させることで受圧壁部86と係止壁部85との間の離隔距離が最大となった後も、前記側圧Pによる介挿部材駆動部82の変形を継続することで、左右の駆動部側壁部88が、押圧用板部88cを中心軸線Qに最も接近した部位とする概略弓形に変形する。そして、介挿部材駆動部82は、受圧壁部86が、その介挿部材駆動部82周方向両端に比べて中央部が介挿部材駆動部82外側に位置する円弧板状に変形される。その結果、第2スプライス用工具80は、受圧壁部86の変形に伴い、一対の係合壁部87相互の相対的な向きが、その先端(突端)間の距離を増大するように変わり、一対の係合壁部87の側壁部122に対する係合が解除される。
第2スプライス用工具80は、一対の係合壁部87の側壁部122に対する係合が解除されれば、簡単に取り外すことができる。
【0136】
図21に示すように、図示例の第2スプライス用工具80は、介挿部材81A、81Bの当接壁部83aを係止壁部85(具体的には突壁部85bの突端)に当接させたときの、介挿部材81の係合片84の係合爪84aと介挿部材駆動部82の係止壁部85(具体的には段差面85e)との間の離隔距離c1、c2が同じではなく、互いに異ならせてある。図示例の第2スプライス用工具80は、スプライス30の第2クランプ部に挿入された第1介挿部材81Aの前記離隔距離c1を、第3クランプ部に挿入された第2介挿部材81Bの前記離隔距離c2よりも短くしてある。
【0137】
このため、第2スプライス用工具80は、介挿部材駆動部82を左右からの側圧Pによって変形させたとき、スプライス30の第2クランプ部から第1介挿部材81Aが抜き去られた後に、第3クランプ部からの第2介挿部材81Bの抜き去りが完了する。この第2スプライス用工具80は、第2クランプ部からの第1介挿部材81Aの抜き去りを、第3クランプ部からの第2介挿部材81Bの抜き去りに先行して行う、時差抜き去りを実現できる。
【0138】
延出光ファイバ21と挿入光ファイバ1との接続作業を完了した光ファイバ接続用ユニットは、全体を装置基部110から取り出して使用することができる。具体的には、光ファイバ接続用ユニットおよびスライダ120を基部本体130から外した後、光ファイバ接続用ユニットをスライダ120から取り出して使用できる。
延出光ファイバ21は、光コネクタ22を利用して、他の光ファイバとコネクタ接続することができる。これにより、挿入光ファイバ1と他のコネクタ付き光ファイバとを、延出光ファイバ21を介して光接続することができる。
【0139】
図30に、挿入光ファイバ1との接続作業を完了した光ファイバ接続用ユニットの設置例を示す。接続作業を完了した光ファイバ接続用ユニット(図30中、符号10Aを付記する)は、スプライス用工具40、80やスライダ120が取り外され、かつレバー部材150が図11に示す規制位置でケーブル把持部材70を覆った構造となる。この光ファイバ接続用ユニット10Aは、ユニットベース11の下部に突設された係合爪16を光接続箱の一部である板状部200と係合することにより、設置が容易になる。また、ユニットベース11は、図1に示すように、前端部の下部に係合凸部17a、前端部の上部に係合凹部17bを有する。図30に示すように、上側のユニット10Aの係合凸部17aを下側のユニット10Aの係合凹部17bと係合して連結部17を構成することにより、複数のユニット10Aを上下に任意の個数積み重ねた状態で一体化することができ、設置作業の効率化、省スペース化に有利である。
なお、接続作業を完了する前の光ファイバ接続用ユニット10、20においては、図1、図6等に示すように、ユニットベース11の下部に形成された係合凸部17aを、スライダ120の底壁部123に形成された収容凹所123aに収容することができる。
【0140】
光ファイバ接続用ユニット10Aの使用例を説明する。
光ファイバケーブルから引き出した挿入光ファイバ1を、上述の接続方法により延出光ファイバ21に接続する。
光ファイバケーブルは、例えば複数フロアを有する建築物において各フロアにわたる縦穴(例えばエレベータ用昇降路)に布設される幹線光ファイバケーブルなどである。
【0141】
挿入光ファイバ1を接続した光ファイバ接続用ユニット10Aを、光ファイバ接続箱(例えばいわゆる光成端箱等)内に収納し、必要に応じて光コネクタ22に他の光ファイバ(図示略)をコネクタ接続することによって、挿入光ファイバ1と他のコネクタ付き光ファイバ(図示略)とを光接続することができる。
