説明

光ファイバ温度分布測定装置

【課題】ラマン散乱を利用して低価格で精度が優れ応答性が高く使いやすい光ファイバ温度分布測定装置を得る
【解決手段】光ファイバ内で発生するラマン散乱光のストークス光及びアンチストークス光に基づいて温度分布測定を行う装置において、λ1及びλ2(>λ1)を含む連続光が光ファイバに入射されたときに、第1の波長λ1の連続光で発生する第1のストークス光の波長λ1sと、第2の波長λ2の連続光で発生する第2のアンチストークス光の波長λ2aとが共に、λ1<λ1s<λ2,λ1<λ2a<λ2を満たすとともに、λ1sとλ2aとがほぼ同一となる連続光を共通のPN符号でデジタル変調して光ファイバに送出し、光ファイバからラマン散乱光を含む後方散乱光をPN符号でPN復調して、時間領域でλ1s成分とλ2a成分とを分離検出して第1のレベル比を算出して光ファイバの長手方向における温度分布特性を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ上の温度分布を、前記光ファイバにおけるラマン散乱光の計測に基づいて観測する光ファイバ温度分布測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、OTDR(Optical Time Domain Reflectometry:光学式時間領域反射計測)技術を活用して、光ファイバ内で発生するラマン散乱光のストークス光とアンチストークス光の光強度を検出し、これに基づいて光ファイバの温度分布を測定する光ファイバ温度分布測定装置があった。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
特許文献1に記載の光ファイバ温度分布測定装置の概略構成を図13に示す。
光パルス発生手段107は波長λpの光パルスを発生し光合分波器108へ出射する。
光合分波器108は、光パルス発生手段107からの光パルスを受けて光ファイバ110へ出射し、そして、光ファイバ110からのラマン散乱光を含む後方散乱光を受けて、この後方散乱光に含まれているラマン散乱光のストークス光(波長λs)及びアンチストークス光(波長λa)をそれぞれ、処理手段109からの制御信号にしたがって順次分波(透過)して受光器(PD)104へ出射する。
【0004】
受光器(PD)104は、光合分波器108から順次入射されるストークス光及びアンチストークス光を受光して、電気信号に変換し、処理手段109へ出力する。
処理手段109は、受光器(PD)104からの電気信号のデータ処理、すなわちA/D変換、平均化処理、演算等を行って、ストークス光及びアンチストークス光の光強度から光ファイバの温度分布特性を求める。
【0005】
また、処理手段109は、光合分波器108が分波する波長を、上述の平均化処理に合わせて、ストークス光の波長λsとアンチストークス光の波長λaに順次切り替えるための制御信号を光合分波器108へ出力する。なお、光ファイバ110に入射される光パルスの波長λpが、例えば1.55μmとすると、光ファイバ110内で発生するラマン散乱光のストークス光の波長λsは1.65μm(=λp+Δf)、アンチストークス光の波長λaは1.45μm(=λp−Δf)である。なお、以上の説明は、前記波長のシフト量Δfが0.1μmの場合の説明である。
前記波長のシフト量Δfは光ファイバ110を構成する物質固有のものであり、入射光の波長λpには依存しない。
【0006】
光合分波器108は、波長の異なる3つの光、すなわちアンチストークス光(波長λa)、光パルス(波長λp)及びストークス光(波長λs)を分離するために、複数の光学フィルタや、処理手段109から入力される制御信号で制御されるアクチュエータ等を備えている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の光ファイバ温度分布測定装置では、波長の異なる3つの光、すなわちアンチストークス光(波長λa)、光パルス(波長λp)及びストークス光(波長λs)を、例えば上述の光合分波器108のような光フィルタで分離しなければならないために、光フィルタの構造が複雑となり装置の小型化、経済化には不向きであるという問題があった。
【0008】
特許文献2に記載の発明は、これらの課題を解決するために、ラマン散乱光のストークス光の波長とアンチストークス光の波長とが同一波長になるように構成した光ファイバ温度分布測定装置を提供したものである。
【0009】
図14に示したように、特許文献2に記載の光ファイバ温度分布測定装置200は、光ファイバに光パルスを出射し、該光パルスによって前記光ファイバ内で発生するラマン散乱光を含む後方散乱光を前記光ファイバから受け、前記後方散乱光に含まれている前記ラマン散乱光のストークス光及びアンチストークス光を検出し、該ストークス光及びアンチストークス光の光強度に基づいて前記光ファイバの温度分布測定を行う光ファイバ温度分布測定装置において、第1の波長λ1 及び第2の波長λ2を含む光パルスが前記光ファイバに入射されたときに、前記第1の波長λ 1 の光パルスによって前記光ファイバ内で発生する前記ラマン散乱光におけるストークス光の波長λsと、前記第2の波長λ2の光パルスによって前記光ファイバ内で発生する前記ラマン散乱光におけるアンチストークス光の波長λaとが共に、λs<λ <λaを満たす波長λ とほぼ同一となる、前記第1の波長λ1及び前記第2の波長λ2を含む光パルスを発生する光パルス発生手段201を備えたものである。
