説明

光ファイバ接続部材、光ファイバ接続工具、光ファイバ接続用ユニット及び光ファイバ接続方法

【課題】一対の光ファイバの接続損失を低く抑えることができる光ファイバ接続部材、光ファイバ接続工具、光ファイバ接続用ユニット及び光ファイバ接続方法を得る。
【解決手段】光ファイバ接続工具40の第二貫通孔60の開口60Bから流体が注入又は吸引されると、第一貫通孔32における押圧部材18の外面側の開口から第一貫通孔32に対して流体が注入又は吸引されて基板14の保持溝20内が清掃される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ接続部材、光ファイバ接続工具、光ファイバ接続用ユニット及び光ファイバ接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メカニカルスプライス(光ファイバ接続部材)等を用いて一対の光ファイバを突き合わせて接続する作業時には、例えば、光ファイバ接続工具が用いられる場合がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−123347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような工具を用いても、光ファイバを保持する基板の溝部に混入した異物(ゴミ)や光ファイバ挿入動作を繰り返すことによって生じた気泡等は取り除くことができず、その結果として、一対の光ファイバの接続損失が大きくなる場合がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、一対の光ファイバの接続損失を低く抑えることができる光ファイバ接続部材、光ファイバ接続工具、光ファイバ接続用ユニット及び光ファイバ接続方法を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載する本発明の光ファイバ接続部材は、一対の光ファイバを突き合わせた状態で保持するための溝部を備えた基板と、前記基板の前記溝部が形成された面を覆う蓋部材と、前記蓋部材と前記基板とを互いに接近させる方向に押圧する押圧部材と、を有し、前記基板及び前記蓋部材の少なくとも一方と、前記押圧部材とを貫通して前記溝部に連通する貫通孔が形成されると共に、前記貫通孔における前記押圧部材側には、前記貫通孔に対して流体を注入又は吸引する吸排手段を装着するための装着部が設けられている。
【0007】
請求項1に記載する本発明の光ファイバ接続部材によれば、基板及び蓋部材の少なくとも一方と、押圧部材とを貫通して溝部に連通する貫通孔が形成されると共に、前記貫通孔における押圧部材側には、吸排手段を装着するための装着部が設けられている。このため、吸排手段が光ファイバ接続部材の装着部に装着され、貫通孔に対して吸排手段により流体が注入又は吸引されれば、基板の溝部内が清掃される。
【0008】
請求項2に記載する本発明の光ファイバ接続部材は、請求項1記載の構成において、前記装着部は、前記光ファイバ接続部材の内部側から外部側へ向けて漸次内径寸法が大きくなるテーパ状に形成されている。
【0009】
請求項2に記載する本発明の光ファイバ接続部材によれば、装着部は、光ファイバ接続部材の内部側から外部側へ向けて漸次内径寸法が大きくなるテーパ状に形成されているので、簡易な構成でありながら吸排手段を装着しやすい。
【0010】
請求項3に記載する本発明の光ファイバ接続部材は、請求項1記載の構成において、前記貫通孔の貫通方向は、前記基板の前記溝部が形成された面に対して傾斜している。
【0011】
請求項3に記載する本発明の光ファイバ接続部材によれば、貫通孔の貫通方向は、基板の溝部が形成された面に対して傾斜しているので、貫通孔に対して吸排手段により流体が注入される場合、溝部内の異物の飛散方向を制御することができ、光ファイバが挿入される方向を避けた方向へ異物を飛ばすことが可能となる。
【0012】
請求項4に記載する本発明の光ファイバ接続部材は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の構成において、前記貫通孔が複数形成されている。
【0013】
請求項4に記載する本発明の光ファイバ接続部材によれば、貫通孔が複数形成されているので、例えば、いずれかの貫通孔を流体注入用とし、他のいずれかの貫通孔を流体吸引用とすることができる。このため、基板の溝部内の異物が効率的に除去される。
【0014】
請求項5に記載する本発明の光ファイバ接続工具は、一対の光ファイバを突き合わせた状態で保持するための溝部を備えた基板と、前記基板の前記溝部が形成された面を覆う蓋部材と、前記蓋部材と前記基板とを互いに接近させる方向に押圧する押圧部材と、を備えて前記基板及び前記蓋部材の少なくとも一方と前記押圧部材とを貫通して前記溝部に連通する第一貫通孔が形成された光ファイバ接続部材を用いて、前記一対の光ファイバを突き合わせて接続する作業に利用される光ファイバ接続工具であって、前記光ファイバ接続部材が載置されると共に、前記光ファイバ接続部材が載置される面側を一方側の開口として貫通される第二貫通孔が形成され、前記第二貫通孔の他方側の開口から流体の注入又は吸引が可能な基台と、前記基台に設けられ、前記第一貫通孔と前記第二貫通孔とを連通させる位置に前記光ファイバ接続部材を保持する保持部と、を有する。
【0015】
請求項5に記載する本発明の光ファイバ接続工具によれば、光ファイバ接続部材が載置される基台には、光ファイバ接続部材が載置される面側を一方側の開口として貫通される第二貫通孔が形成され、第二貫通孔の他方側の開口からは流体の注入又は吸引が可能となっている。また、基台に設けられた保持部は、第一貫通孔と第二貫通孔とを連通させる位置に光ファイバ接続部材を保持する。このため、保持部によって光ファイバ接続部材が保持され、第二貫通孔の他方側の開口から流体が注入又は吸引されれば、基板の溝部内が清掃される。
【0016】
請求項6に記載する本発明の光ファイバ接続工具は、請求項5記載の構成において、前記基台には、前記第二貫通孔の他方側の開口から流体を注入又は吸引する吸排用部材が一体的に設けられている。
【0017】
請求項6に記載する本発明の光ファイバ接続工具によれば、基台には、第二貫通孔の他方側の開口から流体を注入又は吸引する吸排用部材が一体的に設けられているので、この吸排用部材によって、第二貫通孔の他方側の開口から流体が注入又は吸引されれば、基板の溝部内が清掃される。
【0018】
請求項7に記載する本発明の光ファイバ接続用ユニットは、一対の光ファイバを突き合わせた状態で保持するための溝部を備えた基板と、前記基板の前記溝部が形成された面を覆う蓋部材と、前記蓋部材と前記基板とを互いに接近させる方向に押圧する押圧部材と、を備えて前記基板及び前記蓋部材の少なくとも一方と前記押圧部材とを貫通して前記溝部に連通する第一貫通孔が形成された光ファイバ接続部材と、前記光ファイバ接続部材を用いて前記一対の光ファイバを突き合わせて接続する作業に利用され、前記光ファイバ接続部材が載置されると共に前記光ファイバ接続部材が載置される面側を一方側の開口として貫通される第二貫通孔が形成されかつ前記第二貫通孔の他方側の開口から流体の注入又は吸引が可能な基台と、前記基台に設けられると共に前記第一貫通孔と前記第二貫通孔とを連通させる位置に前記光ファイバ接続部材を保持する保持部と、を備える光ファイバ接続工具と、を有する。
【0019】
