説明

光信号検出方法

【課題】光信号検出方法において、簡易的に光応答性標識物質の受ける電場増強効果のばらつきを低減することにより、より定量性の高い測定を可能とする。
【解決手段】平坦な金属層12を含むセンサ部14を有するセンサチップ10を用い、光応答性標識物質Fにより標識された結合物質Bをセンサ部14に結合させ、金属層12にプラズモンを誘起可能な波長であって、光応答性標識物質Fが光応答可能な波長を有する測定光Lを、センサ部14に落射照明で照射することにより増強電場Dを発生せしめ、増強電場Dにより光応答性標識物質Fから生じる光信号Lfを増強せしめ、この光信号Lfの量に基づいて被検出物質Aの量を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料に光を照射して光応答性標識物質からの光信号を検出することにより試料中の特定物質の量を検出する光信号検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオ測定等において、蛍光法は高感度かつ容易な測定法として広く用いられている。蛍光法とは、特定波長の光に励起されて蛍光を発する被検出物質を含むと考えられる試料に、上記特定波長の励起光を照射し、このとき発せられる蛍光を検出することによって定性的または定量的に被検出物質の存在を確認する方法である。また、被検出物質自身が蛍光材料ではない場合、この被検出物質を有機蛍光色素等の蛍光標識で標識し、その後同様にして蛍光を検出することにより、その標識の存在をもって被検出物質の存在を確認する方法である。
【0003】
上記蛍光法において、試料を流しながら特定の被検出物質のみを効率よく検出できる等の理由から、以下に示す2つの方法により被検出物質をセンサ部表面に固定し、その後蛍光検出を行う手法が一般的である。このような手法の1つは、例えば被検出物質が抗原である場合に、センサ部表面に固定された1次抗体に、抗原を特異的に結合させ、次いで、蛍光標識が付与された、抗原と特異的に結合する2次抗体を、上記抗原に結合させることにより、1次抗体―抗原―2次抗体という結合状態を形成し、結合した2次抗体に付与されている蛍光標識からの蛍光を検出する、所謂サンドイッチ法である。また、もう1つは、例えば被検出物質が抗原である場合に、センサ部表面に固定された1次抗体に、抗原と蛍光標識が付与された2次抗体(前述の2次抗体と異なり、1次抗体と特異的に結合する)とを、競合的に1次抗体と結合させ、結合した2次抗体に付与されている蛍光標識からの蛍光を検出する、所謂競合法である。
【0004】
また、例えば特許文献1にあるように、蛍光検出においてS/N比を向上できる等の理由から、上記のような方法によってセンサ部に固定された蛍光標識を、局在プラズモンにより形成される増強電場によって励起する方法が提案されている。局在プラズモンとは、照射光の波長と同程度の大きさの微細構造に局在的に生じるプラズモンである。この局在プラズモンが励起された場合には、当該微細構造の周囲に著しく増強された電場が形成される。例えば、この微細構造が金微粒子の場合には、520nm近傍の光に対して局在プラズモンが誘起される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−240361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特許文献1では、インプリント技術を用いて光学基材上に上記局在プラズモンを生じせしめるための微細構造を形成しているため、センサチップの製造に手間がかかる。また、センサチップの製造中に微細構造が壊れてしまうなどの歩留まりの問題もある。
【0007】
さらに、特許文献1にあるような高さ100〜1000nm、幅20〜1000nm、アスペクト比2〜10の多数の凸部を有するセンサ部表面に、蛍光標識等の標識物質を固定する場合には、標識物質の固定場所が凸部の頂上か或いは凸部同士の間かによって、増強電場によって標識物質の受ける影響が異なってくる。例えば、抗原抗体反応で前述のサンドイッチアッセイを行う場合には、固定されている部分のセンサ部表面から標識物質は50nm以上も離れてしまうため、凸部の頂上に固定された標識物質は、増強電場による信号増強の恩恵を受けることができない場合がある。このように標識物質の固定位置の違いは信号増強度の違いとなるため、測定の定量性を下げる要因となりうる。
【0008】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、光信号検出方法において、簡易的に光応答性標識物質の受ける電場増強効果のばらつきを低減することにより、より定量性の高い測定を可能とする光信号検出方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本出願人は、平坦な金属層を備えるセンサ部上に存在する光応答性標識物質に対して、測定光を落射照明で照射すると、金属層にプラズモンが誘起することに注目し、本発明に至った。