【0010】
そして、前記光パルスを前記光パルス発生手段201から受けて前記光ファイバに出射し、かつ、該光ファイバからの前記後方散乱光を分岐して出射する光カプラ202と、該光カプラから入射される前記後方散乱光から、前記ストークス光及びアンチストークス光を選択して出射する波長選択手段203と、該波長選択手段からの前記ストークス光及びアンチストークス光を受けて電気信号に変換する受光器(PD)204と、前記電気信号のデータ処理を行って、前記ストークス光及びアンチストークス光の光強度から前記光ファイバの温度分布特性を求める処理手段205と、前記データ処理に必要なタイミング信号を発生して出力する制御手段206とを備えている。
【0011】
特許文献2に記載の光ファイバ温度分布測定装置では、第1の波長λ1及び第2の波長λ2を含む光パルスを光ファイバに入射したときに、第1の波長λ1 の光パルスによって光ファイバ内で発生するラマン散乱光におけるストークス光の波長λ1sと、第2の波長λ2の光パルスによって光ファイバ内で発生するラマン散乱光におけるアンチストークス光の波長λ2aとが共に、λ1<λ <λ2 を満たす波長λ とほぼ同一となるようにしたので、ストークス光及びアンチストークス光をそれぞれ、共通の一つの波長λの波長選択手段で選択することができる。
この結果、異なる二つの波長、すなわち波長λsと波長λaとをそれぞれ選択しなければならなかった従来の光分波器(光フィルタ)に比べて、波長選択手段が単純化でき装置の小型化、経済化が図れるという効果が得られるようになった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平5−157637号公報
【特許文献2】特開2005−265458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前記特許文献2に記載の光ファイバ温度分布測定装置では、第1の波長λ1及び第2の波長λ2を含む光パルスを光ファイバに入射する際に、光パワを大きくできないので、十分な精度が得られないという問題や、温度分布を高い応答性で得ることが困難であるという問題等があった。
そこで、本発明は、ラマン散乱を利用して、低価格で精度が優れ、応答性が高く、使いやすい光ファイバ温度分布測定装置を得ることを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る光ファイバ温度分布測定装置は、
光ファイバに擬似ランダム符号(以下、「PN符号」ともいう。)で変調された連続光を出射し、該連続光によって前記光ファイバ内で発生するラマン散乱光を含む後方散乱光を前記光ファイバから受け、前記後方散乱光に含まれている前記ラマン散乱光のストークス光及びアンチストークス光を検出し、該ストークス光及びアンチストークス光の光強度に基づいて前記光ファイバの温度分布測定を行う光ファイバ温度分布測定装置において、
第1の波長λ1及び第2の波長λ2(>λ1)を含む前記連続光が前記光ファイバに入射されたときに、前記第1の波長λ1の前記連続光によって前記光ファイバ内で発生する前記ラマン散乱光における第1のストークス光の波長λ1sと、前記第2の波長λ2の連続光によって前記光ファイバ内で発生する前記ラマン散乱光における第2のアンチストークス光の波長λ2aとが共に、λ1<λ1s <λ2,λ1<λ2a <λ2を満たすとともに、第1のストークス光の波長λ1sと第2のアンチストークス光の波長λ2aとがほぼ同一となる、前記第1の波長λ1の連続光及び前記第2の波長λ2の連続光を、それぞれの連続光を共通のPN符号でデジタル変調して光ファイバに送出する送出手段と、
前記光ファイバからラマン散乱光を含む後方散乱光を受け、前記後方散乱光に含まれている前記第1のストークス光λ1s及び前記第2のアンチストークス光λ2aを選択して出力する波長選択手段と、
前記波長選択手段で選択出力された前記第1のストークス光λ1s及び前記第2のアンチストークス光λ2aを受光してデジタル信号に変換する第1の受光手段と、
前記デジタル信号を前記PN符号との相互相関処理によってPN復調して、時間領域で前記第1のストークス光λ1s成分と前記第2のアンチストークス光λ2a成分とを分離検出する第1の相関手段と、
時間領域で分離検出した前記第1のストークス光λ1s成分と前記第2のアンチストークス光λ2a成分に基づいた第1のレベル比を算出して、前記第1のレベル比に基づいて前記光ファイバの長手方向における温度分布特性を出力する演算手段と
を備えた。
【0015】
請求項2では、
前記送出手段は、
PN符号でデジタル変調された第1の波長λ1の連続を出射する第1の出射手段と、
