説明

光ファイバ端面の研磨治具と研磨装置及び研磨方法

【課題】複数本の光ファイバの端面を容易かつ迅速に斜め研磨を行うことが可能な光ファイバ端面の研磨治具を提供する。
【解決手段】複数本の光ファイバ1の端部を保持して研磨するための治具に於て、複数本の光ファイバ1を挟圧保持する押圧プレート32と、受けブロック31と、を備え、押圧プレート32及び受けブロック31は、複数本のV字溝31a,32aを有し、V字溝31a,32aは、研磨状態で研磨面Kに接近する対向平面に対して所定の傾斜角度をもって形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ端面の研磨治具と研磨装置及び研磨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光ファイバの長手(軸心)方向に対して直交する平面に研磨を行う方法や装置としては、1本ずつ治具にセットして行っているのが一般的である。(例えば、特許文献1参照)。即ち、回転可能な円盤形の取付治具に光ファイバの端部を1本ずつセットするものが知られている。また、処理本数を多くするために、複数本の光ファイバの端部を束ねるように接着剤にて固定し、金属円筒内挿入して、研磨する方法が行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60−29044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、光ファイバを接着剤にて固定する時間、及び、研磨の後に接着剤を除去して、束の光ファイバをばらして取出すための時間が多く掛かって、生産能率がかなり悪いという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、複数本の光ファイバの端面を容易かつ迅速に斜め研磨を行うことが可能な光ファイバ端面の研磨治具と研磨装置及び研磨方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の光ファイバ端面の研磨治具は、複数本の光ファイバの端部を保持して研磨するための治具に於て、複数本の上記光ファイバを挟圧保持する押圧プレートと、受けブロックと、を備え、上記受けブロック及び上記押圧プレートは、複数本のV字溝を有し、上記V字溝は、研磨状態で研磨面に接近する対向平面に対して所定の傾斜角度をもって形成されているものである。
また、上記V字溝の上記傾斜角度を、5度以上85度以下に設定したものである。
また、Nを2以上の整数とすれば、上記V字溝をN本形成し、上記光ファイバをN本の列と(N−1)本の列とが交互に積層された俵積集合体として挟圧保持するように構成したものである。
【0007】
また、本発明の光ファイバ端面の研磨装置は、複数本の光ファイバの端部を保持して研磨する装置に於て、Nを2以上の整数とすれば、上記光ファイバを、N本の列と(N−1)本の列とが交互に積層された俵積集合体として挟圧保持すると共に、研磨状態で研磨面に接近する対向平面に対して上記光ファイバの軸心を所定の傾斜角度をもって挟圧保持する研磨治具と、上記研磨面に略平行に配設されると共に複数の取付窓部を有するディスクと、を備え、上記研磨治具を上記取付窓部に固着手段にて固着して、複数本の上記光ファイバを斜め研磨するように構成したものである。
【0008】
また、本発明の光ファイバ端面の研磨方法は、複数本の光ファイバの端部を保持して研磨する方法に於て、Nを2以上の整数とすれば、N本の上記光ファイバの端部を1列に並べて固定した大帯状体と、(N−1)本の上記光ファイバの端部を1列に並べて固定した小帯状体と、を形成し、上記大帯状体と上記小帯状体とを交互に重ね合わせて積層状の俵積集合体として挟圧保持すると共に、上記光ファイバの軸心が研磨状態で研磨面に対して所定の傾倒角度をもつように挟圧保持し、その後、上記光ファイバの端面が研磨状態で上記研磨面に対して略平行となるように上記軸心に対して斜め切断し、その後、複数本の上記光ファイバを斜め研磨する方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数本の光ファイバ端部を、研磨面に対して高精度の所定の傾斜角度に挟圧保持でき、極めて高能率に、かつ、高精度に光ファイバ端面の斜め研磨を行うことが可能となる。さらに、研磨ムラを発生させず、製品歩留りが向上でき、生産効率が著しく改善される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】光ファイバ端面の研磨装置の実施形態を示す要部断面正面図である。