【0010】
すなわち上記課題を解決するために、本発明に係る光信号検出方法は、
誘電体プレートと、この誘電体プレートの一面の所定領域に設けられた平坦な金属層を含むセンサ部とを有するセンサチップを用い、
センサ部に試料を接触させることにより、この試料に含有される被検出物質の量に応じた量の、光応答性標識物質により標識された結合物質を、センサ部に結合させ、
金属層にプラズモンを誘起可能な波長であって、光応答性標識物質が光応答可能な波長を有する測定光を、センサ部に落射照明で照射することによりセンサ部上に増強電場を発生せしめ、
増強電場により光応答性標識物質からの光信号を増強せしめ、この光信号を検出し、
この光信号の量に基づいて、被検出物質の量を検出する光信号検出方法であって、
光応答性標識物質が、測定光に応答して光信号を生ずる複数の光応答物質と、この光応答物質を包含しかつ光信号を透過する光透過材料とを備えることを特徴とするものである。
【0011】
ここで、「平坦な金属層」とは、金属微粒子等の微細構造のない誘電体プレートの一面に形成された金属膜を意味するものとする。つまり、測定光の照射により局在プラズモンを生じる微細構造を有さない金属膜である。
【0012】
「結合物質」とは、ある特定の対象物質と特異的に結合する物質を意味するものとする。例えば、特定の対象物質として抗原を考える場合には、結合物質としてこの抗原と特異的に結合する抗体が挙げられる。
【0013】
「光応答性標識物質」とは、測定光の照射に起因して光信号を生ずる標識物質を意味するものとする。ここで、例えば光信号として蛍光を挙げることができる。光応答性標識物質は、粒子状の光透過材料中に複数の光応答物質が存在するものである。複数の光応答物質のうち、一部が光透過材料の外部に露出していてもよい。また、光透過材料中における光応答物質の分布状態はどのようであってもよく、均一に分布していてもよいし、均一に分布していなくてもよい。さらに、粒子状の光応答性標識物質の中心部においては、光応答物質が存在しない領域が存在してもよい。
【0014】
アッセイでは、センサ部上に固定され被検出物質と特異的に結合する第1の結合物質を介して、被検出物質の量に応じた量だけ、光応答性標識物質により標識された結合物質をセンサ部上に結合させる。この光応答性標識物質により標識された結合物質を「センサ部に結合させ」る方法としては以下の2つがある。例えば、サンドイッチ法によるアッセイを行う場合には、当該結合物質として被検出物質と特異的に結合する第2の結合物質を用いる。これにより、第1の結合物質−被検出物質−第2の結合物質のサンドイッチ構造が作られる。ここで、被検出物質の第1の結合物質に対する結合部位と第2の結合物質に対する結合部位とは異なる。一方、競合法によるアッセイを行う場合には、当該結合物質として被検出物質と競合して上記第1の結合物質と特異的に結合する第3の結合物質を用いる。これにより、第1の結合物質−第3の結合物質の結合が作られる。
【0015】
「被検出物質の量を検出する」とは、被検出物質の存在の有無の検出を含み、定性的な量のみならず定量的な量および活性の程度を検出することを意味するものとする。
【0016】
さらに、本発明に係る光信号検出方法において、金属層は、Au、Ag、Cu、Al、Pt、Ni、Ti、およびこれらの合金からなる群より選択される少なくとも1種の金属を主成分とするものであることが好ましく、特にAuまたはAgを主成分とするものであることが好ましい。
【0017】
そして、光応答物質は、蛍光色素分子、蛍光微粒子および量子ドットからなる群より選択される1の物質であることが好ましい。つまり、「光応答物質」は、測定光に対し光応答性を有するものであればよく、測定光の照射により蛍光を生じる蛍光色素分子、蛍光微粒子、量子ドット(半導体微粒子)などであってもよい。したがって、「光応答性標識物質からの光」とは、測定光が照射されて光応答物質から生じる光(蛍光および燐光等)を意味するものとする。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る光信号検出方法は、平坦な金属層を備えるセンサ部上に存在する光応答性標識物質に対して、測定光を落射照明で照射することによって、金属層にプラズモンを誘起している。これは、光応答性標識物質からの光信号によって金属層にプラズモンが誘起されていると考えられる。したがって、このプラズモンによる電場増強効果によってセンサ部上の電場を増強することができる。このことは、微細構造の形成や全反射照明光学系の調整等を必要とせず、センサ部上に単に落射照明を行うだけで容易に増強電場を形成することができることを示している。また、金属層が平坦であるため、それぞれの光応答性標識物質と金属層との位置関係がほぼ一定となり、それぞれの光応答性標識物質がほぼ均一の増強度となるように電場増強効果を得ることができる。この結果、光信号検出方法において、簡易的に光応答性標識物質の受ける電場増強効果のばらつきを低減することができ、より定量性の高い測定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施形態に係る光信号検出方法に用いる装置を示す概略断面図