前記PN符号でデジタル変調された第2の波長λ2の連続光を出射する第2の出射手段と、
前記第1の波長λ1の連続光と前記第2の波長λ2の連続光とを合波して前記光ファイバに送出する合波手段と
を備えている。
【0016】
請求項3では、
前記送出手段は、
前記第1の波長λ1の連続光と前記第2の波長λ2の連続光とを所定のタイミングで切り換えて送出するように構成されている。
請求項4では、
前記送出手段は、
前記第2の波長λ2の連続光を変調する擬似ランダム符号の極性を、所定のタイミングで切り換えるように構成されている。
【0017】
請求項5では、
前記光ファイバからレーリ散乱光を含む後方散乱光の一部を分岐して受け、前記後方散乱光に含まれている前記第1の波長λ1に対応したレーリ散乱光及び前記第2の波長λ2に対応したレーリ散乱光を受光してデジタル信号に変換する第2の受光手段と、
前記デジタル信号を前記PN符号との相互相関処理によってPN復調して、時間領域で前記第1の波長λ1に対応したレーリ散乱光成分と前記第2の波長λ2に対応したレーリ散乱光成分とを分離検出する第2の相関手段と、
を備え、
前記演算手段は、前記第1の波長λ1に対応したレーリ散乱光成分と前記第2の波長λ2に対応したレーリ散乱光に基づいた第2のレベル比を算出して、前記第1のレベル比を前記第2のレベル比で規格化して前記光ファイバの長手方向における温度分布特性として出力するように構成されている。
【0018】
請求項6では、
前記第2の相関手段におけるデジタル信号のPN復調処理と、前記第2の演算手段における第2のレベル比の算出処理と、前記演算手段における規格化処理を行うタイミングを制御する制御手段を備えている。
請求項7では、
前記演算手段は、
前記第1の相関手段からの出力と、前記第2の相関手段からの出力とが並行して入力されて、前記第1のレベル比を前記第2のレベル比で規格化して前記光ファイバの長手方向における温度分布特性として出力するように構成されている。
【0019】
請求項8では、
前記送出手段は、
第1の波長成分を遮断し、第2の波長成分を透過させる特性のエッジフィルタを備えている。
【0020】
請求項9では、
前記波長選択手段は、
第1の波長成分と第2の波長成分とを遮断し、
前記第1のストークス光λ1s成分と前記第2のアンチストークス光λ2a成分を透過させる特性のバンドパスフィルタを備えている。
【0021】
請求項10では、
前記第2の受光手段は、分岐比が1/500〜1/5000の光カプラを備えることにより、前記光ファイバからレーリ散乱光を含む後方散乱光の1/500〜1/5000を分岐するように構成されている。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、
共通の1つの波長選択手段でよいので、光ファイバ温度分布測定装置を低価格で提供できる。
また、PN符号で連続光を強度変調して光ファイバに入射するので、従来のパルス式OTDRに比べて小さな光源パワでよく、光ファイバの選択肢が広く、単一モードファイバを使用でき、小型化できるとともに、低価格で提供できる。
また、PN符号で変調して光ファイバに送出するのでPN符号のチップ速度を大きくすることによって精度を向上させることができる。
また、PN符号で変調して光ファイバに送出し、反射波をPN復調するので、最低1チップ周期分という極めて短時間で計測でき、応答性の優れた温度分布の計測が可能である。
また、センサ、装置とも、原理と構成が簡単明瞭であり、従来方式にくらべて小型、軽量、安価であり、扱いが容易で、電気的なセンシング技術に比較しても外乱に対して高い耐性を持っている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る光ファイバ温度分布測定装置の実施形態の構成図である。
【図2】前記光ファイバ温度分布測定装置の実施例1の構成図である。
【図3】前記光ファイバ温度分布測定装置における各波長と各フィルタの特性を説明する図である。
【図4】前記実施例1の光ファイバ温度分布測定装置における連続光の説明図である。
【図5】前記光ファイバ温度分布測定装置の実施例2の構成図である。
【図6】前記実施例2の光ファイバ温度分布測定装置における連続光の説明図である。
【図7】シミュレーション実験において設定した、距離に対するレーリ散乱光のレベル分布特性を示すグラフ。
【図8】シミュレーション実験において設定した、距離に対する温度分布特性を示すグラフ。 反射応答の実験結果のグラフ。
【図9】シミュレーション実験で得られた、距離に対するレーリ散乱光のレベル分布特性を示すグラフ。
【図10】シミュレーション実験で得られた、距離に対する温度分布特性を示すグラフ。
【図11】図10の特性を規格化した温度分布特性を示すグラフ。
【図12】ラマン散乱光の例として、波長λ1のストークス光の波形例を示すグラフ。
【図13】従来例の構成図。
【図14】別の従来例の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係る光ファイバ温度分布測定装置は、