請求項7に記載する本発明の光ファイバ接続用ユニットによれば、光ファイバ接続部材には、基板及び蓋部材の少なくとも一方と押圧部材とを貫通して溝部に連通する第一貫通孔が形成されている。これに対して、光ファイバ接続部材が載置される光ファイバ接続工具の基台には、光ファイバ接続部材が載置される面側を一方側の開口として貫通される第二貫通孔が形成されかつ第二貫通孔の他方側の開口から流体の注入又は吸引が可能となっており、基台に設けられる保持部は、第一貫通孔と第二貫通孔とを連通させる位置に光ファイバ接続部材を保持している。このため、保持部によって光ファイバ接続部材が保持され、第二貫通孔の他方側の開口から流体が注入又は吸引されれば、基板の溝部内が清掃される。
【0020】
請求項8に記載する本発明の光ファイバ接続用ユニットは、請求項7記載の構成において、前記第一貫通孔における前記押圧部材側には装着部が設けられると共に、前記基台には、前記装着部に差し込みにより密着した状態で装着可能な被装着部が設けられている。
【0021】
請求項8に記載する本発明の光ファイバ接続用ユニットによれば、第一貫通孔における押圧部材側の装着部に対して、基台の被装着部が差し込みにより密着した状態で装着可能となっているので、第二貫通孔の他方側の開口から流体が注入又は吸引された場合、基台と押圧部材との間からの流体の漏れが防止又は抑制される。このため、基板の溝部内が効率的に清掃される。
【0022】
請求項9に記載する本発明の光ファイバ接続方法は、一対の光ファイバを突き合わせた状態で保持するための溝部を備えた基板と、前記基板の前記溝部が形成された面を覆う蓋部材と、前記蓋部材と前記基板とを互いに接近させる方向に押圧する押圧部材と、を備えて前記基板及び前記蓋部材の少なくとも一方と前記押圧部材とを貫通して前記溝部に連通する貫通孔が形成された光ファイバ接続部材を用いて、前記一対の光ファイバを突き合わせて接続する光ファイバ接続方法であって、前記基板と前記蓋部材との間に間隔設定手段を配設することによって、前記光ファイバを前記溝部へ挿入させるための空間を形成する第一工程と、前記貫通孔における前記押圧部材の外面側の開口から前記貫通孔に対して流体を注入又は吸引して前記基板の前記溝部内を清掃する第二工程と、前記光ファイバを前記溝部に挿入して突き合わせる第三工程と、前記基板と前記蓋部材との間から前記間隔設定手段を外すと共に前記押圧部材の押圧力により前記蓋部材で前記光ファイバを前記溝部へ押し当て保持する第四工程と、を有する。
【0023】
請求項9に記載する本発明の光ファイバ接続方法によれば、第一工程では、基板と蓋部材との間に間隔設定手段を配設することによって、光ファイバを溝部へ挿入させるための空間を形成し、第二工程では、貫通孔における押圧部材の外面側の開口から貫通孔に対して流体を注入又は吸引して基板の溝部内を清掃する。また、第三工程では、光ファイバを溝部に挿入して突き合わせ、第四工程では、基板と蓋部材との間から間隔設定手段を外すと共に押圧部材の押圧力により蓋部材で光ファイバを溝部へ押し当て保持する。このため、基板の溝部内が清掃された状態で光ファイバが接続される。
【0024】
請求項10に記載する本発明の光ファイバ接続方法は、請求項9記載の構成において、前記光ファイバ接続部材には前記貫通孔が複数形成されており、前記第二工程では、前記貫通孔のうちいずれかの貫通孔に対して流体が注入されると共に他のいずれかの貫通孔に対して流体が吸引される。
【0025】
請求項10に記載する本発明の光ファイバ接続方法によれば、第二工程では、複数の貫通孔のうちいずれかの貫通孔に対して流体が注入されると共に他のいずれかの貫通孔に対して流体が吸引される。このため、基板の溝部内における異物が効果的に除去される。
【0026】
請求項11に記載する本発明の光ファイバ接続方法は、請求項9又は請求項10に記載の構成において、前記第二工程の後に前記貫通孔における前記押圧部材の外面側の開口から屈折率整合剤が注入される。
【0027】
請求項11に記載する本発明の光ファイバ接続方法によれば、第二工程の後に貫通孔における押圧部材の外面側の開口から屈折率整合剤が注入される。このため、一対の光ファイバの端面間に介在される屈折率整合剤への異物の付着が防止又は抑制される。
【0028】
請求項12に記載する本発明の光ファイバ接続工具は、一対の光ファイバを突き合わせた状態で保持するための溝部を備えた基板と、前記基板の前記溝部が形成された面を覆う蓋部材と、前記蓋部材と前記基板とを互いに接近させる方向に押圧する押圧部材と、を備えた光ファイバ接続部材を用いて、前記一対の光ファイバを突き合わせて屈折率整合剤を介在させて接続する作業に利用される光ファイバ接続工具であって、前記光ファイバ接続部材を支持する基台と、前記基台上に設けられて前記光ファイバ接続部材が載置され、前記光ファイバ接続部材を加熱可能な加熱部と、を有する。
【0029】
請求項12に記載する本発明の光ファイバ接続工具によれば、基台上に設けられた加熱部には光ファイバ接続部材が載置され、加熱部によって光ファイバ接続部材が加熱可能となっている。このため、作業時に加熱部によって光ファイバ接続部材が加熱されれば、一対の光ファイバ間に介在される屈折率整合剤の粘度が下がり、屈折率整合剤による気泡の発生が抑えられる。また、作業後に加熱部による加熱を停止すると、屈折率整合剤の温度も下がるため、屈折率整合剤の粘度が高くなり、屈折率整合剤の流出が抑えられる。
【0030】
請求項13に記載する本発明の光ファイバ接続方法は、一対の光ファイバを突き合わせた状態で保持するための溝部を備えた基板と、前記基板の前記溝部が形成された面を覆う蓋部材と、前記蓋部材と前記基板とを互いに接近させる方向に押圧する押圧部材と、を備えた光ファイバ接続部材を用いて、前記一対の光ファイバを突き合わせて屈折率整合剤を介在させて接続する光ファイバ接続方法であって、前記基板と前記蓋部材との間に間隔設定手段を配設することによって、前記光ファイバを前記溝部へ挿入させるための空間を形成する第一工程と、前記光ファイバ接続部材を加熱して前記光ファイバの端面間に介在させる前記屈折率整合剤の粘度を低下させる第二工程と、前記光ファイバを前記溝部に挿入して前記屈折率整合剤を介在させて突き合わせる第三工程と、前記基板と前記蓋部材との間から前記間隔設定手段を外すと共に前記押圧部材の押圧力により前記蓋部材で前記光ファイバを前記溝部へ押し当て保持する第四工程と、を有する。
【0031】
請求項13に記載する本発明の光ファイバ接続方法によれば、第一工程では、基板と蓋部材との間に間隔設定手段を配設することによって、光ファイバを溝部へ挿入させるための空間を形成し、第二工程では、光ファイバ接続部材を加熱して光ファイバの端面間に介在させる屈折率整合剤の粘度を低下させる。また、第三工程では、光ファイバを溝部に挿入して屈折率整合剤を介在させて突き合わせ、第四工程では、基板と蓋部材との間から間隔設定手段を外すと共に押圧部材の押圧力により蓋部材で光ファイバを溝部へ押し当て保持する。このため、屈折率整合剤による気泡の発生が抑えられた状態で光ファイバが接続される。
【0032】