【図2】光ファイバ端面の研磨装置の実施形態の要部平面図である。
【図3】ディスクの一例を示す平面図である。
【図4】研磨治具及びディスクの使用状態を示す平面図である。
【図5】図4の要部断面正面図である。
【図6】受けブロックの一例を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は正面図であり、(c)はX方向矢視図である。
【図7】押圧プレートの一例を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は正面図であり、(c)はY方向矢視図である。
【図8】保持ブロックの一例を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は正面図であり、(c)はZ方向矢視図である。
【図9】作用説明図である。
【図10】作用説明図である。
【図11】光ファイバ端面の研磨方法の説明図である。
【図12】光ファイバ端面の研磨方法の説明図である。
【図13】光ファイバ端面の研磨方法の説明図である。
【図14】研磨後の光ファイバ端面の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図示の実施の形態に基づき本発明を詳説する。
図1及び図2に於て、本発明の光ファイバ端面の研磨装置は、光ファイバ1の端面をラッピング研磨する装置であって、鉛直軸心L4廻りに回転する円盤状の研磨(ラッピング)定盤4と、研磨定盤4の研磨面Kに平行に配設される円盤状のディスク2と、ディスク2に着脱自在に固着されると共に光ファイバ1の端部を固定保持する複数の研磨治具3と、光ファイバ1の残部を巻設状に保持する複数の巻付け部10と、を備えている。
【0012】
図3乃至図5に於て、ディスク2は、円周方向に沿って配設されると共に研磨治具3が組み込まれる複数の取付窓部20と、円周等分配に貫設されると共にダミーシャフト5が差し込まれる複数の貫孔25と、外周面2Dから取付窓部20へラジアル方向に貫設する固着用ネジ孔28と、を有している。また、固着用ネジ孔28には固着ネジ27が螺着している。
【0013】
取付窓部20は、治具位置決め用のV字溝を形成する三角状の切欠孔部21と、略矩形状の収納孔部22と、を有している。取付窓部20は、4乃至8個設ける。より好ましくは6個である。切欠孔部21は、略90度の開き角度θbをもって形成され、研磨状態で研磨面Kに平行状に接近するディスク2の対向平面2Cに対して直交面状に内側面21b,21bが形成されている。
【0014】
図4に於て、本発明に係る光ファイバ端面の研磨治具3は、複数本の光ファイバ1の端部を挟圧保持する押圧プレート32と受けブロック31を備えている。また、受けブロック31に固着される保持ブロック33を備え、両ブロック31,33は、ボルト17によって一体化され、可動の押圧プレート32に対して、固定側の一体状ブロックを構成している。また、研磨治具3を、取付窓部20の各々に取着することができる。
【0015】
図4乃至図6に於て、受けブロック31は、受け面側に形成される複数本のV字溝31aと、研磨状態で研磨面Kに平行状に接近する対向平面31cと、対向平面31cに平行に貫設されガイド用のピン34,34の一端が圧入される2つのピン孔31d,31dと、切欠孔部21に差し込まれる台形状の位置決め用突出部31fと、を有している。突出部31fは、平面視で略90度の開き角度θfをもって形成される位置決め用の側面31b,31bを有している。
【0016】
図4と図5及び図7に於て、可動の押圧プレート32は、正面視略平行四辺形状に形成され、受けブロック31に対向する押圧面に形成される複数本のV字溝32aと、研磨状態で研磨面Kに平行状に接近する対向平面32cと、ピン34,34が挿通するスライド用の貫孔32d,32dと、正面視でV字溝32aに平行状に形成される傾斜側面32g,32gを有している。
【0017】