【図2A】第2の実施形態に係る光信号検出方法に用いるチップを示す概略平面図
【図2B】第2の実施形態に係る光信号検出方法に用いるチップを示す概略断面図
【図3】第2の実施形態に係る光信号検出方法のアッセイの工程を示す概略断面図
【図4】競合法によるアッセイの原理を説明する概略断面図
【図5】第3の実施形態に係る光信号検出方法のアッセイの工程を示す概略断面図
【図6】光応答性標識物質の設計変更例を示す概略断面図
【図7】実施例および比較例の測定結果を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明するが、本発明はこれに限られるものではない。
【0021】
<光信号検出方法の第1の実施形態>
まず、本実施形態に係る光信号検出方法に用いる光信号検出装置1の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る光信号検出装置1の全体構成を示す概略断面図である。各図において説明の便宜上、各部の寸法は実際のものとは異ならせている。
【0022】
図1に示すように光信号検出装置1は、誘電体プレート11の一面の所定領域に設けられた金属層12を備えたセンサ部14を有するセンサチップ10、測定光Lをセンサ部上に落射照明で照射する落射照明光学系20と、光応答性標識物質Fにより標識された結合物質Bが金属層12に接触している試料中に存在する場合に、光応答性標識物質Fから生じる光を検出する光検出器30とを備えている。
【0023】
落射照明光学系20は、測定光Lを出力する半導体レーザ(LD)等からなる光源21と、測定光Lを反射してセンサチップ10へ導光するハーフミラー23とを備えている。ハーフミラー23は、測定光Lを反射し、光応答性標識物質から生じる光を透過するものである。
【0024】
センサチップ10は、流路を有する誘電体プレート11の流路内の所定領域に金属層12として金属膜が成膜されたものである。
【0025】
誘電体プレート11は、例えば透明樹脂やガラス等の透明材料から形成されたものである。誘電体プレート11は樹脂から形成されたものが好ましく、この場合は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンを含む非晶性ポリオレフィン(APO)等の樹脂を用いることがより好ましい。
【0026】
金属層12は、所定領域に開口を有するマスクを誘電体プレート11の一表面に形成し、既知の蒸着法で成膜形成することができる。また、金属層12は、光の照射によって局在プラズモンを誘起しうるような微細構造を有さないものである。金属層12の厚みは、金属膜の材料と、測定光Lの波長により表面プラズモンが強く励起されるように適宜定めることが好ましい。例えば、測定光Lとして780nmに中心波長を有するレーザ光を用い、金属層12としてAu膜を用いる場合、金属層12の厚みは50nm±20nmが好適である。さらに好ましくは、47nm±10nmである。なお、金属層12は、Au、Ag、Cu、Al、Pt、Ni、Ti、およびこれらの合金からなる群より選択される少なくとも1種の金属を主成分とするものが好ましく、特にAuまたはAgが好ましい。ここで、「主成分」とは、含量90質量%以上の成分と定義する。Agを金属層として用いる場合は、Agが酸化しやすいためその表面に酸化防止膜を形成することが好ましい。酸化防止膜としては、SiO膜等の酸化物膜やAu膜等の他の酸化しにくい金属膜を用いることができる。
【0027】
以下においては、図1に示す実施形態の光信号検出装置を蛍光検出装置として用いるものとし、光信号検出方法として蛍光検出方法について説明する。また、光応答性標識物質Fとして蛍光色素分子を内包する蛍光標識物質を用い、光信号として蛍光を検出するものとする。
【0028】
蛍光検出装置1を用いた蛍光検出の原理について説明する。
落射照明光学系20により測定光Lがセンサ部14上に落射照明で照射されることにより、蛍光標識物質Fから蛍光Lfが生じる。この時、センサ部に固定されている蛍光標識物質Fからの蛍光Lfは、以下に示す2つの効果により増強される。1つは、金属層12による「鏡面効果」である。この鏡面効果により蛍光標識物質Fに照射される測定光Lの量が増加するため、蛍光標識物質Fから生じる蛍光量が増大される。そしてもう1つは、表面プラズモンによる電場増強効果である。この表面プラズモンは、蛍光標識物質Fから生じた蛍光Lfの一部が金属層12に吸収されることにより、この金属層12中に誘起されるものであると考えられる。この結果、この表面プラズモンにより金属層12表面に電界分布が生じ、電場増強領域Dが形成される。このとき、電場増強領域Dにおいて蛍光標識物質F(図1のF)が存在する場合、その蛍光標識物質Fがさらに励起されて蛍光Lfが発生する。光検出器30は、図示しない集光レンズ等により蛍光を集光し、この蛍光Lfの検出を行う。ここで、電場増強領域D外に蛍光標識物質F(図1のF)が存在する場合には蛍光Lfは増強されない。このようにして、光検出器30は増強された蛍光Lfを検出する。ここで、試料中に浮遊している蛍光標識物質Fを洗い流してから蛍光測定を行うことが好ましい。