請求項14に記載する本発明の光ファイバ接続方法は、一対の光ファイバを突き合わせた状態で保持するための溝部を備えた基板と、前記基板の前記溝部が形成された面を覆う蓋部材と、前記蓋部材と前記基板とを互いに接近させる方向に押圧する押圧部材と、を備えて前記基板及び前記蓋部材の少なくとも一方と前記押圧部材とを貫通して前記溝部に連通する貫通孔が形成された光ファイバ接続部材を用いて、前記一対の光ファイバを突き合わせて屈折率整合剤を介在させて接続する光ファイバ接続方法であって、前記基板と前記蓋部材との間に間隔設定手段を配設することによって、前記光ファイバを前記溝部へ挿入させるための空間を形成する第一工程と、前記貫通孔における前記押圧部材の外面側の開口から予め加熱された前記屈折率整合剤を前記貫通孔へ注入する第二工程と、前記光ファイバを前記溝部に挿入して前記屈折率整合剤を介在させて突き合わせる第三工程と、前記基板と前記蓋部材との間から前記間隔設定手段を外すと共に前記押圧部材の押圧力により前記蓋部材で前記光ファイバを前記溝部へ押し当て保持する第四工程と、を有する。
【0033】
請求項14に記載する本発明の光ファイバ接続方法によれば、第一工程では、基板と蓋部材との間に間隔設定手段を配設することによって、光ファイバを溝部へ挿入させるための空間を形成し、第二工程では、貫通孔における押圧部材の外面側の開口から予め加熱された屈折率整合剤を貫通孔へ注入する。また、第三工程では、光ファイバを溝部に挿入して屈折率整合剤を介在させて突き合わせ、第四工程では、基板と蓋部材との間から間隔設定手段を外すと共に押圧部材の押圧力により蓋部材で光ファイバを溝部へ押し当て保持する。このため、屈折率整合剤による気泡の発生が抑えられた状態で光ファイバが接続される。
【発明の効果】
【0034】
以上説明したように、本発明に係る請求項1に記載の光ファイバ接続部材によれば、一対の光ファイバの接続損失を低く抑えることができるという優れた効果を有する。
【0035】
請求項2に記載の光ファイバ接続部材によれば、簡易な構成でありながら吸排手段を装着しやすいという優れた効果を有する。
【0036】
請求項3に記載の光ファイバ接続部材によれば、吸排手段によって貫通孔に対して流体が注入される場合、光ファイバが挿入される方向を避けた方向へ異物を飛ばすことができるという優れた効果を有する。
【0037】
請求項4に記載の光ファイバ接続部材によれば、基板の溝部内の異物を効率的に除去することができるという優れた効果を有する。
【0038】
請求項5に記載の光ファイバ接続工具によれば、一対の光ファイバの接続損失を低く抑えることができるという優れた効果を有する。
【0039】
請求項6に記載の光ファイバ接続工具によれば、別途吸排用部材を配設することなく、基板の溝部内を清掃することができるという優れた効果を有する。
【0040】
請求項7に記載の光ファイバ接続用ユニットによれば、一対の光ファイバの接続損失を低く抑えることができるという優れた効果を有する。
【0041】
請求項8に記載の光ファイバ接続用ユニットによれば、基台と押圧部材との間からの流体の漏れを防止又は抑制することができ、基板の溝部内を効率的に清掃することができるという優れた効果を有する。
【0042】
請求項9に記載の光ファイバ接続方法によれば、一対の光ファイバの接続損失を低く抑えることができるという優れた効果を有する。
【0043】
請求項10に記載の光ファイバ接続方法によれば、基板の溝部内における異物を効果的に除去することができるという優れた効果を有する。
【0044】
請求項11に記載の光ファイバ接続方法によれば、一対の光ファイバの端面間に介在される屈折率整合剤への異物の付着を防止又は抑制することができるという優れた効果を有する。
【0045】
請求項12に記載の光ファイバ接続工具によれば、一対の光ファイバの接続損失を低く抑えることができるという優れた効果を有する。
【0046】
請求項13に記載の光ファイバ接続方法によれば、一対の光ファイバの接続損失を低く抑えることができるという優れた効果を有する。
【0047】
請求項14に記載の光ファイバ接続方法によれば、一対の光ファイバの接続損失を低く抑えることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光ファイバ接続用ユニットに手動ポンプを配設した状態を示す斜視図である。
【図2】図1の2−2線に沿った拡大断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る光ファイバ接続用ユニットにシリンジを配設した状態を示す斜視図である。
【図4】図3の4−4線に沿った拡大断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る光ファイバ接続用ユニットを示す断面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る光ファイバ接続用ユニットを示す断面図である。
【図7】本発明の第4の実施形態に係る光ファイバ接続用ユニットを示す断面図である。
【図8】本発明の第5の実施形態に係る光ファイバ接続部材としての光コネクタを示す断面図である。
【図9】本発明の第6の実施形態に係る光ファイバ接続用ユニットを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
[第1実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る光ファイバ接続部材、光ファイバ接続工具、光ファイバ接続用ユニット及び光ファイバ接続方法について図1〜図4を用いて説明する。
【0050】
図1には、光ファイバ接続部材としてのメカニカルスプライス12と光ファイバ接続工具40とを含んで構成された光ファイバ接続用ユニット10が斜視図にて示され、図2には、図1の2−2線に沿った拡大断面図が示されている。これらの図に示されるように、メカニカルスプライス12は、基板14と、蓋部材16と、押圧部材18(クランプ部材)とを備えている。
【0051】
図2に示されるように、基板14は、保持面14Aを有しており、この保持面14Aには、断面V字状の溝部としての保持溝20が形成されている。この保持溝20は、一対の光ファイバ22,24(図1参照)を互いの光軸が一致するように突き合わせた状態で保持するためのものであり、基板14の長手方向(図1参照)に沿って形成されている。これに対して蓋部材16は、基板14の保持面14Aを覆うように保持面14Aと対向して設けられている。
【0052】
押圧部材18は、互いに対向する一対の支持片26,28と、これらの支持片26,28の一方側端部同士を連結する連結部30とを有する断面コ字形状のバネにより構成されており、蓋部材16と基板14とを互いに接近させる方向に押圧している。
【0053】
また、基板14の保持溝20の長手方向中間部に対応して、蓋部材16と押圧部材18の支持片28とを貫通して保持溝20に連通する第一貫通孔32が形成されている。なお、ここでの「連通」は流体を流通可能な状態で通すことを意味している。本実施形態では、第一貫通孔32の貫通方向は、保持溝20の延在方向に直交する方向とされている。
【0054】
第一貫通孔32における押圧部材18(支持片28)側の部位は、メカニカルスプライス12の内部側から外部側へ向けて漸次内径寸法が大きくなるテーパ状の装着部34が形成されている。装着部34は、光ファイバ接続工具40の被装着部42が差し込みにより密着した状態で装着可能とされている。被装着部42は、円錐筒状のゴム製とされると共にその内径寸法が第一貫通孔32の上部側の内径寸法と略同一に設定されている。
【0055】
図1に示されるように、光ファイバ接続工具40は、メカニカルスプライス12を用いて一対の光ファイバ22,24を突き合わせて接続する作業に利用される工具であり、メカニカルスプライス12が載置される基台44を備えている。前述した被装着部42(図2参照)はこの基台44上に固着されている。
