説明

光ファイバ線引き炉および線引き方法

【課題】炉心管内の光ファイバ母材の位置調整を容易とすることで、当該光ファイバ母材の片減りを抑えて中心部からの安定した線引きを可能とする。
【解決手段】線引き炉10は、光ファイバ母材20を加熱溶融する炉心管2を有する加熱炉1と、加熱炉1の下に光ファイバ母材20を線引きした光ファイバを外気から保護する下部延長筒5とを備える。そして下部延長筒5の少なくとも一部が、加熱炉1に対して下方向に移動する。下部延長筒5を下方向に移動させた状態で、下部延長筒5と加熱炉1の間の空間を利用し、炉心管2の内部を観察しながら光ファイバ母材20の位置調整を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ線引き炉および線引き方法に関し、より詳細には、線引き炉の下部に光ファイバを外気から保護するための下部延長筒を備えた光ファイバ線引き炉、および線引き方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図7は、光ファイバを線引きするための従来の線引き炉の構成例を示す図である。
光ファイバは、棒状の光ファイバ母材(プリフォーム)20を加熱する加熱炉1と、その加熱炉1の下部に接続される下部延長筒5とを備えた線引き炉10によって製造される。
加熱炉1には炉心管2及びヒータ3が設けられ、炉心管2の内部は不活性ガス注入口4から注入された不活性ガス雰囲気に保持されている。加熱炉1のヒータ3で加熱された光ファイバ母材20は、その先端から延伸され線引きされて光ファイバとされる。
【0003】
下部延長筒5は、加熱炉1の炉心管2からのガスの流れが乱れないよう配慮された内径形状をしており、垂直方向に所定の長さを有する。光ファイバの線引き工程においては、加熱炉1の直後の部分では光ファイバはまだ冷え切らずに柔らかい状態になっており、冷却が不十分な状態で空気の流れが不均一な外気中に出て行くと、外気の影響を受けて外径が大きく変動してしまう。
【0004】
このような問題が生じないように、加熱炉1の下部には、炉心管2の内径と略同じ内径をもつ下部延長筒5が接続される。下部延長筒5の内部は炉心管2と連通し、炉心管2と同様に不活性ガス雰囲気とされる。なお、下部延長筒5の最下部には、外部雰囲気と下部延長筒5の内部とを遮断するための図示しないシャッター部材などが設けられる。
【0005】
下部延長筒5を出た光ファイバは、軟化点以下に冷却されている必要がある。従って、下部延長筒5の垂直方向の長さは、製造線速や炉の温度などの製造条件などに基づいて、下部延長筒5の出口で軟化点以下に冷却される長さに設定される。
【0006】
下部延長筒5を設けた線引き炉の構成に関し、特許文献1には、線引きされた光ファイバの温度が少なくとも軟化点以下となるような隔壁をもった線引き炉が開示されている。特許文献1の隔壁は上記の下部延長筒に相当するものであり、線引きした光ファイバを均一な雰囲気化で冷却させるための構成を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平1−275443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような線引き炉10を使用して光ファイバを線引きする工程においては、まず、光ファイバ母材20を加熱炉1で加熱して先端の一部を自重により落下させ、垂れてきたガラスの塊を引き取り装置にて引き取る口出し作業が行われる。そして、口出し作業の後に、光ファイバ母材20の線引きの線速を増速して調整し、製品となる所定径の光ファイバを製造する。
【0009】
光ファイバ母材20の中心位置が線引き炉10の炉心からずれていると、光ファイバ母材20が周方向から均等に加熱されないため、母材の溶融する径方向の位置が光ファイバ母材20の中心から端部側に徐々にずれる所謂片減りを起こす場合がある。片減りが生じると、線引きした光ファイバの走行位置も線引き炉10の中心位置からずれるため、光ファイバの外径管理を行うために下部延長筒5の後段に設けられる外径測定器の測定範囲を外れることがある。
【0010】