【0029】
本実施形態において、蛍光標識物質Fは、光応答物質である複数の蛍光色素分子15と、この複数の蛍光色素分子15を包含しかつ蛍光を透過する光透過材料16とを備えている。したがって、蛍光標識物質Fは複数の蛍光色素分子15を内包するものであるため、従来の蛍光色素分子15自体を標識として用いる場合と比較すると、発光する蛍光量を大幅に増大させることができる。また、蛍光標識物質Fは、拡散時間の点から粒径が5300nm以下のものが好ましい。また、蛍光量およびセンサ部上への最密充填密度の観点および、表面プラズモンの擾乱の観点から100nm〜700nmのものがさらに好ましく、130nm〜500nmのものが特に好ましい。ここで、蛍光標識物質(光応答性標識物質)Fの粒径は、略球状の粒子の場合にはその直径であり、球状でない粒子の場合にはその最大幅と最小幅との平均の長さで定義するものとする。光透過材料16としては、具体的には、ポリスチレンやSiOなどの誘電体が挙げられるが、蛍光色素分子15を内包でき、かつ、該蛍光色素分子15からの蛍光を透過させて外部に放出できるものであれば特に制限されない。
【0030】
なお、蛍光標識物質中の光応答物質として蛍光色素分子に代えて、蛍光微粒子および量子ドット(半導体微粒子)等を備えてもよい。
【0031】
本実施形態で用いられる蛍光標識物質Fは、以下のようにして作製することができる。
まず、ポリスチレン粒子(Estapor社、φ500nm、10%solid、カルボキシル基、製品番号K1―050)を調液して0.1%solid in phosphate(ポリスチレン溶液:pH7.0)を作製する。
次に、蛍光色素(MolecularProbes社、BODIPY―FL―SE、製品番号D2184)0.3mgの酢酸エチル溶液(1mL)を作製する。
上記ポリスチレン溶液と蛍光色素溶液を混合し、エバポレートしながら含浸を行った後、遠心分離(15000rpm、4℃、20分を2回)を行い、上清を除去する。以上の工程により、ポリスチレンにより蛍光色素分子を内包してなる蛍光標識物質Fを得ることができる。このような手順で、ポリスチレン粒子に蛍光色素分子を含浸させて作製された蛍光標識物質Fの粒径はポリスチレン粒子の粒径と同一(上記例ではφ500nm)となる。
【0032】
上記構成の蛍光検出装置1を用いた蛍光検出方法を用いたセンシングについて説明する。
まず、センサチップ10の金属層12を備えたセンサ部14に検査対象となる試料Sを接触させる。ここでは、一例として、試料Sに含まれる被検出物質として抗原Aを検出する場合について説明する。金属層12上には抗原Aと特異的に結合する第1の結合物質として1次抗体Bが修飾されている。センサチップ10の流路中に試料Sが流され、次いで同様に抗原Aと特異的に結合する第2の結合物質である2次抗体Bが表面に修飾された蛍光標識物質Fが流される。この場合、金属層12に表面修飾される1次抗体Bと蛍光標識物質Fに表面修飾される2次抗体Bとは、抗体Aに対して互いに別の部位に結合するものが用いられる。その後、センサ部14上に向けて落射照明光学系20から測定光Lが照射され、光検出器30により蛍光検出がなされる。このとき、光検出器30によって所定の蛍光Lfが検出されたなら、上記2次抗体Bと抗原Aとの結合、すなわち試料中における抗原Aの存在を確認できることになる。
【0033】
なお、被検出物質(抗原A)の標識のタイミングは特に制限されず、被検出物質(抗原A)を第1の結合物質(1次抗体B)に結合させる前に、予め試料に蛍光標識物質を添加しておいてもよい。
【0034】
以上のように、本実施形態に係る光信号検出方法は、平坦な金属層を備えるセンサ部上に存在する光応答性標識物質に対して、測定光を落射照明で照射することによって、金属層にプラズモンを誘起している。これは、光応答性標識物質からの光信号によって金属層にプラズモンが誘起されていると考えられる。したがって、このプラズモンによる電場増強効果によってセンサ部上の電場を増強することができる。このことは、微細構造の形成や全反射照明光学系の調整等を必要とせず、センサ部上に単に落射照明を行うだけで容易に増強電場を形成することができることを示している。また、金属層が平坦であるため、それぞれの光応答性標識物質と金属層との位置関係がほぼ一定となり、それぞれの光応答性標識物質がほぼ均一の増強度となるように電場増強効果を得ることができる。この結果、光信号検出方法において、簡易的に光応答性標識物質の受ける電場増強効果のばらつきを低減することができ、より定量性の高い測定が可能となる。
(設計変更)