【0056】
また、基台44には、メカニカルスプライス12を押圧部材18の連結部30(図2参照)側から保持する保持部としての保持ブラケット46が形成されている。図2に示されるように、保持ブラケット46は、略逆L字形状に形成され、その上部からはメカニカルスプライス12の配置位置側に延設された可撓性の保持片46Aを備えており、保持片46Aがメカニカルスプライス12を基台44の載置面44Aとの間に挟持により保持可能となっている。また、図1に示されるように、基台44には、メカニカルスプライス12の長手方向両端位置を位置決めする保持部としての突起部48が突出形成されている。すなわち、メカニカルスプライス12の長手方向両端側の下部は、突起部48と当接するように配置される。保持ブラケット46及び突起部48は、メカニカルスプライス12を基台44上の所定位置に保持するための保持手段を構成している。
【0057】
また、光ファイバ接続工具40には、メカニカルスプライス12の保持位置を挟んで保持ブラケット46側とは反対側にレバー付楔部品50(レバー付クサビ部品)が配設されている。レバー付楔部品50は、間隔設定手段としての楔本体52と、操作レバー部54とを備えている。楔本体52は、基端側が操作レバー部54に取り付けられると共に、先端側が挿入刃52Aとされて基板14と蓋部材16との間への挿入用とされている。操作レバー部54は、支軸56回りに揺動可能に支持された円筒状の基部54Aと、この基部54Aから延出されて楔本体52が取り付けられたレバー本体54Bと、によって構成されている。また、支軸56は、メカニカルスプライス12の保持位置の長手方向一端側の近傍で基台44に固定されており、基台44の載置面44A(図2参照)に対して垂直な方向を軸方向としている。
【0058】
レバー付楔部品50は、作業者の操作によってレバー本体54Bが支軸56回りに回転移動してメカニカルスプライス12側に変位すると、挿入刃52Aがメカニカルスプライス12における基板14と蓋部材16との間に挿入されるようになっている。また、挿入刃52Aが基板14と蓋部材16との間に挿入されると、蓋部材16と基板14とが離間されて、一対の光ファイバ22,24を図2に示される保持溝20の長手方向両側から当該保持溝20に挿入可能な状態となる。
【0059】
また、図1に示される一対の光ファイバ22,24が保持溝20(図2参照)に挿入された状態で挿入刃52Aが基板14と蓋部材16との間から抜き去られると、押圧部材18によって、蓋部材16と基板14とが互いに接近する方向に押圧されることにより、一対の光ファイバ22,24が基板14及び蓋部材16によって挟持される。そして、一対の光ファイバ22,24は、上記要領で光学的に接続されている。
【0060】
図2に示されるように、基台44には、メカニカルスプライス12が載置される載置面44A側を一方側の開口60Aとして略L字形状に貫通される第二貫通孔60が形成されている。第二貫通孔60の他方側の開口60Bは、工具背面側に設けられ、この開口60Bから流体の注入又は吸引が可能とされている。基台44に形成された第二貫通孔60は、保持ブラケット46及び突起部48(図1参照)がメカニカルスプライス12を保持した状態では、第一貫通孔32と連通する位置に配置されるように(第一貫通孔32と連通するように)設定されている。第二貫通孔60の内径寸法は、被装着部42の内径寸法と略同一に設定されている。
【0061】
また、基台44には、第二貫通孔60の他方側の開口60Bから流体を注入(例えば、ガス噴射)又は吸引する吸排用部材としての手動ポンプ62の先端(図2では先端側のみを図示)を開口60Bに差し込み可能となっている。ここで、手動ポンプ62、第二貫通孔60により形成された流路61、及び被装着部42は、吸排手段64を構成している。すなわち、吸排手段64は第一貫通孔32に対して流体を注入又は吸引することで基板14の保持溝20内が清掃される構成になっている。
【0062】
手動ポンプ62が注入する流体としては、気体(例えば、ヘリウム等の不活性ガス、空気、窒素、二酸化炭素等)や液体(例えば、水、有機溶剤等)が適用できる。
【0063】
また、手動ポンプ62に代えて、図3に示されるように、基台44の他方側の開口60B(図4参照)には、吸排用部材としてのシリンジ162の先端が差し込み可能となっている。シリンジ162は、シリンダ162Aの先端側が注射針状とされると共に、シリンダ162A内にピストン162Bが配設されている。シリンジ162は、手動ポンプ62(図1参照)と同様に、図4に示される第二貫通孔60の開口60Bから流体を注入又は吸引する。
【0064】
この場合、シリンジ162(図4では先端側のみを図示)、第二貫通孔60により形成された流路61、及び被装着部42は、吸排手段164を構成しており、吸排手段164が第一貫通孔32に対して空気等の流体を注入又は吸引することで基板14の保持溝20内が清掃可能な構成になっている。
【0065】
また、図3に示されるシリンジ162のシリンダ162A内に屈折率整合剤を充填し、吸排手段164が図4に示される第一貫通孔32に対して屈折率整合剤136を注入することで光ファイバ22,24の端面間に屈折率整合剤136を介在させることが可能な構成になっている。なお、屈折率整合剤136としては、例えば、シリコーングリス等が適用される。
【0066】
(光ファイバ接続方法、作用・効果)
次に、光ファイバ接続方法について説明すると共に、上記実施形態の作用及び効果について説明する。
【0067】
まず、作業者は、図1に示される光ファイバ接続工具40の基台44上に、メカニカルスプライス12を配置し、メカニカルスプライス12の装着部34(図2参照)に光ファイバ接続工具40の被装着部42(図2参照)を差し込みにより装着すると共に、光ファイバ接続工具40の保持ブラケット46及び突起部48でメカニカルスプライス12を保持する。この状態で、作業者は、レバー付楔部品50のレバー本体54Bを支軸56回りに回転移動させ、メカニカルスプライス12の基板14と蓋部材16との間に楔本体52の挿入刃52Aを挿入し、これによって、光ファイバ22,24を保持溝20へ挿入させるための空間を形成する(第一工程)。
【0068】
次に、作業者は、手動ポンプ62を手動操作し、図2に示される光ファイバ接続工具40の第二貫通孔60の開口60Bから流体を注入(一例として不活性ガスの吹き込み)又は吸引する。これによって、第一貫通孔32における押圧部材18の外面側の開口から第一貫通孔32に対して流体を注入又は吸引して基板14の保持溝20内を清掃する(第二工程)。
【0069】
この第二工程の後に、作業者は、図3に示されるシリンダ162A内に屈折率整合剤が充填されたシリンジ162を用いて、図4に示される第二貫通孔60を介して第一貫通孔32における押圧部材18の外面側の開口から屈折率整合剤136を注入する。このため、図3に示される一対の光ファイバ22,24の端面間に介在されることになる屈折率整合剤への異物の付着が防止又は抑制される。
【0070】
次に、作業者は、一対の光ファイバ22,24を保持溝20(図4参照)の長手方向両側から当該保持溝20に挿入して突き合わせる(第三工程)。
【0071】
最後に、作業者がレバー付楔部品50のレバー本体54Bを支軸56回りに回転移動させ、メカニカルスプライス12の基板14と蓋部材16との間から楔本体52の挿入刃52Aを抜き去る(外す)と、押圧部材18の押圧力により蓋部材16で光ファイバ22,24を保持溝20(図4参照)へ押し当て保持する(第四工程)。