走行位置がずれた光ファイバを本来の位置に戻すためには、光ファイバ母材20の位置を調整する必要があるが、炉心管2の内径にはあまり余裕を持たせてはいないため、光ファイバ母材20の位置の調整代はそれほど多くない。このため、光ファイバ母材20の先端部を溶融させて落下させる前の段階で、その先端位置が炉心管2の中心に位置していることを確認し、必要に応じて光ファイバ母材20の位置を調整する必要がある。この場合、下部延長筒5の出口位置で作業員が鏡30を用いて炉心管2の内部を観察しながら、光ファイバ母材20が炉心中心に位置するように調整する作業が行われている。
【0011】
一方、上記のように下部延長筒5は、その出口において光ファイバが軟化点以下にまで冷却される必要があるが、製造線速の高速化、あるいは光ファイバ母材20の大型化にともなってその長さが従来よりも長くなってきている。下部延長筒5の長さが長くなると、炉心管2内の光ファイバ母材20の溶融部と、下部延長筒5の下端部との距離が長くなるため、鏡を用いた光ファイバ母材20の位置確認が難しくなり、位置調整に支障が生じる。例えば、光ファイバ母材20の溶融部との距離が60cm程度より大きくなると、鏡を用いた目視による位置確認が難しくなる。光ファイバ母材20の位置調整がうまくできなければ、上記のような光ファイバ母材20の片減りが発生し、光ファイバを安定して製造することができなくなるおそれがある。
【0012】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、炉心管内の光ファイバ母材の位置調整を容易とすることで、当該光ファイバ母材の片減りを抑えて中心部からの安定した線引きを可能とする線引き炉および線引き方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る線引き炉は、光ファイバ母材を加熱溶融する加熱炉と、加熱炉の下に前記光ファイバ母材を線引きした光ファイバを外気から保護する下部延長筒と、を備えた線引き炉であって、下部延長筒の少なくとも一部が、加熱炉に対して下方向に移動する。一例では、加熱炉に対して、下部延長筒の全体が下方向に移動する。また、他の例では、炉心管に対して、下部延長筒の一部が下方向に移動する。
【0014】
また、本発明に係る線引き炉は、下部延長筒の少なくとも一部の移動をガイドするガイド部と、下部延長筒の少なくとも一部をガイド部に沿って移動させる駆動部と、を有する。
また、本発明に係る線引き炉は、下部延長筒の少なくとも一部の端面と、前記加熱炉の端面または下部延長筒の他の一部の端面とは、合わせ面同士を密着させて接続させるためのフランジをそれぞれ有し、各フランジは水冷により冷却され、かつ合わせ面にシール材を設けて合わせ面をシールする。
【0015】
本発明に係る光ファイバの線引き方法は、光ファイバ母材を加熱溶融する加熱炉の下に接続されている下部延長筒の少なくとも一部を、加熱炉に対して下方向に移動させる工程と、移動させる工程後に光ファイバ母材の位置を調整する工程と、光ファイバ母材の位置調整後に、移動させた下部延長筒の少なくとも一部を移動前の接続位置に戻す工程と、移動前の接続位置に戻す工程の前または後に光ファイバ母材を前記加熱炉で加熱して先端の一部を落下させ、引き取り装置にて引き取る口出し工程と、最後に光ファイバ母材の線引きの線速を調整し、所定径の光ファイバを製造する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明による線引き炉によれば、炉心管内の光ファイバ母材の位置調整を容易とすることで、当該光ファイバ母材の片減りを抑えて中心部からの安定した線引きが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る線引き炉の第1の実施形態の構成を説明する図である。
【図2】本発明に係る線引き炉の第2の実施形態の構成を説明する図である。
【図3】下部延長筒の接続部分の構成例を説明するための図である。
【図4】下部延長筒の接続部分の他の構成例を説明するための図である。
【図5】下部延長筒、または下側下部延長筒の上下方向への移動機構の例を説明する図である。
【図6】下部延長筒、または下側下部延長筒の上下方向への移動機構の他の例を説明する図である。
【図7】光ファイバを線引きするための従来の線引き炉の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図により本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明に係る線引き炉の第1の実施形態の構成を説明する図で、図中、1は加熱炉、2は炉心管、3はヒータ、4は不活性ガス入口、5は下部延長筒、10は線引き炉、20はガラス母材(プリフォーム)である。