第1の実施形態において、落射照明光学系として同軸落射型の光学系を用いて説明してきたが、特にこれに限定されるものではない。また、落射照明は、必ずしも図1に示すようにセンサ部に対して垂直となるように照射する必要はなく、斜めから照射してもよい。
【0035】
<光信号検出方法の第2の実施形態>
本実施形態に係る光信号検出方法は、図2AおよびBに示すような試料セル50を用いてセンシングを行う方法である。図2Aは試料セル50の構成を示す平面図、図2Bは試料セル50の側断面図である。本実施形態においても、光応答性標識物質として蛍光色素分子を内包する蛍光標識物質を例にして説明する。
【0036】
試料セル50は、誘電体プレートからなる基台51と、基台51上に液体試料Sを保持し、液体試料Sの流路52を形成するスペーサ53と、試料Sを注入する注入口54aおよび流路52を流下した試料を排出する排出口となる空気孔54bを備えたガラス板からなる上板54とから構成され、流路52の注入口54aと空気孔54bとの間の試料接触面となる基台51の所定領域上に設けられた金属層からなるセンサ部58a、59aが備えられている。また、注入口54aから流路52に至る箇所にはメンブレンフィルター55が備えられ、流路52下流の空気孔54bに接続する部分には廃液だめ56が形成されている。
【0037】
本実施形態においては、基台51が誘電体プレートから構成され、センサ部の誘電体プレートを兼ねているが、基台としては、センサ部が構成される部分のみ誘電体プレートで構成されたものを用いてもよい。
【0038】
試料セル50の基台51上には流路52上流側から、被検出物質である抗原と特異的に結合する2次抗体(第2の結合物質)Bが表面修飾された蛍光標識物質Fを物理吸着させてある標識2次抗体吸着エリア57、被検出物質である抗原と特異的に結合する1次抗体(第1の結合物質)Bが金属層58a上に固定された第1の測定エリア58、被検出物質である抗原とは結合せず標識2次抗体BFと特異的に結合する1次抗体Bが金属層59a上に固定された第2の測定エリア59が順に設けられている。つまり、上記のセンサ部58a、59aが形成されている領域が、それぞれ第1および第2の測定エリア58,59に相当する。ここで、標識2次抗体BFとは、蛍光標識物質Fに標識された2次抗体(第2の結合物質)を意味するものとする。また本例では、流路52内に2つの測定エリアを設けた例を挙げているが、測定エリアは1つのみであってもよい。
【0039】
第1の測定エリア58および第2の測定エリア59の、基台51上にはそれぞれ金属層として、Au膜58aおよび59aが形成されている。第1の測定エリア58のAu膜58a上にはさらに1次抗体Bが固定され、第2の測定エリア59のAu膜59a上にはさらに1次抗体Bとは異なる1次抗体Bが固定されている。互いに異なる1次抗体が設けられている点以外は、第1の測定エリア58と第2の測定エリア59は同一の構成である。第2の測定エリア59に固定されている1次抗体Bは抗原Aとは結合せず、2次抗体Bと直接結合するものである。これにより、流路52を流れた標識2次抗体BFの量、活性など反応に関する変動要因と落射照明光学系20、Au膜58aおよび59a、液体試料Sなど表面プラズモン増強度に関する変動要因を検出し、較正に利用することができる。
【0040】
なお、第2の測定エリアには1次抗体Bではなく、既知量の標識物質が予め固定されていてもよい。標識物質は2次抗体により表面修飾された蛍光標識物質と同種のものであってもよいし、波長、サイズの異なる蛍光標識物質であってもよい。さらには金属微粒子など他の光応答物質であってもよい。この場合、落射照明光学系20、Au膜58a、59a、液体試料Sなど表面プラズモン増強度に関する変動要因のみを検出し、較正に利用することができる。第2の測定エリア59に1次抗体B、既知量の標識物質のどちらを固定するかは、較正目的・方法によって適宜定めればよい。
【0041】
試料セル50を用いることにより、第1の測定エリア58からの蛍光検出測定の後、第2の測定エリア59を蛍光検出位置に移動させて第2の測定エリア59からの蛍光検出を行うことができる。
【0042】
落射照明光学系については、第1の実施形態と同様の光学系を用いることができる。
【0043】
さらに、本実施形態の検出用試料セル50および蛍光検出方法を利用して、血液(全血)中に被検出物質である抗原を含むか否について、サンドイッチ法によるアッセイを行う手順について図3を参照して説明する。
step1:注入口54aから検査対象である血液(全血)Soを注入する。ここでは、この血液So中に被検出物質である抗原Aが含まれている場合について説明する。図3中において全血Soは網掛け領域で示している。
step2:全血Soはメンブレンフィルター55により濾過され、赤血球、白血球などの大きな分子が残渣となる。
step3:メンブレンフィルター55で血球分離された血液(血漿)Sが毛細管現象で流路52に染み出す。反応を早め検出時間を短縮するために、空気孔54bにポンプを接続し、メンブレンフィルター55で血球分離された血液をポンプの吸引、押し出し操作によって流下させてもよい。図3中において血漿Sは斜線領域で示している。