【0072】
以上により、基板14の保持溝20内における異物(ゴミ)が除去された状態で(光ファイバ22,24の端面間に介在された屈折率整合剤への異物の付着が防止又は抑制された状態で)光ファイバ22,24が接続される。その結果として、上記実施形態に係るメカニカルスプライス12、光ファイバ接続工具40、光ファイバ接続用ユニット10及び光ファイバ接続方法によれば、一対の光ファイバ22,24の接続損失を低く抑えることができる。また、異物(ゴミ)の除去が可能になることで、光ファイバ22,24の挿入動作を繰り返すことも可能になるので、ファイバ接続作業の失敗により従来は破棄されていたメカニカルスプライス12を、再使用することが可能となる。
【0073】
なお、上記実施形態の光ファイバ接続方法では、第二工程の後にシリンジ162によって屈折率整合剤136(図4参照)を注入し、図4に示される屈折率整合剤136を光ファイバ22,24の端面間に介在させたが、このような工程を経ないで第三工程を行う形態もあり得る。
【0074】
また、第二工程と、第二工程後の屈折率整合剤136を注入する工程と、の両方をシリンジ162によって行ってもよい。
【0075】
さらに、光ファイバ接続工具40は、手動ポンプ62やシリンジ162が基台44に予め一体的に固定された工具であってもよい。このようにすることで屋外での作業性が向上する。
【0076】
さらに、光ファイバ接続用ユニット10には、基台44と押圧部材18との間を密着させる密着手段が設けられてもよい。
【0077】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る光ファイバ接続部材としてのメカニカルスプライス66及び光ファイバ接続用ユニット72について、図5を用いて説明する。図5には、メカニカルスプライス66を有する光ファイバ接続用ユニット72が断面図(第1の実施形態の図2に相当する図)にて示されている。この図に示されるように、メカニカルスプライス66は、第一貫通孔32(図2参照)に代えて、第一貫通孔68を備える点で、第1の実施形態に係るメカニカルスプライス12(図2参照)とは異なる。他の構成は、第1の実施形態とほぼ同様の構成となっている。よって、第1の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
【0078】
図5に示される第一貫通孔68は、基板14の保持溝20の長手方向中間部に対応して、蓋部材16と押圧部材18の支持片28とを貫通して形成されている。本実施形態では、第一貫通孔68の貫通方向は、保持溝20の延在方向に直交する方向とされており、メカニカルスプライス66の内部側から外部側へ向けて漸次内径寸法が大きくなるテーパ状に形成されている。第一貫通孔68における押圧部材18(支持片28)側の部位は、装着部70とされており、装着部70には、光ファイバ接続工具40の被装着部42が差し込みにより装着可能とされている。
【0079】
上記構成によれば、簡易な構成でありながら、前述した第1の実施形態と同様の作用及び効果が得られる。
【0080】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態に係る光ファイバ接続部材としてのメカニカルスプライス76及び光ファイバ接続用ユニット82について、図6を用いて説明する。図6には、メカニカルスプライス76を有する光ファイバ接続用ユニット82が断面図(第1の実施形態の図2に相当する図)にて示されている。この図に示されるように、メカニカルスプライス76は、第一貫通孔32(図2参照)に代えて、第一貫通孔78を備える点で、第1の実施形態に係るメカニカルスプライス12(図2参照)とは異なる。他の構成は、第1の実施形態とほぼ同様の構成となっている。よって、第1の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
【0081】
図6に示される第一貫通孔78は、基板14の保持溝20の長手方向中間部に対応して、蓋部材16と押圧部材18の支持片28とを貫通して形成されている。本実施形態では、第一貫通孔78の貫通方向は、図6の断面において、保持面14A(基板14の保持溝20が形成された面)に対して傾斜している。なお、第一貫通孔78の貫通方向の傾斜角度は、図6に示される傾斜角度と異なる傾斜角度に設定されてもよい。第一貫通孔78における押圧部材18(支持片28)側の部位には、メカニカルスプライス76の内部側から外部側へ向けて漸次内径寸法が大きくなるテーパ状の装着部80が形成されている。装着部80は、光ファイバ接続工具40の被装着部42が差し込みにより装着可能とされている。
【0082】
上記構成によれば、前述した第1の実施形態と同様の作用及び効果が得られる。また、第一貫通孔78に対して手動ポンプ62により第二貫通孔60を介して空気等の流体が注入される場合、保持溝20内の異物(ゴミ等)の飛散方向を制御することができ、光ファイバ22,24が挿入される方向を避けた方向へ異物を飛ばすことが可能となる。より具体的には、本実施形態では、保持溝20内の異物を、基板14と蓋部材16との間の隙間から押圧部材18の連結部30側とは反対側に飛ばすことができる。
【0083】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態に係る光ファイバ接続部材としてのメカニカルスプライス86、光ファイバ接続用ユニット92、及び光ファイバ接続方法について、図7を用いて説明する。図7には、メカニカルスプライス86を有する光ファイバ接続用ユニット92が断面図(第1の実施形態の図2に相当する図)にて示されている。
【0084】
この図に示されるように、メカニカルスプライス86は、第一貫通孔32に加えてもう一つ第一貫通孔88を備える点、すなわち、第一貫通孔32,88が複数形成されている点で、第1の実施形態に係るメカニカルスプライス12(図2参照)とは異なる。他の構成は、第1の実施形態とほぼ同様の構成となっている。よって、第1の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
【0085】
図7に示されるように、第一貫通孔32の上方側には、基板14の保持溝20の長手方向中間部に対応して、基板14と押圧部材18の支持片26とを貫通して保持溝20に連通する第一貫通孔88が形成されている。なお、ここでの「連通」は流体を流通可能な状態で通すことを意味している。本実施形態では、第一貫通孔88の貫通方向は、保持溝20の延在方向に直交する方向とされている。
【0086】
第一貫通孔88における押圧部材18(支持片26)側の部位は、メカニカルスプライス12の内部側から外部側へ向けて漸次内径寸法が大きくなるテーパ状の装着部90が形成されている。装着部90には、吸排手段としての吸排装置94(図7では先端側のみを図示)の被装着部94Aが差し込みにより装着可能とされている。吸排装置94は、第一貫通孔88に対して流体を注入又は吸引して基板14の保持溝20内を清掃する装置とされ、吸排装置94の被装着部94Aは、円錐筒状のゴム製とされると共にその内径寸法が第一貫通孔88の下部側の内径寸法と略同一に設定されている。
【0087】
(光ファイバ接続方法及び作用・効果)