光ファイバ接続用ユニット10Aの接続対象となる前記他の光ファイバ(図示略)は特に限定されず、屋内配線された光ファイバ、光複合電子機器に配線された光ファイバ等であってもよい。
【0142】
光ファイバ接続用ユニット10は、スプライスホルダ部60とケーブル把持部材70が一体化されるため、光ファイバケーブル24の端末24aとスプライス30との相対位置が常に一定となる。
このため、光ファイバ接続箱等への収納作業などの際に、端末24aとスプライス30との間の光ファイバ21に過大な力が加えられることがなく、破損を防ぐことができる。従って、取り扱い性が良好となる。
また、光ファイバ接続用ユニット10は、構造が簡単であるため小型化が可能であることから、そのまま光接続箱(光成端箱等)に収納して使用できる。
【0143】
光ファイバ接続用ユニット10は、スプライスホルダ部60とケーブル把持部材70とがいずれもユニットベース11の上面側に設けられているため、その構造が簡略であり、小型化を図ることができる。
また、ユニットベース11の下面側からの外力がスプライスホルダ部60、ケーブル把持部材70および光ファイバ21に及びにくくなるため、耐久性を高めることができる。
【0144】
光ファイバ接続用ユニット10は、メカニカルスプライスを用いた光ファイバ同士の接続(挿入光ファイバ1と延出光ファイバ21との接続)を効率良く、容易に実現できる。また、光ファイバ接続用ユニット10は、既述の特許文献1記載の光ファイバ接続工具に比べて構造の単純化、低コスト化を容易に実現できる。
【0145】
また、この光ファイバ接続用ユニット10は、小型化を容易に実現できることから、狭隘なスペースへの挿入に有利であり、光ファイバ(挿入光ファイバ1)に延出光ファイバ21を接続する作業、延出光ファイバ21を介して光ファイバ同士を接続する作業(光ファイバ中継接続工法)に幅広く適用できる。
【0146】
また、介挿部材付きスプライスの介挿部材として、既述の第2スプライス用工具80の介挿部材81を採用した構成は、第2スプライス用工具80のスリーブ状の介挿部材駆動部82をその両側からの側圧Pによって変形させてスプライス30からの介挿部材81の抜き去りを実現できるため、第2スプライス用工具80上に僅かなスペースを確保するだけで、スプライス30からの介挿部材の抜き去り作業を実現できる。すなわち、前記第2スプライス用工具80の採用は、例えば、介挿部材として、作業者が直接手指でスプライス30から離隔する方向に引っ張ってスプライス30から抜き去る構成のものを採用した場合に比べて、第2スプライス用工具80上に確保するスペースが僅かで済む。このことは、光ファイバ接続用ユニット10を、狭隘なスペースに挿入して、延出光ファイバ21と挿入光ファイバ1との接続に使用することに有利である。
【0147】
なお、介挿部材付きスプライスの介挿部材としては、作業者が直接手指でスプライス30から離隔する方向に引っ張ってスプライス30から抜き去る構成のものも採用可能である。この構成の介挿部材としては、例えば、スプライス30のベース部材31と押さえ蓋32との間に介挿した先端側の介挿片部とは反対の基端側を、スプライス30から突出させた部分に、作業者が介挿部材を手指で把持してスプライス30から離隔する方向に引っ張り操作するための抜き去り用把持部を設けたものを採用できる。
前記抜き去り用把持部としては、例えば、先端側の介挿片部からスプライス30外側に突出させた基端側に向かって延在する介挿部材本体の基端部に、該介挿部材本体の延在方向に垂直の方向に突出させた突起などを採用できる。
【0148】
上記接続方法では、挿入光ファイバ1を基部本体130に対し位置決めした後に、光ファイバ接続用ユニット10を挿入光ファイバ1に接近させて光ファイバ21と挿入光ファイバ1との接続を行ったが、本発明では、逆に、光ファイバ21を基部本体130に対し位置決めした後に、ファイバホルダ90を第2レール部142上で光ファイバ21に近づく方向にスライド移動させることによって、光ファイバ21と挿入光ファイバ1との接続を行うこともできる。
すなわち、光ファイバ接続用ユニット10およびスライダ120を前進限界位置まで前進させた後、ファイバホルダ90を第2レール部142上で光ファイバ接続用ユニット10に近づく方向にスライド移動させる方法をとることができる。
【0149】