光ファイバに擬似ランダム符号変調された連続光を出射し、該連続光によって前記光ファイバ内で発生するラマン散乱光を含む後方散乱光を前記光ファイバから受け、前記後方散乱光に含まれている前記ラマン散乱光のストークス光及びアンチストークス光を検出し、該ストークス光及びアンチストークス光の光強度に基づいて前記光ファイバの温度分布測定を行うものであり、
図1に示したように、
光ファイバ温度分布測定装置10は、
共通のPN符号でデジタル変調された第1の波長λ1の連続光及び第2の波長λ2(>λ1)の連続光を光ファイバFに送出する送出手段1と、
前記光ファイバFからの後方散乱光を受けて第1のストークス光λ1s及び第2のアンチストークス光λ2aを選択して出力する波長選択手段2と、
前記波長選択手段2で選択出力された前記第1のストークス光λ1s及び前記第2のアンチストークス光λ2aを受光してデジタル信号に変換する第1の受光手段3と、
前記デジタル信号を前記PN符号との相互相関処理によってPN復調して、時間領域で前記第1のストークス光λ1s成分と前記第2のアンチストークス光λ2a成分とを分離検出する第1の相関手段4と、
時間領域で分離検出した前記第1のストークス光λ1s成分と前記第2のアンチストークス光λ2a成分に基づいた第1のレベル比を算出して、前記第1のレベル比に基づいて前記光ファイバの長手方向における温度分布特性を出力する演算手段5と
を備えている。
【0025】
前記送出手段1は、
第1の波長λ1及び第2の波長λ2(>λ1)を含む連続光が前記光ファイバFに入射されたときに、前記第1の波長λ1の連続光によって前記光ファイバF内で発生する前記ラマン散乱光における第1のストークス光の波長λ1sと、前記第2の波長λ2の連続光によって前記光ファイバF内で発生する前記ラマン散乱光における第2のアンチストークス光の波長λ2aとが共に、λ1<λ1s <λ2,λ1<λ2a <λ2を満たすとともに、第1のストークス光の波長λ1sと第2のアンチストークス光の波長λ2aとがほぼ同一となる、前記第1の波長λ1の光パスル及び前記第2の波長λ2の連続光を、それぞれの連続光を共通のPN符号でデジタル変調して前記光ファイバFに送出するように構成されている。
【0026】
なお、第2の受光手段を備えて、規格化することにより、光ファイバFの長手方向の距離に応じた減衰特性による影響を補正することができる。
【実施例1】
【0027】
実施例1の光ファイバ温度分布測定装置20は、
図2に示したように、
送出手段21と、光ファイバFBと、波長選択手段22と、第1の受光手段23と、第2の受光手段26と、相関手段24と、信号処理部25と、制御手段27を備えている。
【0028】
前記送出手段21は、
PN符号発生回路211と、
前記PN符号発生回路にて発生させた共通のPN符号を、所定のタイミングで切り換えて出力する第1の切り換え手段SW1と、
前記第1の切り換え手段SW1で切り換えられたPN符号をドライブアンプで増幅した駆動電流でオンオフ駆動される第1のレーザ発光ダイオードLD1を備えて、前記PN符号でデジタル変調された第1の波長λ1の連続光を第1の出射ファイバFB1に出射する第1の出射手段213と、
前記第1の切り換え手段SW1で切り換えられたPN符号を増幅した駆動電流でオンオフ駆動される第2のレーザ発光ダイオードLD2を備えて、前記PN符号でデジタル変調された第2の波長λ2の連続光を第2の出射ファイバFB2に出射する第2の出射手段214と、
前記第1の出射ファイバFB1の連続光と前記第2の出射ファイバFB2の連続光とを、図3の特性のエッジフィルタF0で合波して合波ファイバFB3に送出する合波手段215と、
を備えている。
【0029】
第1の出射手段213から出射される第1の波長λ1と、前記第2の出射手段214から出射される第2の波長λ2は、以下の条件を満たすように設定されている。
前記第1の波長λ1の連続光が前記光ファイバFBに入射されたときに、前記第1の波長λ1の連続光によって前記光ファイバFB内で発生する前記ラマン散乱光における第1のストークス光の波長をλ1sとし、
前記第2の波長λ2の連続光が前記光ファイバFBに入射されたときに、前記第2の波長λ2の連続光によって前記光ファイバFB内で発生する前記ラマン散乱光における第2のアンチストークス光の波長をλ2aとしたとき、
条件1:λ1<λ1s <λ2,且つ、λ1<λ2a <λ2
を満たすとともに、
条件2:λ1s≒λ2a、即ち、第1のストークス光の波長λ1sと第2のアンチストークス光の波長λ2aとがほぼ同一となる
ように、前記第1の波長λ1と前記第2の波長λ2は設定されている。
【0030】
光カプラ231は、
前記光ファイバFBからレーリ散乱光を含む後方散乱光を、第1の分岐ファイバFB4と、第2の分岐ファイバFB5に分岐するものであり、前記第1の分岐ファイバFB4は後述する波長選択手段22に接続され、前記第2の分岐ファイバFB5は後述する第2の受光用フォトダイオードPD2に接続されている。この光カプラ231における前記第1の分岐ファイバFB4と前記第2の分岐ファイバFB5の分岐比は、1:1000程度に設定されている。