本発明の第1の実施形態に係る線引き炉10は、光ファイバ母材20を加熱溶融する加熱炉1と、加熱炉1の下に、光ファイバ母材20を線引きした光ファイバを外気から保護する下部延長筒5と、を備えている。
【0019】
加熱炉1には炉心管2及びヒータ3が設けられ、炉心管2の内部は不活性ガス注入口4から注入された不活性ガス雰囲気に保持されている。加熱炉1のヒータ3で加熱された光ファイバ母材20は、その先端から延伸され線引きされて光ファイバとされる。
下部延長筒5は、加熱炉1の炉心管2の内径と略同じ内径を有し、垂直方向に所定の長さを有する。下部延長筒5は、その出口部分で光ファイバが軟化点以下にまで冷却されるように垂直方向の長さが決定されている。
【0020】
下部延長筒5の内部は炉心管2と連通し、炉心管2と同様に不活性ガス雰囲気とされる。なお、下部延長筒5の最下部には、外部雰囲気と下部延長筒5の内部とを遮断するための図示しないシャッター部材などが設けられる。
【0021】
本発明による線引き炉は、下部延長筒5の少なくとも一部が加熱炉1に対して下方向に移動するが、本実施形態の場合には、下部延長筒5全体が加熱炉1に対して移動するように構成されている。
図1(A)は、加熱炉1と下部延長筒5とが接続されている状態を示し、図1(B)は、下部延長筒5が加熱炉1から下方向に移動し、加熱炉1と下部延長筒5とが分離した状態を示している。
【0022】
光ファイバ母材20の線引き工程においては、まず、下部延長筒5を下方向に移動させて、加熱炉1から分離して図1(B)の状態とする。そして、加熱炉1と下部延長筒5との間の空間を利用し、加熱炉1の出口位置で作業員が鏡を用いて炉心管2の内部を観察しながら、光ファイバ母材20が炉心中心に位置するように調整する。位置調整が終了した後に、分離している下部延長筒5を元の接続位置(図1(A))に戻す。
【0023】
そして、通常の口出し工程により、光ファイバ母材20を加熱炉1で加熱して先端の一部を落下させ、落下したガラスの塊を図示しない引き取り装置にて引き取り、その後ファイバ母材20の線引きの線速を調整し、所定径の光ファイバを製造する工程に進む。
なお、上記では、分離している下部延長筒5を元に戻してから口出し工程を行うこととしたが、口出し工程を行ってから下部延長筒5を元に戻し、光ファイバを製造する工程に進んでもよい。
【0024】
上記のような構成を備えることにより、下部延長筒5の長さが長くなっても、下部延長筒5と加熱炉1が分離するので、加熱炉1の下部から鏡を使用して光ファイバ母材20の位置を容易に調整することができ、光ファイバ母材20の片減りを抑えて中心部からの安定した線引きを行うことができる。
【0025】
図2は、本発明に係る線引き炉の第2の実施形態の構成を説明する図である。本実施形態の場合には、下部延長筒5自体が2つに分離するように構成されている。ここでは、下部延長筒5は、上側下部延長筒51と、下側下部延長筒52とからなり、上側下部延長筒51は、加熱炉1に固定され、下側下部延長筒52は下向に移動するようになっている。これにより、下側下部延長筒52と、上側下部延長筒51とが分離するように構成されている。
図2(A)は、上側下部延長筒51と下側下部延長筒52とが接続されている状態を示し、図2(B)は、下側下部延長筒52が上側下部延長筒51から分離した状態を示している。
【0026】
上側下部延長筒51と下側下部延長筒52は、加熱炉1の炉心管2の内径と略同じ内径を有し、下側下部延長筒52の出口部分で光ファイバが軟化点以下にまで冷却されるように垂直方向の長さが決定されている。
上側下部延長筒51と下側下部延長筒52の内部は炉心管2と連通し、炉心管2と同様に不活性ガス雰囲気とされる。なお、下側下部延長筒52の最下部には、外部雰囲気と下側下部延長筒52の内部とを遮断するための図示しないシャッター部材などが設けられる。
【0027】
光ファイバ母材20の線引き工程においては、まず、下側下部延長筒52を垂直方向の下方向に移動させて、上側下部延長筒51から分離して図2(B)の状態とする。そして、上側下部延長筒51と下側下部延長筒52との間の空間を利用し、上側下部延長筒51の1の出口位置で作業員が鏡を用いて炉心管2の内部を観察しながら、光ファイバ母材20が炉心中心に位置するように調整する。位置調整が終了した後に、分離している下側下部延長筒52を元の接続位置(図2(A))に戻す。