また、図6及び図7に於て、V字溝31a,32aは、対向平面31c,32cに対して、相等しい所定の傾斜角度θ1,θ2をもって形成されている。傾斜角度θ1,θ2は、5度以上85度以下に設定している。より好ましくは、30度以上60度以下であり、略35度に設定するも望ましい。また、V字溝31a,32aは、2本以上形成され、好ましくは、3本以上9本以下であり、より好ましくは6本以上8本以下である。
【0018】
V字溝31a,32aの開き角度θ7,θ8は、略90度に設定している。また、受けブロック31のV字溝31aと、押圧プレート32のV字溝32aとは、対向に配設され、谷部及び山部を並び方向に一致させ同ピッチで形成されている。なお、受けブロック31のV字溝31aを受けV字溝31a、押圧プレート32のV字溝32aを押圧V字溝32aと、各々呼ぶ場合もある。
【0019】
図4と図5及び図8に於て、保持ブロック33は、研磨状態で研磨面Kに平行状に接近する対向平面33cと、ピン34,34の他端が差込まれる挿入孔33d,33dと、押圧プレート32を押圧する保持ネジ36,36が螺着する保持用ネジ孔33f,33fと、受けブロック31との間で傾斜状空間部3Gを形成するための傾斜状の切欠溝部33aと、を有している。
【0020】
切欠溝部33aは、対向平面33cに対して所定の傾斜角度θ3をもって形成されている。傾斜角度θ3は、V字溝32a,31aの傾斜角度θ1,θ2と同じに設定されている。また、切欠溝部33aの勾配内側面33g,33gは、押圧プレート32の傾斜側面32g,32gが摺接するガイド面でもある。
【0021】
言い換えると、図4及び図5に於て、研磨治具3は、受けブロック31と保持ブロック33を一体化して形成される(静止側)治具本体ブロック3Bと、研磨状態で研磨面Kに平行状に接近する対向平面3Cと、治具本体ブロック3Bに貫設された傾斜状空間部3Gと、空間部3Gに串差し状に橋設された2本のピン34,34と、空間部3G内でピン34や勾配内側面33g,33gにてガイドされ受けブロック31に接近・離間する方向にスライド自在な浮動状の押圧プレート32と、受けV字溝31aと押圧V字溝32aの間に形成され光ファイバ1の端部が差し込まれる傾斜状保持孔3Aと、固着ネジ27の螺進によって押圧される受圧面3Dと、を有している。研磨治具3の対向平面3Cは、受けブロック31や押圧プレート32及び保持ブロック33の対向平面31c,32c,33cである。保持孔3A及び空間部3Gは、対向平面3Cに対してV字溝31a,32aの傾斜角度θ1,θ2と同じ角度の傾斜角度をもって形成されている。保持孔3Aは、押圧プレート32の平行移動によって、受けV字溝31aと押圧V字溝32aの間の距離(開き寸法)が調整自在である。
【0022】
また、研磨治具3は、固着ネジ27と固着用ネジ孔28とから成る固着手段29によって、ディスク2のラジアル内方へ押圧され取付窓部20内に固着される。切欠孔部21と突出部31fから成る位置決め手段30によって、研磨治具3の対向平面3Cが、ディスク2の対向平面2C及び研磨面Kに平行状に位置決めされる。
【0023】
研磨治具3は、開き寸法を調整可能とし、かつ、対向するV字溝31a,32aの並びを一致させることで、Nを2以上の整数とすれば、光ファイバ1の端部を、N本の列と(N−1)本の列とを順次繰り返して奇数列で積層された俵積集合体8として挟圧保持可能としている。
例えば、図9に示すように、V字溝31a,32aを7本形成した場合(N=7の場合)は、受けV字溝31aで7本の光ファイバ1を位置決め支持し、押圧V字溝32aで7本の光ファイバ1を位置決め支持し、さらに、V字溝31a,32aに支持された光ファイバ1の間に、6本の光ファイバ1を挟むことで、7本と6本と7本とで3列に積層された俵積集合体8として合計20本分を挟圧保持可能としている。また、図10に示すように、対向するV字溝31a,32a同士で1本ずつ光ファイバ1を挟圧保持し、V字溝31a,32aが形成された本数以下の一列体9として挟圧保持可能としている。
【0024】
次に、本発明の光ファイバ端面の研磨方法、及び、上述した研磨治具と研磨装置の使用方法(作用)について説明する。