以上、本発明を最良の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の最良の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えばメカニカルスプライス、延出光ファイバ付きスプライス、介挿部材、光コネクタ、ファイバホルダの具体的構成は、本発明の技術的思想に適合する限り、なんら限定されるものではない。
【符号の説明】
【0150】
1…挿入光ファイバ、10…光ファイバ接続用ユニット、11…ユニットベース、21…延出光ファイバ、24…光ファイバケーブル、30…メカニカルスプライス、31、32…半割りの素子、40…第1スプライス用工具、41…第1介挿部材、49…スペーサ、50…把持部材保持部、54…弾性部材、60…スプライスホルダ部、70…ケーブル把持部材、80…第2スプライス用工具、81…第2介挿部材、82…介挿部材駆動部、87…保持壁部、90…ファイバホルダ、120…スライダ、132、142…レール部、150…レバー部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバケーブルを把持するケーブル把持部材と、
前記光ファイバケーブルの端末から引き出される延出光ファイバを、他の光ファイバである挿入光ファイバと突き合わせて半割りの素子の間に挟み込んで把持固定することが可能なメカニカルスプライスと、
前記メカニカルスプライスを保持するスプライスホルダ部と、
前記メカニカルスプライスの長手方向の一端側で、前記半割りの素子の間に前記延出光ファイバを挿入できるように割り入れた第1介挿部材を有する第1スプライス用工具と、
前記メカニカルスプライスの長手方向の他端側で、前記半割りの素子の間に前記挿入光ファイバを挿入できるように割り入れた第2介挿部材を有する第2スプライス用工具と、
前記延出光ファイバの先端部が、前記メカニカルスプライスの長手方向の一端側から前記半割りの素子の間に挿入されている位置で、前記ケーブル把持部材を保持する把持部材保持部と、
前記スプライスホルダ部および前記把持部材保持部を一体化するユニットベースと、
を備え、
前記把持部材保持部は、前記ケーブル把持部材を、前記メカニカルスプライスの長手方向に沿って移動可能に保持する、
光ファイバ接続用ユニット。
【請求項2】
前記スプライスホルダ部を、前記延出光ファイバに突き合わせる挿入光ファイバを把持したファイバホルダを保持する装置基部に形成されたレール部上で、前記ファイバホルダに接近する方向にスライド移動可能に案内されるスライダを備える、
請求項1に記載の光ファイバ接続用ユニット。
【請求項3】
前記第1スプライス用工具は、前記ケーブル把持部材の前記メカニカルスプライスの長手方向に沿った移動を、前記メカニカルスプライスに対して所定の距離で停止させるスペーサを備え、
前記第1介挿部材を前記メカニカルスプライスの前記半割りの素子の間から引き抜くことにより、前記延出光ファイバの先端部を前記半割りの素子の間に挟み込んで把持固定するとともに、前記ケーブル把持部材が前記メカニカルスプライスの長手方向の一端側にさらに近づくことにより、前記ケーブル把持部材と前記メカニカルスプライスの長手方向の一端側との間で、前記延出光ファイバにたわみ変形を形成することが可能である、
請求項1に記載の光ファイバ接続用ユニット。
【請求項4】
前記スペーサは、把持部材保持部に設けられた位置決め突起と、スプライスホルダ部に設けられた位置決め凹部の間に形成されるスペーサ収容部に圧入されており、
前記位置決め突起は、前記スペーサを、前記メカニカルスプライスの長手方向の一端側に向けて押圧する、弾性部材を有する、
請求項3に記載の光ファイバ接続用ユニット。
【請求項5】
前記把持部材保持部には、前記メカニカルスプライスの長手方向に垂直な方向の軸線を中心として回動することにより、前記ケーブル把持部材の後端部を保持してその後退を規制する規制位置と、前記ケーブル把持部材の後退を規制しない待機位置との間で回動可能なレバー部材を備える、
請求項1に記載の光ファイバ接続用ユニット。
【請求項6】
前記レバー部材は、前記第1スプライス用工具に係止することにより、前記レバー部材を前記待機位置に保持する係止突起を有し、
前記第1介挿部材を前記メカニカルスプライスの前記半割りの素子の間から引き抜くことにより、前記係止突起による係止が解除されて、前記レバー部材を前記規制位置に回動させることが可能になる、
請求項5に記載の光ファイバ接続用ユニット。