【0028】
そして、通常の口出し工程により、光ファイバ母材20を加熱炉1で加熱して先端の一部を落下させ、落下したガラスの塊を図示しない引き取り装置にて引き取り、その後ファイバ母材20の線引きの線速を調整し、所定径の光ファイバを製造する工程に進む。
なお、上記では、分離している下部延長筒5を元に戻してから口出し工程を行うこととしたが、第1の実施形態と同様、口出し工程を行ってから下部延長筒5を元に戻し、光ファイバを製造する工程に進んでもよい。
【0029】
上記のような構成を備えることにより、下部延長筒5の長さが長くなっても、下部延長筒5を上側下部延長筒51と下側下部延長筒52とによって構成し、下側下部延長筒52と上側下部延長筒51とを分離可能とするので、上側下部延長筒51の下部から鏡を使用して光ファイバ母材20の位置を容易に調整することができ、ガラス母材20の片減りを抑えて中心部からの安定した線引きを行うことができる。
【0030】
次に下部延長筒の接続部分の構成例を説明する。
上記第1の実施形態では、加熱炉1に対して下部延長筒5が下方向に移動する。加熱炉1と下部延長筒5との接続部分は、図3に示す構成とする。図3(A)は、加熱炉1と下部延長筒5とが離間している状態を示す図、図3(B)は、加熱炉1と下部延長筒5とが接続された状態を示す図である。
【0031】
本構成では、下部延長筒5の上端部にフランジ13を形成し、その内部に水冷ジャケット14を設ける。水冷ジャケット14の内部には、冷却水を供給してフランジ13を冷却する。一方、加熱炉1の下端部に対してもフランジ11を形成し、同様に水冷ジャケット12を設けて冷却水を供給して冷却する。
【0032】
加熱炉1のフランジ11の下面と、下部延長筒5のフランジ13の上面とが合わせ面として接触して、加熱炉1と下部延長筒5とが接続される。合わせ面の部分には、シール材15を配置してシールを確実に行う。なお、接続部の温度が高く、シール材15には耐熱性が要求されるため、耐熱ゴムなどを用いた耐熱Oリングなどが好適である。フランジ11,13の各水冷ジャケット12,14は、シール材15が熱劣化しないように冷却するためのものである。
この例では、加熱炉1の下方から、加熱炉1のフランジ11に対して下部延長筒5のフランジ13を押しつけることによって、加熱炉1と下部延長筒5との接続シール構造を維持する。
【0033】
また、上記の構造は、第2の実施形態に対しても同様に適用できる。図4を参照すると、下側下部延長筒52の上端部にフランジ13を形成し、その内部に水冷ジャケット14を設け、冷却水を供給する。一方、上側下部延長筒51に対してもその下端部にフランジ11を形成し、同様に水冷ジャケット12を設けて冷却水を供給して冷却する。
そして上側下部延長筒51の下方から、上側下部延長筒51のフランジ11に対して下側下部延長筒52のフランジ13を押しつけることによって、上側下部延長筒51と下側下部延長筒52との接続シール構造を維持する。
【0034】
図5は、下部延長筒、または下側下部延長筒の下方向への移動機構の例を説明する図である。上記のように第1の実施形態では、下部延長筒5が上下方向に移動することにより、加熱炉1に対する分離・接続が行われる。また、第2の実施形態では、下側下部延長筒52が上下方向に移動することにより、上側下部延長筒51に対する下側下部延長筒52の分離・接続が行われる。
【0035】
これら下部延長筒5または下側下部延長筒52の垂直移動機構は、例えば図5に示すように、ロッドレスシリンダ40を使用して構成することができる。ロッドレスシリンダ40は、駆動部42とガイド部41とを有し、供給されるエアを駆動源としてガイド部41に沿って駆動部42がスライド動作を行う。駆動部42のスライド動作が上下方向となるようにロッドレスシリンダ40を設置し、駆動部42に支持軸50の一端側を固定する。また、支持軸50の他端側を下部延長筒5(または下側下部延長筒52)に取り付ける。 そして、ロッドレスシリンダ40へのエア供給を制御することで、任意に駆動部42を動作させることができ、これにより下部延長筒5(または下側下部延長筒52)を下方向に移動させることができ、また移動後に元の位置に復帰させることができる。