前記第1の分岐ファイバFB4と前記第1の受光ファイバFB6からなる光ファイバの光路を「ラマンアーム」と称し、前記第2の分岐ファイバFB5からなる光ファイバの光路を「レーリアーム」と称する。
【0031】
前記波長選択手段22は、
前記光ファイバFから第1の分岐ファイバFB4を経由した後方散乱光を受けて、図3に示した特性のバンドパスフィルタF1によって、第1のストークス光λ1s及び第2のアンチストークス光λ2aを選択して、第1の受光ファイバFB6へ出力するように構成されている。
【0032】
前記第1の受光手段23は、前記第1の受光ファイバFB6と、第1の受光用フォトダイオードPD1と、第1のA/D変換手段AD1とを備え、
前記第2の受光手段26は、前記第2の分岐ファイバFB5と、第2の受光用フォトダイオードPD2と、第2のA/D変換手段AD2とを備えている。
【0033】
前記第2の受光用フォトダイオードPD2は、前記後方散乱光に含まれている前記第1の波長λ1に対応したレーリ散乱光及び前記第2の波長λ2に対応したレーリ散乱光を受光して電気信号に変換するように構成され、前記電気信号は前記第2のA/D変換手段AD2でデジタル信号に変換するように構成されている。
これらの2つのA/D変換手段AD1,AD2の出力は、第2の切り換え手段SW2によって所定のタイミングで切り換えられて前記相関手段24に入力される。
【0034】
前記相関手段24は、
前記デジタル信号を前記PN符号との相互相関処理によってPN復調して、時間領域で前記第1のストークス光λ1s成分と前記第2のアンチストークス光λ2a成分とを分離検出する第1の相関手段としての処理と、
前記デジタル信号を前記PN符号との相互相関処理によってPN復調して、時間領域で前記第1の波長λ1に対応したレーリ散乱光成分と前記第2の波長λ2に対応したレーリ散乱光成分とを分離検出する第2の相関手段としての処理を兼ねた相関手段である。
【0035】
前記信号処理部25は、
時間領域で分離検出した前記第1のストークス光λ1s成分と前記第2のアンチストークス光λ2a成分に基づいた第1のレベル比(これを「ストークス比」と称する。)を算出するとともに、
前記第1の波長λ1に対応したレーリ散乱光成分と前記第2の波長λ2に対応したレーリ散乱光に基づいた第2のレベル比(これを「レーリ比」と称する。)を算出して、前記第1のレベル比を前記第2のレベル比で規格化して前記光ファイバFBの長手方向における温度分布特性として出力するように構成されている。
【0036】
前記制御手段27は、
前記信号処理部25における演算処理と、
前記PN符号発生回路211におけるPN符号の発生処理と、
前記第1の切り換え手段SW1の切り換えタイミングと、
前記第2の切り換え手段SW2の切り換えタイミングと、
前記相関手段24におけるデジタル信号のPN復調処理と、
を制御するように構成されている。
【0037】
以上のように構成された光ファイバ温度分布測定装置20においては、
前記第1のレーザ発光ダイオードLD1と、前記第2のレーザ発光ダイオードLD2とを、前記PN符号発生回路211にて発生させたPN符号でデジタル変調する。前記第1の切り換え手段SW1はPN符号のフレーム毎に切り換えられるので、前記合波光ファイバFB3には、図4に示したように、波長λ1の変調光と波長λ2の変調光とが交互に送出される。
なお、前記合波手段215のエッジフィルタF0は、第1の波長λ1は透過させずに反射させて前記合波ファイバFB3へ送出し、第2の波長λ2は透過させて前記合波ファイバFB3へ送出する。
【0038】
以上のようにして合波された波長λ1の変調光と波長λ2の変調光は前記波長選択手段22に入射する。前記波長選択手段22のバンドパスフィルタF1は、波長λ1の変調光と波長λ2の変調光は共に透過させずに反射させるので前記第1の分岐ファイバFB4に送出する。
このようにして、擬似ランダム符号変調された連続光が前記第1の分岐ファイバFB4から前記光カプラ231を介して前記光ファイバFBに送出されると、前記光ファイバFBによる後方散乱光は前記光カプラ231によって第1の分岐ファイバFB4と第2の分岐ファイバFB5とに、分岐比1:1000で分岐される。
【0039】
前記第1の分岐ファイバFB4に入射した前記後方散乱光は、前記波長選択手段22に入射する。この波長選択手段22のバンドパスフィルタF1によって、第1の波長λ1のストークス光λ1s、もしくは第2の波長λ2のアンチストークス光λ2aとは、選択されて透過して、前記第1の受光ファイバFB6を介して、前記第1の受光用フォトダイオードPD1にて電気信号に変換される。
【0040】
そして、第1のA/D変換手段AD1でデジタル信号に変換され、前記第2の切り換え手段SW2が第1のA/D変換手段AD1側に切り換えられている間は、前記相関手段24に入力されるので、前記相関手段24においては、前記デジタル信号と前記PN符号との相互相関処理を行うことにより、前記デジタル信号をPN復調して、時間領域で前記第1のストークス光λ1s成分と前記第2のアンチストークス光λ2a成分とを分離検出して前記信号処理部25へ出力する。