【請求項7】
前記第2スプライス用工具は、前記第2介挿部材を前記半割りの素子の間から引き抜くためのリング状の介挿部材駆動部と、前記スプライスホルダ部及び前記スライダとを抱え込んで保持する保持壁部とを備え、前記介挿部材駆動部に側圧を加えることにより、前記第2介挿部材を前記半割りの素子の間から引き抜くとともに、前記保持壁部の間を開いて、前記スライダを前記スプライスホルダ部から分離することができる、
請求項2に記載の光ファイバ接続用ユニット。
【請求項8】
前記把持部材保持部は、前記ケーブル把持部材の前側に突出した嵌合部が挿入される、断面が略正方形の挿入穴を有し、前記ケーブル把持部材は、前記延出光ファイバの軸線方向を中心として90°異なる複数の向きで前記把持部材保持部に嵌合することが可能である、
請求項1に記載の光ファイバ接続用ユニット。
【請求項9】
光ファイバケーブルの端末に取り付けられる光ファイバ接続用ユニットと、前記端末から引き出された延出光ファイバに突き合わせる挿入光ファイバを把持したファイバホルダを保持する装置基部と、を備え、
前記光ファイバ接続用ユニットは、
光ファイバケーブルを把持するケーブル把持部材と、
前記光ファイバケーブルの端末から引き出される延出光ファイバを、他の光ファイバである挿入光ファイバと突き合わせて半割りの素子の間に挟み込んで把持固定することが可能なメカニカルスプライスと、
前記メカニカルスプライスを保持するスプライスホルダ部と、
前記メカニカルスプライスの長手方向の一端側で、前記半割りの素子の間に前記延出光ファイバを挿入できるように割り入れた第1介挿部材を有する第1スプライス用工具と、
前記メカニカルスプライスの長手方向の他端側で、前記半割りの素子の間に前記挿入光ファイバを挿入できるように割り入れた第2介挿部材を有する第2スプライス用工具と、
前記延出光ファイバの先端部が、前記メカニカルスプライスの長手方向の一端側から前記半割りの素子の間に挿入されている位置で、前記ケーブル把持部材を保持する把持部材保持部と、
前記スプライスホルダ部および前記把持部材保持部を一体化するユニットベースと、
を備え、
前記把持部材保持部は、前記ケーブル把持部材を、前記メカニカルスプライスの長手方向に沿って移動可能に保持しており、
前記装置基部は、前記光ファイバ接続用ユニットまたは前記ファイバホルダを、互いに接近する方向にスライド移動させるレール部を備えている、
光ファイバ接続装置。
【請求項10】
光ファイバケーブルを把持するケーブル把持部材と、
前記光ファイバケーブルの端末から引き出される延出光ファイバを、他の光ファイバである挿入光ファイバと突き合わせて半割りの素子の間に挟み込んで把持固定することが可能なメカニカルスプライスと、
前記メカニカルスプライスを保持するスプライスホルダ部と、
前記メカニカルスプライスの長手方向の一端側で、前記半割りの素子の間に前記延出光ファイバを挿入できるように割り入れた第1介挿部材を有する第1スプライス用工具と、
前記メカニカルスプライスの長手方向の他端側で、前記半割りの素子の間に前記挿入光ファイバを挿入できるように割り入れた第2介挿部材を有する第2スプライス用工具と、
前記延出光ファイバの先端部が、前記メカニカルスプライスの長手方向の一端側から前記半割りの素子の間に挿入されている位置で、前記ケーブル把持部材を保持する把持部材保持部と、
前記スプライスホルダ部および前記把持部材保持部を一体化するユニットベースと、
を備え、
前記把持部材保持部は、前記ケーブル把持部材を、前記メカニカルスプライスの長手方向に沿って移動可能に保持する、
光ファイバ接続用ユニットを用い、
前記光ファイバケーブルを保持した前記ケーブル把持部材を前記把持部材保持部に保持させ、前記延出光ファイバを、前記メカニカルスプライスの長手方向の一端側で、前記半割りの素子の間に挿入し、
前記第1介挿部材を前記半割りの素子の間から引き抜いて、前記延出光ファイバを前記半割りの素子の間に挟み込んで把持固定する、
光ファイバ接続用ユニットの組立方法。
【請求項11】
光ファイバケーブルを把持するケーブル把持部材と、
前記光ファイバケーブルの端末から引き出される延出光ファイバを、他の光ファイバである挿入光ファイバと突き合わせて半割りの素子の間に挟み込んで把持固定することが可能なメカニカルスプライスと、
前記メカニカルスプライスを保持するスプライスホルダ部と、