step4:流路52に染み出した血漿Sと2次抗体Bが修飾された蛍光標識物質F(標識2次抗体BF)とが混ぜ合わされ、血漿中の抗原Aが2次抗体Bと結合する。
step5:血漿Sは流路52に沿って空気孔54b側へと徐々に流れ、2次抗体Bと結合した抗原Aが、第1の測定エリア58上に固定されている1次抗体Bと結合し、抗原Aが1次抗体Bと2次抗体Bで挟み込まれたいわゆるサンドイッチが形成される。
step6:抗原Aと結合しなかった標識2次抗体BFの一部は第2の測定エリア59上に固定されている1次抗体Bと結合する。さらに抗原Aまたは1次抗体Bと結合しなかった標識2次抗体BFが測定エリア上に残っている場合があっても、後続の血漿が洗浄の役割を担い、プレート上に浮遊および非特異吸着しているものを洗い流す。
【0044】
このように、血液を注入口から注入し、第1の測定エリア58上に抗原Aが1次抗体Bと2次抗体Bで挟まれたサンドイッチが形成されるまでのstep1からStep6の後、第1の測定エリア58からの蛍光強度を検出することにより、抗原の有無および/またはその濃度を検出することができる。その後、第2の測定エリア59からの蛍光信号を検出できるように試料セル50を移動し、第2の測定エリア59からの蛍光信号を検出する。標識2次抗体BFと結合する1次抗体Bを固定している第2の測定エリア59からの蛍光信号は標識2次抗体BFの流下した量、活性などの反応条件を反映した信号であると考えられ、この信号をリファレンスとして、第1の測定エリア58からの信号を補正することにより、より精度の高い検出結果を得ることができる。また、既述の通り、第2の測定エリア59に既知量の標識物質(蛍光物質等)をあらかじめ固定した場合であっても、同様に、第2の測定エリア59からの蛍光信号をリファレンスとして第1の測定エリア58からの信号を補正することができる。
【0045】
ここで、図3では、第1の測定エリア58に固定されている1次抗体Bは、金属層59a表面に二次元的に設けられているが、この他に、金属層58a上に3次元的に広がったメンブレンを配置し、このメンブレンに1次抗体Bを固定してもよい。
【0046】
以上のように、本実施形態に係る光信号検出方法でも、平坦な金属層を備えるセンサ部上に存在する光応答性標識物質に対して、測定光を落射照明で照射することによって、金属層にプラズモンを誘起している。つまり、上記の試料セル50を用いた光信号検出方法(蛍光検出方法)の原理は、第1の実施形態と同様であり、本実施形態においても第1の実施形態と同様の効果を得ることができ、簡易な方法でより定量性の高い測定を行うことが可能となる。
【0047】
<光信号検出方法の第3の実施形態>
本実施形態に係る光信号検出方法は、第2の実施形態と同様の試料セルを用いてセンシングを行う方法である。本実施形態は、競合法によるアッセイを行う点で第2の実施形態と異なる。したがって、第2の実施形態と同様の要素については、同じ符号を付し、また特に必要のない限り詳細な説明は省略する。本実施形態においても、光応答性標識物質として蛍光色素分子を内包する蛍光標識物質を例にして説明する。
【0048】
図4を参照して、競合法について簡単に説明する。
図4(A)に示すように、被検出物質(例えば、抗原)Aと同一の免疫反応を示す第3の結合物質(例えば、競合抗原)Cを蛍光標識物質Fに修飾させておく。金属層12上には、抗原Aおよび競合抗原Cといずれとも特異的に結合する第1の結合物質C(例えば、1次抗体)を固定化しておく。競合抗原Cが修飾された蛍光標識物質F(標識競合物質CF)を所定濃度で、抗原Aと混合し、金属層12上に固定化された1次抗体Cに競合的に反応させる(抗原−抗体反応)。抗原Aと標識競合物質CFとの混合時における標識競合物質CFの濃度は既知である。
【0049】
競合法では、図4(B)に示すように、被検出物質Aの濃度が高ければ、第1の結合物質Cと結合する標識競合物質CFの量が少なくなる、すなわち金属層12上の蛍光標識物質Fの数が少なくなるため蛍光強度が小さくなる。一方、図4(C)に示すように、被検出物質Aの濃度が低ければ、第1の結合物質Cと結合する標識競合物質CFの量が多くなる、すなわち金属層12上の蛍光標識物質Fの数が多くなるため蛍光強度が大きくなる。競合法は被検出物質にエピトープが一つあれば測定が可能であることから、低分子量の物質の検出に適している。
【0050】
図5の50’は、競合法によるアッセイに適した第3の実施形態の試料セルを示すものである。本実施形態の試料セル50’においては、第1の測定エリア58’のAu膜58a上にさらに1次抗体Cが固定され、第2の測定エリア59’のAu膜59a上に後述する物質D1が固定されている。互いに異なる物質が設けられている点以外は第1の測定エリア58’と第2の測定エリア59’は同一の構成である。抗原Aおよび競合抗原Cは、第1の測定エリア58’に固定されている1次抗体Cに競合的に結合するものである。第2の測定エリア59’に固定されている物質D1は、抗原Aおよび競合抗原Cとは結合せず、競合抗原Cと共に蛍光標識物質Fの表面に修飾されている物質D2と特異的に結合するものである。これにより、流路を流れた標識競合物質CFの量、活性など反応に関する変動要因と落射照明光学系、Au膜58aおよび59a、液体試料Sなど表面プラズモン増強度に関する変動要因を検出し、較正に利用することができる。