図11に示すように、複数本の光ファイバ1の端部を1列に予備整列させ、接着剤よりも粘着力が弱く剥離が容易な粘着テープ13を、端面寄りかつ片面側のみに貼着して第1仮固定部11を形成する。第1仮固定部11から所定間隔Sをもって、粘着テープ13を片面側のみに貼着して第2仮固定部12を形成する。複数本の光ファイバ1の端部を一列に並べて(仮)固定した帯状体を形成する。なお、粘着テープ13に、本数を表示させるのが望ましい。
【0025】
帯状体を形成する際、Nを2以上の整数とすれば、N本の端部を一列に並べた大帯状体7と、(N−1)本の端部を一列に並べた小帯状体6と、を形成する。大帯状体7と小帯状体6とを交互に(順次)繰り返して積層した仮の俵積集合体8を形成し、保持孔3Aに挿通させる。具体的には、7本の大帯状体7と、6本の小帯状体6と、7本の大帯状体7と、を重ね合わせて3層の仮の俵積集合体8を形成する。
【0026】
保持ネジ36,36を螺進させると、前後に移動自在な押圧プレート32が受けブロック31にスムーズに接近し、受けV字溝31aが一方の大帯状体7を位置決め保持し、押圧V字溝32aが他方の大帯状体7を位置決め保持する。このとき同時に、対向する大帯状体7と大帯状体7が小帯状体6を位置決めし挟圧保持する。図12に示すように、研磨治具3は、第1仮固定部11と第2仮固定部12の間を俵積集合体8として挟圧保持する。なお、研磨治具3で挟圧保持後に、粘着テープ13を剥離する。
【0027】
図4と図5に於て、光ファイバ1はV字溝31a,32aによって位置決め保持されることで、光ファイバ1の軸心Laと対向平面3Cの間の所定の傾斜角度θaが、V字溝31a,32aの傾斜角度θ1,θ2と同じ角度となる。
【0028】
そして、図13に示すように、研磨治具3で挟圧保持後に、研磨治具3を挿通した光ファイバ1の端面寄りを、軸心Laに対して斜めに切断する。この際、切断端面1dが研磨治具3の対向平面3Cと略平行となるように切断する。つまり、図5に示すように、光ファイバ1の切断端面1dが研磨状態で研磨面Kに対して略平行となるように切断する。
【0029】
斜め切断後に、図4に示すように、光ファイバ1の端部を挟圧保持している研磨治具3を、ディスク2の取付窓部20に収納し、固着ネジ27を螺進させる。研磨治具3は、受けブロック31の突出部31fの側面31b,31bが切欠孔部21の内側面21b,21bに当接して、対向平面3C(31c,32c,33c)が研磨面Kと略平行に位置決めされ、ディスク2に固着される。つまり、位置決め手段30にて対向平面3Cが研磨面Kと略平行に配設され、固着手段29にてディスク2に固着される。複数の取付窓部20に、研磨治具3を、夫々、固着する。光ファイバ1の残部(中間部)は、図1及び図2に示すように、巻付け部10に巻設する。
【0030】
図5に示すように、対向平面3Cが研磨面Kに略平行に配設されることで、光ファイバ1の軸心Laと研磨面Kの間の所定の傾斜角度θa´は、軸心Laと対向平面3Cの間の所定の傾斜角度θa、及び、V字溝31a,32aの傾斜角度θ1,θ2と同じになる。(なお、図例では、傾斜角度θ1,θ2,θa,θa´は鋭角の場合を示す。)
【0031】
研磨治具3をディスク2へ固着後に、切断端面1dを研磨する。予め、研磨面Kに平行に切断しているので、光ファイバ1の端面が均一に研磨されるまでの時間が短縮されると共に研磨代が少なく迅速に多数本の研磨が行われる。なお、図5に於て、研磨前の状態の切断端面1dを二点鎖線で示している。
【0032】
図14に示すように、光ファイバ1の端面は、端面が先端勾配角度αを有する傾斜端面に研磨され、光ファイバ端面の斜め研磨(傾斜研磨や鋭角研磨とも言う)が行われる。保持ネジ36,36を螺退させ、研磨治具3から光ファイバ1を、取り出して研磨を終了する。つまり、光ファイバ1の集まりを1本1本にばらすような作業が必要なくなる。
また、先端勾配角度αは、V字溝31a,32aの傾斜角度θ1,θ2と同じである。つまり、傾斜角度θ1,θ2の設定値が上述した値であるため、ある傾斜角度によっては、光ファイバ1は、端面での不要な光の反射を抑制可能にすることができる。
また、それ以外の所望する傾斜角度も容易に作製可能となるので、傾斜角度による種々の効果と効率を有する光ファイバを得ることが可能となる。
【0033】