【0036】
図6は、下部延長筒、または下側下部延長筒の上下方向への移動機構の他の例を説明する図である。本例では、下部延長筒5または下側下部延長筒52の移動機構として、ボールネジ61、ガイド軸62、及びモータ63を用いている。ここでは、棒状のガイド軸62が上下方向に固定され、支持部70の貫通孔にガイド軸62を挿通する。支持部70はガイド軸62に沿って移動可能となる。また、モータ62の回転軸にはボールネジ61が接続され、その軸心方向が上下方向となるように固定フレーム60に回転自由に支持固定される。そして支持部70のネジ孔にボールネジ61を螺合させる。これにより、モータ63の回転に応じて支持部70が上下方向に移動する。
【0037】
支持部70の端部には、下部延長筒5(または下側下部延長筒52)を固定する。そしてモータ63の回転を制御することで、下部延長筒5(または下側下部延長筒52)を上下方向に任意に移動させることができ、また移動後に元の位置に復帰させることができる。
【0038】
下部延長筒5または下側下部延長筒52を移動させる機構としては、上記の例に限定されることはなく、適宜公知の手段を適用して移動機構を構成することができる。例えば、ロッドレスシリンダではなく、エアシリンダやオイルシリンダなどを用いてもよい。あるいは、下部延長筒5または下側下部延長筒52を保持するともに、その移動をガイドする機構を設けて、下部延長筒5または下側下部延長筒52を作業員が手動で上下させるような構成であってもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…加熱炉、2…炉心管、3…ヒータ、4…不活性ガス注入口、5…下部延長筒、10…線引き炉、11,13…フランジ、12,14…水冷ジャケット、15…シール材、20…光ファイバ母材、30…鏡、40…ロッドレスシリンダ、41…ガイド部、42…駆動部、50…支持軸、51…上側下部延長筒、52…下側下部延長筒、61…ボールネジ、62…ガイド軸、62…モータ、63…モータ、70…支持部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバ母材を加熱溶融する加熱炉と、前記加熱炉の下に前記光ファイバ母材を線引きした光ファイバを外気から保護する下部延長筒と、を備えた線引き炉であって、
前記下部延長筒の少なくとも一部が、前記加熱炉に対して下方向に移動することを特徴とする線引き炉。
【請求項2】
前記加熱炉に対して、前記下部延長筒の全体が下方向に移動することを特徴とする請求項1に記載の線引き炉。
【請求項3】
前記加熱炉に対して、前記下部延長筒の一部が下方向に移動することを特徴とする請求項1に記載の線引き炉。
【請求項4】
前記下部延長筒の少なくとも一部の移動をガイドするガイド部と、
前記下部延長筒の少なくとも一部を前記ガイド部に沿って移動させる駆動部と、を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の線引き炉。
【請求項5】
前記下部延長筒の少なくとも一部の端面と、前記加熱炉の端面または前記下部延長筒の他の一部の端面は、合わせ面同士を密着させて接続させるためのフランジをそれぞれ有し、各前記フランジは水冷により冷却され、かつ前記合わせ面にシール材を設けて前記合わせ面をシールすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の線引き炉。
【請求項6】
光ファイバ母材を加熱溶融する加熱炉の下に接続されている下部延長筒の少なくとも一部を、前記加熱炉に対して下方向に移動させる工程と、
前記移動させる工程後に前記光ファイバ母材の位置を調整する工程と、
前記光ファイバ母材の位置調整後に、移動させた前記下部延長筒の少なくとも一部を移動前の接続位置に戻す工程と、
前記移動前の接続位置に戻す工程の前または後に前記光ファイバ母材を前記加熱炉で加熱して先端の一部を落下させ、引き取り装置にて引き取る口出し工程と、
最後に前記光ファイバ母材の線引きの線速を調整し、所定径の光ファイバを製造する工程と、を有するファイバの線引き方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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