前記信号処理部25では、時間領域で分離検出した前記第1のストークス光λ1s成分と前記第2のアンチストークス光λ2a成分に基づいた第1のレベル比を算出する。
【0041】
前記第2の分岐ファイバFB5に分岐して入射した前記後方散乱光は、前記第2の受光用フォトダイオードPD2にて電気信号に変換される。なお、前記第2の受光用フォトダイオードPD2に入力される前記後方散乱光のレベルは1/1000程度になっているので、元々レーリ散乱光のレベルに比して1/1000程度であるラマン散乱光成分は実質的に無視されることになり、実質的にはレーリ散乱光のみが前記第2の受光用フォトダイオードPD2にて電気信号に変換されるとみなされる。
このようにして、波長λ1、λ2のレーリ散乱光成分は第2のA/D変換手段AD2にてデジタル信号に変換される。
前記第2の受光用フォトダイオードPD2に入力される前記後方散乱光のレベルは、前記光カプラ231によって1/1000程度に減衰されているので、前記第1の受光用フォトダイオードPD1に入力される前記後方散乱光のレベルとほぼ同等レベルになっており、後続するプリアンプの利得を揃えることができ、それぞれのA/D変換手段に入力する信号レベルを揃えることができる。したがって、受光回路から相関手段の入力までの回路設計が容易になる。分岐比が1/500〜1/5000の範囲を外れるとこのような効果が期待できなくなる。
なお、分岐比が1:1000程度の光カプラに代えて、分岐比が1:1の通常の光カプラで分岐した後に30dB程度の光減衰器を挿入してもよい。
【0042】
ここで、前記制御手段27からの制御信号によって、前記第2の切り換え手段SW2が第2のA/D変換手段AD2側に切り換えられている間は、前記相関手段24においては、波長λ1、λ2のレーリ散乱光成分が相互相関処理されて、前記第1の波長λ1に対応したレーリ散乱光成分と前記第2の波長λ2に対応したレーリ散乱光に基づいた第2のレベル比(レーリ比)が算出される。
以上のようにして、前記信号処理部25では、所定のタイミングで前記第1のレベル比と前記第2のレベル比との比を算出することによって、前記第1のレベル比を前記第2のレベル比で規格化することによって、前記光ファイバFBの長手方向の位置の違いによるレーリ散乱光のレベルに対する影響を補正する。このようにして補正した第1のレベル比に基づいて、前記光ファイバFBの長手方向の温度分布特性に対応した信号を出力するのである。
なお、以上の実施例1では、前記相関手段24に入力される信号を、第2の切り換え手段SW2を用いて前記ラマンアーム側(第1のA/D変換手段AD1側)もしくは前記レーリアーム(第2のA/D変換手段AD2側)に交互に切り換える構成とすることによって、共通の相関手段24を利用できるようにしたが、前記相関手段24に代えて、前記ラマンアーム側の専用の相関手段と、前記レーリアーム側の専用の別の相関手段を備えて前記第2の切り換え手段SW2を省略することもできる。この場合には、2つの相関手段からの出力信号が同時に得られて、前記信号処理部25に並行して入力されるので、前記信号処理部25においては、タイミング切り換え無しで演算処理することができる。その結果として、処理速度が2倍になるという効果も得られる。
【実施例2】
【0043】
実施例2の光ファイバ温度分布測定装置30は、
図5に示したように、
送出手段31と、光ファイバFBと、波長選択手段32と、第1の受光手段33と、第2の受光手段36と、相関手段34と、信号処理部35と、制御手段37を備えている。
【0044】
前記送出手段31は、
PN符号発生回路311と、
前記PN符号をドライブアンプで増幅した駆動電流でオンオフ駆動される第1のレーザ発光ダイオードLD1を備えて、前記PN符号でデジタル変調された第1の波長λ1の連続光を第1の出射ファイバFB1に出射する第1の出射手段313と、
前記PN符号発生回路にて発生させた前記PN符号と、前記PN符号を反転させた反転PN符号とを、所定のタイミングで切り換えて、第2の出射手段314へ出力する第1の切り換え手段SW1と、
前記切り換え手段で切り換えられたPN符号または反転PN符号を増幅した駆動電流でオンオフ駆動される第2のレーザ発光ダイオードLD2を備えて、前記PN符号でデジタル変調された第2の波長λ2の連続光を第2の出射ファイバFB2に出射する前述した第2の出射手段314と、
前記第1の出射ファイバFB1の連続光と前記第2の出射ファイバFB2の連続光とを、図3の特性のエッジフィルタF0で合波して合波ファイバFB3に送出する合波手段215と、
を備えている。
【0045】
また、第1の受光手段33の出力と、第2の受光手段36の出力とを、所定のタイミングで切り換える第2の切り換え手段SW2を備えている。
【0046】
前記実施例2の光ファイバ温度分布測定装置が、前記実施例1と異なる点は、前記第1の切り換え手段SW1が、前記第2の出射手段314へ、前記PN符号もしくは前記PN符号を反転させた反転PN符号を出射することである。