なお、本発明は設計変更可能であって、粘着テープ13は、光ファイバ1を研磨治具3に挟圧保持した後であれば、いつ剥離しても良い。また、ラッピング研磨紙やダイヤモンドスラリーを用いて研磨可能であるが、研磨紙の交換が不要なダイヤモンドスラリーを用いるラッピング研磨を行うのが望ましい。なお、本発明に於て、光ファイバ1は、例えば、中心の石英ガラスのコアの外周に、石英ガラスのクラッド、UV硬化型樹脂等の被覆層、ナイロン等のジャケット層、を順次設けたものである。
【0034】
以上のように、本発明の光ファイバ端面の研磨治具は、複数本の光ファイバ1の端部を保持して研磨するための治具に於て、複数本の光ファイバ1を挟圧保持する押圧プレート32と、受けブロック31と、を備え、受けブロック31及び押圧プレート32は、複数本のV字溝31a,32aを有し、V字溝31a,32aは、研磨状態で研磨面Kに接近する対向平面31c,32cに対して所定の傾斜角度θ1,θ2をもって形成されているので、ワックスや接着剤を使用せずに、複数本を効率よく確実かつ正確に安定した状態で挟圧保持できるため、振動の抑制効果があり研磨不良が発生することなく、安定して美しく平滑な傾斜端面に研磨できる。加工工数を削減して極めて高能率に、かつ、高精度に光ファイバ端面を斜め研磨できる。1本当りの研磨に使用する消耗品の減りを軽減でき、かつ、製品歩留りを向上して、生産効率を著しく改善できる。研磨の反発力による端面の位置ズレを防止でき、研磨不良の発生を防止できる。また、傾斜角度(得られる光ファイバ端面の傾斜角度)によっては、光ファイバ端面での不要な光の反射を抑制可能な傾斜端面を有する光ファイバ1を得ることができる。
【0035】
また、V字溝31a,32aの傾斜角度θ1,θ2を、5度以上85度以下に設定したので、傾斜角度によっては、光ファイバ端面での不要な光の反射を抑制可能な光ファイバ1を得ることができる。高出力の光を伝送しても、劣化が遅く高耐久性を有する製品寿命の長い光ファイバ1を確実に得ることができる。
【0036】
また、Nを2以上の整数とすれば、V字溝31a,32aをN本形成し、光ファイバ1をN本の列と(N−1)本の列とが交互に積層された俵積集合体8として挟圧保持するように構成したので、均一に安定して複数本の光ファイバ1を集合させて保持固定でき、作業効率及び生産効率を著しく向上できる。多数本の光ファイバ1を接着剤やワックスを使用せずに集合研磨できる。
【0037】
また、複数本の光ファイバ1の端部を保持して研磨する装置に於て、Nを2以上の整数とすれば、光ファイバ1を、N本の列と(N−1)本の列とが交互に積層された俵積集合体8として挟圧保持すると共に、研磨状態で研磨面Kに接近する対向平面3Cに対して光ファイバ1の軸心Laを所定の傾斜角度θaをもって挟圧保持する研磨治具3と、研磨面Kに略平行に配設されると共に複数の取付窓部20を有するディスク2と、を備え、研磨治具3を取付窓部20に固着手段29にて固着して、複数本の光ファイバ1を斜め研磨するように構成したので、ワックスや接着剤を使用せずに、複数本を効率よく確実かつ正確に安定した状態で挟圧保持でき、ワックスや接着剤が研磨面Kと光ファイバ端面の間に浸入して、研磨ムラが発生することがなく、美しく平滑な傾斜端面に研磨できる。加工工数を削減して極めて高能率に、かつ、高精度に光ファイバ端面を斜め研磨できる。1本当りの研磨に使用する消耗品の減りを軽減でき、かつ、製品歩留りを向上して、生産効率を著しく改善できる。研磨の反発力による端面の位置ズレを防止でき、研磨不良の発生を防止できる。傾斜角度によっては、光ファイバ端面での不要な光の反射が抑制可能な傾斜端面を有する光ファイバ1が得られる。即ち、高出力の光を伝送しても、劣化の遅い高耐久性を有する製品寿命の長い光ファイバ1を確実に得られる。均一に安定して複数本の光ファイバ1を集合させて保持固定できる。
【0038】