次に、光ファイバ接続方法について説明しながら、上記実施形態の作用及び効果について説明する。なお、本実施形態に係る光ファイバ接続方法は、第二工程を除いて第1の実施形態に係る光ファイバ接続方法と同様とされている。このため、第二工程のみを説明し、第一工程、第三、第四工程の説明を省略する。
【0088】
第二工程では、第一貫通孔88に対して吸排装置94により空気等の流体が注入されると共に、第一貫通孔32に対して吸排手段64により空気等の流体が吸引される。このため、基板14の保持溝20内における異物が効果的に除去される。その結果として、一対の光ファイバ22,24の接続損失が低く抑えられる。
【0089】
なお、第二工程では、第一貫通孔88に対して吸排装置94により空気等の流体が吸引されると共に、第一貫通孔32に対して吸排手段64により空気等の流体が注入されてもよい。
【0090】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5の実施形態に係る光ファイバ接続部材としての光コネクタ100及び当該光コネクタ100を用いた光ファイバ接続方法について、図8を用いて説明する。図8には、光コネクタ100が断面図にて示されている。
【0091】
図8に示される光コネクタ100は、フェルール110に予め内蔵された一方の光ファイバ112と、他方の光ファイバ114との接続を接続現場において行う際に用いられる現場組立コネクタであり、基板102と、蓋部材116,117と、押圧部材118,119と、フェルール110とを主要な構成として備えている。
【0092】
基板102は、板状に形成された基板本体104と、基板本体104の長手方向の一端側に配置されて環状に形成されたフェルールホルダ106とを一体に有する構成とされている。基板本体104には、平面状の保持面104Aが形成されており、この保持面104Aには、溝部としての保持溝108が形成されている。この保持溝108は、一対の光ファイバ112,114を互いの光軸が一致するように突き合わせた状態で保持するためのものであり、断面V字状に形成されると共に、基板102の長手方向に沿って形成されている。
【0093】
蓋部材116,117は、基板102の保持面104Aを覆うように基板102と対向して配置されている。また、押圧部材118,119は、図8の断面に直交する方向の断面形状がC字形状とされている。押圧部材118は、蓋部材116及び基板102の外周側に被せられ、蓋部材116と基板102とを互いに接近させる方向に押圧している。また、押圧部材119は、蓋部材117及び基板102の外周側に被せられ、蓋部材117と基板102とを互いに接近させる方向に押圧している。
【0094】
フェルール110は、フェルールホルダ106に形成された穴部106Aに挿入されることにより基板102に支持されている。このフェルール110は、保持溝108の長手方向一方側と連通する連通孔110Aを有すると共に、この連通孔110Aに一方の光ファイバ112(裸ファイバ)が内蔵された構成とされている。この一方の光ファイバ112の後端側は、保持溝108に長手方向一方側から挿入されて保持される。
【0095】
また、光コネクタ100は、外周側に配置されるスライダ126と、このスライダ126をスライド可能に支持すると共にフェルール110の一部及びフェルールホルダ106を収容する支持部材120と、押圧部材118,119を覆い押圧部材118,119に対して長手方向にスライド移動可能なハウジング122と、このハウジング122の内側に収容された状態でフェルール110をハウジング122に対して光コネクタ100の先端側に間接的に付勢するスプリング124と、を備えている。
【0096】
また、光コネクタ100には、蓋部材116と押圧部材118とを貫通して保持溝108に連通する貫通孔128が形成されている。なお、ここでの「連通」は流体を流通可能な状態で通すことを意味している。貫通孔128は、一対の光ファイバ112,114が突き合わされる位置に対応して、蓋部材116と押圧部材118とを貫通して形成されている。また、支持部材120及びハウジング122は、貫通孔128に対応する部位が切り欠かれており、スライダ126には貫通孔128に対応する部位に貫通孔126Aが形成されている。
【0097】
貫通孔128の貫通方向は、保持溝108の延在方向に直交する方向とされており、光コネクタ100の内部側から外部側へ向けて漸次内径寸法が大きくなるテーパ状に形成されている。貫通孔128における押圧部材118側の部位は、装着部130とされており、装着部130には、吸排手段としての吸排装置132(図8では先端側のみを図示)の被装着部132Aが差し込みにより装着可能とされている。吸排装置132は、貫通孔128に対して流体を注入又は吸引して基板102の保持溝108内を清掃する装置とされ、吸排装置132の被装着部132Aは、円錐筒状のゴム製とされている。
【0098】
(光ファイバ接続方法及び作用・効果)
次に、光ファイバ接続方法について簡単に説明すると共に、上記実施形態の作用及び効果について説明する。
【0099】
まず、作業者は、基板102と蓋部材116,117との間に間隔設定手段としての楔(図示省略)を挿入して配設することによって、光ファイバ114を保持溝108へ挿入させるための空間を形成する(第一工程)。次に、作業者は、貫通孔128における押圧部材118の外面側の開口から貫通孔128に対して吸排装置132により流体を注入又は吸引して基板102の保持溝108内を清掃する(第二工程)。次に、作業者は、光ファイバ114を保持溝108に挿入して突き合わせる(第三工程)。最後に、作業者は、基板102と蓋部材116,117との間から楔(図示省略)を抜き去る(外す)と共に押圧部材118の押圧力により蓋部材116,117で光ファイバ112,114を保持溝108へ押し当て保持する。
【0100】
以上により、基板102の保持溝108内における異物が除去された状態で光ファイバ112,114が接続される。その結果として、一対の光ファイバ112,114の接続損失が低く抑えられる。
【0101】
なお、第5の実施形態では、貫通孔128の貫通方向は、保持溝108の延在方向に直交する方向とされているが、貫通孔(128)の貫通方向は、保持面(104A(基板102の保持溝108が形成された面))に対して傾斜していてもよい。このような構成では、貫通孔(128)に対して吸排装置(132)により流体が注入される場合、基板(102)の保持溝(108)内における異物の飛散方向を制御することができ、光ファイバ(112,114)が挿入される方向を避けた方向へ異物を飛ばすことが可能となる。
【0102】
[第6実施形態]
次に、本発明の第6の実施形態に係る光ファイバ接続工具142を備えた光ファイバ接続用ユニット140及び当該光ファイバ接続用ユニット140を用いた光ファイバ接続方法について、図9を用いて説明する。図9には、光ファイバ接続工具142等が斜視図にて示されている。この図に示されるように、光ファイバ接続工具142は、基台44上に加熱部144を備える点で、第1の実施形態等に係る光ファイバ接続工具40(図1参照)とは異なる。他の構成は、第1の実施形態等とほぼ同様の構成となっている。よって、第1の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
【0103】