【0051】
なお、第2の測定エリアには物質D1ではなく、既知量の標識物質が予め固定されていてもよい。標識物質は競合抗原により表面修飾された蛍光標識物質と同種のものであってもよいし、波長、サイズの異なる蛍光標識物質であってもよい。この場合、落射照明光学系、Au膜58aおよび59a、液体試料Sなど表面プラズモン増強度に関する変動要因のみを検出し、較正に利用することができる。第2の測定エリア59’に物質D1、既知量の標識物質のどちらを固定するかは較正目的・方法によって適宜、選択することができる。
【0052】
本発明の検出方法において、本実施形態の検出用試料セル50’を用い、血液(全血)中に被検出物質である抗原を含むか否について、競合法によるアッセイを行う手順について図5を参照して説明する。
step1:注入口54aから検査対象である血液(全血)Soを注入する。ここでは、この血液So中に被検出物質である抗原が含まれている場合について説明する。図5中において全血Soは網掛け領域で示している。
step2:全血Soはメンブレンフィルター55により濾過され、赤血球、白血球などの大きな分子が残渣となる。
step3:メンブレンフィルター55で血球分離された血液(血漿)Sが毛細管現象で流路52に染み出す。または反応を早め検出時間を短縮するために、空気孔54bにポンプを接続し、メンブレンフィルター55で血球分離された血液をポンプの吸引、押し出し操作によって流下させてもよい。図5中において血漿Sは斜線領域で示している。
step4:流路52に染み出した血漿Sと競合抗原Cが付与された蛍光標識物質F(標識競合物質CF)とが混ぜ合わされる。
step5:血漿Sは流路52に沿って空気孔54b側へと徐々に流れ、抗原Aと標識競合物質CFとが競合して、第1の測定エリア58’上に固定されている1次抗体Cと結合する。
step6:第1の測定エリア58’上の1次抗体Cと結合しなかった標識競合物質CFの一部は、その標識競合物質CFの物質Dが第2の測定エリア59’上に固定されている物質Dと結合し、第2の測定エリア59’上に固定される。さらに1次抗体Cおよび物質Dと結合していない標識競合物質CFが測定エリア上に残っている場合があっても、後続の血漿が洗浄の役割を担い、プレート上に浮遊および非特異吸着していたものを洗い流す。
【0053】
このように、血液を注入口から注入し、第1の測定エリア58’上の1次抗体Cに抗原Aおよび標識競合物質CFが競合結合するまでのstep1からStep6の後、第1の測定エリア58’からの検出信号を検出することにより、抗原の有無および/またはその濃度を検出することができる。その後、第2の測定エリア59’からの検出信号を検出できるように検出用試料セル50’を移動し、第2の測定エリア59’からの検出信号を検出し、この検出信号をリファレンスとして、第1の測定エリア58’からの検出信号を補正することにより、より精度の高い検出結果を得ることができる。
【0054】
以上のように、本実施形態に係る光信号検出方法でも、平坦な金属層を備えるセンサ部上に存在する光応答性標識物質に対して、測定光を落射照明で照射することによって、金属層にプラズモンを誘起している。つまり、上記の試料セル50’を用いた光信号検出方法(蛍光検出方法)の原理は、第1の実施形態と同様であり、本実施形態においても第1の実施形態と同様の効果を得ることができ、簡易な方法でより定量性の高い測定を行うことが可能となる。
【0055】
<第1から3の実施形態についての設計変更>
なお、第1から第3の実施形態においては、光応答性標識物質として、図6に示すように、さらに、光透過材料16の表面に光応答物質から生じる光を透過する厚みの金属被膜19が設けられたものを用いてもよい。金属被膜19は、光透過材料16の全表面を覆うものであってもよいし、全表面を覆うものでなく一部表面が露出するように設けられたものであってもよい。金属被膜19の材料としては、上述の金属層と同様の金属材料を用いることができる。
【0056】
光応答性標識物質の表面に金属被膜19を備えた場合、センサチップ10の金属層12に発生した表面プラズモンあるいは局在プラズモンが金属被膜19のウィスパリング・ギャラリー・モードにカップリングし、光応答性標識物質F内の光応答物質15をさらに高効率に励起できる。なお、ウィスパリング・ギャラリー・モードとは、ここで用いられるφ5300nm以下程度の微小球の球表面に局在し、周回する電磁波モードである。
【0057】
光応答性標識物質への金属被膜方法の一例を挙げる。
まず、前述手順により光応答性標識物質を作製し、その表面にポリエチレンイミン(PEI)(例えば、商品名:エポミン(登録商標)、株式会社日本触媒)を修飾する。