また、複数本の光ファイバ1の端部を保持して研磨する方法に於て、Nを2以上の整数とすれば、N本の光ファイバ1の端部を1列に並べて固定した大帯状体7と、(N−1)本の光ファイバ1の端部を1列に並べて固定した小帯状体6と、を形成し、大帯状体7と小帯状体6とを交互に重ね合わせて積層状の俵積集合体8として挟圧保持すると共に、光ファイバ1の軸心Laが研磨状態で研磨面Kに対して所定の傾斜角度θa´をもつように挟圧保持し、その後、光ファイバ1の端面が研磨状態で研磨面Kに対して略平行となるように軸心L1に対して斜め切断し、その後、複数本の光ファイバ1を斜め研磨するので、ワックスや接着剤を使用せずに、複数本を効率よく確実かつ正確に安定した状態で挟圧保持でき、ワックスや接着剤が研磨面Kと光ファイバ端面の間に浸入して、研磨ムラが発生することがなく、美しく平滑な傾斜端面に研磨できる。加工工数を削減して極めて高能率に、かつ、高精度に光ファイバ端面を斜め研磨できる。1本当りの研磨に使用する消耗品の減りを軽減でき、かつ、製品歩留りを向上して、生産効率を著しく改善できる。研磨の反発力による端面の位置ズレを防止でき、研磨不良の発生を防止できる。傾斜角度によっては、光ファイバ端面での不要な光の反射が抑制可能な傾斜端面を有する光ファイバ1を得ることができる。即ち、高出力の光を伝送しても、劣化の遅い高耐久性を有する製品寿命の長い光ファイバ1を確実に得られる。均一に安定して複数本の光ファイバ1を集合させて保持固定できる。
【符号の説明】
【0039】
1 光ファイバ
2 ディスク
3 研磨治具
3C 対向平面
6 小帯状体
7 大帯状体
8 俵積集合体
20 取付窓部
29 固着手段
31 受けブロック
31a V字溝
31c 対向平面
32 押圧プレート
32a V字溝
32c 対向平面
K 研磨面
La 軸心
θ1 傾斜角度
θ2 傾斜角度
θ3 傾斜角度
θa 傾斜角度
θa´ 傾斜角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の光ファイバ(1)の端部を保持して研磨するための治具に於て、
複数本の上記光ファイバ(1)を挟圧保持する押圧プレート(32)と、受けブロック(31)と、を備え、
上記受けブロック(31)及び上記押圧プレート(32)は、複数本のV字溝(31a)(32a)を有し、
上記V字溝(31a)(32a)は、研磨状態で研磨面(K)に接近する対向平面(31c)(32c)に対して所定の傾斜角度(θ1)(θ2)をもって形成されていることを特徴とする光ファイバ端面の研磨治具。
【請求項2】
上記V字溝(31a)(32a)の上記傾斜角度(θ1)(θ2)を、5度以上85度以下に設定した請求項1記載の光ファイバ端面の研磨治具。
【請求項3】
Nを2以上の整数とすれば、上記V字溝(31a)(32a)をN本形成し、上記光ファイバ(1)をN本の列と(N−1)本の列とが交互に積層された俵積集合体(8)として挟圧保持するように構成した請求項1又は2記載の光ファイバ端面の研磨治具。
【請求項4】
複数本の光ファイバ(1)の端部を保持して研磨する装置に於て、
Nを2以上の整数とすれば、上記光ファイバ(1)を、N本の列と(N−1)本の列とが交互に積層された俵積集合体(8)として挟圧保持すると共に、研磨状態で研磨面(K)に接近する対向平面(3C)に対して上記光ファイバ(1)の軸心(La)を所定の傾斜角度(θa)をもって挟圧保持する研磨治具(3)と、
上記研磨面(K)に略平行に配設されると共に複数の取付窓部(20)を有するディスク(2)と、を備え、
上記研磨治具(3)を上記取付窓部(20)に固着手段(29)にて固着して、複数本の上記光ファイバ(1)を斜め研磨するように構成したことを特徴とする光ファイバ端面の研磨装置。
【請求項5】
複数本の光ファイバ(1)の端部を保持して研磨する方法に於て、
Nを2以上の整数とすれば、N本の上記光ファイバ(1)の端部を1列に並べて固定した大帯状体(7)と、(N−1)本の上記光ファイバ(1)の端部を1列に並べて固定した小帯状体(6)と、を形成し、
上記大帯状体(7)と上記小帯状体(6)とを交互に重ね合わせて積層状の俵積集合体(8)として挟圧保持すると共に、上記光ファイバ(1)の軸心(La)が研磨状態で研磨面(K)に対して所定の傾斜角度(θa´)をもつように挟圧保持し、
その後、上記光ファイバ(1)の端面が研磨状態で上記研磨面(K)に対して略平行となるように上記軸心(La)に対して斜め切断し、
その後、複数本の上記光ファイバ(1)を斜め研磨することを特徴とする光ファイバ端面の研磨方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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