光ファイバ接続工具142は、メカニカルスプライス12を用いて、光ファイバ22,24を突き合わせて屈折率整合剤を介在させて接続する作業に利用される工具である。この光ファイバ接続工具142は、メカニカルスプライス12を支持する基台44上に加熱部144が一体的に設けられている。加熱部144は、通電により発熱するプレート状の発熱体(ホットプレート、加熱器、ヒータ)で構成されている。加熱部144にはメカニカルスプライス12が載置されるようになっており、加熱部144によってメカニカルスプライス12が加熱可能となっている。
【0104】
なお、図示を省略するが、光ファイバ接続工具142は、加熱部144を覆うことができる保護カバーを備えており、加熱部144にメカニカルスプライス12が載置されていない場合には、加熱部144が保護カバーに覆われて保護されるようになっている。
【0105】
また、屈折率整合剤として適用されるシリコーングリスは、常温では高粘度であるものの、温度が上昇すると粘度が下がるという特性がある。
【0106】
(光ファイバ接続方法及び作用・効果)
次に、光ファイバ接続方法について説明すると共に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0107】
まず、作業者は、基板14と蓋部材16との間に楔本体52の挿入刃52Aを挿入(配設)することによって、光ファイバ22,24を保持溝20(図2参照)へ挿入させるための空間を形成する(第一工程)。次に、作業者は、シリンジ162から空気を注入して基板14の保持溝20(図2参照)内を清掃した後、シリンジ162により屈折率整合剤を注入し、さらに、光ファイバ接続工具142の加熱部144によってメカニカルスプライス12を加熱して光ファイバ22,24の端面間に介在させる屈折率整合剤136(図4参照)の粘度を低下させる(第二工程)。屈折率整合剤136は粘度が低い状態では気泡が発生しにくい。
【0108】
次に、作業者は、光ファイバ22,24を保持溝20(図4参照)に挿入して屈折率整合剤を介在させて突き合わせる(第三工程)。最後に、作業者は、基板14と蓋部材16との間から楔本体52の挿入刃52Aを抜き去る(外す)と共に押圧部材18の押圧力により蓋部材16で光ファイバ22,24を保持溝20へ押し当て保持する(第四工程)。
【0109】
このため、屈折率整合剤による気泡の発生が抑えられた状態で光ファイバ22,24が接続される。補足すると、光ファイバ22,24の挿入動作が繰り返されると一般に屈折率整合剤により気泡が生じてしまう可能性が高いが、本実施形態では、屈折率整合剤136(図4参照)の粘度を低下させているために、気泡の発生が防止又は抑制される。また、屈折率整合剤は、作業後に常温に冷めると元の粘度の高い状態に戻るため、時間の経過と共に屈折率整合剤が流出することはない。なお、光ファイバ22,24の突合せ位置(ファイバ接続点)付近のみを加熱部144によって加熱すると、光ファイバ22,24間の周囲に配置された屈折率整合剤の粘度は殆ど低下しないので、屈折率整合剤の流出が効果的に防止又は抑制される。
【0110】
これらの結果として、一対の光ファイバ22,24の接続損失が低く抑えられ、高信頼性を実現することができる。また、光ファイバ22,24の挿入動作を繰り返すことも可能になるので、ファイバ接続作業の失敗により従来は破棄されていたメカニカルスプライス12を、再使用することが可能となる。
【0111】
なお、第6の実施形態における光ファイバ接続方法の変形例として、第二工程では、加熱部144によってメカニカルスプライス12を加熱するのに代えて、予め加熱された屈折率整合剤を図4に示されるシリンジ162によって第二貫通孔60から注入することによって、第一貫通孔32における押圧部材18の外面側の開口から当該屈折率整合剤を第一貫通孔32へ注入するようにしてもよい。
【0112】
また、第6の実施形態の変形例として、図9に示されるレバー付楔部品50に加熱器が設けられ、この加熱器によって、メカニカルスプライス12を加熱して光ファイバ22,24の端面間に介在させる屈折率整合剤136(図4参照)の粘度を低下させてもよい。この場合、屈折率整合剤を局所的に加熱することが容易にできる。
【0113】
[実施形態の補足説明]
なお、上記第1〜第4及び第6の実施形態では、基板14の下方側に蓋部材16が位置する場合を例に挙げて説明したが、基板(14)の上方側に蓋部材(16)が位置する構成であってもよく、このような構成で基板(14)と押圧部材(18)とを貫通して保持溝(20)に連通する貫通孔(第一貫通孔)が形成されていてもよい。
【0114】
また、上記第1〜第4及び第6の実施形態では、光ファイバ接続工具40は第二貫通孔60によって流体流通用の流路61を形成しているが、光ファイバ接続工具は、配管によって流体流通用の流路を形成してもよい。
【0115】
また、上記第1〜第4及び第6の実施形態では、間隔設定手段が 楔本体52とされているが、間隔設定手段は、基板及び蓋部材の少なくとも一方に設けられてかつ基板又は蓋部材の対向面に当たった状態で基板と蓋部材との間に光ファイバが溝部へ挿入可能な空間を形成する突起部等のような他の間隔設定手段であってもよい。
【0116】
さらに、光ファイバ接続部材、光ファイバ接続工具、光ファイバ接続用ユニットの構成は、上記各実施形態の構成を適宜組み合わせた構成であってもよい。
【0117】
なお、上記実施形態では、装着部34,70,80,90,130は、光ファイバ接続部材(メカニカルスプライス12,66、76,86、光コネクタ100)の内部側から外部側へ向けて漸次内径寸法が大きくなるテーパ状に形成されているが、装着部は、例えば、光ファイバ接続部材の内部側から外部側へ向けて内径寸法が大きくなる略半球状に形成された装着部等のような他の形状の装着部としてもよい。
【符号の説明】
【0118】
10 光ファイバ接続用ユニット
12 メカニカルスプライス(光ファイバ接続部材)
14 基板
16 蓋部材
18 押圧部材
20 保持溝(溝部)
22,24 光ファイバ
32 第一貫通孔(貫通孔)
34 装着部
40 光ファイバ接続工具
42 被装着部
44 基台
46 保持ブラケット(保持部)
48 突起部(保持部)
52 楔本体(間隔設定手段)
60 第二貫通孔
62 手動ポンプ(吸排用部材)
64 吸排手段
66 メカニカルスプライス(光ファイバ接続部材)
68 第一貫通孔(貫通孔)
70 装着部
72 光ファイバ接続用ユニット
76 メカニカルスプライス(光ファイバ接続部材)
78 第一貫通孔(貫通孔)
80 装着部
82 光ファイバ接続用ユニット
86 メカニカルスプライス(光ファイバ接続部材)
88 第一貫通孔(貫通孔)
90 装着部
92 光ファイバ接続用ユニット
94 吸排装置(吸排手段)
100 光コネクタ(光ファイバ接続部材)
102 基板
108 保持溝(溝部)
112,114 光ファイバ
116,117 蓋部材
118,119 押圧部材
130 装着部
132 吸排装置(吸排手段)
136 屈折率整合剤
140 光ファイバ接続用ユニット
142 光ファイバ接続工具
144 加熱部
162 シリンジ(吸排用部材)
164 吸排手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の光ファイバを突き合わせた状態で保持するための溝部を備えた基板と、
前記基板の前記溝部が形成された面を覆う蓋部材と、
前記蓋部材と前記基板とを互いに接近させる方向に押圧する押圧部材と、を有し、