他の構成は、実施例1同様であるので、その説明を省略する。
【0047】
実施例2では、図6に示したように、2つの波長λ1、λ2の成分が、共通のPN符号で、同じタイミング且つ同相で変調されて加算された連続光からなるPN符号フレームと、逆相で変調されて加算された連続光からなるPN符号フレームが交互に生成される。
前記実施例2では、前記第1の切り換え手段SW1と前記第2の切り換え手段SW2とを同じタイミングで切り換えて、前記相関手段34にて、ストークス比とレーリ比を順次求める。
なお、以上の実施例2においても、前記相関手段34に代えて、前記ラマンアーム側(第1のA/D変換手段AD1側)の専用の相関手段と、前記レーリアーム側(第2のA/D変換手段AD2側)の専用の相関手段を備えることにより、前記第2の切り換え手段SW2を省略することもできる。この場合には、2つの相関手段からの出力信号が同時に得られて、前記信号処理部35に並行して入力されるので、前記信号処理部35においては、タイミング切り換え無しで演算処理することができる。その結果として、処理速度が2倍になるという効果も得られる。
【0048】
図7〜図11は、シミュレーション実験により、本発明による効果を確認したものである。
図7に示したように、前記光ファイバFBにおけるロスは、レーリ成分で、第1の波長λ1では0.2dB/km、第2の波長λ2では0.22dB/kmと設定し、
図8に示したように、前記光ファイバFBの長手方向に沿って5km〜5.2kmにわたって、ラマン成分に現れる温度変化を反射率として±3dBと設定して、シミュレーション実験を行った。なお、ラマン成分の強度は、レーリ成分の10-4と想定している。
【0049】
シミュレーション実験においては、PN符号変調の条件としては、チップレート100MHz,符号長216−1のPN符号で変調した連続光に対しする反射光に対して相関処理を行った。レ−リアーム側に入射する反射光と、ラマンアーム側に入射する反射光に対して相関処理を行い、同相成分と差動成分から、波長λ1成分と波長λ2成分を演算して求めた。
【0050】
その結果、図9、10に示したように、前記図7、8と同じ結果が得られた。
レーリ成分は、図9に示したように、第1の波長λ1では0.2dB/kmのロス、第2の波長λ2では0.22dB/kmのロスが得られた。
また、ラマン成分は、図10に示したように、5km〜5.2kmの範囲で±3dB相当の反射率の変化として、温度変化に相当する変化が得られた。
そして、図10の結果から、図9で得られた光ファイバによるロスの影響を演算処理により除去すると、図11に示したように、光ファイバの長さによるロスの影響を排除した温度分布を測定することができる。
このように、シミュレーション実験の結果によっても、本発明による温度分布測定装置の有用性が立証できた。
なお、図12には、ラマン散乱光の例として、波長λ1のストークス光の波形例を示した。
【符号の説明】
【0051】
10 光ファイバ温度分布測定装置
1 送出手段
FB 光ファイバ
2 波長選択手段
3 第1の受光手段
4 第1の相関手段
5 演算手段

20 実施例1の光ファイバ温度分布測定装置
21 送出手段
FB 光ファイバ
22 波長選択手段
23 第1の受光手段
24 相関手段
25 信号処理部
26 第2の受光手段
27 制御手段

30 実施例2光ファイバ温度分布測定装置
31 送出手段
FB 光ファイバ
32 波長選択手段
33 第1の受光手段
34 相関手段
35 信号処理部
36 第2の受光手段
37 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバに擬似ランダム符号(以下、「PN符号」ともいう。)で変調された連続光を出射し、該擬似ランダム符号変調された連続光によって前記光ファイバ内で発生するラマン散乱光を含む後方散乱光を前記光ファイバから受け、前記後方散乱光に含まれている前記ラマン散乱光のストークス光及びアンチストークス光を検出し、該ストークス光及びアンチストークス光の光強度に基づいて前記光ファイバの温度分布測定を行う光ファイバ温度分布測定装置において、
第1の波長λ1及び第2の波長λ2(>λ1)を含む擬似ランダム符号変調された連続光が前記光ファイバに入射されたときに、前記第1の波長λ1の擬似ランダム符号変調された連続光によって前記光ファイバ内で発生する前記ラマン散乱光における第1のストークス光の波長λ1sと、前記第2の波長λ2の擬似ランダム符号変調された連続光によって前記光ファイバ内で発生する前記ラマン散乱光における第2のアンチストークス光の波長λ2aとが共に、λ1<λ1s <λ2,λ1<λ2a <λ2を満たすとともに、第1のストークス光の波長λ1sと第2のアンチストークス光の波長λ2aとがほぼ同一となる、前記第1の波長λ1の擬似ランダム符号変調された連続光及び前記第2の波長λ2の擬似ランダム符号変調された連続光を、それぞれ共通のPN符号でデジタル変調して光ファイバに送出する送出手段と、