前記メカニカルスプライスの長手方向の一端側で、前記半割りの素子の間に前記延出光ファイバを挿入できるように割り入れた第1介挿部材を有する第1スプライス用工具と、
前記メカニカルスプライスの長手方向の他端側で、前記半割りの素子の間に前記挿入光ファイバを挿入できるように割り入れた第2介挿部材を有する第2スプライス用工具と、
前記延出光ファイバの先端部が、前記メカニカルスプライスの長手方向の一端側から前記半割りの素子の間に挿入されている位置で、前記ケーブル把持部材を保持する把持部材保持部と、
前記スプライスホルダ部および前記把持部材保持部を一体化するユニットベースと、
を備え、
前記把持部材保持部は、前記ケーブル把持部材を、前記メカニカルスプライスの長手方向に沿って移動可能に保持する、
光ファイバ接続用ユニットを用い、
前記光ファイバケーブルを保持した前記ケーブル把持部材を前記把持部材保持部に保持させ、前記延出光ファイバを、前記メカニカルスプライスの長手方向の一端側で、前記半割りの素子の間に挿入し、
前記第1介挿部材を前記半割りの素子の間から引き抜いて、前記延出光ファイバを前記半割りの素子の間に挟み込んで把持固定したのち、
前記挿入光ファイバを前記メカニカルスプライスの長手方向の他端側から前記メカニカルスプライスの半割りの素子間に挿入して、その先端を前記延出光ファイバに突き当て、
前記第2介挿部材を前記半割りの素子の間から引き抜いて、前記延出光ファイバと前記挿入光ファイバの突き合わせ部を前記半割りの素子の間に挟み込んで把持固定する、
光ファイバの接続方法。
【請求項12】
光ファイバケーブルの端末に取り付けられる光ファイバ接続用ユニットと、前記端末から引き出された延出光ファイバに突き合わせる挿入光ファイバを把持したファイバホルダを保持する装置基部と、を備え、
前記光ファイバ接続用ユニットは、
光ファイバケーブルを把持するケーブル把持部材と、
前記光ファイバケーブルの端末から引き出される延出光ファイバを、他の光ファイバである挿入光ファイバと突き合わせて半割りの素子の間に挟み込んで把持固定することが可能なメカニカルスプライスと、
前記メカニカルスプライスを保持するスプライスホルダ部と、
前記メカニカルスプライスの長手方向の一端側で、前記半割りの素子の間に前記延出光ファイバを挿入できるように割り入れた第1介挿部材を有する第1スプライス用工具と、
前記メカニカルスプライスの長手方向の他端側で、前記半割りの素子の間に前記挿入光ファイバを挿入できるように割り入れた第2介挿部材を有する第2スプライス用工具と、
前記延出光ファイバの先端部が、前記メカニカルスプライスの長手方向の一端側から前記半割りの素子の間に挿入されている位置で、前記ケーブル把持部材を保持する把持部材保持部と、
前記スプライスホルダ部および前記把持部材保持部を一体化するユニットベースと、
を備え、
前記把持部材保持部は、前記ケーブル把持部材を、前記メカニカルスプライスの長手方向に沿って移動可能に保持しており、
前記装置基部は、前記光ファイバ接続用ユニットまたは前記ファイバホルダを、互いに接近する方向にスライド移動させるレール部を備えている、
光ファイバ接続装置を用い、
前記光ファイバケーブルを保持した前記ケーブル把持部材を前記把持部材保持部に保持させ、前記延出光ファイバを、前記メカニカルスプライスの長手方向の一端側で、前記半割りの素子の間に挿入し、
前記第1介挿部材を前記半割りの素子の間から引き抜いて、前記延出光ファイバを前記半割りの素子の間に挟み込んで把持固定したのち、
前記光ファイバ接続用ユニットまたは前記ファイバホルダを、前記レール部に沿って互いに接近する方向にスライド移動させることで、前記ファイバホルダに把持した前記挿入光ファイバを前記メカニカルスプライスの長手方向の他端側から前記メカニカルスプライスの半割りの素子間に挿入して、その先端を前記延出光ファイバに突き当て、
前記第2介挿部材を前記半割りの素子の間から引き抜いて、前記延出光ファイバと前記挿入光ファイバの突き合わせ部を前記半割りの素子の間に挟み込んで把持固定する、
光ファイバの接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2013−47742(P2013−47742A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186091(P2011−186091)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】