次に、光応答性標識物質表面のPEIに粒径15nm程度のPdナノ粒子(例えば、平均粒径19nm、株式会社徳力本店)を吸着させる。
Pdナノ粒子が吸着したポリスチレン粒子を無電解金メッキ液(HAuCl、小島化学薬品株式会社)に浸漬させることで、Pdナノ粒子を触媒とする無電界メッキを利用して、光応答性標識物質表面にAu膜を作製する。
【0058】
<実施例>
本発明に係る光信号検出方法の実施例を以下に示す。
【0059】
センサチップ10は以下の方法により製造した。まずゼオネックス(登録商標)基板に50nmのAu膜を形成した。そしてAu膜を形成したセンサ部に第1の実施形態で述べた蛍光標識物質を固定し、波長660nmの半導体レーザを照射して、蛍光量測定を行った。
【0060】
そして、蛍光標識物質の固定方法は以下の通りである。まず、Au膜付きゼオネックス基板にUV処理を30秒間行った。そして、その後このゼオネックス基板上にテフロン(登録商標)キュベットを置き治具で固定した。次に、蛍光標識物質の濃度が0.002%となるように調整した水溶液をキュベットに20uLずつ分注して一時間静置した。ここで、蛍光標識物質として、BangsLaboratories社製の蛍光粒子(商品名:FC02F、平均粒径0.21um、励起波長660nm、蛍光波長690nm)を用いた。
【0061】
また、蛍光色素分子(光応答物質)を内部に包含しない粒子を上記同様にセンサ部上に固定したときの散乱光量も測定した。
【0062】
<比較例>
実施例1に対する比較例として、Au膜を形成していないゼオネックス基板を用いて、所定領域に実施例1と同様に蛍光標識物質を固定し、このセンサチップに対して実施例1と同様に蛍光量測定を行った。
【0063】
また、実施例1と同様に、蛍光色素分子(光応答物質)を内部に包含しない粒子を上記同様にセンサ部上に固定したときの散乱光量も測定した。ここで、比較例の散乱光量と実施例の散乱光量とが同等となるように測定光量を調整している。
【0064】
<結果>
図7は、上記実施例および比較例の測定結果を示すグラフである。この結果において、光応答物質ありの信号量(蛍光量)から光応答物質なしの信号量(散乱光量)を引いた値をシグナルとすると、Au膜を設けることによってAu膜なしに比べて約2.9倍信号量(蛍光量)が増大した。これより、本発明に係る光信号検出方法によれば、測定光がAu膜によって反射して測定光量が増える鏡面効果以上の光信号の増大率が得られることが実証された。
【符号の説明】
【0065】
1、2 光信号検出装置
10 センサチップ
11 誘電体プレート
12 金属膜
14 センサ部
15 光応答物質
16 光透過材料
20 落射照明光学系
21 光源
23 ハーフミラー
30 光検出器
50、50’ 試料セル
A 被検出物質
D 電場増強領域
F 光応答性標識物質
Lf 蛍光
測定光
Ls 散乱光
S 試料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体プレートと、該誘電体プレートの一面の所定領域に設けられた平坦な金属層を含むセンサ部とを有するセンサチップを用い、
前記センサ部に試料を接触させることにより、該試料に含有される被検出物質の量に応じた量の、光応答性標識物質により標識された結合物質を、前記センサ部に結合させ、
前記金属層にプラズモンを誘起可能な波長であって、前記光応答性標識物質が光応答可能な波長を有する測定光を、前記センサ部に落射照明で照射することにより該センサ部上に増強電場を発生せしめ、
該増強電場により前記光応答性標識物質からの光信号を増強せしめ、該光信号を検出し、
該光信号の量に基づいて、前記被検出物質の量を検出する光信号検出方法であって、
前記光応答性標識物質が、前記測定光に応答して光信号を生ずる複数の光応答物質と、該光応答物質を包含しかつ該光信号を透過する光透過材料とを備えることを特徴とする光信号検出方法。
【請求項2】
前記金属層が、Au、Ag、Cu、Al、Pt、Ni、Ti、およびこれらの合金からなる群より選択される少なくとも1種の金属を主成分とするものであることを特徴とする請求項1に記載の光信号検出方法。
【請求項3】
前記金属層が、AuまたはAgを主成分とするものであることを特徴とする請求項2に記載の光信号検出方法。
【請求項4】
前記光応答物質が、蛍光色素分子、蛍光微粒子、および量子ドットからなる群より選択される1の物質であることを特徴とする請求項1から3いずれかに記載の光信号検出方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−223802(P2010−223802A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72096(P2009−72096)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】