前記基板及び前記蓋部材の少なくとも一方と、前記押圧部材とを貫通して前記溝部に連通する貫通孔が形成されると共に、前記貫通孔における前記押圧部材側には、前記貫通孔に対して流体を注入又は吸引する吸排手段を装着するための装着部が設けられている光ファイバ接続部材。
【請求項2】
前記装着部は、前記光ファイバ接続部材の内部側から外部側へ向けて漸次内径寸法が大きくなるテーパ状に形成されている請求項1記載の光ファイバ接続部材。
【請求項3】
前記貫通孔の貫通方向は、前記基板の前記溝部が形成された面に対して傾斜している請求項1記載の光ファイバ接続部材。
【請求項4】
前記貫通孔が複数形成されている請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の光ファイバ接続部材。
【請求項5】
一対の光ファイバを突き合わせた状態で保持するための溝部を備えた基板と、前記基板の前記溝部が形成された面を覆う蓋部材と、前記蓋部材と前記基板とを互いに接近させる方向に押圧する押圧部材と、を備えて前記基板及び前記蓋部材の少なくとも一方と前記押圧部材とを貫通して前記溝部に連通する第一貫通孔が形成された光ファイバ接続部材を用いて、前記一対の光ファイバを突き合わせて接続する作業に利用される光ファイバ接続工具であって、
前記光ファイバ接続部材が載置されると共に、前記光ファイバ接続部材が載置される面側を一方側の開口として貫通される第二貫通孔が形成され、前記第二貫通孔の他方側の開口から流体の注入又は吸引が可能な基台と、
前記基台に設けられ、前記第一貫通孔と前記第二貫通孔とを連通させる位置に前記光ファイバ接続部材を保持する保持部と、
を有する光ファイバ接続工具。
【請求項6】
前記基台には、前記第二貫通孔の他方側の開口から流体を注入又は吸引する吸排用部材が一体的に設けられている請求項5記載の光ファイバ接続工具。
【請求項7】
一対の光ファイバを突き合わせた状態で保持するための溝部を備えた基板と、前記基板の前記溝部が形成された面を覆う蓋部材と、前記蓋部材と前記基板とを互いに接近させる方向に押圧する押圧部材と、を備えて前記基板及び前記蓋部材の少なくとも一方と前記押圧部材とを貫通して前記溝部に連通する第一貫通孔が形成された光ファイバ接続部材と、
前記光ファイバ接続部材を用いて前記一対の光ファイバを突き合わせて接続する作業に利用され、前記光ファイバ接続部材が載置されると共に前記光ファイバ接続部材が載置される面側を一方側の開口として貫通される第二貫通孔が形成されかつ前記第二貫通孔の他方側の開口から流体の注入又は吸引が可能な基台と、前記基台に設けられると共に前記第一貫通孔と前記第二貫通孔とを連通させる位置に前記光ファイバ接続部材を保持する保持部と、を備える光ファイバ接続工具と、
を有する光ファイバ接続用ユニット。
【請求項8】
前記第一貫通孔における前記押圧部材側には装着部が設けられると共に、前記基台には、前記装着部に差し込みにより密着した状態で装着可能な被装着部が設けられている請求項7記載の光ファイバ接続用ユニット。
【請求項9】
一対の光ファイバを突き合わせた状態で保持するための溝部を備えた基板と、前記基板の前記溝部が形成された面を覆う蓋部材と、前記蓋部材と前記基板とを互いに接近させる方向に押圧する押圧部材と、を備えて前記基板及び前記蓋部材の少なくとも一方と前記押圧部材とを貫通して前記溝部に連通する貫通孔が形成された光ファイバ接続部材を用いて、前記一対の光ファイバを突き合わせて接続する光ファイバ接続方法であって、
前記基板と前記蓋部材との間に間隔設定手段を配設することによって、前記光ファイバを前記溝部へ挿入させるための空間を形成する第一工程と、
前記貫通孔における前記押圧部材の外面側の開口から前記貫通孔に対して流体を注入又は吸引して前記基板の前記溝部内を清掃する第二工程と、
前記光ファイバを前記溝部に挿入して突き合わせる第三工程と、
前記基板と前記蓋部材との間から前記間隔設定手段を外すと共に前記押圧部材の押圧力により前記蓋部材で前記光ファイバを前記溝部へ押し当て保持する第四工程と、
を有する光ファイバ接続方法。
【請求項10】
前記光ファイバ接続部材には前記貫通孔が複数形成されており、
前記第二工程では、前記貫通孔のうちいずれかの貫通孔に対して流体が注入されると共に他のいずれかの貫通孔に対して流体が吸引される請求項9記載の光ファイバ接続方法。
【請求項11】
前記第二工程の後に前記貫通孔における前記押圧部材の外面側の開口から屈折率整合剤が注入される請求項9又は請求項10に記載の光ファイバ接続方法。
【請求項12】
一対の光ファイバを突き合わせた状態で保持するための溝部を備えた基板と、前記基板の前記溝部が形成された面を覆う蓋部材と、前記蓋部材と前記基板とを互いに接近させる方向に押圧する押圧部材と、を備えた光ファイバ接続部材を用いて、前記一対の光ファイバを突き合わせて屈折率整合剤を介在させて接続する作業に利用される光ファイバ接続工具であって、
前記光ファイバ接続部材を支持する基台と、
前記基台上に設けられて前記光ファイバ接続部材が載置され、前記光ファイバ接続部材を加熱可能な加熱部と、
を有する光ファイバ接続工具。
【請求項13】
一対の光ファイバを突き合わせた状態で保持するための溝部を備えた基板と、前記基板の前記溝部が形成された面を覆う蓋部材と、前記蓋部材と前記基板とを互いに接近させる方向に押圧する押圧部材と、を備えた光ファイバ接続部材を用いて、前記一対の光ファイバを突き合わせて屈折率整合剤を介在させて接続する光ファイバ接続方法であって、
前記基板と前記蓋部材との間に間隔設定手段を配設することによって、前記光ファイバを前記溝部へ挿入させるための空間を形成する第一工程と、
前記光ファイバ接続部材を加熱して前記光ファイバの端面間に介在させる前記屈折率整合剤の粘度を低下させる第二工程と、
前記光ファイバを前記溝部に挿入して前記屈折率整合剤を介在させて突き合わせる第三工程と、
前記基板と前記蓋部材との間から前記間隔設定手段を外すと共に前記押圧部材の押圧力により前記蓋部材で前記光ファイバを前記溝部へ押し当て保持する第四工程と、
を有する光ファイバ接続方法。
【請求項14】
一対の光ファイバを突き合わせた状態で保持するための溝部を備えた基板と、前記基板の前記溝部が形成された面を覆う蓋部材と、前記蓋部材と前記基板とを互いに接近させる方向に押圧する押圧部材と、を備えて前記基板及び前記蓋部材の少なくとも一方と前記押圧部材とを貫通して前記溝部に連通する貫通孔が形成された光ファイバ接続部材を用いて、前記一対の光ファイバを突き合わせて屈折率整合剤を介在させて接続する光ファイバ接続方法であって、
前記基板と前記蓋部材との間に間隔設定手段を配設することによって、前記光ファイバを前記溝部へ挿入させるための空間を形成する第一工程と、
前記貫通孔における前記押圧部材の外面側の開口から予め加熱された前記屈折率整合剤を前記貫通孔へ注入する第二工程と、
前記光ファイバを前記溝部に挿入して前記屈折率整合剤を介在させて突き合わせる第三工程と、
前記基板と前記蓋部材との間から前記間隔設定手段を外すと共に前記押圧部材の押圧力により前記蓋部材で前記光ファイバを前記溝部へ押し当て保持する第四工程と、
を有する光ファイバ接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−64816(P2011−64816A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213742(P2009−213742)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】