前記光ファイバからラマン散乱光を含む後方散乱光を受け、前記後方散乱光に含まれている前記第1のストークス光λ1s及び前記第2のアンチストークス光λ2aを選択して出力する波長選択手段と、
前記波長選択手段で選択出力された前記第1のストークス光λ1s及び前記第2のアンチストークス光λ2aを受光してデジタル信号に変換する第1の受光手段と、
前記デジタル信号を前記PN符号との相互相関処理によってPN復調して、時間領域で前記第1のストークス光λ1s成分と前記第2のアンチストークス光λ2a成分とを分離検出する第1の相関手段と、
時間領域で分離検出した前記第1のストークス光λ1s成分と前記第2のアンチストークス光λ2a成分に基づいた第1のレベル比を算出して、前記第1のレベル比に基づいて前記光ファイバの長手方向における温度分布特性を出力する演算手段と
を備えたことを特徴とする光ファイバ温度分布測定装置。
【請求項2】
前記送出手段は、
PN符号でデジタル変調された第1の波長λ1の連続光を出射する第1の出射手段と、
前記PN符号でデジタル変調された第2の波長λ2の連続光を出射する第2の出射手段と、
前記第1の波長λ1の擬似ランダム符号変調された連続光と前記第2の波長λ2の擬似ランダム符号変調された連続光とを合波して前記光ファイバに送出する合波手段と
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ温度分布測定装置。
【請求項3】
前記送出手段は、
前記第1の波長λ1の擬似ランダム符号変調された連続光と前記第2の波長λ2の擬似ランダム符号変調された連続光とを所定のタイミングで切り換えて送出するように構成されていることを特徴とする請求項1または2の何れか1項に記載の光ファイバ温度分布測定装置。
【請求項4】
前記送出手段は、
前記第2の波長λ2の連続光を変調する擬似ランダム符号の極性を、所定のタイミングで切り換えるように構成されていることを特徴とする請求項1または2の何れか1項に記載の光ファイバ温度分布測定装置。
【請求項5】
前記光ファイバからレーリ散乱光を含む後方散乱光の一部を分岐して受け、前記後方散乱光に含まれている前記第1の波長λ1に対応したレーリ散乱光及び前記第2の波長λ2に対応したレーリ散乱光を受光してデジタル信号に変換する第2の受光手段と、
前記デジタル信号を前記PN符号との相互相関処理によってPN復調して、時間領域で前記第1の波長λ1に対応したレーリ散乱光成分と前記第2の波長λ2に対応したレーリ散乱光成分とを分離検出する第2の相関手段と、
をさらに備え、
前記演算手段は、前記第1の波長λ1に対応したレーリ散乱光成分と前記第2の波長λ2に対応したレーリ散乱光に基づいた第2のレベル比を算出して、前記第1のレベル比を前記第2のレベル比で規格化して前記光ファイバの長手方向における温度分布特性として出力するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4に記載の光ファイバ温度分布測定装置。
【請求項6】
前記第2の相関手段におけるデジタル信号のPN復調処理と、前記第2の演算手段における第2のレベル比の算出処理と、前記演算手段における規格化処理を行うタイミングを制御する制御手段を備えていることを特徴とする請求項5に記載の光ファイバ温度分布測定装置。
【請求項7】
前記演算手段は、
前記第1の相関手段からの出力と、前記第2の相関手段からの出力とが並行して入力されて、前記第1のレベル比を前記第2のレベル比で規格化して前記光ファイバの長手方向における温度分布特性として出力するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の光ファイバ温度分布測定装置。
【請求項8】
前記送出手段は、
第1の波長成分を遮断し、第2の波長成分を透過させる特性のエッジフィルタを備えていることを特徴とする請求項1乃至7に記載の光ファイバ温度分布測定装置。
【請求項9】
前記波長選択手段は、
第1の波長成分と第2の波長成分とを遮断し、
前記第1のストークス光λ1s成分と前記第2のアンチストークス光λ2a成分を透過させる特性のバンドパスフィルタを備えていることを特徴とする請求項1乃至8に記載の光ファイバ温度分布測定装置。
【請求項10】
前記第2の受光手段は、分岐比が1/500〜1/5000の光カプラを備えることにより、前記光ファイバからレーリ散乱光を含む後方散乱光の1/500〜1/5000を分岐するように構成されていることを特徴とする請求項5乃至9に記載の光ファイバ温度分布測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−145435(P2012−145435A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3855(P2011−3855)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(392026497)株式会社渡辺製作所 (9)
【出願人】(506271360)
【Fターム(参考)】